JPH06234775A - 有機ケイ素化合物及びその製造方法 - Google Patents

有機ケイ素化合物及びその製造方法

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JPH06234775A
JPH06234775A JP5013433A JP1343393A JPH06234775A JP H06234775 A JPH06234775 A JP H06234775A JP 5013433 A JP5013433 A JP 5013433A JP 1343393 A JP1343393 A JP 1343393A JP H06234775 A JPH06234775 A JP H06234775A
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規央 美濃
Kazuhiro Nishiyama
和廣 西山
Kazufumi Ogawa
小川  一文
Toru Kubota
透 久保田
Toshinobu Ishihara
俊信 石原
Yasuhisa Tanaka
靖久 田中
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Abstract

(57)【要約】 【目的】液晶配向膜を形成するための液晶配向用化学吸
着化合物として有用な新規物質である有機ケイ素化合物
を用いることにより従来の厚膜の配向膜で生ずる膜厚ム
ラによる配向ムラ、膜形成後のラビング処理などの問題
点を解決する。 【構成】一般式(化1)(式中、Rは炭素数1から10
のアルキル基、X1 ,X2 ,X3 は同一または異種のハ
ロゲン原子または炭素数1から4のアルコキシ基、nは
3から10の整数)で示される有機ケイ素化合物。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、TV画像やコンピュー
ターの画像等を表示する液晶を用いた平面表示パネル等
に用いる液晶配向膜等を形成する材料として有用な新規
物質である有機ケイ素化合物及びその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、カラー液晶表示パネル等の液晶表
示装置は、マトリックス状に配置された対向電極を形成
した2つの電極の間に、ポリビニルアルコールやポリイ
ミドを塗布して形成した液晶配向膜を介して液晶を封入
した装置が一般的であった。
【0003】またラビングを必要としない液晶配向膜の
製造方法としてはLangmuir−Blodgett
法による膜(LB膜)を用いる方法がある。この方法は
水面上に形成された界面吸着剤の単分子膜を電極上に移
し取り、単分子層を電極上に固定、またはこれを繰り返
すことによって単分子膜を累積したものを電極上に固定
するというものであり、その後熱処理をして配向膜とし
て用いる。また化学吸着膜についてもいくつかの提案が
なされている(EPC0476543A、特公昭58−
57082号公報、特開平3−7913号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
液晶配向膜の作成はポリビニルアルコールやポリイミド
を有機溶媒に溶解させ回転塗布法等を用いて塗布形成し
た後、フェルト布等を用いてラビングを行なう方法が用
いられていたため、大面積パネルでは液晶配向膜の均一
コーティングが難しく、また、回転塗布では塗布厚が数
μm程度にもなり、強誘電性液晶のような100オング
ストローム程度の厚みの液晶配向膜を必要とする表示パ
ネルでは、性能が大幅に低減されるという大きな欠点が
あった。
【0005】液晶配向膜を高能率で均一かつ薄く作成す
るための方法としては、長鎖の有機化合物を使用しLa
ngmuir−Blodgett法(LB法)によって
単分子膜の液晶配向膜を形成する方法が考えられが、L
B法によって形成された単分子膜は本質的に基体に物理
吸着しているだけであるため、基体表面から簡単に蒸
