JP2000169945A - インナーシールド用素材およびその製造方法 - Google Patents

インナーシールド用素材およびその製造方法

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JP2000169945A
JP2000169945A JP10344006A JP34400698A JP2000169945A JP 2000169945 A JP2000169945 A JP 2000169945A JP 10344006 A JP10344006 A JP 10344006A JP 34400698 A JP34400698 A JP 34400698A JP 2000169945 A JP2000169945 A JP 2000169945A
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annealing
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Yukio Katagiri
幸男 片桐
Akito Kawamoto
明人 川本
Seiichi Hamanaka
征一 浜中
Yuichi Higo
裕一 肥後
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Nippon Steel Nisshin Co Ltd
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Nisshin Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 カラー受像管の磁気ドリフトを低減できるイ
ンナーシールド用素材およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 組成が重量でC:0.07%以下、S
i:0.5%以下、Mn:0.05〜0.8%以下、
S:0.02%以下、N:0.006%以下、Mg:
0.0002〜0.02%、Al:0.006%以下、
O:0.008%以下を含み、必要に応じ、0.1%以
下のPまたは0.5%以下のCr,Ni,Mo.Wの1
種もしくは2種以上含有し、残部がFeおよび不可避的
不純物からなるインナーシールド用素材を用いる。上記
成分の鋼スラブを仕上げ温度850〜950℃、巻取り
温度500〜750℃の条件で熱間圧延し、得られた熱
延鋼帯を酸洗後、冷延率65〜95%の冷間圧延し、焼
鈍後、伸び率3%以下で調質圧延を施し、ローラレベリ
ングする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カラー受像管の地
磁気ドリフトの低減を目的に使用される磁気シールド材
に関し、磁気シールド性および製造性に優れたインナー
シールド用素材およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】カラー受像管は、電子銃から放出された
電子ビームを映像に変換する色選別電極構体を備え、こ
の色選別電極構体をフレームで支持している。また、地
磁気による電子ビームの偏向を防止するための磁気シー
ルド材であるインナーシールド材で内部を覆っている。
インナーシールド材は、板厚0.1〜0.3mmの冷延
鋼板が使用され、電子銃から放出された電子ビーム経路
を包むように配置され、枠状フレームに溶接等にて固定
され、カラー受像管内に組み込まれる。
【0003】カラー受像管セットは、地磁気の影響を受
けてセットの設置している方向を変えると色むらがでて
くる。この原因は、地球のもっている磁場のために、カ
ラー受像管内の色選別電極構体やカラー受像管の周辺に
あるシャーシ、取り付け金具などの帯磁しやすい金属が
着磁され、これらの磁界と地磁気の合成磁界で、カラー
受像管内の電子ビームがわずかに曲げられる。このわず
かな電子ビームの曲がりによって、当たるべき蛍光体か
らずれるために、地磁気ドリフトと呼ばれる色むらが生
じる。このような弊害をのぞくために磁気遮蔽と着磁し
