JP3540167B2 - 化学吸着物質およびその製造方法 - Google Patents

化学吸着物質およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP3540167B2
JP3540167B2 JP22140998A JP22140998A JP3540167B2 JP 3540167 B2 JP3540167 B2 JP 3540167B2 JP 22140998 A JP22140998 A JP 22140998A JP 22140998 A JP22140998 A JP 22140998A JP 3540167 B2 JP3540167 B2 JP 3540167B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
chalcone
substance
chemisorbed substance
manufacturing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP22140998A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000053684A (ja
Inventor
忠 大竹
小川  一文
幸生 野村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Corp
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Panasonic Corp
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Corp, Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Panasonic Corp
Priority to JP22140998A priority Critical patent/JP3540167B2/ja
Publication of JP2000053684A publication Critical patent/JP2000053684A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3540167B2 publication Critical patent/JP3540167B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Liquid Crystal Substances (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶配向膜等における被膜形成用材料に関し、より詳しくは基体に化学吸着して薄膜を形成することのできる化学吸着物質に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報機器の小型・軽量化を実現する手段の一つとして液晶表示素子が急速に普及しているが、その重要部材である液晶配向膜を作製することができる被膜材料は限れている。このため、液晶表示素子の高性能化に伴って、従来にない特性を有する新規な配向膜材料が求められている。
【0003】
ところで、従来より液晶配向膜用の被膜材料としては、液晶との親和性や製膜性の面から、ポリイミドやポリビニルアルコール等のポリマーが使用されている。しかし、ポリマーからなる被膜は、膜厚が厚く、また絶縁性を有するため、光透過や液晶分子を駆動するための電界を阻害する要因となる。また、いわゆるアンカー効果のみにより基板に固定されているため、基板に対する密着性が弱い。
【0004】
更に、ポリマーからなる被膜は、その表面部分を除きポリマー分子が複雑に絡み合って蜜でいびつな構造になっている。このため、膜表面のポリマーの先端部分が突出した部分のみが、液晶分子の配向に関与できるに過ぎない。よって、被膜全体から見た場合、配向に寄与し得る部分の割合が小さいので、十分な配向規制力を得にくいという課題があった。
【0005】
そこで、本発明者らは、先にナノメータレベルの膜厚の単分子膜を液晶配向膜として利用する技術を提案した(特開平3−7913号公報)。この技術は、シラン系界面活性剤を電極上に直接または任意の薄膜を介して間接に化学吸着させて被膜となすものである。この技術によると、基板に強力に密着した極めて薄い透明な被膜を容易かつ効率的に形成でき、しかもラビングを施さなくとも液晶分子に対し或る程度の配向規制力を有するものとできる。
