JPH0625524A - 耐衝撃性の優れた良流動耐熱性樹脂組成物 - Google Patents

耐衝撃性の優れた良流動耐熱性樹脂組成物

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JPH0625524A
JPH0625524A JP18207892A JP18207892A JPH0625524A JP H0625524 A JPH0625524 A JP H0625524A JP 18207892 A JP18207892 A JP 18207892A JP 18207892 A JP18207892 A JP 18207892A JP H0625524 A JPH0625524 A JP H0625524A
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JP
Japan
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ether
resin composition
rubber
resin
weight
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Withdrawn
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JP18207892A
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English (en)
Inventor
Hajime Nishihara
一 西原
Katsuaki Maeda
勝昭 前田
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 (A)ゴム変性スチレン系樹脂、(B)ポリ
フェニレンエーテル、(C)ポリアルキレンエーテル及
び(D)ヒドロキシル基含有芳香族系リン酸エステルを
含有する樹脂組成物。 【効果】 本発明の組成物は、耐衝撃性、流動性及び耐
熱性が優れている。この組成物は、家電部品、OA機器
部品を始めとする広い用途分野に好適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐衝撃性樹脂組成物に関
する。更に詳しくは、極めて優れた耐衝撃性を有し、か
つ耐熱性、良流動性を兼備した樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリフェニレンエーテル系樹脂は、優れ
た耐熱性、耐衝撃性を有するために自動車部品、家電部
品、OA機器部品を始めとする多岐の分野で使用されて
いる。近年、かかる分野で使用されるポリフェニレンエ
ーテル系樹脂に対して、大型薄肉成形品の製造や成形サ
イクルの短縮が求められ、流動性の改良の要求が高まっ
ている。
【0003】ポリフェニレンエーテル系樹脂の流動性を
改良する従来技術は、流動性の低いポリフェニレンエ
ーテル含量を削減する、ポリフェニレンエーテル、ス
チレン系樹脂の分子量を低下させる、可塑剤を添加す
ること等である。しかしながら、上記従来技術では流動
性は向上するものの、耐衝撃性と耐熱性が著しく低下し
満足な樹脂組成物が得られていない。
【0004】また、特開昭62−241957号公報に
は、スチレン系樹脂とポリフェニレンエーテルとポリエ
チレンオキサイドとの樹脂組成物が開示されている。し
かし、該公報の樹脂組成物は耐衝撃性は優れているもの
の、流動性が劣っており、本発明のヒドロキシ基含有芳
香族系リン酸エステルとの組み合わせにより耐衝撃性と
流動性と耐熱性のバランス特性が向上することは開示さ
れていないし、予想さえできなかった。
【0005】更には、特開平1−223158号公報に
は、ヒドロキシル基含有芳香族リン酸エステルとフェノ
ール樹脂との組み合わせが開示されているが、樹脂成分
が熱硬化樹脂のため流動性と耐衝撃性は極めて劣ってい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
現状に鑑み、上記のような問題点のない、即ち極めて優
