JP4223727B2 - 冷間鍛造性と磁気特性に優れた軟磁性鋼材および磁気特性に優れた軟磁性鋼部品並びにその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車や電車、船舶用などを対象とする各種電装部品に使用されるソレノイド、リレーまたは電磁弁等の鉄心材として有用な軟磁性鋼部品、およびその原材料である軟磁性鋼材、並びにこれらの製造方法に関するものであり、特に冷間鍛造時の加工性に優れ、かつJIS−SUYB−0種レベル以上の優れた磁気特性を確保することのできる軟磁性鋼材、および該鋼材を用いて得られる磁気特性に優れた軟磁性鋼部品、並びにこれらを製造するのに有用な方法に関するものである。
【0002】
尚、前記「SUYB」とは、JIS C 2503で規定される磁気特性の標準規格であり、電装部品においてはJIS−SUYB−1種程度の磁気特性が必要とされている。「SUYB−2種」よりも「SUYB−1種」、「SUYB−1種」よりも「SUYB−0種」の方が磁気特性に優れており、コンパクト化(軽量化)、応答速度の向上および省電力化に有効であることから、同じ用途に適用する部品であっても「SUYB−0種」レベルまたはそれ以上の磁気特性を有していることが望まれる。
【0003】
【従来の技術】
自動車の電装部品等にて磁気回路を構成する鋼部材には、省電力化や応答性の向上を図るべく、磁気特性として、低い外部磁界で容易に磁化し得る特性に加え、保磁力の小さいことが要求される。このため、鋼部材内部の磁束密度が外部磁界に応答し易い軟磁性鋼材が通常使用されている。
【0004】
この様な磁気特性を有する軟磁性鋼材として例えばC量が0.01質量%程度以下の低炭素鋼などが用いられ、軟磁性鋼部品は、該鋼片に熱間圧延を施した後、潤滑処理、伸線加工を行って得た鋼線に、部品成型および磁気焼鈍等を順次施して得られるのが一般的である。
【0005】
近年、軟磁性鋼部品の製造では、製造コスト低減の一手段として、部品成型工程における切削加工にかわって冷間鍛造を行うことが進められており、用いる鋼材には、複雑形状に成形可能な優れた冷間鍛造性が要求されている。一方、最近の高性能化した前記電装部品には、材料自体の磁気特性に加え、部品形状の僅かなばらつきが最終製品の磁気特性に大きく影響を及ぼすといった問題がある。軟磁性鋼部品の製造に用いる低炭素鋼は、一般に冷間鍛造性に優れているが、冷間鍛造時の加工発熱による温度上昇で時効硬化が生ずることがあり、この様な場合に変形抵抗が増加し、成形部品の寸法誤差が生じて部品の磁気特性を劣化させるのである。
【0006】
低炭素鋼の変形抵抗を低減したものとして、例えば、特開2000−8139号公報には、合金成分や圧延条件を調整することによって鋼中の固溶Nを固定し、動的ひずみ時効に起因する変形抵抗の増加を抑える技術が開示されている。しかしながら、上記公報における技術は、材料強度と冷間鍛造性に主眼を置いてなされたものであり、結晶粒の大きさや析出物の存在に敏感に反応する磁気特性については必ずしも満足し得るものではない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情に着目してなされたものであり、その目的は、冷間鍛造性、特に成形部品の寸法精度誤差が小さく、かつ優れた磁気特性を確保することのできる軟磁性鋼材およびその有用な製造方法を提供すると共に、該軟磁性鋼材を用いて得られる磁気特性に優れた軟磁性鋼部品およびその有用な製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る冷間鍛造性と磁気特性に優れた軟磁性鋼材とは、C,Si,Mn,Ti,Nを含むものであって、
5<[Ti]/[N]<20
{[Ti]はTi含有量(質量%)、[N]はN含有量(質量%)を示す}
を満たし、金属組織がフェライト単層組織であり、該フェライト結晶粒内に平均粒径0.5〜1μmのTi系析出物が平均2〜8個/100μm2存在し、かつ平均粒径1μmを超えるTi系析出物が平均1個/10000μm2以下であるところに要旨を有する。
【0009】
