JP2929484B2 - 安定な鉄強化食用油脂類 - Google Patents

安定な鉄強化食用油脂類

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄を保持した鉄−
ラクトフェリンを配合した安定な鉄強化食用油脂類及び
このような食用油脂類を含有せしめた安定な鉄強化食品
に関する。本発明の鉄強化食用油脂類及びこれを含有せ
しめた鉄強化食品は、鉄による保存中の食用油脂類の劣
化がほとんどみられず安定であるので、鉄を強化した食
材として有用である。
【0002】
【従来の技術】日本人の鉄摂取量は、昭和50年以降所要
量の充足率 100%前後を横這いで推移しており、鉄分は
食事の中で気をつけて摂取しなければならない栄養素の
一つであって、性別や年齢により不足する場合もあると
いわれている [平成6年、国民栄養の現状] 。鉄は難吸
収性であるため、高頻度に鉄欠乏症を引き起こす要因と
なる傾向にあるが、一方で鉄は難排泄性であるため、往
々にして鉄過剰症を引き起こす要因ともなり、種々の生
体障害の原因となる。したがって、鉄の摂取に当たって
は、毎日、毎食、あらゆる機会に適当量の鉄を摂取する
ことが望まれている。
【0003】鉄の摂取に関しては、このような状況にあ
り、鉄を強化した種々の食品や基本的な食材の提供が望
まれるところである。特に、食用油脂類や食用油脂類を
含有する食品に鉄を強化することは現在までに殆どなさ
れておらず、実現が期待される分野である。なぜなら
ば、一般に食用油脂類は、食品中で口当たりを滑らかに
するなどの食感を決定し、風味の面でも食品の美味しさ
を引き出す最も重要な要因の一つとなっている点からも
重要である。
【0004】ところが、食用油脂類には劣化という大き
な問題がある。すなわち、食用油脂類は保存中や加熱処
理中に劣化し、風味の悪化や異臭の原因となったり、多
くの疾病を引き起こす原因となる。したがって、劣化し
た食用油脂類には商品価値が無く、食用油脂類の劣化を
防止するための対策は、食用油脂類を利用する上で不可
欠なものとなっている。食用油脂類を劣化させる要因と
しては、光、空気、ミネラルの存在などを挙げることが
できるが、その中でも特に、銅、鉄、マンガン、ニッケ
ルなどの重金属が食用油脂類の劣化を促進する。そのた
め、食用油脂類の精製技術においては、金属を除去する
工程が重要であると考えられている。また、食品中に含
まれている金属では銅が最も食用油脂類の酸化を促進
し、鉄がこれに次ぐといわれており、食品への鉄強化に
通常用いられる硫酸第一鉄やクエン酸鉄などの無機鉄
は、食品中に含まれる食用油脂類の劣化を促進する。
【0005】このように、食用油脂類やこれを含有する
食品に鉄を強化することは、鉄による食用油脂類の劣化
を防止することができない現状にあり、現在のところ鉄
を強化した食用油脂類やこれを含有する食品を実用化す
るには至っていない。なお、縮合リン酸塩とトコフェロ
ールとの相乗効果により、鉄を含有するマーガリンの劣
化を防止する方法が提案されている [青山ら, 油化学,
vol.38, p. 72, 1989]。しかし、この方法も必ずしも満
足できるものではなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来、鉄の油脂類に対
する劣化促進作用は、ヒドロペルオキシドの分解と分子
状酸素の活性化によるラジカル生成に起因することが知
られている。すなわち、鉄は自動酸化の第一段階のラジ
カル生成反応に関与し、その後、油脂類の自動酸化の連
鎖反応が進む。
【0007】本発明者らは、上記のような劣化という問
題がある食用油脂類を素材として、鉄強化食用油脂類や
これを含有する鉄強化食品を提供するべく、鉄強化食用