れた耐衝撃性を有し、かつ耐熱性、良流動性を兼備した
樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らはポリフェニ
レンエーテル系樹脂の耐衝撃性と流動性の改良を鋭意検
討した結果、従来の(A)ゴム変性スチレン系樹脂と
(B)ポリフェニレンエーテルに対して、(C)ポリア
ルキレンエーテルと(D)ヒドロキシル基含有芳香族系
リン酸エステルを組み合わせることにより、驚くべきこ
とに耐熱性を保持しつつ、流動性と耐衝撃性を飛躍的に
向上させることが可能になることを見出し、本発明に到
達した。
【0008】即ち、本発明は、(A)ゴム変性スチレン
系樹脂、(B)ポリフェニレンエーテル、(C)ポリア
ルキレンエーテル及び(D)ヒドロキシル基含有芳香族
系リン酸エステルを含有する耐衝撃性の優れた良流動耐
熱性樹脂組成物を提供するものである。以下、本発明を
詳しく説明する。
【0009】本発明の樹脂組成物は、(A)ゴム変性ス
チレン系樹脂と(B)ポリフェニレンエーテルと(C)
ポリアルキレンエーテルと(D)ヒドロキシル基含有芳
香族系リン酸エステルを含有し、そのいずれを欠いても
発明の目的を達成することができない。上記(A)成分
と(B)成分は、成形用樹脂組成物の主成分をなし、成
形品の強度保持の役割を担い、(C)成分は(B)成分
との相互作用により耐衝撃性を向上させるための成分で
あり、(D)成分は耐熱性、耐衝撃性を保持して流動
性、難燃性を向上させるための成分である。
【0010】ここで、(C)成分は耐衝撃性を付与する
ための成分であり、脂肪族系のポリエーテルであること
が重要である。このような柔軟な構造を有することによ
りガラス転移温度(Tg)が下がり、(例えばポリエチ
レンオキサイドのTgは−50〜−55℃)ゴム弾性が
発現する。ところが、(A)成分のゴム変性スチレン系
樹脂と(C)成分とは相溶性がないために(C)成分に
よる耐衝撃性付与効果はないが、一方(B)成分と
(C)成分は同じポリエーテルであるために相溶化す
る。従って、(B)成分のポリフェニレンエーテルが相
溶化剤として作用し、(A)成分と(C)成分とを相溶
化させることにより耐熱性と流動性を保持しつつ、耐衝
撃性を大幅に向上させることが可能となり、本発明を完
成するに至った。
【0011】本発明の上記(A)成分のゴム変性スチレ
ン系樹脂とは、ビニル芳香族系重合体よりなるマトリッ
クス中にゴム状重合体が粒子状に分散してなるグラフト
重合体をいい、ゴム状重合体の存在下に芳香族ビニル単
量体及び必要に応じ、これと共重合可能なビニル単量体
を加えて単量体混合物を公知の塊状重合、塊状懸濁重
合、溶液重合、または乳化重合することにより得られ
る。
【0012】このような樹脂の例としては、耐衝撃性ポ
リスチレン、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエ
ン−スチレン共重合体)、AAS樹脂(アクリロニトリ
ル−アクリルゴム−スチレン共重合体)、AES樹脂
(アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレ
ン共重合体)等が挙げられる。ここで、前記ゴム状重合
体は、ガラス転移温度(Tg)が−30℃以下であるこ
とが必要であり、−30℃を越えると耐衝撃性が低下す
る。
【0013】このようなゴム状重合体の例としては、ポ
リブタジエン、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ
(アクリロニトリル−ブタジエン)等のジエン系ゴム及
び上記ジエンゴムを水素添加した飽和ゴム、イソプレン
ゴム、クロロプレンゴム、ポリアクリル酸ブチル等のア
クリル系ゴム及びエチレン−プロピレン−ジエンモノマ
ー三元共重合体(EPDM)等を挙げることができ、特
にジエン系ゴムが好ましい。
【0014】グラフト重合可能な単量体混合物中の必須
成分の芳香族ビニル単量体とは、例えば、スチレン、α
−メチルスチレン、パラメチルスチレン、p−クロロス
チレン、p−ブロモスチレン、2,4,5−トリブロモ
