JPH0860246A - 磁気シールド材の製造方法 - Google Patents
磁気シールド材の製造方法Info
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- JPH0860246A JPH0860246A JP6222503A JP22250394A JPH0860246A JP H0860246 A JPH0860246 A JP H0860246A JP 6222503 A JP6222503 A JP 6222503A JP 22250394 A JP22250394 A JP 22250394A JP H0860246 A JPH0860246 A JP H0860246A
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Abstract
となく、磁気特性の優れたシールド用素材を製造する。 【構成】 C:0.005%以下、Si:0.03%以
下、Mn:0.23〜0.40%、Sol.Al:0.
003%未満、S:0.010%以下を含有し、残部が
Feおよび不可避的不純物からなる溶鋼を、連続鋳造し
て鋳片となし、加熱温度1000〜1200℃、仕上げ
温度730〜860℃、巻取り温度400〜620℃で
熱間圧延し、酸洗して表面のスケールを除去したのち、
720〜900℃の温度範囲でバッチ焼鈍または連続焼
鈍し、その後一次冷間圧延して中間焼鈍したのち、圧下
率40〜75%で二次冷間圧延する。 【効果】 磁気特性の優れたシールド素材を得ることが
できる。
Description
製造方法に関するもので、詳しくはカラー受像管の内部
に装着され、電子銃とシャドウマスクないしは蛍光面と
の間の電子ビームが通過する空間を囲う磁気シールド材
の製造方法に関する。
ら発射された電子ビームのシャドウマスクないしは蛍光
面までの進行経路が、地磁気や周辺の電子機器により生
じる磁界の影響を受け、色ずれ等の画像の歪みを避ける
ため、カラー受像管内あるいは外に漏斗状の磁気シール
ドが設けられている。上記磁気シールドは、カラー受像
管の内部に封入されるのが一般的であり、この場合素材
として用いられる強磁性体である0.15mm程度の薄
鋼板には、磁気特性が優れていること、成形加工性が良
好であること、機械的強度が大きいことの外に、熱放射
率が高く、かつガス放出の少ないこと、黒化処理性のよ
いことなどが特に要求される。
小限地磁気による影響を低減するため、地磁気に近い磁
界、すなわち0.35エルステッド(以下0.35Oe
という)における比比透磁率μができるだけ高いことが
要求される。また、カラー受像管による画像表示装置に
は、通常電源スイッチを入れた直後に作動する消磁回路
が設けられており、受像管周辺の画像に悪影響を及ぼす
残存磁気を消去しているが、シールド材の消磁を効果的
に行うには、保磁力Hcができるだけ小さいことが好ま
しい。ただし、比透磁率μと保磁力Hcは良好な相関が
あり、比透磁率μの高いほど保磁力Hcは小さい傾向が
ある。
せるには、素材の鋼中の化学成分の管理や製造法の改善
が重要であるが、それに加えて圧延やプレス成形等にお
ける加工歪みの残存は僅かであっても磁気特性を大きく
劣化させるので、最終形状に加工したのち十分に磁気特
性の回復、向上のためのいわゆる磁気焼鈍することが必
要である。しかるのち、磁気シールド材は、さらに防錆
加工および電子ビームの乱反射の防止や熱放射率向上の
ためにシールド機体表面に薄い黒色酸化被膜をつける黒
化処理が施され、受像管内部に組込まれる。この黒色酸
化被膜は、通常黒化処理と称する水蒸気添加空気のよう
な湿潤雰囲気および/またはCO2等のガス雰囲気中で
シールド機体を550〜600℃に10〜30分間加熱
し、表面酸化させて付着させるが、黒色酸化被膜の健全
なものが要求される。
記した薄鋼板の場合受像管組立ての最終工程で加熱しな
