JP4457835B2 - 低温酸化被膜形成処理用軟磁性鋼板および軟磁性鋼板、ならびにそれらの製造方法 - Google Patents

低温酸化被膜形成処理用軟磁性鋼板および軟磁性鋼板、ならびにそれらの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、リレー、自動車用バルブコントロール等の電磁石アクチュエータのヨークなどソレノイドヨークの素材として好適な軟磁性鋼板およびその製造方法に関する。
軟磁性鋼板は、リレーやソレノイドヨークなど一般に電磁石の鉄心として使用される。これら電磁石用ヨークはプレス加工後、800℃で磁性焼鈍を行い、酸洗し、防錆のためにNi等のめっきが施される。
従来では、例えばリレーのヨークの場合、JIS C 2504に規定された電磁軟鉄板やJEM1201に規定された珪素鋼板などを使用し、所定の形状にプレス後、800℃で磁性焼鈍し、焼鈍で生成した酸化被膜を酸洗にて除去し、Ni電解めっきを施してヨーク完成品とした。
なお、本発明に関する先行技術文献は、発見されていない。
上記のNi電解めっきは、リレーなどに使用した場合の「赤錆」の発生防止を目的とするものであるが、非常にコストが高いために、昨今の生産コストダウンの大きな障害となっていた。
また、使用環境によっては必ずしもめっきほどの高い防錆性が要求されない場合があり、またそのような用途は比較的多い。そこで、要求される防錆性能が低い軟磁性鋼板を対象として、目的とする防錆性を低コストで付与する方法が求められている。
さらに、従来使用されていた電磁軟鉄は、過度に軟質であるために打抜き性に劣るという問題もあった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、めっきに代替する安価な防錆機能を軟磁性鋼板に具備せしめる方法を提供することを目的とする。さらには、軟磁性鋼板の打抜き性をも改善することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、所定量のSiおよびAlを含有させた軟磁性鋼板に低温の酸化処理を施すことにより鋼板表面に良好な耐食性を備える酸化被膜が形成されること、および所定量のSiおよびAlを含有させることにより打抜き性も同時に改善されることを新たに知見した。
本発明は、これらの新知見に基づくものであり、その要旨は以下のとおりである。
すなわち、本発明は、質量%で、C:0.01%以下、Si:0.05%以上3.0%以下、Mn:0.5%以下、S:0.01%以下、酸可溶Al:0.0005%以上2.0%以下、P:0.1%以下、N:0.005%以下を含有し、残部が実質的にFeおよび不純物からなることを特徴とする低温酸化被膜形成処理用軟磁性鋼板を提供する。
本発明の低温酸化被膜形成処理用軟磁性鋼板は、所定の化学組成を有し、特にSiおよびAlの含有量が適正に制御されているので、所定の温度での低温酸化被膜形成処理を施した場合に、表面に良好な耐食性を有する酸化被膜を形成するため、防錆性の良い軟磁性鋼板を得ることができる。さらに、本発明の低温酸化被膜形成処理用軟磁性鋼板の化学組成を上記範囲とすることにより、打抜き性を改善することができる。
また、本発明は、質量%で、C:0.01%以下、Si:0.05%以上3.0%以下、Mn:0.5%以下、S:0.01%以下、酸可溶Al:0.0005%以上2.0%以下、P:0.1%以下、N:0.005%以下を含有し、残部が実質的にFeおよび不純物からなり、表面に酸化被膜を有することを特徴とする軟磁性鋼板を提供する。
