JPH06256395A - Tnf−突然変異タンパク質 - Google Patents

Tnf−突然変異タンパク質

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JPH06256395A
JPH06256395A JP3300863A JP30086391A JPH06256395A JP H06256395 A JPH06256395 A JP H06256395A JP 3300863 A JP3300863 A JP 3300863A JP 30086391 A JP30086391 A JP 30086391A JP H06256395 A JPH06256395 A JP H06256395A
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tnf
human
tnfα
mutein
cells
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JP3300863A
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Walter Fiers
フィアーズ ウォルター
Jan Tavernier
タヴェルニール ヤン
Ostade Xaveer Van
ヴァン オスタデ グザヴィール
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F Hoffmann La Roche AG
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    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/52Cytokines; Lymphokines; Interferons
    • C07K14/525Tumour necrosis factor [TNF]
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
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    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides

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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ヒト腫瘍壊死因子(TNF)のアミノ酸配列
が1個またはそれ以上のアミノ酸の欠失、挿入および/
または置換により変更され、その結果としてTNF突然
変異タンパク質がヒトp75−腫瘍壊死因子レセプター
への結合親和性とヒトp55−腫瘍壊死因子レセプター
への結合親和性との間で有意な差を示すことを特徴とす
るTNF突然変異タンパク質またはその薬学的に許容し
うる塩、前記突然変異タンパク質をコードするDNA配
列、前記DNA配列を含むベクター、前記ベクターで形
質転換された宿主細胞、前記形質転換細胞を用いた前記
突然変異タンパク質の生産方法、前記突然変異タンパク
質を含む医薬組成物、および病気(例.癌)の治療のた
めのそれらの使用に関する。 【効果】 この化合物は細胞障害性を有し、抗腫瘍剤と
して有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ヒト腫瘍壊死因子突然
変異タンパク質またはその薬学的に許容しうる塩に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】腫瘍壊死因子、より詳細には腫瘍壊死因
子−α、は主に刺激されたマクロファージにより生産さ
れるサイトカインであり、これは種々の腫瘍細胞に対し
て顕著な細胞障害性を示すばかりでなく〔Carswell et
al., Procd. Nat. Acad. Sci.,U.S.A. 72, 3666-3670,
(1975) 〕、炎症や免疫反応のメディエーターとして多
様な役割を演ずる〔概説については、Beutler and Cera
mi, Ann. Rev. Immunol.7, 625-655 (1989); Bonavista
and Granger (eds.)“Tumor Necrosis Factor:Structu
re, Mechanism of Action, Role in Disease and Thera
py(腫瘍壊死因子:構造、作用機構、疾病および治療で
の役割)”, Karger, Basel (1990)を参照されたい〕。
ヒト腫瘍壊死因子−α(hTNF−α)の一次構造は大
腸菌にクローン化して発現させたcDNAのヌクレオチ
ド配列から推定された〔Pennicaet al., Nature 312, 7
24-729 (1984); Marmenout et al., Europ. J. Bioche
m.152, 515-522 (1985); Wang et al., Science 228, 1
49-154 (1985); Shirai et al., Nature 313, 803-806
(1985) 〕。リンパ球のサブセットにより生産されるサ
イトカインであり、しばしばヒト腫瘍壊死因子−β(h
TNF−β)と呼ばれるヒト・リンホトキシンとhTN
F−αとの間にはアミノ酸配列の著しい相同(30%)
が見られた〔Gray et al., Nature 312, 721-724 (198
4); Fiers etal., Cold Spring Harbour Symp. 51, 587
-595 (1986) 〕。
【0003】また、修飾されたアミノ酸配列を有するh
TNF−α、いわゆるTNF−α−突然変異タンパク
質、も当分野ですでに開示されている〔例えば、Yamagi
shi etal., Protein Engineering 3, 713-719 (1990);
Fiers, “Tumor Necrosis Factors: Structure, Functi
on and Mechanism of Action (腫瘍壊死因子:構造、
機能および作用機構)”, Aggarwal and Vilcek (ed
s.), Marcel Dekker, Inc.,New York, 印刷中; Fiers
et al., Bonavista and Granger, pp.77-81 (前掲)を
参照されたい〕。さらに、TNF−α−突然変異タンパ
ク質はいくつかの特許出願の主題となっている;例え
ば、国際特許出願公開番号WO86/02381、WO
86/04606およびWO88/06625、欧州特
許出願公開第155549、158286、16821
4、251037および340333号、並びにドイツ
特許出願公開第3843534号を参照されたい。
【0004】また、リンホトキシンの突然変異タンパク
質も当分野で、例えば欧州特許出願公開第25000
0、314094および336383号に、開示されて
いる。TNFの生物学的作用は特異的レセプター、すな
わちドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル
電気泳動(SDS−PAGE)で見掛け分子量55kD
のレセプター(p55−TNF−R)とSDS−PAG
Eで見掛け分子量75kDのレセプター(p75−TN
F−R)、によって仲介される。両方のTNFレセプタ
ーともすでにクローン化されており、すなわちp55−
TNF−Rは Loetscher et al. Cell 61, 351-359 (1
990)〕によって、そしてp75−TNF−Rは Dembic
et al. Cytokine 2, 53-58 (1990)〕によってそれぞれ
クローン化され(両レセプターについては欧州特許出願
第90116707.2号も参照されたい)、かなり最
近になって両レセプターはTNF−αばかりでなくTN
F−βとも高い親和性を示して結合することが見いださ
れた〔Schonfeld et al.,J. Biol. Chem. 266, 3863-38
69 (1991)〕。
【0005】
【発明の具体的説明】本発明の対象は、ヒト腫瘍壊死因
子のアミノ酸配列を土台とした突然変異タンパク質また
はその薬学的に許容しうる塩であり、前記配列が1個ま
たはそれ以上のアミノ酸の欠失、挿入および/または置
換により変更され、その結果として前記突然変異タンパ
ク質がヒトp75−腫瘍壊死因子レセプターへの結合親
和性とヒトp55−腫瘍壊死因子レセプターへの結合親
和性との間で有意差を示すものである。
【0006】本発明の好適な実施態様は、Pennica et a
l. 前掲 により開示されたTNF−αのアミノ酸配
列:
【0007】
【式1】
【0008】または Marmenout et al. (前掲)、Wang
et al. (前掲)あるいはShirai etal. (前掲)によ
り開示されたTNF−αのアミノ酸配列、より詳細には
成熟TNF−αをコードするプラスミドpDS56/R
BSII,Sph1−TNFαの挿入物のヌクレオチド
配列(図3aおよび3b、実施例Iを参照)によりコー
ドされるTNF−αのアミノ酸配列、を土台とした上記
のような突然変異タンパク質である。
【0009】本発明の特に好適な実施態様は、TNF−
αのアミノ酸配列が1個またはそれ以上の、好ましくは
1個または2個の、アミノ酸を他のアミノ酸、好ましく
は自然界に存在するアミノ酸、で置換することにより変
更された、上記のような突然変異タンパク質である。よ
り詳細には、本発明の好適な実施態様は、TNF−αの
アミノ酸配列が(157個のアミノ酸を有するTNF−
αのアミノ酸配列を参照して)29および/または32
位、31および32位、31位、あるいは29および3
1位で他のアミノ酸、好ましくは自然界に存在するアミ
ノ酸により置換された(29および/または32位、3
1および32位、あるいは31位での置換が好適であ
る)上記のような突然変異タンパク質である。任意のア
ミノ酸、好ましくは天然アミノ酸がこの位置で使用さ
れ、これによりヒトp75−TNF−Rおよびヒトp5
5−TNF−Rに対するその結合親和性間で有意差を示
すTNF−突然変異タンパク質が導かれる。29位置換
の場合は、セリン、グリシンまたはチロシンが好適であ
り、例えば29位での単一位置突然変異タンパク質の場
合には、セリンが特に好適である(Ser29−TNF
α)。31位置換の場合は、グルタミン酸(Glu31
TNFα)またはアスパラギンが好適である。32位置
換の場合は、チロシン(Tyr32−TNFα)またはト
リプトファン(Trp32−TNFα)が好適であり、後
者が特に好ましい。29および32位での二重位置突然
変異タンパク質の場合の特に好適な置換はSer29−T
