JPH06270556A - 熱昇華転写記録用受像シート - Google Patents

熱昇華転写記録用受像シート

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JPH06270556A
JPH06270556A JP5056905A JP5690593A JPH06270556A JP H06270556 A JPH06270556 A JP H06270556A JP 5056905 A JP5056905 A JP 5056905A JP 5690593 A JP5690593 A JP 5690593A JP H06270556 A JPH06270556 A JP H06270556A
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JP5056905A
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English (en)
Inventor
Shiyunichirou Mukouyoshi
俊一郎 向吉
Seigoro Fujita
征五郎 藤田
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New Oji Paper Co Ltd
Original Assignee
New Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】熱昇華性染料を利用した転写記録用受像シート
で、高濃度の記録画像が得られ、熱転写記録時の発色用
シートとの剥離性にも優れ、さらに表面光沢度に優れる
受像シートを提供する。 【構成】基材上に、熱昇華性染料に対し染着性を有する
化合物とビニルエーテル化合物とカチオン重合開始剤、
とを含む組成物を塗布した後、活性エネルギー線を照射
して受像層を形成した熱昇華転写記録用受像シートであ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱昇華性染料を利用し
た熱昇華転写記録用受像シートに関し、特に高い記録濃
度が得られ、ブロッキングを起こさず、且つ表面光沢度
が優れた受像シートに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ビデオカメラで撮影した画像やテ
レビジョン、VTR、ビデオディスク、コンピューター
等の静止画像を記録シート上に直接フルカラーで記録す
るシステムの開発が進められている。なかでも、熱によ
って溶融、蒸発、昇華する色材を塗布した発色用シート
を記録シートに重ね、記録信号に応じてサーマルヘッド
で加熱し、記録シート上に転移した色材のシートへの粘
着、吸着、染着によって記録像を得る熱転写記録方式が
注目されている。
【0003】この記録方式は発色用シート上の色材を熱
によって溶融、蒸発、昇華させる方式であるため、記録
シートとして普通紙やプラスチックフィルム等が利用で
きる特徴があるとされている。
【0004】しかし、熱昇華染料を用いた熱転写記録方
式の記録シートとして普通紙やプラスチックフィルム等
を用いた場合には、染着が起こり難く、記録像の濃度が
低いものしか得られず、さらに経時によって褪色する等
の難点がある。
【0005】このため、熱可塑性ポリエステル樹脂等を
基材上に塗布して受像層を形成する方法が提案されてい
るが、一般に熱転写記録装置の感熱記録ヘッドの温度が
200℃以上となるので、発色用シート中のインキバイン
ダーおよび受像層の熱可塑性樹脂が熱により軟化あるい
は溶融し、発色用シートと受像シートが融着し、記録後
に両者が剥離しにくい傾向になったり、発色用シートの
インク層自体が受像シートに移行してしまう現象(以後
ブロッキングと称す)が問題となっている。
【0006】従来、発色用シートと受像シートの融着を
防止する方法として、受像層の樹脂中に顔料を添加して
受像層表面を粗面化する方法(特開昭57−107885)や、
受像層上にシリコーングリースなどの離型剤を塗布した
り(特開昭59−165688等) 、受像層中にシリコーン系化
合物などの離型剤を含有させる方法(特開昭60−34898
、同60−212394、同61−237694等) などが提案され
た。
【0007】前者の方法は表面の粗面化によるために、
発色用シートと受像体との転写時の密着が不十分とな
り、記録像の濃度低下や色むらが生じ易い。また、顔料
の表面に付着した色素が後で他の紙等を汚染する難点が
ある。
【0008】そして、後者の方法は転写された色素が離
