JP2001021897A - 薄膜形成用化学吸着物質及びその製造方法 - Google Patents

薄膜形成用化学吸着物質及びその製造方法

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JP2001021897A JP19038599A JP19038599A JP2001021897A JP 2001021897 A JP2001021897 A JP 2001021897A JP 19038599 A JP19038599 A JP 19038599A JP 19038599 A JP19038599 A JP 19038599A JP 2001021897 A JP2001021897 A JP 2001021897A
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Tadashi Otake
忠 大竹
Kazufumi Ogawa
小川  一文
Yukio Nomura
幸生 野村
Naoko Takebe
尚子 武部
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Abstract

(57)【要約】 【課題】単分子層状の薄膜を形成することのできる化学
吸着物質であって、可視光領域で透明かつ安定であり、
紫外光領域で光化学反応を起こす感光性基を有する新規
な化学吸着物質、及びその製造方法を提供する。 【解決手段】本発明の化学吸着物質は、少なくとも下記
化学式(化1)で表される官能基と、シロキサン結合に
より結合された末端基としての−SiX基(但し、Xは
ハロゲンを表す。)とを有する。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基体表面に化学吸
着して薄膜を形成することのできる化学吸着物質及びそ
の製造方法に関し、より詳細には、主に液晶配向膜用の
被膜材料として使用される化学吸着物質及びその製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、情報機器の小型・軽量化を実現す
る手段の一つとして液晶表示素子が急速に普及している
が、その重要部材である液晶配向膜を配向処理する代表
的な方法としては、ラビング処理法が挙げられる。しか
し、このラビング処理法に於いては、微細な埃の発生や
ラビング筋による表示品位の劣化など種々の問題を抱え
ており、これらの問題を回避すべく光配向処理法などの
脱ラビング配向処理化が検討されている。
【0003】前記した光配向処理法としては、例えばポ
リイミドやポリビニルアルコール等のポリマーからなる
配向膜に偏光した紫外光を照射して配向処理する方法が
知られている。又、ポリイミド等のポリマーに限らず、
化学吸着単分子膜からなる配向膜に対しても光配向処理
を施す方法が報告されている(特願平8−224219
号)。その配向機構は、偏光光を照射することにより膜
を構成する吸着分子を再配向させ、これにより偏光方向
に沿って液晶分子を配向させるというものである。
【0004】しかしながら、配向膜がポリマーからなる
場合、その表面部分を除きポリマー分子が複雑に絡み合
って密でいびつな構造になっている。このため、膜表面
のポリマーの先端部分が突出した部分のみが、液晶分子
の配向に関与できるに過ぎない。しかも、側鎖の配向方
向も不確定であり、必ずしも配向に寄与する官能基が表
面に露出するとは限らない。よって、液晶分子の配向に
寄与する部分の密度が単分子膜に比べ明らかに低く、十
分な配向規制力を得難いという課題を有していた。又、
ポリマーからなる配向膜は、膜厚が厚く、絶縁性を有す
るため、光透過や液晶分子を駆動するための電界を阻害
する等の課題も有していた。
【0005】これに対して、化学吸着単分子膜からなる
配向膜では、液晶分子の配向に寄与する官能基がほぼ完
全に膜表面に露出していることから、十分な配向規制力
を確保することが可能である。しかも、単分子膜状なの
でポリマーからなる配向膜と比較して膜厚が薄く、また
基板表面に化学吸着していることから密着性にも優れて
いる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来、一
般的には、ポリマーからなる配向膜では、十分な配向規
制力が得られず、また膜厚が厚く、絶縁性を有している
という点に問題があった。これらの問題に対して、従
来、化学吸着単分子膜からなる配向膜が開発され提供さ
れていた。
【0007】この化学吸着単分子膜からなる配向膜は、
