JPH0625829A - 超電導体及びその製造方法 - Google Patents

超電導体及びその製造方法

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JPH0625829A
JPH0625829A JP17813492A JP17813492A JPH0625829A JP H0625829 A JPH0625829 A JP H0625829A JP 17813492 A JP17813492 A JP 17813492A JP 17813492 A JP17813492 A JP 17813492A JP H0625829 A JPH0625829 A JP H0625829A
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JP
Japan
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phthalocyanine
superconductor
compound layer
superconducting
layer
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JP17813492A
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English (en)
Inventor
Toshinaka Nonaka
敏央 野中
Takayuki Takahagi
隆行 高萩
Kei Ishitani
炯 石谷
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Toray Research Center Inc
Japan Science and Technology Agency
Original Assignee
Toray Research Center Inc
Research Development Corp of Japan
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 超電導体を大気中で使用可能にする。 【構成】 超電導体1は、基材2と、基材2上に形成さ
れた下記の一般式(1)で示される超電導化合物層3
と、この超電導化合物層3上に形成されたフタロシアニ
ン系化合物層4とを含んでいる。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、超電導体及びその製造
方法、特に、基材上に超電導化合物層を形成した超電導
体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】基材上に超電導化合物層を形成した超電
導体が知られている。この種の超電導体に用いられる超
電導化合物層として、ネイチャー,350巻,600
頁,1991年(Nature,350,600,19
91)、ネイチャー,351巻,462頁,1991年
(Nature,351,462,1991)及びネイ
チャー,352巻,787頁,1991年(Natur
e,352,787,1991)には、AX 60の一般
式で示される超電導化合物が示されている。なお、この
超電導化合物において、Aは、K、Cs及びRbからな
る群から選ばれた少なくとも1種の元素である。また、
Xは、0<X<6である。
【0003】このような超電導体は、次のような工程に
より製造されている。まず、ガラスやKBr基板上にC
60の薄膜を真空蒸着法により形成する。次に、C60の薄
膜に真空蒸着法により上述の元素の蒸気を反応させる。
これにより、元素がC60の分子結晶に固溶し、AX 60
で示される超電導化合物層が形成される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の超電導体
は、大気に曝すと超電導化合物層が分解し、超電導性を
喪失してしまうため、真空中又は不活性ガス雰囲気中で
しか使用できない。本発明の目的は、超電導体に関し、
大気中でも使用可能にすることにある。他の目的は、大
気中でも使用可能な超電導体の製造方法を提供すること
にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係る超電導体
は、基材と、基材上に形成された下記の一般式(1)で
示される超電導化合物層と、この超電導化合物層上に形
成されたフタロシアニン系化合物層とを含んでいる。