た金属の消磁が行われる。
【0004】実製造工程においては、磁気遮蔽体として
インナーシールド材を用いて、消磁作用と組み合わせて
地磁気ドリフトを軽減する。消磁作用は、交流減衰磁場
をインナーシールド材に与えることによって、誘導され
た磁場によって、カラー受像管内の外部磁場を相殺し、
効果的に磁気遮蔽を実現しようとするものである。イン
ナーシールド材の磁気特性が劣ると、付与した交流減衰
磁場によって誘導されて発生させた外部磁場と反対向き
の磁場の強さが、地磁気による磁場の強さより小さくな
り、カラー受像管内を充分に遮蔽できない。インナーシ
ールド材に付与した交流減衰磁場によって誘導された磁
場の強さと、カラー受像管内の外部磁場の強さを相殺し
た場合に、効果的な磁気遮蔽が実現できる。
【0005】磁気遮蔽体の磁気遮蔽作用について述べる
と、有磁界中で消磁後の各磁気遮蔽体内部の磁界の強さ
は高透磁率材と低透磁率材とは特に大きな差異は生じな
い。すなわち、外部磁界による磁壁の移動には限界があ
るが、消磁−減衰交流磁場を印加すると磁区の運動エネ
ルギーが増加し、磁壁の移動を容易にすることから、磁
場中で消磁すると外部磁場のもっている磁化エネルギー
に相当する磁化が内部磁気遮蔽体内部に生じる。この状
態は外部磁場の強さにより決定されると考えられ、多少
透磁率が低くても有磁界中で充分な消磁をすれば、誘導
される磁化を同一にでき、磁気遮蔽効果もほぼ同等にな
る。そのため、磁気シールド効果としては、地磁気によ
る磁場の強さを、交流減衰磁場によって誘導された磁場
の強さで相殺できる特性、すなわち残留磁気が最も重要
な特性と考えられる。
【0006】また、一般に有磁界中で消磁する場合、消
磁−減衰交流磁場を印加するため消磁コイルがセットさ
れている。このコイルの巻数および電流の低減を図るた
めには極力軟磁性な材料、すなわち透磁率の高い特性が
望ましい。したがって残留磁気が高く、さらに高透磁率
特性を有するインナーシールド素材が必要となる。保持
力は透磁率と強い相関をもち、保持力が小さいと透磁率
は大きい値を示すことから低保持力化と高透磁率化は同
意語である。一方、残留磁気は保持力や透磁率と必ずし
も相関関係を有していなく、特に調質圧延を施した鋼板
においては別意義の特性となる。
【0007】カラー受像管用インナーシールド素材の製
造方法は、大きく別けてセミプロセス材とフルプロセス
材に分類される。 (1)セミプロセス材は、熱延鋼板を1次冷延後焼鈍
し、2次冷延を施した冷延まま材を素材とするものであ
る。ユーザーにおいては、この素材よりブランキング
後、折り曲げ加工を主体とする成形加工、ついで湿潤雰
囲気またはガス雰囲気中で600℃前後の熱処理によっ
て黒化被膜の形成と再結晶焼鈍(磁気特性の回復)を行
いインナーシールド材としてカラー受像管の組込み工程
に投入されるものである。 (2)フルプロセス材は、基本的には1回の冷延と焼鈍
を施した焼鈍材を素材とするものである。この素材より
ブランキング後、折り曲げ加工を主体とする成形加工を
行い、黒化被膜の形成や再結晶焼鈍(磁気特性の回復)
のための熱処理を行わないインナーシールド材であっ
て、成形加工後そのまま、カラー受像管の組込み工程に
投入されるものである。
【0008】本発明は、後者のフルプロセス材に関する
ものである。このフルプロセス材は一般的に素材製造工
程の簡略化およびユーザーにおいて成形加工後に実施す
る600℃前後の加熱処理の省略が可能となるが、イン
ナーシールド素材に要求される磁気特性が得にくい。し
たがって、磁気特性の向上が最大の課題となる。前者の
セミプロセス材では、放熱性や製造工程中での防錆性が
必要である。放熱性の改善のため、インナーシールド素
材製造工程における焼鈍時に黒化処理を組み込み黒化膜
を生成させる。また、防錆性の付与に対しては、電解ク
ロメート処理、NiまたはCr等の電気めっきなどが施
される。
【0009】特開平2−61029号公報には、Pを含
有させた低Al極低炭素鋼のフェライト結晶粒を粗大化
させ、磁気特性をを劣化させる調質圧延を施さない製造
方法によって、磁気特性として高透磁率化、低保磁力化
を図る技術について開示している。
【0010】また、特開平6−36702号公報には、
極低炭素鋼を用いてユーザーでの黒化処理工程の省略と
耐錆性付与にNiめっきを施す技術を開示するものであ
って、冷延圧延→調質圧延→Niめっき→焼鈍といった
工程において、焼鈍前に表面粗さを調整した調質圧延お
よびNiめっきを施すことが示されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】これらの従来技術にお
いては、極低炭素鋼を用いるためにコスト高となるこ
と、あるいは調質圧延を実施しないために板形状確保が
非常に困難であるという問題がある。さらに、最近カラ
ー受像管の大型化や高精細化が指向されており、地磁気
ドリフトはカラー受像管の大きさにほぼ比例するため、
また、カラー受像管の高精細化にともなって、従来より
いっそう地磁気ドリフトを低減できる磁気特性の要求が
顕在化してきた。
【0012】本発明は、このような問題を解消すべく案
出されたものであり、その磁気特性の要求を満足するイ
ンナーシールド用素材を開発するものである。磁気特性
としては高残留磁気(Br)、最大高透磁率(μm)を
有するものである。本発明は特に残留磁気(Br)に着
目し、カラー受像管内のシールド効果の向上を図るもの
である。その他の要求特性としては、誘導磁気異方性
(BrC /BrL )が小さく、また、カラー受像管組み
立て時において良好なハンドリング性を有し、しかも成
形加工上の問題がなく、成形加工後に実施する600℃
前後の黒化処理を省略できるいわゆるフルプロセスのイ
ンナーシールド用素材を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の目的を達成する
ため、請求項1の発明は、組成が重量%でC:0.07
%以下、Si:0.5%以下、Mn:0.05〜0.8
%、S:0.02%以下、N:0.006%以下、M
g:0.0002〜0.02%、Al:0.006%以
下、O:0.008%以下を含み、残部がFeおよび不
可避的不純物である鋼からなるインナーシールド用素材
を提供するものである。請求項2の発明は、組成が重量
%でC:0.07%以下、Si:0.5%以下、Mn:
0.05〜0.8%、S:0.02%以下、N:0.0
06%以下、Mg:0.0002〜0.02%、Al:
0.006%以下、O:0.008%以下、更に、0.
1%以下のPまたは0.5%以下のCr,Ni,Mo,
Wの1種もしくは2種以上を含み、残部がFeおよび不
可避的不純物である鋼からなるインナーシールド素材を
提供するものである。
【0014】請求項3の発明は、組成が重量%でC:
0.07%以下、Si:0.5%以下、Mn:0.05
〜0.8%、S:0.02%以下、N:0.006%以
下、Mg:0.0002〜0.02%、Al:0.00
6%以下、0:0.008%以下および又は、更に、
0.1%以下のPまたは0.5%以下のCr,Ni,M
o,Wの1種もしくは2種以上を含み、残部がFeおよ
び不可避的不純物からなる鋼スラブを仕上げ温度:85
0〜950℃、巻取り温度:500〜750℃の条件で
熱間圧延し、得られた熱延鋼帯を酸洗後、冷延率:60
〜95%の冷間圧延し、焼鈍後、伸び率3%以下で調質
圧延を施し、ローラレベリングすることを特徴とするイ
ンナーシールド用素材の製造方法を提供するものであ
る。請求項4の発明は、焼鈍温度が560〜720℃の
箱焼鈍を施すことを特徴とするインナーシールド用素材
の製造方法を提供するものである。請求項5の発明は、
焼鈍温度が660〜850℃の連続焼鈍を施すことを特
徴とするインナーシールド用素材の製造方法を提供する
ものである。
【0015】
【発明の実施の形態】普通鋼冷延鋼板のカラー受像管用
インナーシールド材への適用に関し、磁気特性について
種々調査検討した結果、低炭素鋼を用いて熱延、冷延お
よび焼鈍条件の組み合わせによって磁気特性を向上させ
るためには、侵入型固溶元素の非常に少ないフェライト
相(Fe地)に炭化物(Fe3 C)を極力少なくする
か、または凝集させる必要がある。また、脱酸剤として
