JP2000160252A - カラー受像管インナーシールド用冷延鋼板の製造方法 - Google Patents

カラー受像管インナーシールド用冷延鋼板の製造方法

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JP2000160252A
JP2000160252A JP10341254A JP34125498A JP2000160252A JP 2000160252 A JP2000160252 A JP 2000160252A JP 10341254 A JP10341254 A JP 10341254A JP 34125498 A JP34125498 A JP 34125498A JP 2000160252 A JP2000160252 A JP 2000160252A
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English (en)
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Yukio Katagiri
幸男 片桐
Akito Kawamoto
明人 川本
Seiichi Hamanaka
征一 浜中
Yuichi Higo
裕一 肥後
Hiromichi Taguchi
博通 田口
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Nippon Steel Nisshin Co Ltd
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
Nisshin Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 調質圧延で劣化した磁気特性をローラレベリ
ングで回復させ、カラー受像管用インナーシールド材と
して好適な冷延鋼板を得る。 【構成】 C:0.07%以下,Mn:0.05〜0.
8%,Al:0.006〜0.10%,N:0.006
%以下,必要に応じ0.1%以下のP又は0.5%以下
のSi,Cr,Ni,Mo,Wの1種又は2種以上を含
む鋼スラブを仕上げ圧延温度850〜950℃,巻取り
温度550〜750℃の条件で熱間圧延し、得られた熱
延鋼帯を酸洗した後、冷延率60〜95%の冷間圧延を
施し、560〜720℃の箱焼鈍又は660〜850℃
の連続焼鈍をした後、伸び率3%以下で調質圧延し、更
に表面最大歪み3.5%以下でローラレベリングする。 【効果】 ハンドリング性が良好でブランク材の方向取
りに制約がなく、磁気シールド効果の大きなインナーシ
ールド材として使用され、地磁気ドリフトの小さなカラ
ー受像管が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、地磁気ドリフトの低減
に有効な磁気シールド性に優れたカラー受像管インナー
シールド用冷延鋼板を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】カラー受像管は、電子銃から放出された
電子ビームを映像に変換する色選別電極構体をフレーム
で支持し、地磁気による電子ビームの偏向を防止するた
め内部をインナーシールド材で覆っている。インナーシ
ールド材としては、一般的に板厚0.1〜0.3mmの
冷延鋼板が使用される。インナーシールド材は、電子銃
から放出された電子ビームの経路を包むように配置さ
れ、枠状フレームに溶接等で固定され、カラー受像管内
に組み込まれる。カラー受像管のインナーシールドに使
用される冷延鋼板は、セミプロセス材とフルプロセス材
に大別される。
【0003】セミプロセス材は、熱延鋼板を一次冷延し
た後で焼鈍し、二次冷延を施した冷延まま材を素材とし
ている。ユーザー側では、この素材からブランクを打ち
抜き、折曲げ加工等の成形加工を施した後、湿潤雰囲気
又はガス雰囲気中で600℃前後に熱処理している。こ
れにより、黒化皮膜が形成され、焼鈍時の再結晶で磁気
特性が回復する。このようにして得られた鋼板は、イン
ナーシールド材としてカラー受像管の組立て工程に投入
される。フルプロセス材は、基本的には1回の冷延と焼
