JP2007197327A - 脂質代謝改善剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】脂質代謝改善機能を賦与した医薬品および飲食品の提供。
【解決手段】ラクトフェリン類1分子当たり、少なくとも3原子の鉄を保持した鉄‐ラクトフェリンを有効成分とする脂質代謝改善剤、脂質代謝改善機能を賦与した医薬品および脂質代謝改善用飲食品。
鉄‐ラクトフェリンには血清中の総コレステロール、中性脂肪、低密度リポタンパク質コレステロール値を低下させ、高密度リポタンパク質コレステロール値を上昇させる作用があり、脂質代謝を顕著に改善する。
【選択図】なし

Description

本発明は、脂質代謝改善剤、脂質代謝改善機能を賦与した医薬品および脂質代謝改善用飲食品に関する。本発明の脂質代謝改善剤、脂質代謝改善機能を賦与した医薬品および脂質代謝改善用飲食品は、これを摂取することにより脂質代謝を改善することができるので、脂肪肝、高脂血症、動脈硬化症、肥満症などの疾患の治療及び予防に有用である。
近年、食生活の欧米化に伴い、脂肪、特に動物性脂肪摂取量の増加、それに伴うコレステロール摂取量の増加が顕著である。また、心臓血管系の疾患による死亡率が急増しており、その発症の危険率と血中コレステロール濃度の相関が指摘されている。発症率増加が社会的な問題となっている脂肪肝、高脂血症、動脈硬化症、肥満症などの生活習慣病に対しては様々な治療法が開発されており、重症患者にも効果が認められる場合もある。しかしながら、これらの生活習慣病に関しては、医学的な治療に加えて食事療法が必要不可欠である。
これまでに日常的な投与が可能である食品素材によって、血中コレステロール濃度を下げようという試みがなされてきた。例えば、大豆タンパク質(例えば、非特許文献1参照。)、乳清タンパク質(例えば、非特許文献2、特許文献1参照。)、大豆タンパク質加水分解物(例えば、非特許文献3参照。)、卵黄リン脂質(例えば、非特許文献4参照。)などが挙げられる。また、ラクトアルブミン、コラーゲン、大豆タンパク質または小麦グルテンと大豆レシチンを組み合わせる方法(例えば、非特許文献5参照。)や、大豆レシチンを含む組織状の大豆タンパク質を用いる方法(例えば、非特許文献6参照。)などが提案されている。しかし、これらには、比較的多量の投与を必要とするという問題、風味上の問題、飲料にした場合に保存中に沈殿するなどの保存安定性の問題があった。
一方、ラクトフェリンは、乳中に存在する分子量約8万の糖タンパク質であり、2つの領域(NロープとCロープ)を有し、それぞれが1原子の鉄をキレート結合する性質を持つ。ラクトフェリンの利用に関しては、歯周病の治療・予防用医薬組成物(例えば、特許文献2参照。)、生体防御能賦活剤(例えば、特許文献3参照。)、感染防御剤(例えば、特許文献4参照。)、脂質代謝改善用組成物(例えば、特許文献5参照。)などが知られている。また、これらの生理機能を有効に利用するためにラクトフェリンを含む様々な飲食品や飼料、医薬が開発されている。しかし、一般的にラクトフェリンは中性域において加熱に対して不安定であり、62.5℃、30分の加熱によりほぼ失活し、70℃、15分の加熱により完全に失活する(例えば、非特許文献7参照。)。したがって、ラクトフェリンを飲食品や医薬に添加して用いる際に高温加熱処理を採用できないのが実状であり、ラクトフェリン類を失活させずに飲食品や飼料、医薬に配合する場合には制限がある。
ラクトフェリン類に鉄を十分結合吸着させることで耐熱性を付与する方法により作製された鉄‐ラクトフェリンを用いれば、加熱処理してもその生理活性を維持することが知られている。ラクトフェリン類は、通常、1分子当たり鉄を2原子キレート結合する能力を有しているが、本発明で使用する鉄‐ラクトフェリンは、ラクトフェリン類に特定の処理を行うことにより、ラクトフェリン類1分子当たり少なくとも3原子の鉄を安定に保持できるようにしたものである。このような鉄‐ラクトフェリンは本出願人によって既に開示されている。例えば、ラクトフェリン溶液に鉄塩を添加し、アルカリを加えて溶液のpHを高めることにより得られる、鉄を安定に保持したラクトフェリン粉末(例えば、特許文献6参照。)、ラクトフェリン類のアミノ基に重炭酸イオンを介して鉄が結合した耐熱性ラクトフェリン‐鉄複合体(例えば、特許文献7参照。)、あるいは炭酸、重炭酸およびラクトフェリン類を含む溶液に鉄を含有する溶液を混合して得られる炭酸または重炭酸‐鉄‐ラクトフェリン複合体(例えば、特許文献8参照。)などが知られている。
