JP5234922B2 - 軟磁性鋼材およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、軟磁性鋼材およびその製造方法に関するものであり、特に、高強度かつ冷間鍛造性に優れた軟磁性鋼材、およびその製造方法に関するものである。
例えば自動車用の電装部品にて磁気回路を構成する鋼部材には、磁気特性として、低い外部磁界で容易に磁化し得る特性に加え、保磁力の小さいことが要求される。このため、上記鋼部材の材料として、部材内部の磁束密度が外部磁界に応答し易い軟磁性鋼材が一般に用いられている。
上記電装部品のうち、磁気応答性や消費電力低減を最重視する部品には、例えばC量が約0.01質量%以下の極低炭素鋼などが用いられ、また、磁気特性と部品強度のバランスを重視する部品には、例えばC量が0.01質量%程度の低炭素鋼が用いられている。
近年、自動車の低燃費化や快適性向上を目的に、電子・電磁制御部品の適用が増加しており、部品強度(機械強度)と磁気特性を兼備した電装部品の要望が高まっている。鋼材の強度を増加させるにはC量の増加が有効であるが、C量の増加は、磁気特性を大幅に低下させ磁気回路抵抗の増加を招くため、電装部品の小型・軽量化や消費電力低減の点で大きな障害となる。またC量の増加は、一般に冷間鍛造性を悪化させるため、部品製造コスト低減の面からも望ましくない。
一方、強度の高い磁気材料として電磁ステンレスが知られているが、合金元素を多量に含有することから磁気モーメントが低下し、大型電磁部品で必要となる高磁界での磁束密度を満足できないという問題がある。また、Cr,Ni等の合金元素を多量に使用することは鋼材製造コストの面からも望ましくなく、耐食性が必須の部品に適用が限られている。
極低炭素鋼をベースとした高強度化技術として、例えば特許文献1には、CuやNiを増量して時効硬化を利用する方法が提案されている。しかしこの技術は、熱間鍛造を行って部品を成型し、更に時効熱処理を行うことが必須であり、寸法精度の厳しい近年の電磁部品に適用するには改善の余地がある。また、フェライト+パーライト組織を有する鋼の冷間鍛造性を改善した技術として、特許文献2や特許文献3には、B添加により固溶Nを低減させて加工発熱領域での冷間鍛造性を改善する方法が提案されている。但し、これらの方法では、冷間鍛造まま、あるいは冷間鍛造後に切削加工した状態でボルトやナット等の機械部品に用いることを想定したものであり、電装部品としての機能を満足させるものではない。
更に、フェライト+パーライト組織を制御して鋼材の特性改善を図った技術として、特許文献4には、パーライトのラメラ間隔を拡大することで切削加工性を改善する技術が提案されている。しかし当該技術は、切削加工時のむしれや表面粗さの改善に重点を置いたものであり、部品強度と共に磁気特性の向上を図ったものではない。その証拠にフェライトの粒径が細かいものとなっている。
特開2007−46076号公報 特開2001−303189号公報 特開2001−342544号公報 特開2006−291237号公報
本発明はこの様な事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、高強度(具体的には、部品強度が必要な電磁部品に広く用いられているS10Cと同等もしくはそれ以上の強度)を示し、かつ優れた冷間鍛造性を示す、上記電装部品等の製造に最適な軟磁性鋼材と、該軟磁性鋼材の製造方法を提供することにある。
本発明に係る軟磁性鋼材とは、
C:0.13〜0.30%(質量%の意味、以下同じ)、
Si:0.1%以下(0%を含まない)、
Mn:0.1〜0.55%、
P:0.02%以下(0%を含まない)、
S:0.035%以下(0%を含まない)、
Al:0.020〜0.070%、
B:0.0015〜0.0050%、
N:0.0010〜0.0050%、
O:0.0100%以下(0%を含まない)、および
Mn/S≧30[但し、Mnは鋼中Mn量(%)、Sは鋼中S量(%)]を満たし、
残部:鉄および不可避不純物からなり、
鋼組織が、フェライトとパーライトの混合組織からなり、該パーライトのラメラ間隔が0.2〜0.5μmで、かつフェライトのJIS G 0551で規定する結晶粒度番号が4.0〜6.5であるところに特徴を有する。