スチレン等であり、スチレンが最も好ましいが、スチレ
ンを主体に上記他の芳香族ビニル単量体を共重合しても
よい。
【0015】また、ゴム変性スチレン系樹脂の成分とし
て必要に応じ、芳香族ビニル単量体に共重合可能な単量
体成分を一種以上導入することができる。耐油性を高め
る必要のある場合は、アクリロニトリル、メタクリロニ
トリル等の不飽和ニトリル単量体を用いることができ
る。そして、ブレンド時の溶融粘度を低下させる必要の
ある場合は、炭素数が1〜8のアルキル基からなるアク
リル酸エステルを用いることができる。また更に、重合
体組成物の耐熱性を更に高める必要のある場合は、アク
リル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、N−置換マレ
イミド等の単量体を共重合してもよい。単量体混合物中
に占める上記ビニル芳香族単量体と共重合可能なビニル
単量体の含量は0〜40重量%である。
【0016】本発明のゴム変性スチレン系樹脂における
ゴム状重合体は、好ましくは5〜80重量%、更に好ま
しくは10〜50重量%、グラフト重合可能な単量体混
合物は、好ましくは95〜20重量%、更に好ましくは
90〜50重量%の範囲にある。この範囲外では、目的
とする重合体組成物の耐衝撃性と剛性のバランスが取れ
なくなる。更には、スチレン系重合体のゴム粒子径は、
0.1〜5.0μmが好ましく、特に0.2〜3.0μ
mが好適である。上記範囲外では、耐衝撃性が低下する
傾向を生ずる。
【0017】本発明の(B)成分のポリフェニレンエー
テル(以下PPEと略称する。)とは、下記式で示され
る結合単位からなるホモ重合体及び/又は共重合体であ
る。
【0018】
【化1】
【0019】但し、R1 、R2 、R3 、R4 は、それぞ
れ水素、炭化水素、または置換炭化水素基からなる群か
ら選択されるものであり、互いに同一でも異なっていて
もよい。このPPEの具体的な例としては、ポリ(2,
6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、2,6
−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノ
−ルとの共重合体等が好ましく、中でも、ポリ(2,6
−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)が好まし
い。かかるPPEの製造方法は特に限定されるものでは
なく、例えば米国特許第3306874号明細書記載の
方法による第一銅塩とアミンのコンプレックスを触媒と
して用い、例えば、2,6−キシレノールを酸化重合す
ることにより容易に製造でき、そのほかにも米国特許第
3306875号明細書、米国特許第3257357号
明細書、米国特許第3257358号明細書、及び特公
昭52−17880号公報、特開昭50−51197号
公報に記載された方法で容易に製造できる。本発明にて
用いる上記PPEの還元粘度(0.5g/dl、クロロ
フィルム溶液、30℃測定)は、0.20〜0.70d
l/gの範囲にあることが好ましく、0.30〜0.6
0dl/gの範囲にあることがより好ましい。PPEの
還元粘度に関する上記要件を満たすための手段として
は、前記PPEの製造の際の触媒量の調整などを挙げる
ことができる。
【0020】また、本発明の(C)成分のポリアルキレ
ンエーテルとは、ポリオキシメチレン(ポリメチレンエ
ーテル)、ポリエチレンエーテル、ポリプロピレンエー
テル、ポリブチレンエーテル、ポリペンタメチレンエー
テル、ポリヘキサメチレンエーテル等の脂肪族系ポリエ
ーテルであり、上記ホモ重合体と共にそれらの共重合体
をも含む。
【0021】本発明の(C)成分のポリアルキレンエー
テルの製造方法は、ジクロル体またはジオール体のW
illiamson反応による直接重縮合反応法や、
脂肪族アルデヒドの付加重合法や、環状アセタール、
環状エーテルの開環重合法等が知られている。そして、
ポリアルキレンエーテルの粘度平均分子量は1万〜10
00万の範囲が好ましく、更には10万〜50万が好適
である。ここで上記粘度平均分子量は、極限粘度〔η〕