【0006】
しかしながら、この技術は、配向の熱的安定性や配向規制力の強さ等に関し未だ改善の余地を残している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述に鑑みなされたものであり、主として液晶配向膜用途で好適に使用することができる新規な被膜材料を提供しようとするものである。より具体的には、基体に化学吸着して単分子層状の透明な被膜を形成でき、かつ遠紫外・紫外光(200nm〜400nmの波長光)領域の光に対して反応性を有する一方、可視光(400nm〜700nmの波長光)領域の光に対しては安定な性質を有する新規な化学吸着物質、およびこのような化学吸着物質の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明は、カルコン骨格が高い光反応性を有することに着目して完成されたものであり、本発明構成は、カルコン骨格を構成する一方のベンゼン環に官能基が結合し、他方のベンゼン環にSiX基(但しXはハロゲンまたはアルコキシル基またはイソシアネート基)を含む特性基が結合したカルコン誘導体よりなる化学吸着物質であることを特徴とする。
【0009】
上記構成におけるカルコン骨格とは、下記化式4に示すものをいうが、2つのベンゼン環に特定の置換基が結合したカルコン誘導体は特に高い反応性を有する。そして、上記構成の化学吸着物質によると、他方のベンゼン環に結合したSiX基を含む特性基のSi部分が化学吸着基として機能する。よって、化学吸着物質をOH基、COOH基、NH2 基、NH基、SH基等の親水性基を有する基体面に化学結合(化学吸着)させることができる。また、反応性の高まったカルコン骨格のビニル基が光反応性基として機能するので、ビニル基を介して分子相互を架橋結合させることができる。
【化4】
Figure 0003540167
【0010】
このような性質を有する化学吸着物質を液晶配向膜材料とする意義は次のようである。上記化学吸着物質を基体に接触させ化学吸着させてなる薄膜は、長軸方向の一端(SiX基)を基体面に結合させ、他端を基体と離れる方向に向けた分子が横方向に並んだ単分子層状の構造をしている。この被膜は、ナノメートルレベルの極めて薄い被膜であり、可視光領域で化学的に安定であり、かつ透明である。
【0011】
その一方、紫外線領域の光の照射により、ビニル基部分が光反応を生じるという特性を有しているので、上記化学吸着物質を基体に化学吸着させた後、紫外光を照射することにより、吸着分子同志を架橋結合することができる。これにより、吸着分子の配向が立体構造的に安定化する。また、紫外光の照射に際し、偏光光を用いれば、特定方向に沿って架橋反応を起こさせることができるので、偏光方向を規定することにより吸着分子の配向方向を制御できる。
【0012】
ここで、基体面に沿って化学吸着物質が吸着した構造の単分子層状の薄膜では、液晶分子が個々の吸着分子の間(谷間)に入り込むことが可能である。よって、薄膜構成分子(吸着分子)が一定方向に配向した薄膜は、特定の液晶配向性を有する。そして、上記薄膜では、構成分子の個々が液晶の配向性に関与するので、単分子層状の極めて薄い被膜であるにもかかわらず、強力な配向規制力を発揮する。更に、架橋反応により吸着分子相互が連結結合されているので、熱や擦り等の外部刺激によって配向性が劣化しない。
【0013】
加えて、この被膜は極めて薄く透明であり。しかも有機高分子膜ではないので電気抵抗膜として殆ど作用しない。よって、光透過性や液晶駆動電界を阻害しないという液晶配向膜として極めて好適な性質を備えている。
【0014】
これに対し、長い主鎖が絡み合った状態で蜜に構成された従来の液晶配向膜(例えば前記ポリアミドからなる高分子膜等)は、表面部分のみが液晶の配向に寄与できるに過ぎないため、十分な配向規制力を得難い。またラビングにより配向性を付与する従来の配向膜では、熱や擦れ等の外部刺激が加わると配向性が変化または劣化してしまう。更にポリアミド等の高分子膜は、膜厚が厚く、しかも電気抵抗性が高いので、光透過や液晶駆動における阻害要因となる。
【0015】
なお、上記構成の化学吸着物質は、液晶配向膜用材料として極めて有用であるが、この物質の用途はこれに限られるものではない。
【0016】
