JPH06237807A

JPH06237807A - 面ファスナーの製造方法

Info

Publication number: JPH06237807A
Application number: JP2773993A
Authority: JP
Inventors: Yoshio Matsuda; 義雄松田
Original assignee: YKK Corp; Yoshida Kogyo KK
Current assignee: YKK Corp
Priority date: 1993-02-17
Filing date: 1993-02-17
Publication date: 1994-08-30
Anticipated expiration: 2014-08-09
Also published as: JP2931174B2

Abstract

(57)【要約】【目的】層間の剥離強力を確保すると共に、編織物製の
面ファスナーが有する可撓性及び柔軟性が保持される面
ファスナーの製造方法を提供する。【構成】編織成された前記パイル編織物(2) の裏面に合
成樹脂材料をコーティングして第１裏打層(3) を形成し
た直後に、同合成樹脂材料と同質又は親和性を有する材
料を主材料とする気泡性合成樹脂材料を前記第１裏打層
(3) の表面にコーティングして第２裏打層(4) を連続的
に形成する。このあとで、前記パイルを熱セットすると
共に前記第１及び第２裏打層(3,4) を連続的に硬化乾燥
させ、次いで気泡構造を有する同第２裏打層の表面に粘
着剤をコーティングして乾燥させてから、前記粘着剤の
表面に剥離紙(6) を連続的に貼着する。前記気泡構造
は、第１及び第２裏打層(3,4) の乾燥と同時に発泡させ
てもよく、或いは前記第１及び第２裏打層(3,4) の乾燥
前に形成されていてもよい。更に、前記粘着剤が発泡剤
を含有して要る場合もある。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は製編織により得られるパ
イル編織物の裏面に裏打層を介して粘着剤層が形成され
てなる面ファスナーの連続製造方法に関し、特に各積層
間の剥離強力を大きくして境界剥離のない面ファスナー
を連続的に製造する方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、被着物に対する面ファスナーの被
着を容易にするため、裏面に裏打層を介して粘着剤層が
形成されたパイル編織物製の面ファスナーが市販されて
いる。

【０００３】その製造方法の一つに、例えば実開昭６３
−１０３４０８号公報（実願昭６１−１９９４７０号）
により提案された方法がある。その明細書に開示された
具体例によると、同面ファスナーの製造方法では前記パ
イル編織物に裏打層を形成すると共に、同裏打層の表面
に別に用意されたスポンジシート等の弾性シートを貼着
した後、同弾性シートの表面に粘着剤層を形成してい
る。ここで、前記弾性シートを介在させる理由として、
被着物に対する接着力が弾性シートにより分散されるこ
と、及び被着面に存在する凹凸面による接着面積の減少
を前記弾性シートにより防止することにより、接着力又
は粘着力を向上させることを挙げている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかして、上記公報の
開示によれば、剥離強力という点についても言及がされ
てはいるが、同技術における剥離強力とは弾性シートの
内部破壊強力を意味するとしており、各層間の剥離強力
を意味するものではない。一方、上記面ファスナーは上
述のごとくパイル編織物の裏面に裏打層、弾性シート及
び粘着剤層の３層が順次積層固着されている。かかる構
想をもつ面ファスナーにあっては、弾性シートの内部破
壊強力も重要ではあるが、各層間における境界剥離の問
題も同様に重要であるにも関わらず、その点に関する積
極的な解決策が開示されていないばかりでなく、その境
界部分は接着剤層により硬度を増しており、この種の面
ファスナーが本来具備すべき柔軟性を損なう恐れがあ
る。

【０００５】一般に固体に対する接着剤による固着強度
は、接着剤の材質が適当であれば、接着面積を増加させ
ることで大きくなる。一方、接着剤による２物体間の固
着では、固着面の全体を均等に接着することは難しく、
更に必然的にその固着面には接着剤による境界層が形成
され、この境界層が一体化された２物体間の硬度を高
め、２物体本来の感触を失い異物感を与え兼ねない。前
記境界層は、一方が硬化前の樹脂層（接着剤層）の表面
に固体を貼着したのち、同樹脂層を硬化させて固着一体
化する場合にも当然に形成される。こうした境界層の形
成は、特に接着一体化された物品に対して可撓性或いは
柔軟性が求められる場合には、前記硬度の増加につなが
るため可能なかぎり避けることが好ましい。

【０００６】しかるに、上記公報に開示された面ファス
ナーにあっては、弾性シートと粘着剤層との間は勿論の
こと、パイル編織物の裏打層と弾性シートとの間にも上
記境界層が形成されることになり、可撓性及び柔軟性を
要求される編織物製の面ファスナーの特性が失われてし
まう。