がら真空排気するベイキング工程で、通常問題のないレ
ベルまで低減される。しかしながら、もし磁気シールド
材の炭素含有率が高ければ、表面の黒化酸化被膜の酸素
と反応してCOガスが発生する可能性があるが、磁気特
性向上を目的として極低炭素化した鋼を用いる場合は、
ほとんど問題とはならない。さらに、受像管内のシール
ド機体の形状によっては、絞り加工性を要求される場合
や、曲げ加工だけの殆ど加工性が不要な場合もあるが、
厳しい加工が行われる磁気シールド材では、それに応じ
た加工性が必要である。
管内の磁気シールド材は、従来リムド鋼ないしはキャッ
プド鋼から製造された薄鋼板が多く使用されていた。リ
ムド鋼ないしはキャップド鋼は、上記磁気シールド材と
しての要求をほぼ満足し、薄鋼板にした状態で雰囲気調
整による脱炭焼鈍を行って極低炭素化したり、十分な焼
鈍を行って結晶粒を大きくすれば、磁気特性も改善され
る。その後、磁気シールド材の素材は、連続鋳造法の発
達につれて、脱酸にAlを使用するいわゆるアルミキル
ド鋼が主流になってきている。この連続鋳造法によるア
ルミキルド鋼は、リムド鋼やキャップド鋼に比較して偏
析も少なく、介在物も少ないが、脱酸剤として添加する
Alが鋼中の窒素と結合して生成する微細なAlNの存
在によって、地磁気程度の弱い磁場における磁気特性が
よくなく、また、焼鈍における結晶の粒成長性も良くな
い。しかし、リムド鋼やキャップド鋼は、次第に生産さ
れないようになってきたため、アルミキルド鋼を用いて
リムド鋼やキャップド鋼と同等ないしはそれより良好な
性能の磁気シールド材の開発が検討され、種々の提案が
行われている。
5%以下、Mn:0.1〜0.3%、Sol.Al:
0.005〜0.080%、N:0.008%以下、残
部Feおよび不可避的不純物からなる成分組成の鋼を熱
間圧延し、冷間圧延した後、これに焼鈍を施してC含有
量が0.01%以下の再結晶鋼板となし、次いで圧下
率:5〜17%の中間冷間圧延を施してから680〜8
00℃にて焼鈍することで粒度番号:5番以下の粗大結
晶粒とし、その後さらに圧下率:50%以上の冷間圧延
を施す方法(特公昭64−1531号公報)、C:0.
0030%以下、Al:0.005〜0.06%、N:
0.0030%以下を含有するスラブを、1000℃以
上の均熱温度であって、かつTs≦1.65Tc+12
1.25を満足させる均熱温度Tsおよび巻取温度T
c、720〜870℃の仕上温度で2.0mm以下まで
熱間圧延し、冷間圧延後650℃以上でバッチ焼鈍また
は連続焼鈍する方法(特公平6−2905号公報)、
C:0.12%以下、Mn:0.10〜0.50%、S
i:0.02%以下、P:0.03%以下、S:0.0
3%以下、Sol.Al:0.01%以下、N:0.0
001〜0.01%、残部Feおよび不可避的不純物か
らなるリムド鋼熱延鋼帯に、少なくとも一次冷間圧延、
焼鈍後の鋼帯C成分が0.01%以下であるオープンコ
イル脱炭焼鈍、圧下率40〜90%の二次冷間圧延を施
す方法(特公平6−13730号公報)が提案されてい
る。
31号公報および特公平6−2905号公報に開示の方
法は、磁気シールド材としての十分な特性を得るには製
造工程が長くなってしまったり、微細なAlNの無害化
が十分安定して達成できないばかりでなく、焼鈍コスト
が高くなり、実操業上必ずしも優れた方法とは言えな
い。また、特公平6−13730号公報に開示の方法
は、リムド鋼を使用するものであって、磁気シールド材
のためにリムド鋼を生産する必要があるばかりでなく、
オープンコイル脱炭焼鈍による極低炭素化が必須である
ばかりでなく、十分な焼鈍を行って結晶粒を大きくする
必要があり、焼鈍コストが高くなるという欠点を有して
いる。
は、前記したとおり受像管内部に組込まれた状態におい
て比透磁率μが高く、保磁力Hcが低いことが重要で、
同じ材料を用いる場合、最終形状に成形加工したのち、
