JPH06263048A - 後輪操舵装置の異常検出装置 - Google Patents

後輪操舵装置の異常検出装置

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JPH06263048A
JPH06263048A JP29817493A JP29817493A JPH06263048A JP H06263048 A JPH06263048 A JP H06263048A JP 29817493 A JP29817493 A JP 29817493A JP 29817493 A JP29817493 A JP 29817493A JP H06263048 A JPH06263048 A JP H06263048A
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康生 上原
Takeshi Goto
武志 後藤
Hidemori Tsuka
秀守 塚
Katsumi Fukaya
克己 深谷
Kozo Fujita
耕造 藤田
Shinichi Tagawa
真一 田川
Hideki Kuzutani
秀樹 葛谷
Hiroshi Nakajima
洋 中島
Tadayasu Miyata
任康 宮田
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 後輪操舵装置における後輪操舵の異常判定を
精度よく行う。 【構成】 マイクロコンピュータ35は、車速センサ3
1により検出された車速、ヨーレートセンサ32により
検出されたヨーレート及び前輪舵角センサ33により検
出された前輪舵角に応じて目標後輪舵角θr*を決定し
て、同決定した目標後輪舵角θr*と後輪舵角センサ34
により検出された後輪舵角θr との差に応じて電動モー
タ21の回転を制御して後輪を目標後輪舵角θr*に操舵
する。一方、前記決定された目標後輪舵角θr*は電動モ
ータ21の応答性に応じて変換されるとともに同モータ
21の作動性能に応じて制限され、この変換及び制限さ
れた目標後輪舵角θr#と後輪RW1,RW2の実舵角
θrとの差及び両舵角θr#,θrの各変化率の差に基づ
いて、後輪RW1,RW2の操舵異常が判定される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、後輪操舵装置内に設け
たアクチュエータを制御することにより、車速センサ、
ヨーレートセンサ、前輪舵角センサなどの各種センサに
より検出した車両の走行状態に応じて決定した目標舵角
に後輪を操舵する後輪操舵装置に係り、特にセンサ、ア
クチュエータなどの故障による後輪の操舵異常を検出す
る後輪操舵装置の異常検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の装置としては、例えば特
開平1−186474号公報に示されているように、目
標後輪舵角と実舵角との差の絶対値が同目標舵角への操
舵後の所定時間内に所定値内に収束しないとき、後輪が
操舵異常であると判定するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の装
置にあっては、前記所定値はアクチュエータの応答性、
作動性能などを考慮して決められたものでないので、後
輪の操舵異常を精度よく判定することができない。本発
明は上記問題に対処するためになされたもので、その目
的は、アクチュエータの応答性、作動性能などを考慮す
ることにより後輪の操舵異常を正確に判定できるように
した後輪操舵装置の異常検出装置を提供することにあ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、上記請求項1に係る発明の構成上の特徴は、電気的
に駆動されて後輪を操舵するアクチュエータと、車両の
走行状態に応じて後輪の目標舵角を決定する目標舵角決
定手段と、後輪の実舵角を検出する後輪舵角センサと、
前記決定した目標舵角と前記検出した実舵角とに応じて
前記アクチュエータを制御して後輪を前記決定した目標
舵角に操舵する操舵制御手段とを備えた後輪操舵装置に
おいて、アクチュエータの応答性を表す伝達関数を用い
て前記決定した目標舵角を監視用目標舵角に変換する目
標舵角変換手段と、前記変換された監視用目標舵角と前
記検出した実舵角とに基づいて操舵異常を判定する異常
判定手段とを設けたことにある。
【0005】前記請求項2に係る発明の構成上の特徴
は、前記異常判定手段を、前記変換された目標舵角の変
化率を計算する第1計算手段と、前記検出した実舵角の
変化率を計算する第2計算手段と、前記目標舵角の変化
方向と前記実舵角の変化方向が同じでありかつ前記計算
した実舵角の変化率の絶対値が前記計算した目標舵角の
変化率の絶対値より所定値以上大きいとき、または前記
目標舵角の変化方向と前記実舵角の変化方向が異なりか
つ前記計算した実舵角の変化率の絶対値が所定値以上で
あるとき後輪の操舵異常を判定する判定手段とにより構
成したことにある。
【0006】前記請求項3に係る発明の構成上の特徴
は、前記アクチュエータ、目標舵角決定手段、後輪舵角
センサ及び操舵制御手段とを備えた後輪操舵装置におい
て、前記決定した目標舵角をアクチュエータの作動能力
に応じた所定の範囲内に制限して監視用目標舵角とする
目標舵角制限手段と、前記制限された監視用目標舵角と
前記検出した実舵角とに基づいて操舵異常を判定する異
常判定手段とを設けたことにある。
【0007】
【発明の作用及び効果】上記のように構成した請求項1
に係る発明においては、目標舵角変換手段が車両の走行
状態に応じて決定した目標舵角をアクチュエータの応答
性を表す伝達関数を用いて監視用目標舵角に変換し、異
常判定手段が前記変換された監視用目標舵角と検出した
実舵角とに基づいて操舵異常を判定する。したがって、
この発明によれば、後輪の操舵異常の判定にアクチュエ
ータの応答性を考慮したので、目標舵角が決定されてか
ら後輪が実際に操舵されるまでに遅れがあっても、アク
チュエータの応答性の範囲内で異常判定が行われ、同異
常判定が正確になる。
【0008】また、上記のように構成した請求項2に係
