JP4258163B2 - 歪取焼鈍後の磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、モーターやトランス等の鉄心材料として使用される歪取焼鈍後の磁気特性および打抜き性に優れた無方向性電磁鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
無方向性電磁鋼板は、モーターやトランス等の鉄心材料として広範囲にわたって使用されている。近年、省エネルギーの観点より電気機器の効率向上に対する要求が強く、鉄心材料についてもより一層の低鉄損化が望まれている。
【0003】
無方向性電磁鋼板の鉄損低減手段としては、鋼中に含まれる不純物元素の量または介在物および析出物の個数を低減する方法(例えば特公平2−50190号公報)、不純物混入を抑制し、スラブ加熱温度、巻取り温度、熱延板焼鈍条件、冷間圧延圧下率および仕上焼鈍条件を規定することにより、介在物制御して鉄損を低減する方法(例えば特開平8−41538号公報)、冷間圧延条件に工夫を凝らし、集合組織を改善して鉄損を低減する方法(例えば特公昭56−2293l号公報)、Sbを添加して熱間圧延時のスラブ加熱温度および熱間圧延後の熱延板焼鈍条件を制御することにより、最終仕上げ焼鈍時の酸化を抑制する方法(特開平8−97023号公報)が開示されている。
【0004】
一方で、ユーザにおいても特性向上のため、打ち抜きや加工による歪を除去する目的で歪取焼鈍を行う場合がある。この歪取焼鈍は、コストが安いということから、発熱型の雰囲気ガスであるDXガス雰囲気で実施されることが多い。DXガスにおいては、CO/CO2やH2/H2Oバランスにより酸化性が変化するが、内部酸化層を形成するような雰囲気で歪取焼鈍されているケースが多い。また、その他の雰囲気ガス(例えば、N2ガス雰囲気)による焼鈍においても、必ずしも内部酸化を抑制するような雰囲気にはなっていないのが実状である。このため、ユーザでの歪取焼鈍において歪が解放される一方で、鋼板表層が内部酸化するため、電磁鋼板の破気特性を100%引き出しているといえず、内部酸化抑制が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような実状に鑑み開発したもので、ユーザにおける歪取焼鈍時の酸化を抑制し、歪取焼鈍後の磁性とくに鉄損が低く、かつ打抜き性に優れた無方向性電磁鋼板を提案することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)C:0.005mass%以下、Si:1.0〜3.5mass%.Al:0.7〜3.0mass%、P:0.1mass%以下、S:0.0030mass%以下を含有し、残部が Fe および不可避不純物からなり、ビッカース硬さが210HV1以下でありかつ平均結晶粒径が80μm以上である無方向性電磁鋼板であって、Al 濃化層の厚みが該鋼板の表面から0.5μm以下であり、かつ、下記に示す関係式を満足する無方向性電磁鋼板(第1発明)。

A≧、A/tA1≧10、A=I/I
ただし、tA1はAl濃化層の厚み(μm)であり、IおよびIはともに、Alの定量分析を行ったときのAl強度であって、I鋼板表面から深さ方向に Al の定量分析を行ったとき最大Al強度、I鋼板表面から 10 μm深さ位置のAl強度である。なお、 Al の濃化層の厚み t A1 は、鋼板表面位置から深さ方向に Al の定量分析を行ったときの、鋼板表面から 10 μ m 深さ位置での Al 強度I と等しくなる Al 強度の位置までの鋼板表面からの深さを意味する。
【0008】
(3)C:0.003mass%以下、Si:1.2〜2.5mass%、Al:1.2〜3.0mass%、P:0.1mass%以下、S:0.0015mass%以下を含有し、残部が Fe および不可避不純物からなり、ビッカース硬さが210HV1以下でありかつ平均結晶粒径が100μm以上である無方向性電磁鋼板であって、Al 濃化層の厚みが該鋼板の表面から0.5μm以下であり、かつ、下記に示す関係式を満足する無方向性電磁鋼板(第発明)。

