JPH0625802A - 黒化処理性に優れたシャドウマスク用Fe−Ni 系合金冷延板およびその製造方法 - Google Patents

黒化処理性に優れたシャドウマスク用Fe−Ni 系合金冷延板およびその製造方法

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JPH0625802A
JPH0625802A JP20190692A JP20190692A JPH0625802A JP H0625802 A JPH0625802 A JP H0625802A JP 20190692 A JP20190692 A JP 20190692A JP 20190692 A JP20190692 A JP 20190692A JP H0625802 A JPH0625802 A JP H0625802A
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学 新井
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伸一 沖本
Hajime Mori
肇 森
Tadashi Inoue
正 井上
Eiju Matsuno
英寿 松野
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 Ni:34 〜37wt.%、Mn:0.05 〜0.35wt.%、Al:
0.001〜0.020wt.% 、Si:0.05wt.%以下、Cr:0.05 wt.%以
下、Ti:0.02 wt.%以下、Al+Si+Cr+Ti:0.10wt.%以下、M
o:0.05wt.% 以下、W,Nb,V,Cu:各0.02 wt.% 以下、As:0.
005wt.%以下、Sb:0.01wt.% 以下、B:0.0005wt.%以下、
残り、Feおよび不可避的不純物からなる、黒化処理性に
優れたシャドウマスク用Fe−Ni系合金冷延板。 【効果】 むらのない均一な黒色度を有し、熱輻射性能
および密着性に優れた黒化膜を形成することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、カラーテレビのブラ
ウン管に使用される、黒化処理性に優れたシャドウマス
ク用Fe-Ni 系合金冷延板およびその製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】カラーテレビのブラウン管に使用される
シャドウマスクの材料として、従来、低炭素鋼冷延板が
使用されていた。しかしながら、低炭素鋼冷延板からな
るシャドウマスクには、使用中の熱膨張による変形のた
めに、シャドウマスクと蛍光面との間の相対的位置関係
がずれて、色ずれが発生する問題があった。
【0003】近年、カラーテレビの高品位化に伴い、上
述した色ずれの発生が問題になっており、色ずれの発生
を防止し得るシャドウマスクの材料として、34〜38wt.%
のニッケルを含有するFe-Ni 系合金冷延板が使用される
ようになってきた。Fe-Ni 系合金冷延板の熱膨張率は、
低炭素鋼冷延板に比べて著しく低い。従って、Fe-Ni系
合金冷延板からなるシャドウマスクを使用すれば、その
熱膨張による色ずれの発生を防止することができる。
【0004】このような、熱膨張率の低い、シャドウマ
スク材用Fe-Ni 系合金冷延板として、特開昭 62-161,93
6 号公報に開示された、冷間圧延時の表面性状に優れ
た、本質的に下記からなるFe-Ni 系合金冷延板が提案さ
れている。 ニッケル : 30 〜45 wt.% 、 マンガン : 0.3 〜 1.0 wt.% 、 シリコン : 0.1 〜 0.3 wt.% 、 アルミニウム: 0.0004〜0.0020 wt.% 、および、残り、
鉄および不可避的不純物(以下、「先行技術」とい
う)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述した先行技術は次
のような問題を含んでいる。即ち、シャドウマスクは、
熱放散の促進および防錆のために、その表面上に、黒色
の酸化膜(以下、黒化膜という)を形成することが必要
とされている。しかるに、先行技術のFe-Ni 系合金冷延
板においては、0.1 〜0.3 wt.%のシリコンを含有してい
ることに起因して、シリコンの酸化物が生成する。その