本発明によれば、軟磁性鋼板が所定の化学組成を有し、かつ表面に酸化被膜を有することにより、所望の防錆性および打抜き性を得ることができる。このような軟磁性鋼板は、例えばリレー、自動車用バルブコントロール等の電磁石アクチュエータのヨークなど、要求される防錆性能が低い軟磁性鋼板として好適である。
上記発明においては、上記酸化被膜が、SiおよびAlの酸化物からなることが好ましい。SiおよびAlの酸化物からなる酸化被膜は、防錆性に優れるからである。
さらに、本発明は、上述した化学組成を備える鋼塊または鋼片を1300℃以下の温度に加熱して熱間圧延を施す熱間圧延工程と、上記熱間圧延工程により得られた熱間圧延鋼板に1回または中間焼鈍をはさむ2回以上の冷間圧延を施して最終板厚とする冷間圧延工程と、上記冷間圧延工程により得られた冷間圧延鋼板に600℃〜1100℃の温度域で仕上げ焼鈍を施す仕上げ焼鈍工程と、上記仕上げ焼鈍工程により得られた鋼板に0.1%〜5%の伸び率で調質圧延を施す調質圧延工程とを有することを特徴とする低温酸化被膜形成処理用軟磁性鋼板の製造方法を提供する。
本発明によれば、化学組成、鋼塊または鋼片の加熱温度、仕上げ焼鈍温度、および、調質圧延の伸び率を適正に制御することにより、打抜き性および磁気特性に優れた低温酸化被膜形成処理用軟磁性鋼板を製造することができる。また、本発明により得られた低温酸化被膜形成処理用軟磁性鋼板に所定の温度での低温酸化被膜形成処理を施すことにより、防錆性も改善された軟磁性鋼板を得ることができる。
上記発明においては、上記熱間圧延鋼板に熱延板焼鈍を施す熱延板焼鈍工程を行ってもよい。この熱延板焼鈍を行うことにより、磁気特性をより改善することができるからである。
本発明は、また、上述した低温酸化被膜形成処理用軟磁性鋼板の製造方法を用いて行われるものであり、上記低温酸化被膜形成処理用軟磁性鋼板の製造方法により得られる低温酸化被膜形成処理用軟磁性鋼板に、200℃〜500℃の温度域で低温酸化被膜形成処理を施すことを特徴とする軟磁性鋼板の製造方法を提供する。
本発明によれば、上述した低温酸化被膜形成処理用軟磁性鋼板の製造方法を用い、所定の温度での低温酸化被膜形成処理を施すことにより、防錆性、打抜き性および磁気特性のいずれも改善された軟磁性鋼板を低コストで製造することができる。
本発明においては、所定量のSiおよびAlを含有させた低温酸化被膜形成処理用軟磁性鋼板に、所定の温度での低温酸化被膜形成処理を施すことにより、鋼板表面に良好な耐食性を備える酸化被膜が形成されるので、防錆性に優れた軟磁性鋼板を得ることができ、さらに打抜き性を向上させることができる。
以下、本発明の低温酸化被膜形成処理用軟磁性鋼板および軟磁性鋼板、ならびにそれら
の製造方法について詳細に説明する。
なお、本発明において各元素の含有量を示す「%」は、特に断りのない限り「質量%」
を意味するものである
A.低温酸化被膜形成処理用軟磁性鋼板
本発明の低温酸化被膜形成処理用軟磁性鋼板は、質量%で、C:0.01%以下、Si:0.05%以上3.0%以下、Mn:0.5%以下、S:0.01%以下、酸可溶Al:0.0005%以上2.0%以下、P:0.1%以下、N:0.005%以下を含有し、残部が実質的にFeおよび不純物からなることを特徴とするものである。
以下、本発明の低温酸化被膜形成処理用軟磁性鋼板の化学成分について説明する。
1.化学成分
(1)C
Cを0.01%を超えて含有すると、磁気時効が起こり磁気特性を劣化させる可能性があるため、C含有量は0.01%以下とする。好ましくは0.005%以下である。
(2)Si
Siは磁気特性改善および酸化被膜組成改善に必須の元素であるが、Si含有量が0.05%未満では上記の効果が少なく、逆に3.0%を超えるとプレス加工性が悪くなる場合がある。したがって、Si含有量は0.05%以上3.0%以下とする。好ましい下限は0.08%であり、さらに好ましい下限は0.1%である。