鈍を施した焼鈍材を素材としている。ユーザ側では、こ
の素材からブランクを打ち抜き、折曲げ加工等によって
ブランクを成形加工している。このフルプロセス材は、
黒化皮膜の形成や再結晶のための熱処理を必要とせず、
成形加工のままをインナーシールド材としてカラー受像
管の組立て工程に投入される。
【0004】フルプロセス材は一般的に素材の製造工程
の簡略化を可能にし、ユーザ側での熱処理も不要になる
が、インナーシールド素材として要求される特性が得ら
れ難い欠点があり、欠点を克服するため種々の改善が提
案されている。たとえば、放熱性を改善するため、イン
ナーシールド素材製造工程の焼鈍時に黒化処理を組み込
み、或いはカラー受像管製造工程での加熱(約450
℃)を利用して黒化膜を生成させている。防錆性は、電
解クロメート処理,Ni,Cr等の電気めっきによって
付与している。良好な磁気特性が得られ難いフルプロセ
ス材について高透磁率,低保磁力等の軟磁特性の改善に
関しては、たとえば特開平2−61029号公報,特開
平6−36702号公報,特開平9−78130号公報
等で紹介されている鋼中炭素が非常に少ない極低炭素鋼
の使用,フェライト結晶粒の粗大成長,焼鈍後に調質圧
延をしない方法等が知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】特開平2−61029
号公報では、Pを含む低厚み極低炭素鋼のフェライト結
晶粒を粗大化させ、磁気特性に有害な調質圧延を省いた
製造方法を採用することにより、高透磁率化及び低保磁
力化を図っている。しかし、炭素含有量が50ppm以
下の極低炭素鋼を必要とするため、得られた製品がコス
ト高になる。また、フェライト結晶粒の粗大化によって
黒化皮膜の密着性が低下する。更には、P添加による固
溶強化でハンドリング性が改善されるものの、調質圧延
を省略しているため、連続焼鈍の場合にあっても板形状
の確保が非常に困難である。特開平6−36702号公
報では、通常の焼鈍→調質圧延→めっきの工程では調質
圧延によって軟磁特性が劣化すること及び調質圧延無し
ではライン通板ができないことを前提とし、冷延→調質
圧延→Niめっき→焼鈍の工程を採用している。この場
合、焼鈍前の調質圧延によって素材の表面粗さを調整
し、焼鈍前のNiめっきによって焼鈍時の密着防止及び
耐錆性に有効なNiめっき拡散層の形成を図っている。
しかし、炭素含有量50ppm以下の極低炭素鋼を必要
とするため得られた製品がコスト高になる。また、Ni
めっき後に箱焼鈍をしているので焼鈍密着防止処置を必
要とし、焼鈍後の調質圧延がないため板形状の確保が困
難である。
【0006】特開平9−78130号公報では、Siを
添加した極低炭素鋼を冷延後に焼鈍し、Niめっきを施
している。Si添加による固溶強化でライン通板性及び
ハンドリング性を改善し、Niめっきによって黒化膜の
密着性を確保している。この場合も、炭素含有量60p
pm以下の極低炭素鋼を必要とするため得られた製品が
コスト高になる。また、焼鈍後に調質圧延しないため、
連続焼鈍の場合であっても板形状の確保が困難である。
磁気特性は、特開平2−61029号公報,特開平6−
36702号公報,特開平9−78130号公報の何れ
においても、焼鈍後に調質圧延しないことにより高透磁
率化,低保磁力化を図っている。保磁力は透磁率と強い
相関関係をもち、保磁力が小さいと透磁率は大きな値を
示す。この点、低保磁力化と高透磁率化は同意義である
が、残留磁気は保磁力や透磁率と必ずしも相関関係をも
っていない。特に調質圧延を施した鋼板では、別の特性
になる。
【0007】ところで、カラー受像管セットでは、地磁
気の影響を受けるため、セットの設置方向を変えると色
ムラが生じる。地磁気ドリフトはカラー受像管の大きさ
にほぼ比例するため、特に大型化,高精細化の傾向が強
いカラー受像管では地磁気ドリフトに起因する色ムラの
問題が顕在化する。設置方向による色ムラの発生は、カ
ラー受像管内の色選別電極構体やカラー受像管の周辺に
あるシャーシ,取付け金具等の帯磁し易い金属が地球の
磁場で着磁され、これらの磁界と地磁気との合成磁界で
カラー受像管内の電子ビームが僅かに曲げられることに
原因がある。電子ビームは、この僅かな曲りによって本