結果、むらのない均一な黒色度を有し、熱輻射性能およ
び密着性に優れた黒化膜を形成することができず、従っ
て、黒化処理性に劣る。
【0006】このようなことから、むらのない均一な黒
色度を有し、熱輻射性能および密着性に優れた黒化膜を
形成することができる、黒化処理性に優れた、シャドウ
マスク材用のFe-Ni 系合金冷延板が要求されているが、
かかる合金冷延板およびその製造方法は、まだ提案され
ていない。
【0007】従って、この発明の目的は、上述した問題
を解決し、むらのない均一な黒色度を有し、熱輻射性能
および密着性に優れた黒化膜を形成することができる、
黒化処理性に優れた、シャドウマスク材用のFe-Ni 系合
金冷延板およびその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述した
観点から、黒化処理性に優れた、シャドウマスク材用の
Fe-Ni 系合金冷延板およびその製造方法を開発すべく、
鋭意研究を重ねた。その結果、次の知見を得た。即ち、
34から38wt.%の範囲内のニッケルを含有する、Fe-Ni 系
溶融合金を調製し、電気炉および/または取鍋内におい
て、前記Fe-Ni系溶融合金に酸素を供給して、前記Fe-Ni
系溶融合金中に含有されている、シリコン、クロム、
チタン、タングステン、ニオブ、バナジウムおよびホウ
素を酸化させ、生成した酸化物をCaO 系スラグに吸収し
て除去し、酸化物の除去によって、上記各元素の含有量
を一定値以下にすれば、黒化処理性に優れた、シャドウ
マスク材用のFe-Ni 系合金冷延板が得られることを知見
した。
【0009】この発明は、上述した知見に基づいてなさ
れたものであって、この発明の、黒化処理性に優れたシ
ャドウマスク用Fe-Ni 系合金冷延板は、本質的に下記か
らなっている。 ニッケル : 34 〜 38 wt.%、 マンガン : 0.05 〜0.35 wt.% 、 アルミニウム: 0.001 〜0.020wt.% 、 シリコン : 0.05wt.%以下、 クロム : 0.05wt.%以下、 チタン : 0.02wt.%以下、 但し、アルミニウム、シリコン、クロムおよびチタンの
合計含有量は0.10wt.%以下、 モリブデン : 0.05wt.%以下、 タングステン: 0.02wt.%以下、 ニオブ : 0.02wt.%以下、 バナジウム : 0.02wt.%以下、 銅 : 0.02wt.%以下、 ヒ素 : 0.005wt.% 以下、 アンチモン : 0.01wt.%以下、 ホウ素 : 0.0005wt.%以下、および、残り、鉄お
よび不可避的不純物。
【0010】この発明の、黒化処理性に優れたシャドウ
マスク用Fe-Ni 系合金冷延板の製造方法は、下記ステッ
プからなっている。34から38wt.%の範囲内の量のニッケ
ルを含有するFe-Ni 系溶融合金を調製し、電気炉内およ
び/または取鍋内において、前記Fe-Ni 系溶融合金中に
酸素を供給して、前記Fe-Ni 系溶融合金中に含有されて
いるシリコン、クロム、チタン、タングステン、ニオ
ブ、バナジウムおよびホウ素を酸化させ、生成した酸化
物をCaO 系スラグに吸収して除去し、次いで、前記酸化
物が除去されたFe-Ni 系溶融合金をインゴットに鋳造
し、次いで、前記インゴットを分塊圧延し、熱間圧延
し、そして、冷間圧延することにより、黒化処理性に優
れたシャドウマスク用Fe-Ni系合金冷延板を製造する。
【0011】この発明の、黒化処理性に優れたシャドウ
マスク用Fe-Ni 系合金冷延板の化学成分組成を、上述し
た範囲内に限定した理由について、以下に述べる。 (1) ニッケル:ニッケルは、Fe-Ni 系合金板の熱膨張率
に大きな影響を及ぼす成分である。Fe-Ni 系合金板に要
求される、30〜100 ℃の温度域における平均熱膨張係数
の上限値は、約 2.0×10-6/ ℃である。このような平均
熱膨張係数を満足させるニッケルの含有量は34〜38wt.%
の範囲である。ニッケルの含有量が34wt.%未満でもまた
は38wt.%超でも、平均熱膨張係数が上記上限値を超えて
高くなる。
【0012】平均熱膨張係数の高いFe-Ni 系合金板をシ
ャドウマスク材として使用すると、色ずれの原因にな
る。従って、ニッケルの含有量は、34〜38wt.%の範囲内
に限定すべきである。なお、0.01〜6 wt.%の量のコバル
トを含有するニッケルを使用する場合の、上記平均熱膨