(3)Mn
Mnは磁気特性改善に有効な元素であるが、Mn含有量が0.5%超ではプレス加工性が悪くなる場合がある。したがって、Mn含有量は0.5%以下とする。好ましくは0.05%以上0.3%以下である。
(4)S
Sは磁気特性を劣化させる不純物であるため、S含有量は0.01%以下とする。好ましくは0.005%以下である。
(5)酸可溶Al(sol.Al)
酸可溶Alは磁気特性を改善するのに重要な元素であり、含有量に対する降伏強度の増加代が最も少ない元素である。しかしながら、酸可溶Al含有量が2.0%を超えると降伏強度の増加が著しく冷間圧延性が悪くなる可能性があるので、酸可溶Al含有量は2.0%以下とする。酸可溶Al含有量の上限は、好ましくは1.5%であり、さらに好ましくは1.2%である。一方、酸可溶Al含有量が0.0005%未満では低温酸化被膜形成処理によって形成される酸化被膜が目的とする良好な耐食性を実現するために必要な組成から外れる場合があるので、酸可溶Al含有量の下限は0.0005%とする。酸可溶Al含有量の下限は、好ましくは0.05%、さらに好ましくは0.1%、最も好ましくは0.2%である。
(6)P
Pは打抜き性を確保するための機械的性質を改善するのに重要であるが、0.1%を超えて含有すると降伏強度の上昇が著しく、また冷間圧延時の破断を引き起こす場合がある。したがって、P含有量は0.1%以下とする。好ましくは0.005%以上0.1%以下である。
(7)N
Nは磁気特性にとって有害であり、Alと結合してAlNを形成し結晶粒を微細化させ磁気特性劣化を招いたり、打抜き性の劣化を招いたりする可能性がある。したがって、N含有量は0.005%以下とする。
なお、低温酸化被膜形成処理用軟磁性鋼板の製造方法については、後述する「C.低温酸化被膜形成処理用軟磁性鋼板の製造方法」の項に記載し、また、低温酸化被膜形成処理については、後述する「D.軟磁性鋼板の製造方法」の項に記載するので、ここでの説明は省略する。
B.軟磁性鋼板
次に、本発明の軟磁性鋼板について説明する。
本発明の軟磁性鋼板は、質量%で、C:0.01%以下、Si:0.05%以上3.0%以下、Mn:0.5%以下、S:0.01%以下、酸可溶Al:0.0005%以上2.0%以下、P:0.1%以下、N:0.005%以下を含有し、残部が実質的にFeおよび不純物からなり、表面に酸化被膜を有することを特徴とするものである。
ここで、鋼板表面に酸化被膜を形成させることにより鋼板に耐食性を具備させる方法として「黒化処理」が一般に知られている。この黒化処理は鋼板表面にFe酸化物の被膜を形成させるものであり、このような黒化処理を施す場合には、SiおよびAlの含有量が多すぎると形成された被膜の密着性が低下するので、SiおよびAlは忌避される。
一方、本発明の軟磁性鋼板は、SiおよびAlを必須元素としており、所定の温度での低温酸化被膜形成処理が施されることによって鋼板表面にSiおよびAlの酸化物の被膜が形成されたものである。このように本発明においては、従来の黒化処理によるFe酸化物の被膜とは異なり、鋼板表面にSiおよびAlの酸化物の被膜を有することにより、優れた防錆性を得ることができる。
したがって本発明においては、酸化被膜がSiおよびAlの酸化物からなることが好ましいのである。
なお、酸化被膜がSiおよびAlの酸化物からなるものであることは、ESCA(X線光電子分光分析法)やEPMA(X線マイクロアナライザー)などを使用し、定量分析することにより確認することができる。
なお、化学組成については、上述した「A.低温酸化被膜形成処理用軟磁性鋼板」の項に記載したものと同様であり、また、軟磁性鋼板の製造方法については、後述する「D.軟磁性鋼板の製造方法」の項に記載するので、ここでの説明は省略する。