A≧4、A/tA1≧10、A=I/I
ただし、tA1はAl濃化層の厚み(μm)であり、IおよびIはともに、Alの定量分析を行ったときのAl強度であって、I鋼板表面から深さ方向に Al の定量分析を行ったとき最大Al強度、I鋼板表面から 10 μm深さ位置のAl強度である。なお、 Al の濃化層の厚み t A1 は、鋼板表面位置から深さ方向に Al の定量分析を行ったときの、鋼板表面から 10 μ m 深さ位置での Al 強度I と等しくなる Al 強度の位置までの鋼板表面からの深さを意味する。
【0009】
(3)Sb:0.005〜0.1mass%およびSn:0.005〜0.15mass%から選ばれる1種または2種をさらに含有する上記(1)または(2)に記載の無方向性電磁鋼板(第発明)。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の限定理由について説明する。まず、成分組成について述べる。なお、以下では「mass%」を単に「%」と記す。
【0011】
・C:0.005%以下
Cは、磁気特性の面からは有害な成分であり、極力低減するのが望ましいため、その含有量は0.005%以下、好ましくは0.003%以下とする。下限は特に規定しないが、経済上の理由から0.0001%が望ましい。
【0012】
・Si:1.0〜3.5%
Siは、電気抵抗を高め鉄損を改善するのに有用な添加元素であり、Siの含有量が1.0%未満の場合は磁気特性が劣化するので下限を1.0%とする。なお、下限を1.2%とすることが、良好な磁気特性を得る点で好ましい。一方、Si含有量が3.5mass%を超えると硬さが高まり、ユーザーが鋼板の打ち抜きを行う際の打ち抜き性を劣化させるのでその含有量の上限は3.5mass%とした。なお、上限を2.5%とすることが打ち抜き性の観点から好ましい。
【0013】
・Al:0.7〜3.0%
Alは、鋼の脱酸等に寄与するほか、Siと同様、電気抵抗を高めて、鉄損を向上させる上でも有用な成分である。本発明のA1濃化層を形成させるためにその下限は0.7%、より好ましくは1.2%とする。一方、Al含有量が3.0%を超えると、Siの場合と同様に硬さ上昇による加工性の劣化を招くので、その含有量の上限は3.0%とする。
【0014】
・S:0.0030%以下
Sは、不純物成分の中で特に重要であり、硫化物を形成して磁性を劣化させるのでその含有量を0.0030%以下に抑制する必要がある。
【0015】
・P:0.1%以下
Pは鉄損改善に有効であるが、0.1%を超えると冷延性が著しく劣化するので、その含有量は0.1%以下とする。
【0016】
以上、基本成分についての説明したが、本発明では、必要に応じて、Sb:0.005〜0.1%およびSn:0.005〜0.15%から選ばれる1種または2種をさらに含有させることができる。
【0017】
・Sb:0.005〜0.1%
Sbは、歪取焼鈍時の酸化を抑制する効果を有するため適宜添加することが好ましい。しかしながら、Sb含有量が0.005%未満では酸化抑制の効果が小さく、0.10%を超えると粒成長性を阻害するので、Sb含有量は0.005〜0.10%の範囲とするのが好適である。
【0018】
・Sn:0.005〜0.15%
SnもSbと同様に歪取焼鈍時の酸化を抑制する効果を有するため適宜添加することが好ましい。しかしながら、Sn含有量が0.005%未満では酸化抑制の効果が小さく、0.15%を超えると粒成長性を阻害するので、Sn含有量は0.005〜0.15%の範囲とするのが好適である。
【0019】
また、上記組成に加えて以下に示す成分を必要に応じてさらに含有させてもよい。
【0020】
・Mn:0.1〜1.5%
Mnは、スラブ加熱時の固溶S量低減に効果が有り、また、Sに起因した熱間脆性を抑制するために添加されるものであるが、Mn含有量が0.1%未満ではその効果に乏しく、一方、1.5%を超えると磁気特性の劣化を招くので、その含有量は0.1〜1.5%の範囲とするのが好ましい。