張係数を満足させるニッケルの含有量は30〜40wt.%の範
囲内である。従って、ニッケル含有量を、上述した34〜
38wt.%の範囲内に限定すれば、この場合においても、上
記平均熱膨張係数を満足させることができる。
【0013】(2) マンガン:マンガンは、Fe-Ni 系合金
板に、所望の強度を付与する作用を有している。しかし
ながら、マンガンの含有量が0.35wt.%を超えると、Fe-N
i 系合金板にマンガンを含むスピネル酸化物が生成する
結果、黒化膜の黒色度が劣化する。一方、マンガンの含
有量が0.05wt.%未満では、合金板に所望の強度を付与す
ることができない。従って、マンガンの含有量は、0.05
〜0.35wt.%の範囲内に限定すべきである。
【0014】(3) アルミニウム:アルミニウムは、Fe-N
i 系合金の溶製時に脱酸剤として添加される元素であ
る。しかしながら、アルミニウムの含有量が 0.020wt.%
を超えると、Fe-Ni 系合金板にアルミニウムの酸化物が
生成する結果、黒化膜の黒色度が劣化する。一方、アル
ミニウム含有量が0.001wt.% 未満では、脱酸効果がな
く、表面性状が劣化する等の問題が生ずる。従って、ア
ルミニウムの含有量は、0.001 〜 0.020wt.%の範囲内に
限定すべきである。
【0015】(4) シリコン:シリコンの含有量が 0.05w
t.% を超えると、Fe-Ni 系合金板にシリコンの酸化物が
生成する結果、黒化膜の黒色度が劣化する。従って、シ
リコンの含有量は、0.05wt.%以下に限定すべきである。
【0016】(5) クロム:クロムは、Fe-Ni 系合金の溶
製時に不可避的に混入する不純物の1つである。クロム
含有量が0.05wt.%を超えると、Fe-Ni 系合金板にクロム
の酸化物が生成する結果、黒化膜の黒色度が劣化する。
従って、クロムの含有量は、 0.05wt.% 以下に限定すべ
きである。
【0017】(6) チタン:チタンは、Fe-Ni 系合金の溶
製時に不可避的に混入する不純物の1つである。チタン
含有量が0.02wt.%を超えると、Fe-Ni 系合金板にチタン
の酸化物が生成する結果、黒化膜の黒色度が劣化する。
従って、チタンの含有量は、 0.02wt.% 以下に限定すべ
きである。
【0018】(7) アルミニウム、シリコン、クロムおよ
びチタンの合計含有量 上述した、アルミニウム、シリコン、クロムおよびチタ
ンの各々の含有量が上述した範囲内であっても、これら
の合計含有量が0.10wt.%を超えると、黒化膜の黒色度お
よび熱輻射率が劣化する。従って、アルミニウム、シリ
コン、クロムおよびチタンの合計含有量は、0.10wt.%以
下に限定すべきである。
【0019】(8) モリブデン、タングステン、ニオブ、
バナジウム、銅、ヒ素、アンチモン:Fe-Ni 系合金冷延
板の表面に形成される黒化膜の熱輻射率を向上させるた
めには、黒化膜の黒色度を高めることに加えて、黒化膜
の成長を促進させ、所定時間内に、所定厚さの黒化膜を
形成することが必要である。Fe-Ni 系合金の溶製時に、
モリブデン、タングステン、ニオブ、バナジウム、銅、
ヒ素およびアンチモン等が不可避的に混入するが、これ
らの元素の含有量が所定値を超えると、黒化膜の成長速
度が低下し、所定時間内に所定厚さの黒化膜を形成する
ことができなくなる。
【0020】上述した観点から、モリブデンの含有量を
0.05wt.%以下、タングステンの含有量を0.02wt.%以下、
ニオブの含有量を0.02wt.%以下、バナジウムの含有量を
0.02wt.%以下、銅の含有量を0.02wt.%以下、ヒ素の含有
量を0.005wt.% 以下、アンチモンの含有量を0.01wt.%以
下、そして、ホウ素の含有量を0.0005wt.%以下に各々限
定すべきである。
【0021】モリブデン、タングステン、ニオブ、バナ
ジウム、銅、ヒ素およびアンチモンの含有量が上記値を
超えると、黒化膜の成長速度が阻害される原因について
は、必ずしも明らかではないが、次のように推定され
る。即ち、上記各元素の含有量が上記範囲を超えると、
Fe-Ni 系合金冷延板と黒化膜との界面に、上記各元素が
濃厚に存在するようになる。その結果、黒色の酸化膜即
ち黒化膜が形成されにくくり、その成長速度が阻害され
る。
【0022】(9) ホウ素:ホウ素は、Fe-Ni 系合金の溶