発、飛散等により離脱してしまうという問題点を有して
いた。さらに化学吸着膜についても改良が望まれてい
た。
【0006】本発明は上記のような問題点を解決するた
め、基体表面に単分子膜の液晶配向膜を形成するにあた
り、単分子膜を基体表面に容易にしかも均一で強固に吸
着させることのできる新規な長鎖の有機ケイ化合物及び
その製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めになされた本発明の新規物質は、前記一般式(化1)
(式中、Rは炭素数1以上10以下のアルキル基、
1 ,X2 ,X3 は同一または異種のハロゲン原子また
は炭素数1以上4以下のアルコキシ基、nは3以上10
以下の整数)で示される有機ケイ素化合物である。
【0008】前記構成においては、Rが不斉炭素を有す
る炭素数4以上10以下のアルキル基であることが、液
晶配向膜を形成するには好ましい。次に本発明の製造方
法は、前記一般式(化2)(式中、Rは炭素数1以上1
0以下のアルキル基、nは3以上10以下の整数)で示
される4−(4−(アルキルオキシカルボニル)フェノ
キシカルボニル)フェノキシアルケン化合物と、前記一
般式(化3)(式中、X1 ,X2 ,X3 は同一または異
種のハロゲン原子または炭素数1以上4以下のアルコキ
シ基)で示される水素化ケイ素化合物とを、遷移金属触
媒の存在下に反応させることを特徴とする。
【0009】
【作用】本発明のアルキルオキシカルボニル基含有ケイ
素化合物は、Si−X基が基体表面のヒドロキシ基と反
応したり、加水分解してシロキサン結合等の共有結合を
起こす。これにより、基体表面に化学吸着する。本発明
の化合物から得られる単分子膜は、基体表面で化学的に
強固に結合しているので蒸発、飛散等による脱離がなく
強固に均一膜を形成している。
【0010】上記の単分子膜は、液晶表示パネル、特に
大面積表示パネルあるいは強誘電性液晶パネルの液晶配
向膜として応用される。
【0011】
【実施例】以下実施例を用いて本発明をさらに具体的に
説明する。本発明の新規化合物は、たとえば4−(4−
(アルキルオキシカルボニル)フェノキシカルボニル)
フェノキシアルキル)トリハロゲノシラン、4−(4−
(アルキルオキシカルボニル)フェノキシカルボニル)
フェノキシアルキル)アルコキシジハロゲノシラン、4
−(4−(アルキルオキシカルボニル)フェノキシカル
ボニル)フェノキシアルキル)ジアルコキシハロゲノシ
ラン、4−(4−(アルキルオキシカルボニル)フェノ
キシカルボニル)フェノキシアルキル)トリアルコキシ
シラン等である。酸素に結合しているアルキル基は炭素
数1から10の直鎖または枝分かれしたアルキル基で、
用途によっては不斉炭素を有することが好ましい。ケイ
素に直接結合しているアルキル基は直鎖であり、炭素数
は3から10である。アルコキシの炭素数は1から4で
ある。ハロゲンは塩素でもよく臭素でもよい。
【0012】さらに具体的には例えば次のような化合物
を挙げることができる。下記式(化4)に示す、(3−
(4−(4−(ヘキシルオキシカルボニル)フェノキシ
カルボニル)フェノキシ)プロピル)トリクロロシラン
【0013】
【化4】
【0014】下記式(化5)に示す、(8−(4−(4
−(エトキシカルボニル)フェノキシカルボニル)フェ
ノキシ)オクチル)クロロジエトキシシラン
【0015】
【化5】
【0016】下記式(化6)に示す、(5−(4−(4
−((S)−2−メチルブトキシカルボニル)フェノキ
シカルボニル)フェノキシ)ペンチル)トリクロロシラ
【0017】
【化6】
【0018】下記式(化7)に示す、(5−(4−(4
−((R)−2−メチルブトキシカルボニル)フェノキ
シカルボニル)フェノキシ)ペンチル)トリメトキシシ
ラン
【0019】
【化7】
【0020】下記式(化8)に示す、(4−(4−(4
−((S)−2−メチルペンチルオキシカルボニル)フ
ェノキシカルボニル)フェノキシ)ブチル)トリクロロ
