JP2006097095A - 低温酸化被膜形成処理用軟磁性鋼板および軟磁性鋼板、ならびにそれらの製造方法 - Google Patents
低温酸化被膜形成処理用軟磁性鋼板および軟磁性鋼板、ならびにそれらの製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】 本発明は、質量%で、C:0.01%以下、Si:0.05%以上3.0%以下、Mn:0.5%以下、S:0.01%以下、酸可溶Al:0.0005%以上2.0%以下、P:0.1%以下、N:0.005%以下を含有し、残部が実質的にFeおよび不純物からなることを特徴とする低温酸化被膜形成処理用軟磁性鋼板を提供することにより、上記目的を達成する。
【選択図】 無し
Description
本発明は、これらの新知見に基づくものであり、その要旨は以下のとおりである。
なお、本発明において各元素の含有量を示す「%」は、特に断りのない限り「質量%」を意味するものである。また、本発明において「残部が実質的にFeおよび不純物からなる」とは、本発明の効果を阻害しない範囲で他の元素を含有する場合を含むことを意味する。
本発明の低温酸化被膜形成処理用軟磁性鋼板は、質量%で、C:0.01%以下、Si:0.05%以上3.0%以下、Mn:0.5%以下、S:0.01%以下、酸可溶Al:0.0005%以上2.0%以下、P:0.1%以下、N:0.005%以下を含有し、残部が実質的にFeおよび不純物からなることを特徴とするものである。
以下、本発明の低温酸化被膜形成処理用軟磁性鋼板の化学成分について説明する。
(1)C
Cを0.01%を超えて含有すると、磁気時効が起こり磁気特性を劣化させる可能性があるため、C含有量は0.01%以下とする。好ましくは0.005%以下である。
Siは磁気特性改善および酸化被膜組成改善に必須の元素であるが、Si含有量が0.05%未満では上記の効果が少なく、逆に3.0%を超えるとプレス加工性が悪くなる場合がある。したがって、Si含有量は0.05%以上3.0%以下とする。好ましい下限は0.08%であり、さらに好ましい下限は0.1%である。
Mnは磁気特性改善に有効な元素であるが、Mn含有量が0.5%超ではプレス加工性が悪くなる場合がある。したがって、Mn含有量は0.5%以下とする。好ましくは0.05%以上0.3%以下である。
Sは磁気特性を劣化させる不純物であるため、S含有量は0.01%以下とする。好ましくは0.005%以下である。
酸可溶Alは磁気特性を改善するのに重要な元素であり、含有量に対する降伏強度の増加代が最も少ない元素である。しかしながら、酸可溶Al含有量が2.0%を超えると降伏強度の増加が著しく冷間圧延性が悪くなる可能性があるので、酸可溶Al含有量は2.0%以下とする。酸可溶Al含有量の上限は、好ましくは1.5%であり、さらに好ましくは1.2%である。一方、酸可溶Al含有量が0.0005%未満では低温酸化被膜形成処理によって形成される酸化被膜が目的とする良好な耐食性を実現するために必要な組成から外れる場合があるので、酸可溶Al含有量の下限は0.0005%とする。酸可溶Al含有量の下限は、好ましくは0.05%、さらに好ましくは0.1%、最も好ましくは0.2%である。
Pは打抜き性を確保するための機械的性質を改善するのに重要であるが、0.1%を超えて含有すると降伏強度の上昇が著しく、また冷間圧延時の破断を引き起こす場合がある。したがって、P含有量は0.1%以下とする。好ましくは0.005%以上0.1%以下である。
Nは磁気特性にとって有害であり、Alと結合してAlNを形成し結晶粒を微細化させ磁気特性劣化を招いたり、打抜き性の劣化を招いたりする可能性がある。したがって、N含有量は0.005%以下とする。
次に、本発明の軟磁性鋼板について説明する。
本発明の軟磁性鋼板は、質量%で、C:0.01%以下、Si:0.05%以上3.0%以下、Mn:0.5%以下、S:0.01%以下、酸可溶Al:0.0005%以上2.0%以下、P:0.1%以下、N:0.005%以下を含有し、残部が実質的にFeおよび不純物からなり、表面に酸化被膜を有することを特徴とするものである。
したがって本発明においては、酸化被膜がSiおよびAlの酸化物からなることが好ましいのである。