る発明においては、第1及び第2計算手段が後輪の目標
舵角の変化率と実舵角の変化率をそれぞれ計算し、異常
判定手段が両変化率により後輪の操舵異常を判定する。
この異常判定においては、後輪の目標舵角の変化方向と
実舵角の変化方向が同じである場合には、実舵角の変化
率の絶対値が目標舵角の変化率の絶対値より所定値以上
大きいときに後輪の操舵異常を判定し、実舵角の変化率
の絶対値が目標舵角の変化率の絶対値より所定値以上大
きくないときには後輪の操舵異常を判定しない。したが
って、アクチュエータが暴走して実舵角が目標舵角を越
えていくような場合には後輪が操舵異常であると判定さ
れるが、後輪の操舵負荷が大きくてアクチュエータによ
る実舵角が目標舵角に追従できないような場合には後輪
が操舵異常であると判定されない。また、目標舵角の変
化方向と実舵角の変化方向が異なる場合には、実舵角の
変化率の絶対値が所定値以上であるとき後輪の操舵異常
を判定する。したがって、アクチュエータが暴走して後
輪が目標舵角と反対方向に操舵されているような場合に
も、後輪の操舵異常が判定される。したがって、この発
明によれば、一時的に後輪の操舵負荷が大きくて後輪が
目標舵角に追従して操舵されなくても操舵異常が判定さ
れず、アクチュエータなどの故障に起因した後輪の操舵
異常が正確に判定される。
【0009】さらに、前記請求項3に係る発明によれ
ば、目標舵角制限手段が車両の走行状態に応じて決定し
た目標舵角をアクチュエータの作動能力に応じた所定の
範囲内に制限して監視用目標舵角とし、異常判定手段が
前記制限された監視用目標舵角と検出した実舵角とに基
づいて操舵異常を判定する。したがって、この発明によ
れば、後輪の操舵異常の判定にアクチュエータの作動性
能を考慮したので、目標舵角がアクチュエータの作動性
能以上の値に決定されても、アクチュエータの作動性能
の範囲内で異常判定が行われ、同異常判定が正確にな
る。
【0010】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を用いて説明す
ると、図1は左右前輪FW1,FW2を操舵する前輪操
舵機構10と、左右後輪RW1,RW2を操舵する後輪
操舵機構20と、後輪操舵機構20を電気的に制御する
電気制御装置30とを備えた車両の全体を概略的に示し
ている。
【0011】前輪操舵機構10は回動操作により左右前
輪FW1,FW2を操舵する操舵ハンドル11を備え、
同ハンドル11は操舵軸12の上端に固定されている。
操舵軸12の下端部はステアリングギヤボックス13内
にてラックバー14に噛合している。ラックバー14は
ステアリングギヤボックス13内に軸方向に変位可能に
支持されるとともに、両端にてタイロッド15a,15
b及びナックルアーム16a,16bを介して左右前輪
FW1,FW2を操舵可能に連結している。
【0012】後輪操舵機構20は後輪を操舵するための
アクチュエータとしてのブラシレスモータなどの電動モ
ータ21を備えている。この電動モータ21は2つの並
列接続した界磁巻線を備え、少なくとも一方の巻線に通
電すれば同モータ21は回転駆動される。電動モータ2
1の回転軸はステアリングギヤボックス22内にて減速
機構を介して軸方向に変位可能に支持されたリレーロッ
ド23に接続されており、同ロッド23は同モータ21
の回転に応じて軸方向に変位する。この場合の減速機構
は逆効率が小さくなるように、好ましくは零に設定され
ていて、リレーロッド23側からの外部入力により電動
モータ21が不必要に回転駆動されることはないように
なっている。リレーロッド23の両端にはタイロッド2
4a,24b及びナックルアーム25a,25bを介し
て左右後輪RW1,RW2が接続されていて、左右後輪
RW1,RW2はリレーロッド23の軸方向の変位に応
じて操舵される。
【0013】電気制御装置30は車速センサ31、ヨー
レートセンサ32、前輪舵角センサ33及び後輪舵角セ
ンサ34を備えている。車速センサ31は変速機(図示
しない)の出力軸の回転を測定することにより車速Vを
検出して同車速Vを表す検出信号を出力する。ヨーレー
トセンサ32は車体の重心垂直軸回りのヨーレートγを
検出して同ヨーレートγを表す検出信号を出力する。前
輪舵角センサ33は操舵軸12の回転角を測定すること
より左右前輪FW1,FW2の舵角θf を検出して同舵
角θf を表す検出信号を出力する。後輪舵角センサ34
は電動モータ21の回転軸の回転角を測定することによ
り左右後輪RW1,RW2の舵角θr を検出して同舵角
θr を表す検出信号を出力する。なお、これらのヨーレ
ートγ、前輪舵角θf 及び後輪舵角θr は左回転方向を
正とするとともに右回転方向を負とする。
【0014】これらのセンサ31〜34はマイクロコン
ピュータ35に接続されている。マイクロコンピュータ
35はCPU、ROM、RAM、I/O、タイマなどか
らなり、同ROM内に記憶した図2のフローチャートに
示すプログラムを実行する。マイクロコンピュータ35
には駆動回路36a,36b及び警告ランプ37が接続
されている。駆動回路36a,36bはマイクロコンピ
ュータ35により制御されてバッテリ38からの駆動電
流を電動モータ21の各界磁巻線にそれぞれ流して同モ
ータ21の回転を制御する。なお、このバッテリ38か
らの電圧は各センサ31〜34、マイクロコンピュータ
35及び警告ランプ37にも供給されている。警告ラン
プ37は運転席近傍に設けられ、この点灯により左右後
輪RW1,RW2の操舵異常を運転者に警告する。
【0015】次に、上記のように構成した実施例の動作
を図2に示すフローチャートに沿って説明する。イグニ
ッションスイッチ(図示しない)が投入されると、マイ
クロコンピュータ35は図2のステップ100にてプロ
グラムの実行を開始し、ステップ102にてフラグFLG
を”0”に初期設定する。このフラグFLG は、”0”に
より左右後輪RW1,RW2の操舵の正常状態を表
し、”2”により同後輪RW1,RW2の操舵の異常状
態を表し、”1”により前記異常状態の判定期間中であ
ることを表す。前記初期設定後、ステップ104にてフ
ラグFLG が”2”であるか否かを判定する。この場合、
