JPH0624838Y2 - ペリクル収納容器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、フォトマスクやレチクルの防塵に使用される
ペリクルの収納容器に関する。

［従来の技術］ ペリクルは光学的に透明な薄膜であって、半導体製造の
ための露光焼付によるリソグラフィー工程において、フ
ォトマスク或はレチクル上に微細な塵埃が付着するのを
防止し、半導体の製品歩留りを向上させることを目的と
して使用される。このペリクルは厚さ０．５〜１０μｍ
の極めて薄い高分子薄膜であって、金属又はプラスチッ
クの支持枠に周囲を支持させた状態で使用する。このペ
リクル自体は外部からの衝撃に弱いものであり、またペ
リクル自体に塵埃が付着し、リソグラフィー工程に持ち
込まれることも好ましくないので、適当な容器内に収納
した状態で、保存、輸送が行われている。

第５図は従来より使用されているペリクルの収納容器を
示す断面図である。この収納容器は下面にペリクル３１
が張着された環状の支持枠３２が載置される基板３３
と、支持枠３２を基板３３方向に押圧する突起３４ａが
形成されて基板３３に嵌合又は圧着されるプラスチック
製のカバー体３４とから構成されている。そしてこの収
納容器は、これらが組み付けられた状態で全体を外袋３
５で覆うことによりペリクル収納時の保存状況を良好に
保つことが可能となっている。

［考案が解決しようとする課題］ 従って、従来のペリクル収納容器はペリクルが張着され
た支持枠を１個ずつ収納する個装体となっており、一度
に多くのペリクルをフォトマスクやレチクルに装着する
場合には、個々の収納容器の外袋を開封してそれぞれカ
バー体を剥ぎ取る作業が必要となる。このためペリクル
取り出し作業が面倒となっている。また、ペリクルと同
数の収納容器を必要とし、包装のための資材を大量に要
すると共に、収納容器内のクリーン度を保つための収納
容器の洗浄、乾燥処理がペリクル毎に必要ともなってい
る。

そこで、本考案はペリクルの取り出し、包装の作業の簡
略化と包装資材の削減を図るため、一の収納容器内にペ
リクル張着支持枠を多数収納可能としたペリクル収納容
器を提供することを目的とする。

［課題を解決するための手段］ 上記目的を達成するため本考案は、下面にペリクルが張
着された支持枠の上面に粘着剤を介して着脱可能に貼着
される可撓性シートと、前記支持枠の下面が当接する棚
部を有して支持枠を収納する収納体と、この収納体の上
面および前記可撓性シートの上面に粘着剤を介して着脱
可能に貼着されるカバーとを備えて一のケースが形成さ
れ、 前記カバーの上面が相互に接触するように一のケースと
他のケースの収納体が折畳み可能に連設されていること
を特徴とする。

［作用］ 上記の通りに構成された本考案は、ペリクルは支持枠と
共に収納体内に収納されており、折畳まれたケースを展
開し、カバーを剥ぎ取ることにより必要数のペリクルの
取出しが行われるようになっている。

［実施例］ 以下、本考案を添付図面を参照して具体的に説明する。

ペリクル収納容器は、支持枠２に張着されたペリクル１
を個々に収納するケース１０が折畳み可能に複数、連設
されて構成される。すなわち、ペリクル収納容器は複数
のケース１０の連設体からなり、折畳み状態から展開状
態にすることによりペリクル１を支持枠２と共に取り出
すことが可能となる。かかるケース１０の連設は後述す
るように、折畳み時に一のケース１０のカバー６上面と
他のケース１０のカバー６上面とが相互に接触するよう
に行われ、好ましくはブック形態が選択される。第１図
および第３図はこのブック形態の連設を示し、縦方向２
つのケース１０で左右のケース集合片１１，１１がそれ
ぞれ形成され、ケース集合片１１，１１の境界部分を回
動させることにより第２図のようにケース集合片１１，
１１が天地逆向きに積み重ねられて折畳まれるようにな
っている。従って、図示例ではペリクル１は支持枠２と
共に１の収納容器に対して４個収納される。