【0006】
【化3】
【0007】本発明に係る超電導体の製造方法は、次の
工程を含んでいる。 ◎基材上にC60分子の結晶性薄膜を形成する工程。 ◎結晶性薄膜にK、Cs及びRbからなる群から選ばれ
た少なくとも1種の金属を蒸着により固溶させ、下記の
一般式(1)で示される超電導物質層を形成する工程。 ◎超電導物質層上にフタロシアニン系化合物を蒸着し、
フタロシアニン系化合物層を形成する工程。
【0008】なお、本発明の製造方法では、上述の各工
程を真空中で連続的に行う。
【0009】
【化4】
【0010】*******超電導体 本発明に係る超電導体の一例を図1に示す。図におい
て、超電導体1は、基材2と、基材2上に形成された超
電導体化合物層3と、超電導化合物層3上に形成された
フタロシアニン化合物層4とから主に構成されている。
【0011】基材2は、ニッケル,クロム,チタン,
金,銀,白金等の金属、これらの金属の少なくとも1種
類を主成分とする合金、ガラス,炭素,シリカ,アルミ
ナ,マグネシア,ジルコニア,チタニア,ストロンチウ
ムチタネート,窒化ホウ素,窒化珪素,炭化ケイ素、炭
化ホウ素,窒化アルミニウム等の無機材料、ポリエステ
ル樹脂,ポリイミド樹脂,ポリスチレン樹脂等の高分子
材料等の室温において、又、空気中及び真空中において
安定な物質である。このような材料からなる基材2の形
状は、繊維状、フィルム状、板状、バルク状等であり、
特に限定されない。
【0012】超電導体化合物層3は、AX 60の一般式
で示される超電導化合物からなる層である。なお、一般
式において、AはK、Cs及びRbからなる群から選ば
れた少なくとも1種の元素である。また、Xは0<X<
6である。このような超電導化合物層3の厚みは、通常
0.001〜100μm、好ましくは0.01〜10μ
mに設定される。
【0013】フタロシアニン化合物層4は、フタロシア
ニン、金属フタロシアニン又はこれらの誘導体からなる
層である。金属フタロシアニンとしては、シリコンジク
ロロフタロシアニン、アルミニウムフタロシアニン、鉄
フタロシアニン、銅フタロシアニン、亜鉛フタロシアニ
ン、錫フタロシアニン、コバルトフタロシアニン、鉛フ
タロシアニン、マグネシウムフタロシアニン、ニッケル
フタロシアニン、バナジルフタロシアニン等が例示でき
る。また、フタロシアニンの誘導体としては、テトラア
ミノフタロシアニン、テトラtert−ブチルフタロシ
アニン、テトラカルボキシフタロシアニン等が例示でき
る。さらに、金属フタロシアニンの誘導体としては、銅
テトラアミノフタロシアニン,コバルトテトラアミノフ
タロシアニン,バナジルテトラアミノフタロシアニン,
ニッケルテトラアミノフタロシアニン等のテトラアミノ
フタロシアニン金属錯体、鉛テトラtert−ブチルフ
タロシアニン,銅テトラtert−ブチルフタロシアニ
ン,ニッケルテトラtert−ブチルフタロシアニン,
鉄テトラtert−ブチルフタロシアニン,亜鉛テトラ
tert−ブチルフタロシアニン,コバルトテトラte
rt−ブチルフタロシアニン,バナジルテトラtert
−ブチルフタロシアニン,マグネシウムテトラtert
−ブチルフタロシアニン等のテトラtert−ブチルフ
タロシアニン金属錯体、銅テトラカルボキシフタロシア
ニン,コバルトテトラカルボキシフタロシアニン,ニッ
ケルテトラカルボキシフタロシアニン,バナジルテトラ
カルボキシフタロシアニン,鉄テトラカルボキシフタロ
シアニン等のテトラカルボキシフタロシアニン金属錯体
等が例示できる。
【0014】このようなフタロシアニン化合物は、2種
以上が併用されても良い。なお、フタロシアニン化合物
層4の厚みは、通常0.001〜100μm、好ましく
は0.01〜1μmに設定される。次に、前記超電導体
1の製造方法について説明する。まず、基材2を用意す
る。基材2は、上述の材料をフィルム状等の所定形状に
形成すると得られる。なお、基材2は、表面を研磨して
平滑にし、さらに洗浄して油分等による汚れを除去して
おくのが好ましい。
【0015】次に、上述の基材2上にC60分子の結晶性
薄膜を形成する。ここでは、真空蒸着装置や分子線蒸着
装置等を用いて基板2上にC60分子を蒸着する。これら
の装置を用いてC60分子を蒸着する際には、C60分子の
粉末もしくは塊を10-3Torr以下の圧力下において
250〜450℃に加熱する。ここで、設定圧力を10
-3Torrよりも高く設定すると、C60分子が酸化され
易くなり、超電導膜が形成できない場合がある。また、