600℃以上の高温で十分焼鈍し、加工歪を除去してや
ることが好ましい。しかしながら、成形加工後の高温焼
鈍は、その分余分の工程が必要となり、560〜590
℃程度の黒化処理温度で加工歪による磁気特性劣化が回
復するような素材が要求されるようになってきている。
鋼片として連続鋳造スラブを用いる場合は、脱酸剤とし
てAlを使用することが多いが、健全なスラブを得るた
めには固溶Alが残存する程度のAlの添加が必須であ
り、この残存した固溶Alが鋼中のNと結合して微細な
AlNを生じ、磁気特性を阻害する。
を原料とし、途中で極低炭素化のための脱炭焼鈍を行う
ことなく、磁気特性の優れたシールド用素材を製造でき
る磁気シールド材の製造方法を提供することにある。
を達成すべく鋭意試験研究を重ねた結果、製鋼時の精錬
過程で極低炭素化すれば、特に脱酸剤を用いなくても熱
間圧延に供し得る健全なスラブが連続鋳造できるという
事実から、極低炭素鋼を連続鋳造した鋳片を用い、極低
炭素鋼の成分組成、製造プロセスおよびその条件を特定
することによって、途中で極低炭素化のための脱炭焼鈍
を行うことなく、磁気特性の優れたシールド用素材を製
造できること、また、受像管の製法により圧延のままの
鋼板を用いて曲げ加工によりシールド部材を成形し、黒
化処理のみで組込まれる場合においても、黒化処理によ
る焼鈍効果で良好な磁気特性が得られ、さらに十分焼鈍
すればより一層磁気特性を向上できることを究明し、こ
の発明に到達した。
5%以下、Si:0.03%以下、Mn:0.23〜
0.40%、Sol.Al:0.003%未満、S:
0.010%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的
不純物からなる溶鋼を、連続鋳造して鋳片となし、加熱
温度1000〜1200℃、仕上げ温度730〜860
℃、巻取り温度400〜620℃で熱間圧延し、酸洗し
て表面のスケールを除去したのち、720〜900℃の
温度範囲でバッチ焼鈍または連続焼鈍し、その後一次冷
間圧延して中間焼鈍したのち、圧下率40〜75%で二
次冷間圧延することを特徴とする磁気シールド材の製造
方法である。
%以下、Si:0.03%以下、Mn:0.23〜0.
40%、Sol.Al:0.003%未満、S:0.0
10%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物
からなる溶鋼を、連続鋳造して鋳片となし、加熱温度1
000〜1200℃、仕上げ温度730〜860℃、巻
取り温度400〜620℃で熱間圧延し、酸洗して表面
のスケールを除去したのち、720〜900℃の温度範
囲でバッチ焼鈍または連続焼鈍し、その後一次冷間圧延
して中間焼鈍したのち、圧下率40〜75%で二次冷間
圧延し、得られた冷延薄鋼板を640〜850℃の温度
範囲でバッチ焼鈍または連続焼鈍することを特徴とする
磁気シールド材の製造方法である。
以下、Si:0.03%以下、Mn:0.23〜0.4
0%、Sol.Al:0.003%未満、S:0.01
0%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物か
らなる溶鋼を、連続鋳造して鋳片となし、加熱温度10
00〜1200℃、仕上げ温度730〜860℃、巻取
り温度400〜620℃で熱間圧延し、酸洗して表面の
スケールを除去したのち、720〜900℃の温度範囲
でバッチ焼鈍または連続焼鈍し、その後一次冷間圧延し
て中間焼鈍したのち、圧下率40〜75%で二次冷間圧
延することによって、途中で極低炭素化のための脱炭焼
鈍を行うことなく、受像管の製法により冷間圧延のまま
の冷延薄鋼板を用いて曲げ加工によりシールド部材を成
形し、黒化処理のみで組込まれる場合においても、黒化
処理による焼鈍効果で磁気シールド材として要求される
磁気特性に優れた磁気シールド材を得ることができる。
0.005%以下、Si:0.03%以下、Mn:0.