型剤の影響を受けて記録画像が滲んだり、あるいは画像
濃度が低下するといった難点を残している。
【0009】さらに、活性エネルギー線を照射して硬化
させる方法を利用する例としては、基材に硬化物のガラ
ス転移温度が65℃以下であるラジカル重合性オリゴマ
ーを塗布して、活性エネルギー線照射によって架橋する
方法(特開昭62−173295) が提案されているが、この方
法で記録濃度の高いものを得ようとすると、記録画像の
滲みや乱れが生じ易くなり、保存安定性に欠けることが
わかった。
【0010】このように、従来提案された上記のいずれ
の方法によっても、未だ画像濃度が不十分であり、高濃
度の画像が得られる受像シートの開発が望まれている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、熱昇華転写
記録方式に用いて、高濃度の記録画像が得られ、熱転写
記録時の発色用シートとの剥離性にも優れ、さらに表面
光沢度に優れる受像シートを提供するものである。
【0012】
【問題点を解決するための手段】本発明は、基材上に塗
布組成物を塗布し活性エネルギー線を照射して受像層を
設けた熱昇華転写記録用受像シートにおいて、受像層が
熱昇華性染料に対して染着性を有する化合物とビニルエ
ーテル化合物とカチオン重合開始剤とを含むことを特徴
とする熱昇華転写記録用受像シートである。
【0013】
【作用】本発明で受容層を形成する塗布組成物に用いる
熱昇華性染料に対して染着性を有する化合物は、下記の
ように、(1)熱昇華性染料に対して染着性を有する熱
可塑性ポリマー、(2)これらの熱可塑性ポリマーの分
子中に(メタ)アクリロイル基等のラジカル重合性二重
結合を2つ以上有する化合物、(3)熱昇華性染料に対
して染着性を有するマクロモノマー等が挙げられる。
【0014】(1)の熱可塑性ポリマーとしては例えば
ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン等の縮
合系ポリマー;スチレン、アクリル酸エステル、アクリ
ロニトリル、塩化ビニル、酢酸ビニル等のビニル系のポ
リマー及びコポリマー;あるいはセルロース誘導体等が
挙げられる。この中で、ポリエステル即ちジオールとジ
カルボン酸との縮合体が染着性、保存性、耐熱性のバラ
ンスの良いものが得られ易く好ましい。さらに、通常の
ポリエステルの一部、特に酸残基部に塩素基が導入され
た塩素化ポリエステルは染着性、保存性により優れるた
め、より好ましく使用される。
【0015】ここでジオールとしては、エチレングリコ
ール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコ
ール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。また、ジ
カルボン酸としては、無水フタル酸、イソフタル酸、テ
レフタル酸、無水コハク酸、アジピン酸、アゼライン
酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水マレイン酸、フマ
ル酸、イタコン酸等が挙げられる。上記のジオール類お
よびジカルボン酸類はそれぞれ少なくとも一種を組み合
わせて使用することができる。
【0016】なお、熱可塑性ポリマーの重量平均分子量
は1,000 〜500,000 、より好ましくは2,000 〜50,000の
範囲のものが望ましい。ここで1,000 未満に小さいと熱
転写記録した画像の保存安定性に欠けたり、熱転写記録
時にブロッキングを起こしたりし易くなる。一方、500,
000 を越えて大きいとビニルエーテル化合物あるいは他
のモノマーやオリゴマーまたは溶剤に溶解されにくい傾
向になる。
【0017】(2)の化合物としては、ラジカル重合性
不飽和二重結合を有するポリエステルが活性エネルギー
線照射後の受像層の染着性、耐熱性に特に優れており好
ましい。
【0018】(3)のマクロモノマーは、例えばアルキ
ル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、スチレン
等の各種ビニルモノマー、オキシエチレン等を構成単位
とした比較的低重合度のポリマーあるいはコポリマーを
骨格とし、片末端に(メタ)アクリロイル基等のラジカ
ル重合性の官能基を持つ高分子量単官能モノマーであ
る。
【0019】マクロモノマーは常温で液状のものに比べ
て、常温で固体状のものを使用した方が、画像の保存安
定性に優れており好ましい。さらにマクロモノマーの骨
格としては、スチレンまたはアクリロニトリルの少なく