加熱温度を250℃以下に設定すると、C60分子の蒸発
量が少なくなり、C60の結晶性薄膜が形成されにくい。
逆に、加熱温度を450℃より高く設定すると、昇温過
程においてC60分子全てが蒸発してしまう場合がある。
【0016】なお、C60分子の蒸着工程は、基材2を加
熱しながら実施しても良い。この場合、基材2の加熱温
度は、50〜250℃に設定するのが好ましい。次に、
基材2上に形成したC60分子の結晶性薄膜に、K、Cs
及びRbからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素
の蒸着を行う。ここでは、K、Cs、Rbの元素がC60
分子の結晶性薄膜中に固溶し、上に示したAX 60の超
電導化合物が形成される。
【0017】この工程では、真空蒸着装置、分子線蒸着
装置、電子ビーム蒸着装置、スパッタリング装置等を用
いることができる。但し、後述のフタロシアニン化合物
層4を形成するための工程は真空を保ったまま行う必要
があるため、これが可能な装置を用いる必要がある。上
述の元素の蒸着工程では、基材2の温度を100〜20
0℃に設定するのが好ましい。また、設定圧力は、10
-3Torr以下に設定するのが好ましい。設定圧力を1
-3Torrよりも高くは設定すると、C60の結晶性薄
膜やK,Cs,Rb加熱温度が酸化され易くなり、超電
導化合物層3が形成できない場合がある。また、K、C
s及びRbの加熱温度は、それぞれ300〜400℃、
280〜350℃及び300〜400℃に設定するのが
好ましい。加熱温度がこれらの温度範囲以下の場合は、
蒸着速度が低下し、超電導化合物層3の形成に長時間を
要する。逆に、加熱温度がこれらの温度範囲を超える場
合は、蒸着速度が速くなり過ぎ、元素がC60分子の結晶
性薄膜に固溶しにくくなる。この結果、均質な超電導化
合物層3が得られなくなる。
【0018】この工程において、上述の一般式(1)の
Xは、K等の元素の蒸着膜の堆積膜厚を調整することに
より所定の範囲に設定できる。例えば、K6 60の超電
導物質層3を形成する場合は、厚さ100オングストロ
ームのC60分子の結晶性薄膜に対し、Kを厚さが11オ
ングストロームになるよう蒸着する。なお、元素の蒸着
膜の膜厚は、エリプソメーターにより測定できる。
【0019】なお、このような元素の蒸着工程は、C60
分子の結晶性薄膜の形成工程と同時に行っても良い。次
に、上述の工程で形成された超電導化合物層3上にフタ
ロシアニン化合物層4を形成する。ここでは、フタロシ
アニン、金属フタロシアニン又はこれらの誘導体を超電
導化合物層3上に蒸着する。この蒸着は、真空蒸着装置
や分子線蒸着装置等を用いて行える。蒸着条件は、圧力
を10-3Torr以下に設定し、上述のフタロシアニン
化合物の粉末又は塊の加熱温度を250〜450℃に設
定するのが好ましい。設定圧力を10-3Torrよりも
高く設定すると、蒸着時にフタロシアニン化合物が酸化
され易くなり、安定な超電導体1が形成できない場合が
ある。また、加熱温度を250℃未満に設定すると、フ
タロシアニン化合物の蒸発量が少なくなり、フタロシア
ニン化合物層4が形成されにくい。逆に、加熱温度を4
50℃より高く設定すると、昇温過程においてフタロシ
アニン化合物の全てが蒸発してしまう場合がある。
【0020】なお、このようなフタロシアニン化合物層
4の形成工程において、基材2は加熱しないのが好まし
い。基材2を加熱すると、超電導体1の超電導特性が不
安定になる場合がある。例えば、超電導への転移がシャ
ープでなくなったり、空気中で不安定になる場合があ
る。本発明の超電導体1は、上述のように超電導化合物
層3上にフタロシアニン化合物層4を形成したので、大
気中でも安定に使用できる。
【0021】
【実施例】実施例1 3つの分子線源室と1つの成長室とを備え、各分子線源
室と成長室とが独立したゲートバルブにより分離された
分子線蒸着装置を用いて超電導体を製造した。ここで
は、2つの分子線源室にそれぞれC60の粉末及びフタロ
シアニンの粉末0.1gを収容した。そして、これらの
粉末を、100℃に加熱しながら液体窒素トラップを有
する油拡散式真空ポンプを用いて20時間真空引きし
た。また、残りの分子線源室には、アンプルに封入され
たカリウムを収容した。そして、真空引きした後に真空
中でアンプルを割り、カリウムの蒸着源とした。
【0022】一方、成長室には、抵抗測定用に表面にス
トライプ状に金が蒸着されたシリコンウエハーを配置し
た。このように準備をした分子線蒸着装置において、C
