JP4646834B2 - 磁気特性とその安定性および冷間鍛造性に優れた軟磁性鋼材、および磁気特性とその安定性に優れた軟磁性鋼部品、ならびにこれらの製造方法 - Google Patents
磁気特性とその安定性および冷間鍛造性に優れた軟磁性鋼材、および磁気特性とその安定性に優れた軟磁性鋼部品、ならびにこれらの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4646834B2 JP4646834B2 JP2006059492A JP2006059492A JP4646834B2 JP 4646834 B2 JP4646834 B2 JP 4646834B2 JP 2006059492 A JP2006059492 A JP 2006059492A JP 2006059492 A JP2006059492 A JP 2006059492A JP 4646834 B2 JP4646834 B2 JP 4646834B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- soft magnetic
- less
- magnetic properties
- stability
- magnetic steel
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Heat Treatment Of Articles (AREA)
Description
C:0.001〜0.02%(質量%の意味、以下同じ)、
Si:0.1%以下(0%を含まない)、
Mn:0.1〜0.5%、
P :0.02%以下(0%を含まない)、
S :0.02%以下(0%を含まない)、
Al:0.01%以下(0%を含まない)、
Ti:0.005%以下(0%を含む)、
N :0.0050%以下(0%を含まない)、
B :0.0015〜0.0085%、
O :0.02%以下(0%を含まない)、
残部:Feおよび不可避不純物からなり、
0.8<([B]/[N])<5.0
{[B]は鋼中B含有量(質量%)、[N]は鋼中N含有量(質量%)を示す}
を満たし、金属組織がフェライト単相組織であって、
該フェライト組織の結晶粒内に、平均粒径(短径と長径の平均値):0.1〜2μmのBNが120〜500個/mm2析出しているところに特徴がある。
0.8<([B]/[N])<5.0 …(1)
{[B]はB含有量(質量%)、[N]はN含有量(質量%)を示す}
Cは、鋼材の強度と延性のバランスを支配する基本元素であり、含有量が低減するほど強度は低下し、延性は向上する。またCは、鋼中に固溶してひずみ時効硬化を生じさせ易い元素であるため極力低減することが望ましく、優れた磁気特性を確保する(JIS−SUYB−0種以上の磁気特性を満足させる)面からも極低であることが好ましい。これらの観点から、本発明ではC量の上限を0.02%とした。好ましくは0.01%以下である。一方、最低限の部品強度の確保、およびBが過多に存在した際にBを安定な炭化物として存在させる観点から、C量の下限を0.001%とした。好ましくは0.004%以上である。
Siは、溶製時に脱酸剤として作用し、また磁気特性を向上させる効果をもたらすが、多量に含まれると冷間鍛造性を阻害する。本発明では、部品成形時の冷間鍛造性を確保する観点から0.1%を上限とした。好ましくは0.05%以下である。
Mnは、脱酸剤として作用すると共に、鋼中のSと結合しSによる脆化を抑制するのに有効であることから、本発明ではMn量を0.1%以上とする。しかし、Mn量が過剰になると磁気特性が低下すると共に変形抵抗が増大するため、Mn量の上限を0.5%とする。好ましくは0.3%以下である。
Pは粒界偏析を起こして、冷間鍛造性と磁気特性の低下を招く。よって本発明では、P量を0.02%以下に抑える。好ましくは0.01%以下である。
Sは鋼中でMnSを形成する元素であり、多量に含まれると、該MnSが多量に析出して冷間鍛造性を低下させる。よって、本発明ではS量を0.02%以下に抑える。好ましくは0.01%以下である。
Alは、固溶NをAlNの形で固定する。AlNは結晶粒の成長を抑制する作用があり、結晶粒界の増加によって磁気特性の低下を招くため、本発明ではAl量を0.01%以下(好ましくは0.005%以下)に抑える。
Tiは、Nとの親和力がBよりも強く、固溶NをTiNの形で固定して動的ひずみ時効を有効に抑制する元素である。しかしTiが過剰に含まれると、TiCとして析出し易くなり素材強度の上昇を招くため、冷間鍛造時の寸法精度を高めることが難しくなる。よってTi量の上限は0.005%とする。好ましくは0.003%以下である。
