JP3263815B2 - 冷間圧延による薄板厚・超高珪素電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

冷間圧延による薄板厚・超高珪素電磁鋼板の製造方法

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JP3263815B2 JP14359791A JP14359791A JP3263815B2 JP 3263815 B2 JP3263815 B2 JP 3263815B2 JP 14359791 A JP14359791 A JP 14359791A JP 14359791 A JP14359791 A JP 14359791A JP 3263815 B2 JP3263815 B2 JP 3263815B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、軟磁性材料として電気
機器の鉄心に用いられる、磁気特性に優れた超高珪素電
磁鋼板を作業性の良好な冷間圧延によって製造する方法
に関するものである。本発明により、特に高周波数の電
気機器の鉄心に最適な板厚の薄い超高珪素電磁鋼板の製
造が可能となる。
【0002】
【従来の技術】Siを含有する鋼板は、優れた軟磁気特
性を有するため、電力用変圧器或は回転機の鉄芯として
用いられている。この種磁性材料においては、Si含有
量が増加すると、鉄損特性が向上する(鉄損値が低くな
る)。特にSi含有量6.5%近傍では鉄損特性が良好
である上に磁歪が零に近付くところから、透磁率も一段
と向上し、従来にない新しい機能をもつ磁性材料となり
得る。しかしながら、この6.5%Si含有鉄は、冷間
加工、例えば冷間圧延する上で種々の問題があり、実用
化されていなかった。
【0003】6.5%Si含有鉄を冷間加工する上での
問題として、 1)高珪素鉄の結晶本来のイントリンシックな特性とし
て、伸びが小さく、例えば冷間圧延時に板破断を起こし
易い、 2)高珪素鉄の伸びが本質的に小さいことに起因して冷
間圧延によって板側縁部に割れを生じる所謂“耳割れ”
を発生し易い、 3)高珪素鉄は硬度が極めて高いため、最終板厚を薄く
するときに冷間圧延における圧延負荷が過大なものとな
る、等の問題がある。
【0004】最近、省エネルギーを目的として、鉄損値
が低く、かつ電気機器の多用な磁気特性上の要求を満足
する新しい磁性鋼板として、Si6.5%或はその近傍
を含有する高珪素鋼板が見直され始めた。特に冷間加工
上の問題を解決することに多くの努力が傾けられ、種々
提案がなされている。例えば中岡らは前記1)項の板破
断を招き易いという問題に関連して、特開昭61−16
6923号公報に、冷間圧延の素材となる熱延板につい
て、連続仕上熱間圧延条件を規定することによって金属
組織を圧延方向に繊維状に伸びた状態とすることを提案
している。また、中岡らは特開昭62−103321号
公報に、連続仕上熱間圧延前の材料の結晶粒を限定する
ことにより、熱延板組織を圧延方向に延伸した繊維状に
する方法を提案している。これらの方法は、連続仕上熱
間圧延条件を限定することによって熱延板組織を制御
し、こうして得られた熱延板を素材とすることによって
冷間圧延を可能ならしめようとするものである。
【0005】冷間圧延性を改善する方法として、6.5
%Si鉄中に第3元素を合金化する方法が発表されてい
る。例えばC.A.ClarkらはIEE.113(1
966)p345に、Niを添加することによる効果
を、K.NaritaらはIEEE Trans.Ma
g.MAG−14(1978)p258に、Mnを添加
することによる効果を示している。一方、木村は特開平
1−299702号公報で圧延温度を350〜450℃
として圧延を行なう方法と装置を開示したが、この温度
範囲は従来の冷間圧延技術では対応出来ない。
【0006】前記2)項の冷間圧延材の耳割れの問題は
1)項の問題を解決するための手段によって解決され得
る。加えて、耳割れ防止のために、一般的に他の鋼種で
実施されている手段をより丁寧に適用することが、高珪