油脂類の劣化を阻止する方法について、鋭意研究を進め
てきた。その結果、ラクトフェリン1分子当たり鉄3原
子を少なくとも保持した鉄−ラクトフェリンを食用油脂
類に配合することで、食用油脂類の劣化促進作用を抑制
し、鉄を配合しない食用油脂類と同等の酸化安定性を確
保できることが判明した。すなわち、鉄−ラクトフェリ
ンとして、特に、ラクトフェリン類に、炭酸及び/また
は重炭酸と、鉄が結合した、鉄−ラクトフェリン結合体
[特開平6-239900号公報] や鉄−ラクトフェリン複合体
[特願平7- 86023号] を用いることにより、食用油脂類
の劣化を抑制することができることを見出した。特に、
鉄−ラクトフェリン結合体 [特開平6-239900号公報] や
鉄−ラクトフェリン複合体 [特願平7- 86023号] を鉄添
加物として用いることにより、鉄の添加による収斂味の
問題も同時に解決することができ、油脂の風味や食感を
損なうこと無く、食用油脂類を含有する食品を製造する
ことができることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0008】したがって、本発明は、ラクトフェリンに
多量の鉄を安定な状態で保持した鉄−ラクトフェリンを
配合して鉄を強化し、しかも保存中安定である食用油脂
類を提供することを課題とする。また、本発明は、この
ような食用油脂類を含有し、鉄が強化され、しかも食用
油脂の劣化が防止され、安定に保存される食品を提供す
ることを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】ラクトフェリンは、通常
は、その1分子当たり鉄を2原子キレート結合する能力
を有する。これは、ラクトフェリン1g 当たり鉄14mgを
結合することに相当する。本発明で使用する鉄−ラクト
フェリンは、ラクトフェリンに特定の処理をほどこすこ
とによって鉄−ラクトフェリン1分子当たり鉄を少なく
とも3原子安定に保持できるようにしたものである。こ
のようにすることによって、多量の鉄を強化することが
できる。このような鉄−ラクトフェリンは従来知られて
いる。例えば、ラクトフェリン溶液に鉄塩を添加し、ア
ルカリを加えて溶液のpHを上げて得られる鉄を安定に保
持するラクトフェリン粉末 (特開平7-17825 号公報) 、
ラクトフェリンのアミノ基に重炭酸イオンを介して鉄が
結合した耐熱性ラクトフェリン−鉄結合体 (特開平6-23
9900号公報) あるいは炭酸、重炭酸及びラクトフェリン
を含む溶液に鉄を含有する溶液を混合して得られる炭酸
または重炭酸−鉄−ラクトフェリン複合体(特願平7-86
023 号) 等が知られている。本発明における鉄−ラクト
フェリンは、これらのいずれのものでも用いられる。鉄
−ラクトフェリンは鉄とラクトフェリンとが結合した状
態のものであって、鉄とラクトフェリンとが直接結合し
ていてもあるいは他の物質を介して結合した状態のもの
であっても良く、いわゆる、鉄がイオンの状態で存在し
ていないものであれば良い。特に、ラクトフェリン類に
炭酸及び/または重炭酸と鉄とが結合した鉄−ラクトフ
ェリン結合体または複合体を例示することができ、これ
らの鉄化合物を用いることが好ましい。これらの鉄−ラ
クトフェリン結合体や鉄−ラクトフェリン複合体は、耐
熱性を有しているので、食用油脂類を殺菌や溶解などの
加熱処理に付してもこれらの鉄化合物の変性や沈澱は起
こらない。また、これらの鉄−ラクトフェリン結合体や
鉄−ラクトフェリン複合体は、従来の鉄剤にあったよう
な鉄の収斂味や金属味などの欠点も無いという特徴をも
有するので、風味の点でもより好ましいといえる。
【0010】本発明においては、これらの鉄−ラクトフ
ェリンの配合量についての制限は特に無く、物理的に可
