JP3440035B2 - 薄膜形成用化学吸着物質及びその製造方法 - Google Patents

薄膜形成用化学吸着物質及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基体に化学吸着し
て薄膜を形成することのできる新規な化学吸着物質に関
する。この化学吸着物質は、基材の表面改質膜や液晶配
向膜用の被膜材料として使用できる。
【0002】
【従来の技術】近年、情報機器の小型・軽量化を実現す
る手段の一つとして液晶表示素子が急速に普及している
が、その重要部材である液晶配向膜を作製することがで
きる被膜材料は限られている。このため、液晶表示素子
の高性能化に伴って、従来にない特性を有する新規な液
晶配向膜材料が求められている。
【0003】ところで、従来より使用されている液晶配
向膜用材料としては、ポリイミドやポリビニルアルコー
ル等のポリマーがあるが、ポリマーからなる被膜は、膜
厚が厚く、透明性が十分でない。また電気絶縁性を有す
るため、液晶駆動電界を阻害する要因となる。更に基板
への固定がいわゆるアンカーリング効果によるものであ
るので、基板に対する密着性・結合性が弱いという課題
を有している。
【0004】また、ポリマーからなる被膜は、ポリマー
分子が複雑で密に絡み合った構造であるので、ポリマー
の先端部分が突出した表層部分のみが液晶の配向に関与
するに過ぎない。つまり、被膜の大半の部分は直接液晶
の配向に関与しないので、十分な配向規制力が得られに
くいとともに、ラビングによって形成されるポリマー先
端の配向秩序は、その後加わる熱や擦り等の刺激によっ
て容易に変動する。よって、配向力や配向安定性に課題
を有している。
【0005】そこで、例えばN.Nishikawa (IDW’9
8予稿集327ページ等)らは、配向力や配向安定性を
向上させる手段として、ポリマー膜に偏光UV光を照射
してポリマーの主鎖等を切断する方法を提案している。
また、E.J.Kim (IDW’97予稿集105ページ)ら
は、光官能基を有するポリマー分子を基板に塗布した
後、塗布面に偏光UV光を照射して分子を所定方向に光
重合することにより、化学構造的に配向安定性を高める
方法を提案している。しかし、これらの技術によって
も、液晶駆動電界を阻害する、配向力が十分でない、基
板に対する密着性・結着性が十分でない等の問題を十分
に解消できない。
【0006】これに対し本発明者らは、先に化学吸着物
質を用いてなる液晶配向膜を提案した(特開平3−79
13号公報)。この液晶配向膜は、シラン系界面活性剤
を基板上に化学吸着させて被膜となしたものであり、こ
の被膜はナノメータレベルの極薄の単分子層状の薄膜で
あり、光透過や液晶駆動電界を阻害しないとともに、ラ
ビングを施さなくとも液晶分子に対する配向規制力を付
与することができる。またこの被膜は、基板面に化学結
合により強力に結合固定されているので、基板との密着
性・結合性にも優れるとう特徴を有しており、この配向
膜であると上記課題の幾つかが解決できる。しかしなが
ら、この液晶配向膜も未だ十分なものではなく、配向の
熱的安定性や配向規制力に関し改善の余地を残してい
た。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述に鑑み
なされたものであり、主として液晶配向膜用途で好適に
使用することができる新規な被膜構成材料を提供しよう
とするものである。より詳しくは、基体表面に化学吸着
して単分子層状の被膜を形成し、可視領域(400nm
〜700nmの波長域)の光に対しては透明かつ安定で
あり、紫外領域(200nm〜400nmの波長域)の
光に対して反応性を有し、紫外光が照射されると分子同
士が架橋結合し得る新規な化学吸着物質、およびこのよ
うな化学吸着物質の製造方法を提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明の化学吸着物質は、カルコン骨格が高い光反応
性を有することに着目して完成されたものである。本発
明の化学吸着物質は、下記式(化5)で表される。な
お、カルコン骨格基とは、化6で表されるものをいう。
【0009】
【化5】
【0010】
【化6】
