JP5960476B2 - 磁気異方性塑性加工品及びその製造方法と、それを用いた電磁装置 - Google Patents

磁気異方性塑性加工品及びその製造方法と、それを用いた電磁装置 Download PDF

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Description

本発明は、塑性加工品でありながら磁気異方性を示す磁気異方性塑性加工品及びその製造方法と、それを用いた電磁装置に関する。
電磁装置の一種である電磁弁は、電磁コイル(ソレノイド)と、該電磁コイルの電磁作用下に着磁・消磁する固定コア及び可動コアとを有する。すなわち、これら固定コア及び可動コアは軟磁性体からなり、電磁コイルに通電がなされて磁界が発生することに追従して磁化が発生し、この際に該可動コアに設けられた弁体が変位することで、ノーマルクローズド型の場合には開状態となり、ノーマルオープン型の場合には閉状態となる。また、通電が停止されて前記磁界が消滅することに追従して前記磁化が消滅すると、前記弁体が元の位置に戻り、これによりノーマルクローズド型の場合には閉状態、ノーマルオープン型の場合には開状態となる。
このような構成の電磁弁において、通電から通電停止、又はその逆に切り替えた際、開閉動作を開始してから終了するまでの時間、すなわち、応答速度を大きくしたいという要請がある。このために、固定コアないし可動コアが磁化を発生する際の磁束の流れを制御することが想起される。
この観点から、特許文献1には、複数枚の一方向性電磁鋼板を、所定の形状とした電磁鋼板からなる台座上に放射状に配置し、擬似的な棒形状体を形成することが提案されている。しかしながら、一方向性電磁鋼板は、その名称が示す通り平板形状であり、このような物体を放射状に配置すること自体が煩雑であり、しかも、困難である。その上、一方向性電磁鋼板は高価であり、コストの高騰を招いてしまう。
さらに、一方向性電磁鋼板のそもそもの形状が平板形状であるため、台座となり得る形状に加工する必要がある。このことも、コストの高騰の一因となる。
加えて、台座となる電磁鋼板と、一方向性電磁鋼板とが接着剤を介して接合されているが、この場合、接合力が十分であるとは言い難い。このため、開閉動作時において、接着剤に衝撃荷重が作用する際の耐久性に懸念がある。
特許文献2には、一方向性電磁鋼板の磁気特性を向上するべく、強冷間圧延加工の後で再結晶処理を施す際、圧延方向と平行に磁場を印加することが提案されている。しかしながら、この手法を適用し得るのは平板形状のもののみであり、従って、平板形状以外の形状の電磁鋼板を得ることはできない。結局、上記した不具合を解消することもできない。
特開平11−108231号公報 特開平10−158741号公報
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、平板形状以外の任意の形状をなす塑性加工品からなり、しかも、所望の方向の磁気特性が他の方向に比して優れる磁気異方性を示す磁気異方性塑性加工品及びその製造方法と、それを備える電磁装置を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明に係る磁気異方性塑性加工品は、軟磁性体からなる素材に対し、平板形状以外の形状が付与された塑性加工品であり、且つ磁気異方性を示すことを特徴とする。
すなわち、本発明においては、磁気異方性塑性加工品を、平板形状以外の所望の形状のものとして形成することができる。従って、例えば、略円柱体形状(棒状形状)とすることにより、特に、従来技術のように、棒状形状にするための加工を施すことなく、磁気回路を構成する固定コア又は可動コア等の構成部材として採用することができる。
すなわち、本発明によれば、円柱体形状のコアとするために、平板形状の磁性材料を放射状に配置したり、積層したり、接着剤を介して台座に接合したりする必要がない。この場合、煩雑な作業が不要となる上にコストが低減し、しかも、耐久性が向上するという利点が得られる。
前記磁気異方性塑性加工品は、磁化容易軸が1つである一軸磁気異方性を示すものである。ここで、一方向性電磁鋼板では、圧延加工(延展)方向に沿って磁化容易軸が指向する。これに対し、本発明によれば、磁化容易軸を所望(任意)の方向に指向させることができる。すなわち、例えば、磁界の向きと磁化容易軸の指向方向とを合致させること等が極めて容易である。このため、磁気回路のレイアウトの自由度等が向上する。
磁気異方性塑性加工品の金属組織における結晶粒の結晶粒度は、粒度番号にして3〜9の範囲内であることが好ましい。この場合、磁気異方性塑性加工品が靭性に優れるものとなるとともに、磁気異方性が十分となるからである。