能な量だけ鉄剤を食用油脂類に配合することが可能であ
り、例えば、食用油脂類1kgに対して 100〜500gのこれ
らの鉄−ラクトフェリンを配合することも可能である
が、鉄化合物の食用油脂類中での分散性を考慮すると食
用油脂類1kgに対して鉄−ラクトフェリンの配合量を10
0g以下とすることが好ましい。勿論、鉄の過剰摂取は避
けなければならないということも考慮し、これらの鉄−
ラクトフェリンの食用油脂類への配合量を決定する必要
がある。なお、これらの鉄−ラクトフェリンは、天然に
存在するラクトフェリン類を用いるものであり、その他
の原料も食品添加物であるので、安全性という点でも特
に問題はない。
【0011】なお、本発明で用いる鉄−ラクトフェリン
を製造する際に使用することができるラクトフェリン類
としては、哺乳類の乳などの分泌液から分離されるラク
トフェリンを例示することができるが、血液や臓器など
から分離されるトランスフェリンや卵から分離されるオ
ボトランスフェリンなども同様の特性を有しており、ラ
クトフェリン類と同様に使用することが可能である。ま
た、ラクトフェリン類は、完全に単離されている必要は
無く、他の成分が含まれているものでも構わない。さら
に、遺伝子操作により、微生物、動物細胞、トランスジ
ェニック動物から生産されたラクトフェリン類も、安全
性が保証されているものであれば使用することが可能で
ある。そして、ラクトフェリン類をタンパク質分解酵素
で分解したものを使用することもできる。また、本発明
で用いる鉄−ラクトフェリンを製造する際に使用するこ
とができる鉄としては、硫酸第一鉄、グルコン酸第一
鉄、乳酸鉄、クエン酸鉄、クエン酸第一鉄ナトリウム、
クエン酸鉄アンモニウム、ピロリン酸第一鉄、ピロリン
酸第二鉄、塩化第二鉄、硝酸第二鉄、硫酸第二鉄などを
例示できる。
【0012】本発明で鉄−ラクトフェリンを配合するこ
とのできる食用油脂類は、大豆油、菜種油、綿実油、ゴ
マ油、サフラワー油、オリーブ油、トウモロコシ油、シ
ソ油、月見草油などの植物油、あるいは、魚油、乳脂、
豚脂などの動物油などであり、これらの食用油脂類にこ
れらの鉄−ラクトフェリンを配合することにより、本発
明の鉄強化食用油脂類とすることができる。
【0013】また、本発明の鉄強化食用油脂類を含有す
る食品は、マーガリン、バター、ドレッシング、クリー
ムなどであり、これらの食品を製造するに際しては、予
め鉄−ラクトフェリンを配合した食用油脂類を原料とし
ても良いし、食用油脂類を含む食品の製造中にこれらの
鉄−ラクトフェリンと食用油脂類とを別々に配合しても
良い。
【0014】なお、本発明では、ビタミンA、ビタミン
E、ビタミンDなどの脂溶性ビタミンに鉄を強化した鉄
強化ビタミンにも応用が可能であり、この鉄強化ビタミ
ンを含有する栄養剤や健康食品などを提供することも可
能である。
【0015】以下に参考例、試験例及び実施例を示し、
本発明を具体的に説明する。
【参考例1】ウシラクトフェリン 90gと塩化第二鉄6水
和物 52gを水10リットルに溶解し、撹拌機で撹拌しなが
ら重炭酸ナトリウム5gを添加して鉄−ラクトフェリン結
合体を含む溶液を調製した。そして、この溶液を分画分
子量 5,000の限外濾過膜で脱塩濃縮後、水を加えて容量
10リットルの鉄−ラクトフェリン結合体溶液とした。な
お、この鉄−ラクトフェリン結合体溶液中の鉄量及び濃
縮開始直後の透過液中の鉄量を誘導結合プラズマ発光分
光分析器(ICP)で測定したところ、鉄−ラクトフェ
リン結合体溶液中の鉄濃度は 102mg/100mlであり、濃縮
開始直後の透過液中の鉄濃度は 0.1mg/100ml以下であっ
た。また、この鉄−ラクトフェリン結合体溶液は、高い
鉄濃度であったにもかかわらず無味無臭であった。
【0016】