本発明の軟磁性鋼材は、更に他の元素として、
(a)Cu:0.01〜0.2%、Ni:0.01〜0.2%、およびCr:0.05〜0.6%、
(b)Bi:0.005〜0.05%
を含んでいてもよい。
本発明の軟磁性鋼材は、冷間加工による硬化を加えない状態で、D(鋼材の直径)/4部の硬さがHv100以上を示すものが好ましい。
本発明は、上記軟磁性鋼材の製造方法も規定するものであって、該方法は、前記成分組成を有する鋼を、950〜1200℃に加熱してから熱間圧延し、875℃以上の仕上げ圧延温度で圧延終了後、900〜500℃間の平均冷却速度を1.0℃/s以下とするところに特徴を有する。
本発明によれば、S10Cと同等もしくはそれ以上の強度を示し、部品成形時における冷間鍛造性に優れ、かつ圧延ままでもJIS SUY3種なみの磁気特性を有する軟磁性鋼材が得られる。該軟磁性鋼材を、部品強度と磁気特性の兼備が要求される、自動車や電車、船舶、各種産業機械等に使用される電装部品(特に、部品強度の必要な大型電磁部品)の製造に用いれば、優れた冷間鍛造性を発揮すると共に、優れた磁気特性の確保を図ることができるため、部品製造コストを低減でき、かつ熱処理省略に伴うCO削減に大きく寄与することができる。
本発明者は、高強度かつ優れた磁気特性を兼備する軟磁性鋼部品を、コストの上昇を招くことなく製造することを目的に、高強度かつ磁気特性に優れると共に、上記鋼部品の製造工程で優れた冷間鍛造性を発揮する軟磁性鋼材、およびその製造方法を確立すべく、化学成分や鋼組織、析出物の上記特性への影響について様々な角度から実験し検討を行ってきた。その結果、特に鋼組織を、フェライトとパーライトの混合組織として強度を確保することを前提に、上記パーライトのラメラ間隔(以下、単に「ラメラ間隔」ということがある)を適正化すれば、高強度(必要とされる部品強度)を維持して磁気特性を改善できることを見出し、本発明を完成した。以下、本発明について詳述する。
従来、パーライトは、「磁束線の侵入を妨げる磁気不純物として作用する組織、即ち、磁気特性の低下を招く組織である」と認識されていた。しかし、パーライトのラメラ間隔を磁束バンドル(磁束線の集合体)を考慮して制御すれば、磁束線がパーライト組織を貫通でき、パーライト中のフェライト部が有する磁気モーメントを有効活用できることを見出した。
上記作用効果を十分発揮させるには、パーライトのラメラ間隔を0.2μm以上とする必要がある。好ましくは0.3μm以上であり、より好ましくは0.4μm以上である。図1は、パーライトのラメラ間隔と保磁力の関係を示したグラフであり、製造条件を変えて種々のパーライトのラメラ間隔とした、B添加の有無を除いてほぼ同成分の鋼材を用いて、後述する実施例に示す方法で保磁力を調べ、整理したものである。
この図1から、ラメラ間隔を0.2μm以上とすれば、保磁力が急激に低下して優れた磁気特性を示すことがわかる。優れた磁気特性を確保する観点からは、ラメラ間隔を広げることが好ましいが、前記図1に示される通りその効果は飽和する。また、ラメラ間隔の著しい拡大は、セメンタイトの分率を減少させて強度低下をもたらし、更に生産性低下の原因ともなることから、本発明では、ラメラ間隔の上限を0.5μmとした。
本発明の鋼材は、上記の通り、フェライトとパーライトの混合組織からなるものであり(合計で98面積%以上)、上記フェライトやパーライト以外の組織として、例えばベイナイトが過剰に存在すると、優れた磁気特性の確保に寄与するフェライトが相対的に減少し、磁気特性の確保が難しくなるので好ましくない。
上記混合組織におけるパーライト部が高強度の確保に寄与し、かつフェライト部が優れた磁気特性の確保に寄与する。本発明では、十分に優れた磁気特性を確保する観点から、フェライト粒の粗大化も図るものである。具体的には、JIS G 0551で規定されるフェライト結晶粒度番号(FGc)が6.5以下となるようにする。好ましくは5.5以下である。一方、磁気特性へのフェライト結晶粒度の影響はFGcが4.0でほぼ飽和し、それを超えるフェライト粒の粗大化は強度の低下を招くことから、上記FGcの下限は、4.0とする。