素鋼の冷間圧延に際しても有効である。例えば升田らは
特開昭62−127097号公報に、ロール端部のヒー
ト・クラウンを制御することによって耳割れを防止する
ことを提案している。
【0007】前記3)項の圧延負荷が過大になるという
問題は、Si含有量が増大するに伴って鋼の硬さが増
し、例えば6.5%Siでは硬度(Hv)が390にも
達し、冷間圧延荷重が過大になるという問題である。圧
延ゲージが薄くなると、一層圧延荷重が大きくなる。一
般に圧延ロールの径を小さくするとロールと圧延材の接
触弧長が小さくなるから、低荷重で板材を圧延すること
ができるようになる。従って、従来、Siを約3%含有
する一方向性電磁鋼板或は無方向性電磁鋼板の冷間圧延
に際しては100mm以下の径のワークロールをもつセ
ンジマーミルが用いられている。まして、3%Si材よ
りも格段に硬度の高い6.5%Si材を薄手まで冷間圧
延しようとする場合は、小径ワークロールをもつ圧延機
での圧延が必須となる。ところが6.5%Si材を小径
のワークロールをもつ圧延機で冷間圧延すると、高田ら
が特開昭63−145716号公報に示しているよう
に、ストリップ破断の問題を生じる。
【0008】従って、小径ロールを使用して圧延するた
めにも、前記1)項の問題解決手段が必要となる。次
に、高Si鉄の磁気特性について説明する。高Si軟磁
性鋼板の開発動機は、元々製造上の困難さは十分確認さ
れていたところであるけれども、従来にない高い機能性
たとえば、鉄損特性、磁化特性の実現にある。従って、
製造の容易さ、就中冷間圧延し易さに意を用いるのは勿
論であるが、良好な磁気特性を有する製品を得ることを
第一の狙いとして製造プロセスを設計する必要がある。
このような観点からすれば、高Si軟磁性鋼板、就中磁
歪が最小となる6.5%Si材に最適な磁気特性を具備
せしめる製造プロセスについて十分な技術は確立してい
ない。特に薄い製品厚による低鉄損化の方向は、6.5
%Si鋼のように高周波数域で強味を一層発揮する材料
では必須であり、薄い製品厚の出来ない6.5%Si鋼
製造技術では価値が半減する。例えば阿部らは特開昭6
2−22703号公報において、SiCl4 含有雰囲気
で浸珪する方法、すなわちCVD法により冷間圧延の問
題を回避し、NKK技報No.125(1989)p5
8で0.10mm厚製品を製造している。しかしながら
CVD法では生産性、板厚精度に問題が残っており、冷
間圧延法による製造技術が待望されている。なお、特開
昭62−270723号公報では0.30mm厚の製品
が、特開昭61−166923号公報では0.50mm
厚の製品が開示されており、又、成分単独の効果を示し
た前記の報告でも0.35mm厚の製品が開示されてい
るに過ぎず、6.5%Si鋼の磁気特性の特長を充分に
発揮させる板厚を実現しているとは言えない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は5.0〜6.
52%Si含有による特有な優れた磁気特性と共に、特
に高周波数域で一層の低鉄損特性を具備し得る薄板厚製
品を、従来から一般的に行なわれている冷間圧延法によ
り製造し得る薄板厚・超高珪素電磁鋼板の製造方法を提
供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】難加工材の圧延について
は、従来から圧延温度を上げた、いわゆる“温間圧延”
で行なうことは公知である。6.5%Si含有鋼につい
ても、室温圧延に比べ温間圧延の方が割れの少ない有効
な加工方法である。しかしながら、この温間圧延の問題
として、圧延潤滑剤の耐熱性、圧延温度を確保するため
の新規設備、板温度の巾方向、長手方向の変動に伴なう
板厚制御の困難さ、等があり、温間圧延をそのまま採用
することは出来ない。例えば特開平1−299702号
公報では350〜400℃で圧延するための方法と設備
を示し、0.2〜0.4mm厚まで圧延しており、特開
昭63−36906号公報では350℃で0.35mm
厚まで圧延することが開示されている。一方3%Si前
後のSiを含有する一方向性電磁鋼板の製造の分野にお