本発明に係る軟磁性鋼材は、上記要件を満足することで所望の効果を達成するものであるが、化学成分組成としては、質量%で、C:0.02%以下(0%を含まない)、Si:0.1%以下(0%を含まない)、Mn:0.1〜0.5%、P:0.02%以下(0%を含む)、S:0.02%以下(0%を含む)、Al:0.01%以下(0%を含む)、Ti:0.01〜0.1%、N:0.005%以下(0%を含む)、O:0.02%以下(0%を含む)を満たす。
【0010】
この様な軟磁性鋼材を得るにあたっては、熱間圧延に際して1000〜1150℃に加熱し、仕上げ圧延を850℃以上で行った後、800〜500℃間の冷却を平均冷却速度0.5〜10℃/secで行うのがよい。
【0011】
更に本発明は、この様な鋼材を用いて得られる磁気特性に優れた軟磁性鋼部品も規定するものであって、C,Si,Mn,Ti,Nを含み、
5<[Ti]/[N]<20
{[Ti]はTi含有量(質量%)、[N]はN含有量(質量%)を示す}
を満たし、金属組織が平均結晶粒径100μm以上のフェライト単層組織であり、該フェライト結晶粒内に平均粒径0.5〜1μmのTi系析出物が平均2〜8個/100μm2存在し、かつ平均粒径1μmを超えるTi系析出物が平均1個/10000μm2以下であるところに要旨を有し、その化学成分組成は、C:0.02%以下、Si:0.1%以下(0%を含まない)、Mn:0.1〜0.5%、P:0.02%以下(0%を含む)、S:0.02%以下(0%を含む)、Al:0.01%以下(0%を含む)、Ti:0.01〜0.1%、N:0.005%以下(0%を含む)、O:0.02%以下(0%を含む)を満たすものである。
【0012】
またその製造方法は、前記軟磁性鋼材を用いて所定の部品形状に成型加工後、850〜950℃の温度で2時間以上焼鈍するところに特徴を有する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、前述した様な状況の下で、冷間鍛造後の寸法精度が良好でかつ磁気特性に優れた軟磁性鋼部品の実現を目指し、組織や析出物の影響など様々な角度から検討を行った。その結果、フェライト組織中にTi系析出物を所定の範囲内で分散させるようにすれば、冷間鍛造時には変形抵抗を大幅に低減して寸法精度の良好な部品とすることができ、かつ良好な磁気特性も確保できることを見出し上記本発明に想到した。以下では、この様な軟磁性鋼部品およびその原材料となる軟磁性鋼材の組織および析出物について規定した理由について詳述する。
【0014】
軟磁性鋼部品の磁気特性は、材料内部を移動する磁束を固定するエネルギー量に関係しており、フェライト結晶粒の大きさや、析出物の磁気的性質および分布形態の影響を受ける。
【0015】
図1は、フェライトの平均結晶粒径が、磁気特性のうち保磁力に及ぼす影響について調べたものであり、実験は、C量0.01%以下の低炭素鋼を用い、圧延条件および磁気焼鈍条件を調整してフェライトの平均結晶粒径を変化させた試料の保磁力を、外径13mm×内径10mmのリング状試料に磁界印加用コイル(1次コイル)と磁束検出コイル(2次コイル)を巻線し、25 Oeの磁界を印加した後のH(磁界)−B(磁束密度)曲線を自動磁化測定装置で測定し、求めたものである。また図2は、フェライトの平均結晶粒径が磁気特性のうち磁束密度に及ぼす影響を調べたものであり、実験は、前記図1と同様にしてフェライトの平均結晶粒径を変化させた数点の試料について、磁界の強さを5 Oe(エルステッド)または1Oeとした場合の磁束密度を2次コイルで検出した磁束量を試料断面積で除して求めたものである。これら図1および図2に示すとおり、フェライト平均結晶粒径をほぼ100μm以上と粗大化させて粒界面積を低減させれば、保磁力を小さくかつ磁束密度を高めることができ、良好な磁気特性を発揮させることができるのである。前記フェライトの平均結晶粒径は好ましくは200μm以上である。
【0016】
尚、フェライト単相組織するにあたっては、パーライトの生成を抑制するため、鋼材中の炭素量を極めて少なくするのが有効である。
【0017】