前記問題点を解決する上でかなり有用であったが、膜を
構成する吸着分子は単に偏光方向に配向して配列してい
るに過ぎず、高温に加熱すれば配向安定性が低下する場
合があった。よって、さらに配向の熱的安定性に優れた
有用な単分子膜状の配向膜の開発が望まれていた。
【0008】本発明は、このような観点に鑑みなされた
もので、その目的は、単分子層状の薄膜を形成すること
のできる化学吸着物質であって、可視光領域で透明かつ
安定であり、紫外光領域で光化学反応を起こす感光性基
を有する新規な薄膜形成用化学吸着物質、及びその製造
方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本願発明者等は、カルコ
ン骨格を有した化学吸着物質が、基体に化学吸着して単
分子層状の透明な被膜を構成することができ、かつ遠紫
外・紫外光(200nm〜400nmの波長光)領域の
光に対して反応性を有する一方、可視光(400nm〜
700nmの波長光)領域の光に対しては安定な性質を
示すことを見出し、更に詳細な検討を加えた結果、新規
な薄膜形成用化学吸着物質(以下、単に化学吸着物質と
称することもある。)、及びこのような化学吸着物質の
製造方法を完成させた。
【0010】上記の課題を解決する為に、本発明の薄膜
形成用化学吸着物質は、少なくとも下記化学式(化6)
で表される官能基と、シロキサン結合により結合された
末端基としての−SiX基(但し、Xはハロゲンを表
す。)とを有することを特徴とする。
【化6】
【0011】前記化学式(化6)で表される官能基に
は、下記化学式(化7)で表されるカルコン骨格が含ま
れており、紫外光領域の光が照射されると感光性基とし
て機能し、分子相互を架橋結合させることができる。
【化7】 更に、前記化学式(化6)中に示されるパーフルオロメ
チル基(−CF3基)は、その臨界表面張力が全ての原
子、基のうちで最小であり、液晶などをはじくことがで
きる。また、上記構成の薄膜形成用化学吸着物質による
と、末端基としてシロキサン結合により結合されたSi
X基が含まれているので、このSi部分が化学吸着基と
して機能し、基体表面に存在する表面官能基と反応して
化学吸着させることができる。
【0012】前記した化学吸着物質としては、下記化学
式(化8)で表される化合物が好適に使用できる。
【化8】
【0013】以上のような性質を有する薄膜形成用化学
吸着物質は、基体表面の性質を改質する機能性被膜用材
料として有用であり、特に液晶配向膜用材料として好適
に使用できる。例えば、液晶配向膜用材料として使用し
た場合には、以下に述べる作用・効果を奏する。上記化
学吸着物質を基体に接触させ化学吸着させてなる薄膜
は、長軸方向の一端(SiX基)を基体面に結合させ、
他端を基体と離れる方向に向けた分子が横方向に並んだ
単分子層状の構造をしている。この被膜は、ナノメート
ルレベルの極めて薄い被膜であり、可視光領域で化学的
に安定であり、かつ透明である。
【0014】その一方、化学吸着物質は、紫外光領域の
光の照射により、ビニル基部分が光反応を生じるという
特性を有しているので、該化学吸着物質を基体に化学吸
着させた後、紫外光を照射することにより、吸着分子同
志を架橋結合することができる。これにより、吸着分子
の配向が立体構造的に安定化した液晶配向膜とすること
ができる。また、紫外光の照射に際し、偏光光を用いれ
ば、特定方向に沿って架橋反応を起こさせることができ
るので、偏光方向を規定することにより吸着分子の配向
方向を制御できる。
【0015】ここで、基体面に沿って化学吸着物質が吸
着した構造の単分子層状の薄膜では、液晶分子が個々の
吸着分子の間(谷間)に入り込むことが可能である。よ
って、薄膜構成分子(吸着分子)が一定方向に配向した
薄膜は、特定の液晶配向性を有する。そして、上記薄膜
では、薄膜構成分子の個々が液晶の配向性に関与するの
で、単分子層状の極めて薄い被膜であるにもかかわら
ず、強力な配向規制力を発揮する。更に、薄膜構成分子
に於ける薄膜表面側の末端基は、臨界表面張力の極めて
小さなパーフルオロメチル基である為、高プレチルト角
にて液晶分子を配向させることができる。また、架橋反
応により吸着分子相互が連結結合されているので、熱や
擦り等の外部刺激によって配向性が劣化することもな
い。
【0016】加えて、この被膜は極めて薄く透明であ
り、しかも有機高分子膜ではないので電気抵抗膜として
殆ど作用しない。よって、光透過性や液晶駆動電界を阻
害しないという液晶配向膜として極めて好適な性質を備
えている。
【0017】これに対し、長い主鎖が絡み合った状態で