製時に不可避的に混入する不純物の1つである。ホウ素
含有量が0.0005wt.%を超えると、黒化膜の密着性が劣化
する。従って、ホウ素の含有量は、0.0005wt.%以下に限
定すべきである。
【0023】(10)水素:Fe−34〜38wt.%Niのインバー合
金を溶製する際の精錬工程においては、一般にCaO 系の
スラグが使用されている。CaO 系スラグは、水分を吸収
しやすいために合金中への水素の供給源となる。従っ
て、Fe-Ni 系合金中には、その溶製時に不可避的に水素
が混入する。その結果、Fe-Ni 系合金冷延板の表面に黒
化膜を形成するときに、合金板中から水素ガスが放出さ
れて、黒化膜が多孔質となるために、黒化膜の剛性が小
さくなり、その密着性が劣化する問題が生ずる。このよ
うな問題は、水素の含有量が1.0ppmを超えると顕著にな
る。従って、水素の含有量は1.0ppm以下に限定すること
が好ましい。
【0024】(11)希土類元素:希土類元素は、本合金の
溶製時に不可避的に混入する不純物の1つである。希土
類元素の含有量が、1種または2種以上の合計で0.0002
wt.%を超えると、黒化膜の黒色度が劣化する。従って、
希土類元素の1種または2種以上の合計含有量は0.0002
wt.%以下に限定することが好ましい。
【0025】次に、この発明のシャドウマスク用Fe-Ni
系合金冷延板の製造方法について述べる。電気炉におい
て、34から38wt.%の範囲内の量のニッケルを含有するFe
-Ni系溶融合金を調製する。そして、電気炉内および/
または取鍋内において、Fe-Ni 系溶融合金中に、酸素の
吹き込み、または、スラグ中へのミルスケール等の酸化
物の添加によって、酸素を供給する。その結果、Fe-Ni
系溶融合金中に含有されているシリコン、クロム、チタ
ン、タングステン、ニオブ、バナジウムおよびホウ素等
の不純物は酸化し、生成した酸化物は、CaO 系スラグに
吸収されて除去される。
【0026】上述した酸化物の除去によって、Fe-Ni 系
溶融合金中の、シリコンの含有量を0.05wt.%以下、クロ
ムの含有量を0.05wt.%以下、チタンの含有量を0.02wt.%
以下、(但し、アルミニウム、シリコン、クロムおよび
チタンの合計含有量は0.10wt.%以下)、タングステンの
含有量を0.02wt.%以下、ニオブの含有量を0.02wt.%以
下、そして、バナジウムの含有量を0.02wt.%以下にす
る。
【0027】また、Fe-Ni 系溶融合金中の、マンガンの
含有量は0.35wt.%以下に、アルミニウムの含有量は0.02
wt.%以下に、モリブデンの含有量は0.05wt.%以下に、銅
の含有量は0.02wt.%以下に、ヒ素の含有量は0.005 wt.%
以下にそしてアンチモンの含有量は0.01wt.%以下になる
ように、原料を選んで調整する。
【0028】上述した成分組成のFe-Ni 系溶融合金をイ
ンゴットに鋳造し、次いで、前記インゴットを分塊圧延
し、熱間圧延し、そして、冷間圧延する。かくして、黒
化処理性に優れたシャドウマスク用Fe-Ni 系合金冷延板
が製造される。
【0029】
【実施例】次に、この発明の、黒化処理性に優れたシャ
ドウマスク用Fe-Ni 系合金冷延板およびその製造方法
を、この発明の範囲外の比較例と対比しながら、実施例
により、更に詳細に説明する。表1に示す原料を使用
し、次の製造工程によって、Fe-Ni 系合金冷延板を調製
した。
【0030】1.電気炉を使用する下記を含む精錬 原料としての鋼屑およびニッケル地金の溶解 造滓 送酸 2.VAD(真空−電弧−脱ガスの略)設備を使用する
下記を含む精錬 造滓 昇熱 3.VOD(真空−酸素−脱炭の省略)設備を使用する
下記を含む精錬 送酸 除滓 送酸脱炭 真空脱炭 脱酸、スラグ脱酸 4.造塊 5.分塊圧延 6.熱間圧延 7.冷間圧延
【0031】
【表1】
【0032】電気炉内における、この発明によるFe−Ni
系溶融合金の精錬のためのプロセスの一例を図1の工程
系統図で、取鍋内における、この発明によるFe−Ni系溶
融合金の精錬のためのプロセスの一例を図2の工程系統
図で各々示す。即ち、攪拌用ガスを吹き込むための底部
プラグを備えた50t 電気炉内において、造滓、鋼屑およ
びニッケル地金の溶解を実施して、Fe-Ni 系溶融合金を
調製した。得られた溶融合金の成分組成は表2の通りで
あり、溶解時に生成したスラグの成分組成は、表3の通
