JP2003293101A - 歪取焼鈍後の磁気特性および耐食性に優れた無方向性電磁鋼板 - Google Patents

歪取焼鈍後の磁気特性および耐食性に優れた無方向性電磁鋼板

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JP2003293101A JP2002099652A JP2002099652A JP2003293101A JP 2003293101 A JP2003293101 A JP 2003293101A JP 2002099652 A JP2002099652 A JP 2002099652A JP 2002099652 A JP2002099652 A JP 2002099652A JP 2003293101 A JP2003293101 A JP 2003293101A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ユーザにおける歪取焼鈍時の酸化を抑制で
き、歪取焼鈍後の磁気特性および耐食性の双方に優れた
無方向性電磁鋼板を提供する。 【解決手段】 C:0.005mass%以下、Si:1.0〜3.5ma
ss%、Mn:0.1〜1.5mass%、Al:0.2〜3.0mass%、P:
0.1mass%以下およびS:0.0030mass%以下を含有すると
ともに、Sb:0.005〜0.1mass%およびSn:0.005〜0.15m
ass%から選ばれる1種または2種を含有する無方向性
電磁鋼板であって、その地鉄表層に適正化を図ったAlの
濃化層をもち、かつ地鉄最表面のSbおよびSnの含有量が
地鉄中のSn含有量と特定の関係を満足することを特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、モーターやトラン
ス等の鉄心材料として使用される歪取焼鈍後の磁気特性
および耐食性に優れた無方向性電磁鋼板に関するもので
ある。 【0002】 【従来の技術】無方向性電磁鋼板は、モーターやトラン
ス等の鉄心材料として広範囲にわたって使用されてい
る。近年、省エネルギーの観点より電気機器の効率向上
に対する要求が強く、鉄心材料についてもより一層の低
鉄損化が望まれている。 【0003】無方向性電磁鋼板の鉄損低減手段として
は、鋼中に含まれる不純物元素の量または介在物および
析出物の個数を低減する方法(例えば特公平2−50190号
公報)、不純物混入を抑制し、スラブ加熱温度、巻取り
温度、熱延板焼鈍条件、冷間圧延圧下率および仕上焼鈍
条件を規定することにより、介在物を制御して鉄損を低
減する方法(例えば特開平8−41538号公報)、冷間圧延
条件に工夫を凝らし、集合組織を改善して鉄損を低減す
る方法(例えば特公昭56−2293l号公報)が開示されて
いる。さらに、特公昭56−54370号公報や同58−3027号
公報においては、微量のSbやSnを含有させることによっ
て鉄損を低減する技術が提案されている。 【0004】一方で、ユーザにおいても特性向上のた
め、打ち抜きや加工による歪を除去する目的で歪取焼鈍
を行うケースが増加している。 【0005】ところが、微量のSbやSnを添加すると歪取
焼鈍後の耐食性が劣化することが明らかになった。この
ような耐食性の劣化はモーターの特性を劣化させるばか
りでなくエアコンや冷蔵庫等の密閉型のコンプレッサー
モーターにおいては、剥落した錆がキャピラリーノズル
を詰まらせて、冷却能力を低下させる恐れがあるため、
問題である。 【0006】しかしながら、このような微量のSbやSnを
添加した場合に生ずる歪取焼鈍後の耐食性劣化を解決す
る手段がないのが現状であった。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的
は、微量のSbやSnを含有させて磁気特性を向上させた無
方向性電磁鋼板の歪取焼鈍後の耐食性を改善するところ
にある。 【0008】 【課題を解決するための手段】発明者らは、SbやSnを含
有する無方向性電磁鋼板の歪取焼鈍後の耐食性について
調査したところ、耐食性は、地鉄表層に存在するAl、Sb
およびSnの含有量(濃度)と密接な関係があることを見
いだし、この発明を完成させるに到った。 【0009】すなわち本発明は、C:0.005mass%以下、
Si:1.0〜3.5mass%、Mn:0.1〜1.5mass%、Al:0.2〜