磁気異方性塑性加工品は上記したように軟磁性体からなるが、この種の軟磁性体の好適な具体例としては、ケイ素鋼又はFe−Al合金等が挙げられる。
なお、磁気異方性塑性加工品の形状は、例えば、棒状(略円柱体)とすることができる。この場合、上記したように、特に加工を施すことなく固定コアや可動コアの構成部材として採用することができる。
以上のような磁気異方性塑性加工品は、素材に対し塑性加工によって歪みを付与し、さらに、磁場の存在下で熱処理を施すことによって得ることができる。
すなわち、本発明は、軟磁性体からなり、且つ磁気異方性を示す磁気異方性塑性加工品の製造方法であって、
軟磁性体からなる素材に対し、塑性加工を施して歪みを付与するとともに棒状成形品を得る工程と、
前記棒状成形品、又は該棒状成形品に平板形状以外の形状への変化を伴う加工を施して得られた形状付与品に対し、磁場の存在下で熱処理を施すことによって磁気異方性を付与し、磁気異方性塑性加工品を得る工程と、
を有することを特徴とする。ここで、「平板形状以外の形状への変化を伴う加工」とは、例えば、切削加工、研削加工等である。又は、塑性加工であってもよい。さらには、これらの中の2種以上を組み合わせてもよい。
熱処理は、再結晶温度〜(再結晶温度+100℃)の温度範囲で行うことが好ましい。この場合、棒状成形品ないし形状付与品の金属組織中で再結晶が進行するので、塑性加工の際に金属組織中に生じた転位が除去される。また、この温度範囲で熱処理を行うと、磁気異方性が十分に大きくなる。一層好ましい熱処理温度は、(再結晶温度+20℃)〜(再結晶温度+80℃)の範囲である。
また、塑性加工での加工率は、10〜40%であることが好ましい。この範囲外であると、磁気異方性が十分でなくなる。なお、加工率は、塑性加工の前後での断面積の減少率として定義される。
以上のようにして、1つの磁化容易軸を有し、一軸磁気異方性を示す磁気異方性塑性加工品が得られる。この場合、熱処理時に棒状成形品ないし形状付与品に作用する磁場の向きを調整することにより、磁化容易軸を、所望(任意)の方向に指向させることが可能である。この際の磁場の強度は、磁気異方性塑性加工品に十分な磁気異方性を発現させるべく、0.5T以上に設定る。
素材である軟磁性体の好適な例としては、上記したようにケイ素鋼又はFe−Al合金が挙げられる。
磁気異方性塑性加工品を棒状形状体として得るには、棒状形状をなす前記棒状成形品に対して磁場の存在下で熱処理を施すようにすればよい。
さらに、本発明は、通電された際に磁界を発生し、且つ通電停止によって前記磁界が消滅する電磁コイルと、前記磁界の発生・消滅に伴って磁化が発生・消滅する軟磁性体製部材とを有する磁気回路を含んで構成される電磁装置において、
前記軟磁性体製部材は、上記した磁気異方性塑性加工品からなることを特徴とする。
上記した磁気異方性塑性加工品を組み込むことにより、磁界の発生及び消滅に短時間で応答して磁化が発生・消滅する磁気回路とすることができる。従って、例えば、ソレノイド弁(電磁弁)では、磁気効率を向上して開閉時の応答速度が大きくなる。
本発明によれば、磁気異方性組成加工品を、平板形状以外の所望の形状として形成することができる。
また、本発明によれば、磁気異方性塑性加工品を、平板形状以外の所望の形状のものとして形成することができるので、例えば、略円柱体形状(棒状形状)とした場合には、特に、従来技術のように、棒状形状にするための加工を施すことなく、磁気回路を構成する固定コア又は可動コア等の構成部材として採用することができる。
従って、平板形状の磁性材料から円柱体形状のコアを得るべく、該磁性材料を放射状に配置したり、積層したり、接着剤を介して台座に接合したりする必要がない。このため、煩雑な作業が不要となる上にコストが低減し、しかも、耐久性が向上する。
図1A〜図1Cは、本発明の実施の形態に係る磁気異方性塑性加工品の全体概略斜視図である。 磁気異方性塑性加工品を得るための熱処理装置の要部概略縦断面図である。 図3A〜図3Cは、図1A〜図1Cに示す磁気異方性塑性加工品を得るための棒状成形品の保持状態を示す要部平面図である。 塑性加工時の加工率が互いに相違する棒状成形品において、ビッカース硬度を測定した結果を示すグラフである。 再結晶温度・形状・寸法が同一である棒状成形品の各々に対して種々の温度で熱処理を施したときの、熱処理時の温度と、磁場に直交する方向磁場に平行な方向とでの保磁力の差との関係を示したグラフである。 再結晶温度・形状・寸法が同一である棒状成形品の各々に対して種々の強度の磁場で熱処理を施したときの、磁場の強度と、磁場に直交する方向の保磁力と磁場に平行な方向の保磁力との差の関係を示したグラフである。 再結晶温度・形状・寸法が同一である棒状成形品に対し、磁場の存在下で熱処理を施したものと、磁場を発生させないで熱処理を施したものとの、磁場に対する方向と保磁力との関係を示したグラフである。 本発明に係る磁気異方性塑性加工品からなる軟磁性体部材が磁気回路に組み込まれた電磁弁の概略全体縦断面図である。
