JPH06247855A - アスコルビン酸又は/及びその塩を含む溶液の安定化方法 - Google Patents

アスコルビン酸又は/及びその塩を含む溶液の安定化方法

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JPH06247855A
JPH06247855A JP5788093A JP5788093A JPH06247855A JP H06247855 A JPH06247855 A JP H06247855A JP 5788093 A JP5788093 A JP 5788093A JP 5788093 A JP5788093 A JP 5788093A JP H06247855 A JPH06247855 A JP H06247855A
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pyrosulfite
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 本発明は、アスコルビン酸又は/及びその塩
を含む溶液にピロ亜硫酸塩を共存させることを特徴とす
る、該溶液の安定化方法、及び安定化されたアスコルビ
ン酸又は/及びその塩を含む溶液、更に三価の鉄の還元
剤としてアスコルビン酸又は/及びその塩を用いる鉄又
は不飽和鉄結合能(UIBC)の測定方法に於て、該安
定化したアスコルビン酸溶液を還元剤溶液として用いる
ことを特徴とする被検試料中の鉄又はUIBCの測定方
法、の発明である。 【効果】 従来不安定で安定化することが難しかったア
スコルビン酸又は/及びその塩を含む溶液を長期間安定
に保存することができた。また、当該安定化方法は、三
価の鉄の還元剤としてアスコルビン酸又は/及びその塩
を用いる鉄測定試薬やUIBC測定試薬に於ける還元剤
溶液の安定化にも適用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アスコルビン酸又は/
及びその塩を含む溶液の褐変化及び劣化を抑制する方法
と、該方法により安定化されたアスコルビン酸又は/及
びその塩を含む溶液を還元剤溶液として用いる、被検試
料中の鉄又は不飽和鉄結合能の測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アスコルビン酸又は/及びその塩は、抗
壊血病因子であることから、健康医薬品として古くから
利用されている。そして、最近ではアスコルビン酸又は
/及びその塩を配合した機能性食品や化粧品等が数多く
製造、販売され、その市場が拡大しつつある。しかしな
がら、アスコルビン酸は酸化され易く、また酸化される
と褐変してしまう性質を有し、食品や化粧品の分野に利
用するには問題が多い。
【0003】一方、臨床検査に於ける血清鉄又は不飽和
鉄結合能(UIBC)の測定は、鉄欠乏性貧血、再生不良性
貧血、悪性貧血、慢性出血性貧血、真性多血症、感染性
貧血等の各種貧血、急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変等の肝
疾患の鑑別に重要な意味を持っており、臨床的意義が非
常に高い。血清中の鉄は、全て血清グロブリンの1つで
あるトランスフェリンと結合した形で存在するので、血
清鉄を測定する場合には、このトランスフェリンと鉄の
キレートを外し、遊離の鉄としてから鉄の測定を行う。
また、血清中のトランスフェリンはその1/3が鉄と結
合して存在するが、残り2/3は鉄と結合しない形で存
在し、その量は不飽和鉄結合能(UIBC)と呼ばれてい
る。不飽和鉄結合能の測定法としては、血清に既知量の
鉄を加え、トランスフェリンと結合させた残りの鉄の量
を測定して、鉄の減少量から不飽和鉄結合能を求める方
法が一般によく知られている。
【0004】鉄の測定法としては、例えばα,α'-ジピ
リジル、o-フェナントロリン、バソフェナントロリン、
2,4,6-トリピリジル-S-トリアジン、3-(2-ピリジル)-5,
6ビス(4-スルホフェニル)-1,2,4-トリアジン等や、例え
ば 2-ニトロソ-5-(N-プロピル-N-スルホプロピル)アミ
ノフェノールに代表されるニトロソフェノール誘導体等
の鉄の発色剤を用いた比色分析法が一般的であるが、こ
れらは、全て二価の鉄の発色剤なので、使用に当たって
は三価の鉄を還元するための還元剤の併用を必要とす