蜜に構成された従来の液晶配向膜(例えば前記ポリアミ
ドからなる高分子膜等)は、表面部分のみが液晶の配向
に寄与できるに過ぎないため、十分な配向規制力を得難
い。また、ラビングにより配向性を付与する従来の配向
膜では、熱や擦れ等の外部刺激が加わると配向性が変化
または劣化してしまう。更にポリアミド等の高分子膜
は、膜厚が厚く、しかも電気抵抗性が高いので、光透過
や液晶駆動における阻害要因となる。
【0018】また、本発明の化学吸着物質は、少なくと
も4-(2,2,3,3,3-Pentafluoropropyloxy)benzaldehyde
と、4-Hydroxyacetophenoneとをアルドール縮合反応さ
せて、下記化学式(化9)で表される、カルコン骨格を
有したアルコールを合成する化学反応工程1と、前記化
学反応工程1の後、不活性ガス雰囲気中で、前記カルコ
ン骨格を有するアルコールに、SiX4(但し、Xはハ
ロゲンを表す。)を脱ハロゲン化水素反応させて、下記
化学式(化10)で表される特性基及び−O−SiX3
基を有する化学吸着物質を合成する化学反応工程2と、
を少なくとも備えることにより製造可能である。
【化9】
【化10】
【0019】これにより、紫外光領域の光が照射される
と分子相互を架橋結合させることができ、かつ、基体表
面に存在する表面官能基と反応して化学吸着させること
が可能な化学吸着物質を製造することができる。
【0020】更に、前記化学吸着物質としては、下記化
学式(化11)で表される化合物が挙げられる。
【化11】
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について、以
下に説明する。
【0022】本発明の薄膜形成用化学吸着物質は、カル
コン骨格が高い光反応性を有することに着目して完成さ
れたものであり、少なくとも下記化学式(化12)で表
される官能基と、シロキサン結合により結合された末端
基としての−SiX基(但し、Xはハロゲンを表す。)
とを含んで構成される。
【化12】
【0023】末端基としての−SiX基は、基体表面に
存在する、活性水素を有する表面官能基と、HXの脱離
を伴う反応を生じるので、吸着媒としての基体表面に化
学吸着させる吸着質として機能をすることができる。よ
って、長軸方向の一端(SiX基)を基体面に結合さ
せ、他端を基体と離れる方向に向けた分子が横方向に並
んだ単分子層状の薄膜を成膜することができる。前記−
SiX基と化学反応する前記表面官能基としては、具体
的には、例えば−OH基、−COOH基、−NH2基、
−NH基、−SH基等の親水性基が挙げられる。
【0024】また、本発明に係る薄膜形成用化学吸着物
質は、カルコン骨格を有しているので、遠紫外・紫外光
(200〜400nm)領域の光が照射されると吸着分
子同士を光重合反応により架橋結合させることができ
る。その一方、可視光(400〜700nm)領域の光
に対しては化学的安定性を示し、かつ無色透明である
為、液晶配向膜用材料として好適な化合物である。
【0025】更に、膜表面側に於ける末端基にはパーフ
ルオロメチル基が存在する為、臨界表面張力が極めて小
さく、液晶分子をはじく性質を有した液晶配向膜を形成
できる。
【0026】尚、上記カルコン骨格と−O−SiX基と
は直接結合されていてもよく、或いはカルコン骨格に対
して−O−結合を介して以下に例示する官能基が間接的
に結合されていてもよい。
【0027】(1)−(CH2n(但し、nは1〜20
の整数である。)、−C65等の炭化水素基。
【0028】(2)上記(1)(但し、−CH2を除
く)の炭化水素基の一部に、炭素−炭素二重結合又は炭
素−炭素三重結合を含む炭化水素基。
【0029】(3)上記(1)及び(2)の炭化水素基
の水素が他の官能基(例えば、メチル基、ハロゲン化メ
チル基、水酸基、シアノ基等)及び/又は原子(例え
ば、F、Cl、Br、I等)に置換された官能基。
【0030】(4) 上記(1)及び(2)の炭化水素
基のC−C結合の一部がC−O−C(エーテル)結合若
しくはC−CO−C−(カルボニル)結合置換された官
能基。
【0031】以上のように説明した化学吸着物質として
は、例えば下記化学式(化13)にて表される化合物が
例示できる。
【化13】
【0032】上記したような本発明の化学吸着物質から
なる単分子層状の薄膜は、以下に述べるような構造とな
る。
【0033】即ち、遠紫外・紫外光領域(200〜40
0nm)の光を照射することにより、カルコン骨格に於
ける炭素−炭素二重結合の結合手を介して吸着分子相互