C.低温酸化被膜形成処理用軟磁性鋼板の製造方法
本発明の低温酸化被膜形成処理用軟磁性鋼板の製造方法は、上述した化学組成を備える鋼塊または鋼片を1300℃以下の温度に加熱して熱間圧延を施す熱間圧延工程と、上記熱間圧延工程により得られた熱間圧延鋼板に1回または中間焼鈍をはさむ2回以上の冷間圧延を施して最終板厚とする冷間圧延工程と、上記冷間圧延工程により得られた冷間圧延鋼板に600℃〜1100℃の温度域で仕上げ焼鈍を施す仕上げ焼鈍工程と、上記仕上げ焼鈍工程により得られた鋼板に0.1%〜5%の伸び率で調質圧延を施す調質圧延工程とを有することを特徴とするものである。
以下、本発明の低温酸化被膜形成処理用軟磁性鋼板の製造方法の各工程について説明する。
1.熱間圧延工程
本発明における熱間圧延工程は、上述した化学組成を備える鋼塊または鋼片(以下、「スラブ」ともいう。)を1300℃以下の温度に加熱して熱間圧延を施す工程である。
なお、鋼塊または鋼片の化学組成については、上述した「A.低温酸化被膜形成処理用軟磁性鋼板」の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
熱間圧延に供する鋼塊または鋼片の加熱温度が1300℃を超えると、鋼中のMnSが溶解して磁気特性の劣化を招く可能性がある。このため、熱間圧延に供する鋼塊または鋼片の加熱温度の上限は1300℃以下とする。好ましい上限は1250℃である。また、熱間圧延に供する鋼塊または鋼片の加熱温度の下限は、熱間圧延性を阻害しない範囲で決定すればよく、具体的には1000℃とすることが好ましい。
2.冷間圧延工程
本発明における冷間圧延工程は、上記熱間圧延工程により得られた熱間圧延鋼板に1回または中間焼鈍をはさむ2回以上の冷間圧延を施して最終板厚とする工程である。
本発明においては、1回または中間焼鈍をはさむ2回以上の冷間圧延を施すことにより所定の板厚に仕上げる。この所定の板厚は最終の部品形状により異なるため適宜決定すればよい。一般に板厚が6.5mm以上の厚鋼板ではプレスでの加工が困難になり、逆に板厚が0.3mm以下の鋼板では部品の剛性が低くなる可能性があるので、通常は0.5mm〜5.0mm程度である。
また、本工程においては、一回の冷間圧延で所定の板厚まで仕上げてもよいし、中間焼鈍を含む二回以上の冷間圧延によって仕上げてもよい。
3.仕上げ焼鈍工程
本発明における仕上げ焼鈍工程は、上記冷間圧延工程により得られた冷間圧延鋼板に600℃〜1100℃の温度域で仕上げ焼鈍を施す工程である。
仕上げ焼鈍は、非酸化・非窒化雰囲気で、連続焼鈍あるいはバッチ式焼鈍により600℃〜1100℃の温度域で行う。
連続焼鈍により仕上げ焼鈍を施す場合には、上記の中でも、仕上げ焼鈍温度を700℃〜1100℃の範囲内とすることが好ましい。連続焼鈍は、加熱時間が通常数秒から数分までと短いので、仕上げ焼鈍温度が700℃未満では再結晶組織が十分得られず磁気特性が不良となり、さらには降伏強度の上昇を招くおそれがあるからである。一方、仕上げ焼鈍温度が1100℃超では結晶粒が著しく粗大化し、曲げ加工での割れを生じる可能性があるからである。
また、バッチ式焼鈍により仕上げ焼鈍を施す場合には、上記の中でも、仕上げ焼鈍温度を600℃〜830℃の範囲内とすることが好ましい。バッチ式焼鈍は、加熱時間が通常数十分から数十時間までと長いので、仕上げ焼鈍温度が600℃未満では十分な再結晶組織が得られず磁気特性不良および降伏強度の上昇を招くおそれがあるからである。一方、バッチ式焼鈍により仕上げ焼鈍を施す場合には仕上げ焼鈍温度が830℃超ではコイルが焼付きを起こす場合があるからである。
