JP3136777B2 - 車両の前輪操舵角検出装置 - Google Patents

車両の前輪操舵角検出装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複数の前輪操舵角セン
サを備え、これらの内のいずれかの検出信号に基づいて
車両の前輪操舵角を検出する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、車両の前輪操舵角を検出するた
め、ロータリーエンコーダ型の前輪操舵角センサを配設
して前輪の相対的な操舵角の変化量を検出すると共に、
所定の直進走行中にステアリング中立位置を推定演算
し、この中立位置と前記相対的な操舵角変化量との関係
から前輪の操舵角を検出する装置が知られていた(例え
ば、特開昭61−11608号)。また、この様なセン
サを用いて検出された前輪操舵角は、例えば特開昭60
−124572号公報に記載される様に、後輪操舵装置
を用いた横滑り防止制御などに用いられていた。
【0003】最近では、こうしたロータリーエンコーダ
型の前輪操舵角センサだけではなく、ポテンショ型の前
輪操舵角センサを組み合わせることによって、前輪操舵
角の中立位置学習が終了するまではポテンショ型の前輪
操舵角センサにて操舵角を検出し、中立位置学習が終了
した後にはロータリーエンコーダ型の前輪操舵角センサ
に切り換えて操舵角を検出する装置が本出願人より出願
されるに至った(特願平3−85462)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記特願平3−854
62号で提案した装置によれば、中立位置演算の完了す
る前の発進直後から有効な4輪操舵を実施することなど
ができ、当該出願の目的とする優れた作用・効果を発揮
できる様になったが、新たに以下の問題が生じてきた。
【0005】この従来の装置においては、ポテンショ型
の前輪操舵角センサの取り付け不良等により取り付け位
置がずれていたりすると、ポテンショ型センサからロー
タリーエンコーダ型センサに切り換わった時に、前輪操
舵角の検出値が急変してしまい、前輪操舵角に基づいた
車両制御(例えば、後輪転舵制御)が効果的に行われな
いという問題が生じてきたのである。
【0006】そこで本発明は、上記問題に鑑み、複数の
前輪操舵角センサをいずれかに切り換えて前輪の操舵角
を決定する前輪操舵角検出装置において、操舵角決定の
ためのセンサが切り換わったときに検出値が急変するこ
となく、徐々に変化していく車両の前輪操舵角検出装置
を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明の車両の
前輪操舵角検出装置は、上記目的を達成するため、図1
に例示するように、前輪の操舵角を検出する複数の前輪
操舵角センサと、所定条件に従って、該複数の前輪操舵
角センサの内のいずれの検出値に基づいて前輪操舵角を
決定するかを選択するセンサ選択手段と、該センサ選択
手段により選択された前輪操舵角センサの検出値に基づ
いて前輪操舵角を決定する操舵角決定手段と、該決定さ
れた前輪操舵角を出力する操舵角出力手段とを備えた車
両の前輪操舵角検出装置において、前記センサ選択手段
により選択されるセンサが切り換わるとき、この切り換
え前に出力されていた前輪操舵角から、切り換え後に出
力すべき前輪操舵角へと、前記操舵角出力手段の出力を
徐々に変化させていく漸次接近手段とを備えることを特
徴とする。
【0008】この車両の前輪操舵角検出装置によれば、
前輪操舵角決定のためのセンサが切り換えられる際に
は、漸次接近手段が、この切り換え前に出力されていた
前輪操舵角から、切り換え後に出力すべき前輪操舵角へ
と、操舵角出力手段の出力を徐々に変化させていく。従
って、ある条件にて前輪操舵角センサが切り換えられて
も、各種の制御パラメータなどとして利用される前輪操
舵角の出力が急変することはない。
【0009】この様な本発明の車両の前輪操舵角検出装
置は、請求項2に記載した様に、前記複数の前輪操舵角
センサとして、前輪の操舵角が変化したときに、その角
度変化に応じた信号を出力する第1の前輪操舵角センサ
と、前輪の操舵角に応じた信号を出力する第2の前輪操
舵角センサとを備え、前記操舵角決定手段として、少な
くとも前記第1の前輪操舵角センサから出力される信号
に基づいて前輪操舵角の中立位置を推定演算する中立位
置演算手段と、前記第1の前輪操舵角センサから出力さ
れる信号と、前記中立位置演算手段によって推定演算さ
れる前輪操舵角の中立位置とに基づいて、第1の前輪操
舵角を算出する第1の前輪操舵角算出手段と、前記第2
の前輪操舵角センサから出力される信号に基づいて第2
の前輪操舵角を算出する第2の前輪操舵角算出手段とを
備え、前記センサ選択手段として、前記中立位置演算手
段が前記中立位置の推定演算を終了したか否かを判断す
る推定演算終了判断手段と、該推定演算終了判断手段が
中立位置の演算が終了したと判断するまでは第2の前輪
操舵角センサの方を選択し、中立位置の演算が終了した
と判断した後は第1の前輪操舵角センサの方を選択する
推定演算対応選択手段とを備えることを特徴とする車両
の前輪操舵角検出装置としても完成されている。
【0010】この請求項2記載の車両の前輪操舵角検出
装置によれば、車両のエンジン始動直後の様に前輪操舵
の中立位置演算が終了する前であるため第1の前輪操舵
角センサの検出値を使用して前輪操舵角の決定をするこ
とができない期間においては、この様な中立位置補正の
いらない第2の前輪操舵角センサの検出値に基づいて前
輪操舵角の決定・出力がなされ、中立位置演算が終了し
た後は第1の前輪操舵角センサの検出値に基づく前輪操
舵角の決定・出力がなされる。そして、このようなセン
サの切り換えの際には、漸次接近手段が作動するので、
前輪操舵角の出力が急変するということがない。
【0011】従って、請求項2記載の装置によれば、エ
ンジン始動直後から前輪操舵角に基づく各種の制御を実
行することができる。そして、中立位置演算が終了した
後は、ノイズ等の影響を受けることなく精度の高い操舵