前記初期設定によりフラグFLG は”0”に設定されてい
るので、同ステップ104にて「NO」と判定してプロ
グラムをステップ106に進める。
【0016】ステップ106においては、各センサ31
〜34から車速V、ヨーレートγ、前輪舵角θf及び後
輪舵角θrを表す各検出信号をそれぞれ入力する。次
に、ステップ108にてROM内に設けたテーブルから
車速Vに応じて変化するヨーレート比例係数K1(図3
(A)参照)及び舵角比例係数K2(図3(B)参照)を読
み出すとともに、これらの係数K1,K2、ヨーレートγ
及び前輪舵角θfを用いた下記数1の演算の実行により
左右後輪RW1,RW2の目標舵角θr*を計算する。
【0017】
【数1】θr*=K1・γ+K2・θf この目標後輪舵角θr*の計算後、ステップ110にて同
目標後輪舵角θr*と前記入力した後輪舵角θr の偏差θ
r*−θrを計算して同偏差θr*−θrを表す制御信号を駆
動回路36a,36bに出力する。駆動回路36a,3
6bは、バッテリ38から供給され前記制御信号に応じ
た駆動電流を電動モータ21の各界磁巻線にそれぞれ流
す。これにより、電動モータ21は目標後輪舵角θr*に
対応して回転し、同回転はリレーロッド23に伝達され
て同ロッド23を前記回転に応じて軸方向に変位させ
る。このリレーロッド23の軸方向の変位はタイロッド
24a,24b及びナックルアーム25a,25bを介
して左右後輪RW1,RW2に伝達されて、同後輪RW
1,RW2は目標後輪舵角θr*に操舵される。
【0018】前記ステップ110の処理後、ステップ1
12にて電動モータ21の応答性を表す伝達関数G(s)
を用いた下記数2の演算の実行により同モータ21によ
る目標後輪舵角θr*のシミュレート値θr#を計算す
る。
【0019】
【数2】
【0020】前記数2は電動モータ21の2次遅れ及び
むだ時間を考慮したもので、a,bは電動モータ21の
特性に応じて予め決められた係数であり、τは予め決め
られた時定数であり、sはラプラス演算子である。した
がって、 シミュレート値θr#は電動モータ21の遅れ
を考慮した左右後輪RW1,RW2の制御舵角を表すこ
とになる。
【0021】前記目標後輪舵角θr*のシミュレート値θ
r# の計算後、ステップ114にてフラグFLG が”0”
であるか否かを判定する。この場合、フラグFLG は前述
のように”0”に保たれているので、同ステップ114
にて「YES」と判定してプログラムをステップ116
に進める。ステップ116においては、後輪舵角θrと
前記計算したシミュレート値θr#との差θr−θr# の
絶対値|θr−θr#|が所定値C1以上であるか否かを判
定する。左右後輪RW1,RW2が正常に操舵されてい
て前記絶対値|θr−θr#|が所定値C1未満であれば、
同ステップ116にて「NO」と判定してプログラムを
ステップ104に戻す。以降、左右後輪RW1,RW2
が正常に操舵されていれば、ステップ104〜116か
らなる循環処理が繰り返し実行されて、左右後輪RW
1,RW2は目標後輪舵角θr*に追従して操舵される。
【0022】一方、なんらかの理由により、絶対値|θ
r−θr#|が所定値C1以上になると、ステップ116に
て「YES」と判定してプログラムをステップ118に
進める。ステップ118においてはフラグFLG を”1”
に変更して、プログラムをステップ104に戻す。した
がって、次のステップ104〜112の処理後、ステッ
プ114にて「NO」と判定してプログラムをステップ
120〜124へ進める。ステップ120,122にて
後輪舵角θr の変化率dθr/dtとシミュレート値θr#の
変化率dθr#/dtを計算した後、ステップ124にて両
変化率dθr/dt,dθr#/dt が図4のハッチングにより
示す異常範囲に属するか否かを判定する。この異常範囲
は下記のように定義される範囲である。 シミュレート値θr#の変化方向と後輪舵角θrの変化
方向が同じである場合には、後輪舵角θrの変化率dθr/
dtの絶対値|dθr/dt|がシミュレート値θr#の変化率
dθr#/dtの絶対値|dθr#/dt|より所定値C2以上大き
いとき異常範囲とする。 シミュレート値θr#の変化方向と後輪舵角θrの変化
方向が異なる場合には、後輪舵角θr の変化率dθr/dt
の絶対値|dθr/dt|が所定値C3以上であるとき異常範
囲とする。このステップ124にて「NO」すなわち変
化率dθr/dt,dθr#/dtが異常範囲に属さないと判定さ
れれば、ステップ126にてフラグFLG を”0”に戻し
た後、プログラムをステップ104に戻す。これによ
り、この場合、ステップ104〜116(またはステッ
プ104〜118)の処理がふたたび実行されて、左右
後輪RW1,RW2は目標舵角θr*に操舵制御される。
一方、ステップ124にて「YES」すなわち変化率d
θr/dt,dθr#/dtが異常範囲に属すると判定される
と、ステップ128にて後輪舵角θrとシミュレート値
θr#との差θr−θr#の絶対値|θr−θr#|が所定
値C4以上であるか否かを判定する。所定値C4は所定値C1
より大きく(C4>C1)、前記絶対値|θr−θr#|が所
定値C4以上でなければ、ステップ128にて「NO」と
判定してプログラムをステップ104に戻して、ステッ
プ104〜114,120〜124,128からなる循
環処理を繰り返し実行する。したがって、この場合も、
左右後輪RW1,RW2は目標舵角θr* に操舵制御さ
れるが、この循環処理中にあっては、変化率dθr/dt,d
θr#/dt が異常範囲にあるか否か、および絶対値|θr
−θr#|が所定値C4以上であるか否かが毎回判定され
る。この循環処理中、変化率dθr/dt,dθr#/dt が異常
範囲から脱出すると、ステップ124にて「NO」と判
定して、ステップ126にてフラグFLG を”0”に戻し
た後、プログラムをステップ104に戻して前述のステ
ップ104〜116(またはステップ104〜118)
の処理をふたたび実行するようになる。
【0023】また、前記ステップ104〜114,12
0〜124,128の処理中、絶対値|θr−θr#|が
所定値C4以上になれば、ステップ128にて「YES」