【0011】上記化5に示す化合構造の化合物は、−O
SiX3 が化学吸着基として機能して、基体表面の親水
性基(例えばOH基、COOH基、NH2 基、NH基、
SH基など)に容易に化学結合(このような結合を化学
吸着という)する。よって、基材表面に強固に結合して
なる単分子層状の極薄の被膜を簡便に形成させることが
できる。また、上記化5に示す化合構造を有する化合物
は、可視光領域で透明であり、かつ可視光に対し安定で
あるという性質を有する。
【0012】更に、上記化5に示す化合物は、分子構造
中に炭素・炭素二重結合を有しており、かつカルコン骨
格を構成するベンゼン環の4位に直鎖状の炭化水素基が
エーテル結合している。このような化学構造であると、
エーテル結合した直鎖状炭化水素基の影響により、カル
コン骨格の非局在化し安定化した共役電子の密度が増加
し、さらに安定化されて、前記電子に由来する紫外光吸
収波長が長波長側にシフトするので、より長波長側に吸
収ピークを有する化合物となる。よって、この化合物
は、可視光に近い長波長側の紫外光を照射することによ
り、カルコン骨格基の炭素・炭素二重結合部分の電子が
励起され活性化される結果、当該部分を介して吸着分子
同士を架橋結合させることができるが、長波長の紫外光
であると、副反応(分解反応)が生じ難いので良質の被
膜が得られる。この被膜は、分子が基材に強力に化学結
合し、更に吸着分子相互が架橋結合してなるものである
ので、耐磨耗性、耐久性に優れ、かつ化学的安定性、透
明性、撥水性等に優れる。
【0013】また、上記化5に示す化合物は、n=1〜
20の適度な長さの炭化水素基を有する。この範囲の炭
化水素基を有する化学吸着物質は、分子長が適度である
ので、架橋反応を円滑に行え、また架橋後の被膜は液晶
分子に対する配向性に優れる。
【0014】以上から、上記化5に示す化合物は、基材
表面の性質を改良するための機能性膜の材料として有用
であるとともに、特に液晶配向膜用の材料として有用で
ある。以下ではこの化合物を用いてなる被膜が液晶配向
膜として好適である理由について説明する。
【0015】化5の化学吸着物質は基体表面に容易に化
学結合する。よって、化5の化学吸着物質を含む溶液
(化学吸着溶液)を液晶セル用部材である基板の表面に
接触させると、分子の一端(−O−Si結合基側)が基
板に化学結合し、他端が基板面から離れる方向に突出し
た状態で多数の分子が基板表面に沿って配列した吸着分
子の集合群からなる薄膜を形成できるが、このような薄
膜であると、液晶分子が吸着分子相互の隙間(谷間)に
入り込むことができる。そして、隙間に入り込んだ液晶
分子は、吸着分子の基板に対する傾き及び/又は配向方
位(以下、これらを配向方向と総称することがある)に
制御されるので、吸着分子の配向方向を規制することに
より、液晶分子の配向方向すなわちプレチルト角(基板
に対する傾き)、プレチルト方位(配向方位)を任意に
制御することができることになる。
【0016】更に上記被膜は、単分子層状の被膜であり
膜厚が極めて薄く、かつ被膜を構成する個々の吸着分子
が液晶分子に配向規制力を及ぼすことができるので、配
向効率が極めて高いとともに、光透過性に優れる。ま
た、上記被膜は高分子膜ではないので、絶縁抵抗膜とし
ての作用が小さく、液晶駆動のための電界を阻害しな
い。更に、吸着分子個々が化学結合により基板に強固に
結着してなる薄膜であるので、被膜が基板面から剥離す
ることもない。
【0017】更にまた、上記被膜は偏光紫外光を照射す
ることにより炭素・炭素二重結合部分で吸着分子同志を
一定方向に架橋結合させることができ、これによりラビ
ングを行うことなくして所望の配向特性を有する液晶配
向膜となすことができる。この配向膜は、化学構造的に
安定化されているので熱や擦り等の外的要因により配向
性が変動することがない。以上から、上記化学吸着物質
を用いると、ラビングレスの好適な液晶配向膜を構成で
き、この液晶配向膜を用いることにより、低電圧で液晶
を駆動できるとともに、輝度やコントラスト比に優れた
液晶表示装置を実現することができる。
【0018】なお、架橋結合により液晶配向特性が安定
化するのは、吸着分子相互が連結されて分子相互の立体
的位置関係が安定化するためと考えられる。これに対
