JP4772703B2 - 磁気特性に優れた電磁軟鉄製部品並びに電磁軟鉄製部品用棒線材及びその製造方法 - Google Patents

磁気特性に優れた電磁軟鉄製部品並びに電磁軟鉄製部品用棒線材及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4772703B2
JP4772703B2 JP2007005690A JP2007005690A JP4772703B2 JP 4772703 B2 JP4772703 B2 JP 4772703B2 JP 2007005690 A JP2007005690 A JP 2007005690A JP 2007005690 A JP2007005690 A JP 2007005690A JP 4772703 B2 JP4772703 B2 JP 4772703B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
less
soft iron
electromagnetic soft
grain size
rolling
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2007005690A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008169451A (ja
Inventor
学 久保田
敏三 樽井
猛 久保田
政男 籔本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2007005690A priority Critical patent/JP4772703B2/ja
Publication of JP2008169451A publication Critical patent/JP2008169451A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4772703B2 publication Critical patent/JP4772703B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Soft Magnetic Materials (AREA)

Description

本発明はソレノイド等の電磁軟鉄製部品、電磁軟鉄部品の素材である電磁軟鉄製部品用鋼材及びその製造方法に関するものである。
電磁軟鉄製部品用鋼材、特に、電磁軟鉄製部品用棒線材は、軟磁性材料として、例えば、自動車、産業機器類の電装部品、オートマチックトランスミッション、電磁クラッチ等に使用される、ソレノイド等の直流電気機器、即ち電磁軟鉄製部品の材料として主に利用されている。近年、自動車に使用される電子制御部品は増加しており、電磁軟鉄製部品の高性能化、小型化が求められている。そのため、電磁軟鉄製部品用棒線材の磁気特性に対しても更なる高性能化が求められている。この軟磁性材料に要求される磁気特性とは、外部磁界に対して発生する磁束密度が大きいこと(高磁束密度)、消費電力低減のためヒステリシス損が小さいこと(低保磁力)である。即ち、磁界の強さに伴う磁束密度の変化曲線(いわゆるヒステリシス曲線)において、保磁力(Hc)が小さく、飽和磁束密度(Bm)が大きい材料が要求されている。
このような要求に応える電磁部品用の材料として、純鉄系の軟磁性材料が提案されている。一般に純鉄系軟磁性材料の磁気特性を向上のためには、次のような方策が取られている。即ち、(1)高磁束密度を得るために鉄中のC量、及び合金元素量を極力低減して高純度化すること、(2)低保磁力を得るためにフェライト結晶粒を大きくし、(3)格子欠陥密度や晶析出物量を低減して磁区移動を容易化すること、である。
例えば、C量を大幅に低減してフェライト単相組織とし、Al、Nを低減して結晶粒の不均一さを抑制した軟磁性鋼が提案されている(例えば、特許文献1、非特許文献1)。特許文献1及び非特許文献1に提案されている電磁部品、軟磁性材料は、Mnの添加によってSを無害化し、冷間加工後の焼鈍によってフェライト結晶粒を成長させ、保磁力を小さくしたものである。非特許文献1には、フェライト結晶粒度を4番以下と粗大にすると、保磁力が急激に減少し、また良好な磁束密度特性が得られることが示されている。