る。三価の鉄の還元剤としては、L-アスコルビン酸,チ
オグリコール酸,塩酸ヒドロキシルアミン,ハイドロキ
ノン,ハイドロサルファイト,亜硫酸ナトリウム,硫酸
ヒドラジン,メタ重亜硫酸塩(ピロ亜硫酸塩)等が知ら
れているが、これらのうち精密分析用に十分その還元力
を発揮するのはL-アスコルビン酸とチオグリコール酸で
あるとされている。しかしながら、この2つの還元剤に
も実用上極めて重大な欠陥がある。つまり、チオグリコ
ール酸は、酸性側では溶液状態でも比較的安定で且つ還
元力も十分であるが、メルカプト基特有の悪臭があり、
使用上好ましからざるものである。一方アスコルビン酸
は、粉末での安定性は比較的良好であるが、溶液状態で
は安定性が極めて悪いという問題点がある。
【0005】アスコルビン酸を含有する溶液の安定化方
法としては、環状トリメタリン酸塩を共存させる方法
(特公昭59-32468)、dl-N-アセチルホモシステインチ
オラクトン(又はN-アセチル-L-システイン)と亜硫酸
塩を添加する方法(特開昭49-92219)等が提案されてい
る。これらの方法は、確かにアスコルビン酸溶液の安定
化効果が認められるものの、環状トリメタリン酸塩を共
存させる方法では、室温で4週間放置後のアスコルビン
酸の残存率は約80%に過ぎない。また、dl-N-アセチル
ホモシステインチオラクトン(又はN-アセチル-L-シス
テイン)及び亜硫酸塩を添加する方法では、約10日間保
存時の安定化効果が認められているに過ぎず、また、亜
硫酸塩を単独で用いた場合にはアスコルビン酸の安定化
効果は認められない。
【0006】一方食品等の分野に於ては、フマル酸を添
加する方法(特開平4-352776)等があるが、該方法は、
アスコルビン酸を含有する飲食品の褐変化による外観の
劣悪化や風味の改善を目的としたものであり、長期間保
存後のアスコルビン酸自体の残存率を高めることを目的
としたものではない。即ち、該方法によれば、アスコル
ビン酸及びフマル酸を添加した飲料を瓶に充填、密封し
た状態で2週間(55℃)保存した場合に飲料の褐変化が
防止できたに過ぎない。従って、アスコルビン酸を含有
する溶液のより効果的な安定化方法の開発が望まれてい
る現状にある。
【0007】
【発明の目的】本発明は上記した如き状況に鑑みなされ
たもので、アスコルビン酸又は/及びその塩を含む溶液
の効果的な安定化方法と、該安定化されたアスコルビン
酸又は/及びその塩を含む溶液を還元剤溶液として用い
た被検試料中の鉄又は不飽和鉄結合能(UIBC)の測
定方法を提供することを目的とする。
【0008】
【問題を解決するための手段】本発明は、アスコルビン
酸又は/及びその塩を含む溶液に、ピロ亜硫酸塩を共存
させることを特徴とする、該溶液の安定化方法である。
また、本発明はその溶液中にピロ亜硫酸塩を共存させた
ことを特徴とする、アスコルビン酸又は/及びその塩を
含む溶液の発明である。更に、本発明は三価の鉄の還元
剤としてアスコルビン酸又は/及びその塩を用いる鉄又
はUIBCの測定方法に於て、アスコルビン酸又は/及
びその塩を含む溶液にピロ亜硫酸塩を共存させて成る溶
液を還元剤溶液として用いることを特徴とする、被検試
料中の鉄又はUIBCの測定方法の発明である。即ち、
本発明者等は、アスコルビン酸又は/及びその塩を含む
溶液の安定化方法について鋭意研究の途上、ピロ亜硫酸
塩に、意外にもアスコルビン酸又は/及びその塩を含む
溶液の安定化効果があることを見出し、本発明を完成さ
せるに到った。
【0009】本発明に用いられるピロ亜硫酸の塩類とし
ては、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、アルカリ土類
金属塩のうち、必要量が溶解できるものであれば何れも
利用できるが、市販品として手に入れ易いことから、通
常、ピロ亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウムが好ま
しく使用される。ピロ亜硫酸塩の至適濃度は、pH、ア
スコルビン酸濃度等により異なるが、通常0.001w/v%以
上、好ましくは0.01w/v%以上である。また、鉄又はU
IBCの測定に於て、還元剤として用いるアスコルビン
酸の安定化剤としてピロ亜硫酸塩を共存させる場合に
は、測定系にピロ亜硫酸塩の還元作用の影響が出ない程
度の低濃度で用いることが好ましく、その場合のピロ亜
硫酸塩の濃度としては、溶液中の濃度として、0.01〜0.