3.0mass%、P:0.1mass%以下およびS:0.0030mass%以
下を含有するとともに、Sb:0.005〜0.1mass%およびS
n:0.005〜0.15mass%から選ばれる1種または2種を含
有する無方向性電磁鋼板であって、その地鉄表層に、下
記(1)式に示す関係を満足するAlの濃化層をもち、か
つ地鉄最表面のSbおよびSnの含有量が、地鉄中のSi含有
量と下記(2)式に示す関係を満足する、歪取焼鈍後の
磁気特性および耐食性に優れた無方向性電磁鋼板。 【0010】記 I/I≧2.0 - - - - (1) [Sb]+1/2[Sn]≦40/[Si]- - - - (2) ただし、IおよびIはともに、Alの定量分析を行っ
たときのAl強度であって、IがAl濃化層でのAl強度、
が地鉄でのAl強度であり、また、[Sb]、[Sn]お
よび[Si]は、それぞれSb、SnおよびSiの含有量(mass
%)を意味する。なお、「Al濃化層でのAl強度I
は、具体的にはAl濃化層における最大Al強度を意味し、
また、「地鉄でのAl強度I」は、具体的には鋼板の地
鉄表面から10μm深さ位置でのAl強度を意味し、さら
に、「SbおよびSnの含有量」は、地鉄最表面の定量分析
を行ったときに得られたSbおよびSnの含有量を意味す
る。ここで、「地鉄最表面」とは具体的には、Al濃化層
の厚さに依存せず、鋼板の地鉄表面から0.1μm以内の
深さ位置までの極表層を意味する。 【0011】 【発明の実施の形態】以下に本発明の限定理由について
説明する。まず、成分組成について述べる。なお、以下
では「mass%」を単に「%」と記す。 【0012】・C:0.005%以下 Cは、磁気特性の面からは有害な成分であり、極力低減
するのが望ましいため、その含有量は0.005%以下とす
る。下限は特に規定しないが、経済上の理由から0.0001
%が望ましい。 【0013】・Si:1.0〜3.5% Siは、電気抵抗を高め鉄損を改善するのに有用な添加元
素であり、Siの含有量が1.0%未満の場合は十分な磁気
特性が得られないので下限を1.0%とする。一方、Si含
有量が3.5%を超えると硬さが高まり、ユーザーが鋼板
の打ち抜きを行う際の打ち抜き性を劣化させるのでその
含有量の上限は3.5mass%とした。 【0014】・Mn:0.1〜1.5% Mnはスラブ加熱時の固溶S量低減に効果があり、また、
Sに起因した熱間脆性を抑制するために添加されるもの
であるが、含有量が0.1%未満ではその効果に乏しく、
一方、1.5%を超えると、磁気特性の劣化を招くので、
その含有量は0.1〜1.5%の範囲とする。 【0015】・Al:0.2〜3.0% Alは、鋼の脱酸等に寄与するほか、Siと同様、電気抵抗
を高めて、鉄損を向上させる上でも有用な成分である。
本発明のA1濃化層を形成させるためにその下限は0.2%
とする。一方、Al含有量が3.0%を超えると、Siの場合
と同様に硬さ上昇による加工性の劣化を招くので、その
含有量の上限は3.0%とする。 【0016】・S:0.0030%以下 Sは、不純物成分の中で特に重要であり、硫化物を形成
して磁性を劣化させるのでその含有量を0.0030%以下に
抑制する必要がある。 【0017】・P:0.1%以下 Pは鉄損改善に有効であるが、0.1%を超えると冷延性が
著しく劣化するので、その含有量は0.1%以下とする。 【0018】本発明では、磁気特性をより一層改善する
ため、上記組成に加えて、さらにSb:0.005〜0.1%およ
びSn:0.005〜0.15%から選ばれる1種または2種をさ
らに含有させる。 【0019】・Sb:0.005〜0.1% Sbは、磁気特性改善効果を得るために添加する。Sb含有
量が0.005%未満では磁性改善の効果が小さく、0.1%を
超えると粒成長性を阻害するので、Sb含有量を0.005〜
0.1%の範囲とする。 【0020】・Sn:0.005〜0.15% SnもSbと同様に磁気特性改善効果を有しており、Sn含有
量が0.005%未満では磁性改善効果が小さく、0.15%を
超えると粒成長性を阻害するので、Sn含有量は0.005〜
0.15%の範囲とする。 【0021】以上、基本成分についての説明したが、本
発明では、必要に応じてさらに以下に示す成分を含有さ
せてもよい。 【0022】・N:0.0030%以下 Nは、粗大介在物の核となる窒化物を形成し、また、微
細な介在物として鋼中にも存在する。そして、N含有量