Nは、Ti,B,Al等と結合して窒化物を形成し、これらの元素と結合しないNは、固溶Nとして残存し、ひずみ時効に伴う結晶構造の歪みによって磁気特性の低下を招く。固溶N量を低減するには、鋼中の全窒素量を低減することが効果的であることから、本発明ではN量を0.0050%以下に抑える。好ましくは0.0030%以下である。尚、製造性を考慮すると、N量の下限は0.0015%程度となる。
Oは、常温では鋼に殆ど固溶せず、硬質の酸化物として存在し、磁気特性を大幅に低下させる。また、硬質酸化物(SiO2、Al2O3等)の増大を招き、変形抵抗が上昇する原因となる。ゆえにO含有量は極力低減すべきであり、本発明では0.02%以下に抑える。好ましくは0.01%以下、より好ましくは0.005%以下、更に好ましくは0.002%以下である。
合金成分を母相に完全に固溶させるには高温で加熱することが望ましいが、温度が高すぎると、フェライト結晶粒の粗大化が部分的に顕著となり、部品成形時の冷間鍛造性が低下する。従って、熱間圧延に際しての加熱は1200℃以下(好ましくは1150℃以下)とするのがよい。一方、加熱温度が低すぎると、BNが母相に完全に溶け込まず、粗大なBNが析出して磁気特性が低下すると共に、圧延中に異なる相が局所的に生成し圧延時に割れが生じるおそれがある。また、低温になると圧延時のロール負荷が上昇し、生産性が低下するため、1000℃以上(好ましくは1050℃以上)に加熱する。
熱間圧延における仕上圧延温度が低すぎると、金属組織(ミクロ組織)が細粒化し易く、その後の冷却過程や部品成形後の焼鈍過程において、部分的な異常粒成長(GG)の発生を招く。GG発生部は、冷間鍛造時の肌荒れや磁気特性のばらつきの原因となるため、整粒にする観点から、850℃以上(好ましくは875℃以上)の仕上圧延温度で圧延を終了させる。
巻取り温度が低いと、上記仕上圧延温度の場合と同様にミクロ組織が細粒化し易く、冷間鍛造性と磁気特性が共に低下するため、巻取りは800℃以上(好ましくは850℃以上)で完了させる。尚、巻取り後の冷却は特に問わず、徐冷等を行えばよい。
磁気焼鈍を施していない本発明の軟磁性鋼材であっても優れた磁気特性を示すが、JIS−SUYB−0種レベルのより優れた磁気特性を発揮する軟磁性鋼部品を得るには、上記軟磁性鋼材を用いて所定の部品形状に成形した後、下記の条件で磁気焼鈍を行い、鋼部品の金属組織を、JIS G 0552(1998)で規定するフェライト結晶粒度番号で4.0以下のフェライト単相組織とすることが大変有効である。
変形抵抗(kgf/mm2)=荷重(kgf)/A/f
(式中、A:試験片の断面積(mm2)、f:拘束係数)
上記式において、φ=10mmの場合A=314mm2であり、
80%圧縮の場合f=10.10となる。
Claims (4)
- C:0.001〜0.02%(質量%の意味、以下同じ)、
Si:0.1%以下(0%を含まない)、
Mn:0.1〜0.5%、
P :0.02%以下(0%を含まない)、
S :0.02%以下(0%を含まない)、
Al:0.01%以下(0%を含まない)、
Ti:0.005%以下(0%を含む)、
N :0.0050%以下(0%を含まない)、
B :0.0015〜0.0085%、
O :0.02%以下(0%を含まない)、
残部:Feおよび不可避不純物からなり、
0.8<([B]/[N])<5.0
{[B]は鋼中B含有量(質量%)、[N]は鋼中N含有量(質量%)を示す}
を満たし、金属組織がフェライト単相組織であって、
該フェライト組織の結晶粒内に、平均粒径(短径と長径の平均値):0.1〜2μmのBNが120〜500個/mm2析出していることを特徴とする磁気特性とその安定性および冷間鍛造性に優れた軟磁性鋼材。 - 請求項1に記載の軟磁性鋼材を用いて得られる軟磁性鋼部品であって、請求項1に記載の成分組成を満たし、金属組織が、JIS G 0552(1998)で規定するフェライト結晶粒度番号で4.0以下のフェライト単相組織であることを特徴とする磁気特性とその安定性に優れた軟磁性鋼部品。
- 請求項1に記載の軟磁性鋼材を製造する方法であって、請求項1に記載の成分組成を満たす鋼材を1000〜1200℃に加熱した後、熱間圧延を行い、850℃以上の仕上圧延温度で圧延終了後、800℃以上で巻取りを完了することを特徴とする磁気特性とその安定性および冷間鍛造性に優れた軟磁性鋼材の製造方法。