5w/v%程度である。また、本発明に係るアスコルビン酸
又は/及びその塩を含む溶液のpHは、通常2〜8の範
囲、好ましくはpH2〜5の範囲である。本発明に係る
アスコルビン酸又は/及びその塩を含む溶液に於て、用
いられる溶媒は、用いる試薬類が溶解し、また最終pH
が2〜8の範囲になるものであれば何れにてもよく、例
えば蒸留水、イオン交換水、上記pH内に緩衝能を持つ
各種緩衝液等が挙げられるが、これらに限定されるもの
ではない。。
【0010】本発明を実施するには、本発明に係る安定
化剤であるピロ亜硫酸塩をアスコルビン酸又は/及びそ
の塩を含む溶液中に共存させるだけでよく、何等特別な
操作は不要である。本発明に係るアスコルビン酸又は/
及びその塩を含む溶液中には、安定化剤としてのピロ亜
硫酸塩の他に、必要に応じて各種防腐剤、緩衝剤、界面
活性剤その他の薬品類が共存していても構わない(但
し、アスコルビン酸又は/及びその塩やピロ亜硫酸塩に
対して反応性を有する物質の共存は不可であることは言
うまでもない。)。また、アスコルビン酸又は/及びそ
の塩を含む溶液にピロ亜硫酸塩を共存させて成る溶液を
還元剤溶液として用いる本発明に係る鉄又はUIBCの
測定方法に於て、該還元剤溶液以外に用いられる発色試
薬、緩衝剤、各種防腐剤、界面活性剤、その他の試薬類
等は、アスコルビン酸又は/及びその塩を含む溶液を還
元剤溶液として用いる、自体公知の鉄又はUIBCの測
定方法に於て用いられる試薬類等が全てそのまま使用可
能であり、またそれら試薬類等の濃度範囲等も、自体公
知の該測定法に於て通常用いられる濃度範囲等を適宜選
択して用いることで足りる。また、測定操作等も、本発
明に係るアスコルビン酸又は/及びその塩を含む溶液を
使用する以外は、自体公知の鉄又はUIBCの測定方法
に準じてこれを行うことで足りる。
【0011】本発明に係る安定化方法は、アスコルビン
酸を用いる各種分野、例えば臨床診断薬、健康医薬品、
機能性食品、化粧品、その他多方面で幅広く利用でき
る。また、本発明に係る鉄の測定方法は、臨床検査の分
野だけでなく、水質検査、その他多方面に於て、幅広く
利用できる。これまで、ピロ亜硫酸塩が鉄やUIBCの
測定用試薬に於ける還元剤として用いられた例はある
が、これがアスコルビン酸又は/及びその塩を含む溶液
の安定化に極めて有効であり、アスコルビン酸又は/及
びその塩を含む溶液を還元剤溶液として用いる鉄又はU
IBCの測定方法に於て、還元剤溶液の安定化に有効に
使用し得るということは、全く意外なことであった。
尚、本発明に係る鉄又はUIBCの測定方法は、用手法
に限らず、自動分析装置を用いた測定系にも利用でき
る。
【0012】
【実施例】
実施例1. [アスコルビン酸溶液の調製]0.4Mグリシン緩衝液にア
スコルビン酸を0.4%,ピロ亜硫酸ナトリウムを0.1%の
濃度になるように溶解し、塩酸又は水酸化カリウムでp