【0021】
・N:0.0030%以下
Nは、粗大介在物の核となる窒化物を形成し、また、微細な介在物として鋼中にも存在する。そして、N含有量が0.003O%を超えると鉄損の劣化を招くので、その含有量は0.0030%以下とするのが好ましい。
【0022】
・O:0.0020%以下
Oは、その含有量の低減が鉄損改善に直接結びつくことは広く知られている事実である。特にO含有量が0.0020%を超えると鉄損の劣化を招くので、その含有量は0.0020%以下とするのが好ましい。
【0023】
・Ti、Nb、V、Zr:いずれも0.005%以下
その他、炭化物、窒化物を形成する元素としてTi、Nb、V、Zrが挙げられる。磁気特性の劣化を抑制するためには、Ti、Nb、V、Zrの含有量をいずれも0.005%以下とすることが望ましい。
【0024】
さらに、その他の成分としては、B、Ni、Cu.Cr、Bi、Ca、Ge、REM等を必要に応じて添加することができる。
【0025】
また、本発明では、平均結晶粒径を80μm以上、より好ましく100μm以上とする。前記結晶粒径が80μm未満だとヒステリシス損が大きいため、優れた磁気特性を実現することができないからである。ここで「平均結晶粒径」は、所定の面積中の結晶粒の数を測定して結晶粒1個あたりの平均面積を求め、これより円相当径を求めたものである。
なお、結晶粒径は、冷間圧延後の焼鈍時の温度・時間で制御可能であるが、製鋼工程で不純物を低減すること、Ca添加により硫化物を粗大化させること、コイル箱焼鈍により鋼中の析出物を粗大化させること等により、粒成長性を向上させることが結晶粒を成長させる上で有利に作用する。
【0026】
さらに、本発明では、優れた打ち抜き性を維持する観点から、ビッカース硬さが210HV1以下とする。ビッカース硬さを210HV1以下にする方法としては、例えば、Si添加量を極力抑えること、結晶粒径を大きくすることが挙げられる。ここで「ビッカース硬さ」とは、JIS Z 2244(1992)に規定されるビッカース硬さ試験方法に準拠して測定したときの硬さを意味する。
【0027】
なお、本発明では、電磁鋼板の板厚については特に規定するものではないが、低鉄損を得る観点から0.1〜0.5mmの範囲にすることが好適である。
【0028】
また、本発明では、Al 濃化層の厚みが該鋼板の表面から0.5μm以下であり、かつ、下記に示す関係式を満足することを必須の発明特定事項とする。

A≧4、A/tA1≧10、A=I/I
ただし、tA1はAl濃化層の厚み(μm)であり、IおよびIはともに、Alの定量分析を行ったときのAl強度であって、I鋼板表面から深さ方向に Al の定量分析を行ったとき最大Al強度、I鋼板表面から 10 μm深さ位置のAl強度である。なお、 Al の濃化層の厚み t A1 は、鋼板表面位置から深さ方向に Al の定量分析を行ったときの、鋼板表面から 10 μ m 深さ位置での Al 強度I と等しくなる Al 強度の位置までの鋼板表面からの深さを意味する。
【0029】
以下で、本発明において上記関係式を満足することを必須の発明特定事項とした理由を実験結果に基づいて説明する。
表1に示す成分組成になる鋼を溶製し、これより板厚2.1mmの熱延板を作製した。この熱延板に1000℃で30秒の焼鈍を行った後、冷間圧延にて0.35mm厚さとした。この冷延板に1020℃で20秒間の仕上げ焼鈍を施した。この際の焼鈍雰囲気を種々に変化させることにより、IとtA1の異なる仕上焼鈍板を作製した。この仕上げ焼鈍板に絶縁コーティングを施した後、30mm×280mmサイズの試験片を、L方向(長手方向が圧延方向)およびC方向(長手方向が圧延直角方向)に各8枚ずつせん断して作製し、エプスタイン法により磁気測定を行った。その後、750℃で2時間の歪取り焼鈍をDXガス(CO:10%、CO2:5%,H2:10%,N2:75%)で露点(d.p.)=15℃の雰囲気で実施し、再び同様の方法で磁気測定を行った。