次に、ペリクル収納容器を構成するケース１０の内部構
造を第１図および第２図により説明する。個々のケース
１０は支持枠２を収納する収納体５と、支持枠２に貼着
される可撓性シート４と、収納体５に貼着されるカバー
６とを備えている。ペリクル１は円環状の支持枠２の下
面に張着されており、可撓性シート４はペリクル張着面
と反対側の上面に粘着剤３を介して着脱可能に貼着され
ている。粘着剤３は着脱可能な程度の粘着力を有するも
のが使用されており、可撓性シート４は粘着剤３によっ
て支持枠２に対して着脱可能となっている。従って、ペ
リクル１を露光装置に使用する場合には可撓性シート４
は剥離されるが、その他の場合、例えば容器から支持枠
を取り出す時や支持枠収納時においては支持枠２に貼着
されて支持枠２側のペリクルの内面に塵埃が付着するの
を防止している。なお、ここで可撓性シート４は前記支
持枠２と略同径に成形される。かかる可撓性シート４の
材質はポリエステル、ポリプロピレン、エチレン−酢酸
ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタ
レートなどのプラスチックフィルムが良好であり、厚さ
６０〜４００μｍが好適である。

このように下面にペリクルが張着され、上面に可撓性シ
ート４が貼着された支持枠２は収納体５内に収納され、
さらにその上面がカバー６で押えられるようになってい
る。収納体５は中央部分が最も凹んでおり、この凹み部
分の外側に棚部５ａが形成され、さらにその外側に棚部
５ａよりも高くなったフランジ部５ｂが形成された階段
状となっている。棚部５ａは支持枠２が当接して載置さ
れるものであり、支持枠２の外形々状および外形寸法に
合わせて形成される。この場合、支持枠２はペリクル１
が張着された下面が棚部５ａに当接するように載置され
る。前記フランジ部５ｂはこの棚部５ａよりも高い位置
に形成されている。フランジ部５ｂの高さは支持枠２、
粘着剤３および可撓性シート４を合わせた厚さと略同一
となっており、支持枠２を棚部５ａ上に載置すると、支
持枠２および支持枠２に貼着された可撓性シート４全体
が収納体５内に収納されるようになっている。かかる収
納体５はプラスチックによって上記形状に成形される
が、その材質としてはポリ塩化ビニル、ポリメチルメタ
アクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、アク
リルニトリル／スチレンコポリマー、酢酸セルロースな
どが使用でき、これらの内、透明なものの方がペリクル
の状態や塵埃の有無などを外部より確認することができ
るので好ましい。

前記カバー６はこのような収納体５のフランジ部５ｂ上
面および収納体５内に収納された支持枠２の可撓性シー
ト４に貼着される。すなわち、カバー６は中央部分が可
撓性シート４に、周辺部分が収納体５のフランジ部５ｂ
に貼着され、これにより支持枠２は収納体５内に固定さ
れる。このカバー６の材質として前記可撓性シート４と
同一のものが使用することができ、その厚みは２０〜２
００μｍの範囲内で適宜、選択される。このカバー６の
貼着は粘着剤８によって行われる。粘着剤８としてはア
クリル系粘着剤、ゴム系粘着剤などが好適であり、これ
らの内、３〜４００g/cm、好ましくは５〜１００g/cmの
粘着力を有する貼着剤が良好である。粘着力が３g/cm以
下の場合にはカバー６が剥れ易く、衝撃、振動などによ
って支持枠２が収納体５から落下する一方、４００g/cm
以上ではカバー６の剥離に大きな力を要し、支持枠２の
取り出しの作業性を阻害するからである。なお、粘着力
とはカバー６を１cm/分の速度で剥取る場合に要する力
をカバーの巾のcm単位で表わしたものである。