いては特公昭54−13846号公報に示すように、圧
延のパス間に50〜350℃の範囲で1分以上保持する
ことにより磁性が向上することが示され、実施態様とし
て板温度を上げてリバース圧延する方法が採られてい
る。一般的には約250℃の板温度での圧延が前記の潤
滑、板温度の不均一等の問題を回避して広く行なわれて
いる。
【0011】そこで、本発明者等は6.5%Si含有鋼
について、高くてもこの一方向性電磁鋼板製造技術なみ
の板温度での圧延により、今迄にない薄板厚まで冷間圧
延可能とする鋼中の含有成分構成を検討した。鋼中の一
成分、一成分の単独効果を検討することはもちろん、全
成分の最適組合せ条件について数多くの試験圧延を行っ
た結果、本発明の対象鋼素材の成分範囲を、重量で、C
≦0.006%、Si:5.0〜6.52%、Mn:
0.07〜0.30%、S≦0.007%、酸可溶性A
l:0.006〜0.038%、total N:8〜
30ppm、残部Feおよび不可避的不純物からなるよ
うに限定した。
【0012】材料成分と割れの関係については、特開昭
62−103321号公報で一般的な傾向としてMn≦
0.5%、P≦0.1%、S≦0.02%、Al≦2
%、C≦1%が望ましいとされているが、これは普通鋼
においても一般的な傾向として常識であり、特に6.5
%Si鋼に対する新規知見を示すものでなく、又その範
囲も上限を示すだけで6.5%Si鋼特有の成分条件を
規定するものではない。
【0013】ところで、鋼中N量が少ないほど靱性が良
くなることは知られている。しかしながら、工業的精錬
技術の中でNを下げることは、最先端精錬技術分野にお
いても特開昭62−103326号公報に示されるよう
に高々8ppmまでである。木村宏が日本金属学会会報
Vol.21、No.10、P757で解説しているN
の影響は特殊処理で数ppm以下に下げた範囲での技術
である。このような意味で、本発明者等の目標とする技
術は、一般的な量産型の精錬技術によるNが8ppm以
上残存する素材を用いて、6.5%Si鋼の薄板厚圧延
を可能にしようとするものである。
【0014】本発明者は、このような現状を認識した上
で、6.5%Si鋼の圧延割れに対する鋼中Nの影響に
注目し研究した結果、圧延割れを減少させる適切なAl
量を見い出した。そして、この時の圧延前の鋼板中N形
態の状況が割れと関係することを認識した。C:0.0
05%、Si:6.50%、Mn:0.17%、P:
0.007%、S:0.002%を含有し、酸可溶性A
lとNが図1に示す関係にある50kgインゴットを作
成し、1200℃で加熱し、8パスの熱間加工により仕
上温度約980℃で1.7mm厚の鋼板とした。この鋼
板から各成分材について、幅5cm×長12cm×10
枚を準備し、180℃の板温度で0.23mm厚まで冷
延した。その時の板破断状況を図1に示した。図1から
冷延破断発生割合はT.Nが少ないほど減少する傾向に
あり、酸可溶性Alについては少なくても多すぎても増
加することが分る。T.Nが8ppm(これ以上の低N
材は一般的溶解条件では得られなかった) 〜30pp
m、そして酸可溶性Alが0.006〜0.038%の
範囲で良好な冷間圧延が出来た。このような結果が得ら
れた原因として、本発明者等は鋼中Nの存在形態が影響
すると考え、図1中の(A)〜(F)材について、冷間
圧延素材の熱延板の抽出レプリカを作成し電子顕微鏡観
察を行ない、図2に示した。冷間圧延割れのないB材の
析出物は比較的大きく、かつ均一に分布しているのに対
し、T.Nの多い(D),(E),(F)及び酸可溶性
Alの多い(C)材の析出物は極めて大きく、特に粒界
に存在し、又T.Nも酸可溶性Alも少ない(A)材の
析出物は小さく、集団的に固まって分散している。鋼中
析出物状態と機械特性との関係は広く研究されている分
野であるが、(D),(E),(F),(C)のような
巨大析出物、特に粒界に存在する場合は切欠き効果とし
て脆い原因となり、(A)のように微細になると強度が
上昇し伸びが減少する、といった傾向は一般的解釈とし
て成り立つであろう。以上のように本発明者は、T.N