から、Bailey&Callard,1959の実験
式を用いて算出した。
【0022】本発明の(D)ヒドロキシル基含有芳香族
系リン酸エステルとは、トリクレジルホスフェートやト
リフェニルホスフェートやそれらの縮合リン酸エステル
等に1個または2個以上のフェノール性水酸基を含有し
たリン酸エステルであり、例えば下記の(2)式及び
(3)式で表わされる化合物である。
【0023】
【化2】
【0024】
【化3】
【0025】(但し、Ar1 、Ar2 、Ar3 、A
4 、Ar5 、Ar6 は、フェニル基、キシレニル基、
エチルフェニル基、イソプロピルフェニル基、ブチルフ
ェニル基から選ばれる芳香族基であり、リン酸エステル
中に少なくとも1個のヒドロキシル基が上記芳香族基に
置換されている。また、nは0〜3の整数を表わしmは
1以上の整数を表わす。) 本発明の(D)ヒドロキシル基含有芳香族系リン酸エス
テルの中でも特に、下記(4)式で表わされるジフェニ
ルレゾルシニルフォスフェートが好ましく、その製造方
法は、例えば特開平1−223158号公報に開示され
ており、フェノール、ヒドロキシフェノール、塩化アル
ミニウム及びオキシ塩化リンの反応により得られる。
【0026】
【化4】
【0027】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、必要に応
じて(E)ヒドロキシル基を含有していない有機リン化
合物を配合することができる。例えば、ホスフィン、ホ
スフィンオキシド、ビホスフィン、ホスホニウム塩、ホ
スフィン酸塩、リン酸エステル、亜リン酸エステル等を
挙げることができる。より具体的には、トリフェニルフ
ォスフェート、メチルネオペンチルフォスファイト、ペ
ンタエリスリトールジエチルジフォスファイト、メチル
ネオペンチルフォスフォネート、フェニルネオペンチル
フォスフェート、ペンタエリスリトールジフェニルジフ
ォスフェート、ジシクロペンチルハイポジフォスフェー
ト、ジネオペンチルハイポフォスファイト、フェニルピ
ロカテコールフォスアイト、エチルピロカテコールフォ
スフェート、ジピロカテコールハイポジフォスフェート
などを挙げることができる。
【0028】また、本発明の樹脂組成物に更に高度な難
燃性を付与することが必要な場合は、(F)赤リン、
(G)トリアジン骨格含有化合物を配合することができ
る。上記(F)赤リンとは、一般の赤リンの他に、その
表面をあらかじめ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネ
シウム、水酸化亜鉛、水酸化チタンより選ばれる金属水
酸化物の皮膜で被覆処理されたもの、水酸化アルミニウ
ム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化チタンよ
り選ばれる金属水酸化物及び熱硬化性樹脂よりなる皮膜
で被覆処理されたもの、水酸化アルミニウム、水酸化マ
グネシウム、水酸化亜鉛、水酸化チタンより選ばれる金
属水酸化物の皮膜の上に熱硬化性樹脂の皮膜で二重に被
覆処理されたものなども好適に用いることができる。
【0029】上記(G)トリアジン骨格含有化合物は、
(D)(E)(F)の含リン化合物の難燃助剤として一
層の難燃性を向上させるための成分である。その具体例
としては、メラミン、サクシノグアナミン、アジポグア
ナミン、メチルグルタログアナミン、メラミンホスフェ
ート、メラミンシアヌレート等を挙げることができる。
【0030】本発明の樹脂組成物の流動性を一層向上さ
せる必要がある場合には、(H)高級脂肪酸アミド化合
物を配合することができる。上記(H)高級脂肪酸アミ
ド化合物は、高級脂肪酸と、(イ)ジアミン類または
(ロ)アミノアルコール類との反応物である。ここで、
高級脂肪酸とは炭素数11〜21のアルキル基またはア
ルケニル基を有する脂肪酸であり、特にステアリン酸が
好ましい。
【0031】また、上記ジアミン類とは炭素数2〜10
の炭化水素のジアミン類であり、特にエチレンジアミン
が好ましい。更には、上記アミノアルコール類とは炭素
数2〜10の炭化水素のアミノアルコール類であり、例