しかしながら、従来レベル以上に磁気特性を向上するためにはC、Al、N量を従来レベルよりも大幅に、極限まで低減する必要がある。そのため、大量生産を前提とする現行の製鋼工場の精錬能力では、上記成分の極限までの低減は極めて難しく、また製造できたとしても製造コストが非常に高くなるという問題があった。
また、磁気特性を向上させるため、脱水素処理及びNiの添加により、厚鋼板が提案されている(例えば、特許文献2)。なお、特許文献2には、AlNによる結晶粒微細化作用が磁気特性に有害であることも開示されている。しかし、特許文献2に提案されている厚鋼板は、Alを脱酸剤として使用するものであり、棒線材の製造方法については記載されていない。
特開2003−226946号公報 特開平4−268022号公報 千葉政道、鹿礒正人、「純鉄系軟磁性材料」、神戸製鋼技報、第52巻、第3号、2002年12月1日、株式会社神戸製鋼所発行、p.66−69
本発明は以上のような課題点に鑑み、ソレノイド等の電磁軟鉄製部品、その電磁軟鉄部品の素材として使用される、磁気特性に優れた電磁軟鉄製部品用鋼材、特に電磁軟鉄製部品用棒線材及びその製造方法の提供を目的とするものである。
本発明は、Ni、Coの一方又は双方の添加により磁気特性を向上させ、更に、熱間圧延により棒線材に生じた集合組織に起因する磁気特性の劣化を抑制した電磁軟鉄製部品、その電磁軟鉄部品の素材として使用される、磁気特性に優れた電磁軟鉄製部品用鋼材及びその製造方法であり、その要旨は、以下の通りである。
(1) 質量%で、
Mn:0.20超〜0.50%
を含有し、さらに、
Ni:0.05〜1.00%、
Co:0.05〜1.00%
の一方又は双方を含有し、
C:0.02%以下、
Si:0.10%以下、
P:0.010%以下(0%を含む)、
S:0.010%以下(0%を含む)、
Total Al:0.010%以下(0%を含む)、
Sol.Al:0.005%以下(0%を含む)、
Ti:0.005%以下(0%を含む)、
N:0.0050%以下、
O:0.0200%
に制限し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、フェライト粒度番号が5番以下であり、かつ、軸方向断面のフェライト粒度番号GLと軸方向に垂直な方向の断面のフェライト粒度番号GCの比GL/GCが、0.80〜1.20であることを特徴とする磁気特性に優れた電磁軟鉄製部品。
(2) 上記(1)に記載の電磁軟鉄製部品の素材であって、質量%で、
Mn:0.20超〜0.50%
を含有し、さらに、
Ni:0.05〜1.00%、
Co:0.05〜1.00%
の一方又は双方を含有し、
C:0.02%以下、
Si:0.10%以下、
P:0.010%以下(0%を含む)、
S:0.010%以下(0%を含む)、
Total Al:0.010%以下(0%を含む)、
Sol.Al:0.005%以下(0%を含む)、
Ti:0.005%以下(0%を含む)、
N:0.0050%以下、
O:0.0200%
に制限し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、かつ、圧延方向断面のフェライト粒度番号GRと圧延方向に垂直な方向の断面のフェライト粒度番号GTの比GR/GTが、0.80〜1.20であることを特徴とする磁気特性に優れた電磁軟鉄製部品用棒線材。
(3) 上記(2)に記載の電磁軟鉄製部品用棒線材の製造方法であって、質量%で、
Mn:0.20超〜0.50%
を含有し、さらに、
Ni:0.05〜1.00%、
Co:0.05〜1.00%
の一方又は双方を含有し、
C:0.02%以下、
Si:0.10%以下、
P:0.010%以下(0%を含む)、
S:0.010%以下(0%を含む)、
Total Al:0.010%以下(0%を含む)、
Sol.Al:0.005%以下(0%を含む)、
Ti:0.005%以下(0%を含む)、
N:0.0050%以下、
O:0.0200%
に制限し、残部がFe及び不可避的不純物からなる圧延素材を1000℃〜1250℃に加熱し、仕上げ温度を800℃以上として熱間圧延し、熱間圧延後、880〜1250℃の温度範囲に加熱し、60〜3600s保持し、冷却する熱処理を施すことを特徴とする磁気特性に優れた電磁軟鉄製部品用棒線材の製造方法。
