JP3599118B2 - 磁気シールド材の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、磁気シールド鋼材の製造方法に関するもので、詳しくはカラー受像管の内部に装着され、電子銃とシャドウマスクないしは蛍光面との間の電子ビームが通過する空間を囲う磁気シールド材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来カラー受像管の内部には、電子銃から発射された電子ビームのシャドウマスクないしは蛍光面までの進行経路が、地磁気や周辺の電子機器により生じる磁界の影響を受け、色ずれ等の画像の歪みを避けるため、カラー受像管内あるいは外に漏斗状の磁気シールドが設けられている。
上記磁気シールドは、カラー受像管の内部に封入されるのが一般的であり、この場合素材として用いられる強磁性体である0.15mm程度の薄鋼板には、磁気特性が優れていること、成形加工性が良好であること、機械的強度が大きいことの外に、熱放射率が高く、かつガス放出の少ないこと、黒化処理性のよいことなどが特に要求される。
【0003】
磁気シールド材の磁気特性に関しては、最小限地磁気による影響を低減するため、地磁気に近い磁界、すなわち0.35エルステッド(以下0.35Oeという)における比透磁率μができるだけ高いことが要求される。
また、カラー受像管による画像表示装置には、通常電源スイッチを入れた直後に作動する消磁回路が設けられており、受像管周辺の画像に悪影響を及ぼす残存磁気を消去しているが、シールド材の消磁を効果的に行うには、保磁力Hcができるだけ小さいことが好ましい。ただし、比透磁率μと保磁力Hcは良好な相関があり、比透磁率μの高いほど保磁力Hcは小さい傾向がある。
【0004】
磁気シールド材における磁気特性を向上させるには、素材の鋼中の化学成分の管理や製造法の改善が重要であるが、それに加えて圧延やプレス成形等における加工歪みの残存は僅かであっても磁気特性を大きく劣化させるので、最終形状に加工したのち十分に磁気特性の回復、向上のためのいわゆる磁気焼鈍することが必要である。
しかるのち、磁気シールド材は、さらに防錆加工および電子ビームの乱反射の防止や熱放射率向上のためにシールド機体表面に薄い黒色酸化被膜をつける黒化処理が施され、受像管内部に組込まれる。この黒色酸化被膜は、通常黒化処理と称する水蒸気添加空気のような湿潤雰囲気および/またはCO等のガス雰囲気中でシールド機体を550〜600℃に10〜30分間加熱し、表面酸化させて付着させるが、黒色酸化被膜の健全なものが要求される。
【0005】
磁気シールド材のガス放出に関しては、上記した薄鋼板の場合受像管組立ての最終工程で加熱しながら真空排気するベイキング工程で、通常問題のないレベルまで低減される。しかしながら、もし磁気シールド材の炭素含有率が高ければ、表面の黒化酸化被膜の酸素と反応してCOガスが発生する可能性があるが、磁気特性向上を目的として極低炭素化した鋼を用いる場合は、ほとんど問題とはならない。
さらに、受像管内のシールド機体の形状によっては、絞り加工性を要求される場合や、曲げ加工だけの殆ど加工性が不要な場合もあるが、厳しい加工が行われる磁気シールド材では、それに応じた加工性が必要である。
【0006】
上記のとおり様々な性能が要求される受像管内の磁気シールド材は、従来リムド鋼ないしはキャップド鋼から製造された薄鋼板が多く使用されていた。リムド鋼ないしはキャップド鋼は、上記磁気シールド材としての要求をほぼ満足し、薄鋼板にした状態で雰囲気調整による脱炭焼鈍を行って極低炭素化したり、十分な焼鈍を行って結晶粒を大きくすれば、磁気特性も改善される。