60の粉末を350℃に加熱し、その粉末が収納された分
子線源室と成長室との間のゲートバルブを開放してシリ
コンウエハーに対してC60の蒸着を開始した。この際、
成長室内の圧力は、クライオポンプ、イオンポンプ及び
液体窒素シュラウドを用いて排気することにより3×1
-10 Torrに設定した。C60の堆積膜厚を水晶振動
式膜厚計を用いてモニタし、堆積膜厚が50オングスト
ロームになったところでC60の蒸着を停止した。
【0023】次に、C60の薄膜が形成されたシリコンウ
エハーを200℃に加熱しながら、同様の操作によりカ
リウムの蒸着を行った。この際、C60薄膜の抵抗値をモ
ニタしながら蒸着操作を行い、抵抗値が下がらなくなっ
たところで蒸着を停止した。これによりK3 60の超電
導化合物層が得られた。次に、同様の操作により、得ら
れた超電導化合物層上にフタロシアニンの蒸着を実施し
た。フタロシアニンの堆積膜厚は500オングストロー
ムに設定した。これにより、超電導体が得られた。
【0024】この超電導体を空気中に取り出して放置し
た後に超電導転移温度を測定した所、18Kであった。実施例2 カリウムに代えてルビジウムを用いた点を除き、実施例
1と同様に超電導体を製造した。ここでは、Rb3 60
の超電導化合物層を含む超電導体が得られた。この超電
導体の超電導転移温度は、実施例1と同様に測定した
所、29Kであった。実施例3 カリウムの蒸着に代えて、カリウムとルビジウムとが原
子数比で2:1となるように蒸着した点を除き、実施例
1と同様に超電導体を製造した。なお、カリウムとルビ
ジウムは、それぞれ別々の分子線源室に入れ、実施例1
のカリウムと同様に蒸着処理した。この実施例では、K
2 Rb1 60の超電導化合物層を含む超電導体が得られ
た。
【0025】得られた超電導体の超電導転移温度を実施
例1と同様に測定したところ、32Kであった。実施例4 カリウムとルビジウムとの原子数比を1:2に設定した
点を除き、実施例3と同様に超電導体を製造した。この
実施例では、K1 Rb2 60の超電導化合物層を含む超
電導体が得られた。この超電導体の超電導転移温度は、
実施例1と同様に測定したところ、21Kであった。実施例5 カリウムに代えてセシウムを用い、実施例3と同様の超
電導体を製造した。この実施例では、Cs3 60の超電
導化合物層を含む超電導体が得られた。この超電導体の
超電導転移温度は、実施例1と同様に測定した所、31
Kであった。
【0026】上述の各実施例から、本発明の超電導体
は、空気中に配置しても超電導性を喪失しないことが確
認できた。
【0027】
【発明の効果】本発明に係る超電導体は、超電導化合物
層上にフタロシアニン系化合物層を形成したので、大気
中でも使用できる。本発明に係る超電導体の製造方法に
よれば、超電導物質層上にフタロシアニン系化合物層を
形成する工程を含んでいるため、大気中でも使用可能な
超電導体が製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る超電導体の一例の縦断面図。
【符号の説明】
1 超電導体 2 基材 3 超電導化合物層 4 フタロシアニン化合物層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石谷 炯 滋賀県大津市園山3丁目3番7号 株式会 社東レリサーチセンター内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基材と、 前記基材上に形成された下記の一般式(1)で示される
    超電導化合物層と、 前記超電導化合物層上に形成されたフタロシアニン系化
    合物層と、を含む超電導体。 【化1】
  2. 【請求項2】基材上にC60分子の結晶性薄膜を形成する
    工程と、 前記結晶性薄膜にK、Cs及びRbからなる群から選ば
    れた少なくとも1種の金属を蒸着により固溶させ、下記
    の一般式(1)で示される超電導物質層を形成する工程
    と、 前記超電導物質層上にフタロシアニン系化合物を蒸着
    し、フタロシアニン系化合物層を形成する工程とを含
    み、 前記各工程を真空中で連続的に行う、超電導体の製造方
    法。 【化2】
JP17813492A 1992-07-06 1992-07-06 超電導体及びその製造方法 Pending JPH0625829A (ja)

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