JPH06245698A - 保存性が改善された含脂粉乳の製造方法 - Google Patents

保存性が改善された含脂粉乳の製造方法

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JPH06245698A
JPH06245698A JP5653993A JP5653993A JPH06245698A JP H06245698 A JPH06245698 A JP H06245698A JP 5653993 A JP5653993 A JP 5653993A JP 5653993 A JP5653993 A JP 5653993A JP H06245698 A JPH06245698 A JP H06245698A
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fat
unsaturated fatty
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fatty acid
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JP5653993A
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Mamoru Tomita
守 冨田
Seiichi Shimamura
誠一 島村
Toshio Tomimura
俊雄 富村
Kaichiro Takahashi
嘉一郎 高橋
Shigeya Urata
茂也 浦田
Sadaichirou Ookawa
禎一郎 大川
Hiroshi Koishihara
洋 小石原
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Morinaga Milk Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 栄養価値の高い必須栄養素であるにもかかわ
らず、容易に酸化変敗する高度不飽和脂肪酸(特にDH
A)を多く含有する油脂を配合した粉乳の風味、品質及
び保存性が改善された含脂粉乳の製造方法を提供する。 【構成】 含脂粉乳の製造において、不飽和脂肪酸含量
の高い油脂を配合した水中油型乳化液、及び不飽和脂肪
酸の酸化促進物質である銅、鉄及び亜鉛よりなる群から
選ばれる1種又は2種以上の塩を含有し、かつ脂肪を含
まない水溶液を、それぞれ別個に濃縮し、噴霧乾燥し、
のちこれらを粉末状態で混合することを特徴とする含脂
粉乳の製造方法。 【効果】 栄養価値の高い高度不飽和脂肪酸(特にDH
A)を含有し、長期間保存しても風味及び品質の劣化が
極めて少ない含脂粉乳を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】 本発明は、風味、品質及び保存
性が改善された含脂粉乳を製造する方法に関するもので
ある。詳しくは、本発明は、含脂粉乳の製造において、
不飽和脂肪酸含量の高い油脂を配合した水中油型乳化
物、及び不飽和脂肪酸の酸化促進物質である銅、鉄及び
亜鉛群から選ばれる1種又は2種以上の金属塩を含有
し、かつ脂肪を含まない水溶液を、それぞれ別個に濃縮
し、噴霧乾燥し、のちこれらを粉末状態で混合すること
を特徴とする含脂粉乳の製造方法、である。
【0002】本明細書において百分率の表示は、特に断
りのない限り、重量による値である。
【0003】
【従来の技術】近年、不飽和脂肪酸の生理的作用が一般
に知られるようになり、広く食品、飼料等に利用される
ようになってきた。例えば、海藻、これを常食とする海
棲動物の脂質中に広く存在するα−リノレン酸、エイコ
サペンタエン酸(以下EPAと記載することがある)、
ドコサヘキサエン酸(以下DHAと記載することがあ
る)等ω−3系高度不飽和脂肪酸は、ヒトの網膜、脳の
発達に深く関与し、血清総コレステロール低下作用、動
脈硬化予防作用等が知られている(ジャパンフードサイ
エンス、第28巻、第1号、第49ページ、1989
年、及び油化学、第40巻、第10号、第974ペー
ジ)。これらの脂肪酸は必須脂肪酸であるため、食品と
して摂取する必要があることから、種々の食品への添加
が試みられている。
【0004】しかしながら、これらの高度不飽和脂肪酸