図3は、加工発熱領域とされる温度と変形抵抗の関係を、鋼中へのTi添加の有無別に示したものであり、実験は、Tiを添加した試料としてC:0.005%、Si:0.008%、Mn:0.24%、Ti:0.04%を含有する鋼材を用い、Tiを添加していない試料としてC:0.005%、Si:0.007%、Mn:0.24%を含有する鋼材を用い、それぞれの試料を25℃〜350℃の間で温度を変化させて加熱したときの変形抵抗を直径14.3mm×高さ21.45mmの円柱試料を高さ4.29mmまで端面拘束圧縮(圧縮率:80%)して求めた。
【0018】
この図3に示すように、冷間鍛造時における加工発熱領域での変形抵抗の低減には、Tiを添加することが有効であることがわかる。具体的にTiは、鋼中の固溶NをTiNの形で固定して固溶Nを低減させ、固溶Nによるひずみ時効硬化を抑制して部品成形時の変形抵抗を低減する効果を有する。この様な効果を有効に発揮させるには、Tiを0.01%以上、好ましくは0.02%以上添加するのがよい。一方、Ti量が多過ぎると、粗大化したTi系析出物(TiN,TiC等)が析出するため、却って変形抵抗の増大を招いて鍛造部品の寸法精度のばらつきが生じたり、磁気特性が低下したりする。従って、Ti量は0.1%以下、好ましくは0.05%以下に抑えるのがよい。
【0019】
また、上述の様にひずみ時効硬化の原因となるNとの相対量として、Ti含有量(質量%)を[Ti]とし、N含有量(質量%)を[N]とした場合の[Ti]/[N]が、5<[Ti]/[N]<20を満たすようにする。[Ti]/[N]が5以下の場合には変形抵抗の低減効果が小さく、一方、[Ti]/[N]が20以上の場合には固溶Nの低減に寄与しないTi系析出物が増加し、変形抵抗の増加と磁気特性の低下を招くからである。好ましくは[Ti]/[N]が7以上、15以下となるようにする。
【0020】
本発明では、冷間鍛造性および磁気特性の向上に有効な析出物の析出形態について検討したところ、フェライト組織中に所定のTi系析出物を存在させるのがよいことが分かった。図4は、フェライト組織中に存在する平均粒径0.5〜1μmのTi系析出物の平均密度が、変形抵抗または磁束密度に及ぼす影響を調べたものであり、実験は、圧延時の冷却条件を調整してフェライト組織中の平均粒径0.5〜1μmのTi系析出物の密度を変化させた試料について、直径14.3mm×高さ21.45mmの円柱試料をひずみ速度10s-1で圧縮率80%まで圧縮して変形抵抗を測定し、また、リング状に加工した試料に所定の磁気焼鈍を施して磁束密度を測定した。
【0021】
この図4に示すように、変形抵抗を低減させて冷間鍛造性を向上させるには、平均粒径0.5〜1μmのTi系析出物を平均2個/100μm2以上、好ましくは平均4個/100μm2以上存在させるのが有効である。一方、多量に存在する場合には磁気焼鈍時の結晶粒成長を妨げ、磁壁移動の抵抗となる結晶粒界を十分に減少させることができず、またTi系析出物自体も磁壁を縛束するため、外部磁界に対する応答性が低下することとなる。従って、フェライト中に存在する平均粒径0.5〜1μmのTi系析出物は平均8個/100μm2以下、好ましくは平均6個/100μm2以下とする必要がある。
【0022】
更に、平均粒径が1μmを超えるTi系析出物が多過ぎると、冷間鍛造時の変形抵抗の増加と割れ発生限界圧縮率の低下を招くことから、該析出物については平均で1個/10000μm2以下に抑える必要があり、最も好ましくは平均粒径が1μmを超えるTi系析出物が存在しないことである。
【0023】
前記「フェライトの平均結晶粒径」とは、フェライト結晶粒の長径と短径の平均値をいい、前記「Ti系析出物の平均粒径」とは、Ti系析出物の長径と短径の平均値をいうものとする。またTi系析出物の個数の平均とは、走査型電子顕微鏡にて1000倍の倍率で10視野を観察した場合の平均をいうものとする。
【0024】
更に本発明は、Ti系析出物の具体的化合物名まで特定するものではなく、本発明にかかるTi系析出物として、Tiの窒化物、Tiの炭化物、Tiの炭窒化物等が挙げられる。
【0025】
上述したように、本発明の最重要ポイントは、フェライト組織中に分散するTi系析出物の粒径および密度を適正に制御するところにある。この様に析出物を制御するにあたっては、鋼の化学成分と製造条件を以下の通りにするのがよい。
【0026】