その後、磁気シールド材の素材は、連続鋳造法の発達につれて、脱酸にAlを使用するいわゆるアルミキルド鋼が主流になってきている。この連続鋳造法によるアルミキルド鋼は、リムド鋼やキャップド鋼に比較して偏析も少なく、介在物も少ないが、脱酸剤として添加するAlが鋼中の窒素と結合して生成する微細なAlNの存在によって、地磁気程度の弱い磁場における磁気特性がよくなく、また、焼鈍における結晶の粒成長性も良くない。
しかし、リムド鋼やキャップド鋼は、次第に生産されないようになってきたため、アルミキルド鋼を用いてリムド鋼やキャップド鋼と同等ないしはそれより良好な性能の磁気シールド材の開発が検討され、種々の提案が行われている。
【0007】
例えば、C:0.08%以下、Si:0.5%以下、Mn:0.1〜0.3%、Sol.Al:0.005〜0.080%、N:0.008%以下、残部Feおよび不可避的不純物からなる成分組成の鋼を熱間圧延し、冷間圧延した後、これに焼鈍を施してC含有量が0.01%以下の再結晶鋼板となし、次いで圧下率:5〜17%の中間冷間圧延を施してから680〜800℃にて焼鈍することで粒度番号:5番以下の粗大結晶粒とし、その後さらに圧下率:50%以上の冷間圧延を施す方法(特公昭64−1531号公報)、C:0.0030%以下、Al:0.005〜0.06%、N:0.0030%以下を含有するスラブを、1000℃以上の均熱温度であって、かつTs≦1.65Tc+121.25を満足させる均熱温度Tsおよび巻取温度Tc、720〜870℃の仕上温度で2.0mm以下まで熱間圧延し、冷間圧延後650℃以上でバッチ焼鈍または連続焼鈍する方法(特公平6−2905号公報)、C:0.12%以下、Mn:0.10〜0.50%、Si:0.02%以下、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Sol.Al:0.01%以下、N:0.0001〜0.01%、残部Feおよび不可避的不純物からなるリムド鋼熱延鋼帯に、少なくとも一次冷間圧延、焼鈍後の鋼帯C成分が0.01%以下であるオープンコイル脱炭焼鈍、圧下率40〜90%の二次冷間圧延を施す方法(特公平6−13730号公報)が提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記特公昭64−1531号公報および特公平6−2905号公報に開示の方法は、磁気シールド材としての十分な特性を得るには製造工程が長くなってしまったり、微細なAlNの無害化が十分安定して達成できないばかりでなく、焼鈍コストが高くなり、実操業上必ずしも優れた方法とは言えない。
また、特公平6−13730号公報に開示の方法は、リムド鋼を使用するものであって、磁気シールド材のためにリムド鋼を生産する必要があるばかりでなく、オープンコイル脱炭焼鈍による極低炭素化が必須であるばかりでなく、十分な焼鈍を行って結晶粒を大きくする必要があり、焼鈍コストが高くなるという欠点を有している。
【0009】
さらに、シールド効果に対する磁気特性は、前記したとおり受像管内部に組込まれた状態において比透磁率μが高く、保磁力Hcが低いことが重要で、同じ材料を用いる場合、最終形状に成形加工したのち、600℃以上の高温で十分焼鈍し、加工歪を除去してやることが好ましい。しかしながら、成形加工後の高温焼鈍は、その分余分の工程が必要となり、560〜590℃程度の黒化処理温度で加工歪による磁気特性劣化が回復するような素材が要求されるようになってきている。
鋼片として連続鋳造スラブを用いる場合は、脱酸剤としてAlを使用することが多いが、健全なスラブを得るためには固溶Alが残存する程度のAlの添加が必須であり、この残存した固溶Alが鋼中のNと結合して微細なAlNを生じ、磁気特性を阻害する。
【0010】