また、仕上焼鈍板について、グロー放電発光分光分析(GDS)によって鋼板表面から深さ方向にAlの定量分析を行ったときのAlの濃度(強度)プロフィールを調査し、Al濃化層の厚さtAl、鋼板のAl濃化層でのAl強度I、および鋼板素地でのAl強度Iを求めた。なお、「鋼板のAl濃化層のAl強度I」は、具体的にはAl濃化層における最大Al強度を意味し、また、「鋼板素地のAl強度I」は、具体的には鋼板の表面から10μm深さ位置でのAl強度を意味し、さらに、「Al濃化層の厚さtAl」は、具体的には鋼板表面位置から深さ方向にAlの定量分析を行ったときの、鋼板表面から10μm深さ位置でのAl強度Iと等しくなるAl強度の位置までの鋼板表面からの深さを意味する。
【0030】
【表1】
Figure 0004258163
【0031】
これらの実験結果によって求めたA/tA1と歪取焼鈍による鉄損改善量ΔW15 50(W/kg)との関係を、tA1が0.5μm以下の電磁鋼板と0.5μmを超える電磁鋼板とに分類して図1に示す。
【0032】
図1によると、tAlが0.5μm 以下の電磁鋼板では、A/tA1≧10の範囲で0.1W/kg以上の鉄損改善効果が認められるが、tAlが0.5μmを超える電磁鋼板では、A/tA1≧10の範囲にしても鉄損改善効果は認められず、反対に鉄損劣化をもたらすことが明らかになった。
【0033】
すなわち、A/tA1とtA1を同時に制御することによって、歪取焼鈍による鉄損改善効果が初めて得られるということが新たに明らかになったのである。
この理由については、必ずしも明らかでないが、A1をごく表層に濃化させることは鋼板のごく表層に緻密なA1O層を形成させることになり、A1O層が歪取焼鈍時の酸化を抑制する結果として、良好な磁気特性改善効果が得られるものと考えられる。また、Al濃化層が0.5μmよりも厚い場合には、A1O層がポーラスな形態となり、歪取焼鈍時の酸化抑制効果がなくなるため、却って磁性が劣化してしまうものと考えられる。なお、A=I/Iの値は、鋼板のAl濃化層のAl強度Iが、鋼板素地のAl強度Iよりも大きいこと、すなわち、歪取焼鈍時の内部酸化を抑制する観点から、A≧4であることが必要である
【0034】
次に、本発明の無方向性電磁鋼板を製造するためのプロセスの一例について説明する。
本発明では、仕上焼鈍時に鋼板のごく表層にAl濃化層を形成させる必要があるため、仕上焼鈍前の冷延板表層に酸化層が残存していないことが重要である。
このため、冷間圧延前に熱延板または熱延焼鈍板表層の酸化層を除去することが好ましい。酸化層の除去方法としては、従来から知られている酸洗、ショットブラスト、研削等の手段を単独または組み合わせて利用することができる。
Al濃化層を制御するには、Alを高めた成分系において、上述の通り冷間圧延前の鋼板表層の酸化層をほぼ完全に除去したうえで、仕上焼鈍時の雰囲気を制御するのが重要であり、例えば、500℃以上の温度域では、雰囲気ガスのP(H2O)/P(H2)を0.002以下とすることが好ましく、より好ましくは0.001以下とする。
【0035】
その他の製鋼、熱間圧延、冷間圧延、最終仕上焼鈍プロセスについては公知の無方向性電磁鋼板の製造方法が適用できる。
【0036】
【実施例】
表2に示す成分組成になる鋼を溶製し、連続鋳造にて215mm厚のスラブとして、これより板厚2.1mmの熱延板を製造した。この熱延板に1000℃で30秒の焼鈍を行った後、研削処理と酸洗を実施して酸化層を除去した後に、冷間圧延にて0.35mmの厚さとした。この冷延板に水素と窒素の混合雰囲気で900〜1050℃で20秒間の仕上げ焼鈍を施した。この際の焼鈍時のP(H2O)/P(H2)を種々に変化させた。この仕上げ焼鈍板に絶縁コーティングを施した後、30mm×280mmサイズの試験片を、L方向(長手方向が圧延方向)およびC方向(長手方向が圧延直角方向)に各8枚ずつせん断して作製し、エプスタイン法により磁気測定を行った。その後、750℃で2時間の歪取り焼鈍をDXガス(CO:10%、CO2:5%,H2:10%,N2:75%)で露点(d.p.)=15℃の雰囲気で実施し、再び同様の方法で磁気測定を行った。また、仕上焼鈍板について、グロー放電発光分光分析(GDS)によって鋼板表面から深さ方向にAlの定量分析を行ったときのAlの濃度(強度)プロフィールを調査し、Al濃化層の厚さtAl、鋼板のAl濃化層でのAl強度I、および鋼板素地でのAl強度Iを求めた。実験結果を表3にまとめて示す。