23〜0.40%、Sol.Al:0.003%未満、
S:0.010%以下を含有し、残部がFeおよび不可
避的不純物からなる溶鋼を、連続鋳造して鋳片となし、
加熱温度1000〜1200℃、仕上げ温度730〜8
60℃、巻取り温度400〜620℃で熱間圧延し、酸
洗して表面のスケールを除去したのち、720〜900
℃の温度範囲でバッチ焼鈍または連続焼鈍し、その後一
次冷間圧延して中間焼鈍したのち、圧下率40〜75%
で二次冷間圧延し、得られた冷延薄鋼板を640〜85
0℃の温度範囲でバッチ焼鈍または連続焼鈍することに
よって、途中で極低炭素化のための脱炭焼鈍を行うこと
なく、磁気シールド材として要求される磁気特性に優れ
た磁気シールド材を得ることができる。
らびに鋼板の製造条件を前記のとおり限定した理由を説
明する。Cは優れた磁気特性を確保するためにでき得る
限りその含有量を低減する必要のある不純物元素である
が、Sol.Alを実質的に残存させない未脱酸溶鋼に
おいては、連続鋳造における溶鋼凝固時にピンホールな
ど表面欠陥発生の原因となるので、健全な連続鋳造スラ
ブを得るためならびに製鋼コストの面から0.005%
以下とした。Siは非金属介在物の主要な構成因子をな
しており、この介在物の存在は磁気特性を劣化させ、か
つ黒化処理における酸化被膜の密着性を劣化させるので
少ない方が好ましく、0.03%以下とした。Mnは鋼
において磁気特性に大きく影響を与える元素で特に重要
であるが、0.23%未満では所期の磁気特性が得られ
ず、0.40%を超えると硬くなって加工性が悪化する
と共に、コストも上昇するので、0.23〜0.40%
とした。Sは鋼において0.010%を超えると磁気特
性が悪化するので、0.010%以下とするが、少なけ
れば少ないほど磁気特性が向上する。Sol.Alは微
細なAlN析出の原因となり、磁気特性を悪化させるの
で実質的に存在しないようにする必要があり、精錬技術
と経済性の面から、0.003%未満とした。その他不
純物元素は、磁気特性を悪化する場合が多いので、少な
ければ少ないほどよく、特にTi、Nb、Vなどの元素
は微量であっても磁気特性を大きく劣化させるので、
0.005%以下とすることが好ましい。
200℃としたのは、磁気特性は加熱温度の低い方が良
好であるが、1000℃未満では熱間圧延が不可能とな
り、1200℃を超えると磁気特性が劣化する傾向にあ
るからである。熱間圧延における仕上温度を730〜8
60℃としたのは、一般に鋼の熱間圧延は、A3変態点
以上で圧延を終えるが、磁気特性を見る限りにおいて
は、鋳片加熱温度を下げ、仕上温度をA3変態点とする
方が良好であるが、鋳片加熱温度を下げると圧延終了温
度を高くすることが困難となり、730℃未満では変形
抵抗が増して圧延が不安定となる。そこで磁気特性の向
上と熱間圧延の安定性の点から730〜860℃とし
た。巻取温度は、特に重要ではないが、400℃未満で
はコイルの形状が悪化し、620℃を超えるとスケール
が多くなるので、400〜620℃とした。
加工組織をなくし、結晶粒を粗大化する目的で行う焼鈍
は、結晶粒を粗大化できればよく、連続焼鈍方式でもバ
ッチ焼鈍方式でも行うことができ、最終製品の磁気特性
を大きく向上できるが、焼鈍温度が720℃未満では結
晶粒の粗大化が十分でなく、900℃を超えると結晶粒
が粗大化し過ぎて黒化処理における黒化酸化被膜の密着
性を劣化させるので、720〜900℃とした。なお、
この焼鈍における温度は、連続焼鈍の場合は高く、バッ
チ焼鈍の場合は低くなるが、720〜900℃の範囲で
均熱し、均熱時間は、コイル全長に亘ってほぼ安定した
金属組織が得られるよう適宜選定すればよい。熱間圧延
機で安定して圧延できるのは、通常板厚が約1.5mm
以上であるが、この熱延コイルを0.15mm前後の薄
鋼板まで一工程で冷間圧延した場合、磁気シールド材と
して磁気特性の良好なものは得られないため、中間焼鈍
を含む一次および二次の冷間圧延によって0.15mm
前後まで圧延する。この場合における二次冷間圧延の圧
下率を40〜75%としたのは、40%未満では磁気シ
ールド部材に成形した後の焼鈍または黒化処理において