は、酸化に対する安定性が極めて低いので、酸化により
風味の劣化、有害物質の産生等の点から、食品素材とし
ての利用は困難とされてきた。特にこれらを含有する食
品の粉末化は、表面積が増大することにより容易に酸化
されるため、極めて困難とされてきた。
【0005】このため従来は、抗酸化剤としてアスコル
ビン酸、トコフェロール、レシチン、クエン酸、β−カ
ロチン等を添加する方法(特開平4-346749号公報及び特
開昭58-849号公報)、高度不飽和脂肪酸をサイクロデキ
ストリン包接化合物とする方法(特開昭60-2154 号公
報、特開昭60-34156号公報及び特開昭58-849号公報)等
が採用されてきた。しかしながら、抗酸化剤の使用のみ
では脂肪酸に対する抗酸化効果を長期間持続させること
が難しく、また、サイクロデキストリンによる包接化で
は、脂肪酸の包接量、及び包接安定性に限界があり、原
料としても高価であるという不都合があった。
【0006】一方、銅、鉄、亜鉛等の金属は、ヒトの成
長に不可欠な必須微量元素であると同時に、酸化反応を
触媒する酸化促進剤としても知られている。銅、鉄、亜
鉛等の金属強化塩を前記高度不飽和脂肪酸を含有する油
脂乳化物に添加した場合、銅、鉄、亜鉛等の独特の異臭
味が発生するばかりではなく、高度不飽和脂肪酸が容易
に酸化されて酸化臭が発生し、食品としての風味を損な
う不都合があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術の現状に鑑みて発明されたものであり、栄養価値の高
い必須栄養素であって、容易に酸化変敗する高度不飽和
脂肪酸(特にDHA)を多く含有する油脂を配合したに
もかかわらず、風味、品質及び保存性が改善された含脂
粉乳の製造方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決する本発
明は、含脂粉乳の製造において、不飽和脂肪酸含量の高
い油脂を配合した水中油型乳化液、及び不飽和脂肪酸の
酸化促進物質である銅、鉄及び亜鉛よりなる群から選ば
れる1種又は2種以上の塩を含有し、かつ脂肪を含まな
い水溶液を、それぞれ別個に濃縮し、噴霧乾燥し、のち
これらを粉末状態で混合することを特徴とする含脂粉乳
の製造方法である。
【0009】更に本発明は、脂肪を含まない水溶液が、
ホエー成分と、銅、鉄及び亜鉛よりなる群から選ばれる
1種又は2種以上の塩を含有していること、水中油型乳
化液が、アスコルビン酸、トコフェロール、β−カロチ
ン及びレシチンよりなる群から選ばれる1種又は2種以
上の抗酸化剤を含有していること、及び濃縮乳に不活性
ガスを混入して噴霧乾燥すること、を望ましい態様とし
てもいる。
【0010】次に本発明について詳述する。
【0011】本発明は、上記目的を達成するためになさ
れたものであって、容易に酸化変敗する高度不飽和脂肪
酸と、栄養学上重要な銅、鉄、亜鉛等の金属を食品素材
として利用する際に、銅、鉄、亜鉛等の金属が酸化反応
を触媒することに着目し、高度不飽和脂肪酸と金属を含
む含脂粉乳の製造において、これら酸化促進物質である
銅、鉄、亜鉛等の金属と、容易に酸化変敗する高度不飽
和脂肪酸とを別工程とすることにより、風味、品質及び
保存性にすぐれた粉乳を製造することができる。
【0012】本発明において使用する油脂は、DHA、
EPA等を多量に含有する魚油、その他の不飽和脂肪酸
を含有する油脂であり、乳脂肪も含まれる。
【0013】本発明で使用する金属塩としては、鉄塩と
して塩化第二鉄、クエン酸第一鉄ナトリウム、乳酸鉄、
クエン酸鉄、クエン酸鉄アンモニウム、グルコン酸第一
鉄、ピロリン酸第一鉄、ピロリン酸第二鉄、硫酸第一
鉄、亜鉛塩としてグルコン酸亜鉛、硫酸亜鉛、銅塩とし
てグルコン酸銅、硫酸銅よりなる群から選ばれる金属塩
又はこれらの金属塩の2種以上の混合物である。
【0014】本発明において、不飽和脂肪酸含量の高い
油脂を配合した水中油型乳化液の調製には、上記油脂が
含まれること以外は、通常の粉乳製造における原料及び
方法が使用でき、これら不飽和脂肪酸を含有する魚油を
配合した水中油型乳化液を、常法により殺菌し、均質化
し、濃縮し、噴霧乾燥し、粉乳(以下A粉末と記載する
ことがある)を得ることができるが、原料溶解工程にて
抗酸化剤を添加溶解し、以後常法により殺菌、均質化、
