JP3027502B2 - 耐摩耗性非晶質硬質膜及びその製造方法 - Google Patents

耐摩耗性非晶質硬質膜及びその製造方法

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JP3027502B2
JP3027502B2 JP6068215A JP6821594A JP3027502B2 JP 3027502 B2 JP3027502 B2 JP 3027502B2 JP 6068215 A JP6068215 A JP 6068215A JP 6821594 A JP6821594 A JP 6821594A JP 3027502 B2 JP3027502 B2 JP 3027502B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐摩耗性非晶質硬質膜
及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、基材を予熱
することなく、基材に対する密着性が良好で、高い硬度
を有する緻密な耐摩耗性非晶質硬質膜を得る方法及びそ
の組成に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】機械部品
や工具などの摩耗や擦り傷を防ぐための耐摩耗コーティ
ング材料としては、TiN,TiC,WC,Al−Ti
−N系等の材料が用いられている。そして、これらの膜
は、一般に反応性スパッタ法やイオンプレーティング法
などの物理的気相蒸着法により成膜され、耐摩耗膜とし
て利用されているが、高い硬度を得るためには膜中の窒
素濃度又は炭素濃度をある程度高くする必要がある。し
かしながら、このことによって、膜には処理後に残留応
力が発生することがある。また、形成された膜は緻密で
なければならず、しかも基材との密着性に優れたもので
なければならない。そのために、一般に基材を予熱して
から成膜する方法がとられている。しかしながら、この
ような処理を施しても膜は柱状構造を示しており、機械
的に脆くなるという問題がある。またこの時、予熱は少
なくとも200℃以上で行われるため、基材として用い
ることのできる材質には制限があり、例えばアルミ合金
のような、予熱によって機械的特性が著しく低下するよ
うな材料を基材として用いることはできなかった。
【0003】また従来、高強度、高耐熱性などの優れた
特性を有する非晶質合金材料が液体急冷法等によって製
造されている。特に、特開平1−275732号公報に
開示されている、液体急冷法によって得られるアルミニ
ウム基非晶質合金材料は、高強度、高耐熱性、耐食性な
どに優れた合金である。しかしながら、液体急冷法によ
って得られる非晶質合金材料は、金属材料の中では優れ
た強度などの特性を示すが、セラミックスなどの材料と
比べると低く、改善の余地を残している。一方、セラミ
ックス材料は強度、硬度等の点で優れた特性を示すが、
高い靭性が要求される材料としては使用し難い。特に、
薄膜として使用する場合、上記高い靭性が要求される。
【0004】本発明は、上記のような従来技術の問題を
解決するためになされたものであり、非晶質構造を有
し、基材に対する密着性に優れ、膜全体としてはセラミ
ックス材料の欠点である脆性が緩和された、高い硬度を
有する緻密な耐摩耗性非晶質硬質膜を提供しようとする
ものである。さらに本発明の目的は、コーティングに先
立ち基材を予熱することなく膜を形成しても、基材上に
形成する膜がそれら界面でのクラックや剥離発生を招く
ことなく、良好に密着する緻密な非晶質硬質膜を簡単な
工程で安価に製造し得る方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明によれば、一般式:(Alab100-c
c(ここで、MはTi,Ta,V,Cr,Zr,Nb,
Mo,Hf,W,Fe,Co,Ni,Cu及びMnより
なる群から選ばれた少なくとも1種の元素、XはN,
O,Cよりなる群から選ばれた1種の元素、a、b及び