とも一種を主成分とするポリマーあるいはコポリマー、
とりわけスチレンとアクリロニトリルのコポリマーが、
染着性および保存安定性に優れているため特に好まし
い。マクロモノマーの分子量は数平均分子量で500 〜5
0,000程度、より好ましくは2,000 〜10,000の範囲が適
当である。500 未満に小さいと染着性、保存性が劣りや
すくなり、一方、50,000を越えて大きいとビニルエーテ
ル化合物あるいは他のモノマーやオリゴマーまたは溶剤
への溶解性が劣ってくる。
【0020】マクロモノマーは、通常グラフトポリマー
を合成する際の先駆物質として用いられており、一般的
なモノマーと比べると比較的高分子量であるが、重合性
のモノマーとして捉えられるものであり、通常の熱可塑
性樹脂等の高分子とは区別されるものである。
【0021】上記(1)〜(3)のうち、特に(2)と
(3)を使用すると、無溶剤で比較的低粘度の塗布組成
物に調製することができ、高濃度でブロッキングを起こ
さず保存性の高い画像が得られる受像層を形成させ易い
ため好ましい。
【0022】本発明の受像層を形成する組成物は、さら
に、ビニルエーテル化合物とカチオン重合開始剤を必須
成分として含有することが重要である。ここでビニルエ
ーテル化合物とは、分子中にビニルエーテル基(−O−
CH=CH−,−O−CH=CH2 )を1つ以上有する
モノマーやオリゴマーであり、カチオン重合開始剤との
共存下で、活性エネルギー線を照射するとカチオン重合
によって架橋硬化するものである。
【0023】本発明で用いるビニルエーテル化合物は、
上記のようなビニルエーテル基を有するもので、例え
ば、2−クロロエチルビニルエ−テル、2−ヒドロキシ
エチルビニルエ−テル、4−ヒドロキシブチルビニルエ
−テル、トリエチレングリコールジビニルエ−テル、
1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル
等が挙げられる。
【0024】これらのビニルエーテル化合物は、比較的
低粘度のものが良く、溶解力に優れ、臭気が少なく、皮
膚刺激性が低いという長所の他に、カチオン重合開始剤
との共存下で、活性エネルギー線を照射した際の硬化性
に優れ、酸素による硬化阻害がないため、特に表面の硬
化性に優れた特長を有している。
【0025】本発明で用いられるカチオン重合開始剤
は、活性エネルギー線照射により、カチオン重合を開始
させる物質であれば特に限定するものでないが、例えば
ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、メ
タロセン化合物等があげられる。これらは、活性エネル
ギー線照射によりルイス酸を発生し、このルイス酸がカ
チオン重合を開始させるものと考えられている。
【0026】カチオン重合開始剤の添加量は、ビニルエ
ーテル化合物100 重量部に対し、0.1 〜10重量部程度が
好ましく、0.1 重量部未満に少ないと重合開始能が不十
分となりやすく、一方10重量部を越えて多いと、効果が
飽和となるばかりか、カチオン重合開始剤の溶解性が悪
くなり、塗膜の透明性が劣る等の悪影響が生じる可能性
がある。
【0027】本発明の受像層には、さらに、前記のポリ
エステル以外のラジカル重合性モノマーまたはラジカル
重合性オリゴマーの少なくとも一種を配合することがで
きる。これらのラジカル重合性モノマーまたはラジカル
重合性オリゴマーを配合すると、染着性や耐熱性および
保存性がさらに優れたものになり好ましい。この理由は
明らかではないが、ラジカル重合性モノマーまたはラジ
カル重合性オリゴマーの存在が、ビニルエーテル化合物
のカチオン重合による硬化を促進するものと推定され
る。ラジカル重合性モノマーまたはラジカル重合性オリ
ゴマーとしては、分子内にラジカル重合性のエチレン性
不飽和二重結合、好ましくはアクリロイル基を一個以上
有するものであれば特に限定するものではない。
【0028】ラジカル重合性モノマーとしては(A)単
官能モノマーと(B)多官能モノマーがある。単官能モ
ノマーは、分子内にラジカル重合性のエチレン性不飽和
二重結合、好ましくはアクリロイル基を一個有するもの
である。そして、多官能モノマーは、分子内にラジカル
重合性のエチレン性不飽和二重結合、好ましくはアクリ
ロイル基を二個以上有するものである。
【0029】具体例としては、例えば以下のようなもの
が挙げられる。 (A)単官能モノマーとして、アクリル酸、アクリル酸
エチル、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルア
クリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−
ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフ
リルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ト
リロキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシエチル
アクリレート、テトラヒドロフルフリルオキシエチルア
クリレート、1、3−ジオキソランアクリレート、フェ
ノキシジエチレングリコールアクリレート、ベンジルア
クリレート、ブトキシエチルアクリレート、シクロヘキ
シルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、
ジシクロペンテニルアクリレート、グリシジルアクリレ
ート、カルビトールアクリレート、イソボルニルアクリ
レート等。
【0030】(B)多官能モノマーとして、1,6−ヘ
キサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコー
ルジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレー
ト、トリプロピレングリコールジアクリレート、ジシク
ロペンタニルジアクリレート、ブチレングリコールジア
クリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ト
リメチロールプロパントリアクリレート、プロピレンオ
キシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、
ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジトリメチロ
ールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリト
ールヘキサアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタ
エリスリトールヘキサアクリレート、テトラメチロール
メタンテトラアクリレート等。
【0031】また、ラジカル重合性オリゴマー(プレポ
リマー)としては、例えばポリエステルアクリレートや
ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリオ
ールアクリレート等が挙げられる。
【0032】これらのラジカル重合性モノマーまたはラ
ジカル重合性オリゴマーは、それぞれ少なくとも一種を
適宜混合して使用することが可能であり、特に、硬化後
のTgの高い単官能モノマーと三官能以上の多官能モノ
マーを混合して使用すると、画像濃度と保存性のバラン
スのとれたものが得られ易くより好ましい。
【0033】樹脂組成物中には必要に応じて、染料、顔
料、湿潤剤、消泡剤、分散剤、帯電防止剤、レベリング
剤、滑剤等の各種助剤を所望の効果を阻害しない範囲で
適宜添加することができる。
【0034】本発明による受像シートは、耐熱性に優
れ、ブロッキングを起こしにくいものではあるが、発色
用インクシートとの離型性をさらに向上させるために、
受像層中に少量の離型剤を含有させることも可能であ
る。離型剤としては、例えばポリエチレンワックス、ア
ミドワックス、テフロンパウダー等の固形ワックス類、
シリコン系、フッ素系、リン酸エステル系の界面活性
剤、シリコーンオイル等が挙げられる。なお、アミンの
様な塩基性化合物が存在すると、カチオン重合が阻害さ
れるおそれがあるため、このような化合物の配合は好ま
しくない。
【0035】本発明の組成物は、染着性を有する化合物
2〜98重量%に対しビニルエーテル化合物98〜2 重量%
の範囲が適当であり、好ましくは染着性を有する化合物
10〜90重量%に対しビニルエーテル化合物90〜10重量%
の範囲が適当である。染着性を有する化合物が 2重量部
未満に少ないと記録画像の濃度が低くなったり、記録画
像の濃度が高くても保存安定性が劣ったりして、画像濃
度と保存安定性のバランスのとれたものが得られにく
い。また、98重量%を越えて多いとブロッキングが生じ
易い。
【0036】ラジカル重合性モノマーまたはラジカル重
合性オリゴマーを配合する場合、これらの硬化後の架橋
密度やTg等を考慮して配合量を決める必要があるが、
一般に染着性を有する化合物100 重量部に対し、500 重
量部以下にするのが好ましく、500 重量部を越えて多い
と、特に記録画像の保存性に劣り易くなるため好ましく
