JP4258164B2 - 歪取焼鈍後の磁気特性および耐食性に優れた無方向性電磁鋼板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、モーターやトランス等の鉄心材料として使用される歪取焼鈍後の磁気特性および耐食性に優れた無方向性電磁鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
無方向性電磁鋼板は、モーターやトランス等の鉄心材料として広範囲にわたって使用されている。近年、省エネルギーの観点より電気機器の効率向上に対する要求が強く、鉄心材料についてもより一層の低鉄損化が望まれている。
【0003】
無方向性電磁鋼板の鉄損低減手段としては、鋼中に含まれる不純物元素の量または介在物および析出物の個数を低減する方法(例えば特公平2−50190号公報)、不純物混入を抑制し、スラブ加熱温度、巻取り温度、熱延板焼鈍条件、冷間圧延圧下率および仕上焼鈍条件を規定することにより、介在物を制御して鉄損を低減する方法(例えば特開平8−41538号公報)、冷間圧延条件に工夫を凝らし、集合組織を改善して鉄損を低減する方法(例えば特公昭56−2293l号公報)が開示されている。さらに、特公昭56−54370号公報や同58−3027号公報においては、微量のSbやSnを含有させることによって鉄損を低減する技術が提案されている。
【0004】
一方で、ユーザにおいても特性向上のため、打ち抜きや加工による歪を除去する目的で歪取焼鈍を行うケースが増加している。
【0005】
ところが、微量のSbやSnを添加すると歪取焼鈍後の耐食性が劣化することが明らかになった。このような耐食性の劣化はモーターの特性を劣化させるばかりでなくエアコンや冷蔵庫等の密閉型のコンプレッサーモーターにおいては、剥落した錆がキャピラリーノズルを詰まらせて、冷却能力を低下させる恐れがあるため、問題である。
【0006】
しかしながら、このような微量のSbやSnを添加した場合に生ずる歪取焼鈍後の耐食性劣化を解決する手段がないのが現状であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、微量のSbやSnを含有させて磁気特性を向上させた無方向性電磁鋼板の歪取焼鈍後の耐食性を改善するところにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、SbやSnを含有する無方向性電磁鋼板の歪取焼鈍後の耐食性について調査したところ、耐食性は、地鉄表層に存在するAl、SbおよびSnの含有量(濃度)と密接な関係があることを見いだし、この発明を完成させるに到った。
【0009】
すなわち本発明は、C:0.005mass%以下、Si:1.0〜3.5mass%、Mn:0.1〜1.5mass%、Al:0.2〜3.0mass%、P:0.1mass%以下およびS:0.0030mass%以下を含有するとともに、Sb:0.005〜0.1mass%およびSn:0.005〜0.15mass%から選ばれる1種または2種を含有し、残部が Fe および不可避不純物からなる無方向性電磁鋼板であって、その鋼板表面から深さ方向に Al の定量分析を行ったとき、下記(1)式に示す関係を満足し、かつ地鉄最表面のSbおよびSnの含有量が、地鉄中のSi含有量と下記(2)式に示す関係を満足する無方向性電磁鋼板。
【0010】
記
IS/IB≧2.0 - - - - (1)
[Sb]+1/2[Sn]≦40/[Si]- - - - (2)
ただし、ISおよびIBはともに、Alの定量分析を行ったときのAl強度であって、ISが鋼板表面から深さ方向に Al の定量分析を行ったときの最大Al強度、IBが鋼板表面から 10 μm深さ位置でのAl強度であり、また、[Sb]、[Sn]および[Si]は、それぞれSb、SnおよびSiの含有量(mass%)を意味し、地鉄最表面は、鋼板の地鉄表面から 0.1 μm以内の深さ位置までの極表層を意味し、 Al 濃化層の厚さに依存しない。なお、「SbおよびSnの含有量」は、地鉄最表面の定量分析を行ったときに得られたSbおよびSnの含有量を意味する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の限定理由について説明する。まず、成分組成について述べる。なお、以下では「mass%」を単に「%」と記す。