また、全組織に占めるフェライトの分率は、十分に優れた磁気特性を確保する観点から、面積率で75%以上であることが好ましい。
この様に本発明の最重要ポイントは、パーライトのラメラ間隔を拡大することで、従来は有効に活用されなかったパーライト内のフェライトが有する磁気モーメントを、最大限活用して磁気特性を高めた点にあるが、上記作用効果を有効に発揮させて優れた磁気特性を発現させると共に、高強度および優れた冷間鍛造性を確保するには、鋼の化学成分と製造条件を特定する必要がある。以下では、まず、本発明で化学成分組成を限定した理由について述べる。
〈C:0.13〜0.30%〉
Cは、鋼材の強度と延性のバランスを支配する基本元素であり、含有量が低減すると強度が低下する。構造部材としての強度を示す鋼部品を得るには、該鋼部品の製造に用いる鋼材の強度特性として、ビッカース硬さがHv90以上(望ましくはHv100以上)を示すことが不可欠であるため、C量の下限を0.13%とした。好ましくは0.15%以上である。一方、C量の上限は、少なくとも機械構造用炭素鋼であるS10Cよりも優れた磁気特性および冷間鍛造性を確保する観点から、0.30%とした。
〈Si:0.1%以下(0%を含まない)〉
Siは、溶製時に脱酸剤として作用し、また磁気特性を向上させる効果をもたらす。この様な効果を発揮させるには、Siを0.02%以上含有させることが好ましい。しかし、Si量が過剰になると冷間鍛造性が低下する。本発明では、部品成型時の冷間鍛造性を確保する観点から、0.1%を上限とした。好ましくは0.05%以下である。
〈Mn:0.1〜0.55%〉
Mnは、脱酸剤として作用するとともに、鋼中のS(硫黄)と結合しSによる脆化を抑制する。また、強度向上元素としても有効である。これらの観点から、Mnを0.1%以上(好ましくは0.2%以上)含有させる。しかしMn量が増大すると、磁気特性が低下するため0.55%以下とする。好ましくは0.5%以下である。
〈P:0.02%以下(0%を含まない)〉
P(リン)は、粒界偏析を起こして、冷間鍛造性と磁気特性の低下を招く元素である。よって本発明では、P量の上限を0.02%とする。好ましくは0.015%以下である。
〈S:0.035%以下(0%を含まない)〉
S(硫黄)は、鋼中でMnS含有析出物を形成する元素である。S量が過剰になると、多量に上記MnSやFeSが析出して冷間鍛造性と磁気特性を著しく劣化させるので、0.035%以下(好ましくは0.015%以下)にする。
〈Al:0.020〜0.070%〉
Alは、固溶NをAlNとして固定することで冷間鍛造性を向上させる効果があるため、本発明ではAl量を0.020%以上とする。好ましくは0.025%以上である。しかし、AlNは結晶粒成長を抑制する効果も有しているため、Al量が過剰になりAlNが多量に析出すると磁気特性が低下する。よって本発明では、Al量を0.070%以下とする。好ましくは0.050%以下である。
〈B:0.0015〜0.0050%〉
Bは、固溶NをBNの形で固定し、動的ひずみ時効を抑制する効果を有する。該効果を十分に発揮させるには、B量を0.0015%以上(好ましくは0.0020%以上)とする必要がある。しかしB量が過剰になると、磁気特性の低下を招くため、0.0050%を上限とする。好ましくは、0.0040%以下である。
〈N:0.0010〜0.0050%〉
N(窒素)は、Al,B等と結合して窒化物を形成するが、これらの元素と窒化物を形成しないNは固溶Nの状態で残存し、冷間鍛造時の変形抵抗増大や磁気特性の低下を招く。固溶N量を低減するためには、鋼中全窒素量を低減することが効果的であるが、工業生産的に対応可能な範囲として0.0050%を上限とした。好ましくは0.0035%以下である。尚、本発明では、フェライト中に生成する窒化物(AlN、BN等)を、セメンタイト等の炭化物を析出させる際の核として利用する観点から、N量を0.0010%以上とする。好ましくは0.0020%以上である。
〈O:0.0100%以下(0%を含まない)〉
O(酸素)は常温では鋼に殆ど固溶せず、硬質の酸化物として存在し、磁気特性を大幅に低下させる。ゆえにO量は極力低減すべきであり、本発明では0.0100%以下に抑える。好ましくは0.0050%以下であり、より好ましくは0.002%以下である。