シラン
【0021】
【化8】
【0022】上記のような化合物は特定の水素化ケイ素
化合物とアルキルオキシカルボニルアルケン化合物とを
反応させることにより得られる。水素化ケイ素化合物と
反応させる(4−(4−(アルキルオキシカルボニル)
フェノキシカルボニル)フェノキシアルケン化合物は、
炭素数3から10の直鎖状1−アルケンの末端に(4−
(4−(アルキルオキシカルボニル)フェノキシカルボ
ニル)フェノキシ基を結合している化合物で、例えば下
記式(化9)に示す、3−(4−(4−(ヘキシルオキ
シカルボニル)フェノキシカルボニル)フェノキシ)−
1−プロペン
【0023】
【化9】
【0024】下記式(化10)に示す、8−(4−(4
−(エトキシカルボニル)フェノキシカルボニル)フェ
ノキシ)−1−オクテン
【0025】
【化10】
【0026】下記式(化11)に示す、5−(4−(4
−((S)−2−メチルブトキシカルボニル)フェノキ
シカルボニル)フェノキシ)−1−ペンテン
【0027】
【化11】
【0028】下記式(化12)に示す、5−(4−(4
−((R)−2−メチルブトキシカルボニル)フェノキ
シカルボニル)フェノキシ)−1−ペンテン
【0029】
【化12】
【0030】下記式(化13)に示す、4−(4−(4
−((S)−2−メチルペンチルオキシカルボニル)フ
ェノキシカルボニル)フェノキシ)−1−ブテンなどが
挙げられる。
【0031】
【化13】
【0032】これらの化合物は常法により対応する4−
(アルキルオキシカルボニル)フェノール化合物と4−
アルケニルオキシ安息香酸より容易に合成できる。(4
−(4−(アルキルオキシカルボニル)フェノキシカル
ボニル)フェノキシアルケン化合物と反応させる水素化
ケイ素化合物は、モノシランの4個の水素原子のうちの
3個をハロゲンまたはアルキロキシ基で置換したモノシ
ラン誘導体化合物である。ハロゲンは、塩素、臭素など
である。アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基
等が例示される。
【0033】そのようなモノシラン誘導体化合物として
は、例えば、トリクロロシラン[HSiCl3 ]、トリ
ブロモシラン[HSiBr3 ]、トリメトキシシラン
[HSi(OCH3 3 、トリエトキシシラン[HSi
(OCH2 CH3 3 ]、ジエトキシクロロシラン[H
SiCl(OCH2 CH3 2 ]等が挙げられる。
【0034】水素化ケイ素化合物と(4−(4−(アル
キルオキシカルボニル)フェノキシカルボニル)フェノ
キシアルケン化合物との反応には遷移金属触媒が用いら
れる。具体的には、ヘキサクロロ白金(IV)酸水素[H
2 PtCl6 ]、ジクロロビス(トリフェニルホスフィ
ン)白金(II)[PtCl2 (PPh3 2 ]、ジクロ
ロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)
[PdCl2 (PPh32 ]、またはクロロトリス
(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I )[RhCl
(PPh3 3 ]等が用いられる(但し、Phはフェニ
ル基である。)。これらの遷移金属触媒は単独で用いら
れてもよく、任意の組み合わせで用いられてもよい。
【0035】反応系中に添加する触媒の量は、アルキル
オキシカルボニルアルケン化合物に対し、10から50
0ppmが適当である。上記の反応には、反応釜に撹拌
機、温度計、還流冷却器、滴下ロートを備えた反応器を
使用するとよい。反応温度は20から150℃とし、上
記の水素化ケイ素化合物を反応釜中のアルキルオキシカ
ルボニルアルケン化合物に滴下しながら行うとよい。必
要に応じ、反応溶媒としてトルエン、キシレン、テトラ
ヒドロフラン(THF)などの非プロトン系溶媒を用い
てもよい。
【0036】反応停止後、減圧下に蒸留することにより
高純度のアルキルオキシカルボニルアルケン化合物が得