- 請求項2に記載の軟磁性鋼部品を製造する方法であって、請求項1に記載の軟磁性鋼材に成形加工を施した後、850〜950℃で2時間以上焼鈍処理することを特徴とする磁気特性とその安定性に優れた軟磁性鋼部品の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006059492A JP4646834B2 (ja) | 2006-03-06 | 2006-03-06 | 磁気特性とその安定性および冷間鍛造性に優れた軟磁性鋼材、および磁気特性とその安定性に優れた軟磁性鋼部品、ならびにこれらの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006059492A JP4646834B2 (ja) | 2006-03-06 | 2006-03-06 | 磁気特性とその安定性および冷間鍛造性に優れた軟磁性鋼材、および磁気特性とその安定性に優れた軟磁性鋼部品、ならびにこれらの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007238970A JP2007238970A (ja) | 2007-09-20 |
JP4646834B2 true JP4646834B2 (ja) | 2011-03-09 |
Family
ID=38584796
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006059492A Active JP4646834B2 (ja) | 2006-03-06 | 2006-03-06 | 磁気特性とその安定性および冷間鍛造性に優れた軟磁性鋼材、および磁気特性とその安定性に優れた軟磁性鋼部品、ならびにこれらの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4646834B2 (ja) |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5234922B2 (ja) * | 2008-03-31 | 2013-07-10 | 株式会社神戸製鋼所 | 軟磁性鋼材およびその製造方法 |
JP6262599B2 (ja) | 2013-11-29 | 2018-01-17 | 株式会社神戸製鋼所 | 軟磁性鋼材及びその製造方法、並びに軟磁性鋼材から得られる軟磁性部品 |
JP6439780B2 (ja) * | 2015-12-24 | 2018-12-19 | Jfeスチール株式会社 | 電磁鋼板の磁気特性予測装置及び磁気特性制御装置 |
CN107794458B (zh) * | 2016-08-30 | 2019-09-06 | 宝山钢铁股份有限公司 | 具有高抗折弯特性的免磁化的电磁纯铁及其制造方法 |
WO2023171362A1 (ja) * | 2022-03-10 | 2023-09-14 | 株式会社神戸製鋼所 | 軟磁性線材および軟磁性棒鋼ならびに軟磁性部品 |
JP2023164092A (ja) * | 2022-04-28 | 2023-11-10 | Jfeスチール株式会社 | 電磁軟鉄 |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004143496A (ja) * | 2002-10-23 | 2004-05-20 | Jfe Steel Kk | 磁気特性および耐食性に優れた軟磁性鉄芯材用のCr含有鋼板 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0790505A (ja) * | 1993-09-27 | 1995-04-04 | Nkk Corp | 軟磁性鋼材およびその製造方法 |
JPH0827520A (ja) * | 1994-07-13 | 1996-01-30 | Nippon Steel Corp | Tv用サポートフレーム材の製造方法 |
JPH1150149A (ja) * | 1997-07-29 | 1999-02-23 | Sumitomo Metal Ind Ltd | シャドウマスクフレーム用冷延鋼板の製造方法 |
-
2006
- 2006-03-06 JP JP2006059492A patent/JP4646834B2/ja active Active
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004143496A (ja) * | 2002-10-23 | 2004-05-20 | Jfe Steel Kk | 磁気特性および耐食性に優れた軟磁性鉄芯材用のCr含有鋼板 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2007238970A (ja) | 2007-09-20 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4464889B2 (ja) | 冷間鍛造性、被削性および磁気特性に優れた軟磁性鋼材、並びに磁気特性に優れた軟磁性鋼部品 | |