と判定してプログラムをステップ130に進める。ステ
ップ130においてはフラグFLG を”2”に変更してプ
ログラムをステップ104に戻す。これにより、この場
合には、ステップ104にて「YES」と判定し、ステ
ップ132,134の処理の実行後、ステップ136に
てプログラムの実行を終了する。ステップ132におい
ては警告ランプ37に点灯制御信号を出力する。警告ラ
ンプ37は前記点灯制御信号に応答して点灯するので、
運転者は左右後輪RW1,RW2の操舵に異常が発生し
たことを視覚的に認識できる。ステップ134において
は、左右後輪RW1,RW2が中立位置に復帰するまで
又は所定の最大時間が経過するまで、駆動回路36a,
36bに同後輪RW1,RW2を中立位置に復帰させる
ための制御信号を出力する。電動モータ21は2つの界
磁巻線を備えているので、両巻線に断線、ショートなど
の異常が同時に発生しない限り左右後輪RW1,RW2
は中立位置へ復帰操舵される。また、この場合、後輪舵
角θr の検出は必要であるが、後輪舵角センサ34が故
障する可能性は低いと同時に必要に応じて同センサ34
を複数設けることも可能であるので、多くの場合におい
ては左右後輪RW1,RW2は中立位置に復帰する。そ
して、このような左右後輪RW1,RW2の中立復帰制
御によっても同後輪RW1,RW2が中立位置に復帰し
ない場合には、最大時間の経過後に電動モータ21の駆
動制御を停止する。
【0024】上記作動説明のように、上記実施例によれ
ば、ステップ112にてステップ108の処理により決
定した目標後輪舵角θr*を電動モータ21の応答性に応
じて変換したシミュレート値θr# に応じて後輪RW
1,RW2の操舵異常を判定するようにしたので、同モ
ータ21による後輪RW1,RW2の操舵に遅れがあっ
ても、同操舵の異常が正確に検出される。また、ステッ
プ116の処理によりステップ120〜130からなる
左右後輪RW1,RW2の操舵異常の判定処理を行う必
要があるか否かを判定するようにして、その必要がない
場合には同ステップ120〜130の処理をしないよう
にした。したがって、この場合には、マイクロコンピュ
ータ35は左右後輪RW1,RW2の操舵制御、図示し
ないその他の制御などを充分に時間的余裕をもって行う
ことができる。
【0025】また、ステップ120〜124の判定処理
ルーチンにおいては、変化率dθr/dt,dθr#/dtが図4
のハッチングで示す異常範囲に属するか否かにより左右
後輪RW1,RW2の操舵異常を判定するようした。こ
れによれば、左右後輪RW1,RW2のシミュレート値
θr#の変化方向と実際の後輪舵角θrの変化方向が同じ
である場合には、後輪舵角θr の変化率dθr/dtの絶対
値|dθr/dt|がシミュレート値θr#の変化率dθr#/d
tの絶対値|dθr#/dt| より所定値C2以上大きいとき
に左右後輪RW1,RW2の操舵異常を判定し、絶対値
|dθr/dt| が絶対値|dθr#/dt|より所定値C2 以上
大きくないときには操舵異常の判定をしない。したがっ
て、各センサ31〜33に異常が発生したり、電動モー
タ21が暴走して実際の後輪舵角θr が目標後輪舵角θ
r*のシミュレート値θr# を越えていくような場合には
左右後輪RW1,RW2が操舵異常であると判定される
が、同後輪RW1,RW2の操舵負荷が大きくて実舵角
が目標後輪舵角θr*に追従できないような場合には操舵
異常であると判定されない。また、シミュレート値θr
# の変化方向と後輪舵角θrの変化方向が異なる場合に
は、後輪舵角θr の変化率dθr/dtの絶対値|dθr/dt|
が所定値C3 以上であるとき左右後輪RW1,RW2の
操舵異常を判定するようにした。したがって、各センサ
31〜33に異常が発生したり、電動モータ21が暴走
して左右後輪RW1,RW2がシミュレート値θr# と
反対方向に操舵されてしまうような場合にも、操舵異常
が判定される。その結果、上記実施例によれば、左右後
輪RW1,RW2が縁石に接触したり、轍に嵌ったりし
て一時的に操舵不能になった場合には、操舵異常と判定
されないで、以降も左右後輪RW1,RW2の操舵制御
が続行されるので、左右後輪RW1,RW2の操舵機能
を不必要に制限しなくなる。
【0026】さらに、上記実施例によれば、ステップ1
20〜124の処理により左右後輪RW1,RW2の操
舵異常が判定されても、ステップ128,130の処理
により、後輪舵角θrとシミュレート値θr#との差θr
−θr#の絶対値|θr−θr#|が所定値C4 未満なら
ば、同後輪RW1,RW2の操舵制御を続けて前記絶対
値|θr−θr#|が所定値C4 以上になった時点で初め
て、左右後輪RW1,RW2の操舵を停止する。このよ
うに、前記絶対値|θr−θr#|が所定値C4未満であっ
て車両走行上問題ない場合には、電動モータ21の正常
復帰を待ち、同モータ21が正常復帰して変化率dθr/d
t,dθr#/dt が異常範囲を脱出すれば、左右後輪RW
1,RW2の操舵が再開される。これにより、左右後輪
RW1,RW2の操舵機能がより制限されなくなる。
【0027】次に、上記実施例の第1〜3変形例につい
て説明する。
【0028】a.第1変形例 第1変形例について説明すると、同変形例は上記実施例
と同一構成を有するが、マイクロコンピュータ35は図
5,6のフローチャートに対応したプログラムを同コン
ピュータ35内のタイマ作用の基に所定時間毎に実行す
る。
【0029】このプログラムの実行はステップ200に
て開始され、上記実施例のステップ106〜110の処
理と同様なステップ202〜206の処理により後輪R
W1,RW2を目標舵角θr*に操舵制御する。
【0030】この後輪RW1,RW2の操舵制御後、マ
イクロコンピュータ35はステップ208にて目標舵角
制限ルーチンを実行する。この目標舵角制限ルーチンの
詳細は図6のフローチャートに示されており、マイクロ
コンピュータ35は同ルーチンの実行をステップ300
にて開始し、ステップ302〜308の処理により、前
記決定した目標後輪舵角θr*を左右後輪RW1,RW2
の左右への最大舵角を表す予め決められた上限値θrmax
