JP2005054255A - ブラウン管フレーム用高強度熱延鋼板およびその製造方法、ならびにブラウン管フレーム - Google Patents
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Abstract
【課題】クリープ特性と磁気特性という相反する両特性が安定して優れ、かつ安価な、テンションマスクが取り付けられるブラウン管のフレーム用高強度熱延鋼板を提供すること。
【解決手段】質量%で、C≦0.10%、Si≦0.5%、Mn:0.5〜2%、P≦0.06%、S≦0.01%、Al≦0.1%、N≦0.006%、Nb≦0.08%、Cr≦0.5%、Ti:0.02〜0.2%を含み、さらにMo≦0.7%およびW≦1.5%の少なくとも1種を含有し、6μm以上の粒径を有するフェライト単相組織と、該フェライト単相組織中に微細分散した10nm未満のTiならびにMoおよびWの少なくとも1種を含む炭化物とから実質的になる。
【選択図】なし
【解決手段】質量%で、C≦0.10%、Si≦0.5%、Mn:0.5〜2%、P≦0.06%、S≦0.01%、Al≦0.1%、N≦0.006%、Nb≦0.08%、Cr≦0.5%、Ti:0.02〜0.2%を含み、さらにMo≦0.7%およびW≦1.5%の少なくとも1種を含有し、6μm以上の粒径を有するフェライト単相組織と、該フェライト単相組織中に微細分散した10nm未満のTiならびにMoおよびWの少なくとも1種を含む炭化物とから実質的になる。
【選択図】なし
Description
本発明は、テンションマスクが取り付けられる、ブラウン管のフレーム用高強度熱延鋼板およびその製造方法、ならびにブラウン管フレームに関する。
カラーテレビ等のカラー表示装置に用いられるブラウン管は、所定の蛍光体に電子ビームが照射されるように、色選別用マスクを有している。色選別用マスクとして代表的なものに、多数の小孔を設けた金属板をプレス成形して用いるシャドウマスクと、エッチング加工により穿孔された金属板を、張力を付与した状態でフレームに取り付けるテンションマスクが挙げられる。これらのうち、テンションマスクを支持するフレームには特に高度な機械的性質が求められている。
フレームは、通常、必要な形状に加工された後に500〜600℃程度の熱処理を行い、さらにテンションマスクを取り付けた状態で錆防止、熱輻射率向上、電子線乱反射防止などを目的とした黒化処理と呼ばれる400〜500℃程度の熱処理が施される。
ところで、テンションマスクには数百MPa程度の張力が付与されており、この張力はフレームを弾性変形範囲内でたわませた状態で溶接することによって得られる。しかし張力が付与された状態で黒化処理を行うため、フレームのクリープ変形によってテンションマスクに必要な張力が保てなくなり、色ズレ等の問題が生じる。
従来は、高温でのクリープ特性に優れる高Cr含有合金(例えば特許文献1および特許文献2)などが用いられてきた。しかし、これらの鋼は合金元素を多量に含むために高価であることが問題である。
また、最近のブラウン管の大型化、高画質化、平面化、低廉化のトレンドにともなって、ますます品質が良好であり、かつ低コストであることが求められるようになってきた。
そこで、このような問題を解決するために、例えば特許文献3、特許文献4、特許文献5などCr含有量の低い熱延鋼板を用いる方法が提案されている。これらいずれの技術も黒化処理前後のフレームの変形を多量のCrを添加することなく抑制するために、ブラウン管製造工程での熱処理時に析出物を析出させて、高温強度または高温クリープ強度を高めている。具体的には、特許文献3では、スキンパス圧延によって転位を導入し、鋼中に固溶したMo、Cu、Wを歪み取り焼鈍時に析出させている。また、特許文献4の実施例では、500℃や300℃といった非常に低い温度で鋼板を巻き取り、580℃で30分の熱処理時にTi、Nb、Zrを析出させて強度を5〜30%上昇させるとある。さらに、特許文献5では、Mo、Vの炭化物(Mo2C、V4C3)および窒化物(VN)を熱処理時に析出させるとある。
しかし、ブラウン管製造工程での熱処理によって強度やクリープ特性を向上させる手法は、鋼板中の固溶元素量のバラツキや、フレーム形状となった部材の熱処理温度のバラツキなどによって強度上昇代が異なるため、部材の安定性に欠けるという問題がある。