まず、本発明にかかる鋼材中のTi以外の化学成分組成を規定した理由について述べる。
【0027】
C:0.02%以下(0%を含まない)
C(炭素)は鋼材の強度と延性のバランスを支配する基本元素であり、添加量を低減するほど強度は低下し、延性は向上する。またCは、鋼中に固溶してひずみ時効硬化を生じるのでその含有量は極力少ないほうが望ましく、磁気特性の面からも極低であることが好ましい。こうしたことを考慮すると、JIS−SUYB−0種レベル以上の磁気特性を満足させるには、C含有量を0.02%以下に抑えるのがよい。より好ましくは0.01%以下である。
【0028】
Si:0.1%以下(0%を含まない)
Siは鋼の溶製時に脱酸剤として作用し、また磁気特性を向上させる効果をもたらすが、含有量が多過ぎると冷間鍛造性を阻害する。従って本発明では、部品成型時の冷間鍛造性を確保する観点から、Si含有量の上限を0.1%とした。より好ましくは、0.05%以下である。
【0029】
Mn:0.1〜0.5%
Mnは脱酸剤として有効に作用するとともに、鋼中に含まれるSと結合することでSによる脆化を抑制する。しかしMn量が多過ぎると、析出するMnSの粒径が大きくなって磁気特性を劣化させるため、0.5%を上限とするのがよい。より好ましくは0.3%以下である。
【0030】
P:0.02%以下(0%を含む)
P(リン)は、鋼中で粒界偏析を起こして冷間鍛造性や磁気特性に悪影響を及ぼす有害元素である。従って本発明では、Pの含有量を0.02%以下とするのがよく、より好ましくは0.01%以下である。
【0031】
S:0.02%以下(0%を含む)
S(硫黄)は、上述の通り鋼中でMnSを形成し、S量が多くなり過ぎると冷間鍛造性を著しく劣化させるので、0.02%以下とするのがよく、より好ましくは0.01%以下に抑える。
【0032】
Al:0.01%以下(0%を含む)
Alは、固溶NをAlNの形で固定し結晶粒を微細化させる作用があり、結晶粒界の増加によって磁気特性の低下を招くため、0.01%以下に抑えるのがよい。優れた磁気特性を確保する上ではAl量を0.005%以下に抑えることがより好ましい。
【0033】
N:0.005%以下(0%を含む)
上記の様にN(窒素)はAlと結合しAlNを形成して磁気特性を害するが、それに加え、Alなどにより固定されなかったNは固溶Nとして鋼中に残存し、これも磁気特性を劣化させる。よって、何れにしてもN量は極力少なく抑えるべきであるが、鋼材製造の実操業面も考慮すると、0.005%以下にすれば、それらの弊害を実質的に無視し得る程度に抑えることができる。
【0034】
O:0.02%以下(0%を含む)
O(酸素)は常温では鋼に殆ど固溶せず、AlやSiなどの元素と結合して硬質の酸化物系介在物となり、磁気特性を大幅に低下させる。ゆえにO含有量は極力低減するのがよく、0.02%以下に抑えるようにする。O含有量はより好ましくは0.005%以下、更に好ましくは0.002%以下にする。
【0035】
本発明で規定する元素は上記の通りであり、残部成分は実質的にFeであるが、該鋼材中に、上記説明したものの他、原料、資材、製造設備等の状況によって持ち込まれる不可避的不純物、更には、本発明の課題達成に悪影響を与えないAs等の許容元素が含まれる場合も、本発明で用いる鋼材または鋼部品に包含される。
【0036】
本発明に係る軟磁性鋼材の製造に際しては、まず上記化学成分の要件を満たす鋼材を常法により溶融してから鋳造する。次に冷間鍛造性に優れ、且つ磁気焼鈍後の状態でJlS−SUYB−0種レベルの磁気特性を得るため、1000〜1150℃に加熱して熱間圧延し、850℃以上の仕上げ温度で圧延を終了した後、800〜500℃の温度域を0.5℃/sec以上、10℃/sec以下の平均冷却速度で冷却する。以下、これらの条件を定めた理由を説明する。
【0037】
<熱間圧延に際しての加熱温度>