ない。
【0037】溶剤を含む塗布組成物を使用すると、乾燥
工程が必要であり熱による基材の変形が生じたり、溶剤
の乾燥に多くのエネルギーを必要し、更に生産効率が劣
るなどの問題がある。さらに溶剤は人体に有害であり、
爆発の危険性を伴うため、その取り扱いが面倒であり、
また高価である等、安全性やコストの面で問題となって
いる。
【0038】本発明の受像層用塗布組成物は、染着性を
有する化合物をビニルエーテル化合物、あるいは、ラジ
カル重合性モノマーやラジカル重合性オリゴマーに完全
に溶解させることが可能であり、溶剤を含まない塗布組
成物を得ることができる。この際、染着性を有する化合
物は塗布組成物中の80重量%以下、特に70重量%以下に
すると、比較的粘度の低い塗布組成物が得られ易い。な
お、溶剤を含まない塗布組成物を用いた場合、安全性や
取り扱い易さに優れるだけでなく、極めて光沢に優れた
ものが得られるというメリットがある。
【0039】本発明における受像層が優れた染着性(即
ち高濃度の画像が得られ)、耐熱性に優れる(即ちブロ
ッキングを起こさない)理由は、明らかではなく推定の
域をでないが次のように考えられる。即ち、本発明で用
いられるビニルエーテル化合物は表面での硬化性に特に
優れており、ビニルエーテル化合物の一部は表面に浮き
出て硬化し、受像層表面に耐熱性に優れ、染料が透過す
る様な薄い層が形成されるため、耐ブロッキング性に優
れるものと推定される。また、熱昇華性染料に対し染着
性を有する化合物とビニルエーテル化合物は、本質的に
架橋反応を起こさないと考えられ、サーマルヘッドによ
り加熱された際に受像層の内部では、熱昇華性染料に対
し染着性を有する化合物が溶融状態になり、染料が取り
込まれ易くなるものと考えれる。
【0040】なお、熱昇華性染料に対し染着性を有する
化合物がラジカル重合性の官能基を持っており、ラジカ
ル重合性モノマーやラジカル重合性オリゴマーが共存し
ている場合、これらはラジカル重合性の物質がお互いに
架橋反応し、ビニルエーテル化合物とは架橋反応を起こ
さないと考えられる。その結果それぞれの特徴が生かさ
れて耐熱性と染着性のバランスに優れたものになると推
定される。
【0041】本発明における受像シートの基材としては
可とう性のあるシート状の物であれば特に限定するもの
ではなく、例えば一般に公知の各種コーテッド紙、上質
紙、合成紙、金属化紙、着色紙等の紙シート類;ポリエ
チレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン
等のプラスチックフィルム類;銅、鉄、アルミニウム等
の金属箔類;布類等あるいはこれらの貼り合わせ体、積
層体等が適宜用いられる。なお、受像層用の塗布組成物
のしみこみが大きいような基材の場合には、適当なバリ
ヤー層を設けることが好ましく、また適当な中間層を設
け、基材表面に平滑性やクッション性や断熱性を付与す
ると、受像層への染料の移行がより効果的に行われるた
め好ましい。
【0042】受像層を形成する樹脂組成物の塗布量は固
形量で0.1 〜 50 g/m2 、より好ましくは 2〜20g/
2 程度の範囲で調節される。塗布量が0.1 g/m2
満では所望の効果が得られず、50g/m2 を越えるよう
な塗布量は効果が飽和状態となり経済面からもメリット
がない。
【0043】樹脂組成物を塗布する方法は特に限定され
ず、例えばバーコーター、ロールコーター、エアーナイ
フコーター、グラビアコーター等の通常の塗布手段が適
宜使用される。なお、塗布面を予めコロナ放電処理、放
射線処理、プラズマ処理等によって前処理して塗布面の
濡れ易さを改良したり塗布層の密着性を改良することも
勿論可能である。
【0044】塗布組成物を硬化させるための活性エネル
ギー線としては、紫外線、電子線等が挙げられる。電子
線を使用する場合、照射する電子線の量は、吸収線量と
して 1〜200 kGy程度の範囲で調節するのが望まし
い。1 kGy未満では十分な照射効果が得られず、200
kGyを超えるような照射は紙類やある種のプラスチッ
クフィルム等の基材を劣化させるおそれがあるため好ま
しくない。電子線の照射方式としては、例えばスキャニ
ング方式、カーテンビーム方式、ブロードビーム方式等
が採用され、電子線を照射する際の加速電圧は100 〜30
0 kV程度が適当である。
【0045】紫外線を使用する場合、特に、受像層用塗
布組成物にラジカル重合性化合物を含有している場合は
組成物中にラジカル重合開始剤を配合する必要があり、
例えばチオキサントン、ベンゾイン、ベンゾインアルキ
ルエーテルキサントン、ジメチルキサントン、ベンゾフ