【０００７】本発明は上述の課題を解決すべくなされた
ものであり、その目的は層間の剥離強力を確保すると共
に、編織物製の面ファスナーが有する可撓性及び柔軟性
が保持される面ファスナーの製造方法を提供することに
ある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】この目的を達成すべく、
本発明は編織物と一体に製編織されるパイルにより多数
のフック片又はループ片が表面に竝立形成され、同編織
物の裏面に粘着剤層を有する面ファスナーの製造方法に
おいて、パイル編織物を編織成すること、編織成された
前記パイル編織物の裏面に合成樹脂材料をコーティング
して第１裏打層を形成すること、第１裏打層を構成する
前記合成樹脂材料の硬化前に、同合成樹脂材料と同質又
は親和性を有する材料を主材料とする気泡性合成樹脂材
料を前記第１裏打層の表面にコーティングして第２裏打
層を連続的に形成すること、第２裏打層を形成したの
ち、前記パイルを熱セットすると共に、前記第１及び第
２裏打層を連続的に硬化乾燥させること、前記第１及び
第２裏打層の乾燥後に気泡構造を有する同第２裏打層の
表面に粘着剤をコーティングして乾燥させること、乾燥
した前記粘着剤の表面に剥離紙を連続的に貼着すること
の各工程を備えてなることを主要な構成としている。

【０００９】前記気泡構造は、前記第１及び第２裏打層
の乾燥と同時に発泡させることにより形成しても、或い
は前記第１裏打層に対するコーティング時に、第２裏打
層が既に気泡構造とされていてもよい。また、雄面ファ
スナーを製造する場合には、前記第１及び第２裏打層の
乾燥工程と前記粘着剤のコーティング工程との間で、前
記パイルの側部を部分的に切断してフック片を形成す
る。更に、前記粘着剤が発泡剤を含有して要る場合もあ
る。

【００１０】

【作用】織成されたパイル織物の裏面に合成樹脂材料の
溶液又はエマルジョンを連続的にコーティングして第１
裏打層を形成した溶融状態にあるとき、そのコーティン
グ面に同質材或いは第１裏打層と親和性の高い合成樹脂
材料を主材料とし気泡剤を含有成する溶液をコーティン
グして第２裏打層を形成する。そのため、第２裏打層の
境界面と第１裏打層の境界面とは融合状態で一体化さ
れ、境界層は殆ど表出しない。

【００１１】こうして第１及び第２裏打層が形成された
のち、裏打層が形成されたパイル織物は続いて乾燥部に
送られ、高温下で乾燥されて織物が熱セットされると同
時に第１及び第２裏打層が硬化する。この硬化乾燥時に
も、上述のごとく融合状態にある第１及び第２裏打層の
境界部には高硬度の境界層が形成されず、面ファスナー
本来の柔軟性及び可撓性を失うことなく樹脂本来の柔軟
性が維持され、更には乾燥時に前記発泡剤を同時に発泡
するときは、前記境界部において第１裏打層に対して部
分的な発泡圧が作用して、双方の接着面積を増加させ、
より融合状態が促進されて強固な接着が得られる。

【００１２】硬化した裏打層を有する上記面ファスナー
用テープは、雄面ファスナーを製造するときは引き続い
てフック形成部に送られ、モノフィラメントから構成さ
れたパイル部分の側部が常法に従ってバリカンにより切
断されフック片を形成する。雌面ファスナーを製造する
場合には、前記乾燥工程でループが熱セットされ、その
状態で次工程である粘着剤層の塗布工程に送られる。

【００１３】こうして得られた前記面ファスナー用テー
プの第２裏打層の表面には、次いで公知の粘着剤が塗布
されたあと、乾燥工程を通して乾燥する。この乾燥後、
粘着剤層の表面には剥離紙が連続的に貼着される。第２
裏打層の表面に粘着剤が塗布されるとき、同裏打層表面
には発泡により生じた多数の多様な形状を有する気泡部
分が存在するため、粘着剤の一部はその気泡部分内に侵
入し接着面積を増加して一体化する。しかも、この気泡
内に侵入した粘着剤部分がアンカー効果を奏するように
なり、平面同士の接着とは異なる強力な接着力を発揮す
る。

【００１４】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照しながら
具体的に説明する。図２は本発明方法により得られる面
ファスナーの雄片構造を示している。