し、ラビングにより配向性を付与する従来の配向膜は、
再度のラビングを行うと配向性が変化することからも明
らかなように、熱や擦れ等の外部刺激により配向性が変
化してしまう。また、ポリイミド等の高分子膜からなる
従来の液晶配向膜は、長い主鎖が密に絡み合った状態の
被膜であるので、表層部分のみが液晶の配向に関与する
に過ぎない。よって十分な配向規制力を得られない。ま
た、膜厚が厚いので光透過性が十分でなく、更に電気絶
縁性が大きいのでより高い液晶駆動電圧を必要とする等
の問題がある。
【0019】請求項2の発明は、請求項1に記載の薄膜
形成用化学吸着物質において、前記化5におけるnが5
〜10の整数であり、xが塩素であることを特徴とす
る。
【0020】化5のnが5より小さい、つまり炭化水素
基の長さが5Cより短くなると、架橋反応の効率が低下
する。この理由は、架橋反応が効率よく進行するために
は、吸着分子相互の炭素・炭素二重結合部分の位置関係
が重要であり、吸着分子の光感応部分が相互に接触ない
し近接した状態にある必要があるが、炭化水素基の長さ
が短くなると、カルコン骨格が基体に対して立ち上がる
角度が小さくなり、また立ち上がる分子の数が少なくな
って基材に対し寝た状態の分子が多くなるので、隣合う
分子の光感応部分相互の接触度合いが減少するからであ
る。
【0021】他方、nが10よりも大きいと、基材面と
の関係における分子の先端側の自由度が大きくなり過
ぎ、この場合にも吸着分子同士の光感応部分の接触度合
いが低下するため、架橋反応効率が低下する。以上か
ら、n=5〜10であるのが好ましい。
【0022】また、化5のxは、好ましくは塩素とす
る。この理由としては、塩素であると吸着分子自体の合
成が容易であるとともに、脱塩化水素反応により容易に
基材に化学吸着させることができることが挙げられる。
【0023】請求項3の発明は、4−Hydroxybenzaldeh
yde と Acetophenone とをアルドール縮合反応させて、
カルコン骨格基のベンゼンの4位に水酸基を有する化7
で表される化合物1を合成する化学反応工程1と、前記
化学反応工程1の後、前記化合物1より誘導したカルコ
ン骨格基を有するアルコールと、SiX4 (但し、Xは
ハロゲン)とを、不活性ガス雰囲気中で脱ハロゲン化水
素反応させて、少なくとも化8で表される特性基と−O
−SiX3 基とを有する化合物2を合成する化学反応工
程2と、を少なくとも備えることを特徴とする。
【0024】
【化7】
【0025】
【化8】
【0026】この製造方法によると、カルコン骨格基の
ベンゼンの4位に直鎖状の炭化水素基がエーテル結合
し、さらにこの炭化水素基に−SiX3 基がエーテル結
合した化合物2を確実かつ効率よく製造することができ
る。この製造方法で製造される化合物2は、カルコン骨
格の炭素・炭素二重結合部分(−CH=CH−)の紫外
光に対する感応性が高いとともに、SiX3 部分の化学
吸着能が高い。
【0027】請求項4の発明は、請求項3に記載の薄膜
形成用化学吸着物質の製造方法において、前記化合物2
が化9で表される化合物であることを特徴とする。
【0028】
【化9】
【0029】化9で表される化合物からなる化学吸着物
質であると、カルコン骨格の炭素・炭素二重結合部分の
光感応性が高く、しかもより長波長側に紫外光吸収ピー
クを有するものとなる。また分子の主軸が直線状であ
り、分子長が適度な長さであるので、液晶分子を配向規
制するのに都合がよく、しかも合成し易い。
【0030】請求項5の発明は、請求項4に記載の薄膜
形成用化学吸着物質の製造方法において、前記化9にお
けるnが5〜10の整数であり、xが塩素であることを
特徴とする。
【0031】この構成の意義は、前記請求項2で説明し
たと同様である。
【0032】
【発明の実施の形態】本発明の化学吸着物質は、カルコ
ン骨格が高い光反応性を有することに着目して完成され
たものであり、上記化9に示すように、カルコン骨格基
のベンゼン環の4位に直鎖状の炭化水素基がエーテル結
合し、更にその先に−O−SiX基(但し、Xはハロゲ
ン)が付加された化合物であることを特徴とする。
【0033】上記化9の(CH2 )nで示される炭化水