rp32−TNFαであり、31および32位ではAsn
31−Thr32−TNFαである。本発明の突然変異タン
パク質はまた、当分野で知られた化学的ペプチド・タン
パク質合成法、例えばGrossand Meyenhofer, “The Pep
tides”Vol.1-9, Academic Press, Inc., HarcountBrac
e Jovanovich, Publs., San Diego (1979-1987) または
Fields and Nobel,Int. J. Pept. Prot. Res. 35, 161
-214 (1990)に記載されるような、部分的または全体的
な液相もしくは固相合成法によっても製造できることが
理解されよう。
【0010】前の段落で定義した突然変異タンパク質か
らのまたは突然変異タンパク質への1個または数個のア
ミノ酸の欠失、置換および/または付加により得られる
類縁体、すなわち突然変異タンパク質の29および/ま
たは32位、31位、あるいは31および32位が変更
されておらず、しかもなおヒトp75−TNF−Rへの
結合親和性とヒトp55−TNF−Rへの結合親和性と
の間で有意差を示す前記類縁体も本発明の対象である。
このような置換類縁体に関して、タンパク質の活性を一
般に変えないアミノ酸置換は当分野で知られており、例
えば H. Neurath and R.L. Hill,“The Proteins”(Aca
demic Press, New York, 1979,特に14頁の図6を参
照)に記載されている。最も一般的な変更は:Ala/
Ser、Val/Ile、Asp/Glu、Thr/S
er、Ala/Gly、Ala/Thr、Ser/As
n、Ala/Val、Ser/Gly、Tyr/Ph
e、Ala/Pro、Lys/Arg、Asp/As
n、Leu/Ile、Leu/Val、Ala/Gl
u、Asp/Gly、およびこれらの逆である(3文字
の略号はアミノ酸に対して使用され、当分野で慣例的で
ある)。
【0011】置換、付加および/または欠失類縁体は、
当分野で知られた方法、例えば Sambrook et al. Mole
cular Cloning, A Laboratory Manual, 2nd ed., Cold
Spring Harbour Laboratory, Cold Spring Harbour Lab
oratory Press, USA (1989)に、あるいは以下の段落に
記載される方法により製造することができる。この種の
類縁体がp75−TNF−Rおよびp55−TNF−R
への結合親和性間でまだ有意差を示すかどうかは、以下
に記載するように、例えばより詳細には実施例IIa)お
よびb)あるいは実施例VIIIに記載するようにして調べ
ることができる。さらに、この種の突然変異タンパク質
および類縁体の塩も本発明の対象である。このような塩
は当分野で知られた方法によって製造されうる。
【0012】さらに、病気、例えば癌、を治療するため
の上記のような突然変異タンパク質を提供することも本
発明の対象である。TNF−αが、その生物学的活性に
基づいて、いろいろな疾患の治療に有効であることは当
分野でよく知られている。例えば、TNF−αは、単独
であるいはインターフェロンと組み合わせて、効果的な
抗腫瘍剤でありうる〔Brouckaert et al., Int. J. Can
cer 38, 763-769 (1986)〕。しかしながら、その全身的
毒性はより広い治療用途の主な制限となっている〔Tagu
chi T. and Sohmura Y., Biotherapy 3, 177-186 (199
1)〕。
【0013】(推定上)異なる機能的役割を有する2種
類のTNFレセプターの発見により、所定の症状におけ
るTNFに対する有益な生物学的応答と望ましくない生
物学的応答の分析が可能となるだろう。この方法の実行
可能性を支持する状況証拠が存在する。例えば、マウス
において、マウスTNF−α(mTNF−α)はヒトT
NF−α(hTNF−α)よりも最高50倍毒性が強い
が、細胞培養で試験した場合は双方とも感受性細胞系列
に対して同等の活性を示すことが判明した〔Brouckaert
et al., Agents and Actions 26, 196-197 (1989); Ev
eraerdt, B. etal., Biochem. Biophys. Res. Comm. 16
3, 378-385 (1989)〕。
【0014】一方または他方のTNFレセプターに特異
的に結合する化合物(例えば、本発明のTNF突然変異
タンパク質)を使用することにより有益なTNF−α活
性と望ましくないTNF−α活性を調べる戦略は、TN
Fがある役割を演ずる他の症状において一般的に採用し
うると考えられる。また、先に記載したTNF突然変異
タンパク質をコードするDNA配列も本発明の対象であ
る。このようなDNA配列は、in vitro突然変異誘発の
既知方法〔例えば、Sambrook et al., 1989 を参照〕を
使って、当分野で開示されたhTNFをコードするゲノ
ムまたはcDNA配列から出発して作製することができ
る。この突然変異誘発は多数の突然変異タンパク質を得
るためにランダムに(その後突然変異タンパク質は適当
な検定系でそれらの望ましい性質について試験され
る)、あるいはDNA配列の所定位置に突然変異を起こ
すために、いわゆる部位特異的突然変異誘発〔例えば、
Sambrook et al., 1989, 15.51-15.113 を参照〕によ
り、またはポリメラーゼ・チェイン・リアクションを用
いる突然変異誘発〔例えば、White et al., Trends in
Genetics 5, 185-189 (1989)を参照〕により実施され
る。
【0015】ランダム突然変異誘発にしばしば使用され
る化学的突然変異原の1つは重亜硫酸ナトリウムであ
り、これはシトシン残基をウラシル残基に変換し、それ
故に“C”の“T”(ヌクレオチドの標準略号)へのト
ランジションへ導く〔この方法については、例えば、Sh
ortle and Nathans, Procd. Nat. Acad. Sci. U.S.A. 7
5, 2170-2174 (1978) または Pine and Huang, Meth. E
nzym. 154, 415-430 (1987) を参照されたい〕。この突
然変異原は一本鎖DNAに単独で作用し、一方突然変異
を起こした標的DNA配列の発現は二本鎖プラスミドベ
クターを使って達成される。突然変異誘発および発現ベ
クターへの再クローニングの必要性を回避するための1
つの可能性は、いわゆる“ファスミド(phasmid )”を
使用することである。これらは、プラスミド複製起点の
ほかに、繊維状ファージから誘導された複製起点を保有
するベクターである。このようなプラスミドの例はStan
ssenet al. 〔Nucleic Acids Res. 17, 4441-4454, (19
89)〕により記載されるpMaおよびpMcファスミド
である。この発現系を使うことにより、いわゆる“ギャ
ップ−二重鎖”構造を構築することが可能であり〔Kram
er et al., Nucl. Acids. Res. 12, 9441-9456 (1984)
を参照〕、そこではTNFコード配列のみが一本鎖形状
であるために、特定の化学的突然変異原にとって近づき
やすい。ランダム突然変異誘発に使用する“ギャップ−
二重鎖”はStanssen et al. 〔前掲〕が部位特異的突然
変異誘発に関して記載する通りに構築しうる。ただし、
(−)鎖は(+)鎖と同じ活性抗生物質耐性遺伝子を含
まないようにする。hTNFαをコードするDNA配列
中の異なる制限部位を利用することによって、ギャップ
幅の変更が可能である。このような制限部位の例はCl
al−Sall部位(470ヌクレオチド)、BstX
l−BstXl部位(237ヌクレオチド)またはSt
yl−Styl部位(68ヌクレオチド)である。その
後、ギャップ−二重鎖構築物は、Shortle and Nathans
〔前掲〕に記載されるように、次第に増加する濃度(最
高4M)の重亜硫酸塩で処理し、続いて数回の透析を行
う。このようなファスミド構築物を使って、例えばSamb
rook et al. 〔前掲〕に記載される方法に従って、適当
な原核宿主細胞を形質転換することができる。適当な原
核宿主細胞とは、この状況下では、宿主細胞が特定の修
復機能を欠き、その結果ウラシル残基が複製の間DNA
中に保持され、そして該宿主細胞が対応する突然変異T
NFを発現する能力を有するような宿主細胞を意味す
る。この種の特定の宿主株は当分野で知られており、例
えば大腸菌株としては大腸菌BW313〔Kunkel,T.A.,
Procd. Natl. Acad. Sci. USA 82, 488-492 (1985)〕
がある。得られたクローンはその後適当な検定系により
目的のTNF突然変異タンパク質を発現するものについ
てスクリーニングする。例えば、マイクロタイタープレ
ートを使って、適切な抗生物質を含む培地にそれぞれの
コロニーをまく。リゾチームを加えて細胞を溶解し、続
いて連続凍結−融解サイクルにかける。核酸の沈殿およ
び遠心後に、各コロニーの上清は、例えば実施例IIaお
よびIIbまたは実施例VIIIに記載されるような適当な検
定法により、直接または精製後に、生存細胞表面上のp
75−TNF−Rおよびp55−TNF−Rへの結合に
ついて測定される。
【0016】所望により、突然変異の特定部位は、例え
ば制限断片分析〔Sambrook et al.(前掲)を参照〕に
より決定することができる。このような断片のDNA配
列の決定により、正確な突然変異位置を決めることがで
き、そしてその突然変異がアミノ酸置換へ導く場合は、
決定されたDNA配列から新しいアミノ酸を誘導するこ
とができる。DNAの塩基配列決定は当分野で知られた
方法に従って行われ、例えば市販のシークエンシングキ
ット(スウェーデン、ウプサラ、Pharmacia 社)では超
コイルDNAに対してT7ポリメラーゼを使って実施さ
れる。
【0017】すでに上で述べたように、所定のDNA配
列に突然変異を起こすもう1つの可能性は“部位特異的
突然変異誘発”によるものである。最初に Hutchinson
andEdgell J. Virol. 8, 181 (1971)〕により概説さ
れたこの種の突然変異誘発の汎用される戦略は、一本鎖
DNA配列(ここに突然変異が導入される)の標的領域
へ目的のヌクレオチド置換を有する合成オリゴヌクレオ
チドをアニーリングすることを包含する〔再検討のため
には、Smith, Annual. Rev. Genet. 19, 423 (1985)
を、改良法については、Stanssen et al. (1989)中の文
献2−6を参照されたい〕。
【0018】1つの好適な上記方法は Stanssen et al.