【0037】
【表2】
Figure 0004258163
【0038】
【表3】
Figure 0004258163
【0039】
表3に示す結果から、実施例はいずれも、歪取焼鈍後の鉄損改善量が0.10(W/kg)以上と鉄損改善効果を有するのがわかる。一方、Al濃化層の厚みtA1およびA/tA1の値のうちの少なくとも1つが本発明の適正範囲外である比較例はいずれも、歪取焼鈍後の鉄損改善量が0.10(W/kg)未満であり、鉄損改善効果が認められなかった。また、結晶粒径が本発明の適正範囲外である比較例は、鉄損の到達値が不充分であった。Si量を高めた鋼種Eにおいては、優れた鉄損値と歪取焼鈍後の鉄損改善量が得られたが、硬さが適正範囲外であり、打抜き性の観点から不適である。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、ユーザにおける歪取焼鈍時の酸化を抑制でき、歪取焼鈍後の磁性とくに鉄損が低く、かつ打抜き性に優れた無方向性電磁鋼板の提供が可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 A/tA1と歪取焼鈍による鉄損改善量ΔW15 50(W/kg)との関係を示す図である。

Claims (3)

  1. C:0.005mass%以下、Si:1.0〜3.5mass%.Al:0.7〜3.0mass%、P:0.1mass%以下、S:0.0030mass%以下を含有し、残部が Fe および不可避不純物からなり、ビッカース硬さが210HV1以下でありかつ平均結晶粒径が80μm以上である無方向性電磁鋼板であって、Al 濃化層の厚みが該鋼板の表面から0.5μm以下であり、かつ、下記に示す関係式を満足する無方向性電磁鋼板。

    A≧4、A/tA1≧10、A=I/I
    ただし、tA1はAl濃化層の厚み(μm)であり、IおよびIはともに、Alの定量分析を行ったときのAl強度であって、I鋼板表面から深さ方向に Al の定量分析を行ったとき最大Al強度、I鋼板表面から 10 μm深さ位置のAl強度である。なお、 Al の濃化層の厚み t A1 は、鋼板表面位置から深さ方向に Al の定量分析を行ったときの、鋼板表面から 10 μ m 深さ位置での Al 強度I と等しくなる Al 強度の位置までの鋼板表面からの深さを意味する。
  2. C:0.003mass%以下、Si:1.2〜2.5mass%、Al:1.2〜3.0mass%、P:0.1mass%以下、S:0.0015mass%以下を含有し、残部が Fe および不可避不純物からなり、ビッカース硬さが210HV1以下でありかつ平均結晶粒径が100μm以上である無方向性電磁鋼板であって、Al 濃化層の厚みが該鋼板の表面から0.5μm以下であり、かつ、下記に示す関係式を満足する無方向性電磁鋼板。

    A≧4、A/tA1≧10、A=I/I
    ただし、tA1はAl濃化層の厚み(μm)であり、IおよびIはともに、Alの定量分析を行ったときのAl強度であって、I鋼板表面から深さ方向に Al の定量分析を行ったとき最大Al強度、I鋼板表面から 10 μm深さ位置のAl強度である。なお、 Al の濃化層の厚み t A1 は、鋼板表面位置から深さ方向に Al の定量分析を行ったときの、鋼板表面から 10 μ m 深さ位置での Al 強度I と等しくなる Al 強度の位置までの鋼板表面からの深さを意味する。
  3. Sb:0.005〜0.1mass%およびSn:0.005〜0.15mass%から選ばれる1種または2種をさらに含有する請求項1または2に記載の無方向性電磁鋼板。
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