と酸可溶性Alとの適切組合せ範囲を選ぶことによっ
て、6.5%Si含有鋼についても0.23mm厚とい
った薄板厚まで冷間圧延が可能であることを知見した。
そして、この範囲材の析出物が、割れを助長しない分散
状態にあるためと考えるに到った。
【0015】次に、それら良好材についてもさらに薄板
厚まで冷間圧延を続けると、図3に一例を示すようなビ
ビリ状のふくれ部が表面に発生し、破断に到ることを見
出した。この欠陥を“さざ波欠陥”と呼ぶことにする。
この“さざ波欠陥”部の板厚方向断面(縦断面)組織を
図4に示す。図4から明らかな如く、板厚方向における
上下約1/3の位置を頂点として中心に向かって割れが
進行し、それが繰返されている。さらに、割れの初期を
観察すると、割れの起点は板厚方向における上下約1/
3の位置にあり、この位置は、冷間圧延前の材料におけ
る表層部の等軸晶粒と板厚方向中心部における圧延方向
に繊維状に並んだ伸長粒の境界に対応する。割れ部を腐
食させて組織を現出させた拡大写真を図5に示す。図5
から、表層部の等軸晶粒と板厚方向中心部における圧延
方向に繊維状に並んだ伸長粒の境界で割れていることが
分る。これらの観察から、“さざ波欠陥”は、冷間圧延
に伴って破断面に働く剪断力に対し、表層部の等軸晶粒
と板厚方向中心部における圧延方向に繊維状に並んだ伸
長粒の機械的強度の差によって割れが発生し、その後板
厚方向中心を突き抜けて割れが伝播したものと考えられ
る。本発明者等は、これらの知見から、板厚方向におけ
る結晶粒組織を均一にすることが、“さざ波欠陥”を発
生させることなく、冷延性を向上させる要諦であること
を見出した。
【0016】そこで、板厚方向における結晶粒を全域に
亙って再結晶させる方法として焼鈍を行ない、その適切
温度範囲を検討した。図1に示した(B)の熱延板につ
いて幅5cm×長12cm×50枚を準備し、焼鈍温度
として750℃、900℃、1020℃、1080℃、
焼鈍なし、で90秒間だけ各10枚焼鈍し、180℃の
板温度で0.23mm厚まで冷延した。その後さらに冷
間圧延破断の発生しない冷間圧延板については、圧延を
続行し、0.20,0.15,0.10mm厚までの破
断発生率を求め、図6に示した。熱延板焼鈍を行わない
場合、圧延板厚が薄くなるほど、破断率が大きくなる。
熱延板焼鈍を行うことにより、破断はなくなり、0.1
0mmでも良好であった。しかし温度が高くなり過ぎる
と、0.23mmの圧延までに破断が生じる。これは焼
鈍温度が高くなると結晶粒が大きくなり過ぎ、靱性が劣
化したためと思われる。
【0017】以下、本発明の実施態様の限定条件につい
て説明する。Cは不純物として最終製品に残存すると、
磁気特性を劣化させるから可及的にその含有量が少ない
方が良い。特に、C含有量が0.006%を超えると磁
気特性を大きく劣化させる。又、冷間圧延性の観点から
も少ない方が良い。Siは、本発明の目標が磁歪の最小
となる6.5%Si鉄の薄板厚製品を工業的に製造し得
るプロセスの確立にあることに鑑み、6.5%を中心と
して若干の上下幅を持つ範囲内であれば良い。Si含有
量の下限は、従来市販されていない範囲で5.0%と
し、可及的に6.5%に近い量であることが本発明の目
的に合う。Si含有量の上限は6.52%である。Si
含有量が6.52%を超えると冷間加工性が急激に劣化
するとともに、得られる製品の磁気特性良くならな
い。
【0018】Mnについては0.07〜0.30%の範
囲で冷間圧延破断割合が少なく、特に板厚が0.20m
m以下のように薄い領域で効果が大きい。Sについて
は、少ないほど冷間加工性が良くなり、又不純物として
最終製品に残存して磁性を劣化させることがなくなるの
で可及的に少ないことが望ましい。このような理由から
0.007%以下とする。下限については少ないほど望
ましいが、一般的な工業的精錬技術では0.0008%
程度が限界である。
【0019】酸可溶性AlとT.Nについては、その組
合せ範囲として0.006〜0.038%と8〜30p
pmの領域で冷間加工性が良好である。この範囲にある
とき、鋼中に含有されるT.Nの存在状態が、鋼の靱性