〈Mn/S≧30〉
Mnと結合しないSは、FeSとして析出し、鋼材製造時において鋼中のボイドや割れといった欠陥の原因となり、鍛造性や磁気特性を低下させる。本発明において、特に優れた磁気特性を得るには、上記欠陥を完全に抑制できるだけのMnが必要である。この様な観点から、本発明では、MnとSの鋼中含有量の比率(Mn/S)を30以上とした。
本発明で規定する含有元素は上記の通りであって、残部は鉄および不可避不純物であり、該不可避不純物として、原料、資材、製造設備等の状況によって持ち込まれる元素の混入が許容され得る。更に、本発明の作用に悪影響を与えない範囲で下記元素を積極的に含有させることも可能である。
〈Cu:0.01〜0.2%〉
Cuは、鋼材の強度を増加させる効果を有する。該効果を発揮させるには、0.01%以上(より好ましくは0.02%以上)含有させることが好ましい。しかしCu量が過剰になると、磁気特性の低下を招くため、上限を0.2%とすることが好ましい。より好ましくは0.1%以下である。
〈Ni:0.01〜0.2%〉
Niは、Cuと同様、鋼材の強度を増加させる効果を有する。該効果を発揮させるには、0.01%以上(より好ましくは0.02%以上)含有させることが好ましい。しかしNi量が過剰になると、磁気特性の低下を招く。本発明では、磁気特性への悪影響を抑えるため上限を0.2%とすることが好ましい。より好ましくは0.1%以下である。
〈Cr:0.05〜0.6%〉
Crは、鋼中で炭窒化物を生成し、固溶Cおよび固溶Nによるひずみ時効の抑制に有効な元素である。また、一般に、強度を向上させると冷間鍛造性は低下しやすい傾向にあるが、Crは、C,Si等よりも強度上昇効果に対する冷間鍛造性低下の程度が小さいため、高強度と冷間鍛造性の両特性を確保する点から有用な元素である。この様な効果を十分発揮させるには、Crを少なくとも0.05%含有させることが好ましい。より好ましくは0.10%以上である。但し、多量に添加すると焼入れ性が増加するため、ラメラ間隔の拡大が抑制され、また、磁気モーメント自体が減少して磁気特性の低下をもたらす。よって本発明では、Cr量の上限を0.6%とすることが好ましい。より好ましくは0.3%以下である。
〈Bi:0.005〜0.05%〉
Biは、被削性を高めるのに有効な元素であり、そのためには0.005%以上含有させるのがよい。より好ましくは0.01%以上である。しかし過剰に含有させると、熱間鍛造等の熱間加工時に割れが生じ易くなるので、0.05%以下に抑えるのがよく、より好ましくは0.03%以下である。
図2は、軟磁性鋼材のHv硬さと保磁力の関係を示すグラフであり、成分組成と製造条件を変えて製造した鋼材を用い、後述する実施例に示す方法でHv硬さと保磁力を測定したものであるが、本発明の軟磁性鋼材は、上記要件を満たすことにより、冷間加工による硬化を加えない状態で、S10Cと同レベルもしくはそれ以上の強度を示すものであって、同程度の強度レベルの従来鋼と比較して、保磁力が十分低く抑えられている、即ち、磁気特性に優れていることがわかる。
次に、本発明で軟磁性鋼材の製造方法を規定した理由について説明する。本発明で規定する鋼組織(特に、上述したパーライトのラメラ間隔が規定を満たすもの)を得るには、上記化学成分組成を満たす鋼材を一般的な方法で溶解、鋳造した後、熱間圧延を下記に示す通り高温で行い、かつ高温圧延終了後に徐冷を行う必要がある。その作用機構については以下の通りである。
変態を伴う金属組織においては、平衡変態温度と変態開始温度の差(過冷度)が大きいほど核生成の駆動力が大きくなるため、変態終了後の組織が微細化される。よって、パーライトのラメラ間隔を拡大するには、まず高温相のオーステナイト組織を得ると共に、高温域(即ち、過冷度の小さい状態)で変態を開始させる必要がある。また、変態が開始するまでには、平衡変態温度に達してから一定の潜伏期間が必要なため、冷却速度を遅くして、高温状態から変態が開始できるように制御することが必要である。つまり、ラメラ間隔を拡大させるには、高温圧延および徐冷を実施することが非常に重要なのである。