及び下限値−θrmaxの範囲内に制限する。すなわち、目
標後輪舵角θr*が上限値θrmaxを正方向に越えていれば
目標後輪舵角θr*を上限値θrmaxに変更し、目標後輪舵
角θr*が下限値−θrmaxを負方向に越えていれば目標後
輪舵角θr*を下限値−θrmaxに変更し、目標後輪舵角θ
r*が上限値θrmaxと下限値−θrmaxの間にあれば目標後
輪舵角θr*をそのままに保つ。
【0031】次に、ステップ310〜316の処理によ
り、電動モータ21の速度性能を考慮して目標後輪舵角
θr*を上限値θr+Mvmax・Δt及び下限値θr−Mvmax・
Δtの範囲内に制限する。ここで、θr は左右後輪RW
1,RW2の現在の実舵角であり、Mvmaxは電動モータ
21の速度性能の限界を表す最大速度であり、Δtは図
2のプログラム(図3の目標舵角制限プログラムを含
む)の実行時間間隔を表すので、上限値θr+Mvmax・Δ
t及び下限値θr−Mvmax・Δtは、電動モータ21の速
度性能に照らして次のプログラムの実行までに左右後輪
RW1,RW2を操舵可能な正負両側の限界舵角を示し
ている。これらのステップ310〜316の処理におい
ては、前回のステップ204,302〜308の処理に
より決定されかつ制限された目標後輪舵角θr*と今回の
ステップ204,302〜308の処理により決定され
かつ制限された目標後輪舵角θr*との差を前記時間間隔
Δtで除算して目標後輪舵角θr*の変化速度dθr*/dtを
計算し、同変化速度dθr*/dtと電動モータ21の正負両
側の各最大速度Mvmax,−Mvmaxをそれぞれ比較する。
そして、変化速度dθr*/dtがそれぞれ各最大速度Mvma
x,−Mvmaxを正負方向に越えていれば目標後輪舵角θr
*を下記数3,4の実行によって変更し、変化速度dθr*
/dtが各最大速度Mvmax,−Mvmaxの間にあれば目標後
輪舵角θr*をそのままに保つ。
【0032】
【数3】θr*=MIN[θr*,θr+Mvmax・Δt]
【0033】
【数4】θr*=MAX[θr*,θr−Mvmax・Δt] 前記数3中の演算子MIN[]は括弧内の値の小さな方
を選択し、前記数4中の演算子MAX[]は括弧内の値
の大きな方を選択することを意味する。なお、このよう
な演算子を用いる理由は、ステップ302〜308の処
理によって既に目標後輪舵角θr*が上限値θr+Mvmax・
Δt及び下限値θr−Mvmax・Δtの範囲内に制限されて
いる可能性があるからである。
【0034】次に、ステップ318〜324の処理によ
り、電動モータ21の加速性能を考慮して目標後輪舵角
θr*を上限値θr+dθr/dt・Δt+1/2・Mamax・Δt2
び下限値θrd+dθr/dt・Δt−1/2・Mamax・Δt2の範囲
内に制限する。ここで、θr,Δtは前述のとおりであ
り、dθr/dt は左右後輪RW1,RW2の現在の実舵角
θr の変化速度であり、Mamaxは電動モータ21の加速
性能の限界を表す最大加速度であるので、上限値θr+d
θr/dt・Δt+1/2・Mamax・Δt2及び下限値θr+dθr/d
t・Δt−1/2・Mamax・Δt2は、電動モータ21の加速性
能に照らして次のプログラムの実行までに左右後輪RW
1,RW2を操舵可能な正負両側の限界舵角を示してい
る。これらのステップ318〜324の処理において
は、前回のステップ310の処理により計算された目標
後輪舵角速度dθr*/dtと今回のステップ310の処理に
より計算された目標後輪舵角速度dθr*/dtとの差を前記
時間間隔Δtで除算して目標後輪舵角θr*の加速度d2θ
r*/dt2を計算し、同加速度d2θr*/dt2と電動モータ21
の正負両側の各最大加速度Mamax,−Mamaxをそれぞれ
比較する。そして、加速度d2θr*/dt2がそれぞれ各最大
加速度Mamax,−Mamaxを正負方向に越えていれば目標
後輪舵角θr*を下記数5,6の実行によって変更し、加
速度d2θr*/dt2が各最大加速度Mamax,−Mamaxの間に
あれば目標後輪舵角θr*をそのままに保つ。
【0035】
【数5】θr*=MIN[θr*,θr+dθr/dt・Δt+1/2
・Mamax・Δt2
【0036】
【数6】θr*=MAX[θr*,θr+dθr/dt・Δt−1/2
・Mamax・Δt2] 前記数5,6中の演算子MIN[]及び演算子MA
X[]は前述のとおりであり、この場合も、ステップ3
02〜308又はステップ310〜316の処理によっ
て既に目標後輪舵角θr*が上限値θr+dθr/dt・Δt+1
/2・Mamax・Δt2 及び下限値θr+dθr/dt・Δt−1/2・
Mamax・Δt2 の範囲内に制限されている可能性を考慮
している。
【0037】前記ステップ208(図5)の目標舵角制
限ルーチンの実行を終了すると、ステップ210にて、
前記数2と同様に、電動モータ21の応答性を表す伝達
関数G(s)を用いた下記数7の演算の実行により電動モ
ータ21による目標後輪舵角θr*のシミュレート値θr
#を計算する。
【0038】
【数7】
【0039】前記ステップ210の処理後、電動モータ
21などの操舵系の異常判定のために、ステップ212
にて前記計算したシミュレートθr# と検出した左右後
輪RW1,RW2の実舵角θr との差の絶対値|θr#
−θr|が小さな所定値A未満であるか否かを判定する
とともに、ステップ214にてシミュレートθr# の微
分値dθr#/dtと左右後輪RW1,RW2の実舵角θrの
微分値(変化速度)dθr/dt との差の絶対値|dθr#/d
t−dθr/dt|が小さな所定値B未満であるか否かを判定
する。これらの判定において、絶対値|θr#−θr|が
所定値A未満かつ絶対値|dθr#/dt−dθr/dt|が所定
値B未満であれば、両ステップ212,214にて「Y
ES」と判定してステップ216にてプログラムの実行
を一旦終了する。そして、所定時間の経過後に、プログ
ラムの実行をステップ200からふたたび開始して左右
後輪RW1,RW2を目標後輪舵角θr*に操舵制御す
る。
【0040】一方、電動モータ21などの操舵系の異常
により、前記絶対値|θr#−θr|が所定値A以上又は
前記絶対値|dθr#/dt−dθr/dt|が所定値B以上にな