cはそれぞれ原子%を示し、60at%≦a≦98.5
at%、1.5at%≦b≦40at%、0at%<c
≦65at%、但し、a+b=100at%)で表わさ
れる組成を有し、非晶質構造を示し、かつ高い硬度を有
する耐摩耗性非晶質硬質膜が提供される。さらに本発明
によれば、前記非晶質薄膜を提供すべく、物理的気相蒸
着法により、一般式:Alab(ここで、M,a及びb
は前記した意味と同じ)で表わされる組成を有する蒸発
源材料を用い、窒素、酸素又は炭素を含む反応ガスの不
活性ガスに対する割合が2〜35容量%となるように制
御された濃度の反応ガスを含む不活性ガス雰囲気中で基
材上に非晶質膜を形成することを特徴とする耐摩耗性非
晶質硬質膜の製造方法が提供される。
【0006】
【発明の作用及び態様】本発明は、物理的気相蒸着法、
特にスパッタ法又はイオンプレーティング法により基材
上に成膜を行うに際して、ターゲット(蒸発材料)とし
て、不活性ガス雰囲気中で反応ガスを供給しながら膜を
形成した時に非晶質となる組成の材料を用いることを特
徴とする。すなわち、一般式:Alab (ここで、M
はTi,Ta,V,Cr,Zr,Nb,Mo,Hf,
W,Fe,Co,Ni,Cu及びMnよりなる群から選
ばれた少なくとも1種の元素、a及びbはそれぞれ原子
%を示し、60at%≦a≦98.5at%、1.5a
t%≦b≦40at%、但し、a+b=100at%)
で表わされる組成を有する蒸発源材料を用い、窒素、酸
素又は炭素を含む反応ガスの供給量を、用いた蒸発源材
料に応じて雰囲気中の反応ガス分圧を非晶質膜を形成し
得る範囲内で分圧一定に、又は連続的にもしくは段階的
に変化するように制御しながら、物理的気相蒸着法、特
にスパッタ法又はイオンプレーティング法により所定量
の反応ガスを含む不活性ガス雰囲気中で基材上に成膜を
行い、非晶質膜を形成するものである。このような本発
明の方法においては、一般に反応ガス分圧0Paでは結
晶質の膜が形成されるが、反応ガス分圧の増大と共に非
晶質の膜となり、また硬度も増すことが見い出された。
従って、非晶質膜を形成し得る反応ガス分圧の雰囲気中
で成膜を行うことにより、非晶質構造を持ち、極めて緻
密で基材との密着性に優れると共に、セラミックス材料
の欠点である脆性を示さない硬度の高い膜を作製でき
る。従ってまた、結晶性高硬度膜で起きる粒界での破壊
という欠点も改善できる。
【0007】本発明で用いる蒸発源材料の他方の成分、
すなわちTi,Ta,V,Cr,Zr,Nb,Mo,H
f,W,Fe,Co,Ni,Cu及びMnなどの遷移金
属は、Alマトリックス中の拡散能が小さい元素であ
り、種々の準安定又は安定な金属間化合物を形成し、微
細結晶組織の高温での安定化に貢献する。これらの金属
はまた、窒化物等として導電性を有すること、もしくは
耐食性に優れる材料としても知られている。上記蒸着手
段としては、スパッタリング法やイオンプレーティング
法などを挙げることができる。また、蒸発源としては一
つの蒸発源に必要組成を含む化合物又は混合物であって
もよいし、あるいは複数の蒸発源を同時に用いる場合、
個々の蒸発源が単一組成であってもよいし、また前記蒸
発源の組合せであっても良い。
【0008】蒸着中の処理装置内への導入ガス中の反応
ガス濃度としては、不活性ガスに対する反応ガスの割合
が2〜35容量%の範囲が好ましく、この範囲外では結
晶質粒子が析出し易くなるので好ましくない。また、形
成する膜は、非晶質膜中の反応ガス成分の濃度が全体的
に均一な組成であってもよいし、あるいは基材と接する
膜の組成と膜表面の組成に違いがあり、膜厚方向に連続
的にもしくは段階的に変化していても良い。すなわち、
不活性ガス(Ar,He,Ne,Xe,Kr等)を導入
してガス圧(全圧)を0.6〜1.2Paの低圧に保っ
た蒸着装置内に、反応ガス(窒素ガス、アンモニアガ
ス、メタンガス等)の供給量を分圧一定に制御して成膜
することにより、膜中の反応ガス成分の濃度が全体的に
実質的に均一な組成の非晶質硬質膜が得られ、また反応
ガスの供給量をその分圧が連続的もしくは段階的に変化