が架橋結合した構造を有している。よって、薄膜構成分
子の配向が立体構造的に安定化した構造となっており、
このような薄膜を液晶配向膜として使用すれば、耐熱性
や耐擦傷性に優れた配向膜とすることができる。その
上、立体構造的安定性が配向規制力を増大させる方向に
作用するので、優れた配向能を有している。また、薄膜
構成分子の膜表面側の末端には、臨界表面張力の非常に
小さいパーフルオロメチル基(−CF3基)が存在する
為、液晶をはじく性質を有しており、よって液晶分子を
高プレチルト角にて配向させることが可能である。ま
た、所定の方向に偏光した紫外光と照射すれば、その偏
光方向に平行となる方向に沿って架橋反応を起こさせる
ことができ、これにより吸着分子の配向方向が制御され
た構造とすることができる。この結果、液晶分子を所定
の方向に配向させることができるなど、該液晶分子の配
向方向の制御を可能とする。また、カルコン誘導体は4
00nm以上の波長領域の可視光線に対して透明性を有
しているので、極めて高い透過性を示し透明性に優れた
薄膜を形成できる。更に、この被膜は、ナノメートルレ
ベルの極めて薄い被膜である。
【0034】次に、本発明の薄膜形成用化学吸着物質の
製造方法について、以下に説明する。
【0035】先ず、4-(2,2,3,3,3-Pentafluoropropylox
y)benzaldehydeと、4-Hydroxyacetophenoneとをアルド
ール縮合反応させて、下記化学式(化14)で表される
カルコン骨格を有するアルコールを合成する(化学反応
工程1)。次に、不活性ガス雰囲気中で、前記カルコン
骨格を有するアルコールに、SiX4を脱ハロゲン化水
素反応させて、下記化学式(化15)で表される特性基
及び−O−SiX3基を有する化学吸着物質を合成する
(化学反応工程2)。また、カルコン骨格の4’位に対
し−O−結合を介して、炭化水素基等の他の官能基を付
加する反応工程を更に行ってもよい。この場合、該反応
工程は前記化学反応工程1の後に行う必要がある。以上
により、本発明に係る化学吸着物質を効率よく製造する
ことができる。
【化14】
【化15】
【0036】尚、本発明の化学吸着物質は、上記した方
法に限定されるものではなく、例えばカルコン誘導体を
出発物質にし、これに特性基を付加させる反応により合
成することも可能である。
【0037】
【実施例】本発明に係る新規な化学吸着物質の合成方法
を反応工程1〜4に分けて順次説明する。以下で合成し
た化学吸着物質(シラン系化学吸着物質)は、上記化1
2で表される化合物である。
【0038】反応工程1:5L反応コルベンに水素化ナ
トリウム(60%)とHMPA(hexamethylphosphoramid
e)とを1675ml仕込み、氷冷した。これに、1H,1H
-Pentafluoropropanol 380g(2.53mol)を1
5℃以下で3時間かけて滴下した。その後室温に戻し、
1時間撹拌させた。
【0039】次に、10℃以下に冷却した後、p-Fluoro
benzaldehyde 209.4g(1.69mol)を1時間
かけて滴下した。その後、同温にて3時間撹拌させた。
【0040】そうして得られた反応物を5%塩酸3.4
Lに注入し、酢酸エチル抽出、希塩酸洗浄し、無水硫酸
マグネシウムで乾燥後、溶媒留去した。得られた粗結晶
をシリカゲルカラムで精製(移動相:n-ヘキサン/酢酸
エチル=10/1)し、330.0gの4-(2,2,3,3,3-P
entafluoropropyloxy)benzaldehydeを得た。(GLC純
度95%、収率76.9%)この工程に於ける化学反応
式を下記(化16)に示す。
【化16】
【0041】反応工程2:4-(2,2,3,3,3-Pentafluoropr
opyloxy)benzaldehyde 330g(1.30mol)、4-H
ydroxyacetophenone 176.7g(1.30mo
l)、ピペリジン33.0g、酢酸33ml、トルエン
3.3Lを5L反応コルベンに仕込み、110℃で5日
間撹拌させた。
【0042】室温まで冷却し、反応液を1N塩酸2.1
Lに注入し、析出した結晶を濾取した。
【0043】その後、結晶を水洗し、クロロホルム15
Lに溶かし、無水硫酸マグネシウムにて乾燥し、溶媒を
留去して322.0gの4-(2,2,3,3,3-Pentafluoroprop
yloxy)-4'-hydroxychalconeを得た。(GLC純度98
%、収率66.6%)この工程に於ける化学反応式を下
記(化17)に示す。
【化17】
【0044】反応工程3:アルゴン気流下、4-(2,2,3,