バッチ式焼鈍における雰囲気は、均熱性および焼鈍温度の高温化が可能となる観点から、100%水素ガスとすることが好ましい。現実には多少の不純物ガスの混入は避けられないが、可能な限り水素ガスのみとした雰囲気(水素ガス95%以上)とすることが好ましい。これは、上述したように加熱時間が長いので、例えば窒素ガスが存在すると吸窒を生じ、またCOやメタンなどCを含むガスが混入すると浸炭が生じて、いずれも磁気特性の劣化をきたすおそれがあるからである。
4.調質圧延工程
本発明における調質圧延工程は、上記仕上げ焼鈍工程により得られた鋼板に0.1%〜5%の伸び率で調質圧延を施す工程である。
上記仕上げ焼鈍を連続焼鈍により行う場合は、降伏点伸びが発生して巻き加工時の皺や折れの原因となるため、調質圧延の伸び率を0.1%以上とする。調質圧延の伸び率が0.1%未満では降伏点伸びが消えず、また需要家における磁性焼鈍を施した際に十分な結晶粒の成長が起こらずに保磁力が劣化する可能性があるからである。一方、調質圧延の伸び率を5%超としたのでは、過度の調質圧延により磁気特性が劣化する可能性がある。したがって、調質圧延における伸び率は5%以下とする。
また、上記仕上げ焼鈍をバッチ式焼鈍により行う場合においても、調質圧延の伸び率を0.1%〜5%とする。調質圧延の伸び率が0.1%未満では巻癖を十分に除去することができず、5%を超えると磁気特性の劣化を招く可能性があるからである。
5.熱延板焼鈍工程
本発明においては、上記熱間圧延鋼板に熱延板焼鈍を施す熱延板焼鈍工程を行ってもよい。この熱延板焼鈍を行うことにより、磁気特性をより改善することができる。
熱延板焼鈍温度は600℃未満では磁気特性を改善する効果が少なく、逆に1000℃を超えると結晶粒が過度に粗大化し、冷間圧延時に破断等のトラブルを引き起こす場合がある。このため、熱延板焼鈍温度は600℃〜1000℃の範囲内とすることが好ましい。
D.軟磁性鋼板の製造方法
本発明の軟磁性鋼板の製造方法は、上述した低温酸化被膜形成処理用軟磁性鋼板の製造方法を用いて行われるものであり、上記低温酸化被膜形成処理用軟磁性鋼板の製造方法により得られる低温酸化被膜形成処理用軟磁性鋼板に、200℃〜500℃の温度域で低温酸化被膜形成処理を施すことを特徴とするものである。
本発明によれば、上述した低温酸化被膜形成処理用軟磁性鋼板の製造方法を用い、所定の温度での低温酸化被膜形成処理を施すことにより、防錆性、打抜き性および磁気特性のいずれも改善された軟磁性鋼板を製造することができる。また、従来のようにめっきを施すことなく防錆性を付与することができるので、製造コストを削減することができる。
本発明おける「低温酸化被膜形成処理」とは、200℃以上500℃以下という低温にて酸化被膜を形成させる処理である。低温酸化被膜形成処理での温度の下限としては、250℃以上が好ましく、さらに好ましくは300℃以上である。上限としては、450℃未満が好ましく、さらに好ましくは400℃未満である。
ここで、上述したように、鋼板表面に酸化被膜を形成させることにより鋼板に耐食性を具備させる方法として「黒化処理」が一般に知られているが、黒化処理は一般に550℃程度という高温で酸化させることにより鋼板表面にFe酸化物の被膜を形成させるものである。一方、本発明においては、200℃以上500℃以下という低温で酸化させることにより鋼板表面にSiおよびAlの酸化物の被膜を形成させるものである。よって、従来の黒化処理と本発明における低温酸化被膜形成処理とは明らかに区別されるものである。このことは、黒化処理においては被膜密着性の観点から忌避されるSiおよびAlを、本発明においては必須元素としていることからも明らかである。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例を例示して、本発明を具体的に説明する。