来当るべき蛍光体からずれ、地磁気ドリフトと呼ばれる
色ムラを発生させる。このような弊害は、磁気遮蔽及び
着磁した金属の消磁によって除去される。
【0008】実際のカラー受像管では、内部遮蔽体とし
てインナーシールド材を用い、消磁作用と組み合わせて
地磁気ドリフトを軽減している。消磁作用は、交流減衰
磁場をインナーシールド材に与えることにより、カラー
受像管内の外部磁場が誘導磁場で相殺される。しかし、
インナーシールド材の磁気特性が劣ると、交流減衰磁場
で発生させた誘導磁場は、外部磁場と反対方向の磁場強
度が地磁気による磁場強度より小さくなり、カラー受像
管内部を十分に磁気遮蔽できなくなる。磁場中で消磁す
る場合、消磁後の各磁気遮蔽体内部における磁場強度
は、高透磁率材と低透磁率材とでは特に大きな差異が無
い。すなわち、外部磁場による磁壁の移動には限界があ
るが、消磁−減衰交流磁場を印加すると磁区の運動エネ
ルギーが増加し、磁壁の移動を容易にすることから、磁
場中で消磁すると外部磁場がもつ磁化エネルギーに相当
する磁化が内部磁気遮蔽体の内部に生じる。この状態は
外部磁場の強度で決定されると考えられ、多少透磁率が
低くても磁場中で十分に消磁することにより誘導される
磁化を同一にでき、磁気遮蔽効果もほぼ同一になる。
【0009】磁気シールド効果としては、地磁気による
磁場の強度を交流減衰磁場による誘導磁場の強度で相殺
できる特性、すなわち残留磁気(Br)が最も重要な特
性である。具体的には、消磁−減衰交流磁場を印加する
ために消磁コイルが組み込まれているが、消磁コイルの
巻き数及び電流の低減を図るためには極力軟磁性の材
料、すなわち透磁率の高い特性が要求される。本発明
は、このような要求を満足すべく案出されたものであ
り、鋼成分と製造条件とを特定関係で組み合わせ、且つ
調質圧延後にローラレベリングを施すことにより、残留
磁気(Br)特性及び最大透磁率(μm)を高め、誘導
磁気の異方性が小さく、カラー受像管の組立て時に良好
なハンドリング性をもち成形加工上の問題もなく、地磁
気ドリフトの低減に有効な磁気特性に優れたフルプロセ
スのインナーシールド用冷延鋼板を提供することを目的
とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の製造方法は、そ
の目的を達成するため、C:0.07重量%以下,M
n:0.05〜0.8重量%,Al:0.006〜0.
10重量%,N:0.006重量%以下を含み、残部が
実質的にFeの組成をもち、不純物としてSi≦0.0
5重量%,P≦0.02重量%,S≦0.02重量%,
Cu≦0.04重量%,Ni≦0.04重量%,Cr≦
0.04重量%に規制された鋼スラブを仕上げ圧延温度
850〜950℃,巻取り温度550〜750℃の条件
で熱間圧延し、得られた熱延鋼帯を酸洗した後、冷延率
60〜95%の冷間圧延を施し、焼鈍後、調質圧延し、
更にローラレベリングすることを特徴とする。鋼スラブ
は、更に0.1重量%以下のP又は0.6重量%以下の
Si,Cr,Ni,Mo,Wの1種又は2種以上を含む
ことができる。
【0011】冷延後の焼鈍は、箱焼鈍又は連続焼鈍の何
れで行ってもよい。箱焼鈍では冷延鋼帯を焼鈍温度56
0〜720℃で箱焼鈍し、連続焼鈍では660〜850
℃で冷延鋼帯を焼鈍する。伸び率3%以下で調質圧延さ
れた鋼帯をローラレベリングするとき、式(1)で定義
される値(ε×100:美坂,益井の提案式)で表され
る鋼板表面の最大歪みが3.5%以下となるように調整
することが好ましい。 ε= a/ρ ・・・・(1) ρ=d/2+2a[215.6・2σe/(2σet)・1/θ0.28−243.2] ・・・・(2) θ=cos-1[{P・(P2+H2-2d(H+2a)-4a2)1/2+(d+2a)(d-H)}/P2+(d-H)2] ・・・・(3) ε:歪み量 d:ワークロール径(mm) a:板厚(mm)の半分 P:ロールピッチ(mm) H:インターメッシュ(mm) σe :降伏応力(MPa) σt:張力(MPa)
【0012】
【作用】本発明者等は、普通鋼冷延鋼板のカラー受像管
用インナーシールド材の適用に関し、磁気特性,加工
性,ハンドリング性等の種々の特性を調査検討した。そ