【００１５】同図により明らかにされているごとく、本
発明方法により製造される面ファスナー１は表面に多数
のフック片２ａが竝立したパイル編織物２の裏面に、編
織組織を固定するために通常使用される合成樹脂製裏打
材のコーティングにより第１裏打層３が形成され、同裏
打層３の表面には前記第１裏打層との境界面が殆ど存在
しない状態で発泡体からなる第２裏打層４が一体に形成
されており、更にその表面には粘着剤層５が通常の塗工
手段によるコーティングにより一体化されている。同粘
着剤層５の表面には定法に従って剥離紙６が貼着されて
いる。

【００１６】前記第１裏打層３の材質は特に限定される
ものではなく、通常用いられるポリウレタン、ポリアミ
ド、ポリエステル、ポリアクリル等の合成樹脂溶液又は
エマルジョンが使用される。

【００１７】本発明における前記第２裏打層４の形成
は、前記第１裏打層３と前記粘着剤層５の境界面におけ
る剥離強力を確保する上で本発明にとって最も重要な構
成をなす部分であり、まず第１に同第２裏打層４の主な
材質としては前記第１裏打層に使用された合成樹脂材料
と同一又は極めて親和性の高い材質の合成樹脂が使用さ
れることが肝要である。本発明において、通常は第１裏
打層３に使用される材質と同一の材質が使用される。そ
して、第２に重要な点は第２裏打層４の前記合成樹脂材
料は少なくとも硬化後において発泡体を構成しなければ
ならないことである。その発泡機構には、加熱又は副成
分により化学反応を起こしてガスを発生するもの、縮重
合過程でガスを生成し発泡するもの、或いは攪拌などの
機械的手段により泡立たせて発泡体とするもの、或いは
高圧下において不活性ガスを材料に吸収させて常圧で発
泡させるもの等がある。また第３に重要な点として、第
２裏打層４の形成タイミングがある。即ち、本発明にお
ける前記第２裏打層４を構成する合成樹脂材料は、前記
第１裏打層３がパイル編織物２の裏面にコーティングさ
れて未だ硬化していない状態で塗布されなければならな
い。

【００１８】前記第２裏打層４は、第１裏打層３の裏面
に塗布されると同時に発泡し又はその以前に既に気泡構
造を有していてもよく、或いは第１及び第２裏打層３，
４の乾燥硬化時に発泡させるようにしてもよい。第１及
び第２裏打層３，４の塗工手段は、例えばナイフコーテ
ィング、ロールコーティング等の通常の手段が採用でき
る。

【００１９】面ファスナーの雄片を製造するときは、第
１及び第２裏打層が乾燥工程を通されて硬化された後
に、パイル編織物２の表面に竝立する多数のパイルの側
部が切断されフック片２ａが形成される。硬化して気泡
構造を有する第２裏打層４の表面に粘着剤が塗布され、
更に乾燥後の粘着剤層５の表面に剥離紙６が貼着され
る。前記粘着剤としては、アクリル系、ゴム系の粘着剤
が使用される。

【００２０】図１は上述のごとく構成された面ファスナ
ーの代表的な製造工程例を示している。本実施例では、
パイル織物の織成にあたり３６０ｄのポリエステルから
なるモノフィラメント糸と、３００ｄ／１５ｆのマルチ
フィラメントからなる経糸及び緯糸を用い、ニードル織
機により面ファスナー用テープを織成した。

【００２１】織成されたテープの裏面に、ポリエステル
溶液を連続的にコーティングして第１裏打層を形成した
直後に、そのコーティング面に更に発泡剤を２〜１５重
量％混入したポリエステル溶液をコーティングして第２
裏打層を形成した。このとき、第２裏打層の境界面と第
１裏打層の境界面とが互いに融合状態で一体となり、境
界層が殆ど表出しない。

【００２２】こうして第１及び第２裏打層が形成された
のち、裏打層を有するパイル織物は続いて乾燥部に送ら
れ、１２０℃〜１８０℃の高温下で乾燥されると共に第
１及び第２裏打層が硬化する。この乾燥時にも、上述の
ごとく融合状態にある第１及び第２裏打層の境界部には
高硬度の境界層が形成されず、樹脂本来の柔軟性を維持
しており、更には乾燥時に前記発泡剤が同時に発泡する
ため、前記境界部において第１裏打層に対して部分的な
発泡圧が作用して、双方の接着面積が増加し強固な接着
が得られる。