十分な再結晶がなされず、磁気特性を確保することがで
きず、また、75%を超えると粗粒化が不十分となって
磁気特性が劣化するからである。なお、一次冷間圧延の
圧下率およびその後の中間焼鈍の条件は、特に重要では
なく限定されないが、所要の板厚が得られ、冷間圧延後
の加工組織が十分再結晶しておればよい。
鋼板の焼鈍温度を640〜850℃としたのは、640
℃未満では二次冷間圧延後の十分な再結晶と粒の成長が
得られず、所定の磁気特性を確保することができず、ま
た、850℃を超えると比比透磁率μの低下を招くため
である。また、板厚0.15mm前後まで圧延した冷延
薄鋼板を焼鈍したのち、必要に応じさらに調質圧延すれ
ば、降伏点伸びを抑え、成形時のトラブルを防止するこ
とができる。
を用いて溶製し、インゴットに鋳込んだのち、厚さ35
mmに鍛造した。この鍛造した素材を表2に示す条件で
板厚:2.3mmに熱間圧延したのち、次いで酸洗によ
りスケールを除去して箱焼鈍し、板厚0.3〜0.7m
mに一次冷間圧延して箱焼鈍し、さらに圧下率50〜7
8.5%で二次冷間圧延して板厚0.15mmとしたの
ち最終焼鈍して、0.35Oeにおける比比透磁率μ
と、1.0テスラまで磁化した後の保磁力Hcを測定し
た。なお、最終焼鈍の雰囲気は、CO:1.5%、CO
2:12%、H2:0.5%、N2:残りの黒化処理雰囲
気として590℃で15分間焼鈍し、生成した黒化被膜
の密着性を3mmφの曲げにて評価した。さらに、熱延
板箱焼鈍の超粗粒化による表面肌荒れ状況を目視によっ
て判定した。その結果を表2に製造条件を、表3に最終
焼鈍後の評価を示す。なお、表3中の黒化被膜欄の○は
密着性良好、×は密着性不良を、また、表面肌欄の○は
表面肌良好、×は超粗粒化による表面肌荒れ不良を示
す。
成分組成を満足させる鋼種Aを用い、この発明の熱延条
件、焼鈍条件および冷延条件を満足させる試験No.
1、2、3、8、15においては、鋼帯の0.35Oe
における比比透磁率μ:900前後以上、保磁力Hc:
1.2以下が得られており、優れた磁気特性を示すと共
に、黒化被膜の密着性ならびに表面肌荒れも良好であ
る。これに対し、この発明の成分組成を満足させる鋼種
Aを用いた場合においても、熱延条件、焼鈍条件および
冷延条件のいずれかがこの発明の範囲外である試験N
o.4〜7、9および16は、比比透磁率μ、保磁力H
cおよび表面肌荒れのいずれかが大きく劣っており、受
像管の磁気シールド材として適していない。また、この
発明の成分組成から外れた鋼種B、C、D、Fを用い、
熱延条件、焼鈍条件および冷延条件がこの発明の範囲で
ある試験No.10、11、12、14は、比比透磁率
μならびに保磁力Hcが大幅に劣化しており、また、成
分組成のSiを多く含有する鋼種Eを用い、熱延条件、
焼鈍条件および冷延条件がこの発明の範囲である試験N
o.13は、比比透磁率μならびに保磁力Hcが優れて
いるが、黒化被膜の密着性が悪く、受像管の磁気シール
ド材として適していない。
示す鋼種Aと同じ鋼を溶製したのち、連続鋳造して厚さ
35mmのスラブとなし、表4に示す条件で板厚:2.
3mmに熱間圧延したのち、次いで酸洗によりスケール
を除去して連続焼鈍し、板厚0.3mmに一次冷間圧延
して焼鈍し、さらに板厚0.15mmまで二次冷間圧延
したのち最終焼鈍し、0.35Oeにおける比透磁率μ
と、1.0テスラまで磁化した後の保磁力Hcを測定し
た。なお、最終焼鈍の雰囲気は、CO:1.5%、CO
2:12%、H2:0.5%、N2:残りの黒化処理雰囲
気として590℃で15分間焼鈍し、生成した黒化被膜
の密着性を3mmφの曲げにて評価した。さらに、熱延
板焼鈍の超粗粒化による表面肌荒れ状況を目視によって
判定した。その結果を最終焼鈍後の評価として表5に示
す。なお、表5中の黒化被膜欄の○は密着性良好、×は
密着性不良を、また、表面肌欄の○は表面肌良好、×は
超粗粒化による表面肌荒れ不良を示す。
17、18はいずれも優れた磁気特性が得られると共
に、黒化被膜の密着性ならびに表面肌荒れも良好であ
る。
洗によりスケールを除去したのち連続焼鈍し、板厚0.