【0012】
・C:0.005%以下
Cは、磁気特性の面からは有害な成分であり、極力低減するのが望ましいため、その含有量は0.005%以下とする。下限は特に規定しないが、経済上の理由から0.0001%が望ましい。
【0013】
・Si:1.0〜3.5%
Siは、電気抵抗を高め鉄損を改善するのに有用な添加元素であり、Siの含有量が1.0%未満の場合は十分な磁気特性が得られないので下限を1.0%とする。一方、Si含有量が3.5%を超えると硬さが高まり、ユーザーが鋼板の打ち抜きを行う際の打ち抜き性を劣化させるのでその含有量の上限は3.5mass%とした。
【0014】
・Mn:0.1〜1.5%
Mnはスラブ加熱時の固溶S量低減に効果があり、また、Sに起因した熱間脆性を抑制するために添加されるものであるが、含有量が0.1%未満ではその効果に乏しく、一方、1.5%を超えると、磁気特性の劣化を招くので、その含有量は0.1〜1.5%の範囲とする。
【0015】
・Al:0.2〜3.0%
Alは、鋼の脱酸等に寄与するほか、Siと同様、電気抵抗を高めて、鉄損を向上させる上でも有用な成分である。本発明のA1濃化層を形成させるためにその下限は0.2%とする。一方、Al含有量が3.0%を超えると、Siの場合と同様に硬さ上昇による加工性の劣化を招くので、その含有量の上限は3.0%とする。
【0016】
・S:0.0030%以下
Sは、不純物成分の中で特に重要であり、硫化物を形成して磁性を劣化させるのでその含有量を0.0030%以下に抑制する必要がある。
【0017】
・P:0.1%以下
Pは鉄損改善に有効であるが、0.1%を超えると冷延性が著しく劣化するので、その含有量は0.1%以下とする。
【0018】
本発明では、磁気特性をより一層改善するため、上記組成に加えて、さらにSb:0.005〜0.1%およびSn:0.005〜0.15%から選ばれる1種または2種をさらに含有させる。
【0019】
・Sb:0.005〜0.1%
Sbは、磁気特性改善効果を得るために添加する。Sb含有量が0.005%未満では磁性改善の効果が小さく、0.1%を超えると粒成長性を阻害するので、Sb含有量を0.005〜0.1%の範囲とする。
【0020】
・Sn:0.005〜0.15%
SnもSbと同様に磁気特性改善効果を有しており、Sn含有量が0.005%未満では磁性改善効果が小さく、0.15%を超えると粒成長性を阻害するので、Sn含有量は0.005〜0.15%の範囲とする。
【0021】
以上、基本成分についての説明したが、本発明では、必要に応じてさらに以下に示す成分を含有させてもよい。
【0022】
・N:0.0030%以下
Nは、粗大介在物の核となる窒化物を形成し、また、微細な介在物として鋼中にも存在する。そして、N含有量が0.003O%を超えると鉄損の劣化を招くので、その含有量は0.0030%以下とするのが好ましい。
【0023】
・O:0.0020%以下
Oは、その含有量の低減が鉄損改善に直接結びつくことは広く知られている事実である。特にO含有量が0.0020%を超えると鉄損の劣化を招くので、その含有量は0.0020%以下とするのが好ましい。
【0024】
・Ti、Nb、V、Zr:いずれも0.005%以下
その他、炭化物、窒化物を形成する元素としてTi、Nb、V、Zrが挙げられる。磁気特性の劣化を抑制するためには、Ti、Nb、V、Zrの含有量をいずれも0.005%以下とすることが望ましい。
【0025】
さらに、その他の成分としては、B、Ni、Cu.Cr、Bi、Ca、Ge、REM等を必要に応じて添加することができる。
【0026】