しかし、このような鉄‐ラクトフェリンが高い脂質代謝改善作用を有することについては知られていない。
特開平5-176713号公報 特開平5-279266号公報 特開平6-145068号公報 特開平10-259137号公報 WO2003/057245号公報 特開平7-17825号公報 特開平6-239900号公報 特開平7-304798号公報 Atherosclerosis, 72,115,1988 Agric.Biol.Chem.,55,813, 1991 J.Nutr.,120,977,1990 Agric.Biol.Chem.,53,2469, 1989 Nutr.Rep.Int.,28,621, 1983 Ann.Nutr.Metab., 29, 348 1985 Ford, J. E. et al., The Journal of Pediatrics,90, 1,29-35, 1977
脂肪肝、高脂血症、動脈硬化症、肥満症等の生活習慣病に関しては医学的な治療に加えて日常的な投与が可能である食品素材によって、血中コレステロール濃度を下げるなど脂質代謝改善のための食事療法が必要不可欠である。
本発明は、これを摂取することにより脂質代謝を改善することができ、脂肪肝、高脂血症、動脈硬化症、肥満症などの生活習慣病の予防および改善に有用であり、しかも、日常的な投与が可能である脂質代謝改善剤を提供することを課題とする。また、本発明は、脂質代謝改善機能を賦与した医薬品および脂質代謝改善用飲食品を提供することを課題とする。
本発明者らは、鉄‐ラクトフェリンの持つ薬理作用について鋭意研究を行ってきたところ、脂質代謝を改善する機能に関して、鉄‐ラクトフェリンには血清中の総コレステロール、中性脂肪値、悪玉コレステロールとされる低密度リポタンパク質コレステロール値を顕著に低下させる作用や、善玉コレステロールとされる高密度リポタンパク質コレステロール値を顕著に上昇させる作用があり、脂質代謝を顕著に改善することを見出した。さらに鉄‐ラクトフェリンは脂質代謝異常に伴う肝障害、腎障害を改善する作用を有することを見出した。これらの脂質代謝を改善する機能は、市販されているような通常のラクトフェリンと比較して、顕著に高い活性を有していた。
そして、特に、ラクトフェリン類1分子当たり、10分子以上の炭酸および/または重炭酸と、3〜500原子 の鉄とが結合した鉄‐ラクトフェリンが高い脂質代謝改善作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
したがって、鉄‐ラクトフェリンを有効成分とする脂質代謝改善剤を提供することにより、また、鉄‐ラクトフェリンを配合して、脂質代謝改善機能を賦与した医薬品および脂質代謝改善用飲食品を提供することにより課題を解決することができた。
ラクトフェリン類に鉄を十分結合吸着させることで耐熱性を付与する方法(特開平6-239900号公報)により作製された鉄‐ラクトフェリンを用いれば、加熱処理してもその生理活性を維持することも知られている。また、消化酵素(ペプシン・トリプシン)による分解耐性を比較したところ、ラクトフェリンは消化酵素作用により炎症性サイトカイン産生抑制能が消失したのに対して、鉄‐ラクトフェリンは酵素分解物でも活性を維持していることが確認されている(特願2004-258145)。このことから、鉄‐ラクトフェリンは生体において経口的に摂取され、消化酵素の作用を受けても生理活性を維持している可能性が高い。また鉄‐ラクトフェリン複合体(特開平7-304798号公報)が組成物の形態として知られており、この鉄含有タンパク質組成物は、鉄独特の収斂味や金属味がなく、副作用もなく、さらには溶解性、熱安定性が良好であることから、飲食品への利用に特に適している。