ると、ステップ212,214の判定処理によってプロ
グラムをステップ218,220に進める。ステップ2
18,220の処理は上記実施例の図2のステップ13
2,134の処理と同じであり、これらのステップ21
8,220により警告ランプ37が点灯されるととも
に、左右後輪RW1,RW2が中立位置に復帰制御され
る。前記ステップ218,220の処理後、ステップ2
22の処理により以降のプログラムの実行を停止し、以
降、左右後輪RW1,RW2の操舵制御は中止される。
【0041】上記作動説明のように、この変形例によれ
ば、ステップ204の処理により車両の走行状態に応じ
て左右後輪RW1,RW2の目標後輪舵角θr*を計算し
た後、ステップ208の目標舵角制限ルーチンの処理に
より前記計算した目標後輪舵角θr*は所定の範囲内に制
限される。具体的には、図6の目標舵角制限ルーチンの
ステップ302〜308の処理によって目標後輪舵角θ
r*は左右後輪RW1,RW2の最大舵角θrmaxに対応し
た変化範囲に制限され、ステップ310〜316の処理
によって目標後輪舵角θr*は電動モータ21の速度性能
の限界に基づく上限値θr+Mvmax・Δt及び下限値θr
−Mvmax・Δtの範囲内に制限され、ステップ318〜
324の処理によって目標後輪舵角θr*は電動モータ2
1の加速性能の限界に基づく上限値θr+dθr/dt・Δt
+1/2・Mamax・Δt2及び下限値θrd+dθr/dt・Δt−1/
2・Mamax・Δt2 の範囲内に制限される。
【0042】このように電動モータ21の作動性能に応
じて制限された目標後輪舵角θr*は、ステップ210の
処理によりさらに電動モータ21の応答性能を考慮して
同モータ21による目標後輪舵角θr* のシミュレート
値θr#に変換される。そして、ステップ212,21
4の処理により、この制限及び変換されたシミュレート
値θr# と実後輪舵角θrとの差の絶対値|θr#−θr
|及び同シミュレートθr#の微分値dθr#/dtと実後輪
舵角θrの微分値(変化速度)dθr/dt との差の絶対値
|dθr#/dt−dθr/dt|に基づいて電動モータ21など
の操舵系の異常を判定するようにしたので、シミュレー
ト値θr#と後輪RW1,RW2の実舵角θrに基づいて
操舵系の異常が判定されるので、目標舵角θr*が電動モ
ータ21の応答性能及び作動性能以上の値に設定されて
も、前記以上判定は応答性能及び作動性能の範囲内で行
われ、同判定が精度よく行われるようになる。
【0043】b.第2変形例 この第2変形例は前記第1変形例の目標舵角制限ルーチ
ンを変更したものである。この変更した目標舵角制限ル
ーチンは図7のフローチャートに詳細に示されており、
マイクロコンピュータ35はステップ400にて同ルー
チンの実行を開始し、ステップ402にて左右後輪RW
1,RW2の実舵角θr を微分することにより電動モー
タ21の回転速度Mv(=dθr/dt)を計算する。次に、
ステップ404にてこの回転速度Mvの絶対値|Mv|に
基づいてマイクロコンピュータ35内に設けたテーブル
(図8)を参照して、前記絶対値|Mv| に対応した電
動モータ21の最大加速度Ma を決定する。このテーブ
ルは、電動モータ21の回転速度−加速度(トルク)特
性に基づく実測結果により予め決定されているもので、
回転速度Mv にそれぞれ対応した電動モータ21の限界
を示す最大加速度Maを表している。
【0044】この最大加速度Ma の決定後、ステップ4
06,408にて下記数8,9の演算の実行により目標
後輪舵角θr*の上限値θrmax及び下限値θrminを計算す
る。
【0045】
【数8】θrmax=θr+Mv・Δt+1/2・Ma・Δt2
【0046】
【数9】θrmin=θr+Mv・Δt−1/2・Ma・Δt2 前記数8,9中のΔtも上記実施例と同様にプログラム
が実行される時間間隔であるので、上限値rmax及び下限
値θrminは、電動モータ21の加速性能に照らして次の
プログラムの実行までに左右後輪RW1,RW2を操舵
可能な正負両側の限界舵角を示している。
【0047】前記ステップ406,408の処理後、ス
テップ410,412にて車両の走行状態に応じて図5
のステップ204の処理により決定した目標後輪舵角θ
r*が上限値rmaxと下限値θrminの間にあるか否かを判定
する。目標後輪舵角θr*が上限値rmaxと下限値θrminの
間にあれば、ステップ410,412にて共に「YE
S」と判定し、目標後輪舵角θr*を前記決定した値に保
ったまま、ステップ418にて目標舵角制限ルーチンの
実行を終了する。目標後輪舵角θr*が上限値rmaxを正方
向に越えていれば、ステップ410にて「NO」と判定
してステップ414の処理により目標後輪舵角θr*を上
限値θrmaxに変更する。目標後輪舵角θr*が下限値θrm
inを負方向に越えていれば、ステップ412にて「N
O」と判定してステップ414の処理により目標後輪舵
角θr*を下限値θrminに変更する。
【0048】そして、上記実施例及び第1変形例と同様
に、この制限された目標後輪舵角θr*が電動モータ21
の応答性能を考慮して同モータ21による目標後輪舵角
θr*のシミュレート値θr#に変換され、同変換された
シミュレート値θr#と後輪RW1,RW2の実舵角θr
に基づいて操舵系の異常が判定されるので、同判定が
精度よく行われるようになる。
【0049】c.第3変形例 この第3変形例も前記第1変形例の目標舵角制限ルーチ
ンを変更したものである。この変更した目標舵角制限ル
ーチンは図9のフローチャートに詳細に示されており、
マイクロコンピュータ35はステップ500にて同ルー
チンの実行を開始し、ステップ502にて左右後輪RW
1,RW2の実舵角θr を微分することにより電動モー
タ21の回転速度Mv(=dθr/dt)を計算し、ステップ
504にて前記回転速度Mvを微分することにより電動
モータ21の回転加速度Maを計算する。次に、ステッ
プ506にてこの回転速度Mv及び回転加速度Maに基づ
いてマイクロコンピュータ35内に設けた速度テーブル
(図10)及び加速度テーブル(図11)を参照して電