第４図はカバー６に塗布される粘着剤８の塗布パターン
を示す。同図（ａ）は粘着剤８が縦横平行に塗布された
格子状パターンであり、同図（ｂ）は粘着剤８が同心円
状に塗布されたリングパターンである。後述のようにカ
バー６はペリクル１の取り出し時に可撓性シート４およ
び収納体５から剥離されるものであるため、このような
パターンで塗布することで剥離の容易性を確保すること
ができる。同様に粘着剤８を散点状に塗布しても良く、
カバー６全体に塗布しても良い。

以上のような可撓性シート４、カバー６および収納体５
を備えることにより一のケース１０が形成され、このケ
ース１０が第３図のように縦方向に連設されてケース集
合体１１が形成され、さらにケース集合体１１が左右に
連設されることでペリクル収納容器が構成される。ケー
ス１０の縦方向の連設は収納体５のフランジ部５ｂを縦
方向に連結することで行われ、一方、左右のケース集合
体１１の連設は収納体５のフランジ部５ｂを横方向に連
結することで行われる。これら連設は収納部１０を成形
金型で成形する際に一体的に行うことができる。ここで
左右のケース集合体１１の連設にあっては、第１図々示
のように連結部１２が幾分湾曲した構造となっており、
いずれか一方のケース集合体を他方のケース集合体方向
に回動して重ね合わすことが可能となっている。この重
ね合わせた状態では第２図に示すように、一方のケース
集合体におけるケース１０のカバー６が他方のケース集
合体におけるケース１０のカバー６と相互に平面接触す
る。このようにカバー６を接触させるように重ね合わす
ことにより、収納容器全体のコンパクト化が可能となる
ものである。そして、重ね合わせ状態のケース集合体１
１，１１全体を外袋７内に挿入し、外袋７を密封するこ
とで複数のペリクルを一の収納容器内に収納することが
できる。

このような収納容器からペリクル１を取り出すには、ま
ず外袋７を破って重ね合わせ状態のケース集合体１１，
１１を取り出し、次にケース集合体１１，１１を第３図
のように展開する。この展開状態ではペリクル１は支持
枠２と共に、個々のケース１０の収納体５内にセットさ
れており、カバー６が剥がすことにより必要数に相当し
たケース１０を開封する。そして、開封されたケース１
０の収納体５内にロボットハンドあるいはホルダ等の取
り出し治具を挿入して支持枠２を挟持し、支持枠２、可
撓性シート４と共にペリクル１をケース５から取り出
す。そして、露光装置にペリクル１を装着するには、支
持枠２から可撓性シート４を剥離した後に行うことがで
きる。

従って、以上のような構成では一の収納容器内にペリク
ルを複数収納できるため、多数のペリクルの取り出し作
業が簡略化されると共に、内部雰囲気のクリーン化も個
々に行う必要がなく、収納作業も簡略化され、さらには
包装資材の削減も可能となる。

［考案の効果］ 以上説明した本考案は、ペリクルを支持枠と共に個々に
収納するケースを連設して収納容器とするため、多数の
ペリクルの収納作業および取り出し作業が簡略化される
と共に、包装資材を削減することができる。また、収納
容器はケースが相互に重ね合わせられるように折畳まれ
るため、コンパクトとなり、取扱い性が良好となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例の展開状態を示す断面図、第
２図は折畳み状態を示す断面図、第３図は展開状態の平
面図、第４図（ａ）、（ｂ）はカバーの粘着剤の塗布パ
ターンを示す平面図、第５図は従来の収納容器を示す断
面図である。 １……ペリクル、２……支持枠、３，８……粘着剤、 ４……可撓性シート、５……収納体、６……カバー、 ７……外袋、１０……ケース、 １１……ケース集合体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】下面にペリクルが張着された支持枠の上面
   に粘着剤を介して着脱可能に貼着される可撓性シート
   と、前記支持枠の下面が当接する棚部を有して支持枠を
   収納する収納体と、この収納体の上面および前記可撓性
   シートの上面に粘着剤を介して着脱可能に貼着されるカ
   バーとを備えて一のケースが形成され、 前記カバーの上面が相互に接触するように一のケースと
   他のケースの収納体が折畳み可能に連設されていること
   を特徴とするペリクル収納容器。