すなわち、本発明に係る脂質代謝改善剤、脂質代謝改善機能を賦与した医薬品および脂質代謝改善用飲食品は、鉄‐ラクトフェリンを含み、脂質代謝調節作用を有することを特徴とする。この脂質代謝調節作用は、具体的には、血中中性脂肪濃度、血中総コレステロール濃度、低密度リポタンパク質(LDL)コレステロール濃度を低下させ、同時に高密度リポタンパク質(HDL)コレステロール濃度を上昇させる作用である。ラクトフェリンは胃で分泌されるペプシンにより容易に分解される。ラクトフェリンが体内に取りこまれるには、小腸下部にあるラクトフェリン受容体を介する必要があるが、消化液により分解されたラクトフェリンは小腸下部に到達することなく、小腸上部で栄養物として吸収されてしまう。一方、鉄‐ラクトフェリンは消化酵素に耐性があり、消化酵素の作用を受けてもラクトフェリンとしての構造、および生理活性を維持し、摂取した食品中のLDLコレステロールならびに中性脂肪の消化管からの吸収を阻害して、肝臓における脂質の蓄積を抑制するものと考えられる。また、本発明に係る脂質代謝改善剤、脂質代謝改善機能を賦与した医薬品および脂質代謝改善用飲食品は、前記の優れた脂質代謝調節作用により、不適切な食生活または運動不足に起因する生活習慣病を予防および改善する作用を有することを特徴とする。このような生活習慣病としては、肥満、高脂血症、高血圧症、糖尿病を挙げることができ、本発明に係る脂質代謝改善剤、脂質代謝改善機能を賦与した医薬品および脂質代謝改善用飲食品は肥満、高脂血症、高血圧症または糖尿病の少なくともいずれかの予防および改善に有用である。
ラクトフェリンは、通常、1分子当たり鉄を2原子キレート結合する能力を有している。本発明で使用する鉄‐ラクトフェリンは、ラクトフェリンに特定の処理を行うことにより、ラクトフェリン類1分子当たり少なくとも3原子の鉄を安定に保持できるようにしたものである。このような鉄‐ラクトフェリンは従来より知られている。例えば、ラクトフェリン溶液に鉄塩を添加し、アルカリを加えて溶液のpHを高めることにより得られる、鉄を安定に保持したラクトフェリン粉末(特開平7- 17825号公報)、ラクトフェリンのアミノ基に重炭酸イオンを介して鉄が結合した耐熱性ラクトフェリン‐鉄複合体(特開平6-239900号公報)、あるいは炭酸、重炭酸およびラクトフェリン類を含む溶液に鉄を含有する溶液を混合して得られる炭酸または重炭酸‐鉄‐ラクトフェリン複合体(特開平7-304798号公報)などが知られている。
本発明で使用することができる鉄‐ラクトフェリンは、これらいずれの鉄‐ラクトフェリンであってもよい。鉄‐ラクトフェリンは、鉄とラクトフェリン類とが結合した状態のものであって、鉄とラクトフェリン類とが結合しているか、あるいは他の物質を介して鉄とラクトフェリン類とが結合しているものであって、いわゆる、鉄がイオン状態で存在していないものであればよい。特に、ラクトフェリン類に炭酸および/または重炭酸と鉄とが結合した状態の鉄‐ラクトフェリン結合体や鉄‐ラクトフェリン複合体を例示することができ、これらの鉄‐ラクトフェリンを使用することが望ましい。これらの鉄‐ラクトフェリンは、ラクトフェリン類1分子当たり、10分子以上の炭酸および/または重炭酸と、3〜500原子 の鉄とが結合した鉄‐ラクトフェリンである。これらの鉄‐ラクトフェリンは、耐熱性を有しているので、医薬品や飲食品に添加し、加工する際に加熱処理しても、脂質代謝改善機能の低下が起こり難いという特徴を有している。また、これらの鉄‐ラクトフェリンは、加熱しても沈殿が生じないし、鉄の収斂味や金属味などの風味上の問題も全くないという特徴を有しているので、飲食品に添加して用いる場合には特に有利なものである。
本発明では、脂質代謝改善剤の有効成分として、あるいは脂質代謝改善機能を医薬品や飲食品に賦与するために、鉄‐ラクトフェリンを使用する。