角検出が可能な第1の前輪操舵角センサを用いて、精度
のよい制御を実行することができる。そして、この中立
位置演算に伴うセンサの切り換えの際に、前輪操舵角が
スムーズに変更されるので制御の不安定化などの不具合
を引き起こすことがない。
【0012】本発明は、この様なエンジン始動直後の問
題を解決するためのものに限らず、さらに、請求項3記
載の様に、上述した請求項1又は請求項2記載の車両の
前輪操舵角検出装置において、さらに、車両の運転状態
を検出する運転状態検出手段を備え、前記センサ選択手
段は、該運転状態検出手段の検出した運転状態に応じて
前記複数の前輪操舵角センサのいずれかを選択する運転
状態対応選択手段を備えることを特徴とする車両の前輪
操舵角検出装置としても完成されている。
【0013】この請求項3記載の車両の前輪操舵角検出
装置によれば、車両の運転状態の条件、例えば車速があ
る値以上か否かとか、転舵は急転舵か否かとか、その他
の種々の運転状態の条件に基づいて、複数の前輪操舵角
センサのいずれかを用いることができる。従って、各種
の運転状態での制御にそれぞれ適したセンサを配設して
おき、運転状態に合致した制御を行うことを可能ならし
める。そして、本発明の検出装置によれば、その様な制
御をするにおいて、運転状態が切り換わったときに制御
の急変を招くということがない。
【0014】
【実施例】以下、本発明を車両の後輪操舵装置に適用し
た一実施例を図面に従って説明する。図2において、後
輪操舵機構1内に取りつけられた直流サーボモータ2は
制御装置3の指令信号を受けて正逆方向に回転し、減速
ギヤ4を通して油圧パワーアシスト付ラック・アンド・
ピニオン機構つまり操舵機構1の入力軸(図示しないト
ーションバー)の一端に連結されている。トーションバ
ーの他端にはピニオンギア5が装着されており、パワー
ピストン6の一端に形成されたラック7と噛み合ってい
る。即ち、モータ2によりトーションバーの一端が回さ
れ、トーションバーが捩れ、油圧バルブ8の絞り面積が
変化し、トーションバーの捩れを修正する方向に油圧を
供給してパワーピストン6を動かす機構となっている。
パワーピストン6の両端は、それぞれタイロッド9を介
してナックルアーム10によって左右方向へ揺動自在に
支持されている。
【0015】従って、図中のA方向にパワーピストン6
が動くことで、後輪11は左右に操舵される。そして、
トーションバーの捩れがなくなると油圧バルブ8の絞り
面積は「0」となり、パワーピストン6を動かす油圧は
「0」となって、パワーピストン6は停止する。ここ
で、後輪操舵角センサ12は、パワーピストン6の位置
を検出し信号を出力する。制御装置3は、この信号に基
づいて、パワーピストン6の位置と後輪実舵角との関係
から、後輪実舵角を求めるとともに、後輪実舵角の変化
率より操舵角速度も求める。サーボモータ2を含む操舵
機構1と制御装置3とによって、後輪操舵角指令位置に
後輪実舵角が一致するように後輪11を位置決め制御す
る位置決めサーボ系を構成している。尚、13は油圧バ
ルブ8を介してパワーピストン6に油圧を供給する油圧
ポンプ、14はオイルタンクを示す。
【0016】車速センサ15は車軸の回転速度を検出し
て車速Vに応じた車速信号を制御装置3に出力する。エ
ンコーダ型前輪操舵角センサ16はインクリメントタイ
プのロータリーエンコーダよりなり、被回転体としての
ステアリングシャフト17に設けられている。このエン
コーダ型前輪操舵角センサ16は、図3に示すようにス
テアリングシャフト17に対し多数の歯を有する歯車1
6aが固定されるとともに一対のホトインタラプタ16
b,16cが近接位置にて配設されており、ホトインタ
ラプタ16b,16cにて歯車16aの歯の通過を検知
するものである。そして、エンコーダ型前輪操舵角セン
サ16(ホトインタラプタ16b,16c)は、ステア
リングホイール18のハンドル操作に伴うステアリング
シャフト17の回転を検出して、操舵角θsに応じた前
輪操舵角信号を制御装置3に出力する。
【0017】ハンドルが右に回転した時のホトインタラ
プタ16b,16cの出力波形は、図4に示すようにな
り、左に回転した時のホトインタラプタ16b,16c
の出力波形は図5に示すようになる。ポテンショ型前輪
操舵角センサ34は、ポテンショメータタイプの位置セ
ンサで、図6に示すようにポテンショの本体を車両ボデ
ィに固定し、摺動子を前輪操舵リンク35に固定し、リ
ンクの左右ストローク量に応じた電圧が出力されるよう
になっている。図7に示すように一端を5V,もう一端
を0Vに接続すると、摺動子の出力電圧は、図8に示す
ように第2の前輪操舵角θaに応じた0〜5Vの電圧と
なる。
【0018】ヨーレイトセンサ20はジャイロ等で構成
され、車両の重心を中心とした車両の回転角速度(ヨー
レイトWa)に応じたヨーレイト信号を制御装置3に出
力する。左車輪速センサ21は前輪19の左車輪の回転
速(左車輪速ωL )を検出し、右車輪速センサ22は前
輪19の右車輪の回転速(左車輪速ωR )を検出する。
ブレーキスイッチ23はABS(アンチロックブレーキ
システム)制御実行中、もしくは、ブレーキペダル操作
が行われるとオンする。
【0019】制御装置3を図9に基づいて説明すると、
マイクロコンピュータ(以下、「マイコン」という)2
4と、波形整形回路25〜28と、アナログバッファ2
9と、A/Dコンバータ30と、デジタルバッファ31
と、駆動回路32とから構成されている。波形整形回路
25〜28は車速センサ15、左車輪速センサ21、右
車輪速センサ22、エンコーダ型前輪操舵角センサ16
からの信号を波形整形してマイコン24に取り込ませ
る。カウンタ33は、エンコーダ型前輪操舵角センサ1
6の信号のパルスの数をカウントし、操舵角θsをマイ
コン24から読み取れるようにする。又、アナログバッ
ファ29は、ポテンショ型前輪舵角センサ34と後輪操
舵角センサ12とヨーレイトセンサ20からの各信号を
読み込み、A/Dコンバータ30はアナログデジタル変
換を行う。デジタルバッファ31はブレーキスイッチ2
3からの信号をレベル変換する。さらに、駆動回路32
はマイコン24からの電流指令値信号Ifに応じた電流
