JPH0627722Y2 - シリンダ錠 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の目的］ （産業上の利用分野） 本考案は自動車のバックドアやトランクリッド等をロッ
クするのに用いるシリンダ錠に関する。

（従来の技術） 自動車の例えばバックドアに用いられているシリンダ錠
は、バックドアを閉鎖状態にロックするものであるが、
キー孔にキーを差込んで回動することによりキーロータ
が回動されてロックが解除され、以てバックドアを解放
し得るようになっている。そして、従来のものは、上記
キーを抜き去った状態或いは差込んだままの状態の何れ
の場合でも開放状態のバックドアを閉鎖するとシリンダ
錠によってバックドアが自動的に閉鎖状態にロックされ
るようになっている。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら上記構成のものでは、バックドアを開放さ
せた状態でキーを抜き去った場合、そのバックドアを閉
鎖するのを忘れて開放させたままで運転してしまうこと
があった。

従って本考案の目的は、上記問題点に対処するために、
ある特定の条件を満足しない限りキーを抜き去ることが
できないシリンダ錠を提供するにある。

［考案の構成］ （問題点を解決するための手段） 本考案は、内周部にロック溝を有したシリンダケース
と、このシリンダケースの内周部に回動可能に設けられ
キー孔及びロックプレート挿入孔を有するキーロータ
と、前記ロックプレート挿通孔に移動可能に設けられ前
記キー孔にキーが差込まれたときにロックプレート挿入
孔内に収納されて前記ロック溝と非係合状態となりキー
が抜き去られたときに一端部がロックプレート挿入孔か
ら外方へ突出して前記ロック溝に係合するロックプレー
トとを具備したシリンダ錠において、前記ロックプレー
トに対応する溝を有する移動部材を、前記シリンダケー
スとキーロータとの間において第１の位置と第２の位置
との間で軸方向に移動可能に設け、この移動部材が第１
の位置に移動した状態では、前記溝がロックプレートに
対応してそのロックプレートの移動が許容され、第２の
位置に移動した状態では、ロックプレートに対する溝の
位置がずれてロックプレートの移動が規制される構成と
したところに特徴を有する。

（作用） 上記手段によれば、キーをキー孔に差込んだ状態におい
て、移動部材が第１の位置に位置したときにはロックプ
レートの移動が許容されることによりキーを抜き去るこ
とができるが、移動部材が第２の位置に位置していると
きにはロックプレートの移動が規制されることによりキ
ーを抜き去ることができない。従って、ある特定の条
件、この場合移動部材が第１の位置に位置するという条
件を満足しない限りキーを抜き去ることができない。

（実施例） 以下本考案を自動車のバックドアに適用した一実施例に
つき図面を参照して説明する。

まず第２図において、１は自動車本体、２はこの自動車
本体１の後部に上端部が回動可能に支持されたバックド
アで、このバックドア２の下部にシリンダ錠３が取付け
られている。以下このシリンダ錠３について詳述する。

第３図及び第４図において、４は軸方に延びる収納孔５
を有したシリンダケースで、これの内周部には、下部に
軸方向に延びるロック溝６が形成されていると共に、こ
のロック溝６に対向した上部に軸方向に延びる収納溝７
が形成されている。

８は収納孔５に回動可能に収納されたキーロータで、こ
れには軸方向に延びるキー孔９が形成されていると共
に、該キー孔９に直交して径方向に延び両端がキーロー
タ８の外周面に開口したスリット状のロックプレート挿
入孔１０がこの場合５個形成されている。各ロックプレ
ート挿入孔１０には夫々挿入孔１１を有したロックプレ
ート１２が移動可能に挿入されていて、これら各ロック
プレート１２は、スプリング１３により第４図中矢印Ａ
方向に付勢されている。１４は上記収納溝７に軸方向に
移動可能に設けられた移動部材で、これは第５図に示す
ように幅広部１５及び幅狭部１６を有した長尺状をな
し、幅広部１５の下面に前記ロックプレート１２に対応
する５個の溝１７が形成されている。又、移動部材１４
は、シリンダケース４に設けられたばね受け部１８との
間に配設されたスプリング１９により第３図中矢印Ｂ方
向に付勢されている。而してこの移動部材１４は、第３
図及び第６図に示すようにバックドア２の閉鎖状態で
は、シリンダケース４から突出した先端部１４ａが自動
車本体１の当接部１ａに当接した第１の位置に位置さ
れ、この状態で各溝１７が各ロックプレート１２に合致
するように位置してロックプレート１２の反矢印Ａ方向
への移動を許容し、一方、第１図に示すようにバックド
ア２の開放状態では、上記第１の位置よりも先端部１４
ａが溝１７一個の横幅に相当する分矢印Ｂ方向に移動し
た第２の位置に位置され、この状態で各溝１７と各ロッ
クプレート１２とは位置がずれていて各ロックプレート
１２の反矢印Ａ方向への移動を規制する。一方、２０は
キー孔９に差込まれたキーである。尚、キーロータ８の
先端部には、図示はしないが自動車本体１に対してバッ
クドア２をロック及びロック解除するためのレバーが取
着されている。