なお、本発明では、電磁鋼板の板厚については特に規定するものではないが、低鉄損を得る観点から0.1〜0.5mmの範囲にすることが好適である。
【0027】
また、本発明では、鋼板表面から深さ方向に Al の定量分析を行ったとき、下記(1)式に示す関係を満足し、かつ地鉄最表面のSbおよびSnの含有量が、地鉄中のSi含有量と下記(2)式に示す関係を満足することを必須の発明特定事項とする。
【0028】
記
IS/IB≧2.0 - - - - (1)
[Sb]+1/2[Sn]≦40/[Si]- - - - (2)
ただし、ISおよびIBはともに、Alの定量分析を行ったときのAlの濃度(強度)プロフィールを調査したときのAl強度であって、ISが鋼板表面から深さ方向に Al の定量分析を行ったときの最大Al強度、IBが鋼板表面から 10 μm深さ位置でのAl強度であり、また、[Sb]、[Sn]および[Si]は、それぞれSb、SnおよびSiの含有量(mass%)を意味し、地鉄最表面は、鋼板の地鉄表面から 0.1 μm以内の深さ位置までの極表層を意味する。
【0029】
以下で、本発明において上記(1)式および(2)式の関係を満足することを必須の発明特定事項とした理由を実験結果に基づいて説明する。
表1に示す成分組成になる4種類の鋼A〜Dを溶製し、これより板厚2.1mmの熱延板を作製した。この熱延板に1000℃で30秒の焼鈍を行った後、冷間圧延にて0.50mm厚さとした。この冷延板に980℃で20秒間の仕上げ焼鈍を施した。この際の焼鈍雰囲気を種々に変化させることにより、ISの異なる仕上焼鈍板を作製した。この仕上げ焼鈍板に重クロム酸およびスチレン系樹脂エマルジョンを主成分とした処理液をロールコータで塗布して300℃で焼き付け、膜厚0.4μmの半有機被膜(絶縁コーティング被膜)を被成した。その後、750℃で2時間の歪取り焼鈍をDXガス(CO:10%:CO2:5%,H2:10%,N2:75%)で露点(d.p)=15℃の雰囲気で実施し、恒温恒湿試験(温度:50℃,湿度:80%にて14日間)を実施した。試験後、鋼板表面の発錆を観察し、錆発生領域の面積割合(発錆率)で耐食性を以下の5段階で評価した。
【0030】
評点
1:発錆率80%以上
2:発錆率50%以上80%未満
3:発錆率10%以上50%未満
4:発錆率0%超え10%未満
5:発錆なし
【0031】
【表1】
【0032】
図1は、Sbをそれぞれ0.04%および0.1%添加した鋼Aおよび鋼Bについて、IS/IBと耐食性の関係を示したものであり、図2は、Snをそれぞれ0.04%および0.15%添加した鋼Cおよび鋼Dについて、IS/IBと耐食性の関係を示したものである。なお、ISおよびIBの測定はいずれも、グロー放電発光分光分析(GDS)によって鋼板表面から深さ方向にAlの定量分析を行ったときのAlの濃度(強度)であって、ISは、Al濃化層における最大Al強度を意味し、また、IBは、鋼板の表面から10μm深さ位置でのAl強度を意味する。
【0033】
図1および図2の結果から、Sbを添加した鋼Aおよび鋼Bと、Snを添加した鋼Cおよび鋼Dとはいずれも、IS/IBを2.0以上とすることで耐食性の改善効果は認められるものの、良好な耐食性が得られない場合があること、例えば図1および図2で言えば、SbやSnの添加量が多い鋼Bと鋼Dでは良好な耐食性が得られていないことが明らかになった。
【0034】