(1989) の方法であり、この方法は最初に Kramer et a
l. (1984) 〔前掲およびKramer and Fritz, Methods in
Enzymology, (1987), Academic Press, Inc., USA〕に
より記載された“ギャップのある二重鎖DNA”を使用
するが、やはりStanssen et al. (1989)〔前掲〕により
開示されたファスミド技法と共に、突然変異保有鎖の選
択のためにM13機能遺伝子の代わりに抗生物質耐性遺
伝子を使用するものである。この方法の利点は、遺伝子
を新しい突然変異誘発ベクターに移すことなく連続して
突然変異誘発サイクルを行うことができる点にある:す
なわち、2回目の突然変異誘発は別の抗生物質マーカー
に対する選択のみが相違する(Stanssen et al. 前
掲)。確認のために、突然変異型TNFの野生型TNF
への部位特異的復帰突然変異誘発が使用される。さら
に、TNF遺伝子中に制限部位を作製したりあるいはT
NF遺伝子中の制限部位を破壊するオリゴヌクレオチド
を使用することにより、部位特異的突然変異誘発に使用
したオリゴヌクレオチドへのハイブリダイゼーションば
かりでなく制限部位の存在または不在によっても突然変
異型を確認することができる。アミノ酸配列の所定の位
置で野生型アミノ酸が任意の天然アミノ酸により置換さ
れている1組のTNF突然変異タンパク質を形成するた
めに、その所定位置で可能なあらゆるコドンを有する1
組のオリゴヌクレオチドが使用される。
【0019】すでに上述したように、所定のDNA配列
に突然変異を起こす別の可能性は、ポリメラーゼ・チェ
イン・リアクション(PCR)を用いる突然変異誘発で
ある。この方法の原理は例えば White et al. (1989)に
よって概説されており、その改良法は例えば Innis et
al. 〔PCR Protocols: A Guide to Methods and Applic
ations, Academic Press, Inc. (1990) 〕に記載されて
いる。
【0020】PCRは規定された鎖長および配列の特定
のDNA断片を少量の鋳型DNAから大量に生産する i
n vitro 方法である。こうして、PCRは標的配列の反
対鎖にハイブリダイズする2つのオリゴヌクレオチドプ
ライマーによってはさまれるDNA断片の酵素的増幅に
基づいている。プライマーはそれらの3′末端が互いに
面するように方向づけられる。鋳型の熱変性、相補配列
へのプライマーのアニーリング、およびアニーリングし
たプライマーのDNAポリメラーゼによる伸長反応から
成る反復サイクルは、PCRプライマーの5′末端によ
り規定されるセグメントの増幅をもたらす。各プライマ
ーの伸長産物は他方の鋳型として役立つので、各サイク
ルは前のサイクルで生産されたDNA断片の量を実質的
に2倍にする。プライマーは物理的に増幅産物に組み込
まれ、かつプライマーの5′末端と鋳型の間の誤対合は
増幅効率に顕著な影響を及ぼさないので、増幅配列を変
更して増幅DNAに希望の突然変異を導入することが可
能である。好熱菌テルムス・アクアチクス(Thermus aq
uaticus )から単離された熱安定性TaqDNAポリメ
ラーゼを利用することによって、それぞれの熱変性段階
後に酵素の添加を必要としたポリメラーゼの変性を回避
することが可能となった。この開発は種々の簡単な温度
循環デバイスによるPCRの自動化へ導いた。さらに、
プライマーアニーリングおよび伸長反応でのより高い温
度の使用を可能にすることによって、増幅反応の特異性
が高められる。高められた特異性は、酵素およびプライ
マーに対する非標的断片による競合を最小限に抑えるこ
とによって、増幅産物の全収量を増大させる。
【0021】オリゴヌクレオチドのデザインおよび合成
は、例えば Sambrook et al. (1989) または部位特異的
突然変異誘発に関して先に挙げた文献に記載されるよう
な、当分野で知られた方法により行われる。本発明のT
NF突然変異タンパク質をコードするDNA配列が作製
されたらすぐに、上記のようなファスミド技法により、
あるいは当分野でよく知られた適当な原核または真核発
現系の使用により、発現が実施される〔例えば、 Sambr
ooket al., 前掲を参照されたい〕。
【0022】発現は好ましくは原核細胞、例えば大腸
菌、枯草菌(Bacillus subtilis )などで行われ、大腸
菌、特に大腸菌K12株、例えばM15〔Villarejo et
al.,J. Bacteriol. 120, 466-474 (1974) にDZ29
1として記載されている〕、HB101〔ATCC番号
33694〕、WK6(Stranssens et al. 前掲)、ま
たは大腸菌SG13009〔Gottesman et al., J. Bac
teriol. 148, 265-273 (1981) 〕が好適である。また、
本発明の突然変異タンパク質の発現は、例えばサッカロ
ミセス(Saccharomyces )、ピキア(Pichia)などの酵
母細胞、アスペルギルス(Aspergillus )などの糸状
菌、またはチャイニーズ・ハムスター卵巣細胞系列など
の細胞系列のような下等または高等真核細胞で行うこと
もでき、酵母細胞での発現が好適である〔Sreekrishna
et al., Biochem. 28, 4117-4125 (1989); Hitzeman et
al., Nature 293, 717-722 (1981); 欧州特許出願公開
第263311号を参照されたい〕。本発明のTNF突
然変異タンパク質の発現はこのような系において細胞内
で、あるいは遺伝子の適当な改変後では細胞外で起こる
(Leemans et al., Gene 85, 99-108, 1989 を参照され
たい)。
【0023】大腸菌による発現に使用される適当なベク
ターは、例えば Sambrook et al.〔前掲〕、または Fie
rs et al.,“Procd. 8th Int. Biotechnology Symposiu
m ”〔Soc. Franc. de Microbiol., Paris, (Durand et
al., eds.), pp. 680-697 (1988) 〕に記載されてお
り、より詳細には、pDSファミリーのベクター〔Buja
rd et al., Methods in Enzymology, eds. Wu and Gros
smann, Academic Press,Inc. Vol. 155, 416-433 (198
7); Stuber et al., Immunological Methods, eds. Lef
kovits and Pernis, Academic Press, Inc. Vol. IV, 1
21-152 (1990) 〕、例えばpDS56/RBSII,Sp
h1−TNFαSer29またはpDS56/RBSI
I,Sph1−TNFαTrp32(実施例I参照)、
あるいはpDS56/RBSII,Sph1−TNFαG
lu31またはpDS56/RBSII,Sph1−TN
FαAsn31Thr32(実施例VII 参照)である。
形質転換された大腸菌株M15(pREP4;pDS5
6/RBSII,Sph1−TNFαGlu31)および
M15(pREP4;pDS56/RBSII,Sph1
−TNFαAsn31Thr32)は、特許のためのブ
ダペスト条約のもとで、1991年9月18日に BRD、
Braunschweigの Deutsche Sammlung von Mikroorganism
en und Zellkulturen GmbH (DSM)に、それぞれ寄託番号
DSM6714およびDSM6715として寄託され
た。これらの特定のpDS56/RBSIIプラスミドで
は、それらの特殊な調節可能のプロモーター/オペレー
ター要素およびリボソーム結合部位のために高レベルの
発現が達成されるから、プロモーター/オペレーター要
素の活性が該オペレーターへのlacリプレッサーの結
合により抑制されるときだけ、これらのプラスミドは大
腸菌細胞内に維持される。プロモーターの活性は、リプ
レッサーを不活性化してプロモーターを活性化するIP
TGの添加により、希望する細胞密度で回復させること
が可能である。大部分の大腸菌株はこれらの高コピー数
プラスミドに存在するプロモーター配列の機能を完全に
抑制するに足るリプレッサー分子を供給しないので、大
腸菌M15またはSG13009のような大腸菌株は、
初めにlacリプレッサーをコードするpREP4のよ
うなプラスミドで形質転換し、続いて本発明のpDS5
6/RBSIIプラスミドで形質転換しなければならず、
このプラスミドはその後大腸菌細胞内に安定した状態で
維持される。lacリプレッサーをコードするほかに、
pREP4は複製と娘細胞への安定した伝達に必要とさ
れるすべての情報を含むプラスミドpACYC184
〔Chang and Cohen, J. Bacteriol. 134, 1141-1156 (1
978)〕の領域をも含んでいる〔これ以上の情報について
は、Stuber et al. による“大腸菌での高レベル生産系
および組み換えタンパク質の迅速精製:エピトープマッ
ピング、抗体の生産および構造機能分析への応用”, Im
munological Methods, Vol.IV, pp.121-152, Lefkovits
and Pernis (eds.), Academic Press, New York (199
0) を参照されたい〕。
【0024】上記ベクターによる宿主細胞の形質転換は
通常の方法によって実施することができる〔例えば、Sa
mbrook et al. ( 前掲)を参照〕。宿主細胞が大腸菌の
ような原核細胞である場合、DNAを取り込むことので
きるコンピテント細胞は指数的生長相後に回収して既知
のCaCl2 法により処理した細胞から調製される。ま
た、形質転換は宿主細胞のプロトプラストを形成した後
で、あるいは当分野で知られた、例えばSambrook et a
l. ( 前掲)に記載される他の方法で実施してもよい。