さらに、近年、地磁気起因の電子ビームの電子ビームドリフトによる色ズレも問題とされており、地磁気をシールドするために、フレームにも良好な磁気特性が求められている。ブラウン管は、電源投入時に消磁回路が働き、部材を消磁することによって磁気シールド性を高めている。消磁回路から発生する磁界は5Oe程度の比較的小さな磁界であり、こういった低磁界での消磁特性、換言すれば、低磁界での良好な磁気特性がフレームに求められている。
しかし、上述の特許文献3〜5は、地磁気シールド性を考慮せずに良好なクリープ特性を得ようとするものであり、これらの技術では、特にブラウン管で必要とされる低磁界の磁気特性を著しく劣化させてしまう。
特開平8−188855号公報
特開2002−249853号公報
特開平8−67945号公報
特開2001−11574号公報
特開2001−316766号公報
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、従来実現されていない、クリープ特性と磁気特性という相反する両特性が安定して優れ、かつ安価な、テンションマスクが取り付けられるブラウン管のフレーム用高強度熱延鋼板、およびそのような特性をブラウン管製造工程での熱処理によらず安定的に得ることができるブラウン管のフレーム用高強度熱延鋼板の製造方法、およびそのような熱延鋼板で構成されたブラウン管フレームを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく研究を重ねた結果、フェライト単相組織を形成し、フェライト組織の粒径を特定の値以上に制御することによって良好な磁気特性が得られ、さらに超微細な特定の炭化物をフェライト単相組織に分散析出させることにより磁気特性を劣化させずに良好なクリープ特性が得られることを見出した。また、この微細析出物を熱延工程で析出させることにより、ブラウン管製造工程での熱処理によって材質が左右されないことを見出した。本発明はこのような知見に基づいてなされて完成されたものである。
すなわち、本発明は、質量%で、C≦0.10%、Si≦0.5%、Mn:0.5〜2%、P≦0.06%、S≦0.01%、Al≦0.1%、N≦0.006%、Nb≦0.08%、Cr≦0.5%、Ti:0.02〜0.2%を含み、さらにMo≦0.7%およびW≦1.5%の少なくとも1種を含有し、6μm以上の粒径を有するフェライト単相組織と、該フェライト単相組織中に微細分散した10nm未満のTiならびにMoおよびWの少なくとも1種を含む炭化物とから実質的になるブラウン管フレーム用高強度熱延鋼板を提供する。
また、本発明は、質量%で、C≦0.10%、Si≦0.5%、Mn:0.5〜2%、P≦0.06%、S≦0.01%、Al≦0.1%、N≦0.006%、Nb≦0.08%、Cr≦0.5%、Ti:0.02〜0.2%を含み、さらにMo≦0.7%およびW≦1.5%の少なくとも1種を含有する鋼をオーステナイト単相域まで加熱した後に熱間圧延するに際し、仕上温度を980℃超え、巻取温度を570℃以上で行うことを特徴とするブラウン管フレーム用高強度熱延鋼板の製造方法を提供する。
さらに本発明は、上記高強度熱延鋼板で構成されたブラウン管フレームを提供する。
本発明によれば、6μm以上の粒径であるフェライト単相組織とすることにより良好な磁気特性を発現させることができ、さらにフェライト単相組織中に10nm未満の特定の微細炭化物を分散析出させることにより磁気特性を劣化させずにクリープ特性を良好なものとすることができ、しかも成分組成が高価な元素を多量に含むものではなく安価であるので、磁気特性およびクリープ特性がともに優れ、かつ安価なブラウン管フレーム用高強度熱延鋼板を得ることができる。また、熱延工程で微細炭化物を分散析出させるので、ブラウン管製造工程の熱処理によらず、鋼板を製造することができ鋼板の特性安定性が高い。
本発明に係るブラウン管フレーム用高強度熱延鋼板は、C、Si、Mn、P、S、Al、N、Nb、Cr、Tiを特定の範囲に規定し、さらにMoおよびWの少なくとも1種を含有させた成分組成とし、6μm以上の粒径を有するフェライト単相組織と、該フェライト単相組織中に微細分散した10nm未満のTiならびにMoおよびWの少なくとも1種を含む炭化物とから実質的になる。また、このような鋼板は、オーステナイト単相域まで加熱した後に熱間圧延するに際し、仕上げ温度を980℃超え、巻取温度を570℃以上で行うことにより得られる。
