JP3501004B2 - エッチング穿孔性に優れたFe−Ni系合金板及びシャドウマスク - Google Patents

エッチング穿孔性に優れたFe−Ni系合金板及びシャドウマスク

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エッチング特性に
優れたFe-Ni系合金及びシャドウマスクに関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来から、高鮮明TVのシャドウマスクに
使用されるFe-Ni系合金冷延板には、膨張率が低いこ
と、およびエッチング穿孔時に欠陥が発生しないことが
要求されている。
【0003】エッチング穿孔時に発生する欠陥の多くは
酸化物系介在物に起因するため、Fe-Ni系合金板におい
て酸化物系介在物の組成、形状、大きさ、および量を制
御する方法が開示されている。
【0004】特開昭63-231844号公報では、シャドウマ
スクの圧延方向に平行な断面、及び表面において、JIS
法によりA系非金属介在物の幅が5.0μm以下、長さが50
μm以下、B系非金属介在物の粒状介在物集合体の幅が
5.0μm以下、長さが50μm以下、C系非金属介在物の単
一介在物平均直径が5.0μm以下、面積率d(A+B+C)60×4
00の値が0.01%以下の清浄度を有するFe-Ni系合金板から
製造された板により、エッチング穿孔時の欠陥発生を低
減させることが提案されている。
【0005】また、特開昭62-161936号公報では、シャ
ドウマスク用Fe-Ni系合金冷延板中に含まれる非金属介
在物を、図4に示すAl2O3-MnO-SiO2系三元系状態図にお
いて、 ポイント1: Al2O3:4wt% MnO:58wt% SiO2:38wt% ポイント2: Al2O3:5wt% MnO:49wt% SiO2:46wt% ポイント3: Al2O3:23wt% MnO:23wt% SiO2:54wt% ポイント4: Al2O3:27wt% MnO:31wt% SiO2:42wt% ポイント5: Al2O3:17wt% MnO:54wt% SiO2:29wt% を順次に結ぶ線によって囲まれた領域内の組成にするこ
とにより、エッチング穿孔時の欠陥発生を低減させる方
法が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、カラー
テレビの高精細化の動きやパソコンにおけるシャドウマ
スク使用の増加に伴い、シャドウマスクの高精細化の要
求が一層高まっており、上述したような対策を施したFe
-Ni系合金冷延板をもってしても、介在物に起因するエ
ッチング穿孔時の欠陥を抑えることが出来なくなってき
ている。そのため、現在要求されている高精細化に対し
て問題となるエッチング穿孔時の欠陥発生のないFe-Ni
系合金冷延板はまだ提案されていない。
【0007】エッチング穿孔時の欠陥発生を抑えるため
に、介在物の量を極力低減させることは当然有効である
が、介在物低減を現状レベルよりもさらに進展させるこ
とはかなりの製造コストアップにつながり、現実的でな
い。
【0008】本発明はかかる事情に鑑みてなされたもの
であって、エッチング穿孔時に欠陥が発生せず、高精細
度カラーテレビ用およびパソコン用シャドウマスクに使
用することができ、低コストでエッチング穿孔性に優れ
たFe-Ni系合金板及びシャドウマスクを提供することを
目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた。この結果、エッチング
時に発生する穴形状異常や線状欠陥と、合金板中の酸化
物形介在物の総個数及び粒径との間、また、エッチング
時に発生する穴形状異常や線状欠陥と、合金板中の酸化
物形介在物の量及び粒径との間に極めて強い相関がある
ことを見い出した。
【0010】すなわち、シャドウマスク等に適用される
Fe-Ni系合金板は、通常、電気炉で精錬し、さらにVAD
(真空−電弧脱ガス法)、VOD(真空−酸素脱炭法)で