が0.003O%を超えると鉄損の劣化を招くので、その含有
量は0.0030%以下とするのが好ましい。 【0023】・O:0.0020%以下 Oは、その含有量の低減が鉄損改善に直接結びつくこと
は広く知られている事実である。特にO含有量が0.0020
%を超えると鉄損の劣化を招くので、その含有量は0.00
20%以下とするのが好ましい。 【0024】・Ti、Nb、V、Zr:いずれも0.005%以下 その他、炭化物、窒化物を形成する元素としてTi、Nb、
V、Zrが挙げられる。磁気特性の劣化を抑制するために
は、Ti、Nb、V、Zrの含有量をいずれも0.005%以下とす
ることが望ましい。 【0025】さらに、その他の成分としては、B、Ni、C
u.Cr、Bi、Ca、Ge、REM等を必要に応じて添加すること
ができる。 【0026】なお、本発明では、電磁鋼板の板厚につい
ては特に規定するものではないが、低鉄損を得る観点か
ら0.1〜0.5mmの範囲にすることが好適である。 【0027】また、本発明では、鋼板の地鉄表層に、下
記(1)式に示す関係を満足するAlの濃化層をもち、か
つ地鉄最表面のSbおよびSnの含有量が、地鉄中のSi含有
量と下記(2)式に示す関係を満足することを必須の発
明特定事項とする。 【0028】記 I/I≧2.0 - - - - (1) [Sb]+1/2[Sn]≦40/[Si]- - - - (2) ただし、IおよびIはともに、Alの定量分析を行っ
たときのAlの濃度(強度)プロフィールを調査したとき
のAl強度であって、IがAl濃化層でのAl強度、I
地鉄でのAl強度であり、また、[Sb]、[Sn]および
[Si]は、それぞれSb、SnおよびSiの含有量(mass%)
を意味する。 【0029】以下で、本発明において上記(1)式およ
び(2)式の関係を満足することを必須の発明特定事項
とした理由を実験結果に基づいて説明する。表1に示す
成分組成になる4種類の鋼A〜Dを溶製し、これより板
厚2.1mmの熱延板を作製した。この熱延板に1000℃で30
秒の焼鈍を行った後、冷間圧延にて0.50mm厚さとした。
この冷延板に980℃で20秒間の仕上げ焼鈍を施した。こ
の際の焼鈍雰囲気を種々に変化させることにより、I
の異なる仕上焼鈍板を作製した。この仕上げ焼鈍板に重
クロム酸およびスチレン系樹脂エマルジョンを主成分と
した処理液をロールコータで塗布して300℃で焼き付
け、膜厚0.4μmの半有機被膜(絶縁コーティング被
膜)を被成した。その後、750℃で2時間の歪取り焼鈍
をDXガス(CO:10%:CO2:5%,H2:10%,N2:75%)で
露点(d.p)=15℃の雰囲気で実施し、恒温恒湿試験
(温度:50℃,湿度:80%にて14日間)を実施した。試
験後、鋼板表面の発錆を観察し、錆発生領域の面積割合
(発錆率)で耐食性を以下の5段階で評価した。 【0030】評点 1:発錆率80%以上 2:発錆率50%以上80%未満 3:発錆率10%以上50%未満 4:発錆率0%超え10%未満 5:発錆なし 【0031】 【表1】 【0032】図1は、Sbをそれぞれ0.04%および0.1%
添加した鋼Aおよび鋼Bについて、I/Iと耐食性
の関係を示したものであり、図2は、Snをそれぞれ0.04
%および0.15%添加した鋼Cおよび鋼Dについて、I
/Iと耐食性の関係を示したものである。なお、I
およびIの測定はいずれも、グロー放電発光分光分析
(GDS)によって鋼板表面から深さ方向にAlの定量分析
を行ったときのAlの濃度(強度)であって、Iは、Al
濃化層における最大Al強度を意味し、また、I は、鋼
板の表面から10μm深さ位置でのAl強度を意味する。 【0033】図1および図2の結果から、Sbを添加した
鋼Aおよび鋼Bと、Snを添加した鋼Cおよび鋼Dとはい
ずれも、I/Iを2.0以上とすることで耐食性の改
善効果は認められるものの、良好な耐食性が得られない
場合があること、例えば図1および図2で言えば、SbやSn
の添加量が多い鋼Bと鋼Dでは良好な耐食性が得られて
いないことが明らかになった。 【0034】そこで、C:0.003%、Si:1.0〜4.0%、M
n:0.2%、Al:0.3%、P:0.02%、S:0.0030%をベー
スとする成分系に、Sb:0.10%またはSn:0.15%を含有
する鋼を溶製し、これより板厚2.3mmの熱延板を作製し
た。この熱延板に1000℃で30秒の焼鈍を行った後、冷間