そこで、C:0.003%、Si:1.0〜4.0%、Mn:0.2%、Al:0.3%、P:0.02%、S:0.0030%をベースとする成分系に、Sb:0.10%またはSn:0.15%を含有する鋼を溶製し、これより板厚2.3mmの熱延板を作製した。この熱延板に1000℃で30秒の焼鈍を行った後、冷間圧延にて0.50mm厚さとした。この冷延板に970℃で20秒間の仕上焼鈍を施した。この際の焼鈍雰囲気調整により、仕上焼鈍板のIS/IBを2.0以上となるようにした。この仕上げ焼鈍板を、20%リン酸水溶液中に0〜60秒間浸漬して酸洗した後、重クロム酸およびスチレン系樹脂エマルジョンを主成分とした処理液をロールコータで塗布して300℃で焼き付け、膜厚0.4μmの半有機被膜(絶縁コーティング被膜)を被成した。その後、750℃で2時間の歪取り焼鈍をDXガス(CO:10%、CO2:5%、H2:10%、N2:75%)で露点(d.p.)=15℃の雰囲気で実施し、前述と同様の方法で恒温恒湿試験を実施した。なお、歪取焼鈍前の仕上焼鈍板の地鉄表面のSbおよびSn含有量(濃度)は、被膜を熱アルカリで剥離してオージェ電子分光法(Auger Electron Spectroscopy :以下、AESと示す。)によって測定した。図3は恒温恒湿試験によって得られた耐食性の評価結果を、縦軸を地鉄最表面のSbおよびSnの含有量の関係式[Sb]+1/2[Sn]とし、横軸を地鉄中のSi含有量としてプロットしたものであって、図3中では、耐食性評価を上述したように5段階で評価し、評点4および5の場合を「○」、評点1〜3の場合を「×」としてプロットしてある。
【0035】
図3に示す結果より、耐食性は、地鉄最表面の[Sb]+1/2[Sn]の値および地鉄中のSi含有量[Si]と密接な関係があることが明らかになった。すなわち、[Sb]+1/2[Sn]≦40/[Si]の関係を満足するすべての鋼板において、優れた耐食性が得られることが明らかになったのである。
【0036】
以上の結果から、IS/IB≧2.0を満足させるように地鉄表面にAl濃化層を形成させ、かつ、地鉄最表面のSbおよびSnの含有量が地鉄中のSi含有量と、[Sb]+1/2[Sn]≦40/[Si]を満足するようにすることにより、歪取焼鈍後においても良好な耐食性が得られることを見出し、本発明を完成させるに到ったのである。
【0037】
この理由については、必ずしも明らかではないが、Alが地鉄表層に濃化するとともに、SbやSnが表層に偏析することによって、歪取焼純時の酸化挙動が変化する結果、耐食性が向上するものと考えられ、本発明の条件を満たさない場合には、地鉄表層に耐食性に有害な内部酸化層が形成される結果、錆が発生しやすくなるものと推定される。
【0038】
次に、本発明の無方向性電磁鋼板を製造するためのプロセスの一例について説明する。
本発明では、仕上焼鈍後に地鉄表面のごく表層にAl濃化層を形成させたうえで、地鉄最表層のSbとSnの含有量の式[Sb]+1/2[Sn]を、地鉄中のSi含有量[Si]との関係で[Sb]+1/2[Sn]≦40/[Si]になるように制御する必要がある。そのため、仕上焼鈍前の冷延板の表面にSbやSnの濃化層が過剰に形成されている場合には、かかる濃化層を必要に応じて取り除くことが好ましい。SbやSnの濃化層を除去する手段としては、冷間圧延前の熱延板もしくは熱延焼鈍板の表面に生成したSb,Snの濃化層を、酸洗、研削、ショットブラスト等の手段を単独もしくは組み合わせることが好ましく、かかる手段を用いることによって、地鉄最表面の[Sb]+1/2[Sn]の値をある程度まで制御することが可能である。さらに、仕上焼鈍後、必要に応じて絶縁コーティングを施すが、かかる場合には、絶縁コーティングを施す前にリン酸溶液を用いた酸洗等により、地鉄最表面の[Sb]+1/2[Sn]の値の微調整が可能である。
【0039】
また、Al濃化層を制御するには、上述のように冷間圧延前の地鉄表面の前処理(酸洗、研削、ショットブラスト等)を行った上で、仕上焼鈍時の雰囲気を制御することが重要であり、例えば、500℃以上の温度域では、雰囲気ガスのP(H2O)/P(H2)を0.002以下とすることが好ましく、より好ましくは0.001以下とする。
【0040】
その他の製鋼、熱間圧延、冷間圧延、最終仕上焼鈍プロセスについては公知の無方向性電磁鋼板の製造方法が適用できる。
【0041】
【実施例】