Alは有効な元素であるが、Alの添加はNと結合して
生成する微細な析出物であるAlNを生成し、<111
>集合組織を発達させ、磁気特性を劣化させることが判
明している。このため本発明では、Alに変わる脱酸剤
として、Mgによって脱酸を行うとともにMgの微量の
含有によって磁気特性を向上させている。さらに少量の
置換型合金元素を含有させることによって良好なハンド
リング強度を有し、地磁気ドリフトを小さくする。ま
た、本発明では鋼の組成だけではなく、製造条件との組
み合わせより、最大透磁率(μm)および誘導磁気異方
性(BrC /BrL )、残留磁化(Br)特性を改善
し、地磁気ドリフトを小さくできるインナーシールド用
素材の製造方法を見いだした。なお、一般的な表面防錆
処理方法である塗布型クロメート処理、電解クロメート
処理、Ni,Cr等の電気めっきをインラインで施すこ
とも可能である。また、インナーシールド用冷延鋼板に
Niめっき、電気Crめっき、電気Znめっき等を施
し、その上にクロメート処理等の表面処理を施して防錆
しても良い。以下、本発明のインナーシールド用素材の
成分組成および製造条件について説明する。
【0016】高透磁率を得るためには、C含有量は少な
くすることが望ましく、含有量が0.07重量%を超え
ると残留磁気(Br)および最大透磁率(μm)とも低
下し、誘導磁気異方性(BrC /BrL )が大きくな
る。さらに、成形加工性も劣化する。そのため、本発明
ではCの含有量を0.07重量%以下とする。
【0017】Siは、脱酸剤として、またハンドリング
強度を向上させる有効な元素であり、高透磁率特性が得
られるが、0.5重量%を超えた量のSiが含まれる
と、鋼板の表面肌が劣化すると共に、黒化膜が剥離し易
くなる。そのため、本発明ではSiの含有量を0.5重
量%以下とする。
【0018】Mnは、強度向上に有効な元素であり、脱
酸剤としても必要な元素である。また、不純物であるS
をMnSとして固定し、熱間脆化を防止する作用を有す
る。この作用は、0.05重量%以上のMn含有で効果
がある。しかし、0.8重量%を超える多量のMnが含
まれると、成形加工性が損なわれるとともに黒化膜が剥
離し易くなる。そのため、本発明ではMnの含有量を
0.05〜0.8重量%とする。
【0019】SはMnS等の介在物となり、成形加工性
が損なわれる。そのため、S含有量は可能な限り少ない
ことが望ましく、本発明ではその上限を0.02重量%
に規定した。そのため、本発明ではSの含有量を0.0
2重量%以下とする。
【0020】不純物であるNは磁気特性を劣化させるの
で、極力低減することが望ましいが、0.006重量%
の含有は許容できる。そのため、本発明ではNの含有量
を0.006重量%以下とする。
【0021】Mgは、本発明の特徴的元素である。脱酸
剤として使用し、さらに微量の含有によって、磁気特性
を向上させる。このためには0.0002重量%以上の
含有が必要であり、また、0.02重量%を超えて含有
させても磁気特性は飽和する。また、高価な元素である
ことから、コストを上昇させる。そのため、本発明では
Mgの含有量を0.0002〜0.02重量%とする。
【0022】Alは磁気特性を劣化させるので、極力低
減することが望ましく、特に添加するものではない。し
かし、耐火レンガ等から不純物として混入するものであ
るが、0.006重量%までは許容できる。そのため、
本発明ではAlの含有量を0.006重量%以下とす
る。
【0023】Oは鋼中に介在物として存在し、残留磁気
(Br)、最大透磁率(μm)を低下させるので極力低
減することが望ましいが、0.008重量%までは許容
できる。そのため、本発明では0の含有量を0.008
重量%以下とする。
【0024】Pは微量の含有によってハンドリング強度
を向上させ、磁気特性の劣化を少なくする元素である
が、偏析し易い元素である。そのため、多量のP含有
は、鋼板の強度変動を大きくすると共に、成形加工性が
劣化する原因となる。このため0.1重量%以下とする
ことが必要であり、望ましくは、0.05重量%以下が
好ましい。そのため、本発明ではPの含有量を0.1重