JP5892327B2 (ja) | 無方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP4646834B2 (ja) | 磁気特性とその安定性および冷間鍛造性に優れた軟磁性鋼材、および磁気特性とその安定性に優れた軟磁性鋼部品、ならびにこれらの製造方法 | |
WO2018135414A1 (ja) | 無方向性電磁鋼板およびその製造方法 | |
RU2712795C1 (ru) | Листовая электротехническая сталь с неориентированной структурой и способ ее производства | |
JP6262599B2 (ja) | 軟磁性鋼材及びその製造方法、並びに軟磁性鋼材から得られる軟磁性部品 | |
JP4515355B2 (ja) | 高磁界での磁気特性と被削性に優れた軟磁性鋼材および高磁界での磁気特性に優れた軟磁性鋼部品 | |
JP2022545027A (ja) | 600MPa級無方向性電磁鋼板及びその製造方法 | |
JP5139021B2 (ja) | 軟磁性鋼材、並びに軟磁性鋼部品およびその製造方法 | |
WO2014157302A1 (ja) | 耐食性と磁気特性に優れた鋼材およびその製造方法 | |
JP5416452B2 (ja) | 軟磁性鋼材、軟磁性鋼部品、およびこれらの製造方法 | |
JP4223701B2 (ja) | 被削性と磁気特性に優れた軟磁性低炭素鋼材及びその製法、並びに該鋼材を用いた軟磁性低炭素鋼部品の製法 | |
JP2012241210A (ja) | 制振合金材の製造方法と制振合金材 | |
JP4223726B2 (ja) | 冷間鍛造性と透磁率特性に優れた軟磁性鋼材および透磁率特性に優れた軟磁性鋼部品並びにその製造方法 | |
JP4740400B2 (ja) | 無方向性電磁鋼板 | |
JP2013049918A (ja) | 電磁ステンレス鋼及びその製造方法 | |
JP2017128784A (ja) | 軟磁性鋼部品の製造方法 | |
JP4502889B2 (ja) | 冷間鍛造性、切削加工性および交流磁気特性に優れた軟磁性鋼材、交流磁気特性に優れた軟磁性鋼部品ならびにその製造方法 | |
JP5374233B2 (ja) | 軟磁性鋼材および軟磁性鋼部品ならびにこれらの製造方法 | |
JP4646872B2 (ja) | 軟磁性鋼材、並びに軟磁性部品およびその製造方法 | |
JP4457835B2 (ja) | 低温酸化被膜形成処理用軟磁性鋼板および軟磁性鋼板、ならびにそれらの製造方法 | |
JP4223727B2 (ja) | 冷間鍛造性と磁気特性に優れた軟磁性鋼材および磁気特性に優れた軟磁性鋼部品並びにその製造方法 | |
JP4266336B2 (ja) | 熱間鍛造性、磁気特性および被削性に優れた軟磁性鋼材と、磁気特性に優れた軟磁性鋼部品およびその製造方法 | |
JP4925990B2 (ja) | 高周波焼入れ性と冷間鍛造性に優れた軟磁性鋼材および高強度軟磁性鋼部品 | |
JP4398639B2 (ja) | 被削性と磁気特性に優れた軟磁性鋼材および磁気特性に優れた軟磁性鋼部品ならびに軟磁性鋼部品の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20080926 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20101117 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20101130 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20101207 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131217 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 4646834 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |