JP4515355B2 - 高磁界での磁気特性と被削性に優れた軟磁性鋼材および高磁界での磁気特性に優れた軟磁性鋼部品 - Google Patents
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C:0.004〜0.015%(質量%の意味、以下同じ)、
Si:0.004〜0.05%、
Mn:0.15〜0.5%、
P :0.02%以下(0%を含まない)、
S :0.01〜0.1%、
Al:0.010%以下(0%を含まない)、
N :0.010%以下(0%を含まない)、
O :0.010%以下(0%を含まない)
を満足すると共に、下記式(1)および(2)を満たし、かつ、Cu、NiおよびCrよりなる群から選択される1種以上を下記式(3)を満たすように含み、残部鉄および不可避不純物からなるものであって、
金属組織がフェライト単相組織であり、
鋼材の圧延方向断面10000μm2において、長径5μmを超えるMnSが5個以下であり、かつ長径0.5〜5μmのMnSが20〜80個であるところに特徴を有する。
(4[C]+0.05[Si]+0.1[Mn]+0.8[S]+0.1[Ni]+0.4[Cr])≦0.1
…(1)
1.5≦(20[C]+12[Si]+5[Mn]+5[S]+2[Ni]+3[Cr]+10[Al])
…(2)
0.2≦([Cu]+4[Ni]+6[Cr])≦2.2 …(3)
{式1〜3中、[C]、[Si]、[Mn]、[S]、[Ni]、[Cr]、[Al]、[Cu]は、各元素の含有量(質量%)を示す}
C:0.004〜0.015%、
Si:0.004〜0.05%、
Mn:0.15〜0.5%、
P :0.02%以下(0%を含まない)、
S :0.01〜0.1%、
Al:0.010%以下(0%を含まない)、
N :0.010%以下(0%を含まない)、
O :0.010%以下(0%を含まない)を満たし、
Mg:0.0010〜0.0050%および/またはCa:0.01%以下(0%を含まない)
を含むと共に、下記式(1)および(2)を満たし、かつCu、NiおよびCrよりなる群から選択される1種以上を下記式(3)を満たすように含み、残部鉄および不可避不純物からなるものであって、
金属組織がフェライト単相組織であり、
鋼材の圧延方向断面10000μm2において、Mgおよび/またはCa含有酸化物を核に表層部がMnSである複合析出物で長径5μmを超えるものが5個以下であり、かつ長径0.5〜5μmの上記複合析出物が20〜80個であるところに特徴を有する。
(4[C]+0.05[Si]+0.1[Mn]+0.8[S]+0.1[Ni]+0.4[Cr])≦0.1
…(1)
1.5≦(20[C]+12[Si]+5[Mn]+5[S]+2[Ni]+3[Cr]+10[Al])
…(2)
0.2≦([Cu]+4[Ni]+6[Cr])≦2.2 …(3)
{式1〜3中、[C]、[Si]、[Mn]、[S]、[Ni]、[Cr]、[Al]、[Cu]は、各元素の含有量(質量%)を示す}
上記軟磁性鋼材は、更に他の元素として、Bi:0.005〜0.05%を含んでいてもよい。
(4[C]+0.05[Si]+0.1[Mn]+0.8[S]+0.1[Ni]+0.4[Cr])≦0.1
…(1)
…(2)
0.2 ≦([Cu]+4[Ni]+6[Cr])≦ 2.2 …(3)
Cは、機械的強度を確保するのに必要な元素であり、また少量であれば、電気抵抗の増加作用により渦電流による磁気特性の劣化を抑制できることから、0.004%以上(好ましくは0.007%以上)含有させる。しかしCは、鋼中に固溶してFe結晶格子を歪ませるため、含有量が増加すると高磁界での磁気特性を著しく劣化させる。本発明では、JIS−SUYB−0種レベル以上の磁気特性を満足させるため、C量を0.015%以下とした。好ましくは0.01%以下である。