表2に示す種々の成分組成の鋼を脱ガス処理による転炉製鋼法を用いて溶製し、連続鋳造スラブとしたのち、熱間圧延を施してから、この熱延板に1000℃で30秒の焼鈍を行った後、研削処理と酸洗を実施して酸化層を除去した後に、冷間圧延にて0.35mmの厚さとした。この冷延板に900〜1020℃にて仕上げ焼鈍を施し、20%リン酸水溶液にて0〜60秒間浸漬して酸洗した後、重クロム酸およびスチレン系樹脂エマルジョンを主成分とした処理液を塗布して300℃で焼き付け、膜厚0.5μmの半有機被膜を被成した。
【0042】
かくして得られた無方向性電磁鋼板に、750℃で2時間の歪取り焼鈍をDXガス(CO:10%、CO2:5%,H2:10%,N2:75%)で露点(d.p.)=15℃の雰囲気で実施し、磁気測定および恒温恒湿試験による耐食性評価を行った(前記した発錆率で評価)。なお、磁気測定は、30mm×280mmサイズの試験片を、L方向(長手方向が圧延方向)およびC方向(長手方向が圧延直角方向)に各8枚ずつせん断して作製し、エプスタイン法により行った。その後、また、仕上焼鈍板について、グロー放電発光分光分析(GDS)によって地鉄表面から深さ方向にAlの定量分析を行ったときのAlの濃度(強度)プロフィールを調査し、Al濃化層でのAl強度IS、および地鉄でのAl強度IBを求めるとともに、歪取焼鈍前の仕上焼鈍板の地鉄表面のSbおよびSn含有量(濃度)は、被膜を熱アルカリで剥離してオージェ電子分光法(Auger Electron Spectroscopy :以下、AESと示す。)によって求めた。得られた試験結果を表2にまとめて示す。
【0043】
【表2】
【0044】
表2に示す結果から、発明例はいずれも、歪取焼鈍後の磁気特性および耐食性の双方に優れているのがわかる。一方、本発明の適正範囲外である比較例は、歪取焼鈍後の磁気特性と耐食性の少なくとも一方が劣っているのがわかる。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、ユーザにおける歪取焼鈍時の酸化を抑制でき、歪取焼鈍後の磁気特性および耐食性の双方に優れた無方向性電磁鋼板の提供が可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 Sbをそれぞれ0.04%および0.1%添加した鋼Aおよび鋼Bについて、IS/IBと耐食性の関係を示した図である。
【図2】 Snをそれぞれ0.04%および0.15%添加した鋼Cおよび鋼Dについて、IS/IBと耐食性の関係を示した図である。
【図3】 恒温恒湿試験によって得られた耐食性の評価結果を、縦軸を地鉄最表面のSbおよびSnの含有量の関係式[Sb]+1/2[Sn]とし、横軸を地鉄中のSi含有量としてプロットした図である。
Claims (1)
- C:0.005mass%以下、Si:1.0〜3.5mass%、Mn:0.1〜1.5mass%、Al:0.2〜3.0mass%、P:0.1mass%以下およびS:0.0030mass%以下を含有するとともに、Sb:0.005〜0.1mass%およびSn:0.005〜0.15mass%から選ばれる1種または2種を含有し、残部が Fe および不可避不純物からなる無方向性電磁鋼板であって、その鋼板表面から深さ方向に Al の定量分析を行ったとき、下記(1)式に示す関係を満足し、かつ地鉄最表面のSbおよびSnの含有量が、地鉄中のSi含有量と下記(2)式に示す関係を満足する無方向性電磁鋼板。
記
IS/IB≧2.0 - - - - (1)
[Sb]+1/2[Sn]≦40/[Si]- - - - (2)
ただし、ISおよびIBはともに、Alの定量分析を行ったときのAl強度であって、ISが鋼板表面から深さ方向に Al の定量分析を行ったときの最大Al強度、IBが鋼板表面から 10 μm深さ位置でのAl強度であり、また、[Sb]、[Sn]および[Si]は、それぞれSb、SnおよびSiの含有量(mass%)を意味し、地鉄最表面は、鋼板の地鉄表面から 0.1 μm以内の深さ位置までを意味する。
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