を直流サーボモータ2に供給する。
【0020】次に、このように構成された後輪操舵装置
の作用を説明する。図10にはマイコン24のメイン処
理ルーチンを示し、図11には車速センサ15及び左右
車輪速センサ21,22からのパルス信号による車速パ
ルス処理を示し、図12には所定時間毎(例えば、5m
s毎)に実行される割り込み処理ルーチンを示す。
【0021】図10に示すように、マイコン24は起動
時にステップ1010で初期化し、ステップ1020で
各種の処理を行う。一方、図11に示すように、マイコ
ン24はステップ2010において、車速パルスおよび
車輪速パルスについて前回のパルス割り込みが発生した
時刻と今回の割り込み発生時刻とから車速パルス幅を算
出して記憶する。
【0022】そして、図12に示すように、マイコン2
4はステップ3000で車速パルス割り込み処理で記憶
された車速パルス幅から車速Vを算出する。さらに、左
車輪速センサ21と右車輪速センサ22から信号を入力
し、前輪19の左車輪速ωL,右車輪速ωR を算出す
る。なお、本実施例では車速センサ15にて車速Vを求
めたが、車速Vを左右車輪速ωL ,ωR より(ωL +ω
R )/2として求めるようにしてもよい。
【0023】そして、マイコン24はステップ4000
でポテンショ型前輪舵角センサ34と後輪操舵角センサ
12とヨーレイトセンサ20からA/Dコンバータ30
を介してA/D変換データを取り込み、ステップ500
0で第2の前輪操舵角θaと後輪実舵角θrと実ヨーレ
イトWaを算出する。
【0024】さらに、マイコン24はステップ6000
で最終前輪操舵角(ハンドル角)θの算出、および前輪
操舵角センサの故障検出を行うルーチンを実行する。こ
のルーチンを図13に示す。又、図14には、図13に
示すルーチンの制御ブロック図を示す。
【0025】まず、マイコン24はステップ6010で
エンコーダ型前輪操舵角センサ16の操舵角θsを読み
込む。一方、ハンドル操作を行うと、車輪に横力が発生
して車両にモーメントが発生し車体が旋回をはじめる
と、左右の前輪19に速度差が発生し、この一連の動作
においてハンドル操作に対し左右の前輪19に速度差が
発生するまでに遅れが発生するが、これを近似するた
め、ステップ6020で操舵角θsから一次遅れの伝達
特性を用いて一次遅れ前輪操舵角θcを演算する。即
ち、次式(1)にて一次遅れ前輪操舵角θcを演算す
る。
【0026】
【数1】
【0027】そして、マイコン24はステップ6030
で左車輪速センサ21による左車輪速ωL と右車輪速セ
ンサ22による右車輪速ωR とから次式(2)にて推定
前輪操舵角θxを算出する。
【0028】
【数2】
【0029】この際、図15に示すように、前輪操舵角
θfは次式(3)の様になる。
【0030】
【数3】
【0031】また、図16に示すように、旋回半径Rは
次式(4)の様になる。
【0032】
【数4】
【0033】これら数3,数4を用いて上記式(2)が
導かれる。ただし、式(2)はθf>>θrとして後輪操
舵による影響を無視している。そして、ステップ602
0で算出した一次遅れ前輪操舵角θc、およびステップ
6030で算出した推定前輪操舵角θxのノイズを取り
除くため、マイコン24はステップ6040で一次遅れ
前輪操舵角θcと推定前輪操舵角θxのローパスフィル
タ処理を行い、LPF一次遅れ前輪操舵角θc* とLP
F推定前輪操舵角θx* を求める。即ち、次の式(5)
で表される処理を実行する。
【0034】
【数5】
【0035】マイコン24はステップ6050でLPF
推定前輪操舵角θx* とLPF一次遅れ前輪操舵角θc
* との差(=θc* −θx* )を中立位置θD として算
出する。そして、マイコン24はステップ6060で補
正条件が許可になっているか否かを判断する。この補正
条件の成立とは、上記一次遅れが成り立つ運転状態およ
び車両運転特性が線形で方程式にのる領域であることを
意味する。即ち、LPF推定前輪操舵角θx* の絶対値
がθMAX 以下で、かつ、ブレーキスイッチ23によりブ
レーキ操作が行われていない(アンチロックブレーキシ
ステム制御中でない)と、補正条件が成立しているもの
とする。
【0036】この補正条件が成立していると、マイコン
24はステップ6070でカウンタC1の値をインクリ
メントする。このカウンタC1は、ステップ1010の
初期化処理において0にしておく。次に、ステップ60
50で算出した中立位置θDのノイズを取り除くため、
マイコン24はステップ6080でローパスフィルタ処
理を行い、最終的な中立位置であるLPF中立位置θN*
を算出する。即ち、次式(6)の処理を実行する。
【0037】
【数6】
【0038】このローパスフィルタ処理により、車輪速
に加わるノイズが除去される。次に、ステップ6090
で、カウンタC1の値が所定値n以上であるか否かを判
断する。これは、ステップ6080のローパスフィルタ
処理において、中立位置θD のフィルタリングが充分に
効果を発揮した状態か否かを判断するものである。C1
≧nと判断した場合は、充分フィルタリングされLPF
中立位置θN*の値の信頼性があり、ポテンショ型前輪操
舵角センサ34からエンコーダ型前輪操舵角16に切り
換えるタイミングであると判断し、ステップ6120に
進む。
【0039】ステップ6120では、フラグF2=0で
あるか否かを判断することによって、ステップ6121
に進むか否かを判定する。このフラグF2は、ステップ
1010の初期化にて、F2=1と設定されている。従
って、マイコン24が起動されて最初にステップ612
0を実行するときには、NOと判定されステップ612
1に進むことになる。
【0040】ステップ6121では、相対的な角度変化
量として表された第1の前輪操舵角θsとLPF中立位
置θN*とに基づき、第1の前輪操舵角θ1 を次式(7)
から算出する。
【0041】
【数7】
【0042】ステップ6122では、第2の前輪操舵角
θaと第1の前輪操舵角θ1 の差である舵角差△θを次
式(8)から算出する。
【0043】
【数8】