(4) 加熱、保持後の冷却速度が0.1〜5℃/sであることを特徴とする上記(3)に記載の磁気特性に優れた電磁軟鉄製部品用棒線材の製造方法。
本発明の磁気特性に優れた電磁軟鉄製部品用棒線材及びその製造方法によれば、ソレノイド等、電磁軟鉄製部品の直流磁気特性が改善され、これにより、自動車、産業機器類の電装部品、オートマチックトランスミッション、電磁クラッチなどの高性能化、小型化が可能になるなど、産業上の貢献が極めて顕著である。
本発明者らは、電磁軟鉄製部品及び電磁軟鉄製部品用棒線材の磁気特性に及ぼす各種因子について鋭意検討し、以下の知見を見出した。即ち、
(1)保磁力を小さくするためには磁区移動を容易化する必要があり、そのためには磁区移動の障害となる結晶粒界、介在物、晶析出物を低減する必要があり、特に、析出物、介在物等を極力低減することが有効である。
(2)結晶粒をピン止めする粒子(各種合金炭窒化物、硫化物、酸化物等)を形成する元素(Al、Ti、N、S、O)の中で、特にフェライト結晶粒を微細化する効果が大きいAlNを形成するAl量(特に、Sol.Al量)を規制しなくてはならない。
(3)Mn量を極端に低減すると圧延加熱中にMnSの一部がマトリックスに固溶し、その後の冷却過程や熱処理時に再析出することによってMnSが微細化するため、ある範囲での添加が必要である。
(4)Ni、Coは、鉄の飽和磁束密度を上昇させ、鉄中で炭窒化物、硫化物を生成しないため、保磁力にも悪影響を及ぼさないので、磁気特性向上に極めて有効な手段である。
(5)特に、棒鋼、線材形状に熱間圧延を行った場合、圧延による結晶方位の異方性(集合組織)が最終製品まで受け継がれ、磁気特性に悪影響を与える。即ち、棒鋼、線材を熱間圧延によって製造する際には、圧延方向(R方向)断面で観察されるフェライト結晶粒径よりも、圧延方向に対して垂直方向(T方向)断面で観察される結晶粒径の方が小さくなる傾向がある。これにより、棒線材を冷間鍛造、切削し、最終焼鈍を施して製造される最終製品である電磁軟鉄製部品に、集合組織に起因する磁気特性の異方性を生じる。これを防止するためには、電磁軟鉄製部品の軸方向(L方向)と軸方向に垂直な方向(C方向)のフェライト粒度の比を1に近づけることが好ましい。そのためには、熱間圧延後の棒線材に、組織がオーステナイト単相になる温度範囲に加熱する熱処理を行い、結晶方位の異方性を軽減することが有効である。
以下、本発明について詳細に説明する。まず、本発明の電磁軟鉄製部品及び電磁軟鉄製部品用棒線材の成分について説明する。
Mn:Mnは鉄の飽和磁束密度を低下させるため、0.50%以下とすることが必要である。一方、Mnは鋼中のSと結合してMnSを形成することにより、結晶粒の成長をピン止めし、結晶粒を微細化する効果を有する。このため、Mn添加量を0.20%以下に低減すると、圧延加熱中にMnSの一部がマトリックスに固溶し、その後の冷却過程や熱処理時にMnSが微細に再析出し、結晶粒がより微細になり、保持力が大きくなる。したがって、電磁軟鉄製部品及びその素材の飽和磁束密度の低下を抑制し、MnSの微細析出による結晶粒の微細化を防止するためには、0.20超〜0.50%の範囲にする必要がある。なお、Mnの添加により、素材の硬さが上昇して冷間加工性も低下するので、Mnを0.30%以下に低減することが好ましい。
Ni及びCo:Ni及びCoは飽和磁束密度を上昇させる元素であり、また鋼中で炭窒化物、硫化物を生成しないため、保磁力にも悪影響を及ぼさない。したがって、電磁軟鉄製部品及びその素材の磁気特性向上に極めて有効な元素である。一方、過度の添加は効果が飽和するのみならず磁気特性を却って低下させる場合もあることから、0.05〜1.00%の範囲にする必要がある。好適範囲は0.05〜0.30%である。本発明において、Ni及びCoは極めて重要な元素であり、それぞれ、0.05〜1.00%の範囲で、一方又は双方を添加することが必要である。
C:Cは鋼中でセメンタイトを形成し、これにより飽和磁束密度が低下し、保磁力も増加する。そのため、C量を0.02%以下に低減することが必要である。また、Cの含有により素材の硬さが上昇し、冷間加工性が低下するため、極力低減することが好ましいが、Cを低減させるためには精錬上のコストがかかる。好適な上限は0.01%以下である。