Hを2.0〜8.0に調整した。 [保存条件]調製したアスコルビン酸溶液を25℃のイン
キュベーターに保存した。 [アスコルビン酸濃度の測定]調製直後、1ヶ月保存後
及び3ヶ月保存後のアスコルビン酸溶液の夫々につい
て、下記の方法でアスコルビン酸濃度を測定した。ま
ず、リン酸一アンモニウムが15g/dl(1.3M/l)、メタノ
ールが7.5ml/dl、アセチルアセトンが0.15ml/dl、カタ
ラーゼが45,000U/dl、硫酸銅(II)五水和物が2.5mg/dl
(0.1mM/l)になるようにこれらをイオン交換水に溶解
し、水酸化ナトリウムでpHを7.0に調整して発色試液と
した。各アスコルビン酸溶液夫々100μlをとり、上記発
色試液4.0mlを加え37℃恒温槽中で60分間加温反応後、
試薬ブランクを対照として410nmの吸光度を測定した。
濃度既知のアスコルビン酸を含有する標準液(10,2
0,30,50,80,100mg/dl)100μlをとり、同様の操作を
行って吸光度を測定し、アスコルビン酸標準液の濃度と
吸光度から検量線を作成した。この検量線からアスコル
ビン酸溶液中のアスコルビン酸濃度を算出した。調製直
後のアスコルビン酸濃度を100%とし、1ヶ月保存後及
び3ヶ月保存後のアスコルビン酸溶液中のアスコルビン
酸濃度の残存率を求めた。結果を表1に示す。
【0013】比較例1.0.4Mグリシン緩衝液にアスコル
ビン酸を0.4%の濃度になるように溶解し、塩酸又は水
酸化カリウムでpHを2.0〜8.0に調整した。その後、実
施例1と同様に保存し、調製直後のアスコルビン酸濃度
を100%とし、1ヶ月保存後及び3ヶ月保存後のアスコ
ルビン酸溶液中のアスコルビン酸濃度の残存率を実施例
1と同様の方法で求めた。結果を表1に併せて示す。
【0014】
【表1】
【0015】表1の結果から明らかな如く、ピロ亜硫酸
ナトリウムをアスコルビン酸溶液中に共存させると、ア
スコルビン酸の溶液中の残存率が著しく向上し、特にp
H2〜5に於ては3ヶ月保存後でも調製直後と比べて殆
ど変化していないことが判る。
【0016】実施例2. [アスコルビン酸溶液の調製]0.4Mグリシン緩衝液にア
スコルビン酸を0.4%、ピロ亜硫酸ナトリウムを0.001〜
1%の濃度になるように溶解し、塩酸でpH3.0に調整し
た。 [保存条件]調製したアスコルビン酸溶液を25℃のイン
キュベーターに保存した。 [アスコルビン酸濃度の測定]調製直後、10日間保存後
及び30日間保存後のアスコルビン酸溶液の夫々につい
て、実施例1と同様の方法でアスコルビン酸濃度を測定
した。調製直後のアスコルビン酸濃度を100%とし、10
日間保存後及び30日間保存後のアスコルビン酸溶液中の
アスコルビン酸濃度の残存率を実施例1と同様の方法で
求めた。結果を表2に示す。
【0017】比較例2.0.4Mグリシン緩衝液にアスコル
ビン酸を0.4%の濃度になるように溶解し、塩酸でpH3.