以下、本発明について、組織、析出物、成分組成、製造方法に分けて具体的に説明する。
[組織]
マルテンサイト、ベイナイト、パーライト等の組織は、内部転位密度が高いため、磁壁移動の障害となり、特に5Oe程度の邸磁界での磁気特性が劣化するが、フェライト単相組織はこのようなことが生じず磁気特性が良好となる。したがって、本発明ではフェライト以外の組織を実質的に含まないフェライト単相組織とした。ここで、フェライト単相組織とは、完全に100%フェライト組織である場合に限るものではなく、断面観察などで体積%で95%以上がフェライト組織であることを意図するものである。好ましくは98%以上である。
マルテンサイト、ベイナイト、パーライト等の組織は、内部転位密度が高いため、磁壁移動の障害となり、特に5Oe程度の邸磁界での磁気特性が劣化するが、フェライト単相組織はこのようなことが生じず磁気特性が良好となる。したがって、本発明ではフェライト以外の組織を実質的に含まないフェライト単相組織とした。ここで、フェライト単相組織とは、完全に100%フェライト組織である場合に限るものではなく、断面観察などで体積%で95%以上がフェライト組織であることを意図するものである。好ましくは98%以上である。
また、結晶粒界は磁壁移動の障害となるため、結晶粒径が小さいと磁気特性が劣化する。したがって、本発明では磁気特性の観点から結晶粒径は6μm以上であることを必要とする。より望ましくは7μm以上であり、8μm以上がさらに好ましい。
[析出物]
前記フェライト単相組織中に微細炭化物を分散させることによって、クリープ特性を向上させることができる。炭化物の粒径が10nm以上となると磁壁移動の障害となるため、本発明では炭化物の粒径が10nm未満であることを必要とする。本発明の炭化物は、ブラウン管製造工程の熱処理中に析出するのではなく、原板の状態で析出していることが必要である。このため、熱延板製造工程で微細析出する炭化物として、TiとMoおよびWの少なくとも1種とを含む炭化物であることが望ましい。これは、拡散速度の遅いMoおよび/またはWとTiとを複合析出させることによって、析出物の成長速度が遅くなり、微細に析出するためである。
前記フェライト単相組織中に微細炭化物を分散させることによって、クリープ特性を向上させることができる。炭化物の粒径が10nm以上となると磁壁移動の障害となるため、本発明では炭化物の粒径が10nm未満であることを必要とする。本発明の炭化物は、ブラウン管製造工程の熱処理中に析出するのではなく、原板の状態で析出していることが必要である。このため、熱延板製造工程で微細析出する炭化物として、TiとMoおよびWの少なくとも1種とを含む炭化物であることが望ましい。これは、拡散速度の遅いMoおよび/またはWとTiとを複合析出させることによって、析出物の成長速度が遅くなり、微細に析出するためである。
[成分組成]
本発明の鋼板は、質量%で、C≦0.10%、Si≦0.5%、Mn:0.2〜2%、P≦0.06%、S≦0.01%、Al≦0.1%、N≦0.006%、Nb≦0.08%、Cr≦0.5%、Ti:0.02〜0.2%を含み、さらにMo≦0.7%およびW≦1.5%の少なくとも1種を含有する。
本発明の鋼板は、質量%で、C≦0.10%、Si≦0.5%、Mn:0.2〜2%、P≦0.06%、S≦0.01%、Al≦0.1%、N≦0.006%、Nb≦0.08%、Cr≦0.5%、Ti:0.02〜0.2%を含み、さらにMo≦0.7%およびW≦1.5%の少なくとも1種を含有する。
Cは、TiとMoまたは/およびWとを含む炭化物を形成し、良好なクリープ特性を得るために必要な元素である。しかし、0.10%を超えると、粗大なFe炭化物を形成したり、フェライト単相組織が得られなくなるため、C含有量は0.10%以下とすることが必要である。良好な磁気特性を得る観点からは、0.06%以下であることが望ましい。
Siは、固溶強化元素として有効であるが、0.5%を超えると、黒化処理時に形成された黒化膜の密着性が劣化するため、0.5%以下とする。より好ましい範囲は0.3%以下である。