するように制御することにより、非晶質膜中の反応ガス
成分の濃度が膜表面に向って増大しており、膜表面部の
硬度がより高い非晶質硬質膜を得ることもできる。な
お、本発明の方法は、基材温度を200℃以上にできな
い材質の高分子材料、アルミなどの基材にコーティング
する場合に特に有用であるが、他の材質の基材にも適用
できることは勿論である。
【0009】
【実施例】以下、本発明の実施例を示して本発明につい
て具体的に説明するが、本発明が下記実施例に限定され
るものでないことはもとよりである。
【0010】実施例1 (80at%Al−20at%Ti)からなるターゲッ
トをマグネトロンスパッタ蒸着装置内の電極(接地電
位)に対向させて配置し、電極とターゲットの間にガラ
ス板又はアルミ板を被蒸着基板として配置した。前記ス
パッタ装置内を真空ポンプにて排気した後、アルゴンガ
スを供給し、装置内のガス圧(全圧)を1Paとした。
コーティングに先立ち、ガラス基板又はアルミ基板を固
定している治具に高周波電源をつなぎ、ガラス基板又は
アルミ基板をそれぞれスパッタエッチングした。つい
で、ターゲットに直流電源をつなぎ、予備放電を行なっ
た。なおこの時、予備放電によるガラス基板又はアルミ
基板へのコーティングがなされないようにした。この予
備放電は、ターゲット表面に吸着したガスや湿気を取り
のぞくことが目的である。上記予備放電の後、シャッタ
ーを移動させ、ガラス基板又はアルミ基板に対するコー
ティングを開始した。但し、コーティングに先立ち基板
を予備加熱することは行なわなかった。コーティング
中、反応ガスである窒素ガスは、電気的に制御できる流
量調節計によって、装置内の窒素分圧が0Paから0.
129Paの範囲内の所定の分圧となるように制御し
た。装置内の圧力変化は、排気ポンプと装置の間に配設
されたバルブによって圧力1Paとなるように調整し
た。
【0011】図1は、窒素分圧を一定に保持して作製し
た各薄膜のX線回折による分析結果である。なお、各膜
のX線回折図は、解り易いように縦座標軸の強さ方向に
分圧順にシフトしてまとめて示した。図1から明らかな
ように、窒素ガスを導入しないで得られた膜は結晶質と
なったが、窒素分圧0.021Pa、0.038Pa、
0.055Pa、0.072Pa、0.087Paで非
晶質膜を得ることができた。この窒素分圧0.021P
a〜0.102Paにおいて作製された膜中の窒素濃度
は、12at%〜38at%であった。即ち、式(Al
80Ti20100- cc において12at%≦c≦38a
t%であり、12at%は窒素分圧0.021Pa,3
8at%は窒素分圧0.102Paにおいて作製された
膜中の窒素濃度を表わす(以下、同じ)。なお、窒素割
合は、測定に供した膜の重量を求め、これをAl,T
i,Nの総重量とし、EPMAによってAl,Tiの量
at%を求めた後、計算によって膜中のN量at%を得
た。また、これらの非晶質膜の微小硬度計によって測定
したヌープ硬さを図2に示す。窒素分圧の増加と共に硬
度は増加し、窒素分圧0.072Paでは911Hkと
なった。
【0012】実施例2 (89at%Al−11at%Ti)からなるターゲッ
トを用いる以外は実施例1と同様にして基板上に成膜し
た。窒素分圧を一定に保持して作製した各薄膜のX線回
折による分析結果を図3に示す。図3から明らかなよう
に、窒素ガスを導入しないで得られた膜は結晶質となっ
たが、窒素分圧0.028Pa以上で非晶質膜を得るこ
とができた。窒素分圧0.028Pa〜0.109Pa
において作製された膜中の窒素濃度は17at%〜45
at%であった。
【0013】実施例3 (98.5at%Al−1.5at%Ti)からなるタ
ーゲットを用いる以外は実施例1と同様にして基板上に
成膜した。窒素分圧を一定に保持して作製した各薄膜の
X線回折による分析結果を図4に示す。図4から明らか
なように、窒素ガスを導入しないで得られた膜は結晶質
となったが、窒素分圧0.042Pa及び0.060P
aで非晶質膜を得ることができた。窒素分圧0.042