りであった。
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】次いで、10〜30Nm3/t の量による送酸を実
施した。送酸後のFe-Ni 系溶融合金の成分組成は表4の
とおりであり、そのときに生成したスラグの成分組成
は、表5の通りであった。
【0036】
【0037】
【0038】次いで、これを 50t取鍋内に移し、この取
鍋をVAD(真空−電弧−脱ガス)設備内に配置し、こ
こで造滓および加熱を実施した。次いで、前記取鍋をV
OD(真空−酸素−脱炭)設備内に配置し、ここで、下
記条件下で送酸を実施した。
【0039】 真空度 :600 Torr以下、 上吹き酸素ガスの流量 :12Nm3/Hr・t 、 送酸量 :2 〜5Nm3/t、 ランスと溶融合金の表面との間の距離:900mm 。
【0040】送酸後のFe-Ni 系溶融合金の成分組成は表
6の通りであり、そのときに生成したスラグの成分組成
は、表7の通りであった。
【0041】
【表6】
【0042】
【表7】
【0043】このようにして得られたFe−Ni系溶融合金
に対し、取鍋中において、除滓、再造滓・加熱、送酸脱
炭、真空脱炭および脱酸・スラグ脱酸処理を施し、これ
らの処理の施された溶融合金を、インゴットに鋳造し
た。次いで、このように調製したインゴットを、分塊圧
延し、次いで、スラブの表面手入れ、熱間圧延、脱スケ
ール、冷間圧延、焼鈍、冷間圧延および歪取り熱処理か
らなる一連の工程によって、0.15mmの厚さを有する本発
明のFe−Ni系合金冷延板の供試体(以下、本発明供試体
という)No. 1および2を調製した。
【0044】比較のために、送酸またはスラグ中への酸
化物の添加による、Fe-Ni 系溶融合金中への酸素の供給
を行わないほかは、上述した本発明におけると同一の工
程によって、0.15mmの厚さを有する本発明の範囲外のFe
−Ni系合金冷延板の供試体(以下、比較用供試体とい
う)No. 1および2を調製した。
【0045】比較用供試体の製造時に、電気炉内におい
てFe-Ni 系溶融合金を調製した際のスラグの成分組成を
表8に示す。
【0046】
【表8】
【0047】上述した本発明供試体および比較用供試体
に対しエッチング穿孔を施した。エッチング穿孔が施さ
れた供試体に対し、810 ℃の温度で焼鈍を施し、次い
で、550 ℃の温度で8分間黒化膜形成処理を施した。
【0048】このようにして黒化膜が形成された供試体
に対し、下記により、黒化膜の密着性、黒色度、熱輻射
率、および、むらの発生状態を調べた。
【0049】(1) 黒化膜の密着性:供試体の表面にテー
プを貼り付け、テープが貼り付けられた供試体に対し18
0度の角度で密着曲げを施し、次いでテープを剥がし
た。そして、剥離した黒化膜のテープ上への付着状態に
よって評価した。評価基準は、次の通りである。 ◎ : 黒化膜が全く剥離せず、密着性が極めて良好で
ある ○ : 黒化膜が殆ど剥離せず、密着性が良好である △ : 黒化膜がある程度剥離し、密着性がやや不良で
ある × : 黒化膜の剥離が多く、密着性が不良である
【0050】(2) 黒化膜の黒色度:供試体の、黒化膜の
黒色度を目視によって評価した。評価基準は、次の通り
である。 ◎ : 極めて良好である ○ : 良好である △ : やや不良である × : 不良である
【0051】(3) 熱輻射率:完全に熱を吸収する基準黒
体の熱輻射率を1.0 としたときの、供試体の熱輻射率を
調べ、それによって評価した。
【0052】(4) 黒化膜のむら発生状態 供試体の、黒化膜に生じたむらの発生状態を目視によっ
て評価した。評価基準は、次の通りである。 ◎ : むらが全くない ○ : 殆どむらがない △ : ややむらがある × : むらがある
【0053】本発明供試体および比較用供試体の化学成
分組成、および、上記黒化膜の密着性、黒色度、熱輻射
率およびむらの発生状態の調査結果を表9に示す。
【0054】比較用供試体No. 1および2は、その精錬
時に酸素の供給を行わなかったので、表9から明らかな
ように、シリコン、クロム、チタン、タングステン、ニ
オブ、バナジウム、ボロン等の酸化による除去が行われ
ず、従って、これらの元素がほとんど低減されず、ま
た、表8に示すようにスラグのFeO 活量が低かった。従
って、黒化膜の密着性、黒色度および熱輻射率が不良で