Mnは、固溶強化元素として有効であり、また熱間脆性を抑制する元素であり、その効果を発揮するために0.5%以上とすることが必要である。一方、2%を超えて添加した場合、フレーム形状への成形性を損なう。したがって、Mn含有量を0.5〜2%とする。
Pは、固溶強化元素であるが、0.06%を超えて含有するとフレームへの成形性を損なうため、Pの含有量を0.06%以下とする。
Sは少ないほど望ましく、0.01%を超えると磁気特性を劣化させるため、Sの含有量を0.01%以下とする。
Alは脱酸材として添加される。しかし、0.1%を超えると黒化膜の密着性が劣化するため、Alの含有量を0.1%以下とする。
Nは少ないほど望ましく、その含有量が0.006%を超えると、磁気特性を劣化させる粗大な窒化物を形成するため、Nの含有量を0.006%以下とする。
Nbは、炭窒化物を形成して鋼を強化するとともに、結晶粒を微細にする元素である。しかし、0.08%を超えると結晶粒が小さくなり、磁気特性を劣化させるため、Nbの含有量を0.08%以下とする。
Crは、高温強度を高める元素である。しかし、0.5%を超えると磁気特性を劣化させる粗大な析出物を形成しやすいため、その含有量を0.5%以下とする。
Tiは、Moまたは/およびWとともに添加されて10nm未満の微細炭化物を形成し、クリープ強度を向上させる元素である。0.02%未満では微細炭化物析出量が少なくなって良好なクリープ特性を維持することができなくなる。また、0.2%を超えて含有すると、フェライト粒径が微細になって磁気特性を劣化させる。したがって、Tiの含有量を0.02〜0.2%とする。
Moは、Tiとともに添加されて、10nm未満の微細炭化物を形成し、クリープ特性を向上させる元素である。しかし、0.7%を超えると、フェライト粒径が微細になって磁気特性を劣化させる。したがって、Moを添加する場合には、その含有量は0.7%以下とする。また、0.05%未満では微細炭化物の析出量が少なくなって良好なクリープ特性を維持することができなくなるため、0.05%以上添加することが望ましい。ただし、Wが添加される場合はこの限りでない。
Wは、Tiとともに添加されて、10nm未満の微細炭化物を形成し、クリープ特性を向上させる元素である。しかし。1.5%を超えると、フェライト粒径が微細になって磁気特性を劣化させる。したがって、Wを添加する場合には、その含有量は1.5%以下とする。また、0.1%未満では微細炭化物の析出量が少なくなって良好なクリープ特性を維持することができなくなるため、0.1%以上添加することが望ましい。ただし、Moが添加される場合はこの限りでない。
[製造方法]
本発明においては、上述した成分組成の鋼をオーステナイト単相域まで加熱した後に熱間圧延するに際し、仕上温度を980℃超え、巻取温度を570℃以上で行う。
本発明においては、上述した成分組成の鋼をオーステナイト単相域まで加熱した後に熱間圧延するに際し、仕上温度を980℃超え、巻取温度を570℃以上で行う。
仕上圧延温度は高いほどフェライト粒径が大きくなり、良好な磁気特性を得ることができ、特に、仕上圧延温度が980℃を超えるとその効果が顕著となる。そのため、本発明においては仕上圧延温度を980℃超とする。一方、真空部品であるブラウン管は、内部でのダスト発生を極端に嫌うが、仕上温度が1200℃を超えると、鋼板表面の凹凸が激しくなり、フレーム加工時のダストの発生が顕著となるため、仕上圧延温度は1200℃以下が望ましい。
巻取温度は、TiとMoおよびWの少なくとも1種とを含有する微細炭化物が析出しやすい温度である必要がある。570℃未満の場合、微細炭化物が全量析出せず、ブラウン管製造工程での熱処理時に析出し、材質のバラツキを招くため、巻取温度を570℃以上とする。また、巻取温度が600℃未満では、フェライト粒径が小さくなる傾向にあるため、600℃以上が望ましく、640℃以上であることがより好ましい。このような巻取温度を高めてフェライト粒を大きくする効果は、仕上圧延温度が高いほど大きい。
なお、本発明の熱延鋼板を製造するに際し、1%以下のスキンパス圧延を行っても、本発明の効果は損なわれない。