合金成分を母相に完全に固溶させるため、加熱温度はできるだけ高温である方が望ましい。図5は、化学成分組成がC:0.004%、Si:0.005%、Mn:0.22%、P:0.007%、S:0.007%、Al:0.003%、Ti:0.002%を満たす鋼材を用い、加熱温度:850〜1100℃の範囲内で変化させて加熱した後、圧延を行った場合の圧延時の割れ発生率を測定したものである。この図5から明らかなように、加熱温度が低過ぎると異相が局所的に生成して圧延時の割れ発生を招く危険性があり、しかも、低温側では圧延時のロール負荷が上昇して生産性の低下を招くことにもなる。従って加熱温度は1000℃以上、好ましくは1050℃以上に設定するのがよい。一方、該加熱温度が高すぎるとフェライト結晶粒の粗大化が顕著となり、部品成型時の冷間鍛造性の低下を招くので、1150℃以下、好ましくは1100℃以下に抑えるのがよい。
【0038】
<仕上げ圧延温度>
仕上げ圧延温度が低過ぎると、Ti系析出物の粒径および密度に偏りが生じやすくなり、Ti系析出物を本発明で規定するような形態に析出させることが困難となる。従って、微細なTi析出物の母相への均一な析出を促進するには、仕上げ圧延を850℃以上、好ましくは875℃以上で行うことが望ましい。
【0039】
<熱間圧延後の800〜500℃温度域の冷却速度>
熱間圧延後の冷却速度が速すぎると原子空孔の増加をもたらし、磁気焼鈍後においても所望の磁気特性が得られ難くなる。図6は、本発明で規定する化学成分組成を満たす鋼材を用い、前記熱間圧延後の800〜500℃温度域の冷却速度を1.2〜20℃/secの範囲内で変化させて冷却した試料について、850℃で3時間の条件で磁気焼鈍を行った試料の最大保磁力を測定したものである。この図6からも、「SUYB−0種」レベル以下の保磁力とするには、800〜500℃の温度域の冷却速度を10℃/sec以下、好ましくは5℃/sec以下とするのがよい。一方、該温度域の冷却速度が遅過ぎると生産性が低下する他、析出物が粗大化するので0.5℃/sec以上、好ましくは1℃/sec以上とする。
【0040】
なお、冷却速度を制御する温度域を800〜500℃の範囲と定めたのは、800℃を超える温度域ではフェライト相への変態が進まず、一方、500℃未満の温度ではフェライト相への変態がほぼ完了しているため、所望の金属組織を得るには、800〜500℃の冷却条件を制御することが有効だからである。
【0041】
<磁気焼鈍条件>
かくして得られる軟磁性鋼材を用いて軟磁性鋼部品を製造するに当たっては、該鋼材を冷間鍛造したのち磁気焼鈍に付して磁性部品とされるが、上記軟磁性鋼材の特長を活かして優れた磁気特性の部品とするには、前記磁気焼鈍を850℃以上950℃以下の温度域で2時間以上行うのがよい。
【0042】
図7は、磁気焼鈍時間と磁気焼鈍温度がフェライト平均結晶粒径に及ぼす影響を調べたものであり、実験は、化学成分組成がC:0.004%、Si:0.005%、Mn:0.22%、P:0.007%、S:0.007%、Al:0.003%、Ti:0.035%を満たす鋼材を、磁気焼鈍温度:800〜900℃、磁気焼鈍時間:30分〜4時間の範囲内で変化させて焼鈍を行った。
【0043】
この図7から明らかなように、850℃未満では析出したTi系析出物が結晶粒の成長を阻害するため、所望のフェライト結晶粒径とするには長時間を要することとなり実用的でない。一方、過度に焼鈍温度を高めても、所望のフェライト結晶粒径とする効果は殆ど変わらないので、焼鈍温度範囲を850℃以上で950℃以下とした。磁気焼鈍のより好ましい温度は850〜900℃の範囲内である。
【0044】
また焼鈍時間が短すぎると、磁気焼鈍温度を高めに設定したとしても焼鈍時間不足でフェライト結晶粒を十分に粗大化させることができないので、少なくとも2時間以上、好ましくは3時間以上焼鈍するのがよく、一方、長すぎても磁気特性の向上効果は小さく熱処理コストが増加するだけであるので、6時間以下に抑えるのがよい。
【0045】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0046】
実施例
表1に示す化学成分の供試鋼材を溶製し、鋳造した後、表2に示す条件で熱間圧延を行い直径20mmの線材を得た。得られた線材から採取した試料に850℃で3時間の焼鈍を施した後、該試料の断面組織よりフェライトの平均結晶粒径、Ti系析出物の平均粒径と密度を調べた。また前記線材に磁気焼鈍を施した後の磁気特性(磁束密度、保磁力)を調べた。