Pa〜0.060Paにおいて作製された膜中の窒素濃
度は17at%〜25at%であった。
【0014】実施例4 (64at%Al−36at%Ti)からなるターゲッ
トをマグネトロンスパッタ蒸着装置内の電極(+極)に
対向させて配置し、電極とターゲットの間に、ガラス板
又はアルミ板を被蒸着基板として配置した。前記スパッ
タ装置内を真空ポンプにて排気した後、アルゴンガスを
供給し、装置内のガス圧(全圧)を1Paとした。コー
ティングに先立ち、ガラス基板又はアルミ基板を固定し
ている治具に高周波電源をつなぎ、ガラス基板又はアル
ミ基板をスパッタエッチングした。ついで、ターゲット
に直流電源をつなぎ、予備放電を行なった。なおこの
時、予備放電によるガラス基板又はアルミ基板へのコー
ティングがなされないようにした。上記予備放電の後、
シャッターを移動させ、ガラス基板又はアルミ基板に対
するコーティングを開始した。但し、コーティングに先
立ち基板を予備加熱することは行なわなかった。コーテ
ィング中、反応ガスである窒素ガスは、電気的に制御で
きる流量調節計によって窒素ガスの分圧を0Paから
0.074Paへと連続的に変化させた。
【0015】図5乃至図9は、窒素分圧を一定に保持し
て作製した各薄膜のX線回折による分析結果である。こ
れらのX線回折図から明らかなように、窒素分圧0.0
285〜0.0406Paで非晶質膜が得られた。窒素
分圧0.0285Pa〜0.0406Paにおいて作製
された膜中の窒素濃度は18at%〜35at%であっ
た。図10は、所定の窒素分圧で形成された膜の硬度測
定結果である。硬度は微小硬度計によって測定した。図
10から明らかなように、窒素分圧の増加と共に硬度は
増加した。
【0016】実施例5 (80at%Al−20at%Zr)からなるターゲッ
トをマグネトロンスパッタ蒸着装置内の電極(接地電
位)に対向させて配置し、電極とターゲットの間に、ガ
ラス板又はアルミ板を被蒸着基板として配置した。前記
スパッタ装置内を真空ポンプにて排気した後、アルゴン
ガスを供給し、装置内のガス圧(全圧)を1Paとし
た。コーティングに先立ち、ガラス基板又はアルミ基板
を固定している治具に高周波電源をつなぎ、ガラス基板
又はアルミ基板をそれぞれスパッタエッチングした。つ
いで、ターゲットに直流電源をつなぎ、予備放電を行な
った。なおこの時、予備放電によるガラス基板又はアル
ミ基板へのコーティングがなされないようにした。上記
予備放電の後、シャッターを移動させ、ガラス基板又は
アルミ基板に対するコーティングを開始した。但し、コ
ーティングに先立ち基板を予備加熱することは行なわな
かった。コーティング中、反応ガスである窒素ガスは、
電気的に制御できる流量調節計によって、装置内への導
入量を所定の一定流量に保持するか、又は連続的に増加
させた。この時の窒素分圧は0Paから0.129Pa
となった。窒素ガス導入量の違いによる装置内の圧力変
化は、排気ポンプと装置の間に配設されたバルブによっ
て圧力1Paとなるように調整した。
【0017】ガラス基板上に窒素分圧を一定に保持して
作製した各薄膜のX線回折による分析結果を図11に示
す。図11から明らかなように、窒素ガスを導入しない
窒素分圧0PaではAl及びAl3 Zrの結晶質相を示
すピークが有るが、窒素分圧0.028Paでは非晶質
相となった。また、さらに窒素分圧を増しても結晶質相
を示すピークは現われなかった。窒素分圧0.028P
a〜0.109Paにおいて作製された膜中の窒素濃度
は15at%〜62at%であった。図12は、アルミ
基板上に窒素分圧を一定に保持して作製した各薄膜のヌ
ープ硬さを示す。膜のヌープ硬さは、窒素分圧0Paで
は400Hkであったが、窒素分圧の増大と共に硬度は
徐々に増大し、0.129Paでは2100Hkとなっ
た。ガラス基板上に窒素分圧を一定に保持して作製した
各薄膜の電気抵抗を図13に示す。窒素分圧の増大と共
に膜の抵抗値は増大し、窒素分圧0.129Paでは導
電性を示さなかった。また、窒素分圧を0Paから0.