また、この様な高温圧延および徐冷を実施することにより、鋼材が高温保持されるため、生成されるフェライトおよびパーライトの混合組織におけるフェライトの粒径が、通常の圧延材に比べて大きくなる。その結果、磁壁移動を阻害する結晶粒界が減少し、磁気特性の向上に効果をもたらす。
上記観点から、本発明では、熱間圧延に際しての加熱温度、仕上げ圧延温度および900〜500℃間の平均冷却速度を規定した。以下、各条件について詳述する。
〈熱間圧延に際しての加熱温度:950〜1200℃〉
合金成分を母相に完全に固溶させ、且つ、上記作用機構を実現させてラメラ間隔を拡大させるには、できるだけ高温で加熱することが望ましい。また加熱温度が低すぎると、AlN等の窒化物が全く固溶せず、炭化物の析出核として作用しなくなることに加え、圧延時のロール負荷が上昇し生産性の低下を招くことにもなる。よって、加熱温度は950℃以上とする。好ましくは1000℃以上である。しかし、加熱温度が1250℃を超えると、AlN等の窒化物が完全に固溶して固溶Nの増加をもたらし、磁気特性の低下を招く。本発明では、優れた磁気特性を確保するため加熱温度の上限を1200℃とする。好ましくは1150℃以下である。
〈仕上げ圧延温度:875℃以上〉
仕上げ圧延温度が低いと、上記作用機構が十分実現されない。また、結晶粒度の細かいフェライト+パーライト組織となり、磁気特性に有害な結晶粒界が多数存在する組織形態となる。よって本発明では、仕上げ圧延温度を875℃以上とする。好ましくは900℃以上である。尚、本発明は、仕上げ圧延温度の上限を規定するものではないが、過度の高温圧延は、使用エネルギーの増大と生産性の低下を招くため、仕上げ圧延温度の上限は1000℃とすることが好ましい。
〈900〜500℃間の平均冷却速度:1.0℃/s以下〉
ラメラ間隔を拡大させるには、上述した通り、高温状態から変態が開始できるように制御する必要があり、具体的には、高温圧延終了直後から徐冷を行う必要がある。よって本発明では、900℃〜500℃間の平均冷却速度を1.0℃/s(秒)以下とする。好ましくは0.5℃/s以下である。ラメラ間隔を拡大する観点からは、上記冷却速度が遅いほど好ましく、該観点から平均冷却速度の下限を設ける必要はないが、遅すぎるとフェライト分率の低下と生産性の低下が生じることから、上記冷却速度の下限は0.1℃/sとすることが好ましい。
本発明の軟磁性鋼材は、上記条件で熱間圧延して例えば棒状または線状として得られるが、そのサイズは、最終製品である電装部品に応じて適宜決めることができる。
磁気焼鈍を施していない本発明の軟磁性鋼材であっても優れた磁気特性を示すが、より優れた磁気特性を確保するには、下記の条件で磁気焼鈍を行うことが大変有効であり、該磁気焼鈍後の鋼材も本発明の軟磁性鋼材に含まれる。
磁気焼鈍における焼鈍温度が低すぎると、実用的な熱処理時間でフェライト結晶粒を十分成長させて、磁気特性の更なる向上を図ることができない。よって焼鈍を行う場合、焼鈍温度は850℃以上とすることが好ましい。一方、過度に焼鈍温度を高めると、熱間圧延で得た組織がキャンセルされ、ラメラ間隔が適正範囲から外れる危険性が増加するため、その上限は950℃とすることが好ましく、より好ましくは900℃以下である。
また焼鈍時間が短すぎると、焼鈍温度を高めに設定しても焼鈍時間不足でフェライト結晶粒をより粗大化させて磁気特性の更なる向上を図ることができない。よって上記焼鈍温度で2時間以上焼鈍するのが好ましく、より好ましくは3時間以上である。しかし長すぎても、フェライト結晶粒の粗大化は飽和するので、6時間以下とするのがよい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
表1に示す含有成分の供試材を真空溶製にて各150kg試作した。そして、溶製材を155mm×155mm角に鍛造加工し、ダミービレット材に溶接した後、表2に示す条件で熱間圧延を行って直径30mmの鋼線材を得た。そして、得られた鋼線材に850℃×3時間の焼鈍を施した。
上記の様にして得られた鋼材を用いて、組織観察、ビッカース硬さ(Hv硬さ)の測定、冷間鍛造性の評価および磁気特性の評価を、夫々下記の要領で評価した。
