JPH0789236A - 複合感熱記録体 - Google Patents

複合感熱記録体

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JPH0789236A
JPH0789236A JP5236767A JP23676793A JPH0789236A JP H0789236 A JPH0789236 A JP H0789236A JP 5236767 A JP5236767 A JP 5236767A JP 23676793 A JP23676793 A JP 23676793A JP H0789236 A JPH0789236 A JP H0789236A
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acid
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JP5236767A
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Shiyunichirou Mukouyoshi
俊一郎 向吉
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New Oji Paper Co Ltd
Original Assignee
New Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】極めて高濃度の記録画像が得られる複合型の感
熱記録体を提供することにある。 【構成】色材転写シートと、支持体上にロイコ染料と呈
色剤を含有する感熱記録層、および加熱により該色材転
写シートから色材を受理する受像層を順次設けた記録体
からなる複合型の感熱記録体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、極めて高濃度の記録画
像が得られる複合型感熱記録体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ロイコ染料と呈色剤との呈色反応
を利用し、熱により両発色物質を接触せしめて発色像を
得るようにした感熱記録体は良く知られている。かかる
感熱記録体は比較的安価であり、また記録機器がコンパ
クトでかつその保守も比較的容易であるため、ファクシ
ミリや各種計算機等の記録媒体、感熱ラベル等巾広い分
野において使用されている。更に、入力されたエネルギ
ーに応じて記録濃度をコントロールすることが容易なた
め、階調性を必要とするビデオプリンター用の記録媒体
としても注目されている。
【0003】ところで近年、高濃度の記録画像が得られ
る感熱記録体の要望が高まっており、例えばロイコ染料
と呈色剤を含有する感熱記録層上に光沢のあるオーバー
コート層を設けた感熱記録体が提案されている。また、
記録画像の保存性に優れた感熱記録体として、熱によっ
て溶融、蒸発、昇華する色材を塗布した発色用体を記録
体に重ね、記録信号に応じてサーマルヘッドで加熱し、
記録体上に転移した色材の体への粘着、吸着、染着によ
って記録像を得る熱転写記録方式が知られている。この
中でも特に発色用体上の色材を熱によって昇華させる昇
華熱転写記録方式が、入力されたエネルギーに応じて記
録濃度をコントロールすることが容易であり、階調性に
優れた記録画像が得られるため特に注目を浴びている。
しかしながら、上記の如き従来の方法では、画像濃度に
限度があり、さらに高濃度の画像が得られる記録体の開
発が望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、極め
て高濃度の記録画像が得られる複合型の感熱記録体を提
供することにある。
【0005】
【問題点を解決する為の手段】本発明は、色材転写シー
トと、支持体上にロイコ染料と呈色剤を含有する感熱記
録層、および加熱により該色材転写シートから色材を受
理する受像層を順次設けたシートとを組み合せることに
より、色材転写シートをサーマルヘッドで加熱すると、
色材の受像層への転移と、感熱記録層の発色の相乗効果
により、極めて高濃度の記録画像が得られるものであ
る。
【0006】
【作用】本発明の複合感熱記録体を構成する色材転写シ
ートとは、例えば特開昭51−15446号公報記載さ
れているように、紙や高分子フィルム等の支持体上に、
熱によって溶融、蒸発、或いは昇華しうる色材が塗布さ
れたシート状或いはリボン状に巻き取られたものであ
る。色材としては、熱により昇華して転写する昇華性染
料が階調性に優れた記録像が得られるため特に好まし
い。また、ロイコ染料と呈色剤を含有した感熱記録層
と、加熱時に色材転写シートから色材を受理する受像層
とを有する記録体の支持体としては、例えば一般に公知
の各種コーテッド紙、上質紙、合成紙、金属化紙、着色
紙等の紙体類;ポリエチレンテレフタレート、ポリプロ
ピレン、ポリエチレン等のプラスチックフィルム類;
銅、鉄、アルミニウム等の金属箔類;布類等或いはこれ
らの貼り合わせた、積層体等が適宜用いられる。
【0007】本発明の感熱記録層に使用されるロイコ染
料としては、各種のものが公知であり、例えば下記が挙
げられる。3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニ
ル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(p
−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−p−ジメチ
ルアミノフェニル−3−(1−メチルピロール−3−イ
ル)−6−ジメチルアミノフタリド等のトリアリルメタ
ン系染料、4,4′−ビス−ジメチルアミノベンズヒド
リルベンジルエーテル、N−ハロフェニル−ロイコオー
ラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオ
ーラミン等のジフェニルメタン系染料、ベンゾイルロイ
コメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレ
ンブルー等のチアジン系染料、3−メチル−スピロ−ジ
ナフトピラン、3−エチル−スピロ−ジナフトピラン、
3−フェニル−スピロ−ジナフトピラン、3−ベンジル
−スピロ−ジナフトピラン、3−メチル−ナフト(6′
−メトキシベンゾ)スピロピラン、3−プロピル−スピ
ロ−ジベンゾピラン等のスピロ系染料、ローダミン−B
−アニリノラクタム、ローダミン(p−ニトロアニリ