Siは、溶製時に脱酸として作用し、また電気抵抗を増加させて、渦電流による磁気特性の低下を抑制する効果をもたらす。この様な効果を発揮させるには、Si量を0.004%以上(好ましくは0.008%以上)とする。しかしSiが多量に含まれていると、飽和磁束密度が小さくなると共に冷間鍛造性が阻害される。よって、本発明ではSi量の上限を0.05%とした。好ましくは0.015%以下である。
Mnは、脱酸剤として作用すると共に、鋼中のSと結合してSによる熱間脆化を抑制する作用を有する。また切削加工時には、析出したMnSがチップブレーカーとして作用し、切り屑処理性の向上や工具摩耗量の改善効果をもたらすと共に、電気抵抗を増加させて、渦電流による磁気遮蔽を有効に抑制する。よって、本発明ではMn量を0.15%以上、好ましくは0.20%以上とする。但し、Mn量が増大すると磁気特性が低下するため、本発明ではMn量の上限を0.5%とする。好ましくは0.35%以下である。
Pは、粒界偏析を起こして、冷間鍛造性と磁気特性の低下を招く。よって、P量を0.02%以下に抑えて磁気特性の改善を図るのがよい。好ましくは0.01%以下に抑える。
Sは、鋼中でMnSを形成して被削性の向上と渦電流による遮蔽効果の抑制に有用な元素であり、0.01%以上含有させる。好ましくは0.02%以上である。しかしS量が過剰になると、磁気特性が低下するので0.1%以下とする。好ましくは0.05%以下である。
Alは、電気抵抗を増加させて、渦電流による磁気特性の低下を抑制する効果を有する。この様な観点からは、Alを0.004%以上含有させることが好ましい。一方、Alは固溶NをAlNの形で固定し、AlNとして結晶粒微細化作用を発揮する元素でもあり、該結晶粒の微細化は、結晶粒界を増加させて磁気特性の低下を招くので、0.010%以下に抑える。好ましくは0.008%以下である。
NはAlと結合して窒化物を形成するが、Alと結合せずフェライト相に固溶すると、磁気特性の低下を招く。固溶N量を低減するには、鋼中の全窒素量を低減することが効果的であり、製造性を考慮して0.010%以下とした。好ましくは0.005%以下である。
Oは、常温では鋼に殆ど固溶せず、硬質の酸化物として存在し、磁気特性を大幅に低下させる。ゆえにO含有量は極力低減すべきであり、本発明では0.010%以下に抑える。好ましくは0.005%以下であり、より好ましくは0.002%以下である。
Mgは、脱酸剤として作用すると共に、MnSの生成核となり、電気抵抗を増加させる効果を発揮する元素であり、該効果を発揮させるには0.0010%以上(好ましくは0.0020%以上)含有させる。Caも、Mgと同様にMnSの生成核となり、電気抵抗を増加させる効果を発揮する元素であり、該効果を発揮させるには0.0020%以上含有させることが好ましい。
Biは、被削性を高めるのに有効な元素であり、そのためには0.005%以上含有させるのがよい。より好ましくは0.015%以上である。しかし過剰に含有させると、製造過程で割れが生じやすくなるので、0.05%以下に抑えることが好ましく、より好ましくは0.04%以下である。
熱間圧延に際しての加熱は、合金成分を母相に完全に固溶させるべく高温とすることが望ましいが、温度が高すぎると、フェライト結晶粒の粗大化が部分的に顕著となり、部品成型時の冷間鍛造性が低下する。従って1200℃以下で加熱するのが好ましく、より好ましくは1150℃以下で加熱する。一方、加熱温度が低すぎると、異なる相が局所的に生成し圧延時に割れが生じるおそれがある。また圧延時のロール負荷が上昇して、設備負担の増大や生産性の低下を招くので、1000℃以上(好ましくは1050℃以上)に加熱して圧延を行う。また、仕上げ圧延を850℃以上で行うことが好ましい。