従って、上記のようなTNF突然変異タンパク質をコー
ドするDNA配列を含み、特に原核または下等真核宿主
細胞での発現に適したベクター、およびこのようなベク
ターで形質転換された宿主細胞、特に原核宿主細胞
(例.大腸菌)または下等真核宿主細胞も本発明の対象
である。
【0025】通常、希望の発現ベクターを含む宿主生物
はそれらの増殖に最適な条件下で増殖される。指数的増
殖の最終段階にある原核宿主細胞の場合には、単位時間
あたりの細胞数の増加が減少するとき、目的のTNF突
然変異タンパク質の発現が誘導され、すなわち目的のT
NF突然変異タンパク質をコードするDNAが転写さ
れ、転写されたmRNAが翻訳される。この誘導は誘導
物質または抑制解除物質を培地に加えることによって、
あるいは物理的パラメーターを変える(例えば、温度を
変える)ことによって実施される。本発明の好適な実施
態様で用いられる発現ベクターでは、発現がlacリプ
レッサーにより調節される。イソプロピル−β−D−チ
オガラクトピラノシド(IPTG)を加えることによ
り、発現調節配列は抑制解除され、これにより目的のT
NF突然変異タンパク質の合成が誘導される。
【0026】上記のように形質転換宿主細胞により生産
された本発明のTNF突然変異タンパク質は、培地から
あるいは細胞を破壊した後に、タンパク質・ペプチド化
学において知られた適当な方法、例えば硫酸アンモニウ
ム沈殿、透析、限外濾過、ゲル濾過、イオン交換クロマ
トグラフィー、ゲル電気泳動、等電点電気泳動、アフィ
ニティークロマトグラフィー(例.イムノアフィニティ
ークロマトグラフィー)、HPLCなどにより抽出・回
収することができる。特に好適な方法は硫酸アンモニウ
ムおよび/またはポリエチレンイミンによる沈殿、透
析、アフィニティークロマトグラフィー、例えばフェニ
ル−アガロース、特にフェニル−セファロースによるも
の、またはイオン交換クロマトグラフィー、特にMON
O−Q−および/またはMONO−S−マトリックス
(スウェーデン、ウプサラ、Pharmacia 社)によるもの
であり、より詳細には、Tavernier et al.〔J. Mol. Bi
ol. 211, 493-501 (1990) 〕に記載されるものおよび実
施例Iまたは実施例III に記載されるものである。
【0027】従って、上で述べた形質転換宿主細胞を適
当な培地で培養し、培養上清または宿主細胞自体から突
然変異タンパク質を単離し、所望により該突然変異タン
パク質を薬学的に許容しうる塩に転換することから成
る、先に定義した化合物の生産方法を提供することは本
発明の対象である。また、このような方法によって生産
された化合物も本発明の対象である。
【0028】本発明の突然変異タンパク質は、ヒトp7
5−TNF−Rおよびヒトp55−TNF−Rに対する
その結合親和性間で有意差を示す点に特徴がある。この
ような特性は結合親和性を測定する当分野で知られた検
定法を使って調べることができる。例えば、TNF自体
の結合および本発明の突然変異タンパク質の結合は、2
種類のTNFレセプターを異なるレベルで発現する培養
下の細胞、例えばヒトp55−TNF−Rを独占的に発
現するHep−2細胞およびさらにヒトp75−TNF
−Rも発現するU937またはHL60細胞、を使って
測定することができる〔Brockhaus et al., Procd. Na
t. Acad. Sci. U.S.A. 87, 3127-3131 (1990); Hohmann
et al., J. Biol. Chem. 264, 14927-14934 (1989); L
oetscheret al. (1990); Dembic et al. (1990) を参照
されたい〕。もちろん、結合親和性は実施例IIbに詳し
く記載されるように精製した天然または組み換えp55
−TNF−Rおよびp75−TNF−Rを使うことによ
って、あるいはこの種のレセプターの対応する可溶性類
縁体を使うことによって、直接測定することも可能であ
る。
【0029】“ヒトp75−腫瘍壊死因子レセプターお
よびヒトp55−腫瘍壊死因子レセプターに対するその
結合親和性間の有意差”なる表現は、本発明の状況にお
いて、本発明の突然変異タンパク質が使用した検定系で
野生型TNFと比べて2種類のTNFレセプターの一方
に優先的に結合すると言うに足るほど有意な、2種類の
TNFレセプターに対する結合親和性の差を意味する。
より詳細には、この表現は、実施例IIa)の検定系の状
況において、本発明の特定のTNF突然変異タンパク質
のKD 値が、U937細胞を使って測定したTNF−α
自体のKD 値より少なくとも10倍またはそれ以上、特
に好適には少なくとも102 倍、大きいが、同じTNF
突然変異タンパク質のHep−2細胞を使って測定した
D 値はTNF−α自体のKD 値の2倍より大きくない
ことを意味する〔詳細なデータについては、実施例II
a)の表1を参照されたい〕。しかしながら、これらの
明確なKD 値は例示のためのものであって、いかなる場
合も限定として解釈されるべきでない。
【0030】本発明の突然変異タンパク質は、例えば実
施例IVに記載した当分野で知られた方法により、それら
の抗腫瘍活性によって特徴づけられる。本発明の突然変
異タンパク質は、例えばL929(表1参照)またはL
−M細胞系列のようなマウス細胞系列に基づいた標準T
NF検定において、必ずしもそうとは限らないが、かな
り低減した細胞障害活性を示す。
【0031】本発明のTNF突然変異タンパク質は病気
(例えば、癌)の治療に使用することができる。本発明
の更なる対象は、本発明の化合物1種またはそれ以上
を、所望により、別の薬学的活性物質および/または無
毒性で、不活性の、治療上適合しうる担体物質と組み合
わせて含有する医薬組成物、並びにその調製方法であ
る。このために、1種またはそれ以上の本発明化合物
は、所望によりまたは必要に応じて他の薬学的活性物質
と組み合わせて、常用される固体または液体の担体物質
と共に既知方法で調製される。このような調製物は、す
でに使用されている類似した活性および構造の調製物か
ら類推して、通常の基準を考慮して投与される。
【0032】上で本発明を一般的に説明してきたが、以
下の実施例で本発明の細部を例示することにする。しか
しながら、これらの実施例はいかなる場合も本発明を限
定するものではない。
【0033】
【実施例】実施例I Ser29−TNFαおよびTrp32−TNFαの製造 突然変異誘発ベクターの構築
【0034】
【式2】
【0035】N25OPSN25OP29およびRBS
IIの支配下にあるコード領域は矢印で示してある;この
プラスミドの完全なヌクレオチド配列については、ヌク
レオチドの一文字標準略号で示される図3b/1−3b
/3を参照されたい〕から、リボソーム結合部位RBS
II、成熟TNFαコード配列および130bpの非翻訳
配列を含むEcoRl−HindIII 断片を単離した。
この断片はEcoRl−HindIII 開環pMacファ
スミド(Stanssens et al., 前掲)にクローニングし、
構築物pMa/RBSII,Sph1−TNFαおよびp
Mc/RBSII,Sph1−TNFαを得た。 一本鎖(ss)DNAの単離 pMa/RBSII,Sph1−TNFαファスミドを大
腸菌WK6に形質転換した(Stanssens et al., 前
掲)。1つのコロニーを採取し、5mlのLB培地(Sa
mbrook et al., 1989 )+カルベニシリン(50μg/
ml)中37℃で一晩培養した。この集密培養物1ml
を200mlのLB+カルベニシリンにまいた。吸光度
(650nm)が0.1の値に達したとき、培養物にM
13K07ヘルパーファージ(Stanssens et al., 198
9)を約20のm.o.i.(感染多重度)で感染さ
せ、さらに37℃で一晩インキュベートした。その後、
細胞を遠心し(10分、10,000rpm)、上清を
別のチューブに移した。50mlのPEG溶液(20%
ポリエチレングリコール6000;2.5M NaC
l)を加え、この混合物を氷の上に1時間置いてファー
ジを沈殿させた。遠心(10分、8000rpm)後、
上清を除き、チューブをペーパータオル上で10分間乾
かした。ファージペレットは6mlのTE緩衝液(10
mM トリス−HCl、0.1mM EDTA、pH
8)に再懸濁させた。最初の抽出は6mlのTE飽和フ
ェノールを加え、その後3分間ボルテックス混合するこ
とにより行った。Eppendorf 遠心機で遠心(3分)後、
水相を新しいチューブに移し、2回目の抽出をクロロホ
ルム:イソアミルアルコール(24:1)を使って同様
に行った。一本鎖DNAは1/10容量の5M NaC
lO4 と1容量のイソプロパノールを加えることにより
沈殿させることができた(−20℃、2時間)。このs
sDNAをEppendorf 遠心機で20分遠心してペレット
化した。このペレットは乾燥し、対照として500μl
のTE緩衝液に溶解した。この混合物5μlを1μg/
mlエチジウムブロミドを含むアガロースゲルで泳動し
た。通常、ヘルパーファージssDNAに対するpMa
/RBSII,Sph1−TNFαssDNA(=(+)
鎖)の比は2:1と20:1の間であった。全ssDN
Aの量は少なくとも200ng/μlであると概算され
た。 ギャップ−二重鎖の構築 ファスミドpMcから、EcoRl−HindIII 大型
断片を単離し、pMa/RBSII,Sph1−TNFα
(+)鎖とのハイブリダイゼーションに使用した。代表
的な実験では、15μlのssDNA(±3μg)、1
5μlの二本鎖線状断片(±1.5μg)、10mlの
ハイブリダイゼーション緩衝液(1.5M KCl;1
00mM トリス−HCl、pH7.5)および40μ
lのH2Oを混合し、100℃で4分、65℃で8分お
よび室温で15分インキュベートした。アリコート(1
0ml)はエチジウムブロミドを含むアガロースゲルで
電気泳動し、ギャップ−二重鎖DNAの形成を調べ、形
成されている場合はその量を見積もった(これは通常5
0ng/10mlハイブリダイゼーション混合物になっ