ノ)ラクタム、ローダミン(o−クロロアニリノ)ラク
タム等のラクタム系染料、3−(N−エチル−N−i−
ペンチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラ
ン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシル)アミノ−
6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルア
ミノ−(N−メチル−N−シクロヘキシル)アミノ−6
−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミ
ノ−6−メトキシフルオラン、3−ジエチルアミノ−7
−メトキシフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロ
ロフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミ
ノ)−7−(o−クロロフェニルアミノ)フルオラン、
3−ピロリジノ−6−メチル−7−p−ブチルフェニル
アミノフルオラン等のフルオラン系染料。その他特開平
3−79387 号に記載の無色ないし淡色の塩基性染料が挙
げられる。
【0008】上記ロイコ染料と接触して呈色する無機な
いし有機の呈色剤も各種のものが公知であり、例えば活
性白土、酸性白土、アタパルジャイト、ベントナイト、
コロイダルシリカ、珪酸アルミニウム等の無機酸性物
質、4−ヒドロキシ−4' −イソプロポキシジフェニル
スルフォン、4,4’−イソプロピリデンジフェニール
(ビスフェノールA)、4−tert−ブチルフェノール、
4−ヒドロキシジフェノキシド、4−ヒドロキシアセト
フェノール、4−(3−p−トリルスルホニルプロピル
オキシ)サルチル酸の亜鉛塩等の他、特開平3−79387
号に記載の呈色剤が挙げられる。本発明において、感熱
記録層中のロイコ染料と呈色剤の使用比率は種類に応じ
て適宜選択する。一般にロイコ染料1重量部に対して1
〜50重量部、好ましくは1〜10重量部程度の酸性物
質が使用される。これらの物質を含む塗布液の調成に
は、一般に水を分散媒体とし、ボールミル、アトライタ
ー、サンドミル等の撹拌・粉砕機によりロイコ染料と酸
性物質とを一緒に又は別々に分散し、塗液として調成さ
れる。
【0009】かかる塗液中に用いられる接着剤(バイン
ダー)の水溶性樹脂及び/又は水分散性樹脂としては下
記の物質が例示される。水溶性樹脂として;デンプン
類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、
カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、ア
ラビアゴム、ポリビニルアルコール、ジイソブチレン・
無水マレイン酸共重合体塩、スチレン・無水マレイン酸
共重合体塩、エチレン・アクリル酸共重合体塩、スチレ
ン・アクリル酸共重合体塩等が挙げられる。水分散性樹
脂としては;スチレン・ブタジエン共重合体エマルジョ
ン、酢酸ビニル−塩化ビニル−エチレン共重合体エマル
ジョン等が挙げられる。バインダー全体の使用量は全固
形分の10〜40重量%、好ましくは15〜35重量%程度
用いられる。尚、耐水性を充分に付けるためには水分散
性樹脂をバインダー中に50重量%以上含有させるのが
好ましい。
【0010】さらに、塗液中には各種の助剤を添加する
ことができ、例えばジオクチルスルホコハク酸ナトリウ
ム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル
アルコール硫酸エステル・ナトリウム塩、アルギン酸
塩、脂肪酸金属塩等の分散剤、ベンゾフェノン系、トリ
アゾール系等の紫外線吸収剤、その他消泡剤、螢光染
料、着色染料等が挙げられる。また、必要に応じてステ
アリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレン
ワックス、カルナバロウ、パラフィンワックス、エステ
ルワックス等の滑剤、カオリン、クレー、タルク、炭酸
カルシウム、焼成クレー、酸化チタン、珪藻土、微粒子
状無水シリカ、活性白土等の無機顔料、及びステアリン
酸アミド、ステアリン酸メチレンビスアミド、オレイン
酸アミド、パルミチン酸アミド、抹香オレイン酸アミ
ド、ヤシ脂肪酸アミド等の脂肪族酸アミド、1,2−ジ
フェノキシエタン、1,2−ビス(3−メチルフェノキ
シン)エタン、1,2−ビス(4−メチルフェノキシ
ン)エタン等のエーテル類、1−ヒドロキシ−2−ナフ
トエ酸フェニルエステル、ジベンジルラレフタレート、
シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ビス(p−クロロベンジ
ル)、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル等のエステ
ル類、p−ベンジルビフェニル、m−ターフェニル等の
芳香族化合物や各種公知の熱可融性物質を増感剤として
添加することもできる。
【0011】感熱記録層の塗布方法は特に限定されるも
のではなく、従来から周知慣用の技術に従って形成する
ことができ、例えばバーコーティング、エアーナイフコ
ーティング、ロッドブレードコーティング、ピュアーブ
レードコーティング、ショートドゥエルコーティング等
により塗液を塗布・乾燥する方法等によって形成され
る。なお、支持体としてプラスチックフィルムを使用す
る場合等では、表面にコロナ放電、電子線照射等の処理
を施すことによって、塗布効率を高めることもできる。
また塗液の塗布量についても特に限定されるものではな
いが、通常乾燥重量で2〜15g/m2 、好ましくは3
〜10g/m2 程度の範囲である。
【0012】本発明の複合感熱記録体では、かくして得
られた感熱記録層上に、受像層を設けるが、受像層用塗
布組成物に対するバリヤー性を付与するため感熱記録層
上に中間層を設けることもできる。中間層は、感熱記録
層のカブリや発色性低下を防ぐために、水系塗布組成物
より形成される必要がある。この水系塗布組成物は、水
溶性樹脂及び/又は水分散性樹脂、及び必要に応じ顔料
を主成分とする。ここで水溶性樹脂及び/又は水分散性
樹脂としては下記の物質が例示される。水溶性樹脂とし
て;完全ケン化または部分ケン化ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルアルコールとジケテンを反応させる等に
よってアセトアセチル基を導入したアセトアセチル化ポ