この発明の目的は、連続鋳造法による鋼片を原料とし、途中で極低炭素化のための脱炭焼鈍を行うことなく、磁気特性の優れたシールド用素材を製造できる磁気シールド材の製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意試験研究を重ねた結果、製鋼時の精錬過程で極低炭素化すれば、特に脱酸剤を用いなくても熱間圧延に供し得る健全なスラブが連続鋳造できるという事実から、極低炭素鋼を連続鋳造した鋳片を用い、極低炭素鋼の成分組成、製造プロセスおよびその条件を特定することによって、途中で極低炭素化のための脱炭焼鈍を行うことなく、磁気特性の優れたシールド用素材を製造できること、また、受像管の製法により圧延のままの鋼板を用いて曲げ加工によりシールド部材を成形し、黒化処理のみで組込まれる場合においても、黒化処理による焼鈍効果で良好な磁気特性が得られ、さらに十分焼鈍すればより一層磁気特性を向上できることを究明し、この発明に到達した。
【0012】
すなわち本願の第1発明は、C:0.005%以下、Si:0.03%以下、Mn:0.23〜0.40%、Sol.Al:0.003%未満、S:0.010%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる溶鋼を、連続鋳造して鋳片となし、加熱温度1000〜1200℃、仕上げ温度730〜860℃、巻取り温度400〜620℃で熱間圧延し、酸洗して表面のスケールを除去したのち、720〜900℃の温度範囲でバッチ焼鈍または連続焼鈍し、その後一次冷間圧延して中間焼鈍したのち、圧下率40〜75%で二次冷間圧延することを特徴とする磁気シールド材の製造方法である。
【0013】
また、本願の第2発明は、C:0.005%以下、Si:0.03%以下、Mn:0.23〜0.40%、Sol.Al:0.003%未満、S:0.010%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる溶鋼を、連続鋳造して鋳片となし、加熱温度1000〜1200℃、仕上げ温度730〜860℃、巻取り温度400〜620℃で熱間圧延し、酸洗して表面のスケールを除去したのち、720〜900℃の温度範囲でバッチ焼鈍または連続焼鈍し、その後一次冷間圧延して中間焼鈍したのち、圧下率40〜75%で二次冷間圧延し、得られた冷延薄鋼板を640〜850℃の温度範囲でバッチ焼鈍または連続焼鈍することを特徴とする磁気シールド材の製造方法である。
【0014】
【作用】
本願の第1発明においては、C:0.005%以下、Si:0.03%以下、Mn:0.23〜0.40%、Sol.Al:0.003%未満、S:0.010%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる溶鋼を、連続鋳造して鋳片となし、加熱温度1000〜1200℃、仕上げ温度730〜860℃、巻取り温度400〜620℃で熱間圧延し、酸洗して表面のスケールを除去したのち、720〜900℃の温度範囲でバッチ焼鈍または連続焼鈍し、その後一次冷間圧延して中間焼鈍したのち、圧下率40〜75%で二次冷間圧延することによって、途中で極低炭素化のための脱炭焼鈍を行うことなく、受像管の製法により冷間圧延のままの冷延薄鋼板を用いて曲げ加工によりシールド部材を成形し、黒化処理のみで組込まれる場合においても、黒化処理による焼鈍効果で磁気シールド材として要求される磁気特性に優れた磁気シールド材を得ることができる。
【0015】