た)。 突然変異オリゴヌクレオチドのアニーリングおよびギャ
ップ−二重鎖の修復 突然変異コドンを含みかつTNF遺伝子中の制限部位を
破壊するかまたはその遺伝子中に制限部位を形成させる
オリゴヌクレオチドを合成した。オリゴヌクレオチド
5′CCGGCGGTTGGACCACTGGAGC
3′および5′CATTGGCCCGCGGTTCA
G3′がそれぞれSer29およびTrp32突然変異をつ
くるために使用された。酵素的リン酸化の後、約8pm
olを40ngのギャップ−二重鎖に加えた。H2 Oを
加えて最終容量を10mlとした。この混合物は65℃
で5分間加熱し、その後室温へ冷却させた。続いて、1
8mlのH2 O、4μlの修復用緩衝液10(625m
M KCl、275mM トリス−HCl、150mM
MgCl2 、20mM DTT pH7.5)、2μ
lのATP 1mM、4μlずつの4種類のdNTP
1mM、1μlのリガーゼ、および1mlの Klenow ポ
リメラーゼを加え、この混合物を室温で45分間インキ
ュベートした。 大腸菌WK6mutSおよび大腸菌WK6への形質転換 10μlの修復したギャップ二重鎖DNAを使って、大
腸菌WK6mutS(Stranssens et al.,前掲)を形質
転換した(Sambrook et al., 1989 )。この混合物
(1.2ml)から、100μlを25μg/mlクロ
ラムフェニコール含有寒天平板にまき、形質転換効率を
調べた。残部は20mlのLB+クロラムフェニコール
にまき、25℃でさらに一晩増殖させた。この培養物の
小規模プラスミドDNA調製物〔Birnboim, H.C. and D
oly, J., Nucleic Acids Res., 7, 1513 (1979) 〕は混
合ファスミド集団をもたらし、これを大腸菌WK6に形
質転換した。この場合も、100μlの形質転換混合物
をクロラムフェニコール含有寒天平板にプレートした。 コロニーハイブリダイゼーションによるスクリーニング 大腸菌WK6への形質転換から得られた約100個のコ
ロニーをナイロンフィルター(PALL, Glen Cove, New Y
ork )にストリークし、37℃で一晩インキュベートし
た。このフィルターを0.5M NaOH(3分)中に
浸漬したWhatmann3MMペーパーに移した(対面させ
た)。中和は1M トリス−HCl pH7.4(1分
間2回)および2xSSC(20xSSC=3M Na
Cl;0.3M クエン酸Na,pH7)(5分)中に
浸漬したWhatmann3MMシートへの移行により行った。
乾燥後、フィルターを3MMペーパーのシート間で80
℃で焼き付けた。続いて、フィルターは6xSSC(5
分)中で予め湿潤させ、10xDenhardt溶液(2%(w
/v)フィコール(400,000MV)、2%(w/
v)ポリビニルピロリドン(44,000MW)、2%
(w/v)ウシ血清アルブミン)、6xSSC緩衝液お
よび0.2%SDS中で67℃5分間プレハイブリダイ
ズした。6xSSC緩衝液中ですすいだ後、フィルター
を4mlの6xSSCおよび60pmolの32P標識突
然変異オリゴヌクレオチドを含むペトリ皿に室温で1時
間入れ、100mlの6xSSC中ですすいだ。このフ
ィルターをサランラップで包み、前露光したフィルム
(Fuji)を重ねて−70℃で1時間オートラジオグラフ
ィーを行った。その後、フィルターを再び6xSSC緩
衝液中で次第に上昇する温度(プローブの長さやGおよ
びC残基の量に応じて51℃と75℃の間で変化する)
において洗浄し、各回ごとに上記のようにオートラジオ
グラフィーを行った。例えば、64℃での洗浄は野生型
コロニーからSer29変異体をはっきりと区別するこ
とができ、一方Trp32変異体は62℃と63℃での
2回の連続洗浄後に検出された。 制限断片分析 Ser29の突然変異はAva2制限部位を形成し、A
rg32はNci1制限部位を破壊するので、両方の対
応するエンドヌクレアーゼが突然変異の存在をもう一度
調べるために制限断片分析において使用された。コロニ
ーを採取して、5ml+クロラムフェニコールで集密的
に増殖させた。これらの培養物から、古典的な手法に従
って(Sambrook et al., 1989 )、プラスミドDNAを
調製し、適当な制限エンドヌクレアーゼで消化し、そし
てアガロースゲルによる電気泳動にかけた。 細菌発現ベクターへのサブクローニング 突然変異を起こしたTNF遺伝子の発現ベクターへの移
行は、突然変異誘発ベクターの構築と正反対の方法で実
施された。ファスミドpMc/RBSII,Sph1−T
NFαSer29またはpMc/RBSII,Sph1−
TNFαTrp32をEcoR1−HindIII で消化
し、小さい断片をEcoR1−HindIII 開環pDS
56/RBSII,Sph1−TNFαベクターに挿入し
て、プラスミドpDS56/RBSII,Sph1−TN
FαSer29およびpDS56/RBSII,Sph1
−TNFαTrp32を形成し、そしてすでにプラスミ
ドpREP4(lacリプレッサーをコードする;図2
aおよびヌクレオチドの一文字標準略号で示されるこの
プラスミドの完全ヌクレオチド配列については図2b/
1−2b/3を参照されたい)を含む大腸菌M15細胞
に標準方法(前掲)で形質転換した。形質転換した大腸
菌M15の培養物は100mg/lアンピシリンおよび
25mg/lカナマイシンを含むLB培地(10gバク
トトリプトン、5g酵母エキス、5gNaCl/リット
ル)中で37℃で増殖させた。約0.7−1.0の光学
密度(600nm)で、IPTGを加えて最終濃度を2
mMとした。37℃でさらに2.5−5時間後、細胞を
遠心により回収し、TNF突然変異タンパク質を Taver
nier et al. 〔J. Mol. Biol. 211, 493-501 (1990) 〕
に従って精製した。形質転換大腸菌株M15(pREP
4;pDS56/RBSII,Sph1−TNFαSer
29)およびM15(pREP4;pDS56/RBS
II,Sph1−TNFαTrp32)は、特許のための
ブダペスト条約のもとで、1990年11月19日に B
RD、Braunschweigの Deutsche Sammlung von Mikroorga
nismen und Zellkulturen GmbH (DSM)に、それぞれ寄託
番号DSM6240およびDSM6241として寄託さ
れた。実施例II Ser29−TNFαおよびTrp32−TNFαの性状決
a)Hep2およびU937細胞に対する示差結合およ
び生物学的活性 細胞培養 Hep2〔ATCC番号CCL23〕、U937〔AT
CC番号CRL1593〕およびRAJI〔ATCC番
号CCL86〕細胞は10%(v/v)不活性化ウシ胎
児血清、L−グルタミン(2mM)、ピルビン酸ナトリ
ウム(1mM)、2−メルカプトエタノール(5x10
-5M)、1%の非必須アミノ酸の100x混合物〔Gibr
o Laboratories, Paisley, GB 〕およびゲンタマイシン
(25mg/ml)を補給したRPMI1640培地で
増殖させた。1x106 細胞/mlの密度に達した後に
非付着細胞を収穫した。結合実験のために、付着Hep
2細胞を集密的に増殖させ、トリプシン処理を行い、集
めて、大きいペトリ皿(150cm2 )に2.5x10
6 細胞/mlの密度でまいた。その後、ペトリ皿をCO
2 恒温室の中に一晩置いた。Hep2細胞は強く付着し
ないので、非付着細胞と同じようにして収穫できた。L
929細胞の増殖のためには、10%不活性化ウシ新生
児血清を補給したダルベッコ培地を使用した。
【0036】L929、Hep2およびU937細胞に
対する比活性の測定 タンパク質の量は Biorad (Richmond, CA, USA )タン
パク質色素試薬を使って製造者の説明書に従って測定し
た。TNF突然変異タンパク質の純度はSDS−PAG
Eにより測定した。マウスL929細胞に対する細胞障
害活性は標準L929検定により測定した(Ruff and G
ifford, “Lymphokines ”, ed. by E. Pick, Vol. 2,
235-275, Academic Press, 1981, Orlando, USA )。H
ep2細胞に対する細胞障害検定はL929検定と同様
に行ったが、アクチノマイシンDの代わりにシクロヘキ
シミド(50μg/ml)を加えた。
【0037】レセプター結合検定 −TNFαおよびTrp32−TNFのヨウ素化 5μgのヨードゲン(Iodogen, Pierce, USA)を小ガラ
スチューブ中で窒素流のもとに10μlのクロロホルム
に溶解し、乾燥させた。これに、10μlのNa125
(Amersham, 0.1Mホウ酸緩衝液pH8中100mC
i/ml)を加え、氷上に15分間保持した。この溶液
は10μlリン酸緩衝液pH7中に5μgのTNFα
〔Pennica et al. 前掲〕または3.2μgのTrp32
−TNFを含む Eppendorfチューブにすばやくピペット
で注入した。再度、反応混合物を氷上に15分間保持し
た。Na 125Iからヨウ素化TNFαを分離するため
に、初めにPD−10ゲル濾過カラム(Pharmacia )を
0.1Mリン酸緩衝液+0.25%ゼラチンで平衡化
し、ヨウ素化TNF種に応じて1μgのTNFαまたは
Trp32−TNFでプレランした。その後、反応混合物
をカラムに添加し、約400μlの画分を集め、その画
分からの2μlアリコートをγ−カウンター(LKB1
275 Minigamma, Pharmacia LKB, Uppsala, Sweden
)で計数した。TNFαおよびTrp32−TNFに対
して、それぞれ10−75および80μCi/mgの比
放射能が得られた。
【0038】−スカッチャード分析による標識したTN
FαおよびTrp32−TNFのKD値の測定 マイクロタイタープレートに標識TNFαまたはTrp
32−TNFの12.8nM→0.006nMの範囲の2
倍の段階希釈系列をつくった。各希釈液は3通りつくっ
た。同じ設定で非特異的結合を測定し、その際各ポイン
トは100倍過剰の非標識TNF(1.28μM→0.