リビニルアルコール、ポリビニルアルコールとフマル
酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水イタコン
酸等の多価カルボン酸との反応物あるいはこれらの反応
物のエステル化物、さらには酢酸ビニルとマレイン酸、
フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、アクリル酸、メタ
アクリル酸等のエチレン性不飽和カルボン酸との共重合
体のケン化物として得られるカルボキシ変性ポリビニル
アルコール、酢酸ビニルとエチレンスルホン酸、アリル
スルホン酸等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩と
の共重合体のケン化物として得られるスルホン酸変性ポ
リビニルアルコール、酢酸ビニルとエチレン、プロピレ
ン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドテセン、α−
オクタドデセン等のオレフィン類との共重合体をケン化
して得られるオレフィン変性ポリビニルアルコール、酢
酸ビニルとアクリロニトリル、メタクリロニトリル等の
ニトリル類との共重合体のケン化物として得られるニト
リル変性ポリビニルアルコール、酢酸ビニルとアクリル
アミド、メタクリルアミド等のアミド類との共重合体を
ケン化して得られるアミド変性ポリビニルアルコール、
酢酸ビニルとN−ビニルピロリドンとの共重合体をケン
化して得られるピロリドン変性ポリビニルアルコール、
メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチ
ルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロ
ース誘導体、カゼイン、アラビアゴム、酸化澱粉、エー
テル化澱粉、ジアルデヒド澱粉、エステル化澱粉等の澱
粉類等がある。水分散性樹脂として;スチレン−ブタジ
エン共重合体エマルジョン、酢酸ビニル−塩化ビニル−
エチレン共重合体エマルジョン、メタクリレート−ブタ
ジエン共重合体エマルジョン等がある。
【0013】顔料の具体例としては、例えば炭酸カルシ
ウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、二酸化チタン、二
酸化珪素、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、硫酸亜
鉛、タルク、カオリン、クレー、焼成クレー、コロイダ
ルシリカ等の無機顔料、スチレンマイクロボール、ナイ
ロンパウダー、ポリエチレンパウダー、尿素・ホルマリ
ン樹脂フィラー、生澱粉粒等の有機顔料等が例示され
る。更に、中間層を形成する塗液中には必要に応じてグ
リオキザール、メチロールメラミン、過硫酸カリウム、
過硫酸アンモニウム、過硫酸ソーダ、塩化第二鉄、塩化
マグネシウム、硼酸、塩化アンモニウム等の硬化剤を添
加してもよく、必要に応じてステアリン酸亜鉛、ステア
リン酸カルシウム、ステアリン酸アミド、ポリエチレン
ワックス、カルナバロウ、パラフィンワックス、エステ
ルワックス等の滑剤、ジオクチルスルホコハク酸ナトリ
ウム、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、ラウ
リルアルコール硫酸エステル・ナトリウム塩、アルギン
酸塩、脂肪酸金属塩等の界面活性剤、ベンゾフェノン
系、トリアゾール系等の紫外線吸収剤、消泡剤、螢光染
料、着色染料等の各種助剤を適宜添加することもでき
る。
【0014】中間層を形成するための塗液は、一般に水
性系塗液として調成され、必要に応じてミキサー、アト
ライター、ボールミル、ロールミル等の混合・撹拌機に
よって十分混合分散された後、各種公知の塗布装置によ
り感熱記録層上に塗布される。塗布後、紫外線や電子線
を照射して硬化乾燥することもできる。なお、硬化剤を
併用する場合には、硬化剤を中間層を形成する塗液中の
みならず、中間層を形成する塗液とは別に塗布すること
もでき、別に塗布する場合には塗液のポットライフを懸
念する必要がなく、強力な硬化剤を選択できる利点があ
る。中間層を形成する塗液の塗布量は、特に限定される
ものではないが、0.1g/m2 未満では所望の効果を
充分に得ることができず、また、10g/m2 を超すと
感熱記録体の記録感度を著しく低下させる恐れがあるた
め、一般には乾燥重量で0.1〜10g/m2 、好まし
くは0.5〜7g/m2 程度の範囲で調節される。
【0015】次に、かくして形成された感熱記録層上或
いは中間層上に、加熱により色材シートから色材を受理
する受像層を設ける。この受像層を形成する材料として
は、色材受理性を有し、色材転写シートに対する熱融着
(ブロッキング)の生じないものであれば特に限定する
ものではないが、階調性に優れた記録画像が得られる昇
華性染料が好ましい。例えば、昇華性染料に対して染着
性を有する受像層としては、熱可塑性ポリエステル樹脂
等に顔料を添加したもの(特開昭57−107885)や、熱可
塑性ポリエステル樹脂等より成る受像層上にシリコーン
グリースなどの離型剤を塗布したり(特開昭59−165688
等) 、受像層中にシリコーン系化合物などの離型剤を含
有させたもの(特開昭60−34898 号公報、60−212394号
公報、61−237694号公報等) などが提案されているが、
溶剤系樹脂組成物の場合、溶剤の含浸による感熱記録層
のカブリや発色性低下の恐れがあるため、水系もしくは
ノンソル系が好ましい。また、ブロッキングを防止する
目的で熱硬化型樹脂組成物を用いることも提案されてい
るが、本発明の複合感熱記録体の場合、熱による感熱記
録層のカブリの危険性があるため注意が必要である。
【0016】染着性、耐ブロッキング性、画像保存安定
性のバランスに優れ、さらに過度の加熱を必要としない
という点からは、水系もしくはノンソル系の活性エネル
ギー線硬化型樹脂組成物を選択するのが特に好ましい。
更に、活性エネルギー線としては光ラジカル重合開始剤
を必要としない、熱の発生が少ないという点から電子線
が特に好ましい。因みに光ラジカル重合開始剤を添加し
た場合、コスト高になるばかりか、白紙部の経時による
変色、印画像の保存性低下等の問題が生じる可能性もで
てくる。
【0017】受像層形成用の水系の活性エネルギー線硬
化型樹脂組成物としては、特に限定するものではない
が、例えば、昇華性染料に対し染着性を有する水性化合
物(A)と水性活性エネルギー線硬化型樹脂(B)とを
含む水系組成物が挙げられる。ここで、昇華性染料に対
