JP5234922B2 - 軟磁性鋼材およびその製造方法 - Google Patents
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C:0.13〜0.30%(質量%の意味、以下同じ)、
Si:0.1%以下(0%を含まない)、
Mn:0.1〜0.55%、
P:0.02%以下(0%を含まない)、
S:0.035%以下(0%を含まない)、
Al:0.020〜0.070%、
B:0.0015〜0.0050%、
N:0.0010〜0.0050%、
O:0.0100%以下(0%を含まない)、および
Mn/S≧30[但し、Mnは鋼中Mn量(%)、Sは鋼中S量(%)]を満たし、
残部:鉄および不可避不純物からなり、
鋼組織が、フェライトとパーライトの混合組織からなり、該パーライトのラメラ間隔が0.2〜0.5μmで、かつフェライトのJIS G 0551で規定する結晶粒度番号が4.0〜6.5であるところに特徴を有する。
(a)Cu:0.01〜0.2%、Ni:0.01〜0.2%、およびCr:0.05〜0.6%、
(b)Bi:0.005〜0.05%
を含んでいてもよい。
Cは、鋼材の強度と延性のバランスを支配する基本元素であり、含有量が低減すると強度が低下する。構造部材としての強度を示す鋼部品を得るには、該鋼部品の製造に用いる鋼材の強度特性として、ビッカース硬さがHv90以上(望ましくはHv100以上)を示すことが不可欠であるため、C量の下限を0.13%とした。好ましくは0.15%以上である。一方、C量の上限は、少なくとも機械構造用炭素鋼であるS10Cよりも優れた磁気特性および冷間鍛造性を確保する観点から、0.30%とした。
Siは、溶製時に脱酸剤として作用し、また磁気特性を向上させる効果をもたらす。この様な効果を発揮させるには、Siを0.02%以上含有させることが好ましい。しかし、Si量が過剰になると冷間鍛造性が低下する。本発明では、部品成型時の冷間鍛造性を確保する観点から、0.1%を上限とした。好ましくは0.05%以下である。
Mnは、脱酸剤として作用するとともに、鋼中のS(硫黄)と結合しSによる脆化を抑制する。また、強度向上元素としても有効である。これらの観点から、Mnを0.1%以上(好ましくは0.2%以上)含有させる。しかしMn量が増大すると、磁気特性が低下するため0.55%以下とする。好ましくは0.5%以下である。
P(リン)は、粒界偏析を起こして、冷間鍛造性と磁気特性の低下を招く元素である。よって本発明では、P量の上限を0.02%とする。好ましくは0.015%以下である。
S(硫黄)は、鋼中でMnS含有析出物を形成する元素である。S量が過剰になると、多量に上記MnSやFeSが析出して冷間鍛造性と磁気特性を著しく劣化させるので、0.035%以下(好ましくは0.015%以下)にする。
Alは、固溶NをAlNとして固定することで冷間鍛造性を向上させる効果があるため、本発明ではAl量を0.020%以上とする。好ましくは0.025%以上である。しかし、AlNは結晶粒成長を抑制する効果も有しているため、Al量が過剰になりAlNが多量に析出すると磁気特性が低下する。よって本発明では、Al量を0.070%以下とする。好ましくは0.050%以下である。
Bは、固溶NをBNの形で固定し、動的ひずみ時効を抑制する効果を有する。該効果を十分に発揮させるには、B量を0.0015%以上(好ましくは0.0020%以上)とする必要がある。しかしB量が過剰になると、磁気特性の低下を招くため、0.0050%を上限とする。好ましくは、0.0040%以下である。
N(窒素)は、Al,B等と結合して窒化物を形成するが、これらの元素と窒化物を形成しないNは固溶Nの状態で残存し、冷間鍛造時の変形抵抗増大や磁気特性の低下を招く。固溶N量を低減するためには、鋼中全窒素量を低減することが効果的であるが、工業生産的に対応可能な範囲として0.0050%を上限とした。好ましくは0.0035%以下である。尚、本発明では、フェライト中に生成する窒化物(AlN、BN等)を、セメンタイト等の炭化物を析出させる際の核として利用する観点から、N量を0.0010%以上とする。好ましくは0.0020%以上である。
O(酸素)は常温では鋼に殆ど固溶せず、硬質の酸化物として存在し、磁気特性を大幅に低下させる。ゆえにO量は極力低減すべきであり、本発明では0.0100%以下に抑える。好ましくは0.0050%以下であり、より好ましくは0.002%以下である。
Mnと結合しないSは、FeSとして析出し、鋼材製造時において鋼中のボイドや割れといった欠陥の原因となり、鍛造性や磁気特性を低下させる。本発明において、特に優れた磁気特性を得るには、上記欠陥を完全に抑制できるだけのMnが必要である。この様な観点から、本発明では、MnとSの鋼中含有量の比率(Mn/S)を30以上とした。
Cuは、鋼材の強度を増加させる効果を有する。該効果を発揮させるには、0.01%以上(より好ましくは0.02%以上)含有させることが好ましい。しかしCu量が過剰になると、磁気特性の低下を招くため、上限を0.2%とすることが好ましい。より好ましくは0.1%以下である。