6nM)を含んでいた。各ウェルに、約2x106 個の
細胞(U937、Hep2またはRAJI)を加えた。
この反応は0.1%NaN3 を含む組織培養培地0.2
ml中4℃で2−3時間行った。その後、試料をマイク
ロタイタープレートから、300μlのフタレート油
(ジノニルフタレート33%、ジブチルフタレート66
%(v/v))をすでに含む小型のプラスチックチュー
ブへ移した。チューブを微量遠心機(Eppendorf )で1
0分遠心して細胞を沈殿させ、フタレート油を分離媒体
として使用して、それらを上清から分離した。チューブ
を逆さにした後、加熱メスでチューブの上部から融解す
ることにより、(上部にある)細胞ペレットを簡単に分
離することができた。細胞に結合した放射能の量はγ−
カウンターで計数した。これらのデータから、スカッチ
ャードプロットと解離定数KD をEBDA/LIGAN
Dプログラムの平衡結合型“HOT”を使って求めた
〔Mc.Pherson et al., J. Pharmacol. Methods 14, 213
-228 (1985) 〕。
【0039】−競合分析による突然変異TNF〔Ser
29−TNFαおよびTrp32−TNFα〕のKD の測定 スカッチャードデータは、0.4nMの放射性標識TN
Fαの濃度がはっきりした検出可能なシグナルを示すの
に十分高く、飽和曲線の線状部分にはいることを示し
た。しかしながら、この濃度は競合実験( 125I−野生
型TNFが第一のリガンドで、冷却突然変異体が競合物
質である)を行うのに必要な、最高5000倍過剰の冷
却突然変異TNF(2μM)の添加を可能にするのに十
分なほど低かった。
【0040】非標識突然変異TNFの10ウェル希釈系
列(2mM→0.004μM)を2倍の濃度段階でマイ
クロタイタープレートにつくった。残りの2つのウェル
はそれぞれ非標識TNFをまったく含まないか(全結
合)、5000倍過剰の野生型非標識TNFを含んでい
た(バックグラウンド)。すべてのウェルに、0.4n
Mの放射性標識TNFα(10−75μCi/μg)を
加えた。2x106 細胞の添加後、全容量は0.2ml
/ウェルであった。インキュベーションの培地、反応条
件および細胞の単離はスカッチャード分析実験について
先に記載したものと正確に同じであった。各ポイントは
3通りずつ測定し、解離実験を2回行い、2つのKD
平均を表1に示した。EBDA/LIGANDプログラ
ムの“DRUG”法(前掲)を使って、競合曲線をプロ
ットし、突然変異タンパク質のKDを計算した。この種
の計算のために、以下の実験データを使用した: 1.hTNFの標識化 1回目の標識化(=バッチ1): 1.2x108 dp
m/5μg =3.7x105 dpm/pmol =±10μCi/μg 2回目の標識化(=バッチ2):5.3x108 dpm
/3.2μg =1.9x106 dpm/pmol =±75μCi/μg 2.野生型TNFのKD の測定 スカッチャード分析により、Hep2およびU937細
胞に対する 125I−TNF(バッチ1)のKD を測定し
た。
【0041】Hep2:KD =9.17x10-10 U937:KD =2.5x10-10 3.競合実験 すべての置換実験は第一のリガンドとして 125I−TN
F(バッチ1)を使って実施した。ただし、実験B.3
(表B,3.)では 125I−TNF(バッチ2)を使用
した。
【0042】各実験においてそれぞれの濃度での結合を
3通りずつ測定し、以下の表(A−D)には平均のみを
示してある。これらの表に示した各実験から、Mc. Pher
son et al. (1985) のプログラムを使ってKD 値を計算
した。KD 測定値の平均(Ser29−TNFαの場合は
Hep2細胞およびU937細胞に対して2回の実験、
Trp32−TNFαの場合はHep2細胞に対して2
回、およびU937細胞に対して3回の実験)を表1に
示す。
【0043】 表 A U937細胞に対するSer29-TNFαとの競合 平 均 突然変異体の濃度 1. 2120 0 1869 1 ×10-9 1779 2 ×10-9 1719 4 ×10-9 1708 8 ×10-9 1575 1.6 ×10-8 1415 3.2 ×10-8 1320 6.4 ×10-8 1200 1.25×10-7 983 2.5 ×10-7 949 5 ×10-7 632 1 ×10-6 533 2 ×10-6 バックグラウンド 299 2. 1014 0 635 4 ×10-9 603 8 ×10-9 541 1.5 ×10-8 572 3 ×10-8 489 6 ×10-8 413 1.2 ×10-7 380 2.5 ×10-7 319 5 ×10-7 263 1 ×10-6 238 2.10 -6 バックグラウンド 205 表 B U937細胞に対するTrp32-TNFαとの競合 1. 2120 0 1917 1 ×10-9 1698 2 ×10-9 1655 4 ×10-9 1585 8 ×10-9 1488 1.5 ×10-8 1377 3 ×10-8 1333 6 ×10-8 1166 1.25×10-7 1026 2.5 ×10-7 953 5 ×10-7 777 1 ×10-6 628 2 ×10-6 バックグラウンド 299 2. 1047 0 653 4 ×109 629 8 ×10-9 636 1.5 ×10-8 585 3 ×10-8 546 6 ×10-8 508 1.2 ×10-7 479 2.5 ×10-7 422 5 ×10-7 357 1.10-6 294 2 ×10-6 バックグラウンド 214 3. 8340 0 (125I-TNF、バッチ2 4759 4 ×10-9 を用いて実施した) 4041 8 ×10-9 3620 1.5 ×10-8 3275 3 ×10-8 3034 6 ×10-8 2387 1.25×10-7 1981 2.5 ×10-7 1472 5 ×10-7 1192 1 ×10-6 814 2 ×10-6 バックグラウンド 307 表 C Hep2細胞に対するSer29-TNFとの競合 1. 938 0 799 1 ×10-9 677 2 ×10-9 564 4 ×10-9 510 8 ×10-9 451 1.6 ×10-8 442 3.2 ×10-8 446 6.4 ×10-8 379 1.25×10-7 374 2.5 ×10-7 437 5 ×10-7 359 1 ×10-6 383 2 ×10-6 バックグラウンド 353 2. 457 0 273 4 ×10-9 240 8 ×10-9 253 1.5 ×10-8 235 3 ×10-8 207 6 ×10-8 239 1.2 ×10-7 215 2.5 ×10-7 211 5 ×10-7 193 1 ×10-6 238 2 ×10-6 バックグラウンド 215 表 D Hep2細胞に対するTrp32-TNFαとの競合 1. 938 0 742 1 ×10-9 608 2 ×10-9 537 4 ×10-9 547 8 ×10-9 397 1.6 ×10-8 394 3.2 ×10-8 405 6.4 ×10-8 395 1.25×10-7 388 2.5 ×10-7 379 5 ×10-7 353 1 ×10-6 386 2 ×10-6 バックグラウンド 353 2. 445 0 298 4 ×10-9 222 8 ×10-9 256 1.5 ×10-8 202 3 ×10-8 227 6 ×10-8 210 1.2 ×10-7 221 2.5 ×10-7 197 5 ×10-7 231 1 ×10-6 202 2 ×10-6 バックグラウンド 203
【0044】
【表1】
【0045】星印(*)で示したKD 値はスカッチャー
ド分析により得られた。他のKD 値はすべて競合分析に
より測定した。相対値(TNFαに対する百分率)は括
弧内に示してある。Hep−2細胞(p55−TNF−
Rのみを保有する)を用いて測定したSer29−TNF
−αとTrp32−TNF−αの結合定数(KD )はTN
F−αの結合定数とほとんど同じであることが分かる。
また、これらの細胞に対する生物学的活性(比活性)も
大部分が保持される(この検定の精度は3倍にすぎない
ことに注意されたい)。驚いたことに、U937細胞
(排他的ではないが、主として高親和性レセプターp7
5−TNF−Rを保有する)に対するSer29−TNF
−αとTrp32−TNF−αの結合親和性(競合検定に
より測定)は大部分が失われた(KD 値の100倍以上
の増加)。さらに、L929細胞を用いて標準検定で測
定した、Ser29−TNF−αとTrp32−TNF−α
の生物学的活性も大部分が失われた(100倍以上減
少)ことが分かる。 b)ヒトp75−TNF−Rおよびヒトp55−TNF
−Rに対する示差結合 HL60細胞から精製したTNFレセプターに対するT
rp32−TNF−α、Ser29−TNF−αおよびヒト
TNF−αによるヒト 125I−TNF−α結合の競合は
次のように測定した。欧州特許出願第9011670
7.2号に記載される通りに精製した天然p55−TN
F−Rおよびp75−TNF−Rの2μlアリコートを
20mMヘペス、50mMトリス、50mM NaC
l、1mMEDTA、0.1%オクチルグルコシド、
0.1mg/ml BSA、pH8.0中に約0.3m
g/mlの濃度で溶解し、予め湿らせたニトロセルロー
スフィルターに3通りずつスポットした。フィルターは
ブロッキング緩衝液(50mMトリス、140mM N
aCl、5mM EDTA、0.02% NaN3 、1
%脱脂粉乳)を使って室温で1.5時間ブロックした。
PBSで洗浄後、フィルターを10ng/ml 125I−
TNFαおよび可変濃度のTrp32−またはSer29
TNFα、もしくはTNFαと4℃で一晩インキュベー
トした。フィルターをブロッキング緩衝液(2x5分
間)およびH2 O(1x5分間)で洗い、自然乾燥さ
せ、γ−カウンターで計数した。結果は図1aおよびb
に示してあり、図1aの場合はヒトp75−TNF−R
への、そして図1bの場合はヒトp55−TNF−Rへ
の、TNFα(白の四角)、Ser29−TNFα(黒の
円)およびTrp32−TNFα(黒の四角)の結合を示
す。
【0046】実施例III Trp32−TNFαの精製 実施例Iにより得られた形質転換細胞は次の方法で処理
した: a)フレンチプレスによる破砕、最終濃度0.4%、p
H7.6になるまでポリエチレンイミンを添加;沈殿物
の除去; b)pH7.2で硫酸アンモニウム沈殿;画分30−7
0%; c)10mMトリス、pH6.8中の25%硫酸アンモ
ニウムに対して透析; d)フェニル−セファロースカラムCL−4B(35x
250mm) 負荷:25%硫酸アンモニウム−10mMトリス、pH
6.8を使用 溶出:25%硫酸アンモニウム−トリス緩衝液から20
mMエタノールアミン、pH9までの勾配(2回、15
0ml); e)カラムMono Q(HR 16/10) 負荷:20mMエタノールアミン、pH9 溶出:同一緩衝液中の0−1M塩化ナトリウムの勾配
(2回、300ml) (Pharmacia 、FPLC);活性画分は0.01Mリン
酸緩衝液pH7に対して透析した; f)ヘパリンセファロースカラムCL−6B(30x8
0mm) 負荷:0.01Mリン酸緩衝液pH7 溶出:同一緩衝液中の0−1M塩化ナトリウムの勾配; g)活性画分をアミコン(マイクロ限外濾過システム8
MC;メンブランO25mm;ダイアフロ10 YM1