ェノン、アントラセン、ベンジル、2,2 −ジエトキシア
セトフェノン、ベンジルジメチルケタール、ジフェニル
ジスルフィド、アントラキノン、1−クロロアントラキ
ノン、2−エチルアントラキノン、2−ter −ブチルア
ントラキノン、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジ
アミノベンゾフェノン、1,1 −ジクロロアセトフェノン
等のラジカル重合開始剤の一種または二種以上が適宜配
合される。
【0046】なお、ラジカル重合開始剤の使用量は組成
物全体の0.2 〜10重量%、好ましくは 0.5〜 5重量%程
度の範囲で調節するのが望ましい。
【0047】紫外線照射用の光源としては、 1〜50個の
紫外線ランプ(例えば数mmHgから約10気圧までの動
作圧力を有する低圧、中圧、高圧水銀ランプ)、キセノ
ンランプ、タングステンランプ等が用いられ、5,000 〜
8,000 μW/cm2 程度の強度を有する紫外線が好まし
く照射される。
【0048】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて更に詳述す
るが、勿論これらに限定されるものではない。なお、例
中の部は重量部を示す。
【0049】実施例1 厚さ100μmの市販コート紙に、下記の受像層用塗布
組成物を乾燥重量で8g/m2 になるように塗布した
後、電子線照射装置(エレクトロカーテンCB−15
0;ESI社製)を用いて、吸収線量として50kGy
の電子線を照射して受像層を形成し、熱転写記録用受像
シートを得た。
【0050】〔塗布組成物〕 マクロモノマーAN−6 (1) 40重量部 ラピキュアーDVE−3 (2) 30重量部 エベクリルIBOA (3) 25重量部 アロニックスM305 (4) 5重量部 FX−512 (5) 1重量部 ここで、 (1) :スチレン−アクリロニトリル共重合体を主成分と
するオリゴマーの片末端にメタクリロイル基を有する数
平均分子量約6,000 のマクロモノマー(東亜合成化学社
製) (2) :トリエチレングリコールジビニルエーテル(IS
P社製) (3) :イソボルニルアクリレート(ダイセル・ユーシー
ビー社製) (4) :ペンタエリスリトールトリアクリレート(東亜合
成化学社製) (5) :カチオン重合開始剤(3M社製)
【0051】実施例2 下記の受像層用塗布組成物を用いた以外は、実施例1と
同様にして熱転写記録用受像シートを得た。 〔塗布組成物〕 マクロモノマーAN−6 (1) 40重量部 ラピキュアーCHVE (6) 30重量部 ニューフロンティアPHE (7) 25重量部 アロニックスM305 (4) 5重量部 FX−512 (5) 1重量部 ここで、 (6) :1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエ
ーテル(ISP社製) (7) :フェノキシエチルアクリレート(第一工業製薬社
製)
【0052】実施例3 下記の受像層用塗布組成物を用いた以外は、実施例1と
同様にして熱転写記録用受像シートを得た。 〔塗布組成物〕 Dynacoll A6183 (8) 50重量部 ラピキュアーDVE−3 (2) 30重量部 エベクリルIBOA (3) 15重量部 アロニックスM305 (4) 5重量部 FX−512 (5) 1重量部 ここで、 (8) :ラジカル重合性官能基を有する活性エネルギー線
硬化型ポリエステル(ヒュルス社製)
【0053】実施例4 下記の受像層用塗布組成物を用いた以外は、実施例1と
同様にして熱転写記録用受像シートを得た。 〔塗布組成物〕 エベクリルEB430 (9) 50重量部 ラピキュアーDVE−3 (2) 30重量部 エベクリルIBOA (3) 15重量部 アロニックスM305 (4) 5重量部 FX−512 (5) 1重量部 ここで、 (9) :塩素化ポリエステル(ダイセル・ユーシービー社
製)
【0054】実施例5 下記の受像層用塗布組成物を用いた以外は、実施例1と
同様にして熱転写記録用受像シートを得た。 〔塗布組成物〕 バイロン200 (10) 25重量部 ラピキュアーDVE−3 (2) 40重量部 エベクリルIBOA (3) 30重量部 アロニックスM305 (4) 5重量部 FX−512 (5) 1重量部 ここで、 (10)ポリエステル樹脂(東洋紡社製)
【0055】比較例1 実施例1と同様の基材上に、ポリエステル樹脂(バイロ
ン200、東洋紡社製)100重量部、メチルエチルケ
トン400重量部よりなる塗布組成物を、乾燥重量が8