129Paまで連続的に増加させて作製した膜中の窒素
濃度が膜表面に向って増大している傾斜膜は、全厚さ域
にわたって緻密で、基板に対する密着性も良かった。
【0018】実施例6 (80at%Al−20at%Cr)からなるターゲッ
トをマグネトロンスパッタ蒸着装置内の電極(接地電
位)に対向させて配置し、電極とターゲットの間に、ガ
ラス板又はアルミ板を被蒸着基板として配置した。前記
スパッタ装置内を真空ポンプにて排気した後、アルゴン
ガスを供給し、装置内のガス圧(全圧)を1Paとし
た。コーティングに先立ち、ガラス基板又はアルミ基板
を固定している治具に高周波電源をつなぎ、ガラス基板
又はアルミ基板をそれぞれスパッタエッチングした。つ
いで、ターゲットに直流電源をつなぎ、予備放電を行な
った。なおこの時、予備放電によるガラス基板又はアル
ミ基板へのコーティングがなされないようにした。上記
予備放電の後、シャッターを移動させ、ガラス基板又は
アルミ基板に対するコーティングを開始した。但し、コ
ーティングに先立ち基板を予備加熱することは行なわな
かった。コーティング中、反応ガスである窒素ガスは、
電気的に制御できる流量調節計によって、装置内への導
入量を所定の一定流量に保持するか、又は連続的に増加
させた。この時の窒素分圧は0Paから0.108Pa
となった。窒素ガス導入量の違いによる装置内の圧力変
化は、排気ポンプと装置の間に配設されたバルブによっ
て圧力1Paとなるように調整した。
【0019】ガラス基板上に窒素分圧を一定に保持して
作製した各薄膜のX線回折による分析結果を図14に示
す。図14から明らかなように、窒素ガスを導入しない
窒素分圧0PaではAlの結晶質相を示すピークが有る
が、窒素分圧0.020Pa以上では非晶質相となっ
た。窒素分圧0.020Pa〜0.11Paにおいて作
製された膜中の窒素濃度は8at%〜45at%であっ
た。図15は、アルミ基板上に窒素分圧を一定に保持し
て作製した各薄膜を微小硬度計(荷重20gf、時間2
0秒)によって測定したヌープ硬さを示す。膜のヌープ
硬さは、窒素分圧0Paでは235Hkであったが、窒
素分圧の増大と共に硬度は徐々に増大し、0.108P
aでは963Hkとなった。また、窒素分圧を0Paか
ら0.108Paまで連続的に増加させて作製した膜中
の窒素濃度が膜表面に向って増大している傾斜膜は、全
厚さ域にわたって緻密で、基板に対する密着性も良かっ
た。
【0020】実施例7 基板2上への成膜のために図16に示すように傾斜した
電極系を持つ装置を使用した。2個のターゲット、即ち
円板状の高純度アルミニウム及び高純度マンガンのター
ゲット5,6を用い、同時にスパッタさせることにより
合金組成を調整し、スパッタには2つの高周波電源9,
10を用いた。それぞれ支持台7,8に取り付けられた
2個のターゲット5,6は、これら2個のターゲットの
中心を通る法線が、モータ4により回転されるホルダ3
に取り付けられている基板2の表面で交差するように、
スパッタチャンバー1内に傾斜して設置された。なお、
それぞれの合金組成割合は、ターゲットに印加する電力
量を調整することにより制御し、アルミニウム及びマン
ガンの相対的な割合は80at%Al−20at%Mn
とした。成膜される膜内の変調成分である窒素量は、チ
ャンバー内部への窒素ガス導入量をマス・フロー・コン
トローラーにより調整することにより制御した。この
時、チャンバー内の窒素ガス分圧は0Paから0.06
5Paの範囲で変化した。コーティングは、チャンバー
内の予備排気及びターゲット表面の清浄化のためのプリ
スパッタリング後に行い、コーティング処理後、ターゲ
ット及び基板の温度が下がってから空気を導入してチャ
ンバー内を大気圧とし、試料を取り出した。
【0021】図17は各窒素分圧を一定に保って作製し
た均一組成膜のX線回折の結果を示す。図17から明ら
かなように、窒素分圧0〜0.051Paで非晶質膜が