【0044】舵角差△θが算出されると、ステップ61
23に進み、フラグF2=0とする。このステップ61
23の処理により、マイコン24が起動されて2回目以
降にステップ6120を実行するときには、YESと判
定されてステップ6121〜6123の処理を行わずに
ステップ6124に進むことになる。
【0045】ステップ6124〜6126では、舵角差
△θを徐々に0に近づけて行くため、舵角差△θを△d
だけ加算あるいは減算する処理を行う。まず、ステップ
6124において、舵角差△θを0と比較する。舵角差
△θが0よりも大きければ、ステップ6127にて算出
される最終前輪操舵角(ハンドル角)θを徐々に小さく
して第1の前輪操舵角θ1にもって行くため、ステップ
6125において、舵角差△θを△dだけ減算する。舵
角差△θが0未満であれば、最終前輪操舵角θを徐々に
大きくして第1の前輪操舵角θ1にもって行くため、ス
テップ6126において、舵角差△θを△dだけ加算す
る。舵角差△θが0であれば、第2の前輪操舵角θaと
第1の前輪操舵角θ1は同じであるので、何も処理は行
わない。
【0046】その後、ステップ6127にて次式(9)
から最終前輪操舵角θを算出する。
【0047】
【数9】
【0048】上記ステップ6120〜ステップ6127
の処理を行うことによって、最終前輪操舵角θを第2の
前輪操舵角θaから△dずつ徐々に第1の前輪操舵角θ
1にもって行くことができる。その後、ステップ613
0で、エンコーダ型前輪操舵角センサ16、またはポテ
ンショ型前輪操舵角センサ34の故障診断をすべく、第
2の前輪操舵角θaとステップ6120で求めた最終前
輪舵角θとを比較する。すなわち、両者の差の絶対値|
θ−θa|が所定値εよりも大きいか否かを判断する。
両者の差の絶対値|θ−θa|が所定値εよりも大きい
場合は、エンコーダ型前輪操舵角センサ16、またはポ
テンショ型前輪操舵角センサ34の故障であると判断
し、ステップ6140で故障フラグF1をオンとする。
【0049】一方、ステップ6090でC1<nと判断
した場合は、中立位置θD のフィルタリングが充分に効
果を発揮していない状態と判断し、ステップ6100で
第2の前輪操舵角θaを最終前輪操舵角θとする。従っ
て、車両発進時等の中立位置が算出されてない時は、ポ
テンショ型前輪操舵角センサ34によって検出された第
2の前輪操舵角θaを最終前輪操舵角θとする。
【0050】ステップ6000にて、最終前輪操舵角θ
の算出および前輪操舵角センサの故障検出をした後、後
輪を操舵すべく以下の処理を行う。ステップ7000で
は、前記ステップ6000でエンコーダ型前輪操舵角セ
ンサ16、またはポテンショ型前輪操舵角センサ34が
故障と判断されたかどうかを故障フラグF1がオンか否
かで判断する。
【0051】ステップ7000で故障フラグF1がオフ
であれば、エンコーダ型前輪操舵角センサ16およびポ
テンショ型前輪操舵角センサ34が正常であると判断す
る。そして、後輪を操舵すべくステップ7010で後輪
操舵角指令値θr* を算出する。
【0052】まず、車速V,前輪の最終操舵角θとから
次式(10)にて目標ヨーレイトWsを算出する。
【0053】
【数10】
【0054】そして、実ヨーレイトWaと目標ヨーレイ
トWsとの差△W(=Wa−Ws)を算出し、次式(1
1)にて後輪操舵角指令値θr* を算出する。
【0055】
【数11】
【0056】一方、ステップ7000で故障フラグF1
がオンであった場合は、エンコーダ型前輪操舵角センサ
16、またはポテンショ型前輪操舵角センサ34の少な
くとも一方が故障であると判断する。そして、後輪操舵
角の安全処理を行うべくステップ7021〜7023の
処理を行う。
【0057】ステップ7021〜7023では、後輪の
操舵角を徐々に0にもって行くため、後輪操舵角指令値
θr* を△θrだけ加算あるいは減算する制御を行う。
まず、ステップ7021において、後輪操舵角指令値θ
* を0と比較する。後輪操舵角指令値θr* が0より
も大きければ、後輪の操舵角を徐々に小さくして0にも
って行くため、ステップ7022において、後輪操舵角
指令値θr* を△θrだけ減算する。後輪操舵角指令値
θr* が0未満であれば、後輪の操舵角を徐々に大きく
して0にもって行くため、ステップ7023において、
後輪操舵角指令値θr* を△θrだけ加算する。後輪操
舵角指令値θr* が0であれば、後輪の操舵角は0であ
るので、何も処理は行わない。
【0058】次にマイコン24は、ステップ8000で
後輪操舵角指令値θr* と後輪実舵角θrとに基づいて
その両者の差を無くすべく一般に公知の後輪操舵位置決
めサーボ演算を行い、この演算結果によりステップ90
00で電流指令値信号Ifを算出し、サーボモータ2を
駆動すべく駆動回路32に出力する。
【0059】なお、本実施例においては、エンコーダ型
前輪操舵角センサ16が第1の前輪操舵角センサに相当
し、図13のフローチャートにおけるステップ6010
〜6050が中立位置演算手段に相当し、ステップ61
21が第1の前輪操舵角算出手段に相当し、ポテンショ
型前輪操舵角センサ34が第2の前輪操舵角センサに相
当し、ステップ6090が推定演算判断手段に相当し、
ステップ6122〜ステップ6127が漸次接近手段に
相当する。また、ステップ6090はセンサ選択手段及
び中立演算対応選択手段にも相当する。そして、ステッ
プ6100及びステップ6127が操舵角決定手段に相
当し、図12のフローチャートのステップ7010の処
理の中で操舵角出力手段に相当する処理が実行されるこ
とになる。
【0060】以上説明したように本実施例では、ステッ
プ6120〜6126の処理によって舵角差△θが△d
ずつ0に近づいて行くことになるので、ステップ612
7にて算出される最終前輪操舵角θも△dずつ第2の前
輪操舵角θaから第1の前輪操舵角θ1に近づいて行く
ことになる。従って、ステップ6090にてポテンショ
型前輪操舵角センサ34からエンコーダ型前輪操舵角セ
ンサ16に切り換えるタイミングであると判断された時
であっても、急激に第2の前輪操舵角θaから第1の前