組織観察は次の方法で行った。即ち、鋼線材の横断面(圧延方向に垂直な断面)が露出する状態で支持基材内に埋め込み、研磨後、5%のピクリン酸アルコール液に15〜30秒間浸漬して腐食させた後、光学顕微鏡(Nikon EPIPHOT 200)によって表層部、D/4部(Dは直径、以下同じ)およびD/2部の組織を、100倍および400倍で、表層部とD/4部はそれぞれ4視野、D/2部は1視野を撮影し、混粒の有無や組織の同定を行った。詳細には、フェライトの結晶粒度について、JIS G 0551で規定するフェライト結晶粒度番号を上記各部位について調べ、その平均値を求めた。
尚、鋼組織を同定したところ、表2中の実験No.1〜13、16〜30では、フェライトおよびパーライトの混合組織(即ち、フェライトとパーライトの合計で98面積%以上)であったのに対し、No.14および15では、フェライト組織が主体であった。また、いずれの組織においても混粒は確認されなかった。
ラメラ間隔の測定は次の方法で実施した。即ち、上記の様にして調製した試料を用い、走査電子顕微鏡[カールツァイス社製 Supra−35(測定時の加速電圧:15kV)]によって、D/4部における任意の4箇所を撮影(7000倍)し、その後、視野内に確認されたパーライト部について、更に15,000倍の撮影を行って、各ラメラ間隔を測定し、その平均値を求めた。
ビッカース硬さ(Hv硬さ)は、D/4部における任意の4箇所を測定荷重1kgの条件で測定し、その平均値を用いた。
冷間鍛造性の評価は、圧縮加工時に割れが発生しない最大の圧縮率を測定して行なった。詳細には、鋼線材の軸方向と平行に直径20mm×高さ30mmの試料を採取し、この試料を用いて端面拘束圧縮(ひずみ速度10/s)を行い、割れが発生しない限界の圧縮率(割れ発生限界圧縮率)を求めた。
磁気特性は、鋼線材から外形28mm×内径20mm×高さ4mmのリング状試料を作製し、JIS C 2504(2000年)に規定する方法を実施して評価した。
本実施例における評価基準として、下記基準を用いた。
[評価基準]
・「割れ発生限界圧縮率≧75%」であるものを冷間鍛造性に優れると評価する。
・「ビッカース硬さ(断面硬さ)≧Hv100」であるものを高強度であると評価する。
・「保磁力≦150A/m」であるものを磁気特性に優れると評価する。
表1および表2から次のように考察することができる(尚、下記のNo.は、表2中の実験No.を示す)。No.1〜6,10〜12は、本発明で規定する要件を満たし、かつ本発明で規定する方法で製造したものであるので、いずれも優れた冷間鍛造性を有し、かつ高強度と優れた磁気特性を兼備していることがわかる。
これに対し、No.7〜9,13〜31は、鋼材の化学成分が本発明の規定要件を外れるか、本発明で規定する組織形態を満足していないため、冷間鍛造性に劣るか、強度や磁気特性が十分でない等の好ましくない結果となった。
詳細には、No.7〜9から圧延条件の影響を見ることができる。フェライト+パーライト組織の磁気特性を最大限に発揮させるには、適切な条件で圧延を行い、ラメラ間隔とフェライトの結晶粒度を規定範囲内に制御する必要があることがわかる。
No.13は、鋼中のMn量とS量のバランスが不適であるため、粒界に析出する硫化物(FeS)の影響により、圧延後の組織に空孔等のボイドが発生し、冷間鍛造性と磁気特性の双方が低下する結果となった。
No.14〜17からは、C量の影響をみることができる。C量が0.13%未満では十分な強度が得られず、一方、C量が0.30%を超えると磁気特性が大幅に低下することがわかる。
No.18は、B量が不足している例である。この様にB量が少なすぎると、固溶Nによる悪影響を完全に抑制することができず、冷間鍛造性と磁気特性の双方が低下することがわかる。
No.19および20は、Si量が過多の例である。この様にSi量が過剰であると、ラメラ間隔を十分に拡大することができず、パーライト部分の磁気モーメントの有効活用ができないため、磁気特性が低下することがわかる。
No.21は、Mn量が不足している例である。この例では、鋼中のSをMnSとして固定することができず、冷間鍛造性が低下している。
No.22は、Mn量が過多の例である。この例では、磁気モーメントを減少させる過剰のMnにより、磁気特性が低下している。