えばモノエタノールアミン、3−アミノ−1−プロパノ
ール、4−アミノ−1−ブタノール等が挙げられる。
【0032】本発明の(H)成分の高級脂肪酸アミド化
合物としては特に、エチレン・ビス・ステアリルアミド
(Ethylenebisstearamide)が好
ましく、難燃性と耐熱性と耐衝撃性を保持しつつ、流動
性を向上させる。本発明の樹脂組成物を構成する(A)
ゴム変性スチレン系樹脂と(B)ポリフェニレンエーテ
ルと(C)ポリアルキレンエーテルと(D)ヒドロキシ
ル基含有芳香族系リン酸エステルと(E)ヒドロキシル
基非含有有機リン化合物と(F)赤リンと(G)トリア
ジン骨格含有化合物及び(H)高級脂肪酸アミド化合物
との量比については、(A)が50〜80重量%、
(B)が10〜40重量%、(C)が1〜20重量%、
(D)が5〜30重量%、(E)が0〜30重量%、
(F)が0〜20重量%、(G)が0〜30重量%、
(H)が0〜10重量%の範囲にあることが好ましい。
上記範囲内で、難燃性、流動性、耐熱性及び耐衝撃性の
バランスがより一層良好となる。
【0033】本発明の樹脂組成物は、上記各成分を市販
の単軸押出機あるいは、二軸押出機などで例えば溶融混
練することなどにより得られるが、その際にBHT等の
酸化防止剤、紫外線吸収剤、錫系熱安定剤、難燃剤、ス
テアリン酸、ステアリン酸亜鉛等の滑剤、充填剤、補強
剤、染料、顔料等を必要に応じて添加することができ
る。
【0034】このようにして得られた本発明の組成物を
例えば、射出成形または押出成形することにより、難燃
性、流動性と耐衝撃性と耐熱性の優れた成形品が得られ
る。
【0035】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれにより何ら制限を受けるもので
はない。なお、実施例、比較例における測定は、以下の
方法もしくは測定機器を用いて行った。 (1)ゴム重量平均粒子径:ゴム変性スチレン系樹脂の
重量平均粒子径は、樹脂組成物の超薄切片法により撮影
した透過型電子顕微鏡写真中のブタジエン系重合体粒子
径を求め、次式により算出する。
【0036】 重量平均粒子径=ΣNi・Di4 /ΣNi・Di3 (ここにNiは、粒子径がDiであるブタジエン系重合
体粒子の個数である。) (2)還元粘度ηsp/c ゴム変性スチレン系樹脂1gにメチルエチルケトン18
mlとメタノール2mlの混合溶媒を加え、25℃で2
時間振盪し、5℃、18000rpmで30分間遠心分
離する。上澄み液を取り出しメタノールで樹脂分を析出
させた後、乾燥した。
【0037】このようにして得られた樹脂0.1gをト
ルエンに溶解し、濃度0.5g/dlの溶液とし、この
溶液10mlをキャノン−フェンスケ型粘度計に入れ、
30℃でこの溶液流下秒数t1 を測定した。一方、別に
同じ粘度計で純トルエンの流下秒数t0 を測定し、以下
の数式により算出した。
【0038】
【数1】
【0039】(3)アイゾット衝撃強度:ASTM−D
256に準拠した方法で23℃で測定した。(Vノッ
チ、1/8インチ試験片) (4)ビカット軟化温度:ASTM−D1525に準拠
した方法で測定し、耐熱性の尺度とした。 (5)メルトフローレイト(MFR):流動性の指標で
ASTM−D−1238に準拠した方法で測定した。荷
重5kg、溶融温度200℃の条件で10分間あたりの
押出量(g/10min)から求めた。 (6)難燃性 UL−94に準拠したVB(Vertical Bur
ning)法により評価した(1/8インチ試験片での
評価)。
【0040】
【実施例1】 (イ)ゴム変性スチレン系樹脂(HIPS)の製造 ポリブタジエン〔(シス1,4結合/トランス1,4結
合/ビニル1,2結合重量比=95/2/3)(日本ゼ
オン(株)製、商品名Nipol 1220SL)〕
を、以下の混合液に溶解し、均一な溶液とした。
【0041】 ポリブタジエン 10.5 重量% スチレン 72.2 重量% エチルベンゼン 15.0 重量% ミネラルオイル 2.0 重量% α−メチルスチレン2量体 0.27重量% 1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ) −3,3,5−トリメチルシクロヘキサン 0.03重量% 次いで、上記混合液を攪拌機付の直列4段式反応機に連