Si:Siは飽和磁束密度を低下させ、また素材硬さの上昇を通じて冷間加工性も低下するため、0.10%以下に低減することが必要である。また直流での使用を前提とした電磁軟鉄製部品の場合、渦電流損の低減を考慮する必要はないので、好適範囲は0.05%以下である。
P:Pは冷間加工性を低下させる元素であり、0.010%以下(0%を含む)に低減することが必要である。なお、好適範囲は0.008%以下である。
S:Sは不可避的に含有され、鋼中のMnと結合してMnSを形成し、結晶粒の成長をピン止めして、結晶粒を微細化する効果を有する元素であり、0.010%以下(0%をとする必要がある。そのため、Sが存在すると、Mnの添加量を0.010%以下に低減する必要がある。保磁力を小さくするためには、Mn量を0.008%以下とすることが好ましい。
Total Al:Alは、磁区移動の障壁となるAl等の介在物を形成するため、Alを過剰に含有すると保磁力が大きくなり、更に冷間加工時に介在物が破壊の起点となり、冷間加工性が低下する。したがって、Total Al量を0.010%以下(0%を含む)に低減する必要がある。また、鋼中に固溶したAlは、鋼中のNと結合してAlNを形成し、結晶粒の成長をピン止めする。AlNは結晶粒を微細化する大きな効果を有するため、保磁力が大きくなり、磁気特性が低下する。そのため、Total Al量を0.005%以下とすることが好ましい。なお、Total Alは、鋼中に含まれるAlの総量であり、鋼中の固溶量と、酸化物等の介在物として存在する量の合計である。
Sol.Al:鋼中に固溶したAlは、上述のようにAlNを生じて結晶粒を微細化し、磁気特性を大きく低下させる。特に、AlN低減の観点からはAlNを形成する可能性のあるSol.Al量を規制することが効果的であるので、Sol.Al量は0.005%以下(0%を含む)に低減する必要がある。好適範囲は0.003%以下である。なお、Sol.Alは、鋼中に酸化物等の介在物として存在するAlを除く固溶量であり、電解抽出残渣分析により測定することができる。
Ti:TiはTiNを形成する元素であり、過剰に添加すると粗大なTiNを生じて、冷間加工時に破壊の起点となり、冷間加工性が低下する。そのため、Ti量は0.005%以下(0%を含む)に低減する必要がある。また、Tiが、AlNと同様に微細なTiNを生じると、結晶粒が微細化し、磁気特性を低下させる。したがって、Ti量は0.003%以下とすることが好ましい。
N:Nは鋼中のAl、Nと結合し、結晶粒を微細化する効果を有するAlN、TiNを形成する。これにより、保磁力が大きくなるため、N量を0.0050%以下に低減する必要がある。好適範囲は0.0030%以下である。
O:Oは、鋼中でAl、Si、Ti等と酸化物を形成する元素である。これらの酸化物は、磁区移動の障壁となる介在物であり、保磁力が大きくするだけでなく、冷間加工時に介在物が破壊の起点となり、冷間加工性が低下するので0.0200%以下に低減する必要がある。好適範囲は0.0150%以下である。
次に、本発明の電磁軟鉄製部品の組織について説明する。
フェライト粒度番号:本発明においては、結晶粒径が微細化すると、磁気特性が低下するため、フェライト粒度番号を5以下とすることが必要である。フェライト粒度番号は、JIS G 0551に準拠して比較法又は切断法によって測定することができる。なお、フェライト粒度を測定する試料は測定面を任意の方向として採取すれば良い。例えば、軸方向(L方向)又は軸方向に垂直な方向(C方向)の何れかで良い。
なお、電磁軟鉄製部品が棒状である場合、その軸方向は、棒線材の長手方向、即ち圧延方向(R方向)に相当し、電磁軟鉄製部品の軸方向に直交する方向は、棒線材の圧延方向に垂直な方向(T方向)に相当する。
また、電磁軟鉄製部品が平板状である場合は、棒線材を圧延方向と平行に冷間鍛造したものであることが多いため、厚み方向を軸方向、水平方向を軸方向に垂直な方向と定義する。したがって、円盤、リング等の平板状の電磁軟鉄製部品は、厚み方向が素材である棒線材のR方向である場合と、T方向である場合が有り得る。厚み方向が素材のR方向に相当する場合は、水平方向がT方向に相当し、厚み方向が素材のT方向に相当する場合は、水平方向が素材のR方向に相当する。