素基におけるnとしては、好ましくは、3〜16とし、
より好ましくは5〜10とするのがよい。この理由は、
既に説明したように、nが小さ過ぎても大き過ぎても架
橋反応効率が低下するからである。このようなことか
ら、本発明の好適な実施の形態としては、例えば化10
に示す化合物が上げられる。
【0034】
【化10】
【0035】上記した本発明にかかる化学吸着物質は、
4−Hydroxybenzaldehyde と Acetophenone とをアルド
ール縮合反応させて、カルコン骨格のベンゼンの4位に
水酸基を結合させる化学反応工程を有する合成法を用い
て製造することができる。この反応の詳細は下記実施例
で説明するが、4−Hydroxybenzaldehyde と Acetophen
one とをアルドール縮合反応させる工程と、不活性ガス
雰囲気において、カルコン骨格基を含むアルコールと、
SiX4 (Xはハロゲン)とを縮合反応させることによ
り、−O−SiX3 結合を有する化合物を合成する工程
とを少なくとも備えた合成法によると、所望の化合物を
反応効率よく合成できる。ただし、他の合成方法を用い
て合成することができることは勿論であり、例えばカル
コンを出発物質にし、これに特性基を付加する方法で合
成してもよい。
【0036】なお、本発明にかかる化学吸着物質は、上
記化9に示す化学式の(CH2 )n部分を(CH2 )n
に代えて、炭化水素基の一部に炭素炭素二重結合若しく
は炭素炭素三重結合を含む2価の官能基とすることがで
きる。また炭化水素基の水素が他の官能基(例えばメチ
ル基、ハロゲン化メチル基、水酸基、シアノ基等)およ
び/または原子(例えばF Cl、Br、I等)に置換
された2価の官能基とすることができる。更にまた炭化
水素基のC−C結合の一部がC−O−C(エーテル)結
合若しくはC−CO−C−(カルボニル)結合置換され
た2価の官能基としてもよい。
【0037】
【実施例】本発明にかかる新規な化学吸着物質の合成方
法を、反応工程1〜3に分けて順次説明する。以下で合
成した化学吸着物質(シラン系化学吸着物質)は、カル
コン骨格基とカルコン骨格基のベンゼン環の4位にエー
テル結合した直鎖状の炭化水素基(CH2 6 とこの炭
化水素基にエーテル結合したSiCl3 基を有する上記
化10で表される化合物である。
【0038】反応工程1:10L反応コルベンに4−Hydr
oxybenzaldehyde 200g(1.64mol) 、Acetophenone
196.8g(1.64mol) 、エタノール1.8Lを仕込
み、溶液温度を5℃以下として更に10wt%水酸化ナト
リウム水溶液3.3Lを2.5時間かけて滴下した。そ
の後、溶液温度を室温まで戻し、3日間攪拌を行って各
成分を反応させた。
【0039】上記反応液を氷水5L中に注入し、1N塩
酸6.5Lを加えた後、酢酸エチル抽出を行った。次い
で、酢酸エチル抽出液に飽和食塩水を加えて洗浄し、更
に酢酸エチル抽出液に無水硫酸マグネシウムを加えて脱
水し、溶媒を留去して固形物を得た。この固形物をクロ
ロホルムで洗浄し、乾燥させて73.8gの精製品を得
た。この反応の反応式を図1(a)に示した。この反応
における収率は20.1%であった。
【0040】反応工程2:アルゴン気流下、3Lの反応
コルベンに4−Hydroxychalcone 73.8g(0.329 mol
)、dry DMF1Lを仕込み、氷冷下、60wt%濃
度の水素化ナトリウム水溶液13.2g(0.329 mol )を
25分かけて加えた。その後、反応液を加温し室温に戻
して2時間攪拌した。
【0041】更に室温にて、6-Chlorohexanol 45g
(0.329 mol )を30分かけて滴下し、その後80℃に加
熱して4時間反応を続行した。この後、反応液を氷水中
に注入し、酢酸エチル抽出を行い、この抽出液を水洗
し、硫酸マグネシウムで脱水し、更に溶媒を留去して、
粗結晶を得た。
【0042】この粗結晶をヘキサン/酢酸エチル=5/
3(容量比)を用いて再結晶し、70gの精製品を得
た。この反応式を図1(b)に示した。この反応におけ
る収率は65.6%であり、精製品の純度を高速液体ク
ロマトグラフィーで調べたところ98%であった。