続的に送液して、第1段は攪拌数190rpm、126
℃、第2段は50rpm、133℃、第3段は20rp
m、140℃、第4段は20rpm、155℃で重合を
行なった。引き続きこの固形分73%の重合液を脱揮装
置に導き、未反応単量体及び溶媒を除去し、ゴム変性ス
チレン樹脂を得た(HIPSと称する)。得られたゴム
変性スチレン樹脂を分析した結果、ゴム含量は14重量
%、ゴムの重量平均粒子径は2.4μm、還元粘度ηs
p/cは0.53dl/gであった。 (ロ)ポリフェニレンエーテル(PPE)の製造 酸素吹き込み口を反応機底部に有し、内部に冷却用コイ
ル、攪拌羽根を有するステンレス製反応機の内部を窒素
で充分置換したのち、臭化第2銅54.8g、ジ−n−
ブチルアミン1110g、及びトルエン20リットル、
n−ブタノール16リットル、メタノール4リットルの
混合溶媒に2,6−キシレノール8.75kgを溶解し
て反応機に仕込んだ。攪拌しながら反応機内部に酸素を
吹き込み続け、内温を30℃に制御しながら180分間
重合を行なった。重合終了後、析出したポリマーをろ別
した。これにメタノール/塩酸混合液を添加し、ポリマ
ー中の残存触媒を分解し、さらにメタノールを用いて充
分洗浄した後乾燥し、粉末状のポリフェニレンエーテル
を得た(PPEと称する。)。還元粘度は0.55dl
/gであった。
【0042】また、このPPEとポリスチレン(旭化成
工業(株)製 商品名スタイロン685)を重量比で7
0/30で混合し、2軸押出機で350℃で溶融押出を
行なった。得られたペレットをPPE−MBと称す。 (ハ)ポリアルキレンエーテル 市販のポリエチレンオキサイド〔明成化学工業(株)
製、商品名アルコックスE−30 粘度平均分子量30
万(PEOと称する)〕を用いた。 (ニ)ヒドロキシル基含有芳香族系リン酸エステルを含
有した有機リン化合物の製造 フェノール122.7重量部(モル比2.0)、塩化ア
ルミニウム0.87重量部(モル比0.01)をフラス
コに取り90℃でオキシ塩化リン100重量部(モル比
1.0)を1時間かけて滴下した。生成した中間体にレ
ゾルシン71.7重量部(モル比1.0)を加え更に反
応させた。反応を完結させるために、徐々に昇温し最終
的には180℃まで温度を上げてエステル化を完了させ
た。次いで反応生成物を冷却し、水洗して触媒及び塩素
分を除去してリン酸エステル混合物(以下FRと称す
る)を得た。この混合物をGPC(ゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフィー)により分析したところ、ジフェ
ニルレゾルシニルホスフェート(以下TPP−OHと称
する)とトリフェニルホスフエート(以下TPPと称す
る)と、芳香族縮合リン酸エステル(以下TPPダイマ
ーと称する)からなり、重量比がそれぞれ54.2/1
8.3/27.5であった。
【0043】
【化5】
【0044】(TPP−OH)
【0045】
【化6】
【0046】(TPPダイマー) (ホ)組成物の調整及び評価 上記HIPS/PPE−MB/PEO/FRを重量比で
53/28/3/16の比率で機械的に混合し、東洋精
機製作所製ラボプラストミルを用いて、溶融温度250
℃、回転数50rpmで5分間溶融した。このようにし
て得た樹脂組成物から190℃の加熱プレスにより1/
8インチ厚の試験片を作製し、アイゾット衝撃強さ、ビ
カット軟化温度及びMFRの評価を行なった。表1にそ
の結果を示す。
【0047】
【比較例1】実施例1において、PEOを用いなかっ
た。即ち組成物をHIPS/PPE−MB/FR=56
/28/16(重量比)に変更すること以外、実施例1
と同一の実験を繰り返した。表1にその結果を示す。
【0048】
【比較例2】実施例1においてPEO、FRを用いなか
った。即ち、組成物をHIPS/PPE−MB=67/
33(重量比)に変更すること以外、実施例1と同一の
実験を繰り返した。表1にその結果を示す。