更に、電磁軟鉄製部品が底と縦壁からなるカップ状である場合も、平板状と同様、棒線材を圧延方向と平行に冷間鍛造したものであることが多いため、カップの深さ方向を軸方向、底と平行な方向を軸方向に垂直な方向と定義する。したがって、カップ状の電磁軟鉄製部品では、カップの深さ方向が素材である棒線材のR方向である場合と、T方向である場合が有る。このうち、カップの深さ方向及び底の厚み方向が素材のR方向に相当する場合は、底と平行な方向がT方向に相当し、カップの深さ方向及び底の厚み方向が素材のT方向に相当する場合は、底と平行な方向が素材のR方向に相当する。
本発明では、電磁軟鉄製部品の軸方向のフェライト結晶粒度Gと軸方向に垂直な方向のフェライト結晶粒度Gの比G/Gを0.80〜1.20とすることが好ましい。これにより、線材圧延によって形成された集合組織に起因する磁気特性の異方性が軽減され、磁気特性が更に向上する。
次に、本発明の電磁軟鉄製部品の製造方法について説明する。
上述の成分からなる鋼を転炉、又は電気炉で溶製し、二次精錬、連続鋳造を行う。連続鋳造を行って得られた鋳片をそのまま圧延素材としても良いが、分塊圧延を行い、圧延素材としても良い。圧延素材を1000℃〜1250℃に加熱し、熱間圧延を行い、棒鋼、又は線材とする。
熱間圧延の仕上げ温度は800℃以上とすることが好ましい。これにより、圧延材の再結晶が促進され、結晶方位の異方性を軽減でき、最終製品のフェライト結晶粒度の異方性が軽減される。圧延後の冷却は空冷、又は徐冷で良い。
熱間圧延によって得られた棒線材を、鍛造などの冷間加工、切削加工の一方又は双方によって部品形状に加工する。部品形状への加工後、加工歪みを取り除き、フェライト結晶粒を再結晶、成長させて磁気特性を向上させるため、最終焼鈍を施す。最終焼鈍の加熱温度が低すぎるか、加熱時間が短すぎると、結晶粒が十分に成長しないことがある。一方、最終焼鈍の加熱温度が高すぎるか、加熱時間が長すぎると、組織の一部がオーステナイト化し、変態によって結晶粒径が微細化し、磁気特性が劣化することがある。そのため、最終焼鈍の加熱温度を800〜880℃、加熱時間を1〜10時間とすることが好ましい。最終焼鈍後の冷却は、空冷又は徐冷とするのが好適である。
熱間圧延で製造した棒線材は、そのまま冷間加工しても良く、熱間圧延後に冷間加工性を向上させるための中間焼鈍を施しても良い。中間焼鈍は、集合組織の異方性の解消にも有効であり、電磁軟鉄製部品の軸方向の断面と軸方向に垂直な断面の結晶粒度の比を1に近づけるために有効である。中間焼鈍の加熱温度が低すぎるか、加熱時間が短すぎると軟化が不十分になることがある。また、中間焼鈍の加熱温度が高すぎるか、加熱時間が長すぎると、セメンタイトがマトリックス中に再溶解し、冷却中に微細析出して軟化が不十分になることがある。したがって、中間焼鈍の効果を十分に得るため、好適な加熱温度及び加熱時間があり、本発明の鋼材の場合、加熱温度を650〜720℃、加熱時間を2〜24時間とすることが好ましい。中間焼鈍後の冷却は、空冷又は徐冷とするのが好適である。なお、中間焼鈍は冷間加工率が高い場合は有効であるが、必ずしも施す必要はない。
なお、特に優れた磁気特性が必要である部品に適用するものは、熱間圧延後、中間焼鈍、冷間加工を行う前に、高温に加熱してオーステナイト単相に変態させる熱処理を行うことが好ましい。これにより、熱間圧延によって生じた集合組織の異方性を解消することができる。
この、熱間圧延後に熱処理を行った、本発明の電磁軟鉄製部品用線材の組織について説明する。
圧延方向断面のフェライト粒度番号Gと圧延方向に垂直な方向の断面のフェライト粒度番号Gの比G/G:棒鋼、線材の形状に熱間圧延を行った場合に生じる結晶方位の異方性が最終製品まで受け継がれると、磁気特性に悪影響を与える。そのため、中間焼鈍、冷間加工前の熱間圧延後の電磁軟鉄製部品用棒線材の、圧延方向断面のフェライト粒度番号Gと圧延方向に垂直な方向断面のフェライト粒度番号Gの比G/Gは極力1に近いことが好ましい。具体的には、G/Gは、0.80〜1.20であることが好ましい。
この電磁軟鉄製部品用線材を用いて製造された電磁軟鉄製部品は、軸方向とそれに垂直な方向のフェライト粒度の比G/Gが0.80〜1.20となる。これにより、棒線材の形状への熱間圧延によって形成された集合組織に起因する磁気特性の異方性が軽減され、電磁軟鉄製部品の磁気特性が更に向上する。