動モータ21の作動状態を決定する。速度テーブルは電
動モータ21の下記〜の作動状態S1〜S6にそれぞれ
対応した時間に対する速度変化の実測結果を示してお
り、加速度テーブルは同モータ21の各作動状態S1〜S6
にそれぞれ対応した時間に対する加速度変化の実測結果
を示している。
【0050】作動状態S1は、正方向へ最大速度で回転
していた電動モータ21が最大減速度で減速して、同モ
ータ21の回転が停止するまでの状態を示す。 作動状態S2は、回転を停止していた電動モータ21が
最大加速度で正方向へ回転し始めて、同モータ21の回
転が正方向の最大速度に達するまでの状態を示す。 作動状態S3は、回転を停止していた電動モータ21が
最大加速度で負方向へ回転し始めて、同モータ21の回
転が負方向の最大速度に達するまでの状態を示す。 作動状態S4は、負方向へ最大速度で回転していた電動
モータ21が最大減速度で減速して、同モータ21の回
転が停止するまでの状態を示す。 作動状態S5は、電動モータ21が正方向へ最大速度で
回転し続けている状態を示す。 作動状態S6は、電動モータ21が負方向へ最大速度で
回転し続けている状態を示す。 このように前記作動状態S1〜S6は電動モータ21が作動
する全ての場合を列挙しており、かつ回転速度Mv及び
回転加速度Maの正負及び零の組合せは各作動状態S1〜S
6毎に異なるので、前記ステップ506の処理により電
動モータ21の作動状態S1〜S6が決定される。例えば、
回転速度Mv及び回転加速度Maが共に正であれば電動モ
ータ21は作動状態S2に決定され、また回転速度Mv が
正で回転加速度Maが零であれば電動モータ21は作動
状態S5に決定される。
【0051】次に、ステップ508にて前記決定された
作動状態S1(又はS2〜S6)及び電動モータ21の回転速
度Mv に基づいて速度テーブル(図10)を参照して、
回転速度Mvに対応した時刻txを決定する。次に、ステ
ップ510にて前記と同じ決定された作動状態S1(又は
S2〜S6)及び前記決定された時刻tx に基づいてマイク
ロコンピュータ35内に設けられた舵角変化量テーブル
(図12)を参照して、時刻tx に対応した舵角変化量
Δθ(tx)及び時刻txからプログラムの実行時間間隔Δ
t後の舵角変化量Δθ(tx+Δt) を決定する。図12
の舵角変化量テーブルは、電動モータ21の各作動状態
S1〜S6に対応した左右後輪RW1,RW2の舵角の変化
量Δθを各作動状態の開始から終了までに渡って実測し
た値を表している。したがって、舵角変化量Δθ(tx)
は前記決定された作動状態S1(又はS2〜S6) の開始か
ら現在までに変化した舵角を表しており、舵角変化量Δ
θ(tx+Δt)は次に目標後輪舵角θr* が決定されるま
での舵角を表すことになる。前記ステップ510の処理
後、 ステップ512にて前記決定した舵角変化量Δθ
(tx),Δθ(tx+Δt)を用いた下記数10の演算の実
行により、左右後輪RW1,RW2の現在から次のプロ
グラムの実行までに変化し得る最大舵角変化量Δθx を
計算する。
【0052】
【数10】Δθx=Δθ(tx+Δt)−Δθ(tx) この最大舵角変化量Δθxの計算後、ステップ514に
て最大舵角変化量Δθxが「0」以上であるか否かを判
定する。最大舵角変化量Δθx が「0」以上であれば、
ステップ516にて目標後輪舵角θr*が現在の実舵角θ
r に最大舵角変化量Δθx を加えた上限値θr+Δθxを
正方向に越えたか否かを判定する。前記判定において、
目標後輪舵角θr*が前記上限値θr+Δθxを越えていな
ければ、ステップ516にて「YES」と判定して、同
目標後輪舵角θr*を以前の値に維持したまま、ステップ
522にて目標舵角制限ルーチンの実行を終了する。ま
た、目標後輪舵角θr*が前記上限値θr+Δθxを越えて
いれば、ステップ516にて「NO」と判定して、ステ
ップ520にて同目標後輪舵角θr* を上限値θr+Δθ
xに制限する。
【0053】一方、最大舵角変化量Δθx が「0」未満
であれば、ステップ518にて目標後輪舵角θr*が現在
の実後輪舵角θr に最大舵角変化量Δθxを加えた下限
値θr+Δθx を負方向に越えたか否かを判定する。前
記判定において、目標後輪舵角θr*が前記下限値θr+
Δθxを越えていなければ、ステップ518にて「YE
S」と判定して、同目標後輪舵角θr*を以前の値に維持
したまま、ステップ522にて目標舵角制限ルーチンの
実行を終了する。また、目標後輪舵角θr*が前記下限値
θr+Δθxを越えていれば、ステップ518にて「N
O」と判定して、ステップ520にて同目標後輪舵角θ
r*を下限値θr+Δθxに制限する。
【0054】そして、上記実施例、第1及び第2変形例
と同様に、この制限された目標後輪舵角θr*が電動モー
タ21の応答性能を考慮して同モータ21による目標後
輪舵角θr*のシミュレート値θr#に変換され、同変換
されたシミュレート値θr#と後輪RW1,RW2の実
舵角θr に基づいて操舵系の異常が判定されるので、同
判定が精度よく行われるようになる。
【0055】なお、上記第1〜第3変形例においては、
目標後輪舵角θr*を現在の実後輪舵角θr から電動モー
タ21の速度性能及び加速性能にしたがった所定の範囲
内に制限するようにしたが、この目標後輪舵角θr*を前
回のプログラム実行時に決定した目標後輪舵角θr*から
電動モータ21の速度性能及び加速性能にしたがった所
定の範囲内に制限するようにしてもよい。この場合、上
記第1変形例においては、図6のステップ314,31
6,322,324にて実行される数3〜6のθrをθr
*に変更すればよい。また、第2変形例においては、ス
テップ406,408にて実行される数8,9のθr を
θr*に変更すればよい。さらに、第3変形例において
は、図9のステップ516,518の判定処理における
上限値及び下限値θr+Δθxの演算を、目標後輪舵角θ
r*を用いて計算した上限値及び下限値θr*+Δθx に変
更すればよい。
【0056】また、上記実施例及び各変形例において、
操舵異常の判定条件を次のようにすることもできる。 まず、目標後輪舵角θr*のシミュレート値θr#と実