られる。得られた化合物についての確認は、質量スペク
トル、核磁気共鳴スペクトル、赤外吸収スペクトルなど
を用いて測定すればよい。
【0037】上記のようにして得られたアルキルオキシ
カルボニル基含有ケイ素化合物からは、以下の方法で基
体表面に単分子膜を形成できる。上記の化合物をヘキサ
ン、クロロホルム、四塩化炭素などの非水系有機溶媒に
溶解する。得られた溶媒中に単分子膜を形成しようとす
る基体を浸漬して引き上げる。基体表面にはその溶液を
スプレーやローラー等で塗布してもよい。塗布終了後、
基体を水洗処理し、常温で放置するかあるいは加熱下で
乾燥すると(4−(4−(アルキルオキシカルボニル)
フェノキシカルボニル)フェノキシ基含有ケイ素化合物
の単分子膜が定着する。単分子膜の膜厚は(4−(4−
(アルキルオキシカルボニル)フェノキシカルボニル)
フェノキシアルケン化合物のアルキル基の炭素数で調節
出来る。
【0038】参考例1 5−(4−(4−((S)−2−メチルブトキシカルボ
ニル)フェノキシカルボニル)フェノキシ)−1−ペン
テンの合成 撹拌機、還流冷却器、温度計および滴下ロートを備えた
200mlガラスフラスコの反応器に4−(4−ペンテ
ニルオキシ)安息香酸8.0g(0.04mol)及び
クロロホルム20mlを仕込んだ。ここへ、塩化チオニ
ル4.8g(0.04mol)を滴下ロートより滴下し
反応させた。さらにここへ、4−((S)−2−メチル
ブトキシカルボニル)フェノールタール8.0g(0.
04mol)とピリジン3.2g(0.04mol)お
よびクロロホルム60mlの混合液を滴下ロートより加
え3時間還流し反応させた。この反応液へ水20mlを
添加した後、有機層を分離し溶媒除去後、残査をエタノ
ールより再結晶することにより、5−(4−(4−
((S)−2−メチルブトキシカルボニル)フェノキシ
カルボニル)フェノキシ)−1−ペンテン13.8gを
得た。 (A)質量スペクトル(MS):m/z(帰属) 396 (分子イオンピーク) (B)核磁気共鳴スペクトル(NMR):δ(ppm) スペクトルチャートは図1に示す通りである。 (C)赤外吸収スペクトル(IR):cm-1 スペクトルチャートは図2に示す通りである。
【0039】これらの結果より、得られた化合物が、5
−(4−(4−((S)−2−メチルブトキシカルボニ
ル)フェノキシカルボニル)フェノキシ)−1−ペンテ
ンであることが確認された。
【0040】実施例1 (5−(4−(4−((S)−2−メチルブトキシカル
ボニル)フェノキシカルボニル)フェノキシ)ペンチ
ル)トリクロロシランの合成 撹拌機、還流冷却器、温度計および滴下ロートを備えた
200mlガラスフラスコの反応器に5−(4−(4−
((S)−2−メチルブトキシカルボニル)フェノキシ
カルボニル)フェノキシ)−1−ペンテン10.0g
(0.025mol)及びH2 PtCl6 ・6H2 Oの
4容量%イソプロピルアルコール溶液0.07gおよび
トルエン100mlを仕込み、そこに滴下ロートよりト
リクロロシラン4.1g(0.03mol)を60から
70℃にて1時間かけて滴下し、70℃にて2時間熟成
した。この反応液を活性炭で処理したのち、減圧下で低
沸点成分を留去することにより、(5−(4−(4−
((S)−2−メチルブトキシカルボニル)フェノキシ
カルボニル)フェノキシ)ペンチル)トリクロロシラン
12.7gを得た。
【0041】得られた化合物の、核磁気共鳴スペクトル
(NMR)、及び赤外吸収スペクトル(IR)の測定結
果を以下に示す。 (A)核磁気共鳴スペクトル(NMR):δ(ppm) スペクトルチャートは図3に示す通りである。 (B)赤外吸収スペクトル(IR):cm-1 スペクトルチャートは図4に示す通りである。
【0042】これらの結果より、得られた化合物が、
(5−(4−(4−((S)−2−メチルブトキシカル
ボニル)フェノキシカルボニル)フェノキシ)ペンチ
ル)トリクロロシランであることが確認できた。
【0043】実施例2 液晶セルを作製する実施例について図5を用いて説明す