【0049】
【比較例3】実施例1において、FRを用いなかった。
即ち、組成物をHIPS/PPE−MB/PEO=63
/33/4(重量比)に変更すること以外、実施例1と
同一の実験を繰り返した。表1にその結果を示す。
【0050】
【比較例4】実施例1において、PPE−MB、FRを
用いなかった。即ち、組成物をHIPS/PEO=95
/5(重量比)に変更し、かつラボプラストミルの溶融
温度を250℃から230℃に変更すること以外は実施
例1と同一の実験を繰り返した。表1にその結果を示
す。
【0051】
【比較例5】比較例4において、PEOを用いなかっ
た。即ち、組成物をHIPS単独に変更すること以外、
比較例4と同一の実験を繰り返した。表1にその結果を
示す。表1によると、ポリフェニレンエーテルとポリア
ルキレンエーテルが同時に存在する時にのみ耐衝撃性が
向上することが分かる。この事実からポリフェニレンエ
ーテルとポリアルキレンエーテルとの相互作用が示唆さ
れる。また、(A)ゴム変性スチレン系樹脂に対して、
(B)ポリフェニレンエーテルと(C)ポリアルキレン
エーテルが同時に存在する時のみ耐衝撃性は向上する
が、流動性は著しく低い。そこで(A)(B)(C)成
分に対して、有機リン化合物を併用することによって始
めて、流動性と耐衝撃性のバランス特性が向上すること
が判明した。
【0052】
【実施例2】実施例1において、FRを削減した。即
ち、組成物を、HIPS/PPE−MB/PEO/FR
=59/31/3/7(重量比)に変更すること以外、
実施例1と同一の実験を繰り返した。表2にその結果を
示す。
【0053】
【比較例6】実施例2において、PEOを用いなかっ
た。即ち、組成物を、HIPS/PPE−MB/FR=
62/31/7(重量比)に変更すること以外、実施例
2と同一の実験を繰り返した。表2にその結果を示す。
【0054】
【比較例7−A】実施例2において、FRの代わりに市
販のトリフェニルフォスフェート〔(大ハ化学工業所
(株)製)(TPPと称する。)〕を用いること以外
は、実施例2と同一の実験を繰り返した。表2にその結
果を示す。
【0055】
【比較例7−B】実施例6において、FRの代わりに市
販のトリフェニルフォスフェート〔(大ハ化学工業所
(株)製)(TPPと称する。)〕を用いること以外
は、実施例6と同一の実験を繰り返した。表2にその結
果を示す。
【0056】
【比較例8−A】実施例2において、FRの代わりに市
販の芳香族縮合リン酸エステル(大ハ化学工業所(株)
製、商品名CR733S(poly−FRと称する))
を用いること以外は、実施例2と同一の実験を繰り返し
た。表2にその結果を示す。また、上記芳香族縮合リン
酸エステルは、GPC分析によると、下記(8)式で表
わされるTPPダイマーとTPPオリゴマーからなり、
重量比でそれぞれ65/35であった。
【0057】
【化7】
【0058】
【比較例8−B】比較例6において、FRの代わりに市
販の芳香族縮合リン酸エステル(大ハ化学工業所(株)
製、商品名CR733S)を用いること以外は、比較例
6と同一の実験を繰り返した。表2にその結果を示す。
表2によると、有機リンの種類にかかわらず(C)ポリ
アルキレンエーテルの存在する時のみ耐衝撃性が向上す
ることが分かる。また、ヒドロキシル基を含有した芳香
族系リン酸エステル(有機リン化合物)は、ヒドロキシ
ル基を含有していない有機リン化合物に比較して、流動
性、耐衝撃性、耐熱性のバランス特性に優れ、特に耐熱
性が極めて優れている。
【0059】
【実施例3】 (イ)トリアジン骨格含有化合物 市販のメラミンシアヌレート〔日産化学工業(株)製、
商品名MC−610(MCと称する)〕を用いた。 (ロ)高級脂肪酸アミド 高級脂肪酸アミドとして、市販のエチレンビスステアリ
ルアミド{花王(株)製、商品名花王ワックスEB F
F(EBSと称する)}を用いた。 (ハ)組成物の調整及び評価 実施例1において、組成物をHIPS/PPE−MB/
PEO/FR/poly−FR/MC/EBS=67/
33/4/11.5/7.7/15/2(重量比)に変