上述したような鉄‐ラクトフェリンを製造する際に使用することができるラクトフェリン類としては、哺乳類の乳などの分泌液から分離して得られるラクトフェリンを例示することができるが、血液や臓器などから分離されるトランスフェリンや卵から分離されるオボトランスフェリンなども同様の特性を有しており、ラクトフェリン類として同様に使用することが可能である。上記した鉄を安定に保持したラクトフェリン粉末(特開平7- 17825号公報)、耐熱性ラクトフェリン‐鉄複合体(特開平6-239900号公報)、あるいは炭酸または重炭酸‐鉄‐ラクトフェリン複合体(特開平7-304798号公報)などでは、トランスフェリンやオボトランスフェリンなどもラクトフェリン類として同様に使用され鉄‐ラクトフェリンを作製している。本発明においては、上記したラクトフェリン、トランスフェリン、オボトランスフェリンなどを含めてラクトフェリン類と称する。また、本発明においては、ラクトフェリン以外のラクトフェリン類と少なくとも3原子以上の鉄とが結合した状態のものも鉄‐ラクトフェリンと称する。
また、ラクトフェリン類は、完全に単離されている必要はなく、ラクトフェリン類を含む組成物であっても構わない。さらに、遺伝子操作により、微生物、動物細胞、トランスジェニック動物から生産されたラクトフェリン類も、その安全性が保証されているものであれば、使用することが可能である。そして、ラクトフェリン類をタンパク質分解酵素で分解したものを鉄‐ラクトフェリンとして使用することもできる。
また、上述したような鉄‐ラクトフェリンを製造する際に使用することができる鉄としては、硫酸第一鉄、グルコン酸第一鉄、乳酸鉄、クエン酸鉄、クエン酸第一鉄ナトリウム、クエン酸鉄アンモニウム、ピロリン酸第一鉄、ピロリン酸第二鉄、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、硝酸第二鉄などを例示することができる。
本発明の脂質代謝改善剤、脂質代謝改善機能を賦与した医薬品および脂質代謝改善用飲食品は、これを摂取することにより脂質代謝を改善することができるので、脂肪肝、高脂血症、動脈硬化症、肥満症などの疾患の予防および改善に有用である。
本発明の脂質代謝改善剤、脂質代謝改善機能を賦与した医薬品および脂質代謝改善用飲食品は、乳などから得られるラクトフェリン類、あるいは既に比較的安価に市販されているラクトフェリン類に特定の処理を行うことにより得られる鉄‐ラクトフェリンを有効成分として使用する。
本発明の脂質代謝改善剤および脂質代謝改善機能を賦与した医薬品の剤型は、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、粉剤などにすればよく、経口的に投与することが望ましい。また、これらの剤型は、従来から知られている通常の方法で製造することができる。例えば、製剤の製造上許可される担体や賦形剤などと混合して成型する。
また、本発明の脂質代謝改善用飲食品については、鉄‐ラクトフェリンを前記したような剤型の食品とするか、あるいは飲食品に配合する。例えば、鉄‐ラクトフェリンを牛乳、乳飲料、コーヒー牛乳、ジュース、ゼリー、ビスケット、飴、パン、麺、ソーセージなどの飲食品、さらには栄養組成物に配合する。これらの飲食品を製造するに際しては、予めラクトフェリン類と鉄化合物とを混合して鉄‐ラクトフェリンを生成させてから配合しても良いし、食品を製造する過程で、ラクトフェリン類と、鉄化合物を別々に添加配合して鉄‐ラクトフェリンを生成させても良い。また、大豆タンパク質、乳清タンパク質、大豆レシチン、ジアシルグリセロール、大豆イソフラボンなど従来から脂質代謝改善作用を持つと考えられている成分とともに、鉄‐ラクトフェリンを配合すれば、一層の脂質代謝改善作用が期待できる。
本発明の脂質代謝改善剤、脂質代謝改善機能を賦与した医薬品および脂質代謝改善用飲食品の投与量は、年齢、治療効果及び病態などにより異なり、特に限定されないが、鉄‐ラクトフェリンを一日当たり0.1〜5,000mg、好ましくは4〜1,000mg、さらに好ましくは10〜200mg摂取できるよう配合量等を調整すればよい。ラクトフェリンは日常摂取されているものであり、本発明において使用される量では毒性は知られていない。