の結果、低炭素鋼を素材として用い、熱延条件,冷延条
件及び焼鈍条件を特定の関係で組み合わせるとき、マト
リックスを侵入型固溶元素が非常に少ないフェライト相
(Fe地)とし、フェライト相に析出するFe3 C等の
炭化物が極めて少なく或いは炭化物が凝集することによ
り、残留磁気特性が向上することを見い出した。また、
規制されたN含有量と熱延条件及び焼鈍条件の組合せに
より、最大透磁率が向上し、残留磁気異方性が小さくな
ることを見い出した。更に、Alとの結合で生成する微
細な析出物AlNの量を少なくすると共に、フェライト
結晶粒をより粗大化させることにより、最大透磁率が向
上し、誘導磁化異方性が小さくなる。更に、形状確保の
ために製造上で避けられない工程として調質圧延を位置
付け、調質圧延で劣化した磁気特性をローラレベリング
によって回復させている。これらの成分及び製造条件の
組合せによって、残留磁気(Br),最大透磁率(μ
m)及び誘導磁気異方性が改善され、地磁気ドリフトを
小さくできるインナーシールド用冷延鋼板が得られる。
なお、一般的な表面防錆処理法である塗布型クロメート
処理,電解クロメート処理,Ni,Cr等の電気めっき
をインラインで施すことも可能である。また、インナー
シールド用冷延鋼板にNiめっき,電気Crめっき,電
気Znめっき等を施し、その上にクロメート処理等の表
面処理を施して防錆しても良い。
【0013】
【実施の形態】以下、本発明で規定した合金成分,含有
量,製造条件等を説明する。C:0.07重量%以下 残留磁気(Br)及び最大透磁率(μm)を劣化させる
有害成分であるので、C含有量は可能な限り低い方が好
ましい。C含有量が0.07重量%を超えると、残留磁
気(Br)及び最大透磁率(μm)が著しく低下する。
過剰なC含有は、鋼板の成形加工性を劣化させることに
もなる。Mn:0.05〜0.8重量% 強度向上に有効な合金成分であり、脱酸剤としても作用
する。また、不純物であるSをMnSとして固定し、熱
間脆化を防止する作用も呈する。Mnの作用は、0.0
5重量%以上で顕著になる。しかし、0.8重量%を超
える多量のMnが含まれると、成形加工性が劣化すると
共に、生成した黒化膜が剥離し易くなる。
【0014】S:0.02重量%以下 MnS等の介在物としてマトリックスに分散し、鋼板の
成形加工性を低下させる有害成分である。そのため、S
含有量は、可能な限り少ない方が好ましい。S含有量が
0.02重量%を超えると、それに対応するMnの含有
量を増やす必要が生じ、成形加工性が劣化する原因とな
る。Al:0.006〜0.10重量% 脱酸剤として添加され、不純物であるNをAlNとして
固定する作用を呈する合金成分である。Alの作用は、
0.006重量%以上で顕著になる。しかし、0.10
重量%を超える多量のAlが含まれると、鋼板に表面欠
陥が生じ易くなり、黒化膜も剥離し易くなる。
【0015】N:0.006重量%以下 不純物として含まれるNは、可能な限り少ない方が好ま
しい。N含有量が0.006重量%を超えると、AlN
として固定するために添加するAl量が多くなり、最大
透磁率(μm)の低下を引き起こす。P:0.1重量%以下 必要に応じて添加される合金成分であり、磁気特性の劣
化を抑制し、微量添加でハンドリング強度を改善する作
用を呈する。しかし、偏析し易い元素であることから、
多量のPを含有させると、鋼板の強度変動を大きくする
と共に成形加工性を劣化させる原因にもなる。そこで、
本発明においては、P含有量を0.1重量%以下,好ま
しくは0.05重量%以下に規制した。
【0016】Si,Cr,Ni,Mo,Wの1種又は2
種以上:合計で0.6重量%以下 Siは、必要に応じて脱酸剤として添加され、ハンドリ
ング性の向上にも有効である。しかし、0.6重量%を
超える多量のSiを含ませると、鋼板の表面肌が劣化す
ると共に、黒化膜も剥離し易くなる。Cr,Ni,M
o,Wは、何れも鋼中に固溶し、強度を向上させる合金
成分であり、強度ひいてはハンドリング性の向上が要求
される場合に添加されるが、高価な元素であるので鋼材
コストを上昇させる原因になる。本発明では、これら合
金元素を添加しない場合にはSi≦0.05重量%,P
≦0.02重量%,Cu≦0.04重量%,Cu≦0.