次に、本発明の電磁軟鉄製部品用棒線材の製造方法のうち、熱間圧延後の熱処理について説明する。
熱間圧延後熱処理:熱間圧延後の棒鋼、線材の集合組織の異方性を軽減するには、熱処理によって組織の一部、又は全部を一旦オーステナイト化することが好ましい。加熱温度が低すぎるか、保持時間が短すぎるとオーステナイト化が不十分になって異方性の軽減効果が不十分になることがある。一方、加熱温度が高すぎるか、保持時間が長すぎるとコスト、設備制約、歩留まり等が低下する。したがって、加熱温度は880〜1250℃の範囲にすることが好ましく、より好適範囲は900〜1100℃である。また、保持時間は、60〜3600sが好ましく、保持時間の好適範囲は900〜1800sである。
また、加熱、保持後の冷却速度は、5℃/sよりも速すぎる場合はベイナイト、マルテンサイト組織が生成して、加工性を損なうことがある。また、冷却速度が、0.1℃/sよりも遅すぎる場合は、生産性が低下する。したがって、冷却速度は、0.1〜5℃/sとすることが好ましい。
本発明の電磁軟鉄製部品用棒線材の製造方法では、熱間圧延後に、伸線などの二次加工を行っても良い。なお、冷間での二次加工、例えば、伸線加工を行う場合は、冷間加工性を向上させるために、熱間圧延後、又は熱処理後の素材に焼鈍、又は球状化焼鈍処理を施しても良い。
以下に、実施例により本発明を詳細に説明する。
表1に示す組成を有する転炉溶製鋼を連続鋳造により製造し、分塊圧延工程を経て162mm角の圧延素材とした。次に熱間圧延によって直径が25mmの線材形状とした。一部の圧延材については、圧延後に表2に示す条件で、熱処理を施した。
次に線材に、680℃で5時間保持した後、空冷する中間焼鈍を施し、試料を採取して、JIS Z 2244に準拠してビッカース硬さを測定した。中間焼鈍後の線材を切断し、部品成形の冷間鍛造工程を模擬した50%の据え込み加工を室温で行った後、磁気特性評価用の試験片であるリング状試験片(外形10mm、内径6mm、高さ3mm)に切削加工した。したがって、リング状試験片では、厚み方向が軸方向に相当し、水平方向が軸方向に垂直な方向に相当する。
リング状試験片を850℃に加熱し、2時間保持した後、炉冷する最終焼鈍を行った。その後、軸方向の断面のフェライト粒度番号(G)及び軸方向に垂直な方向の断面のフェライト粒度番号(G)を測定した。なお、熱間圧延後に熱処理を行った線材については、線材の圧延方向の断面と圧延方向に垂直な断面のフェライト結晶粒度の比G/Gが、最終焼鈍後のリング状試験片のG/Gと同等であることを確認した。
リング状試験片の直流磁気特性の測定は、JIS C 2504(IEC 60404−4)に準じてヒステリシス曲線(B−H曲線)を求めることによって行った。保磁力(Hc)は磁界の強さ400A/m印加、反転時の条件で測定し、外部磁界に対する磁束密度は、外部磁界が100〜4000A/mのときに発生した磁束密度(B)を測定した。
結果を表2に示す。磁束密度の測定値は、1000A/mのときの磁束密度(B1000)を代表値として示した。なお、磁気特性の優劣の基準は、Hcに関しては60A/m以上のもの、B1000に関しては1.65以下のものについては磁気特性に劣ると判断した。
Figure 0004772703
Figure 0004772703
本発明例の製造No.2は圧延後の熱処理の効果を示している。同一成分の製造No.1、No.3と比較すると、フェライト粒度番号が小さく、G/Gが1により近くなっている。即ち、フェライト粒径が大きくなっており、また、異方性が改善され、そのため、Hcが小さくなり、磁気特性が向上していることが分かる。また、製造No.3はNo.1及び2と同一成分であり、熱間圧延後の熱処理条件が好ましい範囲から外れている本発明例であり、製造No.3の磁気特性は、製造No.1と同等である。なお、No.1、4、6〜11は、参考例である。
比較例である製造No.12〜17はいずれもNi、Coを含有していないため、B1000が発明例に比べて小さく、目標値に達していない。製造No.15〜17はMn量、Al量も本発明の範囲外であるため、フェライト粒度番号が大きくなっており、Hc、B1000ともに劣化している。
これらから明らかなように、本発明で規定する条件を全て満たすものは比較例に比べて直流磁気特性に優れている。