し染着性を有する水性化合物(A)としては、例えばポ
リエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリウ
レタン等の縮合系重合体;スチレン、アクリル酸エステ
ル、アクリロニトリル、塩化ビニル、酢酸ビニル等のビ
ニル系モノマーの重合体及び共重合体;等のエステル結
合、ウレタン結合、アミド結合、尿素結合その他極性の
高い結合を含む熱可塑性ポリマーにつき水性のものが使
用できる。ここで水性とは、水溶性または水分散性のこ
とを示す。水性とするためには、(1)上記のポリマー
の分子中に親水性基を導入し水溶性あるいは水分散性と
する、(2)上記のポリマーを適当な界面活性剤の存在
下に攪拌しながら水を加えることにより、水中油滴型エ
マルジョンとする方法等が採用されるが、(1)の方法
が塗料の安定性に優れ、記録像の安定性に優れやすいた
めより好ましい。ここで親水性基としては、スルホン酸
またはスルホン酸塩基、カルボキシル基またはカルボン
酸塩基、ポリエチレングリコール基等が挙げられる。
【0018】ポリマーとしてはポリエステル即ちジオー
ルとジカルボン酸との縮合体が、染着性、保存性、耐熱
性のバランスの良いものが得られやすいため好ましく用
いられる。ここでジオールとしては、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコー
ル、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。またジカ
ルボン酸としては、無水フタル酸、イソフタル酸、テレ
フタル酸、無水コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、
テトラヒドロ無水フタル酸、無水マレイン酸、フマル
酸、イタコン酸等が挙げられる。上記のジオール類及び
ジカルボン酸類はそれぞれ一種以上を組み合わせて使用
することができる。昇華性染料に対し染着性を有する水
性化合物(A)の重量平均分子量は1000〜50万の
範囲のものが望ましい。ここで1000より小さいと印
画した画像の保存安定性に欠けたり、印画時にブロッキ
ングを起こしたりしやすくなり、50万より大きいと下
記に示す水性活性エネルギー線硬化型樹脂(B)との相
溶性が悪くなる場合がある。水性活性エネルギー線硬化
型樹脂(B)とは、水溶性及び/又は水分散性の活性エ
ネルギー線硬化型モノマー、オリゴマーを意味し、この
様なモノマー、オリゴマーとしては例えば、アクリル
酸、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリルアミ
ド、N−ビニルピロリドン、ポリエチレングリコールジ
アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリルアミ
ド、更に水分散型ポリエステルアクリレート、水分散型
エポキシアクリレート、水分散型ウレタンアクリレート
等が挙げられる。この中でも自己乳化型ウレタンアクリ
レートエマルジョン(C)が上記した昇華性染料に対し
染着性を有する水性化合物(A)との相溶性に優れ、形
成された受像層の品質に優れるため特に好ましいもので
ある。(C)は、ウレタン結合を有する骨格の両末端或
いは側鎖にアクリロイル基を有するウレタンアクリレー
トにつき、分子内に親水性基を導入したものであり、例
えば下式の様な構造を持つものである。ここでR1 はジ
オール残基、R2 はポリイソシアネート残基、R3 は親
水性基を含有するポリオール残基、R4 はポリオール残
基を示す。
【0019】上記の様な自己乳化型ウレタンアクリレー
トエマルジョン(C)の製法は特に限定するものではな
いが、一般にR2 (NCO)x で表されるポリイソシア
ネートとR3 (OH)y およびR4 (OH)z で表され
るポリオールとを縮合させて得られる縮合系重合体に、
CH2=CHCOO−R1-OHで表される水酸基含有アク
リレートを反応させて得られる。ここでx,y,zは2
以上の整数である。CH2=CHCOO−R1-OHで表さ
れる水酸基含有アクリレートとしては、例えば2−ヒド
ロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルア
クリレート等が挙げられる。また、R2 (NCO)x
表されるポリイソシアネートとしては、例えばイソホロ
ンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシ
リレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネ
ート、リジンジイソシアネート、4,4'−メチレンビス
(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキ
サン2,4(2,6)ジイソシアネート、1,3 −(イソシアナ
ートメチル)シクロヘキサン、トリメチルヘキサメチレ
ンジイソシアネート等が例示される。R4 (OH)z
表されるポリオールとしては、ジオール、トリオールが
一般的であり、ジオールとしてはネオペンチルグリコー
ル、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオー
ル等の通常のグリコールの他に、ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレング
リコールに代表されるポリエーテルグリコール、更にポ
リエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙
げられる。R3 (OH)y で表されるポリオールとして
は、親水性基を含有するポリオールであり、例えばノニ
オン系としてはポリエチレングリコール、アニオン系と
してはジメチロールプロピオニックアシッドの様なカル
ボキシル基を有するジオール、カチオン系としてはN−
メチルジエタノールアミン等の三級アミンを有するジオ
ールが挙げられる。
【0020】上記(C)は、図1の様にカルボキシル基
の様な親水性基が水和層となり水中に分散し安定な粒子
を形成するものである。(C)の分子量は数平均分子量
で500 〜50,000程度が適当であり、この範囲よりはずれ
ると、水分散体としての安定性や、昇華性染料に対し染
着性を有する水性化合物(A)との相溶性が劣ることが
ある。ここで、アクリロイル基は、1000分子量当た
り0.1〜10個含有するのが好ましく、0.1より少
ないと架橋密度が低すぎ、ブロッキングを起こしやすく
なり、10より多いと架橋密度が高くなりすぎ画像濃度