以下、本発明に係る磁気異方性塑性加工品及びその製造方法につき、該磁気異方性塑性加工品を備える電磁装置との関係で好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
先ず、磁気異方性塑性加工品につき説明する。
図1A〜図1Cは、本実施の形態に係る磁気異方性塑性加工品10a〜10cの全体概略斜視図である。この場合、磁気異方性塑性加工品10a〜10cは、略円柱体形状、換言すれば、棒状形状である。すなわち、磁気異方性塑性加工品10a〜10cは、平板形状以外の形状をなす。
これら磁気異方性塑性加工品10a〜10cは全て、軟磁性体からなる。すなわち、保磁力が比較的小さく且つ透磁率が比較的大きい。このため、磁気異方性塑性加工品10a〜10cは、外部に磁界が発生すると、該磁界によって容易に磁化される。一方、前記磁界が消滅したときには、これに追従して磁化が容易に消滅する。この種の軟磁性体の好適な例としては、ケイ素鋼やFe−Al合金等が挙げられる。
ここで、磁気異方性塑性加工品10a〜10cにおいて、各々の磁化容易軸は、矢印X1、X2、X3として示す方向を指向している。すなわち、磁化容易軸の指向方向は、図1Aに示す磁気異方性塑性加工品10aでは長手方向、図1Bに示す磁気異方性塑性加工品10bでは径方向、図1Cに示す磁気異方性塑性加工品10cでは長手方向及び径方向のそれぞれに対して約45°傾斜した方向である。
磁化容易軸は、磁界が発生した際に磁区の向きが揃い易い方向である。すなわち、磁気異方性塑性加工品10aでは、長手方向における透磁率がその他の方向に比して大きくなる。その一方で、長手方向における保磁力は、その他の方向に比して小さくなる。
また、磁気異方性塑性加工品10bでは径方向、磁気異方性塑性加工品10cでは長手方向及び径方向のそれぞれに対して約45°傾斜した方向での透磁率が、その他の方向に比して大きくなり、保磁力はこれと逆となる。要するに、磁気異方性塑性加工品10a〜10cは、磁気異方性を示す。
図1A〜図1Cを参照して諒解されるように、磁気異方性塑性加工品10a〜10cにおける磁化容易軸は、それぞれ、1つである。従って、磁気異方性塑性加工品10a〜10cは、一軸磁気異方性を示す。
磁気異方性塑性加工品10a〜10cの形状・寸法は、互いに同一である。そうであるにも関わらず、これら磁気異方性塑性加工品10a〜10cにおける磁化容易軸の方向は互いに相違する。すなわち、本実施の形態においては、同一形状・寸法の塑性加工品に対し、磁化容易軸を、互いに相違する方向に指向させている。
なお、磁化容易軸の指向方向は、図1A〜図1C中の矢印X1〜X3に示す方向に限定されるものではなく、所望(任意)の方向とすることが可能である。例えば、長手方向に対して約30°傾斜し、且つ径方向に対して約60°傾斜した方向に指向させるようにしてもよい。
このように、本実施の形態においては、磁化容易軸の指向方向、換言すれば、磁気特性が優れる方向を、磁気特性を強くすべき所望(任意)の方向とすることができる。従って、磁気異方性塑性加工品を磁性体製部材として組み込んで磁気回路を構成するような場合、所望の方向に指向する磁化容易軸を形成することにより、当該方向の磁気特性を強くすることができる。
磁気異方性塑性加工品10a〜10cは、素材に対して塑性加工が施されることで得られた成形品であり、このため、金属組織中の結晶粒は、素材における金属組織中の結晶粒から延展している。
磁気異方性塑性加工品10a〜10cにおける結晶粒、すなわち、延展後での結晶粒の結晶粒度は、粒度番号で表すとき、3〜9であることが好ましい。なお、粒度番号は、その数値が大きくなるほど小さい粒度を示す指標として周知である。
粒度番号が3より小さい(粒度が大きい)と、機械的特性、特に靭性が十分でなくなる懸念がある。このような磁気異方性塑性加工品10a〜10cを、磁気回路を構成する磁性体製部材として採用した場合、耐久性が十分でない懸念がある。一方、粒度番号が9より大きい(粒度が小さい)と、これに伴って保磁力が大きくなるので、磁気異方性塑性加工品10a〜10cを、ヨークやコアの適切な構成材とすることが容易でなくなる。
磁気異方性塑性加工品10a〜10cは、以下のようにして作製することができる。
はじめに、ケイ素鋼やFe−Al合金等の軟磁性体からなる素材に対し、塑性加工を施して歪みを付与し、これにより棒状成形品20(図2参照)を得る。素材は、例えば、棒状形状をなす。また、塑性加工は、素材を塑性変形させる加工であり、その具体例は、圧延加工やプレス加工等である。