を劣化させない析出物形態にあるためと考えられる。上
記以外の成分については特に限定しない。次いで、溶鋼
は鋳造され、熱間圧延される。
【0020】熱間圧延板は板温度120〜350℃で冷
間圧延される。板温度が350℃を超えると、圧延潤滑
油の劣化が激しく圧延が極めて困難になり、又板厚制御
も難しくなる。圧延に際し、板温度がこの範囲にあれば
よく、保定時間は基本的には必要でない。この冷間圧延
を行う前工程として、750〜1020℃の範囲で焼鈍
を行ない、板厚方向全域に亙って再結晶をさせると冷間
圧延時のさざ波欠陥が解消し、冷間圧延破断が減少し、
一層薄板厚まで圧延可能である。750℃未満では板厚
中心部に一部未再結晶域が残り、焼鈍する意味がなくな
る。1020℃を超えると結晶粒が粗大になり、さざ波
欠陥の発生があるまでに板破断となる。この焼鈍の時間
は温度の高い時は短かく、低い時は長くなる。例えば7
50℃では10分以上、1020では30秒程度で良
い。
【0021】冷間圧延で狙う板厚は薄いほど鉄損が良く
なり望ましいが、圧延板厚が薄くなると圧延荷重が大き
くなるので、圧延作業が困難になる。そこで圧延ロール
径を小さく、多段にしたり、又圧延途中で焼鈍して再結
晶させることにより軟かくすることが有効な方法とな
る。冷間圧延における冷延率については特に限定しな
い。冷間圧延率は熱間圧延機の能力、又は薄板鋳造技術
の程度によって決まる素材板厚と製品板厚の関係で決ま
り、得られる製品の磁束密度が高くなる50〜80%程
度の冷延率が望ましい。しかしながら、所望の製品板厚
が薄い場合、前記冷延率を適用して冷間圧延しようとす
ると、素材板厚を薄くしなければならない。従って、所
望の板厚が極めて薄い場合は、素材製造能力を超えてし
まう。因みに、現在の熱間圧延技術で到達し得る熱延板
の厚さは、1.4〜1.5mm程度である。而して、超
薄板厚製品を1回の冷間圧延で製造しようとする場合
は、冷延率が上記範囲内とならず、結果として製品の磁
束密度が若干低くなることがあるが、本発明における第
1の目的が冷間圧延によって超高珪素電磁鋼薄板厚製品
を製造することにあるので、前記冷延率範囲を本発明の
必須要件とはしない。
【0022】最終板厚とされた冷延板を800〜102
0℃の温度域で焼鈍し、再結晶と粒成長を行ない製品と
する。焼鈍時間は温度が低いときは長く、高いときは短
かくなり、30秒〜3時間程度が採用される。
【0023】本発明の出発鋼の化学成分を規定した根拠
について以下に説明する。C,Si,Mn,S,酸可溶
性Alが表1に示すもので、残部がFeおよび不可避的
不純物である50kgインゴットを作成し、1200℃
で加熱し、8パスの熱間加工により仕上温度約990℃
で1.8mm厚の鋼板とした。この鋼板から各成分材に
ついて、幅5cm×長12cm×10枚を準備し、18
0℃の板温度で0.23mm厚まで冷間圧延した。この
時の冷間圧延破断割合を表1に示した。
【0024】
【表1】
【0025】本発明で限定した成分条件を満たす鋼板に
ついては、0.23mm厚までほとんど冷間圧延破断を
生じることなく圧延可能である。本発明出発鋼成分を満
足するNo.1の試料について、幅5cm×長12cm
×40枚を準備し、各10枚づつについて、熱間圧延板
のまま焼鈍なし、さらに750℃×15分、930℃×
90秒、1050℃×30秒の焼鈍を行った後、220
℃の温度で0.20mm、0.15mmまで冷間圧延し
た。この時の冷間圧延破断割合を表2に示した。
【0026】熱延板焼鈍しない場合に比べ、適切な温度
で焼鈍することにより、薄板厚まで破断なしで冷間圧延
可能である。焼鈍温度が高すぎると、冷間圧延板厚の厚
い時に、すでに破断が著しく発生する。
【0027】
【表2】
【0028】本発明を実施例に基づいて説明する。 (実施例重量で、C:0.003%、Si:6.48%、Mn:
0.14%、S:0.001%、酸可溶性Al:0.0
35%、totalN:0.0012%、残部Feおよ
び不可避的不純物からなる1.8mm厚さの熱延板に、
980℃×30秒間の焼鈍を施した後、板温を230℃