が低いものと成りやすい。上記(C)は昇華性染料に対
し染着性を有する水性化合物(A)と極めて相溶性が良
く、安定な塗布組成物が得られ、この塗布組成物を塗布
し乾燥し活性エネルギー線照射後、光沢のある強固な塗
膜を形成する。この様にして形成された受像層は、活性
エネルギー線反応性のアクリロイル基が、均一に分布せ
しめられた結果、適度な架橋構造が形成され、染着性と
耐ブロッキング性のバランスに優れるようになるものと
考えられる。
【0021】上述した水系の活性エネルギー線硬化型樹
脂組成物において、昇華性染料に対し染着性を有する水
性化合物(A)と水性活性エネルギー線硬化型樹脂
(B)との配合割合は、それぞれの種類に応じて適宜選
択されるが、一般に(A)が20〜95重量%に対し、
(B)が80〜5重量%の範囲が適当であり、好ましく
は(A)40〜90重量%に対し(B)60〜10重量
%の範囲が適当である。(A)が20重量部より少ない
と記録画像の濃度が低くなりやすく、95重量%より多
いと、ブロッキングが生じ易い。上述した水系の活性エ
ネルギー線硬化型樹脂組成物は水を含むため、乾燥工程
が必要であるが、乾燥工程は活性エネルギー線照射の前
に行う方が、均一な架橋構造をもつ受像層が得られるた
め好ましい。
【0022】受像層形成用のノンソル系の活性エネルギ
ー線硬化型樹脂組成物としては、特に限定するものでは
ないが、例えば、昇華性染料に対し染着性を有する化合
物(D)を低粘度のモノマー又は/及びオリゴマーで希
釈した組成物が挙げられる。(D)としては例えば、
(1)昇華性染料に対し染着性を有する熱可塑性ポリマ
ー、(2)これらの熱可塑性ポリマーの分子中に(メ
タ)アクリロイル基等のラジカル重合性二重結合を2つ
以上有する化合物、さらに、(3)昇華性染料に対し染
着性を有するマクロモノマー等が挙げられる。ここで、
(1)の熱可塑性ポリマーとは例えばポリエステル、ポ
リカーボネート、ポリスルホン等の縮合系重合体;スチ
レン、アクリル酸エステル、アクリロニトリル、塩化ビ
ニル、酢酸ビニル等のビニル系モノマーの重合体及び共
重合体;及びセルロース誘導体等が上げられる。この中
でポリエステル即ちジオールとジカルボン酸との縮合体
が染着性、保存性、耐熱性のバランスの良いものが得ら
れやすく好ましい。更に、通常のポリエステルの一部、
特に酸残基部に塩素基が導入された塩素化ポリエステル
は染着性、保存性により優れるため、より好ましく使用
される。ここでジオールとしては、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコー
ル、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。またジカ
ルボン酸としては、無水フタル酸、イソフタル酸、テレ
フタル酸、無水コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、
テトラヒドロ無水フタル酸、無水マレイン酸、フマル
酸、イタコン酸等が挙げられる。上記のジオール類及び
ジカルボン酸類はそれぞれ一種以上を組み合わせて使用
することができる。なお、熱可塑性ポリマーの重量平均
分子量は1000〜50万、より好ましくは2000〜
5万の範囲のものが望ましい。ここで1000より小さ
いと印画した画像の保存安定性に欠けたり、印画時にブ
ロッキングを起こしたりしやすくなり、50万より大き
いとモノマー、オリゴマーに溶解されにくくなる。
【0023】また、(2)としてはラジカル重合性不飽
和二重結合を有するポリエステルが、活性エネルギー線
照射後の受像層の染着性、耐熱性に特に優れており好ま
しい。(3)でいうマクロモノマーとは、アルキル(メ
タ)アクリレート、アクリロニトリル、スチレン等の各
種ビニルモノマー、オキシエチレン等を構成単位とした
比較的低重合度の重合体或いは共重合体を骨格とし、片
末端に(メタ)アクリロイル基等のラジカル重合性の官
能基を持つ高分子量単官能モノマーである。マクロモノ
マーは常温で液状のものに比べて常温で固体状のものを
使用した方が、画像の保存安定性に優れており好まし
い。更にマクロモノマーの骨格としては、スチレン及び
/またはアクリロニトリルを主成分とする重合体或いは
共重合体、とりわけスチレンとアクリロニトリルの共重
合体が、染着性及び保存安定性に優れているため、特に
好ましい。マクロモノマーの分子量は数平均分子量で50
0 〜50,000程度、より好ましくは2,000 〜10,000の範囲
が適当であり、500 より小さいと染着性、保存性が劣り
やすくなり、50,000より大きいとモノマー、オリゴマー
への溶解性が劣ってくる。マクロモノマーは、通常グラ
フトポリマーを合成する際の先駆物質として用いられて
おり、一般的なモノマーと比べると比較的高分子量であ
るが、重合性のモノマーとしてとらえられるものであ
り、通常の熱可塑性樹脂等の高分子とは区別されるもの
である。
【0024】上記(1)〜(3)のうち、(2)と
(3)を使用すると、無溶剤で比較的低粘度の塗布組成
物がえられ易く、高濃度でブロッキングを起こさず、保
存性の高い画像が得られる受像層を形成させやすいた
め、より好ましい。上記(1)〜(3)は一般に高粘度
または固形状であるため、低粘度のモノマー又は/及び
オリゴマーで希釈する必要がある。これらのモノマー又
は/及びオリゴマーとしては、(E)ラジカル重合性モ
ノマー又は/及びオリゴマー及び(F)カチオン重合性
モノマー又は/及びオリゴマーがある。
【0025】(E)のラジカル重合性モノマー又は/及
びオリゴマーとしては、分子内にラジカル重合性のエチ
レン性不飽和二重結合、好ましくはアクリロイル基を一
個以上有するものであれば、特に限定するものではな
い。ラジカル重合性モノマーとしては、単官能のものと
多官能のものがあり、単官能モノマーは、分子内にラジ
カル重合性のエチレン性不飽和二重結合、好ましくはア
クリロイル基を一個有するものであり、多官能モノマー
は、分子内にラジカル重合性のエチレン性不飽和二重結
合、好ましくはアクリロイル基を二個以上有するもので
あり、具体例としては、例えば以下のようなものが挙げ
られる。
【0026】(A)単官能モノマー アクリル酸、アクリル酸エチル、ヘキシルアクリレー
ト、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシ
エチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレ
ート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェノキ
シエチルアクリレート、トリロキシエチルアクリレー
ト、ノニルフェノキシエチルアクリレート、テトラヒド
ロフルフリルオキシエチルアクリレート、1、3−ジオ
キソランアクリレート、フェノキシジエチレングリコー
ルアクリレート、ベンジルアクリレート、ブトキシエチ
ルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシク
ロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリ
レート、グリシジルアクリレート、カルビトールアクリ
レート、イソボルニルアクリレート等。
【0027】(B)多官能モノマー 1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチ
ルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジ
アクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレー
ト、ジシクロペンタニルジアクリレート、ブチレングリ
コールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリ
レート、トリメチロールプロパントリアクリレート、プ
ロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアク
リレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジ
トリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタ
エリスリトールヘキサアクリレート、カプロラクトン変
性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、テトラ
メチロールメタンテトラアクリレート等。
【0028】また、ラジカル重合性オリゴマー(プレポ
リマー)としては、例えばポリエステルアクリレートや
ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリオ
ールアクリレート等が挙げられる。これらのラジカル重
合性モノマー又は/及びオリゴマーは、それぞれ二種以
上を適宜混合して使用することももちろん可能であり、
特に、硬化後のTgの高い単官能モノマーと三官能以上
の多官能モノマーを混合して使用すると、画像濃度と保
存性のバランスのとれたものが得られ易く、より好まし
い。(F)カチオン重合性モノマー又は/及びオリゴマ
ーとしては、分子中にビニルエーテル基(−O−CH=
CH−,−O=CH=CH2 )を1つ以上有するモノマ
ーやオリゴマーであり、カチオン重合開始剤との共存下
で、活性エネルギー線を照射するとカチオン重合により
架橋、硬化するものである。本発明で用いられるビニル
エーテル化合物は、上記の様なビニルエーテル基を有す
るものであれば特に限定するものではないが、例えば、
2−クロロエチルビニルエ−テル、2−ヒドロキシエチ
ルビニルエ−テル、4−ヒドロキシブチルビニルエ−テ
ル、トリエチレングリコールジビニルエ−テル、1,4
−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル等が挙
げられる。これらのビニルエーテル化合物は、比較的低
粘度のものが多く、溶解力に優れ、臭気が少なく、皮膚
刺激性が低いといった、長所の他に、カチオン重合開始
剤との共存下で、活性エネルギー線を照射した際の硬化
性に優れ、酸素による硬化阻害がないため特に表面の硬
化性に優れているといった特長を有している。
【0029】カチオン重合性モノマー又は/及びオリゴ
マーを配合する場合には、活性エネルギー線の種類にか
かわらずカチオン重合開始剤が必要である。このような
カチオン重合開始剤とは、活性エネルギー線照射によ
り、カチオン重合を開始させる物質であれば特に限定す
るものでないが、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、ス
ルホニウム塩、メタロセン化合物等があげられる。これ
らは、活性エネルギー線照射によりルイス酸を発生し、
このルイス酸がカチオン重合を開始させるものと考えら
れている。尚、これらのカチオン重合開始剤の添加量
は、ビニルエーテル化合物100重量部に対し、0.1
〜10重量部程度が好ましく、0.1重量部より少ない
と重合開始能が不十分となりやすく、10重量部より多
いと、効果が飽和となるばかりか、カチオン重合開始剤
の溶解性が悪くなり、塗膜の透明性が劣る等の悪影響が
生じる可能性がある。
【0030】上記した、昇華型感熱転写記録用受像層形
成用のノンソル系の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物
において、昇華性染料に対し染着性を有する化合物
(D)と低粘度のモノマー又は/及びオリゴマー(G)
(即ち(E)ラジカル重合性モノマー又は/及びオリゴ
マー、或いは(F)カチオン重合性モノマー又は/及び
オリゴマー)は、(D)10〜98重量%に対し(G)
90〜2重量%の範囲が適当であり、好ましくは(D)
20〜90重量%に対し(G)80〜10重量%の範囲
が適当である。(D)が10重量部より少ないと記録画
像の濃度が低くなったり、記録画像の濃度が高くても保
存安定性が劣ったりして、画像濃度と保存安定性のバラ
ンスのとれたものが得られにくく、98重量%より多い
と、ブロッキングが生じ易い。
【0031】尚、前述した、受像層形成用の水系やノン
ソル系の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は溶剤を含
まないため、安全性や取り扱い易さに優れるというメリ
ットもある。活性エネルギー線としては、紫外線、電子
線等が挙げられるが、紫外線硬化の場合、ラジカル重合
開始剤が必要であり、受像層形成後に残存するラジカル
重合開始剤による記録像の保存性低下が懸念され、また
水系に適用する場合、適用できるラジカル重合開始剤が
少なく、相溶性に問題があるために均一な架橋構造が得
られにくい。更に、コスト的にも割高になる等の問題が
あるため、電子線硬化がより好ましい。
【0032】活性エネルギー線として電子線を使用する
場合、照射する電子線の量は、吸収線量として1〜20
0kGy程度の範囲で調節するのが望ましい。1kGy
未満では十分な照射効果が得られず、200kGyを超