ここで、棒状形状をなす素材に対して圧延加工を施し、棒状形状をなす棒状成形品20を得る場合、該棒状成形品20の断面積は、圧延加工が施される前の素材に比して小さい。すなわち、この場合、塑性加工の前後で断面積の減少を伴う。断面積の減少率は、「加工率」とも指称される(圧延加工の場合には、特に「減面率」ともいうこともある)。すなわち、加工率は、下記の式(1)にて定義される。
加工率[%]={(S−S)/S}×100 …(1)
ただし、Sは圧延加工前の素材の断面積、Sは圧延加工後の成形体の断面積である。
この際の加工率は、10〜40%であることが好ましい。加工率が10%未満であると、歪み量が十分ではなく、後述する再結晶が起こることが容易でなくなり、結果として、磁気異方性が十分でなくなる。また、加工率が40%を超えると、再結晶時、磁場の影響を容易には受けなくなる。換言すれば、磁気異方性を発現させるためには、磁場による多大な駆動力が必要となる。このため、この場合も、磁気異方性が十分でなくなる。
また、加工率をこの範囲内とすることにより、棒状成形品20における結晶粒度の粒度番号を3〜9の範囲内とすることが容易となる。
図1A〜図1Cに示される磁気異方性塑性加工品10a〜10cを得る場合、以上のようにして得た棒状成形品20に対し、図2に示すように、磁場の存在下で再結晶処理を施せばよい。
ここで、図2示す熱処理装置22につき説明する。この熱処理装置22は、熱処理炉24と、該熱処理炉24を囲繞する電磁コイル26とを有する。
熱処理炉24の内部には、棒状成形品20を保持するための台座28が設けられる。また、熱処理炉24にはヒータ30が付設されており、該ヒータ30の作用下に熱処理炉24が昇温される。
熱処理炉24の図2における上部には、排気孔32が形成されている。この排気孔32には、図示しないポンプ等の排気手段が接続される。熱処理炉24の内部のガスは、この排気手段によって排気することが可能であり、その結果、熱処理炉24内が、例えば、真空雰囲気となる。
ここで、真空雰囲気は、清浄な光輝表面を得るための一手段であり、熱処理炉24内の雰囲気を限定するものではない。熱処理炉24内の雰囲気としては、例えば、水素雰囲気等の還元雰囲気や、大気等の酸化性雰囲気を、磁気特性を低下させない範囲で利用することが可能である。
電磁コイル26は、熱処理炉24内に磁場を発生させるためのものである。本実施の形態においては、電磁コイル26に通電がなされることにより、矢印A方向に向かう磁場が発生する。
熱処理は、このように構成される熱処理装置22において、以下のようにして実施される。
先ず、棒状成形品20を台座28に保持する。なお、図2及び図3Aにおいては、棒状成形品20の長手方向が磁場の向きに合致するように保持しているが、保持された棒状成形品20が磁場の向きに対して如何なる角度で傾斜しているかによって、磁化容易軸の方向が定まる。この点については後述する。
次に、前記排気手段を付勢し、熱処理炉24内を負圧とする。この状態において、電磁コイル26に通電を行うことで図2中に矢印Aで示す方向に向かう磁場を発生させるとともに、ヒータ30を付勢することで熱処理炉24内を昇温する。これにより、棒状成形品20に対する熱処理が施される。
この際の温度は、少なくとも、再結晶が起こり得る温度とすることが好ましい。これにより、塑性加工を行ったことに伴って棒状成形品20の金属組織中に生じた転位が除去されるからである。
ここで、再結晶温度は、種々の温度で熱処理が施された棒状成形品20に対してビッカース硬度を測定することにより求めることができる。すなわち、該測定の最中でビッカース硬度が急激に低下する温度が再結晶温度である。
図4は、塑性加工時の加工率、及び熱処理温度が互いに相違する棒状成形品20に対してビッカース硬度を測定した結果を示したグラフである。この図4から、ビッカース硬度が急激に下降する熱処理温度(再結晶温度)は加工率によって相違し、加工率が大きいほど低温となることが分かる。従って、熱処理に際して再結晶を行う場合、その温度は、加工率に応じて設定される。
また、図5は、加工率を15%として作製し、再結晶温度が700℃である同一形状・寸法(直径5.5mm×高さ4mm。以下、同じ)の棒状成形品20に対し、700℃〜800℃の間の所定温度で熱処理を施して個別に得た塑性加工品につき、熱処理時の温度と、角度90°の保磁力から角度0°の保磁力を差し引いた値との関係を示したグラフである。なお、磁場の強度は10Tに設定している。
この図5から、再結晶温度が700℃である棒状成形品20に対し、700℃〜800℃の間で熱処理を施すことによって、角度90°と角度0°とで保磁力に相違を生じさせ得ることが分かる。特に、720℃〜780℃では、両保磁力の相違が顕著である。従って、熱処理時の温度は、再結晶温度〜(再結晶温度+100℃)とすることが好ましく、(再結晶温度+20℃)〜(再結晶温度+80℃)とすることが一層好ましい。