上記構成においては、更に下記(1)〜(5)の構成要素を付加するのが好ましい。下記構成要素を付加した構成によると、上記した作用効果を一層確実に実現することができる。
【0017】
(1)前記カルコン誘導体を化式1で表される化合物とすることができる。
【化5】
Figure 0003540167
【0018】
(2)上記化1のA1 がカルコン骨格のベンゼン環の4位に結合したものとすることができる。
【0019】
(3)前記化式1のA1 を化式2若しくは化式3で表される特性基とすること
ができる。
【化6】
Figure 0003540167
【化7】
Figure 0003540167
(但し、kは1以上18以下の整数、m、nは0以上37以下
の整数、pは0若しくは1,qは0若しくは1)

【0020】
(4)前記化式1のA2 がカルコン骨格のベンゼン環の4’位に結合したものとすることができる。
【0021】
(5)前記化式1のA2 が−(CH2 )n −O−または−O−(CH2 )n −O−または−CO−(CH2 )n −O−(但し、nは2以上14以下の整数)で表されるものとすることができる。
【0022】
他方、上記化学吸着物質の製造方法としては、少なくともベンゼン環の4位に官能基を有するカルコン骨格基及びSiを有する分子のSiに、不活性ガス雰囲気中でハロゲンまたはアルコキシ基を結合する工程を含む化学吸着物質の製造方法とすることができる。
【0023】
また、上記化学吸着物質の製造方法として、不活性ガス雰囲気中において、少なくともカルコン骨格を構成するベンゼン環の4位に官能基を有するカルコン骨格基を含むアルコール類と、SiX4 (但しXはハロゲン)とを縮合反応させることにより、−O−SX3 結合を有するカルコン誘導体を合成する工程を少なくとも含む化学吸着物質の製造方法とすることができる。 また、少なくとも4位に官能基を有するベンズアルデヒドと、ベンゾイル基を有する化合物とをアルドール縮合反応させる工程を少なくとも含む化学吸着物質の製造方法とすることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について以下に説明する。本発明の化学吸着物質は、カルコン骨格を構成する一方のベンゼン環に官能基が結合し、他方のベンゼン環にSiX基(但しXはハロゲンまたはアルコキシル基またはイソシアネート基)を含む特性基が結合したカルコン誘導体よりなることを特徴とするが、この特徴を有するカルコン誘導体の好ましい形態として下記化式1で表される化合物が例示できる。
【化8】
Figure 0003540167
【0025】
上記化式1において官能基A1 は、カルコン骨格のベンゼン環の4位に結合したものが立体障害が少なく、光反応させる際の反応性が高くなるので好ましい。但し、A1 がベンゼン環の2位または3位に結合していてもよく、また4位とともに2及び/又は3位にも官能基を有するものであってもよい。
【0026】
ベンゼン環に結合させる官能基A1 としては、以下に列挙する置換基が適当である。但しこれらは例示であり、これらに限定しようとするものではない。
【0027】
(1) メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、n-エイコシル基、フェニル基等の炭化水素基。
【0028】
(2) 上記(1) の炭化水素基の一部に炭素炭素二重結合若しくは炭素炭素三重結合を含む炭化水素基。
【0029】
(3) 上記 (1)及び(2) の炭化水素基の水素が他の官能基(例えば、メチル基、ハロゲン化メチル基、水酸基、シアノ基等)及び/又は原子(例えば、F、Cl、Br、I等)に置換された官能基。
【0030】
(4) 上記 (1)及び(2) の炭化水素基のパーフルオロ型官能基。
【0031】
(5) 上記 (1)及び(2) のの炭化水素基の末端から8以内の炭素に結合する水素がフッ素置換された官能基。
【0032】
(6) 上記 (1)及び(2) の炭化水素基のC−C結合の一部がC−O−C(エーテル)結合若しくはC−CO−C−(カルボニル)結合置換された官能基。
【0033】
(7) 上記 (1)及び(2) の炭化水素基を含むアルコキシル基。
【0034】
(8) 上記 (1)及び(2) の炭化水素基のC−C結合の一部がC−O−C(エーテル)結合若しくはC−CO−C−(カルボニル)結合置換されたパーフルオロ型官能基。
【0035】
(9) 上記 (1)及び(2) の炭化水素基のC−C結合の一部がC−O−C(エーテル)結合若しくはC−CO−C−(カルボニル)結合置換され、末端から8以内の炭素に結合する水素がフッ素置換された官能基。