以下に、実施例及び試験例を示し、本発明についてより詳細に説明するが、これらは単に例示するのみであり、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
(鉄‐ラクトフェリン(220FeLF)の調製)
ラクトフェリン(DMV社)40g、重炭酸ナトリウム180g、塩化第二鉄6水和物26gを水10Lに溶解し、鉄結合型ラクトフェリンを含む溶液を調製した。この溶液を分子量5,000カットの限外濾過膜で脱塩及び濃縮した後、水を加えて用量10Lの鉄‐ラクトフェリン溶液とした。本溶液を凍結乾燥した後、鉄‐ラクトフェリン凍結乾燥物の鉄含量を誘導結合プラズマ発光分光器(ICP)(ST-3000、Labs社製)で測定したところ、ラクトフェリン1分子当たりに鉄を220原子含んでいた。
(鉄‐ラクトフェリン(30FeLF)の調製)
ラクトフェリン(DMV社)100g、重炭酸ナトリウム150g、塩化第二鉄6水和物10.1gを水10Lに溶解し、鉄結合型ラクトフェリンを含む溶液を調製した後、実施例1と同様にして鉄濃度の異なる鉄‐ラクトフェリンを調製した。ICPにて鉄含量を測定したところ、ラクトフェリン1分子当たりに鉄を30原子含んでいた。
(鉄‐ラクトフェリン(3FeLF)の調製)
ラクトフェリン(DMV社)100g、重炭酸ナトリウム150g、塩化第二鉄6水和物1.0gを水10Lに溶解し、鉄結合型ラクトフェリンを含む溶液を調製した後、実施例1と同様にして鉄濃度の異なる鉄‐ラクトフェリンを調製した。ICPにて鉄含量を測定したところ、ラクトフェリン1分子当たりに鉄を3原子含んでいた。
(鉄‐オボトランスフェリン(FeOTF)の調製)
オボトランスフェリン(Sigma社)100g、重炭酸ナトリウム150g、塩化第二鉄6水和物23.6gを水10Lに溶解し、鉄結合型オボトランスフェリンを含む溶液を調製した後、実施例1と同様にして鉄-オボトランスフェリンを調製した。ICPにて鉄含量を測定したところ、オボトランスフェリン1分子当たりに鉄を80原子含んでいた。
[試験例1]
実施例1,2,3,4で得られた220FeLF、30FeLF、3FeLF、FeOTF及び市販のラクトフェリン(DMV社)、オボトランスフェリン(Sigma社)を試料として、5週齢のWistar系雌ラットを用いた動物実験により脂質代謝改善作用を調べた。
事前に高脂血症を発症させるための導入食として、AIN76組成に準じ、脂肪を15%となるように配合改変した高脂肪食にて飼育したラット35匹を、コントロール群、ラクトフェリン群、220FeLf群、30FeLF群、3FeLF群、オボトランスフェリン群、FeOTF群、の7試験群(n=5)に分け、コントロール群には引き続き導入食(AIN76組成に準じ、脂肪を15%となるように配合改変)を摂取させ、ラクトフェリン群には市販のラクトフェリン(DMV社)を導入食に3g/kg混合したもの、オボトランスフェリン群には市販のオボトランスフェリン(sigma社)を導入食に3g/kg混合したもの、220FeLF群には実施例1で得られた220FeLFを導入食に3g/kg配合したもの、30FeLF群には実施例2で得られた30FeLFを導入食に3g/kg配合したもの、3FeLF群には実施例3で得られた3FeLFを導入食に3g/kg配合したもの、FeOTF群には実施例4で得られたFeOTFを導入食に3g/kg配合したものをそれぞれ自由に摂取させ3週間飼育した。3週間飼育後に血清中の総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロール、及び中性脂肪を測定した。また肝障害の指標としてグルタミン酸オキザロ酢酸トランスアミナーゼ、腎障害の指標として尿素窒素を測定した。なお、7群に体重、摂食量、糞重量の差は認められなかった。
その結果を図1から図6に示す。