3mmに一次冷間圧延して焼鈍し、さらに板厚0.15
mmに二次冷間圧延したのち仕上連続焼鈍し、次いでC
O:1.5%、CO2:12%、H2:0.5%、N2:
残りの黒化雰囲気で590℃で15分間黒化処理したの
ち、0.35Oeにおける比透磁率μと、1.0テスラ
まで磁化した後の保磁力Hcを測定した。また、黒化処
理後の黒化被膜の密着性を3mmφの曲げにて評価し
た。さらに、熱延板連続焼鈍の超粗粒化による表面肌荒
れ状況を目視によって判定した。その結果を黒化処理後
の評価として表7に示す。なお、表7中の黒化被膜欄の
○は密着性良好、×は密着性不良を、また、表面肌欄の
○は表面肌良好、×は超粗粒化による表面肌荒れ不良を
示す。
を連続焼鈍したのち、一次冷間圧延後箱焼鈍し、圧下率
50%で二次冷間圧延した板厚0.15mmの冷延コイ
ルを700℃で仕上連続焼鈍したのち、黒化処理するこ
とによって、比比透磁率μが1060〜1100まで向
上し、保磁力Hcが1.0まで低下しており、実施例2
よりもさらに著しく磁気特性が向上している。
同じ熱延コイルを、酸洗によりスケールを除去したのち
箱焼鈍し、板厚0.3mmに一次冷間圧延して箱焼鈍
し、さらに圧下率50%で二次冷間圧延して板厚0.1
5mmとしたのち、仕上連続焼鈍し、次いでCO:1.
5%、CO2:12%、H2:0.5%、N2:残りの黒
化雰囲気で590℃で15分間黒化処理したのち、0.
35Oeにおける比透磁率μと、1.0テスラまで磁化
した後の保磁力Hcを測定した。さらに、黒化処理後の
黒化被膜の密着性を3mmφの曲げにて評価した。さら
に、熱延板箱焼鈍の超粗粒化による表面肌荒れ状況を目
視によって判定した。その結果を黒化処理後の評価とし
て表9に示す。なお、表9中の黒化被膜欄の○は密着性
良好、×は密着性不良を、また、表面肌欄の○は表面肌
良好、×は超粗粒化による表面肌荒れ不良を示す。
を箱焼鈍したのち、一次冷間圧延後箱焼鈍し、圧下率5
0%で二次冷間圧延した板厚0.15mmの冷延コイル
を700℃で仕上連続焼鈍し、黒化処理することによっ
て、比比透磁率μが1450〜1380まで向上し、保
磁力Hcが0.8〜0.9まで低下しており、実施例3
よりもさらに著しく磁気特性が向上している。
と同じ熱延コイルを、酸洗によりスケールを除去したの
ち箱焼鈍し、板厚0.3mmに一次冷間圧延して箱焼鈍
し、さらに板厚0.15mmまで二次冷間圧延したの
ち、仕上箱焼鈍し、次いでCO:1.5%、CO2:1
2%、H2:0.5%、N2:残りの黒化雰囲気で590
℃で15分間黒化処理したのち、0.35Oeにおける
比透磁率μと、1.0テスラまで磁化した後の保磁力H
cを測定した。また、黒化処理後の黒化被膜の密着性を
3mmφの曲げにて評価した。さらに、熱延板箱焼鈍の
超粗粒化による表面肌荒れ状況を目視によって判定し
た。その結果を黒化処理後の評価として表11に示す。
なお、表11中の黒化被膜欄の○は密着性良好、×は密
着性不良を、また、表面肌欄の○は表面肌良好、×は超
粗粒化による表面肌荒れ不良を示す。
イルを箱焼鈍したのち、一次冷間圧延後箱焼鈍し、圧下
率50%で二次冷間圧延した板厚0.15mmの冷延コ
イルを700℃で仕上箱焼鈍し、黒化処理することによ
って、比比透磁率μが1050〜950まで向上し、保
磁力Hcが1.0〜1.1まで低下しており、実施例2
よりも著しく磁気特性が向上している。
ば、化学成分を規定した未脱酸キルド鋼を用い、製造プ
ロセスおよびその条件を特定することによって、途中で