3,3-Pentafluoropropyloxy)-4'-hydroxychalcone322
g(0.866mol)、dryDMF 3Lを5L反
応コルベンに仕込み、氷冷下水素化ナトリウム(60
%)34.6g(0.865mol)を30分かけて加
えた。その後、室温まで加温し、20時間撹拌させた。
【0045】次に、同温にて6-Chlorohexanol 11
7.7g(0.865mol)を20分間で滴下し、そ
の後80℃に加熱して23時間反応させた。反応液を氷
水中に注入し、反応生成物を酢酸エチル抽出し、この溶
液を水洗し、酢酸エチル抽出液に硫酸マグネシウムを加
え処理した後、溶媒を留去した。
【0046】得られた粗結晶をシリカゲルカラム精製
(移動相:n-ヘキサン/酢酸エチル=2/1)した。こ
れをさらにシリカゲルカラム精製(移動相:n-ヘキサン
/酢酸エチル=1/1)にて再結晶し、123.0gの
4-(2,2,3,3,3-Pentafluoropropyloxy)-4'-(6'-hydroxyh
exyloxy)chalconeを得た。(HPLC純度98%、収率
30.1%) この工程に於ける化学反応式を下記(化18)に示す。
【化18】
【0047】反応工程4:アルゴン気流下、4-(2,2,3,
3,3-Pentafluoropropyloxy)-4'-(6'-hydroxyhexyloxy)c
halcone60.0g(0.127mol)、四塩化ケイ素
240.0g(1.41mol)を500ml反応コルベ
ンに仕込み、室温にて1時間撹拌させた。
【0048】過剰の四塩化ケイ素を留去し、69.4g
の生成物であるところの4-(2,2,3,3,3-Pentafluoroprop
yloxy)-4'-(6'-trichlorosilyloxyhexyloxy)chalconeを
得た。(収率90.2%) この工程に於ける化学反応式を下記(化19)に示す。
【化19】
【0049】尚、この最終生成物は1H−NMRスペク
トルを測定して解析した。図1に1H−NMRスペクト
ルを示す。図1に示す各ピークは、最終生成物が上記化
学式(化12)で表される化学構造を有するものである
ことを裏付けている。
【0050】また、上記最終生成物をクロロホルムに溶
解させ、紫外・可視吸収スペクトルを測定した。その結
果を図2に示す。図2により、最終生成物は、可視光領
域には吸収ピークを有しない一方、紫外光領域である3
27nmで吸収ピークを有することが確認された。この
ことから、本実施例に於いて合成された化学吸着物質
は、可視光に対する感応性が低く、紫外光に対する感応
性が高い物質であることが判った。
【0051】尚、以下の実施例における1H−NMRス
ペクトル分析には、日立製作所製のR−1200を用
い、IRスペクトル分析には、島津製作所製のFTIR
4300を用い、UV/VISスペクトル分析には、島
津製作所製のUV−240を用いた。
【0052】[膜形成確認反応]上記化学吸着物質の被膜
形成能及び形成された被膜の特性を調べるために、ガラ
ス基板上に実際に被膜を形成した。被膜形成方法は次の
ようにして行った。キシレン/KF96L(信越化学社
製)1/5混合溶液に上記化学吸着物質を0.5重量%
濃度に溶解した溶液に、ガラス基板を約2時間浸漬した
後、基板を溶液中から取り出し、基板を立てた状態で該
基板表面を十分にクロロホルムで洗浄し、未反応化学吸
着物質を除去した。更に、空気中で乾燥した。このよう
にして薄膜を形成した。
【0053】上記薄膜について、水に対する接触角を測
定したところ、94°であり十分な撥水性を有すること
が確認された。また、エリプソメーター(屈折率1.4
5とする)を用いて膜厚を測定したところ、約2.5n
mであり、概ね単分子層状の薄膜が形成されていること
が確認された。
【0054】[偏光照射と液晶配向性]上記と同様にして
作成した薄膜に、偏光板を用い調製した偏光光(波長3
12nm、光強度2.1mW/cm2)を照射する偏光
照射処理を行った。そして、偏光照射前後の薄膜につい
て、FT−IR(Fourier Transform Infrared Spectro
scopy)を用いて分析した。その結果、偏光照射により
前記化6の炭素−炭素二重結合(−CH=CH−)で分
子同士が架橋結合していることが確認された。
【0055】又、UV/VIS測定を行ったところ、照
射前に存在した327nmの吸収が照射後には消失して
いた。このことはカルコン骨格の共役系が切れて架橋構
造に変化したことを示している。
【0056】他方、偏光照射後の薄膜付き基板を、薄膜