本発明の低温酸化被膜形成処理用軟磁性鋼板の製造方法は、上述した化学組成を備える鋼塊または鋼片を1300℃以下の温度に加熱して熱間圧延を施す熱間圧延工程と、上記熱間圧延工程により得られた熱間圧延鋼板に1回または中間焼鈍をはさむ2回以上の冷間圧延を施して最終板厚とする冷間圧延工程と、上記冷間圧延工程により得られた冷間圧延鋼板に600℃〜1100℃の温度域で仕上げ焼鈍を施す仕上げ焼鈍工程と、上記仕上げ焼鈍工程により得られた鋼板に0.1%〜5%の伸び率で調質圧延を施す調質圧延工程とを有することを特徴とするものである。
以下、本発明の低温酸化被膜形成処理用軟磁性鋼板の製造方法の各工程について説明する。
本発明における熱間圧延工程は、上述した化学組成を備える鋼塊または鋼片(以下、「スラブ」ともいう。)を1300℃以下の温度に加熱して熱間圧延を施す工程である。
本発明における冷間圧延工程は、上記熱間圧延工程により得られた熱間圧延鋼板に1回または中間焼鈍をはさむ2回以上の冷間圧延を施して最終板厚とする工程である。
本発明における仕上げ焼鈍工程は、上記冷間圧延工程により得られた冷間圧延鋼板に600℃〜1100℃の温度域で仕上げ焼鈍を施す工程である。
本発明における調質圧延工程は、上記仕上げ焼鈍工程により得られた鋼板に0.1%〜5%の伸び率で調質圧延を施す工程である。
本発明においては、上記熱間圧延鋼板に熱延板焼鈍を施す熱延板焼鈍工程を行ってもよい。この熱延板焼鈍を行うことにより、磁気特性をより改善することができる。
本発明の軟磁性鋼板の製造方法は、上述した低温酸化被膜形成処理用軟磁性鋼板の製造方法を用いて行われるものであり、上記低温酸化被膜形成処理用軟磁性鋼板の製造方法により得られる低温酸化被膜形成処理用軟磁性鋼板に、200℃〜500℃の温度域で低温酸化被膜形成処理を施すことを特徴とするものである。
[実施例]
下記表に示した化学組成よりなるスラブを、同表中に示した条件にて加熱し、表中の板厚まで熱間圧延を施して、酸洗した。次いで、一部について熱延板焼鈍を施し、冷間圧延にて表中の板厚に仕上げた後、連続焼鈍あるいはバッチ式焼鈍で仕上げ焼鈍し、その後、調質圧延を施した。
打抜き性の評価は、25Tプレスを用いて17mm×17mmの試片を連続ブランキングプレスし(金型材質SKD11、クリアランス8%)を実施し、カエリ高さ50μmに達した回数をもって評価した。
酸化被膜の耐食性は、空気雰囲気下で300℃で1分間の低温酸化被膜形成処理を施した試片を相対湿度90%、温度50℃の湿潤箱に入れ、湿潤発錆試験を行い、赤錆発生率10%に達した時間で評価した。
Claims (6)
- 質量%で、C:0.01%以下、Si:0.05%以上3.0%以下、Mn:0.5%以下、S:0.01%以下、酸可溶Al:0.0005%以上2.0%以下、P:0.1%以下、N:0.005%以下を含有し、残部が実質的にFeおよび不純物からなることを特徴とする低温酸化被膜形成処理用軟磁性鋼板。
- 質量%で、C:0.01%以下、Si:0.05%以上3.0%以下、Mn:0.5%以下、S:0.01%以下、酸可溶Al:0.0005%以上2.0%以下、P:0.1%以下、N:0.005%以下を含有し、残部が実質的にFeおよび不純物からなり、表面に酸化被膜を有することを特徴とする軟磁性鋼板。
- 前記酸化被膜が、SiおよびAlの酸化物からなることを特徴とする請求項2に記載の軟磁性鋼板。
- 請求項1に記載の化学組成を備える鋼塊または鋼片を1300℃以下の温度に加熱して熱間圧延を施す熱間圧延工程と、前記熱間圧延工程により得られた熱間圧延鋼板に1回または中間焼鈍をはさむ2回以上の冷間圧延を施して最終板厚とする冷間圧延工程と、前記冷間圧延工程により得られた冷間圧延鋼板に600℃〜1100℃の温度域で仕上げ焼鈍を施す仕上げ焼鈍工程と、前記仕上げ焼鈍工程により得られた鋼板に0.1%〜5%の伸び率で調質圧延を施す調質圧延工程とを有することを特徴とする低温酸化被膜形成処理用軟磁性鋼板の製造方法。
- 前記熱間圧延鋼板に熱延板焼鈍を施す熱延板焼鈍工程を行うことを特徴とする請求項4に記載の低温酸化被膜形成処理用軟磁性鋼板の製造方法。
- 請求項4または請求項5に記載の低温酸化被膜形成処理用軟磁性鋼板の製造方法を用いて行われるものであり、前記低温酸化被膜形成処理用軟磁性鋼板の製造方法により得られる低温酸化被膜形成処理用軟磁性鋼板に、200℃〜500℃の温度域で低温酸化被膜形成処理を施すことを特徴とする軟磁性鋼板の製造方法。
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