えるような照射は紙類やある種のプラスチックフィルム
等の基材を劣化させる恐れがあるため好ましくない。電
子線の照射方式としては、例えばスキャニング方式、カ
ーテンビーム方式、ブロードビーム方式等が採用され、
電子線を照射する際の加速電圧は100〜300kV程
度が適当である。
【0033】活性エネルギー線として紫外線を使用する
場合、塗布組成物中に光ラジカル重合開始剤を配合する
必要があり、例えばチオキサントン、ベンゾイン、ベン
ゾインアルキルエーテルキサントン、ジメチルキサント
ン、ベンゾフェノン、アントラセン、ベンジル、2,2 −
ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケター
ル、ジフェニルジスルフィド、アントラキノン、1−ク
ロロアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−
ter −ブチルアントラキノン、N,N’−テトラエチル
−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、1,1 −ジクロロ
アセトフェノン等のラジカル重合開始剤の一種以上が適
宜配合される。なお、光ラジカル重合開始剤の使用量は
組成物全体の0.2〜10重量%、好ましくは0.5〜
5重量%程度の範囲で調節するのが望ましい。紫外線照
射用の光源としては、1〜50個の紫外線ランプ(例え
ば数mmHgから約10気圧までの動作圧力を有する低圧、中
圧、高圧水銀ランプ)、キセノンランプ、タングステン
ランプ等が用いられる。
【0034】受像層を形成する塗布組成物の塗布量は固
形量で0.1〜50g/m2 、より好ましくは2〜20g
/m2 程度の範囲で調節される。因みに0.1g/m2
未満では所望の効果が得られず、50g/m2 を越える
ような塗布量は効果が飽和状態となり、経済面からもメ
リットがない。また、該樹脂組成物を塗布する方法は特
に限定されず、例えばバーコーター、ロールコーター、
エアーナイフコーター、グラビアコーター等の通常の塗
布手段が適宜使用される。なお、塗布面を予めコロナ放
電処理、放射線処理、プラズマ処理等によって前処理し
て塗布面の濡れ易さを改良したり塗布層の密着性を改良
することも勿論可能である。
【0035】前述した受像層形成用の樹脂組成物中に
は、必要に応じて、染料、顔料、湿潤剤、消泡剤、分散
剤、帯電防止剤、レベリング剤、滑剤等の各種助剤を所
望の効果を阻害しない範囲で適宜添加することができ
る。また、発色用インク体との離型性をさらに向上させ
るために、受像層中に少量の離型剤を含有させることも
可能である。離型剤としては、例えばポリエチレンワッ
クス、アミドワックス、テフロンパウダー等の固形ワッ
クス類、シリコン系、フッ素系、リン酸エステル系の界
面活性剤、シリコーンオイル等が挙げられる。
【0036】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて更に詳述す
るが、勿論これらに限定されるものではない。なお、例
中の部は重量部を示す。
【0037】実施例1 〔A液調成〕3−ピロリジノ−6−メチル−7−フェニ
ルアミノフルオラン10部、メチルセルロース5%水溶
液5部、水30部からなる組成物をサンドミルで平均粒
子径が3μmになるまで粉砕した。 〔B液調成〕4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル20部、
メチルセルロース5%水溶液5部、水55部からなる組
成物をサンドミルで平均粒子径が3μmになるまで粉砕
した。 〔感熱記録層の形成〕A液45部、B液80部、20%
酸化澱粉水溶液50部、水10部を混合、攪拌して調製
した塗液を、80g/m2 の原紙に乾燥後の塗布量が6
g/m2 となるように塗布乾燥し、感熱記録層を形成し
た。 〔受像層の形成〕 (A)水性ポリエステル樹脂(商品名;PE−25,徳
山曹達(株)製、25%濃度)280部、および(B)
自己乳化型ウレタンアクリレートエマルジョン(商品
名;ダイヤビームNR−0289,三菱レイヨン(株)
製、40%濃度)75部からなる塗液を上記の感熱記録
層上に、乾燥重量で8g/m2 になるように塗布し、5
0℃で2分間乾燥した後、電子線照射装置(エレクトロ
カーテンCB−150 ;ESI社製)を用いて、吸収線量と
して50kGyの電子線を照射して受像層を形成した。
【0038】実施例2 実施例1と同様にして得られた感熱記録層上に、アセト
アセチル化ポリビニルアルコール(商品名:Z−20
0,日本合成化学社製)8%水溶液1000部、炭酸カ
ルシウム(商品名:ソフトン1800、備北粉化社製)
100部、水100部よりなる中間層塗液を、乾燥後の
塗布量が4g/m2 となるように塗布乾燥し、更にスー
パーカレンダーで平滑化処理してベック平滑度が500
秒である中間層を形成した。この中間層上に、実施例1
と同様にして受像層を形成した。
【0039】実施例3 実施例2と同様にして中間層までを設け、下記に示す塗
布組成物を乾燥重量で8g/m2 になるように塗布し、
電子線照射装置(エレクトロカーテンCB−150;ESI
社製)を用いて、吸収線量として50kGyの電子線を
照射して受像層を形成した。 〔受像層用塗布組成物〕 (A)マクロモノマー(商品名:マクロモノマーAN−
6,東亜合成化学工業社製;スチレンとアクリロニトリ
ルの共重合体を主成分とするオリゴマーの片末端に、メ
タクリロイル基を有する数平均分子量約6000のマク
ロモノマー)35部、(B)フェノキシエチルアクリレ
ート45部、(C)N−ビニルピロリドン15部、ぺタ
エリスリトールトリアクリレート5部、および(E)シ
リコーンジアクリレート(商品名:EBECRYL1360,ダイセ
ル・ユーシービー社製)0.5部からなる組成物。
【0040】実施例4 受像層として下記に示す塗布組成物を用いた以外は、実
施例3と同様にして受像層を得た。 〔受像層用塗布組成物〕 (A)ラジカル重合性官能基を有するEB硬化型ポリエ
ステル(商品名:A6183、ヒュルス社製)50部、
(B)トリエチレングリコールジビニルエーテル(商品
名:ラピキュアーDVE−3、ISP社製)30部、
(C)イソボルニルアクリレート15部、(D)ペンタ
エリスリトールトリアクリレート5部、(E)カチオン
重合開始剤(商品名:FX−512、3M社製)1部か
らなる組成物。
【0041】比較例1 実施例2において、受像層を設けなかった以外は、実施
例2と同様にした。
【0042】比較例2 実施例2の中間層上に、水溶性シリコーン化合物(商品