極低炭素化のための脱炭焼鈍を行うことなく、磁気特性
の優れたシールド用素材を得ることができ、また、圧延
のままの素材をを用い、シールド部材に成形したのち、
黒化処理のみで組込む場合でも、黒化処理による焼鈍効
果で良好な磁気特性が得られ、さらに、冷間圧延したの
ち十分焼鈍することによって、より一層磁気特性を向上
させることができる。
小限地磁気による影響を低減するため、地磁気に近い磁
界、すなわち0.35エルステッド(以下0.35Oe
という)における比透磁率μができるだけ高いことが要
求される。また、カラー受像管による画像表示装置に
は、通常電源スイッチを入れた直後に作動する消磁回路
が設けられており、受像管周辺の画像に悪影響を及ぼす
残存磁気を消去しているが、シールド材の消磁を効果的
に行うには、保磁力Hcができるだけ小さいことが好ま
しい。ただし、比透磁率μと保磁力Hcは良好な相関が
あり、比透磁率μの高いほど保磁力Hcは小さい傾向が
ある。
鋼板の焼鈍温度を640〜850℃としたのは、640
℃未満では二次冷間圧延後の十分な再結晶と粒の成長が
得られず、所定の磁気特性を確保することができず、ま
た、850℃を超えると比透磁率μの低下を招くためで
ある。また、板厚0.15mm前後まで圧延した冷延薄
鋼板を焼鈍したのち、必要に応じさらに調質圧延すれ
ば、降伏点伸びを抑え、成形時のトラブルを防止するこ
とができる。
を用いて溶製し、インゴットに鋳込んだのち、厚さ35
mmに鍛造した。この鍛造した素材を表2に示す条件で
板厚:2.3mmに熱間圧延したのち、次いで酸洗によ
りスケールを除去して箱焼鈍し、板厚0.3〜0.7m
mに一次冷間圧延して箱焼鈍し、さらに圧下率50〜7
8.5%で二次冷間圧延して板厚0.15mmとしたの
ち最終焼鈍して、0.35Oeにおける比透磁率μと、
1.0テスラまで磁化した後の保磁力Hcを測定した。
なお、最終焼鈍の雰囲気は、CO:1.5%、CO2:
12%、H2:0.5%、N2:残りの黒化処理雰囲気と
して590℃で15分間焼鈍し、生成した黒化被膜の密
着性を3mmφの曲げにて評価した。さらに、熱延板箱
焼鈍の超粗粒化による表面肌荒れ状況を目視によって判
定した。その結果を表2に製造条件を、表3に最終焼鈍
後の評価を示す。なお、表3中の黒化被膜欄の○は密着
性良好、×は密着性不良を、また、表面肌欄の○は表面
肌良好、×は超粗粒化による表面肌荒れ不良を示す。
成分組成を満足させる鋼種Aを用い、この発明の熱延条
件、焼鈍条件および冷延条件を満足させる試験No.
1、2、3、8、15においては、鋼帯の0.35Oe
における比透磁率μ:900前後以上、保磁力Hc:
1.2以下が得られており、優れた磁気特性を示すと共
に、黒化被膜の密着性ならびに表面肌荒れも良好であ
る。これに対し、この発明の成分組成を満足させる鋼種
Aを用いた場合においても、熱延条件、焼鈍条件および
冷延条件のいずれかがこの発明の範囲外である試験N
o.4〜7、9および16は、比透磁率μ、保磁力Hc
および表面肌荒れのいずれかが大きく劣っており、受像
管の磁気シールド材として適していない。また、この発
明の成分組成から外れた鋼種B、C、D、Fを用い、熱
延条件、焼鈍条件および冷延条件がこの発明の範囲であ
る試験No.10、11、12、14は、比透磁率μな
らびに保磁力Hcが大幅に劣化しており、また、成分組
成のSiを多く含有する鋼種Eを用い、熱延条件、焼鈍
条件および冷延条件がこの発明の範囲である試験No.