Claims (4)

  1. 質量%で、
    Mn:0.20超〜0.50%
    を含有し、さらに、
    Ni:0.05〜1.00%、
    Co:0.05〜1.00%
    の一方又は双方を含有し、
    C:0.02%以下、
    Si:0.10%以下、
    P:0.010%以下(0%を含む)、
    S:0.010%以下(0%を含む)、
    Total Al:0.010%以下(0%を含む)、
    Sol.Al:0.005%以下(0%を含む)、
    Ti:0.005%以下(0%を含む)、
    N:0.0050%以下、
    O:0.0200%
    に制限し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、フェライト粒度番号が5番以下であり、かつ、軸方向断面のフェライト粒度番号GLと軸方向に垂直な方向の断面のフェライト粒度番号GCの比GL/GCが、0.80〜1.20であることを特徴とする磁気特性に優れた電磁軟鉄製部品。
  2. 請求項1に記載の電磁軟鉄製部品の素材であって、質量%で、
    Mn:0.20超〜0.50%
    を含有し、さらに、
    Ni:0.05〜1.00%、
    Co:0.05〜1.00%
    の一方又は双方を含有し、
    C:0.02%以下、
    Si:0.10%以下、
    P:0.010%以下(0%を含む)、
    S:0.010%以下(0%を含む)、
    Total Al:0.010%以下(0%を含む)、
    Sol.Al:0.005%以下(0%を含む)、
    Ti:0.005%以下(0%を含む)、
    N:0.0050%以下、
    O:0.0200%
    に制限し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、かつ、圧延方向断面のフェライト粒度番号GRと圧延方向に垂直な方向の断面のフェライト粒度番号GTの比GR/GTが、0.80〜1.20であることを特徴とする磁気特性に優れた電磁軟鉄製部品用棒線材。
  3. 請求項2に記載の電磁軟鉄製部品用棒線材の製造方法であって、質量%で、
    Mn:0.20超〜0.50%
    を含有し、さらに、
    Ni:0.05〜1.00%、
    Co:0.05〜1.00%
    の一方又は双方を含有し、
    C:0.02%以下、
    Si:0.10%以下、
    P:0.010%以下(0%を含む)、
    S:0.010%以下(0%を含む)、
    Total Al:0.010%以下(0%を含む)、
    Sol.Al:0.005%以下(0%を含む)、
    Ti:0.005%以下(0%を含む)、
    N:0.0050%以下、
    O:0.0200%
    に制限し、残部がFe及び不可避的不純物からなる圧延素材を1000℃〜1250℃に加熱し、仕上げ温度を800℃以上として熱間圧延し、熱間圧延後、880〜1250℃の温度範囲に加熱し、60〜3600s保持し、冷却する熱処理を施すことを特徴とする磁気特性に優れた電磁軟鉄製部品用棒線材の製造方法。
  4. 加熱、保持後の冷却速度が0.1〜5℃/sであることを特徴とする請求項3に記載の
    磁気特性に優れた電磁軟鉄製部品用棒線材の製造方法。
JP2007005690A 2007-01-15 2007-01-15 磁気特性に優れた電磁軟鉄製部品並びに電磁軟鉄製部品用棒線材及びその製造方法 Active JP4772703B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007005690A JP4772703B2 (ja) 2007-01-15 2007-01-15 磁気特性に優れた電磁軟鉄製部品並びに電磁軟鉄製部品用棒線材及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007005690A JP4772703B2 (ja) 2007-01-15 2007-01-15 磁気特性に優れた電磁軟鉄製部品並びに電磁軟鉄製部品用棒線材及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008169451A JP2008169451A (ja) 2008-07-24
JP4772703B2 true JP4772703B2 (ja) 2011-09-14