【参考例2】水2リットルに重炭酸ナトリウム400gを添
加し、撹拌機で撹拌して過飽和溶液を調製した。この重
炭酸ナトリウム過飽和溶液中に、水8リットルにウシラ
クトフェリン 90gと塩化第二鉄6水和物 52gを溶解した
溶液を撹拌しながら添加し、鉄−ラクトフェリン複合体
を含む溶液を調製した。この溶液を分画分子量 5,000の
限外濾過膜で濃縮脱塩後、水を加えて容量10リットルの
鉄−ラクトフェリン複合体溶液とした。なお、この鉄−
ラクトフェリン複合体溶液中の鉄量及び濃縮開始直後の
透過液中の鉄量をICPで測定したところ、鉄−ラクト
フェリン複合体溶液の鉄濃度は 101mg/100mlであり、濃
縮開始直後の透過液中の鉄濃度は 0.1mg/100ml以下であ
った。また、この鉄−ラクトフェリン複合体溶液は、高
い鉄濃度であったにもかかわらず無味無臭であった。
【0017】
【試験例1】魚油に、参考例1で調製した鉄−ラクトフ
ェリン結合体溶液を凍結乾燥して得られた鉄−ラクトフ
ェリン結合体粉末をウルトラディスパーサーで分散させ
て配合した鉄強化魚油を得た。この魚油の油強制劣化試
験を行った。また、鉄−ラクトフェリン無添加の魚油を
対照品とし、鉄化合物として塩化第二鉄をウルトラディ
スパーサーで分散させて配合した魚油を比較品として、
同様の油強制劣化試験を行った。
【0018】調製油脂の自動酸化に対する安定性の評価
は、基準油脂分析試験法のCDM試験 [基準油脂分析試
験法 Cd2.4.28.2-93] に従い、ランシマット装置 (スイ
ス・メトロノーム社製) でCDM試験により定義されて
いる酸化誘導期の長さを測定し、酸化安定性を評価し
た。すなわち、酸化誘導期が長ければ酸化安定性が高い
ことを示す。なお、本試験例では、以下の試料を調製
し、80℃の測定温度で試験を行った。その結果を表1に
示す。
【0019】試料1:魚油 6,000mg 試料2:魚油 6,000mg+鉄−ラクトフェリン結合体 2mg 試料3:魚油 6,000mg+鉄−ラクトフェリン結合体 20m
g 試料4:魚油 6,000mg+鉄−ラクトフェリン結合体 200
mg 試料5:魚油 6,000mg+塩化第二鉄6水和物 0.06mg 試料6:魚油 6,000mg+塩化第二鉄6水和物 0.6mg (試
料2の鉄量に相当) 試料7:魚油 6,000mg+塩化第二鉄6水和物 6mg (試
料3の鉄量に相当) 試料8:魚油 6,000mg+塩化第二鉄6水和物 60mg (試
料4の鉄量に相当)
【0020】
【表1】 ─────────────────── 試料 酸化誘導期の長さ(時間) ─────────────────── 1 5.4 2 5.5 3 5.7 4 5.5 5 1.9 6 <0.1 7 <0.1 8 <0.1 ───────────────────
【0021】塩化第二鉄6水和物を配合した魚油では、
試験開始直後から激しい劣化が認められた。しかし、鉄
−ラクトフェリン結合体を配合した魚油では、鉄化合物
無添加の試料と劣化の程度は変わらなかった。また、油
強制劣化試験に供したものと同様の試料について、40℃
のオーブンに保存し、経時的にサンプリングして過酸化
物価(POV)を測定したが、油強制劣化試験と同様の
傾向が見られた。したがって、鉄−ラクトフェリン結合
体を配合した鉄強化魚油は、あらゆる温度域において劣
化が抑制されていた。
【0022】
【試験例2】大豆油に、参考例2で調製した鉄−ラクト
フェリン複合体溶液を噴霧乾燥して得られた鉄−ラクト
フェリン複合体粉末をウルトラディスパーサーで分散さ
せて配合した鉄強化大豆油の油強制劣化試験を行った。
また、鉄−ラクトフェリン無添加の魚油を対照品とし、
鉄化合物として塩化第二鉄6水和物をウルトラディスパ