【0043】反応工程3:アルゴン気流下、500ml
反応コルベンに4−(6−hydroxyhexyloxy)chalcone
60g( 0.185 mol ) 、四塩化ケイ素240g( 1.4 mo
l ) を仕込み、室温にて2時間攪拌して両成分を反応さ
せた。この後、過剰の四塩化ケイ素を留去して80gの
最終目的生成物を得た。この反応の反応式を図1(c)
に示した。
【0044】上記の各生成物については、赤外線吸収ス
ペクトル、MSスペクトル、 1HNMRスペクトルを測
定して解析したところ、それぞれの反応工程において目
的とする化合物が得られていることを確認された。図2
に最終生成物の 1HNMRスペクトルを示す。図2の各
ピークは最終生成物が前記化10で表される化学構造を
有するものであることを裏付けている。
【0045】他方、上記最終生成物をクロロホルムに溶
解し、紫外・可視吸収スペクトルを測定した結果を図3
に示す。図3より、最終生成物は、紫外光領域である3
44nmに最大吸収ピークを有するが、可視光領域には
吸収ピークを有しない。このことから、上記クロロシラ
ン系化学吸着物質は、可視光に対する感応性が低く、3
44nmの紫外光に対する感応性が高い物質であること
が確認できた。
【0046】尚、 1HNMRスペクトル分析は日立製作
所製のR−1200、IRスペクトル分析は島津製作所
製のFTIR4300、UV/VISスペクトル分析は
島津製作所製のUV−240をそれぞれ用いて行った。
【0047】ここで、上記では、化10で表される具体
的化合物の合成方法を示したが、図1(c)の反応にお
いて、HO−(CH2 6 −OHに代えて、HO−(C
2)n−OH(n=1〜20)を用い、また図1
(d)の反応において、SiCl 4 に代えてSiX
4 (Xはハロゲン)を用いることにより、上記一般式
(化9)で表される化学吸着物質を合成できる。
【0048】ところで、上記化合物は、可視光領域に近
い長波長側に紫外光吸収ピークを有するが、このような
紫外光吸収特性を有する化学吸着物質であると、架橋反
応させるのに都合がよい。なぜなら、この化合物である
と、365nmに吸収ピークを有する通常の紫外ランプ
を使用して架橋反応を起こさせることができ、架橋反応
に特別誂えの装置を必要としないとともに、長波長側の
紫外光の照射であると、架橋反応時に副反応(分解反
応)が生じにくいので、良好な被膜が形成できるからで
ある。
【0049】〔被膜形成試験〕ガラス基板上に実際に被
膜を形成し、本発明にかかる上記化学吸着物質の被膜形
成能および形成された被膜の特性を調べた。被膜形成は
次の方法で行った。上記化学吸着物質をキシレン/シリ
コン(信越化学株式会社製KF96L)の1/9混合溶
媒に0.5重量%濃度に溶解し、この溶液にガラス基板
を約2時間浸漬した。約2時間後に前記溶液中から基板
を取り出し、基板面を傾斜させた状態で、基板表面をク
ロロホルムで十分に洗浄し、前記傾斜を保った状態で適
度な湿度(40%以上)を有する空気中で乾燥した。
【0050】上記薄膜の水に対する接触角を測定したと
ころ、81度であり十分な撥水性を有することが確認さ
れた。また、エリプソメーター(屈折率を1.45とす
る)を用いて膜厚を測定したところ、約2.5nmあ
り、概ね単分子層状の薄膜が形成されていることが確認
された。
【0051】〔偏光照射と液晶配向性〕上記と同様な方
法で作製した薄膜に、偏光板を用いて作成した偏光光
(波長365nm、光強度2.5mW/cm2 )を照射
した。この薄膜について、UV/VISスペクトル分析
を行った。その結果、344nmをピークとする吸収が
ほとんど消失しており、偏光照射により前記化10の炭
素・炭素二重結合部分(−CH=CH−)で分子同士が
架橋結合していることが確認された。
【0052】他方、偏光照射後の薄膜付き基板を、薄膜
面を内側にして約12μmの間隙を設けて他のガラス板
と重ね合わせ、周囲を封止し、しかる後に上記間隙内に
ネマチック液晶(メルク株式会社製ZLI4792)を
注入する方法により液晶セルを作製した。そして、この
液晶セルの両外面に偏光板を配置し可視光を用いて薄膜
の液晶配向性を調べた。その結果、セル内の液晶分子
は、偏光方向に均一に配向していることが確認された。