Family

ID=39697824

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007005690A Active JP4772703B2 (ja) 2007-01-15 2007-01-15 磁気特性に優れた電磁軟鉄製部品並びに電磁軟鉄製部品用棒線材及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4772703B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5960476B2 (ja) * 2012-03-30 2016-08-02 株式会社ケーヒン 磁気異方性塑性加工品及びその製造方法と、それを用いた電磁装置
CN105238985B (zh) * 2015-07-02 2017-03-22 苏州科技学院 硫掺杂铁镍氧合金及其制备方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001158914A (ja) * 1999-11-30 2001-06-12 Sumitomo Metal Ind Ltd 二方向性珪素鋼板の製造方法
JP4223726B2 (ja) * 2002-02-06 2009-02-12 株式会社神戸製鋼所 冷間鍛造性と透磁率特性に優れた軟磁性鋼材および透磁率特性に優れた軟磁性鋼部品並びにその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008169451A (ja) 2008-07-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPWO2014133058A1 (ja) 高弾性限非磁性鋼材の製造方法
JP2007046125A (ja) 冷間鍛造性、被削性および磁気特性に優れた軟磁性鋼材、並びに磁気特性に優れた軟磁性鋼部品
JP5872334B2 (ja) 軟磁性ステンレス鋼細線およびその製造方法
KR20150097722A (ko) 망간강 제품의 열처리 방법 및 망간강 제품
JP2018109215A (ja) 非磁性オーステナイト系ステンレス鋼板および非磁性部材の製造方法
JP4515355B2 (ja) 高磁界での磁気特性と被削性に優れた軟磁性鋼材および高磁界での磁気特性に優れた軟磁性鋼部品
JP2006213975A (ja) 磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板とその製造方法および歪取焼鈍方法
WO2014157146A1 (ja) オーステナイト系ステンレス鋼板およびそれを用いた高強度鋼材の製造方法
JP6359783B1 (ja) オーステナイト系ステンレス鋼板およびその製造方法
JP5416452B2 (ja) 軟磁性鋼材、軟磁性鋼部品、およびこれらの製造方法
JP6453683B2 (ja) 軟磁性用線材、棒鋼及び軟磁性鋼部品
JP4772703B2 (ja) 磁気特性に優れた電磁軟鉄製部品並びに電磁軟鉄製部品用棒線材及びその製造方法
JP2012177170A (ja) 高強度非磁性オーステナイト系ステンレス鋼材及びその製造方法
JP2017128784A (ja) 軟磁性鋼部品の製造方法
JP2013049918A (ja) 電磁ステンレス鋼及びその製造方法
JP2023133104A (ja) 軟磁性線材および軟磁性棒鋼ならびに軟磁性部品
CN109097679B (zh) 一种船用低磁钢及其制备方法
JP2017002392A (ja) 軟磁性鋼板
JP4925990B2 (ja) 高周波焼入れ性と冷間鍛造性に優れた軟磁性鋼材および高強度軟磁性鋼部品
JP4266336B2 (ja) 熱間鍛造性、磁気特性および被削性に優れた軟磁性鋼材と、磁気特性に優れた軟磁性鋼部品およびその製造方法
JPH04329824A (ja) 冷間鍛造用マルテンサイト系ステンレス鋼の製造方法
JP6796483B2 (ja) 軟磁性鋼板
JP2008045182A (ja) 軟磁性鋼材、並びに軟磁性部品およびその製造方法
JPH07316744A (ja) 冷間加工性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼線材とその製造方法
TW202346617A (zh) 軟磁性線材及軟磁性鋼棒以及軟磁性零件

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090217

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110324

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110405

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110428

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110614

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110622

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140701

Year of fee payment: 3

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4772703

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140701

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140701

Year of fee payment: 3

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140701

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350