0−25mm)で濃縮し、0.01Mリン酸緩衝液pH
7および0.9%塩化ナトリウムで平衡化したゲル濾過
カラム(ウルトラパックTSK G−2000SWG;
21.5x600mm)に別々に負荷した; LPS( Kabivitrum の試験キットにより測定):最大
活性画分は5mg/mlのTrp32−TNFαを含んで
いた;内毒素含有量:26E.U./mg。 最後の活性画分は1.8mg/mlのTNFおよび47
E.U./mgのタンパク質を含んでいた。
【0047】実施例IV 1.ヌードマウスにおける皮下HT−29腫瘍に対する
hTNFαおよびhIFNγの抗腫瘍作用 ヌードマウスに5x106 個のHT−29ヒト結腸腺癌
細胞〔ATCC HTB38〕を皮下注射した。1群5
匹のマウスから成っていた。1週あたり6日間は毎日病
変周囲に注射を施し、その後の1日は処置を施さなかっ
た。結果は図4に示してあり、ここで“PBS”は当分
野で知られたリン酸緩衝溶液を表す。1本の矢印は5μ
gのhTNFαまたは5000IUのヒト・インターフ
ェロンγ(hIFNγ)もしくは両方による処置の開始
を示す。2本の矢印は用量を2倍にした時点を示し、そ
して交差させた矢印は処置の終了を示す。 2.hTNFαおよびTrp32−TNFαの抗腫瘍効力
の比較 ヌードマウスに5x106 個のHT−29ヒト結腸腺癌
細胞(前掲)を皮下注射した。1群5匹のマウスから成
っていた。接種後6日目に処置を開始し、1週あたり6
日間は毎日病変周囲に注射を施した。腫瘍の体積は、よ
り大きい(a)およびより小さい(b)直径を測定し、
当分野で知られた Attia and Weissに従ってaxb2
0.4を計算することにより、3日または4日ごとに概
算した。結果は図5に示してあり、ここで矢印は処置の
開始を示し、先端が下向きの白の三角形は104 IUの
hIFNγおよび10μgのhTNFαを示し、先端が
下向きの黒の三角形は104 IUのhIFNγおよび1
0μgのTrp32−TNFαを示し、黒の四角形は10
μgのTrp32−TNFαを示し、白の四角形は10μ
gのhTNFαを示し、白の三角形はリン酸緩衝溶液を
示し、そして黒の円は104 IUのhIFNγを示す。
in vitroでは、hTNFαとTrp32−TNFαとの間
にHepまたはHT−29細胞に対する細胞障害性に差
がない。
【0048】実施例V Ser29−Trp32−TNFαの製造 Ser29−Trp32−TNFαは以下の点を除いて実施
例Iに記載する通りに製造した: 1.使用したオリゴヌクレオチドは次の配列(突然変異
を起こした塩基には下線が引いてある)を含む: 5′GGGCATTGGCCCGCGGTTGGA
CACTGGAGC3′ 2.Nci1部位を破壊し、Ava2部位を形成して、
制限断片分析による突然変異の存在のチェックを可能に
した。ハイブリダイゼーション分析は行わなかった。W
K6形質転換から得られた6個のクローンを増殖させ、
DNAを調製し、そして実施例Iに記載するように分析
した。6個のクローンからの3個が突然変異をもってい
た。
【0049】このDNA配列はpDS56発現ベクター
にサブクローニングしてプラスミドpDS56/RBS
II,Sph1−TNFαSer29Trp32を作製
し、その後大腸菌M15株に形質転換した。発現および
精製は実施例Iに記載する通りに行った。実施例VI Gly29−TNFα、Tyr29−TNFαおよびTyr
32−TNFαの製造 Gly29−TNFα、Tyr29−TNFαおよびTyr
32−TNFαは以下の点を除いて実施例Iに記載する通
りに製造した。29位または32位に完全改変コドンを
含み、2つの位置の一方に20個全部のアミノ酸のラン
ダム挿入をもたらすオリゴヌクレオチドを使用した。こ
れらのオリゴヌクレオチドの配列は次の通りである: 29位: 5′CCACGCCATTGCAGGAGGGCA
TTGGCCCGGCGGTTXXXCCACTGGA
GC3′ 32位: 5′CCACGCCATTGCAGGAGGGCA
TTGGCXXXGCGGTTCAGCC3′ ここでXはA、C、GまたはTであり、突然変異を起こ
した塩基には下線が引いてある。
【0050】突然変異と共に、唯一のNru−1部位も
導入される。従って、WK6 mutS株から単離した
ファスミドプールを直接形質転換する代わりに、このD
NAを最初にNru−1で消化し、線状バンドをアガロ
ースゲルから溶出し、連結してSURE株(Stratagen
e, La Jolla, CA, USA )に形質転換した。この方法で
は、突然変異を含むファスミドだけを選択することがで
きる。得られた168個のコロニーをマイクロタイター
プレートに接種し、集密的に増殖させ、その後それらの
細胞溶解物は実施例IIaに記載する方法でHep−2細
胞に対する生物学的活性を、さらに実施例IIbまたは実
施例VIIIに記載するように示差結合を試験した。Hep
−2細胞に対する生物学的活性および実施例IIbまたは
実施例VIIIに従って測定した示差結合に基づいてコロニ
ーを選択し、選択したコロニーは当分野で知られるよう
な対応挿入物のDNA配列解析によりさらに分析した。
Gly29−TNFα、Tyr29−TNFαおよびTyr
32−TNFαをコードするDNA配列を対応コロニーか
ら単離し、実施例Iに記載する細菌発現ベクターにクロ
ーニングした。発現された突然変異タンパク質は、MO
NO−Qイオン交換クロマトグラフィー工程を用いて、
95%以上の均質性が得られるまで精製した。
【0051】実施例VII Glu31−TNFαおよびAsn31−Thr32−TNF
αの製造 PCRを使ったTNFα遺伝子の突然変異誘発:3つの
PCR反応は鋳型DNAとしてプラスミドpDS56/
RBSII,Sph1−TNFα〔図3〕を使用し、また
AmpliTaq(登録商標)組み換えTaqDNAポリメラー
ゼを含む Perkin-Elmer Cetus GeneAmp (登録商標)D
NA増幅試薬キット( Perkin Elmer Cetus, Vaterstet
ten, BRD)を使って実施した〔図8参照〕。反応Iで
は、プライマー17/F(5′−GGCGTATCAC
GAGGCCCTTTCG−3′;プライマー17/F
はプラスミドpDS56/RBSII,SphI−TNF
αのヌクレオチド3949−3970から成る)および
21/M5(5′−ATTGGCCCGCTCGTTC
AGCCACTGGAGCTGCCCCTC−3′;プ
ライマー21/M5はプラスミドpDS56/RBSI
I,SphI−TNFαのヌクレオチド219−184
に相補的なヌクレオチドから成り、突然変異を起こした
塩基には下線が引いてある)を使用し、反応IIはプライ
マー17/Fおよび21/M6(5′−ATTGGC
GTTTGTTCAGCCACTGGAGCTGCC
CCTC−3′;プライマー21/M6はプラスミドp
DS56/RBSII,SphI−TNFαのヌクレオチ
ド219−184に相補的なヌクレオチドから成り、突
然変異を起こした塩基には下線が引いてある)を含み、
そして反応III はプライマー21/MR(5′−GCC
CTCCTGGCCAATGGCGTGG−3′;プラ
イマー21/MRはプラスミドpDS56/RBSII,
SphI−TNFαのヌクレオチド220−241から
成る)および17/O(5′−CATTACTGGAT
CTATCAACAGG−3′;プライマー17/Oは
プラスミドpDS56/RBSII,SphI−TNFα
のヌクレオチド748−727に相補的なヌクレオチド
から成る)を含んでいた。こうして、Eppendorf チュー
ブ中で10μlの鋳型DNA(10ng)、5μlずつ
の2つのプライマー(100pmoleずつ)、16μ
lのdNTPミックス(1.25mMのdATP、dG
TP、dCTP、およびdTTP)、10μlの10x
反応緩衝液(100mMトリス−HClpH8.3、5
00mM KCl、15mM MgCl2 、および0.
1%ゼラチン)、1μl(5単位)のAmpliTaq(登録商
標)DNAポリメラーゼおよび53μlのH2 Oを混合
し、80μlの鉱油( Perkin-Elmer Cetus )を重層さ
せた。これらのチューブはDNAサーマルサイクラー
(TRIO-Thermoblock, Biometra)に移し、94℃で1分
間保持し、その後35サイクルのDNAの融解(94℃
で1分)、プライマーのアニーリング(50℃で1分)
およびプライマーの伸長(72℃で3分)を行った。7
2℃でさらに2分後、反応混合物を室温まで冷却し、ク
ロロホルムで抽出した。水相に存在するDNAをエタノ
ールで沈殿させ、6%ポリアクリルアミドゲル上で電気
泳動を行った〔Sambrook et al., 1989 〕。エチジウム
ブロミドでDNAを染色した後、断片I、IIおよびIII
〔図8参照;これらの断片はそれぞれ反応I、IIおよび
III に由来する〕をゲルから単離し、精製した〔Sambro
ok et al., 1989 〕。 Glu31−TNFαおよびAsn31−Thr32−TNF
αをコードするDNA断片の製造:断片I、IIおよびII
I を酵素によりリン酸化し、その後2つの並行する反応
において、断片IとIII および断片IIとIII を互いに連
結させた〔Sambrook et al., 1989 〕。リガーゼの熱不
活化および制限酵素EcoRIとHindIII による消
化後、DNAを6%ポリアクリルアミドゲルで電気泳動
にかけた。エチジウムブロミドでDNAを染色した後、
EcoRI−HindIII 断片AおよびB〔図8参照〕
をゲルから単離し、精製した〔前掲〕。 Glu31−TNFαおよびAsn31−Thr32−TNF
αをコードするプラスミドの作製:別々の実験におい
て、EcoRI−HindIII 断片AおよびBを標準方
法〔Sambrook et al., 1989 〕に従ってEcoRI−H
indIII 開環プラスミドpDS56/RBSII,Sp
h1−TNFαSer29に挿入し、それぞれpDS56
/RBSII,Sph1−TNFαGlu31およびpD
S56/RBSII,Sph1−TNFαAsn31Th
r32を作製した。プラスミドDNAを調製し〔Birnbo
im et al., 1979 〕、TNFα突然変異タンパク質のコ
ード領域のヌクレオチド配列を2本鎖DNAの塩基配列
決定により確かめた〔Sambrook et al.,1989 〕。 Glu31−TNFαおよびAsn31−Thr32−TNF
αの生産:プラスミドpDS56/RBSII,Sph1
−TNFαGlu31およびpDS56/RBSII,S
ph1−TNFαAsn31Thr32を、プラスミド
pREP4をすでに含む大腸菌M15細胞に標準方法
〔前掲〕により形質転換した。形質転換細胞は100m
g/lアンピシリンおよび25mg/lカナマイシンを
含むLB培地〔前掲〕中37℃で増殖させた。約0.7
−1.0の光学密度(600nm)でIPTGを加え、
最終濃度を2mMとした。37℃でさらに2.5−5時
間経過後、細胞を遠心により回収した。
【0052】実施例VIII 組み換えヒトp75−TNF−Rおよび組み換えヒトp
55−TNF−Rへの示差結合 1.組み換えヒトTNFα、Ser29−TNFα、Tr
32−TNFα、Glu 31−TNFα、およびAsn31
−Thr32−TNFαを発現する形質転換大腸菌細胞の
10ml懸濁液〔対照として組み換えジヒドロ葉酸還元