No.23から、P量が増大すると冷間鍛造性が低下することがわかる。
No.24ではS量の影響を見ることができる。この例の様にS量が過剰であると、C量過多の場合と同様に冷間鍛造性の低下が認められる。また、FeSの生成に伴い、熱間加工時に微細なクラックやボイドが発生するため、磁気特性の低下も認められる。
No.25とNo.26は、CuとNiの影響を示す例である。これらの例より、Cu、Niを過多に添加すると、冷間鍛造性や磁気特性の低下を招くことが分かる。
No.27は、Cr量が過多の場合である。この例では、ラメラ間隔を十分に拡大することができず、磁気特性が低下している。
No.28は、Al量が過多の例である。この例から、Alが過剰であると、AlNとしての析出に寄与しないAlがフェライト中に固溶し、磁気特性が低下することが分かる。
No.29は、B量が過剰な例である。この例では、過剰に存在する固溶BがFe格子を歪めて磁気モーメントの低下を招くと共に、FeBの析出に伴う内部のボイド等の欠陥により、磁気特性が低下している。
No.30は、N量が過剰な例である。この例から、N量が過剰であると、ひずみ時効に伴い冷間鍛造性が大幅に低下するとともに、磁気特性が著しく低下することが分かる。
No.31は、Bi量が好ましい範囲の上限を外れた場合の影響を示す例である。Biを規定範囲内で含有させる場合には、冷間鍛造性および磁気特性への影響は殆ど認められないが、多量添加した場合には、熱間延性が著しく低下し、圧延前の鍛造工程で割れが発生した。本結果から、Biを多量に含有させると鋼材生産性を著しく悪化させることが分かる。
参考までに、本発明鋼(No.5)と比較鋼(No.9)の光学顕微鏡写真を図3に示す。この図3より、本発明鋼はフェライト粒(白い部分)のサイズが大きいのに対し、比較鋼はフェライト粒のサイズが微細であることがわかる。
また、本発明鋼(No.1および10)と比較鋼(No.9)のラメラ間隔を観察・対比した走査型電子顕微鏡写真を図4(左側が倍率1500倍、右側が倍率7000倍)に示す。この図4より、本発明鋼は比較鋼と比べてラメラ間隔が広がっていることがわかる。
パーライトのラメラ間隔と保磁力の関係を示したグラフである。 軟磁性鋼材のHv硬さと保磁力の関係を示したグラフである。 本発明鋼(No.5)と比較鋼(No.9)の光学顕微鏡観察写真である。 本発明鋼(No.1および10)と比較鋼(No.9)のパーライトのラメラ間隔を観察・対比した走査型電子顕微鏡観察写真である。

Claims (4)

  1. C:0.13〜0.30%(質量%の意味、以下同じ)、
    Si:0.1%以下(0%を含まない)、
    Mn:0.1〜0.55%、
    P:0.02%以下(0%を含まない)、
    S:0.035%以下(0%を含まない)、
    Al:0.020〜0.070%、
    B:0.0015〜0.0050%、
    N:0.0010〜0.0050%、
    O:0.0100%以下(0%を含まない)、および
    Mn/S≧30[但し、Mnは鋼中Mn量(%)、Sは鋼中S量(%)]を満たし、かつ
    Cu:0.01〜0.2%、
    Ni:0.01〜0.2%、および
    Cr:0.05〜0.6%
    を含有し、
    残部:鉄および不可避不純物からなり、
    鋼組織が、フェライトとパーライトの混合組織からなり、該パーライトのラメラ間隔が0.2〜0.5μmで、かつフェライトのJIS G 0551で規定する結晶粒度番号が4.0〜6.5であることを特徴とする軟磁性鋼材。
  2. 更に他の元素として、Bi:0.005〜0.05%を含有する請求項に記載の軟磁性鋼材。
  3. 冷間加工による硬化を加えない状態で、D(鋼材の直径)/4部の硬さがHv100以上である請求項1または2に記載の軟磁性鋼材。
  4. 請求項1または2に記載の成分組成を有する鋼を、950〜1200℃に加熱してから熱間圧延し、875℃以上の仕上げ圧延温度で圧延終了後、900〜500℃間の平均冷却速度を1.0℃/s以下とすることを特徴とする軟磁性鋼材の製造方法。
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