熱処理の保持時間は、特に限定されるものではないが、例えば、1〜5時間とすればよい。
この図5は、Feに2質量%のSiを添加したケイ素鋼での結果を示しているが、Fe−Al合金においても同様の結果が得られることを確認済である。
また、図6に、加工率を15%として作製し、再結晶温度が700℃である棒状成形品20に対し、磁場の強度を種々変化させて得た塑性加工品につき、磁場に直交する方向(角度90°)における保磁力と、磁場に平行な方向(角度0°)における保磁力との差を示すグラフに示す。さらに、図7は、加工率を15%として作製し、再結晶温度が700℃である棒状成形品20に対し、10Tの磁場中で720℃にて熱処理を施して得た塑性加工品につき、その方向と、保磁力との関係(◆のプロット)を示すグラフである。該図7には、電磁コイル26に通電を行わず(換言すれば、磁場を発生させることなく)720℃にて熱処理を施して得た塑性加工品につき、その方向と、保磁力との関係(■のプロット)を併せて示している。なお、上記同様に角度0°は磁場に平行な方向であり、90°は磁場に直交する方向である。
これら図6及び図7から、磁場の存在下で熱処理を施すことにより、印加磁場に平行な方向と、直交する方向とで保磁力が相違する(すなわち、磁気異方性が発現する)ようになることが明らかである。
なお、円柱体形状以外の所望の形状をなす磁気異方性塑性加工品を作製することも可能である。この場合、上記に準拠して棒状成形品20を得た後、該棒状成形品20に対し、所望の形状となるような塑性加工、切削加工及び/又は研削加工等をさらに施して形状付与品を作製する。その後、該形状付与品に対し、上記と同様に磁場の存在下で熱処理を施す。これにより、所望の形状をなす磁気異方性塑性加工品が得られるに至る。
磁気異方性塑性加工品は、例えば、電磁弁(電磁装置)に含まれる磁気回路の構成部材として採用することができる。以下、この点につき説明する。
図8は、電磁弁40の概略全体縦断面図である。この電磁弁40は、導入ポート42及び導出ポート44が設けられたバルブボディ46と、該バルブボディ46の上部にガイド部材48、プレート部材50、カバー部材52を介して連結された略円筒形状のハウジング54と、該ハウジング54の内部に設けられたソレノイド部56(磁気回路)とを有する。
さらに、ソレノイド部56の内部には、ハウジング54の上部開口を閉塞する天井壁部材57に位置決め固定された固定コア58と、該固定コア58に対して接近又は離間するとともに前記ガイド部材48に変位自在に挿入された可動コア60とが設けられる。この中、可動コア60の一端部には、弁体部材62が連結される。
固定コア58及び可動コア60の双方は、略円柱形状体をなし、且つ磁化容易軸が長手方向(矢印B1方向)に延在する磁気異方性塑性加工品10aからなる。
前記バルブボディ46は金属製材料から形成され、上流側の前記導入ポート42から下流側の前記導出ポート44に至るまでの間に、これら導入ポート42と導出ポート44とを連通する連通室64と、弁座部66とが設けられる。
導入ポート42は、バルブボディ46の側面に半径方向外方へ突出するように形成され、該導入ポート42の内部には、底部が連通室64側を臨むようにしてフィルタ68が装着されている。導入ポート42から導入される流体に塵埃等が含まれていた場合、フィルタ68によって塵埃等が除去され、これにより、該塵埃等が電磁弁40の連通室64に進入することが防止される。
導出ポート44は、前記導入ポート42に対して略180°離間する位置でバルブボディ46の側面に突出するように形成される。この導出ポート44には、例えば、継手部材を介してチューブ(いずれも図示せず)等が接続される。
弁座部66は、連通室64の下面から上方に向かって所定長だけ突出するように形成されている。この弁座部66に対しては、後述するように、前記弁体部材62を構成する円盤部70が着座・離間する。
ガイド部材48は、バルブボディ46の上部に連結されたフランジ部72を有し、該フランジ部72の下端面には、ストッパ部74とインロー部76が内周側からこの順序で設けられている。これらストッパ部74及びインロー部76は、所定間隔で互いに離間した円筒体であり、下方に向かって突出形成されている。
ここで、ストッパ部74は、フランジ部72の下面側に下方に向かって延在するように形成されている。弁体部材62が可動コア60とともにソレノイド部56の変位作用下に軸線方向に沿って上方へと変位した際、前記円盤部70の上面がストッパ部74の下端面に当接して係止され、変位終端位置となる。