として、0.90mm(冷延率:50%)〜0.20m
m(冷延率:89%)の厚さに圧延し、次いで、850
℃×120秒間の焼鈍を施した。 得られた製品の磁気特
性を表3に示す。
【0029】
【表3】
【0030】表3から明らかなように、冷延率:72〜
75%で製品の磁束密度(B 8 値)が最大となり、冷延
率:50〜80%の範囲でB 8 は比較的高く、冷延率が
80%を超えると、B 8 値が低くなる。
【0031】(実施例前記した熱延板焼鈍温度930℃×90秒の0.15m
m厚冷延板について、900℃×90秒の焼鈍を行な
い、再結晶させ軟かくした後、ロール径140mm圧延
機により室温(約27℃)で0.08mm厚まで破断す
ることなく冷間圧延した。その後、850℃×2時間の
焼鈍を行った。得られた製品の磁性を表4に示す。冷延
途中で焼鈍して軟化させることにより、ロール径の比較
的大きい圧延機でも極めて薄い板厚まで圧延可能であ
り、その場合の製品の磁性は極めて優れている。
【0032】
【表4】
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、難加工な6.5%Si
含有鋼について、通常の冷間圧延により極めて薄い極厚
まで加工出来、その鉄損は低く、特に周波数が高くなる
と特に優れた鉄損値を示す薄板を供給することが出来
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋼中のT.Nと酸可溶性Alの異なる鋼板の冷
間圧延破断率を示す図である。
【図2】鋼中のT.Nと酸可溶性Alの異なる熱間圧延
板の析出物状態を示す電子顕微鏡金属組織写真である。
【図3】冷間圧延板表面に発生する“さざ波欠陥”の模
様を示す金属組織写真である。
【図4】図3に示す冷延板の縦断面(板厚方向)の金属
組織を示す写真である。
【図5】材料の板厚方向において割れを生じている部分
の拡大金属組織写真である。
【図6】熱延板焼鈍温度を変えたものについて、板厚を
変えて冷間圧延した場合の冷間圧延破断率を示す図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 牛神 義行 福岡県北九州市八幡東区枝光1−1−1 新日本製鐵株式会社 第3技術研究所 内 (72)発明者 北原 修司 福岡県北九州市八幡東区枝光1−1−1 新日本製鐵株式会社 第3技術研究所 内 (56)参考文献 特開 昭63−93823(JP,A) 特開 平3−260017(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 9/46 501 C21D 8/12 C22C 38/00 - 38/60 H01F 1/16

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量で、C≦0.006%、Si:5.
    0〜6.52%、Mn:0.07〜0.30%、S≦
    0.007%、酸可溶性Al:0.006〜0.038
    %、total N:8〜30ppm、残部Feおよび
    不可避的不純物からなる鋼インゴットを熱延して得られ
    た鋼板を、750〜1020℃の温度域で熱延板焼鈍し
    て、該鋼板の表層部の等軸晶粒と板厚中心部における圧
    延方向に繊維状に並んだ伸長粒を、板厚方向全域に亘っ
    て結晶粒組織が均一になるように再結晶させた後、板温
    120〜350℃の温度域で冷間圧延し、次いで800
    〜1020℃の温度域で再結晶と粒成長を行う焼鈍を施
    ことを特徴とする薄板厚・超高珪素電磁鋼板の製造方
    法。
  2. 【請求項2】前記熱延板焼鈍後の板温120〜350℃
    の温度域での冷間圧延と、これに続く800〜1020
    ℃の温度域での焼鈍との間に、さらなる再結晶軟化焼鈍
    及び冷間圧延を行うことを特徴とする請求項1記載の冷
    間圧延による薄板厚・超高珪素電磁鋼板の製造方法。
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