13は、比透磁率μならびに保磁力Hcが優れている
が、黒化被膜の密着性が悪く、受像管の磁気シールド材
として適していない。
を連続焼鈍したのち、一次冷間圧延後箱焼鈍し、圧下率
50%で二次冷間圧延した板厚0.15mmの冷延コイ
ルを700℃で仕上連続焼鈍したのち、黒化処理するこ
とによって、比透磁率μが1060〜1100まで向上
し、保磁力Hcが1.0まで低下しており、実施例2よ
りもさらに著しく磁気特性が向上している。
を箱焼鈍したのち、一次冷間圧延後箱焼鈍し、圧下率5
0%で二次冷間圧延した板厚0.15mmの冷延コイル
を700℃で仕上連続焼鈍し、黒化処理することによっ
て、比透磁率μが1450〜1380まで向上し、保磁
力Hcが0.8〜0.9まで低下しており、実施例3よ
りもさらに著しく磁気特性が向上している。
イルを箱焼鈍したのち、一次冷間圧延後箱焼鈍し、圧下
率50%で二次冷間圧延した板厚0.15mmの冷延コ
イルを700℃で仕上箱焼鈍し、黒化処理することによ
って、比透磁率μが1050〜950まで向上し、保磁
力Hcが1.0〜1.1まで低下しており、実施例2よ
りも著しく磁気特性が向上している。
Claims (2)
- 【請求項1】 C:0.005%以下、Si:0.03
%以下、Mn:0.23〜0.40%、Sol.Al:
0.003%未満、S:0.010%以下を含有し、残
部がFeおよび不可避的不純物からなる溶鋼を、連続鋳
造して鋳片となし、加熱温度1000〜1200℃、仕
上げ温度730〜860℃、巻取り温度400〜620
℃で熱間圧延し、酸洗して表面のスケールを除去したの
ち、720〜900℃の温度範囲でバッチ焼鈍または連
続焼鈍し、その後一次冷間圧延して中間焼鈍したのち、
圧下率40〜75%で二次冷間圧延することを特徴とす
る磁気シールド材の製造方法。 - 【請求項2】 C:0.005%以下、Si:0.03
%以下、Mn:0.23〜0.40%、Sol.Al:
0.003%未満、S:0.010%以下を含有し、残
部がFeおよび不可避的不純物からなる溶鋼を、連続鋳
造して鋳片となし、加熱温度1000〜1200℃、仕
上げ温度730〜860℃、巻取り温度400〜620
℃で熱間圧延し、酸洗して表面のスケールを除去したの
ち、720〜900℃の温度範囲でバッチ焼鈍または連
続焼鈍し、その後一次冷間圧延して中間焼鈍したのち、
圧下率40〜75%で二次冷間圧延し、得られた冷延薄
鋼板を640〜850℃の温度範囲でバッチ焼鈍または
連続焼鈍することを特徴とする磁気シールド材の製造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22250394A JP3599118B2 (ja) | 1994-08-23 | 1994-08-23 | 磁気シールド材の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22250394A JP3599118B2 (ja) | 1994-08-23 | 1994-08-23 | 磁気シールド材の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0860246A true JPH0860246A (ja) | 1996-03-05 |
JP3599118B2 JP3599118B2 (ja) | 2004-12-08 |
Family
ID=16783454
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP22250394A Expired - Fee Related JP3599118B2 (ja) | 1994-08-23 | 1994-08-23 | 磁気シールド材の製造方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP3599118B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107185969A (zh) * | 2017-05-27 | 2017-09-22 | 内蒙古包钢钢联股份有限公司 | 中碳冷镦钢盘条表面氧化铁皮组分和厚度控制方法 |
-
1994
- 1994-08-23 JP JP22250394A patent/JP3599118B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN107185969A (zh) * | 2017-05-27 | 2017-09-22 | 内蒙古包钢钢联股份有限公司 | 中碳冷镦钢盘条表面氧化铁皮组分和厚度控制方法 |
CN107185969B (zh) * | 2017-05-27 | 2019-10-29 | 内蒙古包钢钢联股份有限公司 | 中碳冷镦钢盘条表面氧化铁皮组分和厚度控制方法 |
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---|---|
JP3599118B2 (ja) | 2004-12-08 |
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