また、本願の第2発明においては、C:0.005%以下、Si:0.03%以下、Mn:0.23〜0.40%、Sol.Al:0.003%未満、S:0.010%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる溶鋼を、連続鋳造して鋳片となし、加熱温度1000〜1200℃、仕上げ温度730〜860℃、巻取り温度400〜620℃で熱間圧延し、酸洗して表面のスケールを除去したのち、720〜900℃の温度範囲でバッチ焼鈍または連続焼鈍し、その後一次冷間圧延して中間焼鈍したのち、圧下率40〜75%で二次冷間圧延し、得られた冷延薄鋼板を640〜850℃の温度範囲でバッチ焼鈍または連続焼鈍することによって、途中で極低炭素化のための脱炭焼鈍を行うことなく、磁気シールド材として要求される磁気特性に優れた磁気シールド材を得ることができる。
【0016】
以下にこの発明における溶鋼の成分組成ならびに鋼板の製造条件を前記のとおり限定した理由を説明する。
Cは優れた磁気特性を確保するためにでき得る限りその含有量を低減する必要のある不純物元素であるが、Sol.Alを実質的に残存させない未脱酸溶鋼においては、連続鋳造における溶鋼凝固時にピンホールなど表面欠陥発生の原因となるので、健全な連続鋳造スラブを得るためならびに製鋼コストの面から0.005%以下とした。
Siは非金属介在物の主要な構成因子をなしており、この介在物の存在は磁気特性を劣化させ、かつ黒化処理における酸化被膜の密着性を劣化させるので少ない方が好ましく、0.03%以下とした。
Mnは鋼において磁気特性に大きく影響を与える元素で特に重要であるが、0.23%未満では所期の磁気特性が得られず、0.40%を超えると硬くなって加工性が悪化すると共に、コストも上昇するので、0.23〜0.40%とした。
Sは鋼において0.010%を超えると磁気特性が悪化するので、0.010%以下とするが、少なければ少ないほど磁気特性が向上する。
Sol.Alは微細なAlN析出の原因となり、磁気特性を悪化させるので実質的に存在しないようにする必要があり、精錬技術と経済性の面から、0.003%未満とした。
その他不純物元素は、磁気特性を悪化する場合が多いので、少なければ少ないほどよく、特にTi、Nb、Vなどの元素は微量であっても磁気特性を大きく劣化させるので、0.005%以下とすることが好ましい。
【0017】
連続鋳造後の鋳片加熱温度を1000〜1200℃としたのは、磁気特性は加熱温度の低い方が良好であるが、1000℃未満では熱間圧延が不可能となり、1200℃を超えると磁気特性が劣化する傾向にあるからである。
熱間圧延における仕上温度を730〜860℃としたのは、一般に鋼の熱間圧延は、A変態点以上で圧延を終えるが、磁気特性を見る限りにおいては、鋳片加熱温度を下げ、仕上温度をA変態点とする方が良好であるが、鋳片加熱温度を下げると圧延終了温度を高くすることが困難となり、730℃未満では変形抵抗が増して圧延が不安定となる。そこで磁気特性の向上と熱間圧延の安定性の点から730〜860℃とした。
巻取温度は、特に重要ではないが、400℃未満ではコイルの形状が悪化し、620℃を超えるとスケールが多くなるので、400〜620℃とした。
【0018】
熱延コイルを酸洗した後の熱間圧延による加工組織をなくし、結晶粒を粗大化する目的で行う焼鈍は、結晶粒を粗大化できればよく、連続焼鈍方式でもバッチ焼鈍方式でも行うことができ、最終製品の磁気特性を大きく向上できるが、焼鈍温度が720℃未満では結晶粒の粗大化が十分でなく、900℃を超えると結晶粒が粗大化し過ぎて黒化処理における黒化酸化被膜の密着性を劣化させるので、720〜900℃とした。なお、この焼鈍における温度は、連続焼鈍の場合は高く、バッチ焼鈍の場合は低くなるが、720〜900℃の範囲で均熱し、均熱時間は、コイル全長に亘ってほぼ安定した金属組織が得られるよう適宜選定すればよい。