る。まず、(5−(4−(4−((S)−2−メチルブ
トキシカルボニル)フェノキシカルボニル)フェノキ
シ)ペンチル)トリクロロシランの化学吸着単分子膜の
作成を行った。
【0044】乾燥雰囲気下において(5−(4−(4−
((S)−2−メチルブトキシカルボニル)フェノキシ
カルボニル)フェノキシ)ペンチル)トリクロロシラン
(化学吸着化合物)を1.0容量%の濃度で非水系混合
溶媒に溶かし、化学吸着剤を調整した。前記非水系混合
溶媒は、80容量%n−ヘキサデカン、12容量%四塩
化炭素、8容量%クロロホルム溶液からなる。この化学
吸着剤の中にガラス基板1および2を乾燥雰囲気下で浸
漬した。浸漬時間は1時間である。なお、前記ガラス基
板上の片側にはインジウム−錫合金酸化物の膜(ITO
蒸着膜)3,4が電極として形成されているため、表面
は自然酸化膜が存在し、水酸基(−OH)が存在する。
従って前記化学吸着化合物のクロロシリル基と、ITO
膜の表面の水酸基(−OH)とが下記式(化14)に示
すように脱塩化水素反応する。なお下記式(化14〜1
6)において、Qは(5−(4−(4−((S)−2−
メチルブトキシカルボニル)フェノキシカルボニル)フ
ェノキシ)ペンチル)基を示す。
【0045】
【化14】
【0046】その後非水系溶液であるクロロホルムで3
0分間乾燥雰囲気下で洗浄し、未反応物を除去した。次
いで、乾燥雰囲気を解除して水洗を行なった。これによ
り下記式(化15)に示すようにクロロ基が水酸基に置
換する。
【0047】
【化15】
【0048】次に乾燥すると、下記式(化16)に示す
ように水酸基が脱水により架橋し、安定な結合となる。
【0049】
【化16】
【0050】このようにして(5−(4−(4−
((S)−2−メチルブトキシカルボニル)フェノキシ
カルボニル)フェノキシ)ペンチル)トリクロロシラン
を用いた化学吸着膜5,6が、ITO膜の表面に共有結
合により形成できた。
【0051】つぎに、上記2枚の(5−(4−(4−
((S)−2−メチルブトキシカルボニル)フェノキシ
カルボニル)フェノキシ)ペンチル)トリクロロシラン
を原料に用いて化学吸着膜が形成された基板を用いて液
晶セルを作成した。
【0052】化学吸着膜5,6が形成されたガラス基板
1および2を電極としてのITO蒸着膜3,4部分が互
いに向かい合うようにして前述のガラス基板の間にスペ
ーサー7,8を入れて挟み、そのガラス基板間に液晶9
を注入し、液晶セルを作製した。このようにして作製し
た液晶セルは電圧無印加時には一様なドメイン構造を形
成していると思われ、ホメオトロピック配向を示し、ま
た電圧印加時には均一な配向性を得ることができた。
【0053】実施例3 本発明の液晶配向膜を用いて、液晶表示装置を作製する
実施例を図6を参照にして以下に説明する。
【0054】あらかじめマトリックス状に載置された第
一の電極群10と、この電極を駆動するトランジスター
群11を有する第一の基板12上と、第一の電極群と対
向するようにカラーフィルター群13と、第二の電極1
4を有する第二の基板15とを用意する。
【0055】これらの基板12と基板15をそれぞれ本
実施例の(5−(4−(4−((S)−2−メチルブト
キシカルボニル)フェノキシカルボニル)フェノキシ)
ペンチル)トリクロロシランのシラン系化学吸着化合物
を1.0容量%の濃度で溶かした80容量%n−ヘキサ
デカン、12容量%四塩化炭素、8容量%クロロホルム
溶液に乾燥雰囲気下で浸漬し、前記化学吸着化合物を吸
着させ、それぞれの基板表面の自然酸化膜とを前記実施
例2に示したと同様に化学結合させて、液晶配向膜16
を作製した。
【0056】次に前記化学吸着化合物を化学結合させた
第一の基板12と第二の基板15とをそれぞれ電極が対
向するように位置合わせして、互いの基板にスペーサー
17で間隙を設け、接着剤18で固定した。このように
して形成された間隙に液晶19を注入した。その後、偏
光板20、21を組み合わせて完成した。このようなデ