輪操舵角θ1に切り換わることはなく、前輪操舵角検出
値が急変すると言う従来の問題は解決される(図17参
照)。
【0061】また本実施例では、車両にエンコーダ型前
輪操舵角センサ16とポテンショ型前輪操舵角センサ3
4を配設し、中立位置θD が所定回数ローパスフィルタ
処理される前は、ポテンショ型前輪操舵角センサ34に
より前輪の操舵角を検出するようにした。これにより、
ステアリングの中立位置が算出される前であっても前輪
の操舵角を検出することができる。
【0062】さらに本実施例では、第2の前輪操舵角θ
aと最終前輪操舵角θとの差の絶対値|θ−θa|が所
定値εよりも大きいか否かを判断するようにした。これ
により、エンコーダ型前輪操舵角センサ16、またはポ
テンショ型前輪操舵角センサ34が故障していることを
検出することができる。
【0063】以上説明した実施例は、中立位置演算が終
了した後はずっとエンコーダ型前輪操舵角センサ16の
検出信号に基づいて前輪操舵角を決定し、出力するもの
であった。これに対し、中立位置演算が完了してエンコ
ーダ型前輪操舵角センサ16の検出信号を使用可能な状
態になってからも、運転状態に関する所定のパラメータ
に基づいて前輪操舵角センサ16,34を切り換えつつ
運転状態に合致した後輪操舵制御を実施する第2実施例
について説明する。
【0064】この第2実施例は、基本的には上述の実施
例と同様のシステム・ハード構成であり、メインルーチ
ンは図12と同様であるが、このメインルーチン中のス
テップ6000に対応する最終前輪操舵角θの算出ルー
チンが以下の様に構成される点で異なる。この第2実施
例特有の最終操舵角θ算出ルーチンは、図18〜図20
に示すように構成されている。なお、この図18〜図2
0のルーチンの制御ブロック図は、図21に示す様にな
る。
【0065】この算出ルーチンのステップ6010〜6
080は、上述した実施例(以下、第1実施例という)
と全く同様であるので説明を省略する。これらステップ
6010〜6080のステップに続くステップ6200
では、車速センサ15により検出される車速Vが所定値
Vo(例えば40km/h)を越えるか否かを判定す
る。このステップ6200の判定が「YES」となった
ならば、ステップ6300へ飛んでカウンタC1の値が
所定値n以上であるか否かを判断する。このステップ6
300は、第1実施例でのステップ6090の処理と同
じく中立位置演算が完了してエンコーダ型前輪操舵角セ
ンサ16が使用可能となったか否かを判定するためのス
テップである。
【0066】ステップ6200において「NO」と判定
された場合には、ステップ6210へ進み、切換フラグ
F3が「1」にセットされているか否かを判定する。こ
の切換フラグF3は、現在がポテンショ型前輪操舵角セ
ンサ34による前輪操舵角の決定が実行されている最中
か否かを表すフラグである。この切換フラグF3が
「0」のときには、現在はポテンショ型前輪操舵角セン
サ34による制御中ではないということを、「1」のと
きには、現在はポテンショ型前輪操舵角センサ34によ
る制御中であるということを意味する。なお、エンジン
始動直後は「1」が設定される。
【0067】このステップ6210の判定が「NO」の
とき、即ち、現在はポテンショ型前輪操舵角センサ34
による制御中ではないという場合には、ステップ622
0にて前輪操舵角として決定されている現在値θi を前
回値θi-1 とし、現在のポテンショ型前輪操舵角センサ
34の検出値θaを現在値θi として記憶する。そし
て、続くステップ6230において前回値θi-1 と現在
値θi との舵角差△θを算出し、ステップ6240に進
んで切換フラグF3を「1」にセットする。従って、ス
テップ6230での舵角差△θの算出は、車速Vが所定
値Vo以下になった最初の処理の際にだけ実行される。
【0068】これに対し、ステップ6210にて「YE
S」と判定された場合には、即ち、既にポテンショ型前
輪操舵角センサ34による制御が行われている最中であ
るという場合には、ステップ6250に進み、現在のポ
テンショ型前輪操舵角センサ34の検出値θaを現在値
θi として記憶する。そして、これらステップ6240
又はステップ6250に引き続いて、ステップ6260
以下の処理を実行する。
【0069】ステップ6260以下では、ステップ62
40で算出された舵角差△θを徐々に0に近づけて行く
ため、舵角差△θを△dだけ加算あるいは減算する処理
を行う。まず、ステップ6260において、舵角差△θ
を0と比較する。舵角差△θが0よりも大きければステ
ップ6270を経てステップ6280へ進み、舵角差△
θが0よりも小さければステップ6275を経てステッ
プ6280へ進み、舵角差△θが0の場合には直接ステ
ップ6280へ進む。
【0070】ステップ6270では舵角差△θを△dだ
け減算し、ステップ6275では逆に舵角差△θを△d
だけ加算する。そして、ステップ6280では、最終前
輪操舵角θとして、現在値θi に舵角差△θを加算した
値を算出する。従って、舵角差△θが0であれば、最終
前輪操舵角θは現在値θi そのものであり、舵角差△θ
が0でない場合には、現在値θi と前回までの最終前輪
操舵角θとの中間の値になることになる。
【0071】このステップ6260〜ステップ6280
の処理は、前輪操舵角センサの切り換えが行われる場合
に、その切り換えに伴う最終前輪操舵角θの急変を防止
するための処理であり、先に説明した実施例でのステッ
プ6124〜ステップ6127の処理と類似する。な
お、後述する様に、このステップ6260〜ステップ6
280の処理は、エンコーダ型前輪操舵角センサ16か
らポテンショ型前輪操舵角センサ34への切り換えが行
われる際だけでなく、ポテンショ型前輪操舵角センサ3
4からエンコーダ型前輪操舵角センサ16への切り換え
が行われる際にも、最終前輪操舵角θの急変を防止する
構成として作用する。
【0072】このステップ6280の処理に続く、ステ
ップ6285,ステップ6290及びステップ6295
は、先の実施例でのステップ6090,ステップ613
0及びステップ6140と全く同一の処理を実行する。