【0047】
フェライトの平均結晶粒径、Ti系析出物の平均粒径と密度は、次の方法で測定した。即ち、線材の横断面を露出させた状態で支持基材内に埋め込み、研磨後、5%のピクリン酸アルコール液に15〜30秒間浸漬して腐食させた後、光学顕微鏡によりD/4(D:線材の直径)部位の組織を100〜400倍で10視野を写真撮影し、該写真からフェライト平均結晶粒径を求めた。またフェライト組織中に存在する平均粒径が0.5〜1μmおよび1μm超のTi系析出物{TiN、TiC、Ti(C,N)}の密度は、走査型電子顕微鏡(SEM)により1000〜3000倍で10視野を観察し、画像解析装置によって平均粒径が0.5〜1μmおよび1μm超の前記Ti系析出物の平均密度を求めた(何れも10視野の平均値)。
【0048】
各試料の磁気特性は、上記各線材を用いて外径18mm×内径10mmのリング状試料を作製し、表2に示す条件で磁気焼鈍を行なった後、これに磁界印加用コイルと磁束検出用コイルを巻線し、自動磁化測定装置を用いてH−B曲線を測定して求めた。尚、前記JIS−SUYB−0種で規定される磁気特性は、磁束密度が磁界の強さが2Oe(エルステッド)で1.1T(テスラ)以上、3Oeで1.24T以上、保磁力が63.2A/m以下であり、本発明における磁気特性の評価もこの特性を満足するものを○、満足しないものを×とした。
【0049】
一方、冷間鍛造後の部品寸法精度(本発明における冷間鍛造性)は、加工発熱領域における変形抵抗と相関が強いことから、時効硬化の生じ易い300℃での変形抵抗値をもって評価した。変形抵抗の測定には、直径20mm×高さ30mmの試料を用い、端面拘束圧縮における80%圧縮時(ひずみ速度10/s)の荷重から求めた。本発明ではこの変形抵抗が500N/mm2以下の場合を○、500N/mm2を超える場合を×とした。表2に各試料の組織と磁気特性の測定結果を併記する。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
表2からは次のように考察することができる。尚、以下のNo.は表2における実験No.を示す。
【0053】
No.2〜4およびNo.6,8は、本発明で規定する要件を満たすものであるので、いずれもJIS−SUYB−0種レベル以上の磁気特性を有し、且つ優れた冷間鍛造性を兼備していることがわかる。これに対し、No.1,5,7および9〜18は、鋼材の化学成分組成が本発明の規定要件を外れるか、もしくは本発明で規定する条件で製造を行わなかったことから、JIS−SUYB−0種レベルの磁気特性が得られなかったり、あるいは変形抵抗の低減効果が十分でない等の好ましくない結果となった。
【0054】
即ちNo.1および5は、製造条件が本発明の要件を外れるものであり、No.1は、磁気焼鈍温度が低過ぎたため再結晶が十分に進まず、粒界面積の多い組織となり磁気特性が低下する結果となった。No.5は、磁気焼鈍時間が短いためフェライト結晶粒が十分に粗大化せず、磁気特性が低下することとなった。
【0055】
またNo.7は、圧延後の800〜500℃間の冷却速度が速すぎることから、所望の磁気特性が得られない結果となった。
【0056】
No.9〜18は、鋼材の化学成分が本発明で規定する要件を満たさないことから、上記の様な不具合が生じた。No.9は[Ti]/[N]が20以上で、Ti系析出物が過剰に析出したため変形抵抗の増加と磁気特性の低下を招いた。
【0057】
No.10は、C量が本発明で規定する上限値を超えているので、変形抵抗の増大と磁気特性が劣化することとなった。またNo.11は、Si量が本規定範囲を超えていることから、磁気特性への影響は少ないが冷間鍛造性が著しく低下することとなった。No.12は、Mn量が本発明で規定する上限値を超えているので、析出したMnSが磁束を縛束し磁気特性が低下している。
【0058】
No.13はP量を増加したものであるが、粒界にPが偏析して結晶粒の成長を抑制するため、磁気特性が低下する結果となった。No.14は、S量が本発明の規定を超えて含有されていることから、MnSが多量に析出し、磁気特性が低下することとなった。
【0059】