得られた。また、アルミ基板上に窒素分圧を連続的に増
加させて成膜した33μm厚さの膜について行った硬さ
試験の結果を図18に示す。図18から明らかなよう
に、膜内部のヌープ硬さは膜厚方向に増大した。これ
は、膜中の窒素濃度が膜表面に向って増大したためであ
る。
【0022】
【発明の効果】以上詳述した如く、本発明の方法によれ
ば、基材に対し良好に密着し、高い硬度を有する緻密な
耐摩耗性非晶質膜を、基材を予熱することなく、処理工
程に特別の工程を追加することなく製造することができ
る。また、本発明で得られる膜は、非晶質構造を持つ高
硬度膜であり、結晶性高硬度膜で起こる粒界での破壊な
どの欠点が改善されると共に、基材に対する密着性に優
れ、折り曲げに強く、高い硬度を有するなど、優れた特
性を示し、耐摩耗膜として使用できる他、高い硬度と導
電性を有することから、耐摩耗性を有する電気接点など
にも応用することができる。その他、本発明の非晶質硬
質膜は、機械的、電気的に優れた特性を示すとともにセ
ラミックス材料の欠点である脆性が緩和されているの
で、電気電子材料、高強度材料、耐摩耗材料、耐高温材
料などとして使用でき、産業上の種々の用途に供するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1において窒素分圧を一定に保持して作
製した各(Al80Ti20100- cc 組成薄膜のX線回
折図であり、各X線回折図を縦座標軸の強さ方向に窒素
分圧順にシフトして示す。
【図2】実施例1において窒素分圧を一定に保持して作
製した各(Al80Ti20100- cc 組成非晶質膜のヌ
ープ硬さと窒素分圧の関係を示すグラフである。
【図3】実施例2において窒素分圧を一定に保持して作
製した各(Al89Ti11100- cc 組成薄膜のX線回
折図であり、各X線回折図を縦座標軸の強さ方向に窒素
分圧順にシフトして示す。
【図4】実施例3において窒素分圧を一定に保持して作
製した各(Al98.5Ti1.5100-cc 組成薄膜のX
線回折図であり、各X線回折図を縦座標軸の強さ方向に
窒素分圧順にシフトして示す。
【図5】実施例4において窒素分圧0.0285Paで
作製した(Al64Ti36100- cc 組成薄膜のX線回
折図である。
【図6】実施例4において窒素分圧0.0333Paで
作製した(Al64Ti36100- cc 組成薄膜のX線回
折図である。
【図7】実施例4において窒素分圧0.0378Paで
作製した(Al64Ti36100- cc 組成薄膜のX線回
折図である。
【図8】実施例4において窒素分圧0.0406Paで
作製した(Al64Ti36100- cc 組成薄膜のX線回
折図である。
【図9】実施例4において窒素分圧0.0415Paで
作製した(Al64Ti36100- cc 組成薄膜のX線回
折図である。
【図10】実施例4において窒素分圧を一定に保持して
作製した各(Al64Ti36100- cc 組成非晶質膜の
ヌープ硬さと窒素分圧の関係を示すグラフである。
【図11】実施例5において窒素分圧を一定に保持して
作製した各(Al80Zr20100- cc 組成薄膜のX線
回折図であり、各X線回折図を縦座標軸の強さ方向に窒
素分圧順にシフトして示す。
【図12】実施例5において窒素分圧を一定に保持して
作製した各(Al80Zr20100- cc 組成非晶質膜の
ヌープ硬さと窒素分圧の関係を示すグラフである。
【図13】実施例5において窒素分圧を一定に保持して
作製した各(Al80Zr20100- cc 組成非晶質膜の
電気抵抗と窒素分圧の関係を示すグラフである。
【図14】実施例6において窒素分圧を一定に保持して
作製した各(Al80Cr20100- cc 組成薄膜のX線
回折図であり、各X線回折図を縦座標軸の強さ方向に窒
素分圧順にシフトして示す。
【図15】実施例6において窒素分圧を一定に保持して