熱間圧延機で安定して圧延できるのは、通常板厚が約1.5mm以上であるが、この熱延コイルを0.15mm前後の薄鋼板まで一工程で冷間圧延した場合、磁気シールド材として磁気特性の良好なものは得られないため、中間焼鈍を含む一次および二次の冷間圧延によって0.15mm前後まで圧延する。この場合における二次冷間圧延の圧下率を40〜75%としたのは、40%未満では磁気シールド部材に成形した後の焼鈍または黒化処理において十分な再結晶がなされず、磁気特性を確保することができず、また、75%を超えると粗粒化が不十分となって磁気特性が劣化するからである。なお、一次冷間圧延の圧下率およびその後の中間焼鈍の条件は、特に重要ではなく限定されないが、所要の板厚が得られ、冷間圧延後の加工組織が十分再結晶しておればよい。
【0019】
板厚0.15mm前後まで圧延した冷延薄鋼板の焼鈍温度を640〜850℃としたのは、640℃未満では二次冷間圧延後の十分な再結晶と粒の成長が得られず、所定の磁気特性を確保することができず、また、850℃を超えると比透磁率μの低下を招くためである。
また、板厚0.15mm前後まで圧延した冷延薄鋼板を焼鈍したのち、必要に応じさらに調質圧延すれば、降伏点伸びを抑え、成形時のトラブルを防止することができる。
【0020】
【実施例】
実施例1
表1に示すA〜Fの成分組成の鋼を50kg真空溶解炉を用いて溶製し、インゴットに鋳込んだのち、厚さ35mmに鍛造した。この鍛造した素材を表2に示す条件で板厚:2.3mmに熱間圧延したのち、次いで酸洗によりスケールを除去して箱焼鈍し、板厚0.3〜0.7mmに一次冷間圧延して箱焼鈍し、さらに圧下率50〜78.5%で二次冷間圧延して板厚0.15mmとしたのち最終焼鈍して、0.35Oeにおける比透磁率μと、1.0テスラまで磁化した後の保磁力Hcを測定した。
なお、最終焼鈍の雰囲気は、CO:1.5%、CO:12%、H:0.5%、N:残りの黒化処理雰囲気として590℃で15分間焼鈍し、生成した黒化被膜の密着性を3mmφの曲げにて評価した。さらに、熱延板箱焼鈍の超粗粒化による表面肌荒れ状況を目視によって判定した。
その結果を表2に製造条件を、表3に最終焼鈍後の評価を示す。なお、表3中の黒化被膜欄の○は密着性良好、×は密着性不良を、また、表面肌欄の○は表面肌良好、×は超粗粒化による表面肌荒れ不良を示す。
【0021】
【表1】
Figure 0003599118
【0022】
【表2】
Figure 0003599118
【0023】
【表3】
Figure 0003599118
【0024】
表1ないし表3に示すとおり、この発明の成分組成を満足させる鋼種Aを用い、この発明の熱延条件、焼鈍条件および冷延条件を満足させる試験No.1、2、3、8、15においては、鋼帯の0.35Oeにおける比透磁率μ:900前後以上、保磁力Hc:1.2以下が得られており、優れた磁気特性を示すと共に、黒化被膜の密着性ならびに表面肌荒れも良好である。
これに対し、この発明の成分組成を満足させる鋼種Aを用いた場合においても、熱延条件、焼鈍条件および冷延条件のいずれかがこの発明の範囲外である試験No.4〜7、9および16は、比透磁率μ、保磁力Hcおよび表面肌荒れのいずれかが大きく劣っており、受像管の磁気シールド材として適していない。
また、この発明の成分組成から外れた鋼種B、C、D、Fを用い、熱延条件、焼鈍条件および冷延条件がこの発明の範囲である試験No.10、11、12、14は、比透磁率μならびに保磁力Hcが大幅に劣化しており、また、成分組成のSiを多く含有する鋼種Eを用い、熱延条件、焼鈍条件および冷延条件がこの発明の範囲である試験No.13は、比透磁率μならびに保磁力Hcが優れているが、黒化被膜の密着性が悪く、受像管の磁気シールド材として適していない。
【0025】
実施例2