バイスでは、バックライト22を全面に照射しながら、
ビデオ信号を用いて各々のトランジスターを駆動すれば
矢印Aの方向に映像を表示できる。
【0057】
【発明の効果】以上のように本発明は、液晶配向膜とし
て用いるシラン系化学吸着化合物に関するもので、配向
膜に自発分極を有する化学吸着化合物を用いていること
より、ラビング処理を必要としないため、従来のラビン
グ処理における問題点を解決するだけでなく、液晶の応
答速度を速くし、強誘電性液晶素子における双安定性を
得ることができるという優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一つの参考例である5−(4−(4−
((S)−2−メチルブトキシカルボニル)フェノキシ
カルボニル)フェノキシ)−1−ペンテンの核磁気共鳴
スペクトル(NMR)
【図2】本発明の一つの参考例である5−(4−(4−
((S)−2−メチルブトキシカルボニル)フェノキシ
カルボニル)フェノキシ)−1−ペンテンの赤外吸収ス
ペクトル(IR)
【図3】本発明の一実施例である5−(4−(4−
((S)−2−メチルブトキシカルボニル)フェノキシ
カルボニル)フェノキシ)ペンチル)トリクロロシラン
の核磁気共鳴スペクトル(NMR)
【図4】本発明の一実施例である5−(4−(4−
((S)−2−メチルブトキシカルボニル)フェノキシ
カルボニル)フェノキシ)ペンチル)トリクロロシラン
の赤外吸収スペクトル(IR)
【図5】本発明の一実施例の液晶セルの概念断面図
【図6】本発明の一実施例の液晶表示装置の概念断面図
【符号の説明】
1,2 ガラス基板 3,4 ITO電極 5,6 5−(4−(4−((S)−2−メチルブトキ
シカルボニル)フェノキシカルボニル)フェノキシ)ペ
ンチル)トリクロロシランの化学吸着膜 7,8 スペーサー 9 液晶 10 第一の電極群 11 トランジスター群 12 第一の基板 13 カラーフィルター群 14 第二の電極 15 第二の基板 16 液晶配向膜 17 スペーサー 18 接着剤 19 液晶 20 偏光板 21 偏光板 22 バックライト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小川 一文 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 久保田 透 新潟県中頚城郡頚城村大字西福島28番地の 1 信越化学工業株式会社合成技術研究所 内 (72)発明者 石原 俊信 新潟県中頚城郡頚城村大字西福島28番地の 1 信越化学工業株式会社合成技術研究所 (72)発明者 田中 靖久 東京都千代田区大手町2丁目6番1号 信 越化学工業株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(化1)(式中、Rは炭素数1以
    上10以下のアルキル基、X1 ,X2 ,X3 は同一また
    は異種のハロゲン原子または炭素数1以上4以下のアル
    コキシ基、nは3以上10以下の整数)で示される有機
    ケイ素化合物。 【化1】
  2. 【請求項2】 Rが不斉炭素を有する炭素数4以上10
    以下のアルキル基である請求項1記載の有機ケイ素化合
    物。
  3. 【請求項3】一般式(化2)(式中、Rは炭素数1以上
    10以下のアルキル基、nは3以上10以下の整数)で
    示される4−(4−(アルキルオキシカルボニル)フェ
    ノキシカルボニル)フェノキシアルケン化合物と、一般
    式(化3)(式中、X1 ,X2 ,X3 は同一または異種
    のハロゲン原子または炭素数1以上4以下のアルコキシ
    基)で示される水素化ケイ素化合物とを、遷移金属触媒
    の存在下に反応させることを特徴とする有機ケイ素化合
    物の製造方法。 【化2】 【化3】
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