0に調整した。その後、実施例2と同様に保存し、調製
直後のアスコルビン酸濃度を100%とし、10日間保存後
及び30日間保存後のアスコルビン酸溶液中のアスコルビ
ン酸濃度の残存率を実施例1と同様の方法で求めた。結
果を表2に併せて示す。
【0018】
【表2】
【0019】表2の結果からも明らかな如く、ピロ亜硫
酸ナトリウムをアスコルビン酸溶液中に共存させると、
アスコルビン酸の溶液中の残存率が著しく向上し、特に
ピロ亜硫酸ナトリウムの濃度が0.01%以上になると、30
日保存後でも極めて安定であることが判る。
【0020】実施例3 血清鉄の測定 [アスコルビン酸溶液の調製]0.4Mグリシン緩衝液にア
スコルビン酸を0.4%、ピロ亜硫酸ナトリウムを0.1%、
トリトンX-100(化学名:ポリオキシエチレン(10)オク
チルフェニルエーテル、ローム アンド ハース社商品
名)を0.7%の濃度になるように溶解し、塩酸でpH3.0
に調整した。 [発色液の調製]0.1Mグリシン緩衝液にバソフェナン
トロリンスルホン酸ナトリウムを0.1%の濃度になるよ
うに溶解し、塩酸でpH3.0に調整した。 [血清鉄の測定方法]血清試料20μlに上で調製したア
スコルビン酸溶液300μlを加え、37℃で5分間加温した
後、発色液75μlを加え、更に5分間加温後、主波長546
nm、副波長600nmの二波長吸光度を測定した。試料の代
わりに蒸留水を用いて同様に測定を行った結果を試薬盲
検とした。また、試料の代わりに標準液(鉄200μg/d
l)を用いて同様に測定を行った。下記の式1より血清
鉄濃度を算出した。
【式1】 結果を表3に示す。
【0021】比較例3 還元剤としてチオグリコール酸を用い、発色試液として
2-ニトロソ-5-(N-プロピル-N-スルホプロピル)アミノフ
ェノール(Nitroso-PSAP)を用いた血清鉄測定用市販キ
ットであるFe C-テストワコー(和光純薬工業(株)製)
を用い、実施例3と同じ血清試料について、下記の方法
で血清鉄の濃度を測定した。0.4M酢酸緩衝液(pH6.2
5、界面活性剤,還元剤チオグリコール酸を含有する)
を2.0ml、試料0.2mlを混合し、次いで発色試液(Nitros
o-PSAP)を1滴加え、良く混合し、室温で5分間放置
後、試薬盲検を対照として750nmでの吸光度を測定し
た。血清試料の代わりに蒸留水を用いて同様に測定を行
った結果を試薬盲検とした。また、血清試料の代わりに
鉄標準液(鉄200μg/dl)を用いて同様に測定を行っ
た。式1から、試料中の血清鉄の濃度を算出した。結果
を表3に併せて示す。
【0022】
【表3】
【0023】表3の結果から明らかな如く、本発明に係
るピロ亜硫酸ナトリウムを共存させたアスコルビン酸溶
液を還元剤溶液として用いて血清鉄の測定を行った場合
と従来の血清鉄測定用の試薬を用いて測定を行った場合
とを比較すると、測定値に差が見られず、ピロ亜硫酸塩
を測定系に添加しても、血清鉄の測定値への影響がない
ことが判る。
【0024】 実施例4.血清不飽和鉄結合能(UIBC)の測定 [緩衝液の調製]0.4Mグリシン緩衝液(pH8.6)に硫
酸第一鉄アンモニウムを、鉄として80μg/dlの濃度にな
るように溶解した。 [アスコルビン酸溶液の調製]蒸留水にアスコルビン酸
を0.5%、ピロ亜硫酸ナトリウムを0.1%、バソフェナン
トロリンスルホン酸ナトリウムを0.1%の濃度になるよ
うに溶解し、pH3.0に調整した。 [UIBCの測定方法]試料20μlに上記緩衝液300μl
を加え、37℃で5分間加温した後、上記アスコルビン酸
溶液75μlを加え、更に5分間加温後、主波長546nm、副
波長600nmの二波長吸光度を測定した。同様に試薬盲検
を測定し、鉄の減少量から、UIBCを求めた。結果を
表4に示す。
【0025】比較例4.還元剤としてメタ重亜硫酸ナト
リウム(ピロ亜硫酸ナトリウム)を用い、発色試薬とし
て2-ニトロソ-5-(N-プロピル-N-スルホプロピル)アミノ
フェノール(Nitroso-PSAP)を用いた不飽和鉄結合能測
定用試薬キットであるUIBC-テストワコー(和光純薬工
業(株)製)を用い、実施例4と同じ血清について下記の