表1に示す化学成分を有する鋼スラブを表2に示す条件で熱間圧延し、酸洗して板厚4mmの熱延板を得た。得られた鋼板は、JIS G 0552に準じて熱延板の圧延方向の光学顕微鏡から、フェライト粒径およびフェライト体積率を測定した。さらに10nm以下の微細析出物の有無を透過型電子顕微鏡(TEM)によって把握し、その析出物の組成をTEMに装備されたエネルギー分散型X線分光装置(EDX)を用いて分析した。
また、得られた熱延板からJIS5号試験片を圧延方向に採取し、フレームの歪取焼鈍を模擬して500℃で1時間の焼鈍を行った後に、常温での機械特性および黒化処理に相当する応力294MPa、450℃で1時間のクリープ伸びを評価した。また、JIS C 2531に準拠して内径33mm、外径45mmのリング試験片を採取し、フレームの歪取焼鈍を模擬して500℃で1時間の焼鈍を行った後に、ブラウン管の消磁磁界を模擬して最大磁界5Oeでの磁気特性を評価した。
フェライト組織の粒径、フェライト分率、10nm未満の微細炭化物の有無、および上記試験結果を表2に併記する。なお、表2において、クリープ伸びの欄は、0.1%以下を良好として評価○で示し、0.1%を超えるものは不良として評価×で示している。また、最大透磁率の欄は、最大透磁率μmaxが400以上を良好な範囲として評価○で示し、700以上を極めて良好な範囲として評価◎で示した。
表2に示すように、Tiが本発明の範囲よりも少ない鋼種Aを用いたNo.1は、フェライト分率が90%と低く、また本発明の微細炭化物が析出しないため、クリープ伸びが大きかった。また、Tiが本発明の範囲よりも多い鋼種Dを用いたNo.4は、フェライト粒径が小さいため、磁気特性が低かった。また、MoもWも少ない鋼種Eを用いたNo.5は、フェライト分率が85%と低く、また本発明の微細炭化物が析出しないため、磁気特性もクリープ特性も低いものであった。これに対して、No.2,3,6に示すように、本発明の範囲内の成分組成を有する鋼種B、C、Fを用いて適切な条件で製造することにより、6μm以上の粒径を有するフェライト単相組織と、フェライト単相組織中に微細分散した10μm未満のTiならびにMoおよびWの少なくとも1種を含む炭化物とから実質的になる組織が得られており、クリープ特性および磁気特性の両方とも良好な値を示した。
表2のNo.7〜11は、本発明の成分組成を満たす鋼種Cについて圧延仕上温度(FT)および巻取温度(CT)を変化させた結果である。図1は、鋼種Cを用いたNo.3,7〜11について仕上圧延温度の磁気特性に及ぼす影響を各巻取温度毎に示すグラフである。表2および図1から仕上圧延温度が高いほどフェライト粒径が大きくなり、磁気特性が上昇することがわかる。また、巻取温度が高いほどフェライト粒径が大きくなり、磁気特性が上昇することがわかる。そして、圧延温度が980℃を超え、巻取温度が570℃以上という本発明の製造条件の範囲を満たす場合に、最大透磁率μmaxが400以上と良好な値になることが確認された。
本発明の熱延鋼板は、クリープ特性および磁気特性の両方に優れているので、これをテンションマスクが取り付けられるフレームとして好適に用いることができ、色ズレが極めて少ないブラウン管を実現することが可能である。
Claims (3)
- 質量%で、C≦0.10%、Si≦0.5%、Mn:0.5〜2%、P≦0.06%、S≦0.01%、Al≦0.1%、N≦0.006%、Nb≦0.08%、Cr≦0.5%、Ti:0.02〜0.2%を含み、さらにMo≦0.7%およびW≦1.5%の少なくとも1種を含有し、6μm以上の粒径を有するフェライト単相組織と、該フェライト単相組織中に微細分散した10nm未満のTiならびにMoおよびWの少なくとも1種を含む炭化物とから実質的になるブラウン管フレーム用高強度熱延鋼板。
- 質量%で、C≦0.10%、Si≦0.5%、Mn:0.5〜2%、P≦0.06%、S≦0.01%、Al≦0.1%、N≦0.006%、Nb≦0.08%、Cr≦0.5%、Ti:0.02〜0.2%を含み、さらにMo≦0.7%およびW≦1.5%の少なくとも1種を含有する鋼をオーステナイト単相域まで加熱した後に熱間圧延するに際し、仕上温度を980℃超え、巻取温度を570℃以上で行うことを特徴とするブラウン管フレーム用高強度熱延鋼板の製造方法。
- 請求項1の高強度熱延鋼板により構成されたブラウン管フレーム。
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