名;KM−244F,信越化学工業社製)の50%水溶
液を乾燥重量で0.5g/m2 になるように塗布し、受
像層を形成した以外は、実施例2と同様にした。
【0043】比較例3 実施例2において、感熱記録層を設けなかった以外は、
実施例2と同様にした。
【0044】かくして得られた記録シートを日立カラー
ビデオプリンター(VY−50型、日立製作所社製)用
の色材転写シートを重ね合わせて得られた複合感熱記録
体を該ビデオプリンターを用いて熱転写記録を行い、得
られた記録像の濃度とブロッキング(記録体と色材転写
シートとの融着状態)を下記の如く評価し、その結果を
表1に示した。 〔記録濃度〕イエロー、マゼンタ、シアンの順に記録を
重ねた後の、黒色記録像の最大濃度をマクベス濃度計で
測定した。 〔ブロッキング〕 ○:記録体と色材転写シートとの融着が全く見られず、
剥離性も良好である。 △:記録体と色材転写シートとがやや融着し、剥離性が
劣る。 ×:融着が著しく、インクフィルムのインク層自体が記
録体に転移してしまう。
【表1】
【効果】表1の結果から明らかなように、本発明の各実
施例で得られた複合感熱記録体はいずれも極めて高い記
録濃度を有しており、従来の記録体にはない、極めて商
品価値の高いものである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年10月4日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正内容】
【0018】ポリマーとしてはポリエステル即ちジオー
ルとジカルボン酸との縮合体が、染着性、保存性、耐熱
性のバランスの良いものが得られやすいため好ましく用
いられる。ここでジオールとしては、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコー
ル、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。またジカ
ルボン酸としては、無水フタル酸、イソフタル酸、テレ
フタル酸、無水コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、
テトラヒドロ無水フタル酸、無水マレイン酸、フマル
酸、イタコン酸等が挙げられる。上記のジオール類及び
ジカルボン酸類はそれぞれ一種以上を組み合わせて使用
することができる。昇華性染料に対し染着性を有する水
性化合物(A)の重量平均分子量は1000〜50万の
範囲のものが望ましい。ここで1000より小さいと印
画した画像の保存安定性に欠けたり、印画時にブロッキ
ングを起こしたりしやすくなり、50万より大きいと下
記に示す水性活性エネルギー線硬化型樹脂(B)との相
溶性が悪くなる場合がある。水性活性エネルギー線硬化
型樹脂(B)とは、水溶性及び/又は水分散性の活性エ
ネルギー線硬化型モノマー、オリゴマーを意味し、この
様なモノマー、オリゴマーとしては例えば、アクリル
酸、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリルアミ
ド、N−ビニルピロリドン、ポリエチレングリコールジ
アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリルアミ
ド、更に水分散型ポリエステルアクリレート、水分散型
エポキシアクリレート、水分散型ウレタンアクリレート
等が挙げられる。この中でも自己乳化型ウレタンアクリ
レートエマルジョン(C)が上記した昇華性染料に対し
染着性を有する水性化合物(A)との相溶性に優れ、形
成された受像層の品質に優れるため特に好ましいもので
ある。(C)は、ウレタン結合を有する骨格の両末端或
いは側鎖にアクリロイル基を有するウレタンアクリレー
トにつき、分子内に親水性基を導入したものであり、例
えば下式の様な構造を持つものである。CH2=CHCOO−R1−O−(CONH−R2−NH
COO−R3−OCONH)m−(R2−NHCOO−R
4−OCONH)n−R2−NHCOO−R1−OCOC
H=CH2 ここでR1 はジオール残基、R2 はポリイソシアネート
残基、R3 は親水性基を含有するポリオール残基、R4
はポリオール残基を示す。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正内容】
【0020】上記(C)は、カルボキシル基の様な親水
性基が水和層となり水中に分散し安定な粒子を形成する
ものである。(C)の分子量は数平均分子量で500 〜5
0,000程度が適当であり、この範囲よりはずれると、水
分散体としての安定性や、昇華性染料に対し染着性を有
する水性化合物(A)との相溶性が劣ることがある。こ
こで、アクリロイル基は、1000分子量当たり0.1
〜10個含有するのが好ましく、0.1より少ないと架
橋密度が低すぎ、ブロッキングを起こしやすくなり、1
0より多いと架橋密度が高くなりすぎ画像濃度が低いも
のと成りやすい。上記(C)は昇華性染料に対し染着性
を有する水性化合物(A)と極めて相溶性が良く、安定
な塗布組成物が得られ、この塗布組成物を塗布し乾燥し
活性エネルギー線照射後、光沢のある強固な塗膜を形成
する。この様にして形成された受像層は、活性エネルギ
ー線反応性のアクリロイル基が、均一に分布せしめられ
た結果、適度な架橋構造が形成され、染着性と耐ブロッ
キング性のバランスに優れるようになるものと考えられ
る。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】色材転写シートと、支持体上にロイコ染料
    と呈色剤を含有する感熱記録層、および加熱により該色
    材転写シートから色材を受理する受像層を順次設けたシ
    ートからなることを特徴とする複合感熱記録体。
  2. 【請求項2】感熱記録層と受像層の間に、水系組成物よ
    り成る中間層を設けた請求項1記載の複合感熱記録体。
  3. 【請求項3】受像層が、水系組成物より形成された請求
    項1または請求項2記載の複合感熱記録体。
  4. 【請求項4】受像層の水性組成物が活性エネルギー線硬
    化型樹脂組成物である請求項3記載の複合感熱記録体。
  5. 【請求項5】受像層が、無溶剤の活性エネルギー線硬化
    型樹脂組成物より形成された請求項1または請求項2記
    載の複合感熱記録体。
  6. 【請求項6】活性エネルギー線が電子線である請求項4
    または請求項5記載の複合感熱記録体。
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