方法でUIBCを測定した。0.16M トリス緩衝液(pH
8.6、還元剤メタ重亜硫酸ナトリウム,硫酸第一アンモ
ニウムをFe2+として 105μg/dlを含む。)2.0mlと血清
試料0.2mlとを混合し、室温で30分間放置した。次いで
発色試液(Nitroso-PSAP)を1滴加えて良く混合し、室
温で15分間放置後、蒸留水を対照にして750nmでの吸光
度を測定した。血清試料の代わりに蒸留水を用いて同様
に測定を行い試薬盲検とした。UIBCは、下記式によ
り算出した。
【式2】 結果を表4に併せて示す。
【0026】
【表4】
【0027】表4の結果から明らかな如く、本発明に係
るピロ亜硫酸ナトリウムを共存させたアスコルビン酸溶
液を還元剤溶液として用いてUIBCの測定を行った場
合と従来のUIBC測定用の試薬を用いて測定を行った
場合とを比較すると、測定値に差が見られず、ピロ亜硫
酸塩を測定系に添加しても、UIBCの測定値への影響
がないことが判る。
【0028】実施例5.血清鉄の測定 [アスコルビン酸溶液の調製]0.4Mグリシン緩衝液にア
スコルビン酸を0.4%、ピロ亜硫酸ナトリウムを0.1%、
トリトンX-100(化学名:ポリオキシエチレン(10)オク
チルフェニルエーテル、ローム アンド ハース社商品
名)を0.7%の濃度になるように溶解し、塩酸でpH3.0
に調整した。調製後、25℃インキュベーターで3ヶ月保
存した。 [発色液の調製]0.1Mグリシン緩衝液にバソフェナン
トロリンスルホン酸ナトリウムを0.1%の濃度になるよ
うに溶解し、塩酸でpH3.0に調整した。 [血清鉄の測定方法]調製直後及び3ヶ月保存後の上記
アスコルビン酸溶液を用い、実施例3の方法に従って、
夫々血清鉄の測定を行った。結果を表5に示す。
【0029】比較例5 [アスコルビン酸溶液の調製]0.4Mグリシン緩衝液にア
スコルビン酸を0.4%、トリトンX-100を0.7%の濃度に
なるように溶解し、塩酸でpH3.0に調整した。調製後、
25℃インキュベーターで3ヶ月保存した。 [血清鉄の測定方法]調製直後及び3ヶ月保存後の上記
アスコルビン酸溶液を用い、実施例5と同じ血清につい
て実施例3の方法に従って夫々血清鉄の測定を行った。
結果を表5に併せて示す。 比較例6 Fe C-テストワコー(和光純薬工業(株)製)を用い、実
施例5と同じ血清について比較例3と同様の方法で血清
鉄の測定を行った。結果を表5に併せて示す。
【0030】
【表5】
【0031】表5の結果から明らかな如く、ピロ亜硫酸
ナトリウムを添加しなかった比較例5では、3ヶ月保存
したアスコルビン酸を用いた場合、全般に測定値が高く
測定される傾向がみられたが、ピロ亜硫酸ナトリウムを
添加した実施例5では、調製直後と25℃、3ヶ月保存後
のアスコルビン酸を用いた場合での測定値には差が見ら
れなかった。また、本発明の方法(実施例5)と従来の
試薬を用いた場合(比較例6)とを比較すると、本発明
の方法により調製したアスコルビン酸溶液を用いると、
3ヶ月保存後の溶液を用いた場合でも、測定値への影響
がなく、血清鉄測定用試薬として充分使用可能であるこ
とが判る。
【0032】
【発明の効果】本発明は、アスコルビン酸又は/及びそ
の塩を含む溶液の効果的な安定化方法を提供するもので
あり、本発明の方法によれば、従来不安定で安定化する
ことが難しかったアスコルビン酸又は/及びその塩を含
む溶液を長期間安定に保存することがてきる点、及び当
該安定化方法は、三価の鉄の還元剤としてアスコルビン
酸又は/及びその塩を用いる鉄測定試薬やUIBC測定
試薬に於ける還元剤溶液の安定化にも充分適用可能であ
る点に顕著な効果を奏するものである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年1月21日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正内容】
【0025】比較例4.還元剤としてメタ重亜硫酸ナト
リウム(ピロ亜硫酸ナトリウム)を用い、発色試薬とし
て2-ニトロソ-5-(N-プロピル-N-スルホプロピル)アミノ