インロー部76の外周径は、バルブボディ46の連通室64の内周径と略同一径となるように形成されている。このため、ガイド部材48をバルブボディ46の上部へと組み付ける際、インロー部76を連通室64の内周面に当接するように挿入することにより、ガイド部材48をバルブボディ46に対して容易に位置決めして組み付けることができる。また、ガイド部材48の内部に設けられる可動コア60とバルブボディ46の弁座部66との軸心を容易に一致させることができる。
このように構成されたストッパ部74とインロー部76との間には、前記ガイド部材48と、弁体部材62の円盤部70との間に介装されるコイルスプリング78の一端部が挟持されている。
フランジ部72の上端面には、軸線方向に沿って薄板円筒状に延在するとともに、後述するボビン82の内部に挿入される比較的長尺なガイド部84が設けられている。このガイド部84は、前記ストッパ部74に比して若干小径に形成されている。
ガイド部84の内部には、前記可動コア60が軸線方向に沿って変位する際にガイドするガイド孔86が形成されている。また、ガイド部84は、外周壁面がボビン82の内周面及びプレート部材50の貫通孔に当接するように挿入されるとともに、先端部が固定コア58の下端面に当接している。
プレート部材50は、磁気特性が等方性を示す金属製材料によって環状に形成され、ガイド部材48の上部に一体的に連結されている。そして、プレート部材50には、ガイド部材48のガイド部84が通されている。
プレート部材50の上部に連結されたカバー部材52の側面には、ソレノイド部56に電流を供給するための図示しない電源に接続されるコネクタ部88が設けられている。前記コネクタ部88には、その内部に一端部が露呈するように金属材からなる端子90が設けられ、該端子90は、カバー部材52の内部を介してソレノイド部56のボビン82に電気的に接続されている。なお、この端子90は、図示しない導線を介して前記電源に接続される。
ソレノイド部56は、その外周面に電磁コイル92が巻回されるとともにカバー部材52の内周壁に当接するように環状に配設された前記ボビン82と、該ボビン82の内部を軸線方向に沿って変位自在に設けられる可動コア60と、前記天井壁部材57に位置決め固定され、可動コア60と対向するように配設される固定コア58とを有する。カバー部材52の内部においては、電磁コイル92が巻回されたボビン82が一体的に係合されており、これによりボビン82全体がカバー部材52によって囲繞されている状態にある。
ボビン82の略中央部には、軸線方向に沿って貫通した挿入孔94が形成されている。この挿入孔94には、その上部に前記固定コア58が挿入されるとともに、下部にガイド部材48のガイド部84が挿入される。
固定コア58及び可動コア60は、上記したように略円柱形状体をなす磁気異方性塑性加工品10aからなる。また、可動コア60の下端部側にはねじ孔95が設けられ、該ねじ孔95には、弁体部材62に設けられたねじ部96が螺合される。これにより、弁体部材62が可動コア60に連結される。ここで、図8中の参照符号98は、可動コア60の側壁部に形成されたV溝を示す。
なお、弁体部材62の円盤部70は、連通室64の内周面との間に所定のクリアランスが生じた状態で該連通室64に挿入される。また、円盤部70の上端面には、上方に向かって所定長だけ突出したばね受部100が形成される。
このように構成される弁体部材62は、例えば、ステンレス鋼等の安価で耐食性に優れる金属材から作製されている。
円盤部70の下面には、該下面から所定深さだけ窪んだ環状の第1装着溝102が設けられており、該第1装着溝102には、弾性部材からなる第1シート104が装着される。円盤部70の上面にも同様に、該上面から所定深さだけ窪んだ環状の第2装着溝106が設けられ、この第2装着溝106に弾性部材からなる第2シート108が装着される。これら第1シート104及び第2シート108の好適な材質としては、ゴムが例示される。
第1シート104は、円盤部70が弁座部66に着座した際に該弁座部66に当接する位置に装着され、一方、第2シート108は円盤部70が上方に変位して上端面がストッパ部74に当接した際に、前記ストッパ部74の先端面に当接する位置に装着されている。
第1装着溝102及び第2装着溝106は、円盤部70の内部に軸線方向に沿って形成される連通孔110を介して連通している。そして、第1シート104及び第2シート108は、連通孔110の内部に装填される弾性材料からなる連結シート112によって一体的に連結されている。すなわち、第1シート104及び第2シート108は、第1装着溝102及び第2装着溝106に弾性材料を充填して固化させることにより形成されている。その際、例えば、第1装着溝102に弾性材料を充填することによって、該弾性材料が連通孔110を介して第2装着溝106にも充填される。このため、第1シート104、連結シート112、及び第2シート108を容易に一体成形して簡便且つ効率的に装着することができる。