図1にみられるように、総コレステロールは、コントロール群に比べ、3FeLF群、30FeLF群、220FeLF群、FeOTF群において有意に低い値を示した。コレステロール値の内訳を見てみると、悪玉コレステロールとされるLDLコレステロールは、コントロール群に比べ、3FeLF群、30FeLF群、220FeLF群、FeOTF群において有意に低い値を示している(図4参照)。これに対して、善玉コレステロールとされるHDLコレステロールは、3FeLF群、30FeLF群、220FeLF群、FeOTF群において有意に高い値を示した(図3参照)。また、中性脂肪はコントロール群に比べ、3FeLF群、30FeLF群、220FeLF群、FeOTF群において有意に低い値を示した(図2参照)。
また、図5にみられるように、肝障害の指標であるグルタミン酸オキザロ酢酸トランスアミナーゼは、3FeLF群、30FeLF群、220FeLF群、FeOTF群において有意に低い値を示した。
さらに、図6にみられるように、腎障害の指標である尿素窒素においても、3FeLF群、30FeLF群、220FeLF群、FeOTF群において有意に低い値を示した。
以上の試験結果から、鉄‐ラクトフェリンには血清中の総コレステロール値、中性脂肪値、悪玉コレステロールとされるLDLコレステロール値のいずれについても顕著に低下させる作用や、善玉コレステロールとされるHDLコレステロール値を顕著に上昇させる作用があり、脂質代謝を顕著に改善することが明らかとなった。さらに鉄‐ラクトフェリンは脂質代謝異常に伴う肝障害、腎障害を改善する作用を有することが明らかである。
(鉄‐ラクトフェリン含有脂質代謝改善用飲料の製造)
実施例1で得られた鉄‐ラクトフェリン20g、糖類100g、アスコルビン酸1g、クエン酸1g、及び香料適量に、水を加えて総量1kgとし、圧力120 kg/cm2でホモゲナイズした後、90℃、15秒間加熱殺菌後、瓶に100mlずつ無菌的に充填して、本発明品である脂質代謝改善用飲料を製造した。
(鉄‐ラクトフェリン含有脂質代謝改善用乳飲料の製造)
実施例1で得られた鉄‐ラクトフェリン10g、糖類100g、アスコルビン酸1g、クエン酸1g、及び香料適量を水300gに溶解し、これに牛乳を加えて総量1kgとし、圧力120 kg/cm2でホモゲナイズした後、90℃、15秒間加熱殺菌後、瓶に100mlずつ無菌的に充填して、本発明品である脂質代謝改善用乳飲料を製造した。
血清中の総コレステロール値の測定結果を示した図である(試験例1)。 棒は標準偏差を示す(n=5)。異なる文字間で有意差あり*P<0.05(以下共通)。 血清中の中性脂肪値の測定結果を示した図である(試験例1)。 血清中のHDLコレステロール値の測定結果を示した図である(試験例1)。 血清中のLDLコレステロール値の測定結果を示した図である(試験例1)。 血清中のグルタミン酸オキザロ酢酸トランスアミナーゼ値の測定結果を示した図である。(試験例1) 血清中の尿素窒素値の測定結果を示した図である(試験例1)。

Claims (5)

  1. ラクトフェリン類1分子当たり、少なくとも3原子の鉄を保持した鉄‐ラクトフェリンを有効成分とする脂質代謝改善剤。
  2. 鉄‐ラクトフェリンが、ラクトフェリン類に炭酸および/または重炭酸と鉄とが結合した鉄‐ラクトフェリン結合体および/または鉄‐ラクトフェリン複合体である請求項1記載の脂質代謝改善剤。
  3. 鉄‐ラクトフェリンが、ラクトフェリン類1分子当たり、10分子以上の炭酸および/または重炭酸と、3〜500原子 の鉄とが結合した鉄‐ラクトフェリン結合体および/または鉄‐ラクトフェリン複合体である請求項1又は2記載の脂質代謝改善剤。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の脂質代謝改善剤を配合して脂質代謝改善機能を賦与した医薬品。
  5. 請求項1から3のいずれかに記載の脂質代謝改善剤を配合した脂質代謝改善用飲食品。
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