濃縮、噴霧乾燥し、粉体を得ることが望ましい。
【0015】この場合、抗酸化剤としては、公知のアス
コルビン酸、トコフェロール、レシチン、及びβ−カロ
チンからなる群から選ばれる1種又は2種以上を使用で
きる。アスコルビン酸は、アスコルビン酸そのものの
他、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩、アルカリ土類
塩、又はステアリン酸エステルも使用できる。トコフェ
ロールとしては、α−トコフェロール又はγ−トコフェ
ロールを使用できる。レシチンとしては、大豆レシチ
ン、又は卵黄レシチンを使用できる。β−カロチンとし
ては、天然β−カロチンが望ましい。
【0016】A粉末製造の原料溶解工程では、油溶性部
にトコフェロール、レシチン、及びβ−カロチンからな
る群より選ばれた1種又は2種以上の抗酸化剤を、水溶
性部にアスコルビン酸及び/又はその塩を添加溶解する
ことができる。更に、A粉末を噴霧乾燥する際は、濃縮
乳に不活性ガスを混入する泡沫噴霧乾燥法が望ましい。
不活性ガスは、製造工程上化学的に不活性であればよ
く、窒素ガス等が使用できる。
【0017】泡沫噴霧乾燥法は、例えば特開平3−65
136号公報に記載された方法によりA粉末の原料乳濃
縮液に窒素ガスを微細な気泡として吹込み噴霧乾燥す
る。原料乳濃縮液は濃度30%〜60%、ガスの吹込み
量は固形分1kgに対して20ml〜150mlの割合
である。このようにして得られたA粉末は、窒素ガスに
ついては固形分1kgに対して35ml〜130mlの
吹込み量において抗酸化効果が認められる。
【0018】次に、上記金属塩を含有し、かつ脂肪を含
まない水溶液の調製について記載する。上記金属塩を添
加すること、及び上記金属により酸化され得る脂肪を含
まないこと以外は、通常の粉乳製造における原料及び調
製方法を使用できるが、以下に記載するように原料には
ホエー成分が含まれること、及び上記金属塩を配合し、
加熱する工程が含まれていることが望ましい。ホエー成
分と、上記金属塩を含有している脂肪を含まない水溶液
を、常法により濃縮し、噴霧乾燥し、粉乳を得る(以下
B粉末と記載することがある)ことができる。
【0019】即ち、ホエー成分を含有し、脂肪を含まな
い水溶液は、ホエー成分を僅かでも含有するものであれ
ばよく、水溶液濃度は低い方が望ましい。ホエー含有無
脂肪乳としては、脱脂乳の他、還元脱脂乳、ホエータン
パク濃縮物(WPC)、分離ホエータンパク(WPI)
等を使用した還元ホエー乳も使用できる。金属塩の量
は、ホエー蛋白質1g当たり、鉄として20.6mg、
銅として1.0mg、亜鉛として8.2mgが望ましい
値である。
【0020】金属塩を20%以下の濃度で水に溶解し、
20℃以下に冷却し、脂肪を含まない水溶液に徐々に添
加し、攪拌する。均一に混合した後、徐々に加温を開始
し、80℃まで昇温し、未変性ホエー蛋白質に金属を結
合させ、のち常法により濃縮し、噴霧乾燥する。金属塩
水溶液の冷却方法及び加温方法は、バッチ式又はプレー
ト式のいずれの方法であってもよい。
【0021】このようにして得られたB粉末は、単に金
属塩を混合し、噴霧乾燥して得られた粉末と比較して金
属塩独特の異臭味が改善される。
【0022】上記A粉末とB粉末とを粉末状で混合し、
最終製品である本発明の方法による含脂粉乳を得る。こ
の場合、粉末の混合方法はリボンミキサー、V型ミキサ
ー等混合が完全に実施できるいかなる装置を使用しても
よい。
【0023】以上のようにして得られた本発明の方法に
よる含脂粉乳は、後記する試験結果から明らかなように
保存中のPOV、DHA量及び風味スコアにおいて室温
で6か月間ほとんど変化がなく良好であった。
【0024】次に試験例を示して本発明を詳述する。
【0025】この試験は、従来の方法及び本発明の方法
により製造した含脂粉乳の保存性を試験するために行っ
た。 (試験例1) 1)試料の調製 本発明の方法により製造した含脂粉乳試料(以下本発明
試料1と記載する)は、実施例1と同一の方法により製
造した。従来の方法により製造した含脂粉乳試料(以下
対照試料1と記載する)は、原料配合は実施例1と同一
であるが、すべての原料を一度に混合し、溶解し、以後
常法により殺菌し、均質化し、濃縮し、噴霧乾燥して得
られた粉乳である。