圧延にて0.50mm厚さとした。この冷延板に970℃で20秒間
の仕上焼鈍を施した。この際の焼鈍雰囲気調整により、
仕上焼鈍板のI/Iを2.0以上となるようにした。こ
の仕上げ焼鈍板を、20%リン酸水溶液中に0〜60秒間浸
漬して酸洗した後、重クロム酸およびスチレン系樹脂エ
マルジョンを主成分とした処理液をロールコータで塗布
して300℃で焼き付け、膜厚0.4μmの半有機被膜(絶縁
コーティング被膜)を被成した。その後、750℃で2時間
の歪取り焼鈍をDXガス(CO:10%、CO2:5%、H2:10
%、N2:75%)で露点(d.p.)=15℃の雰囲気で実施
し、前述と同様の方法で恒温恒湿試験を実施した。な
お、歪取焼鈍前の仕上焼鈍板の地鉄表面のSbおよびSn含
有量(濃度)は、被膜を熱アルカリで剥離してオージェ
電子分光法(Auger Electron Spectroscopy :以下、AE
Sと示す。)によって測定した。図3は恒温恒湿試験に
よって得られた耐食性の評価結果を、縦軸を地鉄最表面
のSbおよびSnの含有量の関係式[Sb]+1/2[Sn]と
し、横軸を地鉄中のSi含有量としてプロットしたもので
あって、図3中では、耐食性評価を上述したように5段
階で評価し、評点4および5の場合を「○」、評点1〜
3の場合を「×」としてプロットしてある。 【0035】図3に示す結果より、耐食性は、地鉄最表
面の[Sb]+1/2[Sn]の値および地鉄中のSi含有量[S
i]と密接な関係があることが明らかになった。すなわ
ち、[Sb]+1/2[Sn]≦40/[Si]の関係を満足する
すべての鋼板において、優れた耐食性が得られることが
明らかになったのである。 【0036】以上の結果から、I/I≧2.0を満足
させるように地鉄表面にAl濃化層を形成させ、かつ、地
鉄最表面のSbおよびSnの含有量が地鉄中のSi含有量と、
[Sb]+1/2[Sn]≦40/[Si]を満足するようにする
ことにより、歪取焼鈍後においても良好な耐食性が得ら
れることを見出し、本発明を完成させるに到ったのであ
る。 【0037】この理由については、必ずしも明らかでは
ないが、Alが地鉄表層に濃化するとともに、SbやSnが表
層に偏析することによって、歪取焼純時の酸化挙動が変
化する結果、耐食性が向上するものと考えられ、本発明
の条件を満たさない場合には、地鉄表層に耐食性に有害
な内部酸化層が形成される結果、錆が発生しやすくなる
ものと推定される。 【0038】次に、本発明の無方向性電磁鋼板を製造す
るためのプロセスの一例について説明する。本発明で
は、仕上焼鈍後に地鉄表面のごく表層にAl濃化層を形成
させたうえで、地鉄最表層のSbとSnの含有量の式[Sb]
+1/2[Sn]を、地鉄中のSi含有量[Si]との関係で[S
b]+1/2[Sn]≦40/[Si]になるように制御する必要
がある。そのため、仕上焼鈍前の冷延板の表面にSbやSn
の濃化層が過剰に形成されている場合には、かかる濃化
層を必要に応じて取り除くことが好ましい。SbやSnの濃
化層を除去する手段としては、冷間圧延前の熱延板もし
くは熱延焼鈍板の表面に生成したSb,Snの濃化層を、酸
洗、研削、ショットブラスト等の手段を単独もしくは組み
合わせることが好ましく、かかる手段を用いることによ
って、地鉄最表面の[Sb]+1/2[Sn]の値をある程度
まで制御することが可能である。さらに、仕上焼鈍後、
必要に応じて絶縁コーティングを施すが、かかる場合に
は、絶縁コーティングを施す前にリン酸溶液を用いた酸
洗等により、地鉄最表面の[Sb]+1/2[Sn]の値の微
調整が可能である。 【0039】また、Al濃化層を制御するには、上述のよ
うに冷間圧延前の地鉄表面の前処理(酸洗、研削、ショ
ットブラスト等)を行った上で、仕上焼鈍時の雰囲気を
制御することが重要であり、例えば、500℃以上の温度
域では、雰囲気ガスのP(H2O)/P(H2)を0.002以下とする
ことが好ましく、より好ましくは0.001以下とする。 【0040】その他の製鋼、熱間圧延、冷間圧延、最終
仕上焼鈍プロセスについては公知の無方向性電磁鋼板の
製造方法が適用できる。 【0041】 【実施例】表2に示す種々の成分組成の鋼を脱ガス処理
による転炉製鋼法を用いて溶製し、連続鋳造スラブとし
たのち、熱間圧延を施してから、この熱延板に1000℃で
30秒の焼鈍を行った後、研削処理と酸洗を実施して酸化