後輪舵角θrとの差の絶対値が所定値以上のとき、左右
後輪RW1,RW2の操舵異常と判定する。
【0057】前記により操舵異常と判定されない場
合でも、前記シミュレート値θr#の変化率dθr#/dtと
実後輪舵角θrの変化率dθr/dtとの差の絶対値が所定値
以上のとき、左右後輪RW1,RW2の操舵異常と判定
する。ただし、この場合において、シミュレート値θr
#の変化方向と実後輪舵角θrの変化方向が異なる場合
における異常判定条件である所定値を、両変化方向が異
なる場合における異常判定条件である所定値に等しく又
は同所定値より小さな値に値に設定するとよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例に係る車両の全体概略図であ
る。
【図2】 図1のマイクロコンピュータにて実行される
プログラムを示すフローチャートである。
【図3】 (A)は車速に対するヨーレート比例係数の変
化特性図、(B)は車速に対する舵角比例係数の変化特性
図である。
【図4】 後輪操舵の異常範囲と正常範囲とを示すグラ
フである。
【図5】 第1変形例に係る図1のマイクロコンピュー
タにて実行されるプログラムに対応したフローチャート
である。
【図6】 図5の目標舵角制限ルーチンの詳細を示すフ
ローチャートである。
【図7】 第2変形例に係る目標舵角制限ルーチンの詳
細を示すフローチャートである。
【図8】 電動モータの回転速度に対する加速度の変化
特性を示すグラフである。
【図9】 第3変形例に係る目標舵角制限ルーチンの詳
細を示すフローチャートである。
【図10】 電動モータの各作動状態における回転速度
の時間変化特性を示すグラフである。
【図11】 電動モータの各作動状態における加速度の
時間変化特性を示すグラフである。
【図12】 電動モータの各作動状態における後輪の舵
角変化量の時間変化特性を示すグラフである。
【符号の説明】
FW1,FW2…前輪、RW1,RW2…後輪、10…
前輪操舵機構、20…後輪操舵機構、21…電動モー
タ、30…電気制御装置、31…車速センサ、32…ヨ
ーレートセンサ、33…前輪舵角センサ、34…後輪舵
角センサ、35…マイクロコンピュータ、36a,36
b…駆動回路、37…警告ランプ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 塚 秀守 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 深谷 克己 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 藤田 耕造 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 田川 真一 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 アイシ ン精機株式会社内 (72)発明者 葛谷 秀樹 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 アイシ ン精機株式会社内 (72)発明者 中島 洋 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 アイシ ン精機株式会社内 (72)発明者 宮田 任康 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 アイシ ン精機株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気的に駆動されて後輪を操舵するアク
    チュエータと、車両の走行状態に応じて後輪の目標舵角
    を決定する目標舵角決定手段と、後輪の実舵角を検出す
    る後輪舵角センサと、前記決定した目標舵角と前記検出
    した実舵角とに応じて前記アクチュエータを制御して後
    輪を前記決定した目標舵角に操舵する操舵制御手段とを
    備えた後輪操舵装置において、 前記アクチュエータの応答性を表す伝達関数を用いて前
    記決定した目標舵角を監視用目標舵角に変換する目標舵
    角変換手段と、 前記変換された監視用目標舵角と前記検出した実舵角と
    に基づいて操舵異常を判定する異常判定手段とを設けた
    ことを特徴とする後輪操舵装置の異常検出装置。
  2. 【請求項2】 前記請求項1の異常判定手段を、 前記変換された目標舵角の変化率を計算する第1計算手
    段と、 前記検出した実舵角の変化率を計算する第2計算手段
    と、 前記目標舵角の変化方向と前記実舵角の変化方向が同じ
    でありかつ前記計算した実舵角の変化率の絶対値が前記
    計算した目標舵角の変化率の絶対値より所定値以上大き
    いとき、または前記目標舵角の変化方向と前記実舵角の
    変化方向が異なりかつ前記計算した実舵角の変化率の絶
    対値が所定値以上であるとき後輪の操舵異常を判定する
    判定手段とにより構成したことを特徴とする後輪操舵装
    置の異常検出装置。
  3. 【請求項3】 電気的に駆動されて後輪を操舵するアク
    チュエータと、車両の走行状態に応じて後輪の目標舵角
    を決定する目標舵角決定手段と、後輪の実舵角を検出す
    る後輪舵角センサと、前記決定した目標舵角と前記検出
    した実舵角とに応じて前記アクチュエータを制御して後
    輪を前記決定した目標舵角に操舵する操舵制御手段とを
    備えた後輪操舵装置において、 前記決定した目標舵角を前記アクチュエータの作動能力
    に応じた所定の範囲内に制限して監視用目標舵角とする
    目標舵角制限手段と、 前記制限された監視用目標舵角と前記検出した実舵角と
    に基づいて操舵異常を判定する異常判定手段とを設けた
    ことを特徴とする後輪操舵装置の異常検出装置。
JP29817493A 1993-01-14 1993-11-29 後輪操舵装置の異常検出装置 Expired - Lifetime JP3137519B2 (ja)

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