また、この一体形成により、第1シート104及び第2シート108がそれぞれ第1装着溝102及び第2装着溝106から脱落することが防止される。
円盤部70の上端面とガイド部材48のフランジ部72の下端面との間に介装された前記コイルスプリング78は、その弾発力によって弁体部材62を弁座部66に着座させる方向に付勢している。なお、コイルスプリング78は、ガイド部材48のストッパ部74の外周面によって軸線方向に沿ってガイドされている。このため、コイルスプリング78は、ストッパ部74によって確実にガイドされながら、換言すれば、位置ずれを起こすことなく、軸線方向に沿って伸縮する。
また、コイルスプリング78は、一端部がストッパ部74とインロー部76との間に挟持されることにより、フランジ部72の下端面から脱落することが防止されている。その一方で、他端部が円盤部70の上端面に設けられたばね受部100に堰止されており、これにより、コイルスプリング78が円盤部70から脱落することが防止される。
ハウジング54は、磁化容易軸が矢印B2方向に指向する軟磁性体からなる金属製材料から構成される。すなわち、ハウジング54における磁化容易軸の指向方向は、固定コア58及び可動コア60の磁化容易軸の指向方向に一致する。なお、天井壁部材57は、磁気特性が等方性を示す軟磁性体からなる。
このハウジング54は、例えば、磁気異方性塑性加工品10aに対し、円筒体形状となるような加工(切削加工や研削加工等)を行うことによって得ることができる。
電磁弁40は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に、その動作並びに作用効果について説明する。
図8は、電磁コイル92に対して電流を供給していない状態、すなわち、非励磁状態にあり、可動コア60の先端部に連結された弁体部材62の円盤部70(第1シート104)が弁座部66に着座して導入ポート42と導出ポート44との連通が遮断された弁閉状態を示している。すなわち、電磁弁40は、ノーマルクローズド型である。
このようなオフ状態において、図示しない電源から前記導線を通じて電流を供給し、コネクタ部88の端子90を介して電磁コイル92に通電する。これにより該電磁コイル92が励磁され、その励磁作用下に、磁束が電磁コイル92から可動コア60へと向かい、再び電磁コイル92へと復帰して周回するように発生する。すなわち、磁界が発生する。
これにより、可動コア60がコイルスプリング78の弾発力に抗して軸線方向に沿って上方へと変位し、これに伴い、該可動コア60の先端部に連結された弁体部材62も上方に変位して、最終的に、弁体部材62を構成する円盤部70(第1シート104)が弁座部66から離間する。
ここで、固定コア58及び可動コア60の磁化容易軸は矢印B1方向に指向しており、また、ハウジング54の磁化容易軸は矢印B2方向に指向している。すなわち、この場合、磁束(磁界)の向きと、固定コア58、可動コア60及びハウジング54の磁化容易軸の指向方向とが合致している。
従って、可動コア60が上記したように変位することが容易となる。このため、通電を開始してから弁体部材62が変位を開始するまでの時間が短縮される。
円盤部70に装着された第2シート108がガイド部材48のストッパ部74に当接すると、可動コア60及び弁体部材62のそれ以上の変位が規制される。すなわち、変位終端位置となる。なお、この際、弾性材料からなる第2シート108によって円盤部70が変位終端位置まで変位した際の当接が緩和されるとともに、その当接音が低減される。
このようにして円盤部70が弁座部66から離間することにより、電磁弁40が弁開状態となる。これに伴って流体が導入ポート42から導入され、円盤部70と連通室64の内周面との間のクリアランスを介してバルブボディ46の内部に進入し、導出ポート44を介して外部へと排出される。
流体の排出を停止する場合には、上記とは逆に、図示しない電源から電磁コイル92への通電を停止し、該電磁コイル92を非励磁状態とすればよい。これに伴って前記磁束(磁界)が消滅するので、可動コア60に付勢されていた上方への変位力が喪失する。
同時に、可動コア60がコイルスプリング78によって下方へと弾発付勢され、弁体部材62の円盤部70における第2シート108がストッパ部74の下端面から離間する。その結果、円盤部70が弁座部66に着座して導入ポート42と導出ポート44との連通が遮断される。すなわち、図8に示す状態に戻る。以上により、電磁弁40を介しての流体の排出が停止される。
