JP5414142B2 - 脂質代謝改善剤 - Google Patents
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Description
しかし、このような鉄‐ラクトフェリンが高い脂質代謝改善作用を有することについては知られていない。
本発明は、これを摂取することにより脂質代謝を改善することができ、脂肪肝、高脂血症、動脈硬化症、肥満症などの生活習慣病の予防および改善に有用であり、しかも、日常的な投与が可能である脂質代謝改善剤を提供することを課題とする。また、本発明は、脂質代謝改善機能を賦与した医薬品および脂質代謝改善用飲食品を提供することを課題とする。
したがって、鉄‐ラクトフェリンを有効成分とする脂質代謝改善剤を提供することにより、また、鉄‐ラクトフェリンを配合して、脂質代謝改善機能を賦与した医薬品および脂質代謝改善用飲食品を提供することにより課題を解決することができた。
上述したような鉄‐ラクトフェリンを製造する際に使用することができるラクトフェリン類としては、哺乳類の乳などの分泌液から分離して得られるラクトフェリンを例示することができるが、血液や臓器などから分離されるトランスフェリンや卵から分離されるオボトランスフェリンなども同様の特性を有しており、ラクトフェリン類として同様に使用することが可能である。上記した鉄を安定に保持したラクトフェリン粉末(特開平7- 17825号公報)、耐熱性ラクトフェリン‐鉄複合体(特開平6-239900号公報)、あるいは炭酸または重炭酸‐鉄‐ラクトフェリン複合体(特開平7-304798号公報)などでは、トランスフェリンやオボトランスフェリンなどもラクトフェリン類として同様に使用され鉄‐ラクトフェリンを作製している。本発明においては、上記したラクトフェリン、トランスフェリン、オボトランスフェリンなどを含めてラクトフェリン類と称する。また、本発明においては、ラクトフェリン以外のラクトフェリン類と少なくとも3原子以上の鉄とが結合した状態のものも鉄‐ラクトフェリンと称する。
また、本発明の脂質代謝改善用飲食品については、鉄‐ラクトフェリンを前記したような剤型の食品とするか、あるいは飲食品に配合する。例えば、鉄‐ラクトフェリンを牛乳、乳飲料、コーヒー牛乳、ジュース、ゼリー、ビスケット、飴、パン、麺、ソーセージなどの飲食品、さらには栄養組成物に配合する。これらの飲食品を製造するに際しては、予めラクトフェリン類と鉄化合物とを混合して鉄‐ラクトフェリンを生成させてから配合しても良いし、食品を製造する過程で、ラクトフェリン類と、鉄化合物を別々に添加配合して鉄‐ラクトフェリンを生成させても良い。また、大豆タンパク質、乳清タンパク質、大豆レシチン、ジアシルグリセロール、大豆イソフラボンなど従来から脂質代謝改善作用を持つと考えられている成分とともに、鉄‐ラクトフェリンを配合すれば、一層の脂質代謝改善作用が期待できる。
ラクトフェリン(DMV社)40g、重炭酸ナトリウム180g、塩化第二鉄6水和物26gを水10Lに溶解し、鉄結合型ラクトフェリンを含む溶液を調製した。この溶液を分子量5,000カットの限外濾過膜で脱塩及び濃縮した後、水を加えて用量10Lの鉄‐ラクトフェリン溶液とした。本溶液を凍結乾燥した後、鉄‐ラクトフェリン凍結乾燥物の鉄含量を誘導結合プラズマ発光分光器(ICP)(ST-3000、Labs社製)で測定したところ、ラクトフェリン1分子当たりに鉄を220原子含んでいた。
ラクトフェリン(DMV社)100g、重炭酸ナトリウム150g、塩化第二鉄6水和物10.1gを水10Lに溶解し、鉄結合型ラクトフェリンを含む溶液を調製した後、実施例1と同様にして鉄濃度の異なる鉄‐ラクトフェリンを調製した。ICPにて鉄含量を測定したところ、ラクトフェリン1分子当たりに鉄を30原子含んでいた。
ラクトフェリン(DMV社)100g、重炭酸ナトリウム150g、塩化第二鉄6水和物1.0gを水10Lに溶解し、鉄結合型ラクトフェリンを含む溶液を調製した後、実施例1と同様にして鉄濃度の異なる鉄‐ラクトフェリンを調製した。ICPにて鉄含量を測定したところ、ラクトフェリン1分子当たりに鉄を3原子含んでいた。