【００２３】硬化した裏打層を有する上記面ファスナー
用テープは、引き続いてフック形成部に送られ、モノフ
ィラメントから構成されたパイル部分の側部を常法に従
ってバリカンにより切断してフック片が形成される。次
いで、前記面ファスナー用テープの第２裏打層の表面に
アクリル系の粘着剤が塗布されたあと、乾燥工程を通さ
れて乾燥される。この乾燥後、粘着剤層の表面には剥離
紙が連続的に貼着される。

【００２４】第２裏打層の表面にアクリル系の粘着剤が
塗布されるとき、同裏打層表面には発泡により生じた多
数の多様な形状を有する凹凸面が存在するため、粘着剤
の一部がその凹部内に侵入し接着面積を増加して一体化
する。しかも、この凹部内に侵入した粘着剤部分がアン
カー効果を奏するようになり、平面同士の接着とは異な
る強力な接着力が発揮される。

【００２５】本発明において、上記粘着剤に発泡剤を含
有させる場合がある。この場合には、粘着剤層を気泡構
造とすることにより、面ファスナーが被着体に被着され
るとき、気泡部分が吸着盤の機能を発揮して被着効果が
向上し、同時に被着体表面が僅かに凹凸部を有するとき
には、その凸部が前記気泡部分に吸収され、被着力が保
持される。

【００２６】

【発明の効果】以上の説明から明らかなごとく、本発明
の裏面に粘着剤層を有する面ファスナーの製造方法によ
れば、同質材からなる第２裏打層が第１裏打層の硬化前
に同第１裏打層の表面にコーティングされるため、その
境界部分が互いに融合状態で完全一体化され、面ファス
ナー本来の柔軟性及び可撓性を保持すると共に、両層間
には剥離等の懸念がそもそもなくなる。特に本発明にお
いて、前記第２裏打層として第１及び第２裏打層の硬化
前に第２裏打層を発泡させる場合には、その発泡圧の作
用により前記融合状態が促進され、接着力が増す。

【００２７】また、本発明の裏面に粘着剤層を有する面
ファスナーの製造方法にとって有効な点は、上述のごと
く形成される第２裏打層を気泡構造とすることであり、
このため第２裏打層の表面に塗布一体化される粘着剤層
の一部が第２裏打層の表面に形成される気泡内に侵入
し、同侵入部分が粘着剤層のアンカー効果を奏するよう
になり、両者間の接着力が一段と増加して剥離強力が著
しく向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の裏面に粘着剤層を有する面ファスナー
の製造工程例を示す説明図である。

【図２】本発明方法により製造された面ファスナー例の
断面図である。

【符号の説明】

１面ファスナー２パイル織物２ａフック片３第１裏打層４第２裏打層５粘着剤層６剥離紙

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】編織物(2) と一体に製編織されるパイル
により多数のフック片又はループ片が表面に竝立形成さ
れ、同編織物の裏面に粘着剤層(5) を有する面ファスナ
ーの製造方法において、パイル編織物(2) を編織成すること、編織成された前記パイル編織物(2) の裏面に合成樹脂材
料をコーティングして第１裏打層(3) を形成すること、第１裏打層(3) を構成する前記合成樹脂材料の硬化前
に、同合成樹脂材料と同質又は親和性を有する材料を主
材料とする気泡性合成樹脂材料を前記第１裏打層(3) の
表面にコーティングして第２裏打層(4) を連続的に形成
すること、第２裏打層(4) を形成したのち、前記パイルを熱セット
すると共に、前記第１及び第２裏打層(3,4) を連続的に
硬化乾燥させること、前記第１及び第２裏打層(3,4) の乾燥後に、気泡構造を
有する同第２裏打層の表面に粘着剤をコーティングして
乾燥させること、乾燥した前記粘着剤の表面に剥離紙(6) を連続的に貼着
すること、の各工程を備えてなることを特徴とする面フ
ァスナーの製造方法。
【請求項２】前記第２裏打層(4) を、第１及び第２裏
打層(3,4) の乾燥と同時に発泡させてなる請求項１記載
の面ファスナーの製造方法。
【請求項３】前記第２裏打層(4) の気泡が、前記第１
及び第２裏打層(3,4)の乾燥前に形成されてなる請求項
１記載の面ファスナーの製造方法。
【請求項４】前記第１及び第２裏打層(3,4) の乾燥工
程と前記粘着剤のコーティング工程との間に、前記パイ
ルの側部を部分的に切断してフック片(2a)を形成する請
求項１記載の面ファスナーの製造方法。
【請求項５】前記粘着剤が発泡剤を含有してなる請求
項１記載の面ファスナーの製造方法。