面を内側にして約12μmの間隙を設けて他のガラス板
と重ね合わせ、周囲を封止し、しかる後に上記間隙内に
ネマティック液晶(メルク(株)社製、商品名:ZLI
4792)を注入する方法により液晶セル(以下、テス
ト用セルという)を作製した。そして、このテスト用セ
ルの両外面に偏光板を配置して可視光を用いて薄膜の液
晶配向性を調べた。その結果、セル内の液晶分子は、一
定の方向に均一に配向していることが確認された。
【0057】更に、偏光照射後の基板面(薄膜形成面の
反対側面)をラビングし、また同上の基板面を約200
℃で1時間加熱した後、液晶セルを組み立て再び液晶分
子の配向方向を調べた、その結果、これらの外部刺激に
よっては、液晶分子の配向性が変化しないことが確認さ
れた。
【0058】尚、液晶の配向性は、テスト用セルの一方
面に偏光板を重ねて所定の偏光光(可視光)を入光さ
せ、セルの多方面に透過する光を調べる方法により確認
することができる。
【0059】
【発明の効果】以上の説明より明らかなように、本発明
に係る新規な化学吸着物質は、一方の末端には臨界表面
張力の非常に小さい官能基を備えると共に、他方の末端
には基体表面の親水性基に強力に化学結合することので
きる官能基を備え、かつ感光性基も有している。よっ
て、本発明によると、基体表面に単分子層状の薄膜を容
易に形成することができ、この薄膜は可視光領域では安
定でかつ透明であり、撥水性、耐久性に優れるので、表
面改質用の機能性被膜として有用である。
【0060】更に、本発明の化学吸着物質は、基体面に
化学吸着させた後に紫外偏光光を照射することにより、
吸着分子相互を一定方向に架橋結合させることができる
が、これにより強力かつ安定した配向性を有する液晶配
向膜となすことができる。
【0061】また、本発明の化学吸着物質の製造方法に
よると、上述の化学吸着物質を効率的に製造することが
できる。
【0062】以上から、本発明によると、基体の表面改
質材として有用であり、特に液晶配向膜用材料として有
用な新規な薄膜形成用化学吸着物質を提供できる。よっ
て、本発明の産業的意義は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に於いて合成した最終生成物の
1H−NMRスペクトルチャートである。
【図2】上記最終生成物の紫外・可視吸収スペクトルチ
ャートである。
フロントページの続き (72)発明者 野村 幸生 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 武部 尚子 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 2H090 HB12Y HC19 HD11 4H049 VN01 VP01 VQ12 VQ21 VR33 VR41 VS12 VT40 VU25 VW02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも下記化学式(化1)で表され
    る官能基と、シロキサン結合により結合された末端基と
    しての−SiX基(但し、Xはハロゲンを表す。)とを
    有することを特徴とする薄膜形成用化学吸着物質。 【化1】
  2. 【請求項2】 上記化学吸着物質は、下記化学式(化
    2)で表されることを特徴とする請求項1に記載の薄膜
    形成用化学吸着物質。 【化2】
  3. 【請求項3】 少なくとも4-(2,2,3,3,3-Pentafluoropr
    opyloxy)benzaldehydeと、4-Hydroxyacetophenoneとを
    アルドール縮合反応させて、下記化学式(化3)で表さ
    れる、カルコン骨格を有したアルコールを合成する化学
    反応工程1と、 前記化学反応工程1の後、不活性ガス雰囲気中で、前記
    カルコン骨格を有するアルコールに、SiX4(但し、
    Xはハロゲンを表す。)を脱ハロゲン化水素反応させ
    て、下記化学式(化4)で表される特性基及び−O−S
    iX3基を有する化学吸着物質を合成する化学反応工程
    2と、 を少なくとも備えることを特徴とする薄膜形成用化学吸
    着物質の製造方法。 【化3】 【化4】
  4. 【請求項4】 前記化学吸着物質が、下記化学式(化
    5)で表される化合物であることを特徴とする請求項3
    に記載の薄膜形成用化学吸着物質の製造方法。 【化5】
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