量%以下とする。
【0025】鋼の強度を向上させる元素であるCr,N
i,Mo,Wはハンドリング性を向上させたい場合にも
含有させるものであるが、多量の含有は磁気特性が劣化
し、成形加工性が損なわれる。その上、高価な元素であ
ることからコストを上昇させるので、0.5重量%以下
が好ましい。そのため、本発明ではCr,Ni,Mo,
Wの含有量を0.5重量%以下とする。
【0026】本発明においては、前述の成分を有する鋼
スラブを熱間圧延した後、酸洗し、冷間圧延および焼鈍
を経て、冷延鋼帯とする。熱間圧延ではAr3 変態点直
上の仕上げ温度を基本とする。そのため、熱間圧延の仕
上げ温度を850〜950℃にする。巻取り温度は、高
残留磁気(Br)および最大透磁率(μm)の観点から
適性な凝集炭化物の分散状態を得ることが必要である。
巻取り温度が、500℃に達しないと炭化物の凝集が不
十分となり、750℃を超えると巻取りコイルに変形が
生じ、さらに、酸洗性が劣化する。そのため、熱間圧延
の巻取り温度は500〜750℃にする。
【0027】冷間圧延における冷延率は、残留磁気(B
r)、誘導磁化異方性(BrC /BrL )の観点から制
限される。冷延率が60%未満では、最大透磁率(μ
m)は高く比較的良好であるが、残留磁気(Br)が低
く、誘導磁気の異方性(BrC/BrL )が大きくな
る。冷延率が95%を超えると、最大透磁率(μm)が
低下し、誘導磁化異方性が大きくなる。また、冷間圧延
機の負荷が大きくなり過ぎる。そのため、冷間圧延にお
ける冷延率は60〜95%にする。
【0028】箱焼鈍の場合には、未結晶粒を含む鋼板で
あると残留磁気(Br)および最大透磁率(μm)が低
くなることから、再結晶温度以上の560℃以上の焼鈍
温度を設定することが必要である。しかし、720℃を
超える焼鈍温度では、焼鈍コストの上昇をきたすととも
に、焼鈍時にコイル変形が生じる。そのため、焼鈍温度
を560〜720℃にする。本発明における箱焼鈍はタ
イトコイル焼鈍およびオープンコイル焼鈍の両者を対象
とするものである。
【0029】連続焼鈍の場合には、未再結晶粒を含む鋼
板であると残留磁気(Br)および最大透磁率(μm)
が低くなることから、再結晶温度以上の660℃以上の
焼鈍温度を設定することが必要である。しかし、850
℃を超える焼鈍温度では、焼鈍コストの上昇をきたすと
ともに、表面疵の発生、板形状不良が発生する。そのた
め、焼鈍温度を660〜850℃にする。
【0030】調質圧延は、鋼帯の形状を確保するために
施されるが、伸び率が大きいと残留磁気(Br)および
最大透磁率(μm)が低下するので3%以下とするが、
好ましくは2%以下の伸び率に調整する。また、ローラ
レベリングは通板した鋼帯の繰返し曲げを行うことによ
り、調質圧延時の歪みによって発生した残留応力を緩和
し、残留磁気(Br)、最大透磁率(μm)および残留
磁気異方性(BrC /BrL )を改善するために実施さ
れるが、鋼板表面の最大歪み(ε×100)が3.5%
を超えると磁気特性が劣化するので、3.5%以下が好
ましい。
【0031】
【実施例】表lに示した組成の鋼スラブを、表2の条件
下で熱間圧延、酸洗、冷間圧延、焼鈍後、伸び率1.0
%の調質圧延および鋼板表面の最大歪み(ε×100)
0.8%のローラレベリングを施し、冷延鋼板を製造し
た。得られた鋼板からJIS C 2550に準拠して
試験片を採取し、440℃×20minの加熱処理(カ
ラー受像管製造工程中の熱工程中の熱工程を想定)後、
直流磁化特性試験を実施した。直流磁化特性試験はJI
S C 2550に準じたエプスタイン法(Hm=10
e)にて磁化曲線を測定し残留磁化(Br)および最大
透磁率(μm)を測定した。誘導磁気の異方性(BrC
/BrL )は、残留磁化(Br)の圧延に対し直角方向
の値と圧延方向の値の比で表示した。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】試験結果を示す表2に見られるように、本
発明に従った資料No.1〜6の鋼板は、インナーシー