即ち、ステップ6290及びステップ6295にてエン
コーダ型前輪操舵角センサ16の中立位置学習が終了し
た後にエンコーダ型前輪操舵角センサ16またはポテン
ショ型前輪操舵角センサ34の故障診断をする。
【0073】一方、ステップ6200において「YE
S」と判定された場合には、上述したステップ6210
〜ステップ6250は実行せず、ステップ6300へ飛
んでカウンタC1の値が所定値n以上であるか否かを判
断する。このステップ6300は、先に説明した実施例
でのステップ6090の処理と同じく中立位置演算が完
了してエンコーダ型前輪操舵角センサ16が使用可能と
なったか否かを判定するためのステップである。
【0074】このステップ6300で「YES」と判定
されるのは、エンコーダ型前輪操舵角センサ16につい
ての中立位置演算が終了したことを意味する。従って、
ステップ6300で「YES」と判定された場合には、
ステップ6310へ進み、相対的な角度変化量として表
された第1の前輪操舵角θsとLPF中立位置θN*に基
づき、第1の前輪操舵角θ1 を算出する。このステップ
は先の実施例でのステップ6121に対応する。
【0075】続くステップ6320では、切換フラグF
3が「0」であるか否かを判定する。これは、ポテンシ
ョ型前輪操舵角センサ34からエンコーダ型前輪操舵角
センサ16へとセンサが切り換えられるタイミングであ
るのか否かを判定するためである。
【0076】このステップ6320で「NO」と判定さ
れた場合は、即ち、ちょうどセンサ切り換えタイミング
に当たるという場合には、ステップ6330にて前輪操
舵角として決定されている現在値θi を前回値θi-1 と
し、現在の第1の操舵角θ1を現在値θi として記憶す
る。そして、続くステップ6340において前回値θi-
1 と現在値θi との舵角差△θを算出し、ステップ63
50に進んで切換フラグF3を「0」にセットする。
【0077】これに対し、ステップ6320にて「YE
S」と判定された場合には、即ち、既にエンコーダ型前
輪操舵角センサ16による制御が行われている最中であ
るという場合には、ステップ6360に進み、現在の第
1の操舵角θ1を現在値θiとして記憶する。そして、
これらステップ6350又はステップ6360に引き続
いて、上述したステップ6260以下を実行する。即
ち、ポテンショ型前輪操舵角センサ34からエンコーダ
型前輪操舵角センサ16へとセンサを切り換える際にも
最終前輪操舵角θが急変しない様にするのである。
【0078】一方、ステップ6300にて「NO」と判
定された場合、即ち、車速Vは所定値Voを越えている
が中立位置演算が終了していないという場合には、ステ
ップ6400へ進む。ステップ6400では、ステップ
6320と同様に、切換フラグF3が「0」であるか否
かを判定する。そして、このステップ6400で「N
O」と判定された場合は、即ち、車速Vが所定値Voを
越えた直後に当たるという場合には、ステップ6410
に進み、現在の最終前輪操舵角θを舵角差△θとして記
憶する。そして、続くステップ6420において切換フ
ラグF3を「0」にセットし、ステップ6430以下の
処理へ進む。これに対し、ステップ6400にて「YE
S」と判定された場合には、直ちにステップ6430以
下の処理へ進む。
【0079】ステップ6430以下では、ステップ64
20で算出された舵角差△θを徐々に0に近づけて行く
ため、舵角差△θを△dだけ加算あるいは減算する処理
を行う。即ち、ステップ6260,6270,6275
と同様に、まず、ステップ6430において舵角差△θ
を0と比較し、舵角差△θが0よりも大きければステッ
プ6440で舵角差△θを△dだけ減算してからステッ
プ6450へ進み、逆に舵角差△θが0より小さければ
ステップ6445で舵角差△θを△dだけ加算してから
ステップ6450へ進み、舵角差△θが0ならば直ちに
ステップ6450へ進む。このステップ6450では、
最終前輪操舵角θi として、現在求められている舵角差
△θを設定する。
【0080】以上の様にして、この第2実施例によれ
ば、車速Vが所定値Vo以下の低速運転状態において
は、絶対舵角を検出するポテンショ型前輪操舵角センサ
34の方の検出信号に基づいて最終前輪操舵角θが決定
される。一方、車速Vが所定値Voを越える様な高速運
転状態においては、相対舵角を検出するエンコーダ型前
輪操舵角センサ16の方の検出信号に基づいて最終前輪
操舵角θi が決定される。従って、4輪操舵制御におい
て大舵角逆相制御が行われる必要のある低速運転状態で
は、エンコーダ型前輪操舵角センサ16の方の検出信号
は使用されないことになる。
【0081】ここで、エンコーダ型前輪操舵角センサ1
6の検出信号に基づいて第1の操舵角θ1を算出するに
当たって使用される中立位置θN は、最初の1回だけで
なく、常時、補正条件が成立しているときに補正を加え
るのが一般的である。しかし、低速時には、一般的にこ
の補正条件が成立しないので、中立位置演算結果の補正
ができない。この様な中立位置補正をできないままかな
り前に求めた中立位置に基づいて第1の前輪操舵角θ1
を演算したのでは、場合によっては誤差が大きくなる可
能性がある。
【0082】本実施例では、この様なエンコーダ型前輪
操舵角センサ16における中立位置補正の特徴をも考慮
し、この中立位置θN の信頼性が確実でない低速運転状
態では、エンコーダ型前輪操舵角センサ16の方の検出
信号を用いた前輪操舵角の決定は行わないこととしてい
るのである。つまり、高精度の操舵角検出を期待して採
用したエンコーダ型前輪操舵角センサ16は、期待通り
の高精度の検出が実行でき得る状態でのみ使用すること
にしたのである。一方、ポテンショ型前輪操舵角センサ
34について見ると、最初の中立位置演算が終了する前
であっても、車速Vが所定値Voを越える場合にはこち
らの使用も禁止されるのが第2実施例の特徴である。こ
れは、ポテンショ型前輪操舵角センサ34は一般にノイ
ズを含み易いので、小舵角同相制御の様な高精度の4輪
操舵制御が必要な高速運転下で用いると滑らかな制御が
できなくなるおそれがあるからである。即ち、高速運転