g/m2 になるように塗布し、80℃で5分間乾燥して
熱転写記録用受像シートを得た。
【0056】比較例2 実施例1と同様の基材上に、ポリエステル樹脂(バイロ
ン200、東洋紡社製)100重量部、シリコーンオイ
ル3重量部、メチルエチルケトン400重量部よりなる
塗布組成物を乾燥重量が8g/m2 になるように塗布
し、80℃で5分間乾燥して熱転写記録用受像シートを
得た。
【0057】比較例3 実施例1と同様の基材上に、ポリエステル樹脂(バイロ
ン200、東洋紡社製)100重量部、無機顔料(炭酸
カルシウム)20重量部、メチルエチルケトン400重
量部よりなる塗布組成物を乾燥重量が8g/m2 になる
ように塗布し、80℃で5分間乾燥して熱転写記録用受
像シートを得た。
【0058】比較例4 実施例1と同様の基材上に、塗布組成物としてラジカル
重合性オリゴマーであるポリプロピレングリコールジア
クリレート(商品名;NKエステルAPG400、新中
村化学工業社製)のみを用いた以外は、実施例1と同様
にして熱転写記録用受像シートを得た。
【0059】上記のようにして得た受像シートに、日立
カラービデオプリンターVY−50(日立製作所製)で
日立カラービデオプリンター用インクフィルム(昇華性
染料を含有するインク組成物を塗布した熱昇華転写記録
用インクフィルム)を使用して熱転写記録を行い、得ら
れた記録像の濃度とブロッキング(受像シートとインク
フィルムとの融着状態)および保存安定性を下記のよう
にして評価し、その結果を表1に示した。
【0060】〔記録濃度〕青色記録像の最大濃度をマク
ベス濃度計で測定した。数値が大きい程記録濃度が高
い。 〔ブロッキング〕 ○;受像シートとインクフィルムとの融着が全くなく剥
離性も良好である。 △;受像シートとインクフィルムとがやや融着し剥離性
が劣る。 ×;融着が著しくインクフィルムのインク層自体が受像
層に転移してしまう。 〔保存安定性〕青色記録像を50℃で2日間経時保存
し、画像の滲みや汚れの状態を目視で判定した。 ◎;画像の滲みや汚れが全く見られない。 ○;画像の滲みや汚れが僅かにあるが、実用上問題のな
いレベルである。 △;画像の滲みや汚れがやや目立つ。 ×;画像の滲みが著しい。 〔光沢度〕グロスメーター(村上色彩技術研究所製)を
用いて75°光沢度を測定した。
【0061】
【表1】
【0062】
【発明の効果】表1の結果から明らかなように、本発明
の各実施例で得られた受像シートはいずれも優れた記録
濃度を有しており、且つブロッキングの発生が無く、さ
らに保存安定性にも優れており、極めて商品価値の高い
ものであった。また、溶剤を使用していないため、強光
沢の面を有しており、生産性、安全性の面でも極めて有
利なものである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基材上に塗布組成物を塗布し活性エネルギ
    ー線を照射して受像層を設けた熱昇華転写記録用受像シ
    ートにおいて、受像層が熱昇華性染料に対して染着性を
    有する化合物とビニルエーテル化合物とカチオン重合開
    始剤とを含むことを特徴とする熱昇華転写記録用受像シ
    ート。
  2. 【請求項2】染着性を有する化合物がラジカル重合性不
    飽和二重結合を有するポリエステルである請求項1記載
    の熱昇華転写記録用受像シート。
  3. 【請求項3】染着性を有する化合物がマクロモノマーで
    ある請求項1記載の熱昇華転写記録用受像シート。
  4. 【請求項4】受像層がさらに前記のポリエステル以外の
    ラジカル重合性モノマーまたはラジカル重合性オリゴマ
    ーの少なくとも一種を含む請求項1〜3記載の熱昇華転
    写記録用受像シート。
JP5056905A 1993-03-17 1993-03-17 熱昇華転写記録用受像シート Pending JPH06270556A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019177665A (ja) * 2018-03-30 2019-10-17 大日本印刷株式会社 熱転写受像シート、熱転写受像シートの製造に用いる熱転写シート

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019177665A (ja) * 2018-03-30 2019-10-17 大日本印刷株式会社 熱転写受像シート、熱転写受像シートの製造に用いる熱転写シート

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