酵素(DHFR)を発現する大腸菌細胞を含んでいた〕
を4,000rpmで10分間遠心し、0.9mlの細
胞溶解緩衝液(10mMトリス−HClpH8.0、5
mM EDTA、2mM PMSF、10mMベンズア
ミジン、200単位/mlアプロチニンおよび0.1m
g/mlリゾチーム)に再懸濁させた。室温で20分イ
ンキュベートした後、50μlの1M MgCl2 、2
0μlの5mg/ml DNaseI、50μlの5M
NaClおよび50μlの10%NP−40を加え、
この混合物を室温でさらに15分間インキュベートし
た。13,000rpmで5分間遠心して清澄化した細
胞溶解液0.5mlは硫酸アンモニウム沈殿に付した
(30%−70%カット)。70%硫酸アンモニウムペ
レットを0.2mlのPBSに溶解し、SDS−PAG
Eで分析して、組み換えタンパク質の存在を確かめた。
【0053】示差結合検定のために、マイクロタイター
プレートに、それぞれ0.3μg/mlおよび0.1μ
g/mlでPBSに溶解した組み換えヒトp75−TN
F−R−ヒトIgGγ3およびp55−TNF−R−ヒ
トIgGγ3融合タンパク質(欧州特許出願公開第41
7563および422339号)を被覆した(100μ
l/ウェル、4℃で一晩)。ブロッキング緩衝液(50
mMトリスpH7.4、140mM NaCl、5mM
EDTA、0.02%NaN3 、1%脱脂粉乳)でブ
ロックした後、マイクロタイタープレートをPBSで洗
い、硫酸アンモニウム沈殿により部分精製した大腸菌細
胞溶解液の異なる希釈液の存在下に5ng/mlのヒト
125I−TNFα〔上記のように約30μCi/μgの
比活性にヨードゲン法により標識した〕と共にインキュ
ベートした。体積は100μl/ウェルであり、各希釈
液は2通り検定した。室温で3時間後、ウェルをPBS
で十分に洗い、γ−カウンターで計数した。結果は図6
に示してあり、ここで黒の円はp55−TNF−R−ヒ
トIgGγ3への結合を表し、白の円はp75−TNF
−R−ヒトIgGγ3への結合を表す。 2.Ser29−Trp32−TNFα、Gly29−TNF
α、Tyr29−TNFαおよびTyr32−TNFαの結
合の測定は1.に記載した通りに行ったが、ただしMO
NO−Qイオン交換クロマトグラフィーで精製した突然
変異タンパク質を使用した。結果は図7に示してあり、
ここで白および黒の円は図6と同じ意味であり、μg/
mlは精製した突然変異タンパク質の量/mlである。
【0054】なお、上記したように、図1aは、ヒトp
75−TNF−Rに対するTNFα(白の四角)、Se
29−TNFα(黒の円)またはTrp32−TNFα
(黒の四角)と 125I−TNFαとの競合結合を示して
おり、図1bは、ヒトp55−TNF−Rに対するTN
Fα(白の四角)、Ser29−TNFα(黒の円)また
はTrp32−TNFα(黒の四角)と 125I−TNFα
との競合結合を示している。
【0055】さらに、図2aは、プラスミドpREP4
を、図2bは、プラスミドpREP4の完全ヌクレオチ
ド配列を示しており、図3aは、ヒトTNF発現プラス
ミドpDS56/RBSII,Sph1−TNFαを、図
3bは、ヒトTNF発現プラスミドpDS56/RBS
II,Sph1−TNFαの挿入物のヌクレオチド配列を
示している。
【0056】また、図4は、ヌードマウスにおける皮下
HT−29腫瘍に対するhTNFαおよびhIFNγの
抗腫瘍作用を、図5は、ヌードマウスにおける皮下HT
−29腫瘍に対するhTNFαおよびTrp32−TNF
αの抗腫瘍効力の比較を、図6は、ヒトp55−TNF
−R(黒の円)およびヒトp75−TNF−R(白の
円)に対する、組み換えヒトTNFα、Ser29−TN
Fα、Trp32−TNFα、Glu31−TNFα、また
はAsn31−Thr32−TNFαと 125I−TNFαと
の競合結合を、図7は、ヒトp55−TNF−R(黒の
円)およびヒトp75−TNF−R(白の円)に対す
る、組み換えヒトTNFα、Ser29−Trp32−TN
Fα、Gly29−TNFα、Tyr29−TNFα、また
はTyr32−TNFαと 125I−TNFαとの競合結合
を、図8は、TNFα遺伝子に突然変異を起こすPCR
反応において使用したプライマー、これにより得られた
断片をそれぞれ示している。
【0057】本発明は、さらに次の実施態様を包含す
る:請求項1のヒト腫瘍壊死因子突然変異タンパク質に
おいて、ヒト腫瘍壊死因子のアミノ酸配列は次の配列:
【0058】
【式3】
【0059】から成る;前記アミノ酸配列は1個または
それ以上の、好ましくは1個または2個の、アミノ酸を
他のアミノ酸、好ましくは自然界に存在するアミノ酸、
で置換することにより変更される;前記アミノ酸配列は
上記のように29位で変更され、この場合の前記自然界
に存在するアミノ酸はセリン、グリシンまたはチロシン
である;前記アミノ酸配列は上記のように32位で変更
され、この場合の前記自然界に存在するアミノ酸はトリ
プトファンまたはチロシンである;前記アミノ酸配列は
上記のように31位で変更され、この場合の前記自然界
に存在するアミノ酸はグルタミン酸である;前記アミノ
酸配列は上記のように29および32位で変更され、こ
の場合、29位の前記自然界に存在するアミノ酸はセリ
ン、グリシンまたはチロシン、好ましくはセリンであ
り、32位の前記自然界に存在するアミノ酸はチロシン
またはトリプトファン、好ましくはトリプトファンであ
る;前記アミノ酸配列は上記のように31および32位
で変更され、この場合、31位の前記自然界に存在する
アミノ酸はグルタミン酸またはアスパラギン、好ましく
はアスパラギンであり、32位の前記自然界に存在する
アミノ酸はチロシン、トリプトファンまたはトレオニ
ン、好ましくはトレオニンである;前記突然変異タンパ
ク質をコードするDNA配列を含むベクターで形質転換
された宿主細胞は大腸菌である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1aは、ヒトp75−TNF−Rに対する、
図1b、ヒトp55−TNF−Rに対する、TNFα
(白の四角)、Ser29−TNFα(黒の円)またはT
rp32−TNFα(黒の四角)と 125I−TNFαとの
競合結合を示す図。
【図2】図2aは、プラスミドpREP4を示し、図2
bは、その完全ヌクレオチド配列を示す図。
【図3】図3aは、ヒトTNF発現プラスミドpDS5
6/RBSII,Sph1−TNFαを示し、図3bは、
その挿入物のヌクレオチド配列を示す図。
【図4】ヌードマウスにおける皮下HT−29腫瘍に対
するhTNFαおよびhIFNγの抗腫瘍作用を示す
図。
【図5】ヌードマウスにおける皮下HT−29腫瘍に対
するhTNFαおよびTrp32−TNFαの抗腫瘍効力
の比較を示す図。
【図6】ヒトp55−TNF−R(黒の円)およびヒト
p75−TNF−R(白の円)に対する、組み換えヒト
TNFα、Ser29−TNFα、Trp32−TNFα、
Glu31−TNFα、またはAsn31−Thr32−TN
Fαと 125I−TNFαとの競合結合を示す図。
【図7】ヒトp55−TNF−R(黒の円)およびヒト
p75−TNF−R(白の円)に対する、組み換えヒト
TNFα、Ser29−Trp32−TNFα、Gly29
TNFα、Tyr29−TNFα、またはTyr32−TN
Fαと 125I−TNFαとの競合結合を示す図。
【図8】TN TNFα遺伝子に突然変異を起こすPC
R反応において使用したプライマー、これにより得られ
た断片を示す図。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年10月20日
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1a】
【図1b】
【図2a】
【図3a】
【図2b/1】
【図2b/2】
【図2b/3】
【図3b/1】
【図3b/2】
【図3b/3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12P 21/02 C 8214−4B //(C12N 1/21 C12R 1:19) (C12P 21/02 C12R 1:19) (72)発明者 ヤン タヴェルニール ベルギー王国 ベー−9860 バルゲム, ボッテルウェグ 2 (72)発明者 グザヴィール ヴァン オスタデ ベルギー王国 べー−2000 アントウェル ペン, キプドルプヴェスト 46

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 TNF配列が1個またはそれ以上のアミ
    ノ酸の欠失、挿入および/または置換により変更され、
    その結果としてTNF突然変異タンパク質がヒトp75
    −腫瘍壊死因子レセプターへの結合親和性とヒトp55
    −腫瘍壊死因子レセプターへの結合親和性との間で有意
    な差を示すことを特徴とする、ヒト腫瘍壊死因子突然変
    異タンパク質またはその薬学的に許容しうる塩。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載した突然変異タンパク質
    の欠失、置換および/または付加類縁体もしくはその薬
    学的に許容しうる塩であって、該突然変異タンパク質の
    29および/または32位、31位、あるいは31およ
    び32位が変更されておらず、しかもなお該類縁体がヒ
    トp75−腫瘍壊死因子レセプターへの結合親和性とヒ
    トp55−腫瘍壊死因子レセプターへの結合親和性との
    間で有意な差を示すことを特徴とする、上記の類縁体。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載した突然変異タンパク質
    をコードするDNA配列から成るDNA配列。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載したDNA配列を含む、
    特に原核または下等真核宿主細胞における発現に適し
    た、ベクター。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載したベクターで形質転換
    された宿主細胞、特に原核または下等真核宿主細胞。
  6. 【請求項6】 病気を治療するための請求項1または2
    に記載した化合物。
  7. 【請求項7】 請求項5に記載した宿主細胞を適当な培
    地で培養し、培養上清または宿主細胞自体から突然変異
    タンパク質を単離し、所望により該突然変異タンパク質
    を薬学的に許容しうる塩に変換することから成る、請求
    項1または2に記載した化合物の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1または2に記載した化合物1種
    またはそれ以上を、所望により、別の薬学的活性物質お
    よび/または無毒性で、不活性の、治療上適合しうる担
    体物質と組み合わせて、含有する医薬組成物。
  9. 【請求項9】 病気を治療するための請求項1または2
    に記載した化合物の使用。
  10. 【請求項10】 請求項7に記載した方法により製造さ
    れる、請求項1または2に記載した化合物。
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