【0026】上記各試料をそれぞれ350ml容のスチ
ール缶に充填し、密封し、試験に供した。
【0027】2)試験方法 上記本発明試料1及び対照試料1を室温(25℃)で1
2か月間保存し、のち過酸化物価(POV)、DHA含
量、及び風味を次の方法により測定した。
【0028】POVの測定は、日本油化学協会の公定法
であるヨウ素滴定法(日本食品工業学会食品分析法編集
委員会編、「食品分析法」、第552ページ、光琳、昭
和57年)、DHA含量の測定は前田らの方法(食品衛
生学会誌、第26巻、第5号、第500ページ、198
5年)、風味は男女各10名からなるパネルによる採点
法に基づく官能検査(日科技連官能検査委員会編、「新
版官能検査ハンドブック」、第579頁、日科技連出版
社、1973年)により5点方式(酸化劣化が全く見ら
れないものを5点、酸化劣化が明らかなものを1点)で
試験し、全員の平均点を風味スコアとして表示した。
【0029】3)試験結果 この試験の結果は、表1に示すとおりである。表1から
明らかなように、対照試料1は室温1か月後からPOV
の上昇、DHA量の減少、風味スコアの減少(風味の劣
化)が顕著に認められたが、本発明試料1は、酸化変敗
しやすいDHA等を含有する魚油を対照試料1と同量配
合しているにも拘らず、6か月間にわたり、POVの上
昇、DHA量の減少、及び風味スコアの減少(風味の劣
化)が顕著に少なかった。
【0030】
【表1】 (試験例2) 1)試料の調製 本発明の方法により製造した含脂粉乳試料(以下本発明
試料2と記載する)は、実施例2と同一の方法により製
造した。従来の方法により製造した含脂粉乳試料(以下
対照試料2と記載する)は、原料配合は実施例2と同一
であるが、すべての原料を一度に混合し、溶解し、以後
常法により殺菌し、均質化し、濃縮し、噴霧乾燥して得
られた粉乳である。
【0031】上記各試料をそれぞれ350ml容のスチ
ール缶に充填し、密封し、試験に供した。
【0032】2)試験方法 試験例1と同一の方法で行った。
【0033】3)試験結果 この試験の結果は、表2に示すとおりである。表2から
明らかなように、対照試料2は、室温1か月後からPO
Vの上昇、DHA量の減少、風味スコアの減少(風味の
劣化)が顕著に認められたが、本発明試料2は、酸化変
敗しやすいDHA等を含有する魚油を対照試料2と同量
配合しているにも拘らず、6か月間にわたり、POVの
上昇、DHA量の減少、及び風味スコアの減少(風味の
劣化)が顕著に少なかった。
【0034】試験例1及び2から、本発明の方法により
製造した含脂粉乳は酸化安定性が極めて高いこと、及び
長期間にわたり風味劣化が生じないことが確認された。
尚、成分の配合及び製造法を変更した含脂粉乳について
も試験したが、ほぼ同様の結果が得られた。
【0035】
【表2】 次に本発明を実施例を示して更に詳述するが、本発明は
以下の実施例に限定されるものではない。
【0036】
【実施例】
実施例1 脱塩ホエー粉(ドモ社製)50.0kg、乳糖(ミライ
社製)5.9kg、及びデキストリン(東洋精糖製)
5.2kgを、水238kgに溶解し、予め所定のアル
カリで溶解し、脱臭した10%カゼイン溶液14.3k
gと混合し、更に魚油配合調整油脂(日本油脂製。魚油
を油脂100g当たり1.5g含有)24.0kg及び
無塩バター(森永乳業製)3.3kgを混合し、120
℃にて2秒間殺菌し、150kg/cm2 の圧力条件で
均質化処理し、50%の固形分含量に濃縮し、噴霧乾燥
し、粉乳約90kgを得た(以下粉乳aと記載する)。
【0037】次に硫酸第一鉄(純正化学製)35.0
g、硫酸亜鉛(富田製薬製)10.4g、及び硫酸銅
(富田製薬製)1.2gを水0.5kgに溶解し、10
℃以下に冷却した溶液を、10℃以下に冷却した脱脂乳
116.0kgに攪拌しながら徐々に添加した。得られ
た混合液を徐々に80℃まで加温し、のち105℃で2
秒間加熱殺菌し、40%の固形分含量に濃縮し、噴霧乾
燥し、粉乳約10kgを得た(以下粉乳bと記載す
る)。90kgの上記粉乳aと10kgの上記粉乳bと
を粉末状態で混合し、含脂粉乳100kgを得た。
【0038】得られた含脂粉乳を試験例1と同一の方法
により試験した結果、酸化変敗しやすいDHA等を含有
する魚油を配合しているにもかかわらず、POVの上昇