作製した各(Al80Cr20100- cc 組成非晶質膜の
ヌープ硬さと窒素分圧の関係を示すグラフである。
【図16】実施例7で用いたスパッタ蒸着装置の概略構
成図である。
【図17】実施例7において窒素分圧を一定に保持して
作製した各(Al80Mn20100- cc 組成薄膜のX線
回折図であり、各X線回折図を縦座標軸の強さ方向に窒
素分圧順にシフトして示す。
【図18】実施例7で作製した(Al80Mn20100-c
c の組成の構造傾斜膜の厚さ方向のヌープ硬さを示す
グラフである。
【符号の説明】
1 スパッタチャンバー、 2 基板、 3 ホルダ、
4 モータ、 5,6 ターゲット、 7,8 支持
台、 9,10 高周波電源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井上 明久 宮城県仙台市青葉区川内無番地 川内住 宅11−806 (72)発明者 山形 寛 富山県中新川郡立山町道源寺1008 (56)参考文献 特開 平2−194159(JP,A) 特開 平1−252766(JP,A) 特開 平4−131367(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 14/00 - 14/58 C23C 16/00 - 16/56 CA(STN)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式:(Alab100-cc(ここ
    で、MはTi,Ta,V,Cr,Zr,Nb,Mo,H
    f,W,Fe,Co,Ni,Cu及びMnよりなる群か
    ら選ばれた少なくとも1種の元素、XはN,O,Cより
    なる群から選ばれた1種の元素、a、b及びcはそれぞ
    れ原子%を示し、60at%≦a≦98.5at%、
    1.5at%≦b≦40at%、0at%<c≦65a
    t%、但し、a+b=100at%)で表わされる組成
    を有し、非晶質構造を示し、かつ高い硬度を有する耐摩
    耗性非晶質硬質膜。
  2. 【請求項2】 物理的気相蒸着法により、一般式:Al
    ab(ここで、MはTi,Ta,V,Cr,Zr,N
    b,Mo,Hf,W,Fe,Co,Ni,Cu及びMn
    よりなる群から選ばれた少なくとも1種の元素、a及び
    bはそれぞれ原子%を示し、60at%≦a≦98.5
    at%、1.5at%≦b≦40at%、但し、a+b
    =100at%)で表わされる組成を有する蒸発源材料
    を用い、窒素、酸素又は炭素を含む反応ガスの不活性ガ
    スに対する割合が2〜35容量%となるように制御され
    た濃度の反応ガスを含む不活性ガス雰囲気中で基材上に
    非晶質膜を形成することを特徴とする耐摩耗性非晶質硬
    質膜の製造方法。
  3. 【請求項3】 反応ガスの供給量をその分圧が連続的又
    は段階的に変化するように制御しながら、非晶質膜中の
    反応ガス成分の濃度が膜表面に向って増大する非晶質膜
    を形成することを特徴とする請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 反応ガスとして窒素ガス、アンモニアガ
    ス及びメタンガスから選ばれた少なくとも1種の気体を
    いることを特徴とする請求項2又は3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 不活性ガスと反応ガスの全圧を0.6〜
    1.2Paにすることを特徴とする請求項2乃至4のい
    ずれか一項に記載の方法。
  6. 【請求項6】 物理的気相蒸着法がスパッタ法又はイオ
    ンプレーティング法である請求項2乃至5のいずれか一
    項に記載の方法。
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