04重量%,Ni≦0.04重量%,Cr≦0.04重
量%と規制し、添加する場合にはSi,Cr,Ni,M
o,Wの合計含有量を0.6重量%以下に規制した。
【0017】熱間圧延:仕上げ圧延温度:850〜95
0℃ 巻取り温度:550〜750℃ 熱間圧延では、Ar3変態点直上の仕上げ温度を基本とし
ている。仕上げ温度が850℃に達しないと、フェライ
ト−オーステナイト2相域の熱間圧延となり、巻取り後
に鋼帯表層部のフェライト粒が粗大化した混粒組織にな
る。逆に950℃を超える仕上げ温度では、γ相高温域
の熱間圧延となり、結晶粒が粗大化する。そのため、熱
間圧延の仕上げ温度は、850〜950℃の範囲に設定
される。熱間圧延された鋼帯は、炭化物の粗大化,凝集
化を促進させ、NをAlNとして固定しフェライト結晶
粒を可能な限り粗大成長させることが残留磁気(Br)
特性の向上に有効であるため、550〜750℃の温度
域で巻き取られる。550℃未満の巻取り温度では、N
の固定が不十分となり、フェライト結晶粒の成長が阻害
される。逆に750℃を超える巻取り温度では、巻取り
後のコイルに変形が生じ、酸洗性も低下する。
【0018】冷間圧延:冷延率60〜95% 熱間圧延された鋼帯は、常法に従って酸洗された後、冷
間圧延される。冷間圧延では、残留磁気(Br)及び誘
導磁気異方性の観点から冷延率が60〜95%に調整さ
れる。冷延率が60%未満では、最大透磁率(μm)は
高くなるが、残留磁気(Br)が低く、残留磁気の異方
性( BrC /BrL)が大きくなる。逆に95%を超える
冷延率では、誘導磁気異方性が大きくなると共に、冷間
圧延機の負荷が大きくなりすぎる。
【0019】焼鈍温度:箱焼鈍560〜720℃,
続焼鈍660〜850℃ 冷間圧延された鋼帯には、バッチ式の箱焼鈍或いは連続
焼鈍が施される。箱焼鈍では、タイトコイル又はオープ
ンコイルが焼鈍される。箱焼鈍では、未再結晶粒に起因
した残留磁気(Br)及び最大透磁率(μm)の低下を
防止するため、焼鈍温度が再結晶温度以上、具体的には
560℃以上に設定される。しかし、720℃を超える
焼鈍温度では、焼鈍コストの上昇を来すと共に、焼鈍時
にコイル変形が生じ易くなる。連続焼鈍では、再結晶温
度以上、具体的には660℃以上に焼鈍温度が設定さ
れ、未再結晶粒に起因した残留磁気(Br)及び最大透
磁率(μm)の低下を防止する。しかし、850℃を超
える焼鈍温度では、焼鈍コストの上昇を来すと共に、表
面疵や板形状不良等が発生し易くなる。
【0020】調質圧延:伸び率3%以下 焼鈍後の鋼帯は、形状を確保するために調質圧延が施さ
れる。調質圧延は、伸び率が大きいと残留磁気(Br)
及び最大透磁率(μm)が低下するので、3%以下,好
ましくは2%以下の伸び率に調整する。また、Ni等の
電気めっきによって耐錆性を付与した鋼板を通板させる
ラインでは、表面疵の発生を防止するためにダル仕上げ
とすることが好ましい。
【0021】ローラレベリング:鋼板表面の最大歪みが
3.5%以下 調質圧延で低下した残留磁気(Br)及び最大透磁率
(μm)及び増加した残留磁気の異方性( BrC /Br
L)は、調質圧延後にローラレベリングを施すことにより
大幅に改善される。ローラレベリングでは、ローラレベ
ラーに通板した鋼帯が繰返し曲げされる。この繰返し曲
げによって調質圧延時の歪みに起因する残留応力が緩和
され、残留磁気(Br),最大透磁率(μm),残留磁
気異方性(BrC /BrL)が改善されるものと推察され
る。ローラレベリングは、前掲の式(1)で定義される
鋼板表面の最大歪み(ε×100)が3.5%以下とな
るように調整することが好ましい。3.5%を超える表
面最大歪みでは却って磁気特性が劣化する。
【0022】
【実施例】実施例1:表1に示した組成をもつ鋼スラブ
に対して、表2に示す条件下で熱延,酸洗,冷延,焼鈍