及びDHA量の減少が極めて少なく、長期間にわたって
風味劣化が生じないことが確認された。
【0039】実施例2 脱脂粉乳(森永乳業製)10.0kg、脱塩ホエー粉
(ドモ社製)33.2kgを水238kgに溶解し、予
め所定のアルカリで溶解して脱臭した10%カゼイン溶
液40.3kgと混合し、水溶性ビタミン類(アスコル
ビン酸ナトリウム181gを含む)0.2kgを添加し
た溶液に、更にミネラル類(鉄、銅、及び亜鉛を除く)
2.2kgを水10kgに溶解し添加した。この溶液に
魚油配合調整油脂(日本油脂製。魚油を油脂100g当
たり1.5g含有)20.0kg、及び脂溶性ビタミン
類(dl−α−トコフェロール5mgを含む)0.1k
gを混合し、120℃にて2秒間殺菌し、150kg/
cm2 の圧力条件で均質化し、50%の固形分含量に濃
縮し、窒素ガスを固形分1kgあたり100mlの割合
で吹き込み泡沫噴霧乾燥し、粉乳約70kgを得た(以
下粉乳1と記載する)。
【0040】次に脱塩ホエー粉(ドモ社製)10.0k
g、デキストリン(東洋精糖製)15.0kgを水10
0kgに溶解し、予め所定のアルカリで溶解し、脱臭し
た10%カゼイン溶液46.8kgと混合した。この溶
液を10℃以下に冷却し、クエン酸第一鉄ナトリウム
(エーザイ製)122.2g、グルコン酸亜鉛(富田製
薬製)28.8g、グルコン酸銅(富田製薬製)3.3
gを水0.6kgに溶解し、10℃以下に冷却した溶液
を徐々に攪拌しながら添加し、徐々に80℃まで加温
し、同温度で10分間保持して殺菌し、40%の固形分
濃度まで濃縮し、噴霧乾燥し、粉乳約30kgを得た
(以下粉乳2と記載する)。
【0041】70kgの上記粉乳1と30kgの上記粉
乳2を粉末状態で混合し、含脂粉乳100kgを得た。
【0042】得られた含脂粉乳を試験例1と同一の方法
により試験した結果、酸化変敗しやすいDHA等を含有
する魚油を配合しているにもかかわらず、POVの上昇
及びDHA量の減少が極めて少なく、長期間にわたって
風味劣化が生じないことが確認された。
【0043】
【発明の効果】本発明によって奏せられる効果は、次の
とおりである。
【0044】本発明の方法により、栄養価値の高い高度
不飽和脂肪酸(特にDHA)を含有し、長期間風味及び
品質の劣化しない含脂粉乳を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浦田 茂也 神奈川県座間市東原5−1−15−508 (72)発明者 大川 禎一郎 神奈川県横浜市磯子区洋光台5−6−3− 306 (72)発明者 小石原 洋 神奈川県横浜市旭区今宿町2672−41−209

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 含脂粉乳の製造において、不飽和脂肪酸
    含量の高い油脂を配合した水中油型乳化液、及び不飽和
    脂肪酸の酸化促進物質である銅、鉄及び亜鉛群から選ば
    れる1種又は2種以上の金属塩を含有し、かつ脂肪を含
    まない水溶液を、それぞれ別個に濃縮し、噴霧乾燥し、
    のちこれらを粉末状態で混合することを特徴とする含脂
    粉乳の製造方法。
  2. 【請求項2】 脂肪を含まない水溶液が、ホエー成分
    と、銅、鉄及び亜鉛よりなる群から選ばれる1種又は2
    種以上の塩を含有していることを特徴とする請求項1に
    記載の含脂粉乳の製造方法。
  3. 【請求項3】 水中油型乳化液が、アスコルビン酸、ト
    コフェロール、β−カロチン及びレシチンよりなる群か
    ら選ばれる1種又は2種以上の抗酸化剤を含有している
    ことを特徴とする請求項1に記載の含脂粉乳の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 濃縮液に不活性ガスを混入して噴霧乾燥
    することを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の含
    脂粉乳の製造方法。
JP5653993A 1993-02-22 1993-02-22 保存性が改善された含脂粉乳の製造方法 Pending JPH06245698A (ja)

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