電磁コイル92への通電を停止すると、その向きが固定コア58、可動コア60及びハウジング54の磁化容易軸の指向方向と合致していた磁束(磁界)が消滅する。矢印B1方向及び矢印B2方向では、その他の方向に比して透磁率が大きく且つ保磁力が小さいので、磁性が短時間で消失する。従って、この際にも、可動コア60が上記したように変位することが容易となる。このため、通電を停止してから弁体部材62が変位を開始するまでの時間が短縮される。
以上のように、固定コア58、可動コア60及びハウジング54として磁気異方性を示す軟磁性体を採用するとともに、その磁化容易軸の指向方向を、発生する磁束(磁界)の向きと併せることにより、磁気効率を向上することが可能となり、この結果、応答速度が大きな電磁弁40を構成することができる。
その上、この場合、固定コア58及び可動コア60は、比較的単純な略円柱体形状であり、このため、磁気異方性塑性加工品10aに対して、従来技術のように略棒状形状とするためのさらなる加工を行うことなく固定コア58及び可動コア60を得ることができる。従って、一方向性電磁鋼板を放射状に配置したり、積層したり、接着剤を介して台座に接合したりする必要がない。このため、煩雑な作業が不要となり、且つコストが低減されるとともに、耐久性が向上する。
なお、ハウジング54は、上記したように略円柱体形状(棒状形状)をなす棒状成形品20に対して塑性加工を行うことで円筒形状体を得、該円筒形状体に対して所定の熱処理を施すことによって作製することができる。
磁気異方性塑性加工品からなる軟磁性体製部材を磁気回路に組み込んだその他の具体例としては、電磁アクチュエータ、リニアソレノイド弁、燃料噴射弁、トランス、モータ等が挙げられるが、本発明は、特にこれらに限定されるものではなく、軟磁特性が必要な材料に広く適用することが可能である。
また、上記した実施の形態では、軟磁性体としてケイ素鋼又はFe−Al合金を例示しているが、軟磁性体が特にこれらに限定されるものではないことはいうまでもない。
10a〜10c…磁気異方性塑性加工品 20…棒状成形品
22…熱処理装置 24…熱処理炉
26…電磁コイル 30…ヒータ
40…電磁弁 46…バルブボディ
54…ハウジング 56…ソレノイド部
57…天井壁部材 58…固定コア
60…可動コア 62…弁体部材
66…弁座部 70…円盤部
78…コイルスプリング 82…ボビン
88…コネクタ部 90…端子
92…電磁コイル 100…ばね受部

Claims (9)

  1. 軟磁性体からなるとともに棒状形状をなす塑性加工品であり、且つ磁化容易軸が1つである一軸磁気異方性を示すとともに、前記磁化容易軸が任意の方向に指向することに基づいて磁気異方性を示すことを特徴とする磁気異方性塑性加工品。
  2. 請求項1記載の塑性加工品において、結晶粒度を表す粒度番号が3〜9であることを特徴とする磁気異方性塑性加工品。
  3. 請求項1又は2記載の塑性加工品において、ケイ素鋼又はFe−Al合金からなることを特徴とする磁気異方性塑性加工品。
  4. 軟磁性体からなり、且つ1つの磁化容易軸が任意の方向に指向する一軸磁気異方性を示す磁気異方性塑性加工品の製造方法であって、
    軟磁性体からなる素材に対し、塑性加工を施して歪みを付与するとともに棒状成形品を得る工程と、
    前記棒状成形品、又は該棒状成形品に平板形状以外の形状への変化を伴う加工を施して得られた形状付与品に対し、強度が0.5T以上である磁場の存在下で熱処理を施すことによって磁気異方性を付与し、磁気異方性塑性加工品を得る工程と、
    を有することを特徴とする磁気異方性塑性加工品の製造方法。
  5. 請求項記載の製造方法において、前記熱処理を、再結晶温度〜(再結晶温度+100℃)の温度範囲で行うことを特徴とする磁気異方性塑性加工品の製造方法。
  6. 請求項又は記載の製造方法において、前記塑性加工での加工率が10〜40%であることを特徴とする磁気異方性塑性加工品の製造方法。
  7. 請求項のいずれか1項に記載の製造方法において、前記素材として、ケイ素鋼又はFe−Al合金からなるものを用いることを特徴とする磁気異方性塑性加工品の製造方法。
  8. 請求項のいずれか1項に記載の製造方法において、前記棒状成形品に対して磁場の存在下で熱処理を施し、磁気異方性塑性加工品を棒状形状体として得ることを特徴とする磁気異方性塑性加工品の製造方法。
  9. 通電された際に磁界を発生し、且つ通電停止によって前記磁界が消滅する電磁コイルと、前記磁界の発生・消滅に伴って磁化が発生・消滅する軟磁性体製部材とを有する磁気回路を含んで構成される電磁装置において、
    前記軟磁性体製部材は、請求項1〜のいずれか1項に記載された磁気異方性塑性加工品からなることを特徴とする電磁装置。
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