[実施例]
下記表に示した化学組成よりなるスラブを、同表中に示した条件にて加熱し、表中の板厚まで熱間圧延を施して、酸洗した。次いで、一部について熱延板焼鈍を施し、冷間圧延にて表中の板厚に仕上げた後、連続焼鈍あるいはバッチ式焼鈍で仕上げ焼鈍し、その後、調質圧延を施した。
磁気的な評価は、アルゴンガス中で800℃、2時間均熱する磁性焼鈍を施した後に、JIS C 2504の磁気測定方法に従いリング式磁気測定した。
打抜き性の評価は、25Tプレスを用いて17mm×17mmの試片を連続ブランキングプレスし(金型材質SKD11、クリアランス8%)を実施し、カエリ高さ50μmに達した回数をもって評価した。
酸化被膜の耐食性は、空気雰囲気下で300℃で1分間の低温酸化被膜形成処理を施した試片を相対湿度90%、温度50℃の湿潤箱に入れ、湿潤発錆試験を行い、赤錆発生率10%に達した時間で評価した。
Figure 0004457835
上記表に示す通り、本発明にかかる軟磁性鋼板は、保磁力が50A/m以下、磁束密度B200が1.15T以上、B2000が1.58T以上であり、また打抜き性が20万回以上となり、優れた磁気特性および打抜き性を有していた。さらに、赤錆発生時間が24時間以上であり、低温酸化被膜形成処理後の耐食性に優れるものであった。

Claims (6)

  1. 質量%で、C:0.01%以下、Si:0.05%以上3.0%以下、Mn:0.5%以下、S:0.01%以下、酸可溶Al:0.0005%以上2.0%以下、P:0.1%以下、N:0.005%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする、200℃以上400℃未満で酸化被膜を形成させる低温酸化被膜形成処理用軟磁性鋼板。
  2. 質量%で、C:0.01%以下、Si:0.05%以上3.0%以下、Mn:0.5%以下、S:0.01%以下、酸可溶Al:0.0005%以上2.0%以下、P:0.1%以下、N:0.005%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、200℃以上400℃未満の温度域で施された低温酸化被膜形成処理により形成された酸化被膜を表面に有することを特徴とする軟磁性鋼板。
  3. 前記酸化被膜が、SiおよびAlの酸化物からなることを特徴とする請求項2に記載の軟磁性鋼板。
  4. 請求項1に記載の化学組成を備える鋼塊または鋼片を1300℃以下の温度に加熱して熱間圧延を施す熱間圧延工程と、前記熱間圧延工程により得られた熱間圧延鋼板に1回または中間焼鈍をはさむ2回以上の冷間圧延を施して最終板厚とする冷間圧延工程と、前記冷間圧延工程により得られた冷間圧延鋼板に600℃〜1100℃の温度域で仕上げ焼鈍を施す仕上げ焼鈍工程と、前記仕上げ焼鈍工程により得られた鋼板に0.1%〜5%の伸び率で調質圧延を施す調質圧延工程とを有することを特徴とする、200℃以上400℃未満で酸化被膜を形成させる低温酸化被膜形成処理用軟磁性鋼板の製造方法。
  5. 前記熱間圧延鋼板に熱延板焼鈍を施す熱延板焼鈍工程を行うことを特徴とする請求項4に記載の低温酸化被膜形成処理用軟磁性鋼板の製造方法。
  6. 請求項4または請求項5に記載の低温酸化被膜形成処理用軟磁性鋼板の製造方法を用いて行われるものであり、前記低温酸化被膜形成処理用軟磁性鋼板の製造方法により得られる低温酸化被膜形成処理用軟磁性鋼板に、200℃以上400℃未満の温度域で低温酸化被膜形成処理を施すことを特徴とする軟磁性鋼板の製造方法。
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