精練した後の鋼塊を分塊圧延、熱間圧延、冷間圧延する
ことにより得られるか、または転炉出鋼後二次精錬にお
いて成分調整して得られた溶鋼を鋳型に流し込んでイン
ゴットとするか、または連続鋳造してスラブとし、分塊
圧延、熱間圧延及び冷間圧延することにより得られる
が、最終的に得られるFe-Ni系合金板中に含まれる酸化
物系介在物の総個数及び粒径、または酸化物系介在物の
量及び粒径を制御することにより、エッチング穿孔時に
発生する欠陥を防止することができることを見い出し
た。
【0011】本発明はこのような知見に基づいてなされ
たものであり、第1発明は、Fe-Ni系合金板に含まれる
酸化物系介在物の全個数が、試料1g当り3.7×10 5
個以上1×107個以下であり、かつ粒径5μm以上の
酸化物系介在物個数が試料1g当たり5.4×10 2 個以
1×105個以下であることを特徴とするエッチング
穿孔性に優れたFe-Ni系合金板を提供するものである。
【0012】第2発明は、第1発明において、Fe-Ni系
合金板に含まれる粒径5μm以上の酸化物系介在物個数
が試料1g当たり5.4×10 2 個以上1×103個以下
であることを特徴とするエッチング穿孔性に優れたFe-N
i系合金板を提供するものである。
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】第発明は、第1〜発明に記載のFe-Ni
系合金板を素材として製造したシャドウマスクを提供す
るものである。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。まず、エッチング時に発生する穴形状異常や線状
欠陥の実態を調査した。この部位に存在する介在物は、
そのほとんどがAl2O3主体の酸化物系介在物であり、大
きさは数μm〜数十μm程度のものであった。
【0019】本発明者らは、上記知見をもとに、素材中
に含まれる酸化物系介在物の個数、粒径、量と、欠陥率
との関連に着目して調査を行った。
【0020】まず、種々の条件で製造したシャドウマス
ク用Fe-Ni系合金冷間圧延板を用い、実験室にてエッチ
ング穿孔を実施した。実験室でのエッチング穿孔の場
合、エッチング不良率が1%以下であれば、実際のエッチ
ングラインにおいてはまったく問題のない水準である。
【0021】次に、エッチング穿孔に供した冷間圧延板
から試料50g程度をサンプリングし、10%Br2-メタノール
溶液で溶解して酸化物系介在物を抽出し、抽出後の介在
物の粒度分布を光回折散乱法で測定した。
【0022】本来、鋼中には酸化物系介在物のほかに、
硫化物系介在物、炭化物系介在物、窒化物系介在物が含
まれるが、これら介在物を抽出する方法に、酸溶解法、
ハロゲン−有機溶媒溶解法、電解抽出法等がある。しか
し、Fe-Ni系合金中の酸化物系介在物のみを選択的に抽
出し、なおかつ介在物個数及び量を定量するには、酸溶
解抽出もしくはハロゲン−有機溶媒抽出が適している。
硫化物系介在物、炭化物系介在物、窒化物系介在物の存
在を考慮しなくて良いか、もしくは極微量しか存在しな
い場合には、非水溶媒系電解液を用いる電解抽出法も適
用できる。
【0023】図1に、酸化物系介在物の個数とエッチン
グ不良率との関係を示した。この図から酸化物系介在物
個数とエッチング不良率との間に極めて強い相関がある
ことが確認される。
【0024】すなわち、Fe-Ni系合金冷間圧延板中に含
まれる酸化物系介在物総個数が、試料1g当たり1×107
以下の領域において、粒径5μm以上の酸化物系介在物
個数が試料1g当たり1×105個以下になると不良率は1%以
下に抑えられており、さらに粒径5μm以上の酸化物系
介在物個数が試料1g当たり1×103個以下では全く不良が
発生していない。
【0025】一方、Fe-Ni系合金冷間圧延板中に含まれ
る酸化物系介在物の全個数が、試料1g当たり1×107個を
超えるとエッチング不良率が1%を超えている。また、Fe
-Ni系合金冷間圧延板中に含まれる粒径5μm以上の酸化
物系介在物個数が試料1g当たり1×105個を超えると、た
とえFe-Ni系合金冷間圧延板中に含まれる酸化物系介在
物の全個数が試料1g当たり1×107個以下であっても、エ
ッチング不良率が1%を超えている。
【0026】これらの結果に基づき、本発明では、エッ
チング不良率を実際のエッチングラインにおいて全く問
題のない水準に抑える観点から、酸化物系介在物の総個
数を試料1g当り1×107個以下とし、かつその領域におい
て粒径5μm以上の酸化物系介在物個数を試料1g当たり1
×105個以下とした。また、粒径5μm以上の酸化物系介
在物が試料1g当たり1×103個以下では全くエッチング不
良が発生しないことから、より好ましくは粒径5μm以
上の酸化物系介在物が試料1g当たり1×103個以下であ
る。
【0027】図2に、酸化物系介在物量とエッチング不
良率との関係を示した。この図から酸化物系介在物量と
エッチング不良率との間に極めて強い相関があることが
確認される。
【0028】すなわち、Fe-Ni系合金冷間圧延板中に含
まれる酸化物系介在物量が50ppm以下の領域において、
粒径5μm以上の酸化物系介在物量が20ppm以下になると
不良率は1%以下に抑えられており、さらにこの領域内で
酸化物系介在物総量が30ppm以下になるかもしくは粒径5
μm以上の酸化物系介在物量が10ppm以下になる領域で
は不良率は0.5%以下にまで抑えられている。さらにま
た、酸化物系介在物総量が30ppm以下の領域でなおかつ
粒径5μm以上の酸化物系介在物量が10ppm以下の領域に
おいては全く不良が発生していない。
【0029】一方、Fe-Ni系合金冷間圧延板中に含まれ
る酸化物系介在物総量が50ppmを超えるとエッチング不
良率が1%を超えている。また、Fe-Ni系合金冷間圧延板
中に含まれる粒径5μm以上の酸化物系介在物量が20ppm
を超えると、たとえFe-Ni系合金冷間圧延板中に含まれ
る酸化物系介在物総量が50ppm以下であっても、エッチ
ング不良率が1%を超えている。
【0030】これらの結果に基づき、本発明では、エッ
チング不良率を実際のエッチングラインにおいて全く問
題のない水準に抑える観点から、酸化物系介在物総量を
50ppm以下とし、かつその領域において粒径5μm以
上の酸化物系介在物量を20ppm以下とするのが好まし
。また、この領域内で酸化物系介在物総量が30ppm
以下になるかもしくは粒径5μm以上の酸化物系介在物
量が10ppm以下になるとエッチング不良率をより抑え
ることができるため、より好ましい。さらに、酸化物系
介在物総量が30ppm以下でなおかつ粒径5μm以上の
酸化物系介在物量が10ppm以下では全くエッチング不
良が発生しないことから、最も好ましい。
【0031】本発明において、酸化物系介在物の粒径及
び個数、または介在物量及び粒径を求めるためには、試
料を溶解して酸化物系介在物のみ抽出し、その抽出物か
ら粒径分布を測定して粒径及び個数、または介在物量及
び粒径を求めることが好ましい。光学顕微鏡や走査型電
子顕微鏡観察などから粒径及び個数、または介在物量及
び粒径を測定することも可能であるが、このように試料
を溶解して酸化物系介在物を抽出するほうが分析精度が
高い。この場合に試料の量は数十g以上であることが好
ましい。また、酸化物系介在物を抽出する方法として
は、上述した酸溶解抽出もしくはハロゲン−有機溶媒抽
出が適しており、これらのいずれかの方法を用いること
が好ましい。又、粒度分布の測定は、光回折散乱法や遠
心沈降透過法のように分布を全体的に測定できるような
方法が好ましい。
【0032】本発明においては、酸化物系介在物の総個
数及び粒径5μm以上の酸化物系介在物個数以外の合金
組成に関しては特に限定するものではなく、通常シャド
ウマスク等に用いられる組成のFe-Ni系合金であればよ
く、例えば重量%で、C:0.005%以下、Si:0.4%
以下、Mn:0.1%〜1%、Ni:30%〜45%、Cr:0.
1%以下、O:0.003%以下、S:0.005%以下、
N:0.005%以下、Al:0.002〜0.03%、残
部Fe及び不可避不純物からなるFe-Ni系合金を用いるこ
とができる。その他、必要に応じてCa,Mg等の合金元素
を添加しても、本発明の作用効果を損なうものではな
い。
【0033】また、製造方法に関しても、転炉及び二次
精練等により所定の組成に調整された鋼を、連続鋳造も
しくは造塊及び分塊圧延によりスラブとしてもよいし、
電気炉で精錬し、さらにVAD(真空−電弧脱ガス法)、V
OD(真空−酸素脱炭法)で精練した鋼を造塊後分塊圧延
を行いスラブとしてもよい。
【0034】このようにして得られたスラブは、常法に
従って熱間圧延、冷間圧延等が施され、所定の厚さのFe
-Ni系合金板とされる。具体的には、例えばスラブを熱
間圧延、酸洗、冷間圧延、焼鈍、冷間仕上圧延して製品
とする。
【0035】更に、このようにして得られた合金板を素
材とし、常法によってエッチング穿孔を施してシャドウ
マスクを製造すると、高精細度のシャドウマスクが得ら
れる。
【0036】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明する。 (実施例1)電気炉及びVAD(真空−電弧脱ガス法)及びV
OD(真空−酸素脱炭法)を用い、C:0.005%以下、Si:
0.4%以下、Mn:0.1%〜1%、Ni:30%〜45%、Cr:0.1%以
下、O:0.003%以下、S:0.005%以下、N:0.005%以下、A
l:0.002〜0.03%、残部Fe及び不可避不純物からなるFe-
Ni系合金を溶解して成分調整を行い、鋳造して鋼塊を得
た。この鋼塊に対し、熱間圧延、酸洗、冷間圧延、焼
鈍、冷間仕上圧延の工程を施し、板厚0.13mmのシャドウ
マスク用鋼板とした。この際に、脱酸材の量、スラグ組
成、精錬条件等を調整することにより、酸化物系介在物
の個数を種々変化させた。
【0037】この鋼板から介在物測定用試料を採取し、
50g程度を10%Br2-メタノール溶液で溶解して介在物を抽
出し、抽出後の介在物の粒度分布を図3の手順に従って
光回折散乱法[まてりあ第35巻、第4号(1996)]で測定
し、酸化物系介在物の粒径及び個数を求めた。同時にこ
の鋼板をシャドウマスクにエッチング穿孔を施し、穴形
状異常や線状欠陥等の不良率を調査し、酸化物系介在物
の総個数、5μm以上の酸化物系介在物個数に対応させ
て評価を行った。表1にこの結果を示した。
【0038】
【表1】
【0039】比較例1、2は酸化物系介在物の総個数が試
料1g当り1×107個を超えているためエッチング穿孔不良
が発生している例である。
【0040】比較例3、4は酸化物系介在物の総個数が試
料1g当り1×107個以下であるが、粒径5μm以上の酸化
物系介在物個数が試料1g当たり1×105個を超えているた
め、エッチング穿孔不良が発生している例である。
【0041】さらに比較例5、6は酸化物系介在物の総個
数及び粒径5μm以上の酸化物系介在物個数のいずれも
が本発明の範囲を外れるものであり、特にエッチング不
良率が高い。
【0042】これに対して本発明の範囲内である発明例
〜11はいずれもエッチング不良率が1%以下であ
り、良好なエッチング穿孔性が得られていることがわか
る。中でも、粒径5μm以上の酸化物系介在物個数が1
×103個以下である発明例1〜6はエッチング不良率
が0であった。
【0043】(参考例2)電気炉及びVAD(真空?電弧
脱ガス法)及びVOD(真空?酸素脱炭法)を用い、C:
0.005%以下、Si:0.4%以下、Mn:0.1%〜1
%、Ni:30%〜45%、Cr:0.1%以下、O:0.00
3%以下、S:0.005%以下、N:0.005%以下、A
l:0.002〜0.03%、残部Fe及び不可避不純物か
らなるFe-Ni系合金を溶解して成分調整を行い、鋳造し
て鋼塊を得た。この鋼塊に対し、熱間圧延、酸洗、冷間
圧延、焼鈍、冷間仕上圧延の工程を施し、板厚0.13
mmのシャドウマスク用鋼板とした。この際に、脱酸材の
量、スラグ組成、精錬条件等を調整することにより、酸
化物系介在物の量を種々変化させた。
【0044】この鋼板から介在物測定用試料を採取し、
50g程度を10%Br2-メタノール溶液で溶解して介在物を抽
出し、抽出後の介在物の粒度分布を図3の手順に従って
光回折散乱法[まてりあ第35巻、第4号(1996)]で測定
し、酸化物系介在物の粒径及び量を求めた。同時にこの
鋼板をシャドウマスクにエッチング穿孔を施し、穴形状
異常や線状欠陥等の不良率を調査し、酸化物系介在物の
総量、5μm以上の酸化物系介在物量に対応させて評価
を行った。表2にこの結果を示した。
【0045】
【表2】
【0046】参考例21、22は酸化物系介在物総量が
50ppmを超えているためエッチング穿孔不良が発生し
ている例である。
【0047】参考例23、24は酸化物系介在物総量が
50ppm以下であるが、粒径5μm以上の酸化物系介在
物量が20ppmを超えているため、エッチング穿孔不良
が発生している例である。
【0048】さらに参考例25、26は酸化物系介在物
総量及び粒径5μm以上の酸化物系介在物量のいずれも
が本発明の範囲を外れるものであり、特にエッチング不
良率が高い。
【0049】これに対して参考例1〜20はいずれもエ
ッチング不良率が1%以下であり、良好なエッチング穿
孔性が得られていることがわかる。
【0050】このうち、酸化物径介在物総量が30ppm
以下であり、かつ粒径5μm以上の酸化物系介在物量が
20ppm以下である参考例6〜10、及び酸化物径介在
物総量が50ppm以下であり、かつ粒径5μm以上の酸
化物系介在物量が10ppm以下である参考例11〜15
ではエッチング不良率が0.5%以下に抑えられてい
た。さらに、酸化物径介在物総量が30ppm以下であ
り、かつ粒径5μm以上の酸化物系介在物量が10ppm
以下である参考例16〜20はエッチング不良率が0で
あった。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
粒径5μm以上の酸化物系介在物個数及び酸化物系介在
物の全個数を規定することにより、酸化物系介在物を極
端に低減することなく、酸化物系介在物に起因する穴形
状異常や線状欠陥等のエッチング不良を低減させること
ができ、エッチング穿孔性に優れたFe-Ni系合金板を低
コストで得ることができる。
【0052】本発明のFe-Ni系合金板を素材として製造
されたシャドウマスクは、穴形状異常や線状欠陥等のエ
ッチング欠陥が少ないので、高精細度カラーテレビ用及
びパソコン用シャドウマスクに使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】10%Br2-メタノール溶液で溶解して介在物を抽出
し、抽出後の介在物の粒度分布を光回折散乱法で測定し
て得られた酸化物系介在物の個数と、エッチング不良率
との関係を示す図。
【図2】10%Br2-メタノール溶液で溶解して介在物を抽出
し、抽出後の介在物の粒度分布を光回折散乱法で測定し
て得られた酸化物系介在物量と、エッチング不良率との
関係を示す図。
【図3】光回折散乱法の操作手順を説明する図。
【図4】従来のFe-Ni系合金板中に存在する酸化物系介在
物の組成の領域を示すAl2O3-MnO-SiO2三元系状態図。
フロントページの続き (72)発明者 内野 知彦 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−214492(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/60

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Fe-Ni系合金板に含まれる酸化物系介在物
    の全個数が、試料1g当り3.7×10 5 個以上1×10
    7個以下であり、かつ粒径5μm以上の酸化物系介在物
    個数が試料1g当たり5.4×10 2 個以上1×105
    以下であることを特徴とするエッチング穿孔性に優れた
    Fe-Ni系合金板。
  2. 【請求項2】 Fe-Ni系合金板に含まれる粒径5μm以上
    の酸化物系介在物個数が試料1g当たり5.4×10 2
    以上1×103個以下であることを特徴とする請求項1
    に記載のエッチング穿孔性に優れたFe-Ni系合金板。
  3. 【請求項3】請求項1〜2に記載の Fe-Ni 系合金板を素
    材として製造したシャドウマスク。
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