あり、且つ、黒化膜にむらが発生した。
【0055】これに対し、本発明供試体No. 1および2
は、黒化膜の密着性、黒色度および熱輻射率が優れてお
り、黒化膜にむらが発生することもなかった。特に、本
発明供試体No. 1は、シリコン、クロムおよびチタン
が、より好ましいレベルまで低減されたため、黒化膜の
密着性、黒色度および熱輻射率が一段と優れていた。
【0056】
【表9】
【0057】
【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、
むらのない均一な黒色度を有し、熱輻射性能および密着
性に優れた黒化膜を有する、黒化処理性に優れた、シャ
ドウマスク材用のFe-Ni 系合金冷延板を製造することが
できる、工業上有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電気炉内における、この発明によるFe−Ni系溶
融合金の精錬のためのプロセスの一例を示す工程系統図
である。
【図2】取鍋内における、この発明によるFe−Ni系溶融
合金の精錬のためのプロセスの一例を示す工程系統図で
ある。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01J 29/07 Z (72)発明者 井上 正 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 松野 英寿 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ニッケル : 34 〜 38 wt.%、 マンガン : 0.05 〜0.35 wt.% 、 アルミニウム: 0.001 〜0.020wt.% 、 シリコン : 0.05wt.%以下 クロム : 0.05wt.%以下、 チタン : 0.02wt.%以下、 但し、アルミニウム、シリコン、クロムおよびチタンの
    合計含有量は0.10wt.%以下、 モリブデン : 0.05wt.%以下、 タングステン: 0.02wt.%以下、 ニオブ : 0.02wt.%以下、 バナジウム : 0.02wt.%以下、 銅 : 0.02wt.%以下、 ヒ素 : 0.005wt.% 以下、 アンチモン : 0.01wt.%以下、 ホウ素 : 0.0005wt.%以下、および、 残り、鉄および不可避的不純物、からなることを特徴と
    する、黒化処理性に優れたシャドウマスク用Fe-Ni 系合
    金冷延板。
  2. 【請求項2】 更に、水素含有量が1.0ppm以下であり、
    そして、希土類元素含有量が0.0002wt.%以下である、請
    求項1記載のFe-Ni 系合金冷延板。
  3. 【請求項3】 34から38wt.%の範囲内の量のニッケルを
    含有するFe-Ni 系溶融合金を調製し、電気炉内および/
    または取鍋内において、前記Fe-Ni 系溶融合金中に酸素
    を供給して、前記Fe-Ni 系溶融合金中に含有されている
    シリコン、クロム、チタン、タングステン、ニオブ、バ
    ナジウムおよびホウ素を酸化させ、生成した酸化物をCa
    O 系スラグに吸収して除去し、次いで、前記酸化物が除
    去されたFe-Ni 系溶融合金をインゴットに鋳造し、次い
    で、前記インゴットを分塊圧延し、熱間圧延し、そし
    て、冷間圧延することにより、黒化処理性に優れたシャ
    ドウマスク用Fe-Ni 系合金冷延板を製造することを特徴
    とする、黒化処理性に優れたシャドウマスク用Fe-Ni 系
    合金冷延板の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記電気炉内および/または取鍋内にお
    ける前記Fe-Ni 系溶融合金中への酸素の供給を、前記Fe
    -Ni 系溶融合金中への酸素の吹き込みによって行う請求
    項3記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記電気炉内および/または取鍋内にお
    ける前記Fe-Ni 系溶融合金中への酸素の供給を、スラグ
    中へのミルスケール等の酸化物の添加によって行う請求
    項3記載の方法。
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