更すること以外、実施例1と同一の実験を繰り返した。
また、燃焼性の評価も同時に行なった。表3、4にその
結果を示す。
【0060】
【比較例9】 (イ)赤リン 市販の赤リン粉末〔燐化学工業(株)製、商品名ノーバ
エクセル150(RPと称する)〕を用いた。 (ロ)組成物の調整及び評価 実施例3において、PEOを加えないこと以外、実施例
3と同一の実験を繰り返した。表3、4にその結果を示
す。
【0061】
【実施例4】 (イ)ポリスチレン(GPPS) 市販のポリスチレン〔旭化成工業(株)製、商品名スタ
イロン680(GPPSと称する)〕を用いた。 (ロ)組成物の調整及び評価 実施例3において、組成物をHIPS/GPPS/PP
E−MB/PEO/FR/poly−FR/RP/MC
/EBS=50/21/29/4/12/8/2/8/
2(重量比)に変更すること以外、実施例3と同一の実
験を繰り返した。表3、4にその結果を示す。
【0062】
【比較例10】実施例4において、GPPS、PEOを
用いなかった。即ち、組成物を、HIPS/PPE−M
B/FR/poly−FR/RP/MC/EBS=71
/29/12/8/2/8/2(重量比)に変更するこ
と以外、実施例4と同一の実験を繰り返した。表3、4
にその結果を示す。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
【表3】
【0066】
【表4】
【0067】
【発明の効果】本発明の組成物は、優れた耐衝撃性と流
動性と耐熱性を兼備した熱可塑性樹脂組成物である。こ
の組成物は、家電部品、OA機器部品等に好適であり、
特に優れた流動性により、大型薄肉成形品を無理なく成
形できるだけでなく、成形温度を低めに設定できること
により成形サイクルの短縮が期待でき、また薄肉成形品
にしても充分な強度を有しいるためこれら産業界に果た
す役割は大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 71/12 LQM 9167−4J LQP 9167−4J

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ゴム変性スチレン系樹脂、(B)
    ポリフェニレンエーテル、(C)ポリアルキレンエーテ
    ル及び(D)ヒドロキシル基含有芳香族系リン酸エステ
    ルを含有する耐衝撃性の優れた良流動耐熱性樹脂組成
    物。
JP18207892A 1992-07-09 1992-07-09 耐衝撃性の優れた良流動耐熱性樹脂組成物 Withdrawn JPH0625524A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0767215A1 (en) * 1994-06-21 1997-04-09 Asahi Kasei Kogyo Kabushiki Kaisha Aromatic polycarbonate-styrene polymer resin composition

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP0767215A1 (en) * 1994-06-21 1997-04-09 Asahi Kasei Kogyo Kabushiki Kaisha Aromatic polycarbonate-styrene polymer resin composition
EP0767215A4 (en) * 1994-06-21 1998-04-08 Asahi Chemical Ind AROMATIC POLYCARBONATE-STYRENE POLYMER RESIN COMPOSITION
EP1125984A1 (en) * 1994-06-21 2001-08-22 Asahi Kasei Kabushiki Kaisha Aromatic polycarbonate-styrene polymer resin composition

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