【0053】また、偏光照射後の薄膜付き基板を約20
0℃で1時間加熱し、この基板を用いて上記と同様にし
てテスト用セルを作製し液晶分子の配向方向を調べたと
ころ、加熱しない薄膜付き基板における場合とほぼ同様
の配向性を示した。この結果により上記化学吸着物質を
用いると、熱的に安定な配向膜が形成できることが確認
できた。
【0054】なお、液晶の配向性は、液晶セルの一方面
に偏光板を重ねて所定の偏光光(可視光)を入光させ、
セルの他方面に透過する光を調べる方法により確認する
ことができる。
【0055】
【発明の効果】以上で説明したように、本発明にかかる
化学吸着物質は、分子末端に基材表面の親水性基に強力
に化学結合することのできる官能基を備えるとともに、
344nm付近の紫外光に対し感応する感光性基を備
え、しかも可視光に安定で透明であるという性質を備え
ている。
【0056】このような本発明化学吸着物質を用いる
と、吸着分子の集合群からなる単分子層状の薄膜を基材
表面に容易に形成することができ、更にこの薄膜に紫外
光を照射することにより、吸着分子相互を一定方向に架
橋結合させてなる機能性薄膜を形成することができる。
この薄膜は、透明性、撥水性はもとより、化学的安定
性、基材に対する結着性、耐久性に優れる。また、ラビ
ングを施さなくとも液晶分子を一定方向に配向させるこ
とができるいわゆるラビングレスの液晶配向膜として機
能させることができる。
【0057】以上から本発明によると、基材表面の性質
を改質する表面改質用被膜材料として、また液晶配向膜
用材料として有用な新規な化学吸着物質を提供でき、そ
の産業上の意義は大である。
【0058】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる化学吸着物質の合成反応式であ
る。
【図2】上記合成反応式で合成した最終生成物の 1HN
MRスペクトルチャートである。
【図3】上記合成反応式で合成した最終生成物の紫外・
可視吸収スペクトルチャートである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 武部 尚子 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−7913(JP,A) 国際公開99/006415(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07F 7/04 G02F 1/1337 CA(STN) CAOLD(STN) REGISTRY(STN)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化1で示されることを特徴とする薄膜形
    成用化学吸着物質。 【化1】
  2. 【請求項2】 前記化1におけるnが5〜10の整数で
    あり、xが塩素であることを特徴とする請求項1に記載
    の薄膜形成用化学吸着物質。
  3. 【請求項3】 4−HydroxybenzaldehydeとAcetophenon
    eとをアルドール縮合反応させて、カルコン骨格基のベ
    ンゼンの4位に水酸基を有する化2で表される化合物1
    を合成する化学反応工程1と、 前記化学反応工程1の後、前記化合物1とHO−(CH
    )n−OH(nは、1〜20の整数)とを反応させて
    誘導したカルコン骨格基を有するアルコールと、SiX
    4(但し、Xはハロゲン)とを、不活性ガス雰囲気中で
    脱ハロゲン化水素反応させて、少なくとも化3で表され
    る特性基と−O−SiX3基とを有する化合物2を合成
    する化学反応工程2と、 を少なくとも備えることを特徴とする薄膜形成用化学吸
    着物質の製造方法。 【化2】 【化3】
  4. 【請求項4】 前記化合物2が、化4で表される化合物
    である、 請求項3に記載の薄膜形成用化学吸着物質の製造方法。 【化4】
  5. 【請求項5】 前記化4におけるnが5〜10である、 請求項4に記載の薄膜形成用化学吸着物質の製造方法。
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