Niは、Cuと同様、鋼材の強度を増加させる効果を有する。該効果を発揮させるには、0.01%以上(より好ましくは0.02%以上)含有させることが好ましい。しかしNi量が過剰になると、磁気特性の低下を招く。本発明では、磁気特性への悪影響を抑えるため上限を0.2%とすることが好ましい。より好ましくは0.1%以下である。
Crは、鋼中で炭窒化物を生成し、固溶Cおよび固溶Nによるひずみ時効の抑制に有効な元素である。また、一般に、強度を向上させると冷間鍛造性は低下しやすい傾向にあるが、Crは、C,Si等よりも強度上昇効果に対する冷間鍛造性低下の程度が小さいため、高強度と冷間鍛造性の両特性を確保する点から有用な元素である。この様な効果を十分発揮させるには、Crを少なくとも0.05%含有させることが好ましい。より好ましくは0.10%以上である。但し、多量に添加すると焼入れ性が増加するため、ラメラ間隔の拡大が抑制され、また、磁気モーメント自体が減少して磁気特性の低下をもたらす。よって本発明では、Cr量の上限を0.6%とすることが好ましい。より好ましくは0.3%以下である。
Biは、被削性を高めるのに有効な元素であり、そのためには0.005%以上含有させるのがよい。より好ましくは0.01%以上である。しかし過剰に含有させると、熱間鍛造等の熱間加工時に割れが生じ易くなるので、0.05%以下に抑えるのがよく、より好ましくは0.03%以下である。
合金成分を母相に完全に固溶させ、且つ、上記作用機構を実現させてラメラ間隔を拡大させるには、できるだけ高温で加熱することが望ましい。また加熱温度が低すぎると、AlN等の窒化物が全く固溶せず、炭化物の析出核として作用しなくなることに加え、圧延時のロール負荷が上昇し生産性の低下を招くことにもなる。よって、加熱温度は950℃以上とする。好ましくは1000℃以上である。しかし、加熱温度が1250℃を超えると、AlN等の窒化物が完全に固溶して固溶Nの増加をもたらし、磁気特性の低下を招く。本発明では、優れた磁気特性を確保するため加熱温度の上限を1200℃とする。好ましくは1150℃以下である。
仕上げ圧延温度が低いと、上記作用機構が十分実現されない。また、結晶粒度の細かいフェライト+パーライト組織となり、磁気特性に有害な結晶粒界が多数存在する組織形態となる。よって本発明では、仕上げ圧延温度を875℃以上とする。好ましくは900℃以上である。尚、本発明は、仕上げ圧延温度の上限を規定するものではないが、過度の高温圧延は、使用エネルギーの増大と生産性の低下を招くため、仕上げ圧延温度の上限は1000℃とすることが好ましい。
ラメラ間隔を拡大させるには、上述した通り、高温状態から変態が開始できるように制御する必要があり、具体的には、高温圧延終了直後から徐冷を行う必要がある。よって本発明では、900℃〜500℃間の平均冷却速度を1.0℃/s(秒)以下とする。好ましくは0.5℃/s以下である。ラメラ間隔を拡大する観点からは、上記冷却速度が遅いほど好ましく、該観点から平均冷却速度の下限を設ける必要はないが、遅すぎるとフェライト分率の低下と生産性の低下が生じることから、上記冷却速度の下限は0.1℃/sとすることが好ましい。
[評価基準]
・「割れ発生限界圧縮率≧75%」であるものを冷間鍛造性に優れると評価する。
・「ビッカース硬さ(断面硬さ)≧Hv100」であるものを高強度であると評価する。
・「保磁力≦150A/m」であるものを磁気特性に優れると評価する。
Claims (4)
- C:0.13〜0.30%(質量%の意味、以下同じ)、
Si:0.1%以下(0%を含まない)、
Mn:0.1〜0.55%、
P:0.02%以下(0%を含まない)、
S:0.035%以下(0%を含まない)、
Al:0.020〜0.070%、
B:0.0015〜0.0050%、
N:0.0010〜0.0050%、
O:0.0100%以下(0%を含まない)、および
Mn/S≧30[但し、Mnは鋼中Mn量(%)、Sは鋼中S量(%)]を満たし、かつ
Cu:0.01〜0.2%、
Ni:0.01〜0.2%、および
Cr:0.05〜0.6%
を含有し、
残部:鉄および不可避不純物からなり、
鋼組織が、フェライトとパーライトの混合組織からなり、該パーライトのラメラ間隔が0.2〜0.5μmで、かつフェライトのJIS G 0551で規定する結晶粒度番号が4.0〜6.5であることを特徴とする軟磁性鋼材。 - 更に他の元素として、Bi:0.005〜0.05%を含有する請求項1に記載の軟磁性鋼材。
- 冷間加工による硬化を加えない状態で、D(鋼材の直径)/4部の硬さがHv100以上である請求項1または2に記載の軟磁性鋼材。
- 請求項1または2に記載の成分組成を有する鋼を、950〜1200℃に加熱してから熱間圧延し、875℃以上の仕上げ圧延温度で圧延終了後、900〜500℃間の平均冷却速度を1.0℃/s以下とすることを特徴とする軟磁性鋼材の製造方法。
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JP2008092031A JP5234922B2 (ja) | 2008-03-31 | 2008-03-31 | 軟磁性鋼材およびその製造方法 |
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