層を除去した後に、冷間圧延にて0.35mmの厚さとした。
この冷延板に900〜1020℃にて仕上げ焼鈍を施し、20%
リン酸水溶液にて0〜60秒間浸漬して酸洗した後、重ク
ロム酸およびスチレン系樹脂エマルジョンを主成分とし
た処理液を塗布して300℃で焼き付け、膜厚0.5μmの半
有機被膜を被成した。 【0042】かくして得られた無方向性電磁鋼板に、75
0℃で2時間の歪取り焼鈍をDXガス(CO:10%、CO2:5
%,H2:10%,N2:75%)で露点(d.p.)=15℃の雰囲
気で実施し、磁気測定および恒温恒湿試験による耐食性
評価を行った(前記した発錆率で評価)。なお、磁気測
定は、30mm×280mmサイズの試験片を、L方向(長
手方向が圧延方向)およびC方向(長手方向が圧延直角
方向)に各8枚ずつせん断して作製し、エプスタイン法
により行った。その後、また、仕上焼鈍板について、グ
ロー放電発光分光分析(GDS)によって地鉄表面から深
さ方向にAlの定量分析を行ったときのAlの濃度(強度)
プロフィールを調査し、Al濃化層でのAl強度I、およ
び地鉄でのAl強度Iを求めるとともに、歪取焼鈍前の
仕上焼鈍板の地鉄表面のSbおよびSn含有量(濃度)は、
被膜を熱アルカリで剥離してオージェ電子分光法(Auge
r Electron Spectroscopy :以下、AESと示す。)によ
って求めた。得られた試験結果を表2にまとめて示す。 【0043】 【表2】【0044】表2に示す結果から、発明例はいずれも、
歪取焼鈍後の磁気特性および耐食性の双方に優れている
のがわかる。一方、本発明の適正範囲外である比較例
は、歪取焼鈍後の磁気特性と耐食性の少なくとも一方が
劣っているのがわかる。 【0045】 【発明の効果】本発明によれば、ユーザにおける歪取焼
鈍時の酸化を抑制でき、歪取焼鈍後の磁気特性および耐
食性の双方に優れた無方向性電磁鋼板の提供が可能にな
った。
【図面の簡単な説明】 【図1】 Sbをそれぞれ0.04%および0.1%添加した鋼
Aおよび鋼Bについて、I/Iと耐食性の関係を示
した図である。 【図2】 Snをそれぞれ0.04%および0.15%添加した鋼
Cおよび鋼Dについて、I/Iと耐食性の関係を示
した図である。 【図3】 恒温恒湿試験によって得られた耐食性の評価
結果を、縦軸を地鉄最表面のSbおよびSnの含有量の関係
式[Sb]+1/2[Sn]とし、横軸を地鉄中のSi含有量と
してプロットした図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小森 ゆか 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 (72)発明者 河野 正樹 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 Fターム(参考) 5E041 AA02 AA19 BC01 BC08 HB11 HB14 NN01 NN05 NN06 NN15 NN18

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 C:0.005mass%以下、Si:1.0〜3.5mass
    %、Mn:0.1〜1.5mass%、Al:0.2〜3.0mass%、P:0.1
    mass%以下およびS:0.0030mass%以下を含有するとと
    もに、Sb:0.005〜0.1mass%およびSn:0.005〜0.15mas
    s%から選ばれる1種または2種を含有する無方向性電
    磁鋼板であって、その地鉄表層に、下記(1)式に示す
    関係を満足するAlの濃化層をもち、かつ地鉄最表面のSb
    およびSnの含有量が、地鉄中のSi含有量と下記(2)式
    に示す関係を満足する、歪取焼鈍後の磁気特性および耐
    食性に優れた無方向性電磁鋼板。 記 I/I≧2.0 - - - - (1) [Sb]+1/2[Sn]≦40/[Si]- - - - (2) ただし、IおよびIはともに、Alの定量分析を行っ
    たときのAl強度であって、IがAl濃化層でのAl強度、
    が地鉄でのAl強度であり、また、[Sb]、[Sn]お
    よび[Si]は、それぞれSb、SnおよびSiの含有量(mass
    %)を意味する。
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