上記実験結果を基に実機を用いて前記実施例1の表1に示す鋼種Aと同じ鋼を溶製したのち、連続鋳造して厚さ35mmのスラブとなし、表4に示す条件で板厚:2.3mmに熱間圧延したのち、次いで酸洗によりスケールを除去して連続焼鈍し、板厚0.3mmに一次冷間圧延して焼鈍し、さらに板厚0.15mmまで二次冷間圧延したのち最終焼鈍し、0.35Oeにおける比透磁率μと、1.0テスラまで磁化した後の保磁力Hcを測定した。
なお、最終焼鈍の雰囲気は、CO:1.5%、CO:12%、H:0.5%、N:残りの黒化処理雰囲気として590℃で15分間焼鈍し、生成した黒化被膜の密着性を3mmφの曲げにて評価した。さらに、熱延板焼鈍の超粗粒化による表面肌荒れ状況を目視によって判定した。
その結果を最終焼鈍後の評価として表5に示す。なお、表5中の黒化被膜欄の○は密着性良好、×は密着性不良を、また、表面肌欄の○は表面肌良好、×は超粗粒化による表面肌荒れ不良を示す。
【0026】
【表4】
Figure 0003599118
【0027】
【表5】
Figure 0003599118
【0028】
表4および表5に示すとおり、試験No.17、18はいずれも優れた磁気特性が得られると共に、黒化被膜の密着性ならびに表面肌荒れも良好である。
【0029】
実施例3
実施例2の試験No.17、18と同じ熱延コイルを酸洗によりスケールを除去したのち連続焼鈍し、板厚0.3mmに一次冷間圧延して焼鈍し、さらに板厚0.15mmに二次冷間圧延したのち仕上連続焼鈍し、次いでCO:1.5%、CO:12%、H:0.5%、N:残りの黒化雰囲気で590℃で15分間黒化処理したのち、0.35Oeにおける比透磁率μと、1.0テスラまで磁化した後の保磁力Hcを測定した。
また、黒化処理後の黒化被膜の密着性を3mmφの曲げにて評価した。さらに、熱延板連続焼鈍の超粗粒化による表面肌荒れ状況を目視によって判定した。
その結果を黒化処理後の評価として表7に示す。なお、表7中の黒化被膜欄の○は密着性良好、×は密着性不良を、また、表面肌欄の○は表面肌良好、×は超粗粒化による表面肌荒れ不良を示す。
【0030】
【表6】
Figure 0003599118
【0031】
【表7】
Figure 0003599118
【0032】
表6および表7に示すとおり、熱延コイルを連続焼鈍したのち、一次冷間圧延後箱焼鈍し、圧下率50%で二次冷間圧延した板厚0.15mmの冷延コイルを700℃で仕上連続焼鈍したのち、黒化処理することによって、比透磁率μが1060〜1100まで向上し、保磁力Hcが1.0まで低下しており、実施例2よりもさらに著しく磁気特性が向上している。
【0033】
実施例4
表8に示すとおり、実施例2の試験No.17、18と同じ熱延コイルを、酸洗によりスケールを除去したのち箱焼鈍し、板厚0.3mmに一次冷間圧延して箱焼鈍し、さらに圧下率50%で二次冷間圧延して板厚0.15mmとしたのち、仕上連続焼鈍し、次いでCO:1.5%、CO:12%、H:0.5%、N:残りの黒化雰囲気で590℃で15分間黒化処理したのち、0.35Oeにおける比透磁率μと、1.0テスラまで磁化した後の保磁力Hcを測定した。
さらに、黒化処理後の黒化被膜の密着性を3mmφの曲げにて評価した。さらに、熱延板箱焼鈍の超粗粒化による表面肌荒れ状況を目視によって判定した。
その結果を黒化処理後の評価として表9に示す。なお、表9中の黒化被膜欄の○は密着性良好、×は密着性不良を、また、表面肌欄の○は表面肌良好、×は超粗粒化による表面肌荒れ不良を示す。
【0034】
【表8】
Figure 0003599118
【0035】
【表9】
Figure 0003599118
【0036】