の場合は、操舵が小舵角であるため、ノイズが入るとそ
の影響が顕著に現れ、良好な制御ができないおそれがあ
るので、ポテンショ型前輪操舵角センサ34は使用しな
いこととしたのである。そして、逆に、低速運転状態で
は、この様なノイズがあったとしても主に大舵角逆相制
御の4輪操舵制御がなされる領域であるから、こうした
ノイズは無視しても差し支えないかまたは、応答性が必
要ないので、より低周波のローパスフィルタを採用し
て、ノイズを取り去ることもできることとなり、問題が
ないので、低速運転状態ではポテンショ型前輪操舵角セ
ンサ34の検出信号の方を使用するのである。
【0083】この様に、本実施例では、車速に応じて小
舵角同相制御が実行されたり、大舵角逆相制御が実行さ
れることと対応して、それぞれの制御に対して信頼性の
低いセンサは用いず、運転状態に合致したセンサを選択
して、信頼性を損なうことなく4輪操舵制御を実行する
ことができる。そして、この運転状態の条件が切り換わ
った場合に、センサの性質の相違に基づいて前輪操舵角
の検出値が急変することのない様に、徐々に前輪操舵角
が変更されるのである。
【0084】なお、第2実施例においては、車速センサ
15が運転状態検出手段に相当し、ステップ6200の
処理が運転状態対応選択手段に相当し、ステップ626
0〜ステップ6280の処理が漸次接近手段に相当する
ことになる。以上実施例としての車両の前輪操舵角検出
装置について説明したが、本発明の前輪操舵角検出装置
は、上記実施例に限定されるものではなく、その主旨を
逸脱しない限り以下の如く変形可能である。
【0085】 第1実施例のフローチャートのステッ
プ7021〜7023において、前輪操舵角センサの故
障時に後輪操舵角を徐々に0にするべく制御を行った
が、別の方法として、図22のステップ7026〜70
28に示すように、後輪操舵角をその位置で固定し、車
速が0になった時点で後輪操舵角を0に戻すという方法
でもよい。
【0086】 上記各実施例にて算出される中立位置
θD は、LPF推定前輪操舵角θx * とLPF一次遅れ
前輪操舵角θc* との差(=θc* −θx* )から算出
されているが、エンコーダ型前輪操舵角センサ16によ
って検出される第1の検出前輪操舵角θsを順次平均処
理することにより、中立位置θD を算出しても良い。
【0087】 上記各実施例では舵角差△θを求めて
これを徐々に減少又は増加させていく構成で前輪操舵角
の急変を防止したが、なまし処理を利用し、センサ切り
換え前の前輪操舵角に大きな重み係数をかけておき、時
間の経過に応じてこの重み係数を徐々に減少させ、逆に
切り換え後に出力すべき方の前輪操舵角の重み係数を増
加していくといった構成を採用してもよいことはもちろ
んである。
【0088】 第2実施例では、センサ切り換えの判
定のための運転状態として車速を用いたが、操舵角をセ
ンサ切り換えの基準としてもよい。この場合、中立位置
演算が終了したら、原則として上述した第1の前輪操舵
角θ1の方に基づいて後輪操舵をするものの、この第1
の前輪操舵角θ1が所定値を越えたら第2の前輪操舵角
θaを用いる様にし、第2の前輪操舵角θaを用いてい
る際にこの値が所定値を下回ったら再び第1の前輪操舵
角θ1に切り換えるという制御とし、これらの切り換え
の際にも操舵角検出値の急変を防止すべく漸次接近手段
を機能させる構成としてもよい。
【0089】 第1実施例では、中立位置演算が終了
する前は必ずポテンショ型前輪操舵角センサを用いる構
成としたが、中立位置演算が終了する前であっても車速
が所定値以上であったらポテンショ型前輪操舵角センサ
を用いた前輪操舵角検出をも禁止する構成としてもよ
い。第2実施例との相違は、最初の中立位置演算が終了
した後は、ずっとエンコーダ型前輪操舵角センサの方を
用いる点である。第2実施例では、常時行われている中
立位置補正が相当期間実施できなくなる様な場合にはエ
ンコーダ型前輪操舵角センサの検出値を用いると信頼性
を欠くおそれがあるということを考慮したが、一般的な
制御ではそこまで考慮しなくても十分な場合も多いから
である。ただ、ポテンショ型のセンサの検出値を用いて
制御すると、高速時にはノイズの問題があり得るので、
こちらだけは確実に防止しておこうという場合に有効と
なる。
【0090】 第2実施例では、ポテンショ型前輪操
舵角センサ34の検出信号にノイズがのりやすいことを
考慮して小舵角同相制御を行うべき高速走行中には一切
使わない様に構成したが、図23に示すように、図21
の制御ブロック図で「0」が入力されていた「C1≧
n」のスイッチを表すブロックへ「θa」を入力する構
成とし、中立位置の推定演算が終了する前は、車速に関
係なくポテンショ型前輪操舵角センサ34の検出信号を
用いて前輪操舵角を演算する構成としておいても構わな
い。フィルタなどを用いて「θa」のノイズを十分に除
去することができる場合には何等問題がないからであ
る。
【0091】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の前輪操舵
角検出装置によれば、複数の前輪操舵角センサをいずれ
かに切り換えて前輪の操舵角を決定する前輪操舵角検出
装置において、操舵角決定のためのセンサが切り換わっ
たときに検出値が急変することなく徐々に変化していく
ので、こうした前輪操舵角検出値を用いて各種の制御を
実行する場合に、制御パラメータの値の急変による不安
定制御を来すことがない。
【0092】特に、請求項2に記載した車両の前輪操舵
角検出装置によれば、車両のエンジン始動直後から前輪
操舵角に基づく各種の制御を実行することができる上
に、性質の異なる第1の前輪操舵角センサへとセンサの
切り換えが実行された場合にも、前輪操舵角がスムーズ
に変更されるので、やはり制御の不安定化などの不具合
を引き起こすことがない。即ち、この請求項2記載の装
置によれば、エンジン始動直後から直ちに前輪操舵角を
出力しつつこれが急変することがないという効果を奏す
る。
【0093】さらに、請求項3記載の車両の前輪操舵角
検出装置によれば、各種の運転状態での制御にそれぞれ