No.15はAlが過剰に添加され、AlNの生成により結晶粒の成長が抑制されるため、磁気特性が著しく低下している。No.16は、Ti量が本発明で規定する上限値を超えているものであり、変形抵抗増加の原因である固溶Nの低減は図られているものの、Ti系析出物の増加により変形抵抗が増加し、かつ該Ti系析出物がフェライト結晶粒の成長を抑制し、また析出したTiNが磁束を縛束するため磁気特性が低下している。
【0060】
No.17は、N量が本発明の規定を超えているので、ひずみ時効硬化による変形抵抗の増大に加え、磁気特性も低下している。またNo.18は、O量が本発明の規定を超えているので、磁気特性に悪影響を及ぼしていることが分かる。
【0061】
【発明の効果】
本発明は上記のように構成されており、冷間鍛造にて高歩留まりで寸法精度の優れた部品を得ることができ、かつ磁気焼鈍後においてはJIS−SUYB−0種レベルの優れた磁気特性を確保できる軟磁性鋼材、およびこの様な軟磁性鋼材を用いて得られるJIS−SUYB−0種レベルの優れた磁気特性を有する軟磁性鋼部品を提供できることとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋼材のフェライト平均結晶粒径と保磁力の関係を示すグラフである。
【図2】鋼材のフェライト平均結晶粒径と磁束密度の関係を示すグラフである。
【図3】鋼材の温度と変形抵抗の関係をTi添加の有無別に示したグラフである。
【図4】フェライト結晶粒内に存在する0.5〜2μmのTi系析出物の平均密度が、鋼材の変形抵抗または磁束密度に及ぼす影響を示したグラフである。
【図5】熱間圧延に際しての加熱温度と割れ発生率の関係を示すグラフである。
【図6】熱間圧延後の800〜500℃温度域の冷却速度と保磁力の関係を示すグラフである。
【図7】磁気焼鈍時間と磁気焼鈍温度がフェライト平均結晶粒径に及ぼす影響を示したグラフである。
Claims (4)
- 質量%で(以下同じ)C:0.02%以下(0%を含まない)、Si:0.1%以下(0%を含まない)、Mn:0.1〜0.5%、P:0.02%以下(0%を含む)、S:0.02%以下(0%を含む)、Al:0.01%以下(0%を含む)、Ti:0.01〜0.1%、N:0.005%以下(Nの下限は下記式(1)を満足する範囲)、O:0.02%以下(0%を含む)を含有し、残部はFe及び不可避的不純物であり、
5<[Ti]/[N]<20 …(1)
{[Ti]はTi含有量(質量%)、[N]はN含有量(質量%)を示す}を満たし、金属組織がフェライト単層組織であり、該フェライト結晶粒内に平均粒径(長径と短径の平均値の意味。以下、同じ)0.5〜1μmのTi系析出物が平均2〜8個/100μm2存在し、かつ平均粒径1μmを超えるTi系析出物が平均1個/10000μm2以下であり、
外径18mm×内径10mmのリング状試料を作製し、850℃以上950℃以下の温度域で2時間以上の磁気焼鈍を施し、これに磁界印加用コイルと磁束検出用コイルを巻線し、自動磁化測定装置を用いてH−B曲線を測定することによって求まる磁束密度が、2Oeで1.1T以上、3Oeで1.24T以上、保磁力が63.2A/m以下であり、
直径20mm×高さ30mmの試料を用い、端面拘束圧縮における80%圧縮時(ひずみ速度10/s)の荷重から求まる変形抵抗が500N/mm 2 以下であることを特徴とする冷間鍛造性と磁気特性に優れた冷間鍛造用の軟磁性鋼材。 - 請求項1に記載の軟磁性鋼材を冷間鍛造することによって得られる軟磁性鋼部品であって、金属組織が平均結晶粒径(長径と短径の平均値の意味)100μm以上のフェライト単層組織であることを特徴とする磁気特性に優れた軟磁性鋼部品。
- 熱間圧延に際して1000〜1150℃に加熱し、仕上げ圧延を850℃以上で行った後、800〜500℃間の冷却を平均冷却速度0.5〜10℃/secで行うことを特徴とする請求項1に記載の軟磁性鋼材の製造方法。
- 請求項1に記載の鋼材を用い、冷間鍛造して所定の部品形状に成型加工後、850〜950℃の温度で2時間以上焼鈍することを特徴とする請求項2に記載の軟磁性鋼部品の製造方法。
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