表8および表9に示すとおり、熱延コイルを箱焼鈍したのち、一次冷間圧延後箱焼鈍し、圧下率50%で二次冷間圧延した板厚0.15mmの冷延コイルを700℃で仕上連続焼鈍し、黒化処理することによって、比透磁率μが1450〜1380まで向上し、保磁力Hcが0.8〜0.9まで低下しており、実施例3よりもさらに著しく磁気特性が向上している。
【0037】
実施例5
表10に示すとおり、実施例2の試験No.17、18と同じ熱延コイルを、酸洗によりスケールを除去したのち箱焼鈍し、板厚0.3mmに一次冷間圧延して箱焼鈍し、さらに板厚0.15mmまで二次冷間圧延したのち、仕上箱焼鈍し、次いでCO:1.5%、CO:12%、H:0.5%、N:残りの黒化雰囲気で590℃で15分間黒化処理したのち、0.35Oeにおける比透磁率μと、1.0テスラまで磁化した後の保磁力Hcを測定した。
また、黒化処理後の黒化被膜の密着性を3mmφの曲げにて評価した。さらに、熱延板箱焼鈍の超粗粒化による表面肌荒れ状況を目視によって判定した。
その結果を黒化処理後の評価として表11に示す。なお、表11中の黒化被膜欄の○は密着性良好、×は密着性不良を、また、表面肌欄の○は表面肌良好、×は超粗粒化による表面肌荒れ不良を示す。
【0038】
【表10】
Figure 0003599118
【0039】
【表11】
Figure 0003599118
【0040】
表10および表11に示すとおり、熱延コイルを箱焼鈍したのち、一次冷間圧延後箱焼鈍し、圧下率50%で二次冷間圧延した板厚0.15mmの冷延コイルを700℃で仕上箱焼鈍し、黒化処理することによって、比透磁率μが1050〜950まで向上し、保磁力Hcが1.0〜1.1まで低下しており、実施例2よりも著しく磁気特性が向上している。
【0041】
【発明の効果】
以上述べたとおり、この発明方法によれば、化学成分を規定した未脱酸キルド鋼を用い、製造プロセスおよびその条件を特定することによって、途中で極低炭素化のための脱炭焼鈍を行うことなく、磁気特性の優れたシールド用素材を得ることができ、また、圧延のままの素材をを用い、シールド部材に成形したのち、黒化処理のみで組込む場合でも、黒化処理による焼鈍効果で良好な磁気特性が得られ、さらに、冷間圧延したのち十分焼鈍することによって、より一層磁気特性を向上させることができる。

Claims (2)

  1. C:0.005%以下、Si:0.03%以下、Mn:0.23〜0.40%、Sol.Al:0.003%未満、S:0.010%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる溶鋼を、連続鋳造して鋳片となし、加熱温度1000〜1200℃、仕上げ温度730〜860℃、巻取り温度400〜620℃で熱間圧延し、酸洗して表面のスケールを除去したのち、720〜900℃の温度範囲でバッチ焼鈍または連続焼鈍し、その後一次冷間圧延して中間焼鈍したのち、圧下率40〜75%で二次冷間圧延することを特徴とする磁気シールド材の製造方法。
  2. C:0.005%以下、Si:0.03%以下、Mn:0.23〜0.40%、Sol.Al:0.003%未満、S:0.010%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる溶鋼を、連続鋳造して鋳片となし、加熱温度1000〜1200℃、仕上げ温度730〜860℃、巻取り温度400〜620℃で熱間圧延し、酸洗して表面のスケールを除去したのち、720〜900℃の温度範囲でバッチ焼鈍または連続焼鈍し、その後一次冷間圧延して中間焼鈍したのち、圧下率40〜75%で二次冷間圧延し、得られた冷延薄鋼板を640〜850℃の温度範囲でバッチ焼鈍または連続焼鈍することを特徴とする磁気シールド材の製造方法。
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