ーサーで分散させて配合した大豆油を比較品として、試
験例1と同様の油強制劣化試験を行った。その結果を表
2に示す。
【0023】試料1:大豆油 6,000mg 試料2:大豆油 6,000mg+鉄−ラクトフェリン複合体 2
mg 試料3:大豆油 6,000mg+鉄−ラクトフェリン複合体 2
0mg 試料4:大豆油 6,000mg+鉄−ラクトフェリン複合体 2
00mg 試料5:大豆油 6,000mg+塩化第二鉄6水和物 0.06mg 試料6:大豆油 6,000mg+塩化第二鉄6水和物 0.6mg
(試料2の鉄量に相当) 試料7:大豆油 6,000mg+塩化第二鉄6水和物 6mg
(試料3の鉄量に相当) 試料8:大豆油 6,000mg+塩化第二鉄6水和物 60mg
(試料4の鉄量に相当)
【0024】
【表2】 ────────────────── 試料 酸化誘導期の長さ(時間) ────────────────── 1 3.8 2 3.8 3 3.6 4 3.6 5 <0.1 6 <0.1 7 <0.1 8 <0.1 ──────────────────
【0025】塩化第二鉄6水和物を配合した大豆油で
は、試験開始直後から激しい劣化が認められた。しか
し、鉄−ラクトフェリン複合体を配合した大豆油では、
鉄化合物無添加の試料と劣化の程度は変わらなかった。
また、油強制劣化試験に供したものと同様の試料につい
て、40℃のオーブンに保存し、経時的にサンプリングし
てPOVを測定したが、油強制劣化試験と同様の傾向が
見られた。したがって、鉄−ラクトフェリン複合体を配
合した鉄強化大豆油は、あらゆる温度域において劣化が
抑制されていた。
【0026】
【発明の実施の形態】
【実施例1】ウシラクトフェリン450gと塩化第二鉄6水
和物260gを水50リットルに溶解し、アジテーターにより
撹拌しながら重炭酸ナトリウム25g を添加して鉄−ラク
トフェリン結合体溶液を調製した。この鉄−ラクトフェ
リン結合体溶液を分画分子量5,000の限外濾過膜で脱塩
し、5リットルとなるまで濃縮した後、凍結乾燥して鉄
−ラクトフェリン結合体粉末690gを得た。そして、この
鉄−ラクトフェリン結合体粉末690gに、55℃に加熱した
純製ラード20kgを添加し、ホモミキサーにより撹拌して
分散化処理した鉄強化ラードを調製した。
【0027】
【実施例2】水10リットルに重炭酸ナトリウム2kgを添
加し、撹拌機で十分撹拌して重炭酸ナトリウム水溶液を
調製した。この重炭酸ナトリウム水溶液中に、ウシラク
トフェリン450gと塩化第二鉄6水和物260gを溶解した水
40リットルを撹拌しながら添加し、鉄−ラクトフェリン
複合体を含む溶液を調製した。この鉄−ラクトフェリン
複合体を含む溶液を分画分子量 5,000の限外濾過膜で脱
塩し、5リットルとなるまで濃縮した後、噴霧乾燥して
鉄−ラクトフェリン複合体粉末470gを得た。そして、こ
の鉄−ラクトフェリン複合体粉末470gをサフラワー白絞
油20kgに添加し、ホモミキサーにより撹拌して分散化処
理した鉄強化サフラワー白絞油を調製した。
【0028】
【実施例3】参考例1で調製した鉄−ラクトフェリン結
合体溶液を凍結乾燥して得られた鉄ラクトフェリン結合
体粉末とビタミンEとを含有するカプセル剤を調製し
た。すなわち、カプセル剤の配合として、カプセル用溶
液がゼラチン45%、グリセリン22%及び水33%であり、
組成がビタミンE35% (200IU)、鉄−ラクトフェリン結
合体20%、小麦胚芽油40%及び乳化剤5%である原料か
ら、打ち抜き法により 150mg用カプセル剤を製造した。
このようにして製造したカプセル剤について、3カ月保
存後官能検査を行ったが、酸化によるは異臭及び鉄の収
斂味は全く感じられなかった。
【0029】