本発明の軟磁性鋼材および軟磁性鋼部品は、磁気焼鈍を行わなくてもJIS−SUYB−2種相当の磁気特性を有するが、JIS−SUYB−0種レベルのより優れた磁気特性を発揮する軟磁性鋼部品を得るには、所定の部品形状に成形したのち、次の条件で磁気焼鈍を行うことが大変有効である。即ち、800℃未満では実用的な熱処理時間で最適なフェライト結晶粒を得ることができないため、焼鈍温度は850℃以上とするのがよい。より好ましくは875℃以上である。一方、過度に焼鈍温度を高めても、所望のフェライト結晶粒径とする効果はほとんど変わらないので、その上限は950℃とするのがよい。好ましくは900℃以下である。
・測定方法:四端子法
・電流リード、電圧リード:純Ni線をスポット溶接
・電圧間距離:74mm
Claims (4)
- C:0.004〜0.015%(質量%の意味、以下同じ)、
Si:0.004〜0.05%、
Mn:0.15〜0.5%、
P :0.02%以下(0%を含まない)、
S :0.01〜0.1%、
Al:0.010%以下(0%を含まない)、
N :0.010%以下(0%を含まない)、
O :0.010%以下(0%を含まない)
を満足すると共に、下記式(1)および(2)を満たし、かつ、Cu、NiおよびCrよりなる群から選択される1種以上を下記式(3)を満たすように含み、残部鉄および不可避不純物からなるものであって、
金属組織がフェライト単相組織であり、
鋼材の圧延方向断面10000μm2において、長径5μmを超えるMnSが5個以下であり、かつ長径0.5〜5μmのMnSが20〜80個であることを特徴とする高磁界での磁気特性と被削性に優れた軟磁性鋼材。
(4[C]+0.05[Si]+0.1[Mn]+0.8[S]+0.1[Ni]+0.4[Cr])≦0.1
…(1)
1.5≦(20[C]+12[Si]+5[Mn]+5[S]+2[Ni]+3[Cr]+10[Al])
…(2)
0.2≦([Cu]+4[Ni]+6[Cr])≦2.2 …(3)
{式1〜3中、[C]、[Si]、[Mn]、[S]、[Ni]、[Cr]、[Al]、[Cu]は、各元素の含有量(質量%)を示す} - C:0.004〜0.015%、
Si:0.004〜0.05%、
Mn:0.15〜0.5%、
P :0.02%以下(0%を含まない)、
S :0.01〜0.1%、
Al:0.010%以下(0%を含まない)、
N :0.010%以下(0%を含まない)、
O :0.010%以下(0%を含まない)を満たし、
Mg:0.0010〜0.0050%および/またはCa:0.01%以下(0%を含まない)
を含むと共に、下記式(1)および(2)を満たし、かつCu、NiおよびCrよりなる群から選択される1種以上を下記式(3)を満たすように含み、残部鉄および不可避不純物からなるものであって、
金属組織がフェライト単相組織であり、
鋼材の圧延方向断面10000μm2において、Mgおよび/またはCa含有酸化物を核に表層部がMnSである複合析出物で長径5μmを超えるものが5個以下であり、かつ長径0.5〜5μmの上記複合析出物が20〜80個であることを特徴とする高磁界での磁気特性と被削性に優れた軟磁性鋼材。
(4[C]+0.05[Si]+0.1[Mn]+0.8[S]+0.1[Ni]+0.4[Cr])≦0.1
…(1)
1.5≦(20[C]+12[Si]+5[Mn]+5[S]+2[Ni]+3[Cr]+10[Al])
…(2)
0.2≦([Cu]+4[Ni]+6[Cr])≦2.2 …(3)
{式1〜3中、[C]、[Si]、[Mn]、[S]、[Ni]、[Cr]、[Al]、[Cu]は、各元素の含有量(質量%)を示す} - 更に他の元素として、Bi:0.005〜0.05%を含む請求項1または2に記載の軟磁性鋼材。
- 前記請求項1〜3のいずれかに記載の鋼材を用いて得られる軟磁性鋼部品であって、金属組織が、平均結晶粒径100μm以上のフェライト単相組織であることを特徴とする高磁界での磁気特性に優れた軟磁性鋼部品。
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