次に上記構成の作用を説明する。まずバックドア２が閉
鎖状態にある第３図及び第４図の状態においては、各ロ
ックプレート１２の下端部がロックプレート挿入孔１０
から下方に突出してロック溝６に係合していて、キーロ
ータ８の回動が不能となっている。この状態から第６図
に示すようにキー孔９にキー２０を差込むと、各ロック
プレート１２がキー２０によって反矢印Ａ方向に移動さ
れてロックプレート挿入孔１０内に収納され、ロック溝
６に対する係合が解除されて非係合状態となる。この状
態でキー２０を回動させると、その回動に伴ってキーロ
ータ８及び図示しないレバーが回動されて自動車本体１
に対するバックドア２のロックが解除され、以てバック
ドア２を開放することができる。而してこのバックドア
２の開放に伴い移動部材１４の先端部１４ａが当接部１
ａから離れると、移動部材１４は第６図の第１の位置か
らスプリング１９の付勢力で矢印Ｂ方向に移動して第１
図の第２の位置に位置される。この状態では移動部材１
４における各溝１７と各ロックプレート１２との位置が
ずれているので、この状態でキー２０を抜き去ろうとし
てもロックプレート１２が移動部材１４における各溝１
７間の凸部に当たってその移動が規制されることにな
り、結局この状態ではキー２０を抜き去ることはできな
い。

一方、キー２０を差込んだままの状態でバックドア２を
閉鎖すると、移動部材１４の先端部１４ａが自動車本体
１の当接部１ａに当接することによって移動部材１４は
当接部１ａに押圧されて上記第６図に示す第１の位置に
位置される。この状態では移動部材１４の各溝１７と各
ロックプレート１２とが対応しているので、この状態で
キー２０を抜き去る方向に引張れば、それに伴い各ロッ
クプレート１２が溝１７内に進入するように移動してキ
ー２０の抜き取りが許容され、以てキー２０を抜き去る
ことができる。この場合、バックドア２は自動車本体１
にロックされた状態となっている。

このように本実施例によれば、バックドア２の開放状態
では、移動部材１４が第２の位置に位置してロックプレ
ート１２の移動が規制されることにより、差込まれたキ
ー２０を抜き去ろうとしても抜き去ることができず、一
方、バックドア２の閉鎖状態では、移動部材が第１の位
置に位置してロックプレート１２の移動が許容されるこ
とにより、キー２０を抜き去ることができる。従って、
バックドア２を閉鎖しない限りキー２０を抜き去ること
ができないためにエンジンの始動ができず、バックドア
の開放状態でもキーを抜き去ることができる従来のもの
とは違い、バックドア２を閉鎖するのを忘れて開放した
ままで運転してしまうようなことを確実に防止でき、よ
ってバックドア２の閉じ忘れを確実に防止できる。

尚、上記実施例では本考案を自動車のバックドア２に適
用したが、本考案はこれに限らず、例えばトランクリッ
ドに適用しても良い。

［考案の効果］ 以上の記述にて明らかなように、本考案によれば、キー
をキー孔に差込んだ状態において、移動部材が第１の位
置に位置したときにはロックプレートの移動が許容され
ることによりキーを抜き去ることができるが、移動部材
が第２の位置に位置しているときにはロックプレートの
移動が規制されることによりキーを抜き去ることができ
ないようにしたことにより、ある特定の条件、この場合
移動部材が第１の位置に位置するという条件を満足しな
い限りキーを抜き去ることができないというシリンダ錠
を提供でき、このシリンダ錠により例えば自動車のバッ
クドアやトランクリッド等の閉じ忘れを確実に防止でき
るという優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案を自動車のバックドアに適用した一実施例
を示し、第１図はバックドアの開放状態における要部の
縦断側面図、第２図はバックドア部分の斜視図、第３図
はバックドアの閉鎖状態における第１図相当図、第４図
は第３図中IV−IV線に沿う縦断面図、第５図は移動部材
単体の斜視図、第６図はバックドアの閉鎖状態において
キーを差込んだ状態の第１図相当図である。 図面中、３はシリンダ錠、４はシリンダケース、６はロ
ック溝、８はキーロータ、９はキー孔、１０はロックプ
レート挿入孔、１２はロックプレート、１４は移動部
材、１７は溝、２０はキーを示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】内周部にロック溝を有したシリンダケース
   と、このシリンダケースの内周部に回動可能に設けられ
   キー孔及びロックプレート挿入孔を有するキーロータ
   と、前記ロックプレート挿入孔に移動可能に設けられ前
   記キー孔にキーが差込まれたときにロックプレート挿入
   孔内に収納されて前記ロック溝と非係合状態となりキー
   が抜き去られたときに一端部がロックプレート挿入孔か
   ら外方へ突出して前記ロック溝に係合するロックプレー
   トと、このロックプレートに対応する溝を有し前記シリ
   ンダケースとキーロータとの間において第１の位置と第
   ２の位置との間で軸方向に移動可能に設けられ、第１の
   位置では前記溝がロックプレートに対応してそのロック
   プレートの移動を許容し、第２の位置ではロックプレー
   トに対する溝の位置がずれてロックプレートの移動を規
   制する移動部材とを具備して成るシリンダ錠。