した後,伸び率1.0%の調質圧延及び表面最大歪み量
0.8%のローラレベリングを施し、冷延鋼板を製造し
た。
【0023】
【0024】
【0025】得られた各冷延鋼板からJISZ2201
の5号試験片を切り出し、JISZ2241に準拠した
引張試験に供した。また、JIS C2550に従った
試験片を採取し、カラー受像管製造工程における熱工程
を想定した440℃×20分の加熱処理を施した後、直
流磁化特性試験に供した。直流磁化特性試験では、JI
S C2550に準拠したエプスタイン法(Hm=10
Oe)で磁化曲線を測定し、残留磁気(Br)及び最
大透磁率( μm) を測定した。また、残留磁気(Br)
の圧延方向に直交する方法の値と圧延方向の値との比(
BrC /Br L ) として誘導磁気の異方性を算出した。
【0026】
【0027】直流磁化特性の試験結果を示す表3にみら
れるように、本発明に従った試料番号1〜9の鋼板は、
残留磁気(Br),最大透磁率(μm)が高く、残留磁
気の異方性( BrC /BrL)が小さいことから、高品質
のインナーシールド材として使用可能なことが判る。こ
れに対し、0.07重量%を超える多量のCが含まれて
いる試料番号10〜12の鋼板は、残留磁気の異方性(
BrC /BrL)は比較的小さいものの、残留磁気(B
r),最大透磁率(μm)が共に低く、大型化,高精細
化が要求されているカラー受像管のインナーシールド材
に要求される特性が十分に満足されていない。また、残
留磁気(Br)とC含有量との関係を調査したところ、
図1に示すようにC含有量を0.07重量%以下に規制
することにより、残留磁気(Br)が大きくなっている
ことが判った。
【0028】実施例2:表1に掲げた試料番号3の鋼ス
ラブを表4の製造条件下で熱延,酸洗,冷延,焼鈍した
後、ダル仕上げの調質圧延を施し、次いでローラレベラ
ーに通板した。
【0029】
【0030】得られた冷延鋼板を電気めっきラインに通
板し、厚み約0.4μmのNiめっきを施した。次い
で、JIS C2550に準拠した試験片を切り出し、
460℃×20分で加熱処理した後、実施例1と同じ直
流磁化特性試験に供した。表5の試験結果にみられるよ
うに、本発明に従った試料番号3−3〜3−8の鋼板
は、残留磁気(Br),最大透磁率(μm)が高く、残
留磁気の異方性( BrC /BrL)が小さいことから、高
品質のインナーシールド材として使用可能なことが判
る。これに対し、低い冷延率で冷延しローラレベラーに
通板しない比較例3−1及び3−2の鋼板は、最大透磁
率(μm)が比較的良好であるものの、ローラレベリン
グしないことから残留磁気(Br)が低く、残留磁気の
異方性( BrC /BrL)も大きくなっていた。また、ロ
ーラレベリングで付与される表面最大歪みと残留磁気
(Br)との関係を調査したところ、図2に示すように
3.5%以下の表面最大歪みで残留磁気(Br)が改善
されることが判った。
【0031】
【0032】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、使用する鋼材の成分に関連させて熱延条件,冷延条
件,焼鈍条件等を規制すると共に、調質圧延後の冷延鋼
板をローラレベリングすることにより、残留磁気(B
r)及び最大透磁率(μm)が高く残留磁気異方性( B
C /BrL)の小さな冷延鋼板を得ている。この冷延鋼
板をインナーシールド材としてカラー受像管に組み込む
とき、地磁気に起因する色ズレが抑制されたカラー受像
管が得られる。また、残留磁気異方性( BrC /BrL)
が小さいため、磁気特性が良好な圧延方向に直交する方
向に限定したブランク材の方向取りが必要と無くなり、
ブランク時の歩留りが大幅に向上する。しかも、280
N/mm2 以上の引張強さをもつためハンドリング性が