フェノール(Nitroso-PSAP)を用いた不飽和鉄結合能測
定用試薬キットであるUIBC-テストワコー(和光純薬工
業(株)製)を用い、実施例4と同じ血清について下記の
方法でUIBCを測定した。使用緩衝液(0.16M トリス
緩衝液 pH8.6、還元剤メタ重亜硫酸ナトリウム,硫酸
第一鉄アンモニウムをFe2+として 100μg/dlを含
む。)2.0mlと血清試料0.2mlとを混合し、室温で30分間
放置した。次いで発色試液(Nitroso-PSAP)を1滴加え
て良く混合し、室温で15分間放置後、蒸留水を対照にし
て750nmでの吸光度を測定した。血清試料の代わりに蒸
留水を用いて同様に測定を行い試薬盲検とした。UIB
Cは、下記式により算出した。
【式2】結果を表4に併せて示す。 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年3月23日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正内容】
【0025】比較例4.還元剤としてメタ重亜硫酸ナト
リウム(ピロ亜硫酸ナトリウム)を用い、発色試薬とし
て2-ニトロソ-5-(N-プロピル-N-スルホプロピル)アミノ
フェノール(Nitroso-PSAP)を用いた不飽和鉄結合能測
定用試薬キットであるUIBC-テストワコー(和光純薬工
業(株)製)を用い、実施例4と同じ血清について下記の
方法でUIBCを測定した。使用緩衝液(0.16M トリス
緩衝液 pH8.6、還元剤メタ重亜硫酸ナトリウム,硫酸
第一鉄アンモニウムをFe2+として 100μg/dlを含
む。)2.0mlと血清試料0.2mlとを混合し、室温で30分間
放置した。次いで発色試液(Nitroso-PSAP)を1滴加え
て良く混合し、室温で15分間放置後、蒸留水を対照にし
て750nmでの吸光度を測定した。血清試料の代わりに蒸
留水を用いて同様に測定を行い試薬盲検とした。UIB
Cは、下記式により算出した。
【式2】 結果を表4に併せて示す。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アスコルビン酸又は/及びその塩を含む溶
    液に、ピロ亜硫酸塩を共存させることを特徴とする、該
    溶液の安定化方法。
  2. 【請求項2】ピロ亜硫酸塩がピロ亜硫酸のアルカリ金属
    塩、アンモニウム塩、又はアルカリ土類金属塩である、
    請求項1に記載の安定化方法。
  3. 【請求項3】ピロ亜硫酸塩がピロ亜硫酸ナトリウム又は
    ピロ亜硫酸カリウムである、請求項1に記載の安定化方
    法。
  4. 【請求項4】その溶液中にピロ亜硫酸塩を共存させたこ
    とを特徴とする、アスコルビン酸又は/及びその塩を含
    む溶液。
  5. 【請求項5】ピロ亜硫酸塩がピロ亜硫酸のアルカリ金属
    塩、アンモニウム塩、又はアルカリ土類金属塩である、
    請求項4に記載の溶液。
  6. 【請求項6】ピロ亜硫酸塩がピロ亜硫酸ナトリウム又は
    ピロ亜硫酸カリウムである、請求項4に記載の溶液。
  7. 【請求項7】三価の鉄の還元剤としてアスコルビン酸又
    は/及びその塩を用いる鉄又は不飽和鉄結合能の測定方
    法に於て、アスコルビン酸又は/及びその塩を含む溶液
    にピロ亜硫酸塩を共存させて成る溶液を還元剤溶液とし
    て用いることを特徴とする、被検試料中の鉄又は不飽和
    鉄結合能の測定方法。
  8. 【請求項8】アスコルビン酸又は/及びその塩を含む溶
    液に、ピロ亜硫酸塩を0.01〜0.5w/v%の濃度で共存させ
    る、請求項7に記載の測定方法
  9. 【請求項9】ピロ亜硫酸塩がピロ亜硫酸のアルカリ金属
    塩、アンモニウム塩、又はアルカリ土類金属塩である、
    請求項7又は8に記載の測定方法。
  10. 【請求項10】ピロ亜硫酸塩がピロ亜硫酸ナトリウム又
    はピロ亜硫酸カリウムである、請求項7又は8に記載の
    測定方法。
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