【実施例4】参考例2で調製した鉄−ラクトフェリン複
合体溶液を凍結乾燥して得られた鉄−ラクトフェリン複
合体粉末とβ−カロチンを含有するカプセル剤を調製し
た。すなわち、カプセル剤の配合として、カプセル用溶
液がゼラチン45%、グリセリン22%及び水33%であり、
組成がβ−カロチン35% (2,000IU)、鉄−ラクトフェリ
ン複合体8%、小麦胚芽油53%及び乳化剤4%である原
料から、打ち抜き法により 200mg用カプセル剤を製造し
た。このようにして製造したカプセル剤について、3カ
月保存後官能検査を行ったが、酸化による異臭及び鉄の
収斂味は全く感じられなかった。
【0030】
【実施例5】油脂類として大豆硬化油(融点42℃)10
%、大豆白絞油40%及びパーム油25%と乳化剤としてグ
リセリン脂肪酸エステル (エステル化度60) 0.5%とか
らなる油相に、脱脂粉乳1%、乳酸 0.1%、水22.9%及
び参考例2で調製した鉄−ラクトフェリン複合体溶液を
凍結乾燥して得られた鉄−ラクトフェリン複合体粉末
0.5% (鉄0.04%に相当) を配合し、油中水型乳化物を
調製した後、この乳化物をマーガリン製造機で冷却、固
化及び練圧し、鉄強化マーガリンを製造した。そして、
この鉄強化マーガリンについて15℃での保存試験を行
い、製造直後及び6カ月保存後のPOVを測定した。ま
た、鉄化合物無添加のマーガリンを対照品とし、鉄化合
物として塩化第二鉄6水和物 0.2%を配合したマーガリ
ンを比較品として、同様の保存試験を行った。その結果
を表3に示す。この表にみられるように、鉄−ラクトフ
ェリン複合体を配合した鉄強化マーガリンは、対照品と
同程度の保存安定性を有していた。また、この鉄強化マ
ーガリンは、風味の点でも全く問題は無かった。
【0031】
【表3】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 富澤 章 埼玉県入間市豊岡5−3−33 アーデン 710 (72)発明者 高橋 健 埼玉県所沢市松葉町25−19 メゾン松葉 302 (56)参考文献 特開 平6−239900(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A23D 7/00 A23D 7/02 A23L 1/304 A23D 9/00 CA(STN)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ラクトフェリン類1分子当たり鉄を少な
    くとも3原子を保持した鉄−ラクトフェリンを配合して
    なる安定な鉄強化食用油脂類。
  2. 【請求項2】 鉄−ラクトフェリンが、ラクトフェリン
    類に炭酸及び/または重炭酸と鉄とが結合した鉄−ラク
    トフェリン結合体及び/または鉄−ラクトフェリン複合
    体である請求項1記載の鉄強化食用油脂類。
  3. 【請求項3】 鉄−ラクトフェリン結合体が、ラクトフ
    ェリン類1g当たり、15mg以上の炭酸及び/または重炭酸
    と、10〜700mg の鉄とが結合した、鉄−ラクトフェリン
    結合体である請求項2に記載の鉄強化食用油脂類。
  4. 【請求項4】 鉄−ラクトフェリン複合体が、ラクトフ
    ェリン類1g当たり、35〜400mg の炭酸及び/または重炭
    酸と、40〜500mg の鉄とが結合した、鉄−ラクトフェリ
    ン複合体である請求項2記載の鉄強化食用油脂類。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4に記載の鉄強化食用油脂類
    を含有せしめた安定な鉄強化食品。
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