ルド材として要求される残留磁化(Br)、最大透磁率
(μm)が高く、残留磁気の異方性(BrC /BrL
が小さく、良好な特性を有していることがわかる。他
方、比較例として示す資料No.7の鋼板はMgを含有
していないことからO含有量が多く、資料No.8の鋼
板はMgを含有せずにAlと多量のNを含有しているこ
と、資料No.9の鋼板はMgを含有せずにAlを含有
しており、さらにCを0.07重量%を超えて含有して
いること、資料No.10の鋼板はMgを含有している
がC含有量が0.07重量%を超えて含有しており、さ
らにAlも含有していることから、残留磁気(Br)、
最大透磁率(μm)が低い。
【0035】
【発明の効果】前述の試験結果より、本発明の鋼板を使
用したインナーシールド用素材は、要求される残留磁気
(Br)、最大透磁率(μm)が高い。そのため、地磁
気に起因する色ズレが小さい。また、残留磁気の異方性
(BrC /BrL )が小さいことからブランク品の方向
取りに際して、磁気特性の良好な圧延方向に直角な方向
に限定する必要がなく、ブランク時の歩留りが非常に向
上する。そのため、成形加工上問題のない材料である。
これらのことより、本発明のインナーシールド用素材
は、ますます大型化、高精細化の方向にあるカラー受像
管用としての用途に十分対応可能な素材である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01J 29/02 H01J 29/02 D (72)発明者 肥後 裕一 広島県呉市昭和町11番1号 日新製鋼株式 会社技術研究所内 Fターム(参考) 4K037 EA01 EA04 EA05 EA11 EA14 EA15 EA17 EA18 EA20 EA22 EA25 EA27 EA33 EB02 EB06 FC04 FE01 FE02 FE03 FG03 FH01 FH03 FJ04 FJ05 FM02 5C031 CC06

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 組成が重量%でC:0.07%以下、S
    i:0.5%以下、Mn:0.05〜0.8%、S:
    0.02%以下、N:0.006%以下、Mg:0.0
    002〜0.02%、Al:0.006%以下、O:
    0.008%以下を含み、残部がFeおよび不可避的不
    純物である鋼からなるインナーシールド用素材。
  2. 【請求項2】 組成が重量%でC:0.07%以下、S
    i:0.5%以下、Mn:0.05〜0.8%、S:
    0.02%以下、N:0.006%以下、Mg:0.0
    002〜0.02%、Al:0.006%以下、O:
    0.008%以下、更に、0.1%以下のPまたは0.
    5%以下のCr,Ni,Mo,Wの1種もしくは2種以
    上を含み、残部がFeおよび不可避的不純物である鋼か
    らなるインナーシールド素材。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2記載の組成を有す
    る鋼スラブを仕上げ温度:850〜950℃、巻取り温
    度:500〜750℃の条件で熱間圧延し、得られた熱
    延鋼帯を酸洗後、冷延率:60〜95%の冷間圧延し、
    焼鈍後、伸び率3%以下で調質圧延を施し、更に、ロー
    ラレベルリングすることを特徴とするインナーシールド
    用素材の製造方法。
  4. 【請求項4】 焼鈍温度が560〜720℃の箱焼鈍を
    施すことを特徴とする請求項3に記載のインナーシール
    ド用素材の製造方法。
  5. 【請求項5】 焼鈍温度が660〜850℃の連続焼鈍
    を施すことを特徴とする請求項3に記載のインナーシー
    ルド用素材の製造方法。
JP10344006A 1998-12-03 1998-12-03 インナーシールド用素材およびその製造方法 Withdrawn JP2000169945A (ja)

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