良好であり、伸びも良好であるため成形加工に際しても
問題のない材料として使用される。このようにして得ら
れたインナーシールド用冷延鋼板は、アパーチャグリル
方式のブラウン管はもとより、シャドウマスク方式のブ
ラウン管にも適用でき、大型化,高精細化が強く進めら
れているカラー受像管用として使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 残留磁気(Br)に及ぼすC含有量の影響を
示したグラフ
【図2】 ローラレベリングで付与する最大表面歪みが
残留磁気(Br)に及ぼす影響を示したグラフ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22C 38/44 H01F 1/16 A (72)発明者 川本 明人 広島県呉市昭和町11番1号 日新製鋼株式 会社技術研究所内 (72)発明者 浜中 征一 広島県呉市昭和町11番1号 日新製鋼株式 会社技術研究所内 (72)発明者 肥後 裕一 広島県呉市昭和町11番1号 日新製鋼株式 会社技術研究所内 (72)発明者 田口 博通 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 Fターム(参考) 4K043 AA01 AB01 AB03 AB10 AB13 AB15 AB18 AB20 AB22 AB25 AB26 AB27 AB31 BA03 BA05 BB01 BB08 EA01 EA02 FA03 5E041 AA11 AA19 CA01 CA06 HB05 HB07 HB11 NN01 NN06 NN17 NN18

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.07重量%以下,Mn:0.0
    5〜0.8重量%,Al:0.006〜0.10重量
    %,N:0.006重量%以下を含み、残部が実質的に
    Feの組成をもち、不純物としてSi≦0.05重量
    %,P≦0.02重量%,S≦0.02重量%,Cu≦
    0.04重量%,Ni≦0.04重量%,Cr≦0.0
    4重量%に規制された鋼スラブを仕上げ圧延温度850
    〜950℃,巻取り温度550〜750℃の条件で熱間
    圧延し、得られた熱延鋼帯を酸洗した後、冷延率60〜
    95%の冷間圧延を施し、焼鈍後、調質圧延し、更にロ
    ーラレベリングすることを特徴とするカラー受像管イン
    ナーシールド用冷延鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 更に0.1重量%以下のP又は0.6重
    量%以下のSi,Cr,Ni,Mo,Wの1種又は2種
    以上を含む組成をもつ鋼スラブを使用する請求項1記載
    のカラー受像管インナーシールド用冷延鋼板の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 焼鈍温度560〜720℃で箱焼鈍する
    請求項1又は2記載のカラー受像管インナーシールド用
    冷延鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 焼鈍温度660〜850℃で連続焼鈍す
    る請求項1又は2記載のカラー受像管インナーシールド
    用冷延鋼板の製造方法。
  5. 【請求項5】 伸び率3%以下で調質圧延した後、鋼板
    表面の最大歪みが3.5%以下に調整されたローラレベ
    リングを施す請求項1〜4の何れかに記載のカラー受像
    管インナーシールド用冷延鋼板の製造方法。
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