オボトランスフェリン(Sigma社)100g、重炭酸ナトリウム150g、塩化第二鉄6水和物23.6gを水10Lに溶解し、鉄結合型オボトランスフェリンを含む溶液を調製した後、実施例1と同様にして鉄-オボトランスフェリンを調製した。ICPにて鉄含量を測定したところ、オボトランスフェリン1分子当たりに鉄を80原子含んでいた。
実施例1,2,3,4で得られた220FeLF、30FeLF、3FeLF、FeOTF及び市販のラクトフェリン(DMV社)、オボトランスフェリン(Sigma社)を試料として、5週齢のWistar系雌ラットを用いた動物実験により脂質代謝改善作用を調べた。
事前に高脂血症を発症させるための導入食として、AIN76組成に準じ、脂肪を15%となるように配合改変した高脂肪食にて飼育したラット35匹を、コントロール群、ラクトフェリン群、220FeLf群、30FeLF群、3FeLF群、オボトランスフェリン群、FeOTF群、の7試験群(n=5)に分け、コントロール群には引き続き導入食(AIN76組成に準じ、脂肪を15%となるように配合改変)を摂取させ、ラクトフェリン群には市販のラクトフェリン(DMV社)を導入食に3g/kg混合したもの、オボトランスフェリン群には市販のオボトランスフェリン(sigma社)を導入食に3g/kg混合したもの、220FeLF群には実施例1で得られた220FeLFを導入食に3g/kg配合したもの、30FeLF群には実施例2で得られた30FeLFを導入食に3g/kg配合したもの、3FeLF群には実施例3で得られた3FeLFを導入食に3g/kg配合したもの、FeOTF群には実施例4で得られたFeOTFを導入食に3g/kg配合したものをそれぞれ自由に摂取させ3週間飼育した。3週間飼育後に血清中の総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロール、及び中性脂肪を測定した。また肝障害の指標としてグルタミン酸オキザロ酢酸トランスアミナーゼ、腎障害の指標として尿素窒素を測定した。なお、7群に体重、摂食量、糞重量の差は認められなかった。
その結果を図1から図6に示す。
また、図5にみられるように、肝障害の指標であるグルタミン酸オキザロ酢酸トランスアミナーゼは、3FeLF群、30FeLF群、220FeLF群、FeOTF群において有意に低い値を示した。
さらに、図6にみられるように、腎障害の指標である尿素窒素においても、3FeLF群、30FeLF群、220FeLF群、FeOTF群において有意に低い値を示した。
実施例1で得られた鉄‐ラクトフェリン20g、糖類100g、アスコルビン酸1g、クエン酸1g、及び香料適量に、水を加えて総量1kgとし、圧力120 kg/cm2でホモゲナイズした後、90℃、15秒間加熱殺菌後、瓶に100mlずつ無菌的に充填して、本発明品である脂質代謝改善用飲料を製造した。
実施例1で得られた鉄‐ラクトフェリン10g、糖類100g、アスコルビン酸1g、クエン酸1g、及び香料適量を水300gに溶解し、これに牛乳を加えて総量1kgとし、圧力120 kg/cm2でホモゲナイズした後、90℃、15秒間加熱殺菌後、瓶に100mlずつ無菌的に充填して、本発明品である脂質代謝改善用乳飲料を製造した。
Claims (4)
- ラクトフェリン類1分子当たり、少なくとも3原子の鉄を保持した鉄‐ラクトフェリンを有効成分とする脂質代謝改善剤。
- 鉄‐ラクトフェリンが、ラクトフェリン類に炭酸および/または重炭酸と鉄とが結合した鉄‐ラクトフェリン結合体および/または鉄‐ラクトフェリン複合体である請求項1記載の脂質代謝改善剤。
- 鉄‐ラクトフェリンが、ラクトフェリン類1分子当たり、10分子以上の炭酸および/または重炭酸と、3〜500原子 の鉄とが結合した鉄‐ラクトフェリン結合体および/または鉄‐ラクトフェリン複合体である請求項1又は2記載の脂質代謝改善剤。
- 請求項1から3のいずれかに記載の鉄‐ラクトフェリン結合体および/または鉄‐ラクトフェリン複合体を配合した脂質代謝改善用医薬製剤。
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