適したセンサを配設しておき、運転状態に合致した制御
を行うということを可能ならしめ、その様な効果に加え
て、運転状態が切り換わったときに制御の急変を招くと
いうことがないという一層優れた効果をも奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の前輪操舵角検出装置の構成を例示する
クレーム対応図である。
【図2】実施例の後輪操舵装置の全体構成を示す全体構
成図である。
【図3】ロータリーエンコーダの断面構成を示した断面
図である。
【図4】ハンドルが右に回転した時のホトインタラプタ
16b,16cの出力波形の説明図である。
【図5】ハンドルが左に回転した時のホトインタラプタ
16b,16cの出力波形の説明図である。
【図6】ポテンショ型前輪操舵角センサの取り付け状態
を示す説明図である。
【図7】ポテンショ型前輪操舵角センサによる前輪操舵
角検出を示す説明図である。
【図8】ポテンショ型前輪操舵角センサによって出力さ
れる電圧とハンドル角との関係を示すグラフである。
【図9】実施例の後輪操舵装置の電気的構成を示す電気
構成図である。
【図10】マイコンのメイン処理ルーチンを示すフロー
チャートである。
【図11】車速センサをおよび左右車輪速センサ21,
22からのパルス信号による車速パルス処理を示すフロ
ーチャートである。
【図12】所定時間毎に実行される割り込み処理ルーチ
ンを示すフローチャートである。
【図13】前輪操舵角の算出、および前輪操舵角センサ
の故障検出ルーチンを示すフローチャートである。
【図14】図13の制御ブロック図である。
【図15】操舵の際の説明図である。
【図16】操舵の際の説明図である。
【図17】実施例において、前輪操舵角の変化を示す特
性図である。
【図18】前輪操舵角の算出、および前輪操舵角センサ
の故障検出ルーチンの一部を示すフローチャートであ
る。
【図19】前輪操舵角の算出、および前輪操舵角センサ
の故障検出ルーチンの一部を示すフローチャートであ
る。
【図20】前輪操舵角の算出、および前輪操舵角センサ
の故障検出ルーチンの一部を示すフローチャートであ
る。
【図21】図18〜図20の制御ブロック図である。
【図22】変形例を示したフローチャートである。
【図23】他の変形例を示した制御ブロック図である。
【符号の説明】
3 制御装置 15 車速センサ 16 エンコーダ型前輪操舵角センサ 21 右車輪速センサ 22 左車輪速センサ 34 ポテンショ型前輪操舵角センサ
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭64−90880(JP,A) 特開 平2−218909(JP,A) 特開 昭61−11608(JP,A) 特開 昭60−124572(JP,A) 特開 平4−318414(JP,A) 特開 平4−135979(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01B 21/00 - 21/32 B62D 6/00 - 6/06 B62D 15/02

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 前輪の操舵角を検出する複数の前輪操舵
    角センサと、 所定条件に従って、該複数の前輪操舵角センサの内のい
    ずれの検出値に基づいて前輪操舵角を決定するかを選択
    するセンサ選択手段と、 該センサ選択手段により選択された前輪操舵角センサの
    検出値に基づいて前輪操舵角を決定する操舵角決定手段
    と、 該決定された前輪操舵角を出力する操舵角出力手段と を備えた車両の前輪操舵角検出装置において、 前記センサ選択手段により選択されるセンサが切り換わ
    るとき、この切り換え前に出力されていた前輪操舵角か
    ら、切り換え後に出力すべき前輪操舵角へと、前記操舵
    角出力手段の出力を徐々に変化させていく漸次接近手段
    とを備えることを特徴とした車両の前輪操舵角検出装
    置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の車両の前輪操舵角検出装
    置において、 前記複数の前輪操舵角センサとして、 前輪の操舵角が変化したときに、その角度変化に応じた
    信号を出力する第1の前輪操舵角センサと、 前輪の操舵角に応じた信号を出力する第2の前輪操舵角
    センサとを備え、 前記操舵角決定手段として、 少なくとも前記第1の前輪操舵角センサから出力される
    信号に基づいて前輪操舵角の中立位置を推定演算する中
    立位置演算手段と、 前記第1の前輪操舵角センサから出力される信号と、前
    記中立位置演算手段によって推定演算される前輪操舵角
    の中立位置とに基づいて、第1の前輪操舵角を算出する
    第1の前輪操舵角算出手段と、 前記第2の前輪操舵角センサから出力される信号に基づ
    いて第2の前輪操舵角を算出する第2の前輪操舵角算出
    手段とを備え、 前記センサ選択手段として、 前記中立位置演算手段が前記中立位置の推定演算を終了
    したか否かを判断する推定演算終了判断手段と、 該推定演算終了判断手段が中立位置の演算が終了したと
    判断するまでは第2の前輪操舵角センサの方を選択し、
    中立位置の演算が終了したと判断した後は第1の前輪操
    舵角センサの方を選択する推定演算対応選択手段とを備
    えることを特徴とする車両の前輪操舵角検出装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2記載の車両の前輪
    操舵角検出装置において、さらに、車両の運転状態を検
    出する運転状態検出手段を備え、 前記センサ選択手段は、該運転状態検出手段の検出した
    運転状態に応じて前記複数の前輪操舵角センサのいずれ
    かを選択する運転状態対応選択手段を備えることを特徴
    とする車両の前輪操舵角検出装置。
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