(10) 上記 (1)及び(2) の炭化水素基のパーフルオロ置換基を含むアルコキシル基。
【0036】
(11) 上記 (1)及び(2) のの炭化水素基の末端から8以内の炭素に結合する水素がフッ素置換された官能基を含むアルコキシル基。
【0037】
(12) 上記 (1)及び(2) の炭化水素基のパーフルオロ置換基が結合したカルボニル基。
【0038】
(13) 上記 (1)及び(2) のの炭化水素基の末端から8以内の炭素に結合する水素がフッ素置換された官能基が結合したカルボニル基。
【0039】
以上の各官能基のうち、カルコン骨格に結合すると共役構造が広がる官能基、及び電子供与的な官能基を有するものが実用上特に好ましい。この理由は、このような官能基が結合したカルコン誘導体は、超高圧水銀灯のi線である365nm付近に光吸収ピーク波長を有するからである。
【0040】
他方、化学吸着させるための−SiX基(但し、Xはハロゲン若しくはアルコキシル基若しくはイソシアネート基)とカルコン骨格とを結ぶ2価の官能基(A2 )としては、A1 の置換基候補として上記で列記したののうち置換基の末端の1原子がないことで2価となる官能基が適当である。ただし、これらに限定されないことは勿論である。
【0041】
なお、上記化式1で表される化学吸着物質のうち、感光波長域が遠紫外・紫外線領域(200〜400nm)にあり、可視光(400〜700nm)領域で無色透明な化合物が液晶配向膜用材料として好適である。
【0042】
本発明化学吸着物質の製造方法としては、カルコン誘導体を出発物質にして合成してもよく、またカルコン骨格自体から合成してもよい。カルコン骨格自体を合成するには、カルコン骨格の4位に導入すべき所望の官能基を4位に有するベンズアルデヒドとベンゾイル基を有する物質とのアルドール縮合反応(及びそれに続く脱水反応を含む)を利用するのが好ましい。カルコン誘導体を出発物質とする場合には、カルコン骨格の4位に導入すべき所望の官能基を4位に有するカルコン誘導体を使用するのが好ましい。なお、製造方法の詳細については下記実施例で説明する。
【0043】
【実施例】
以下実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下の実施例において 1HNMRスペクトル分析には、日立製作所製のR−1200を用い、IRスペクトル分析には、島津製作所製のFTIR4300を用い、UV/VISスペクトル分析には、島津製作所製のUV−240を用いた。
【0044】
(実施例1)
反応工程1:
4-Methoxybenzaldehyde 147g(1.08mol)、4-Hydoxyacetophenone147g(1.08mol)、エタノール1.3Lを5L反応コルベンに仕込み、5゜C以下で10%水酸化ナトリウム水溶液2.16Lを3時間かけて滴下した。滴下後、室温に戻し3日間攪拌した。反応液を氷水1.8Lに注入し、2N塩酸2.5Lを加え、析出した結晶を濾取した。得られた粗結晶をイソプロピルアルコールおよびトルエンで洗浄し、乾燥させて、207gの精製品(4-Methoxy-4'-hydroxychalcone)を得た(収率75%)。反応式を図1(a)に示す。
【0045】
反応工程2:
アルゴン気流下、4-Methoxy-4'-hydroxychalcone180g(0.709mol)、dry DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)1260mlを3L反応コルベンに仕込み、氷冷下、水素化ナトリウム(60%)28.4g(0.709mol)を40分かけて加えた。その後、室温まで加温し、20時間攪拌した。次に、同温にて6-Chlorohexanol 97g(0.709mol)を20分間で滴下し、しかる後80゜Cに加熱して20時間反応させた。
【0046】
反応液を氷水中に注入し、反応生成物を酢酸エチル抽出し、この溶液を水洗し、酢酸エチル抽出液に硫酸マグネシウムを加え処理した後、溶媒を留去した。
【0047】
得られた粗結晶をシリカゲルカラム精製(移動相:ヘキサン/酢酸エチル=1:1)し、さらに酢酸エチルで再結晶して、134.4gの精製品(4-Methoxy-4'-(6-hydoxyhexyloxy)chalcone )を得た(収率53.5%)。反応式を図1(b)に示す。
【0048】
反応工程3:
アルゴン気流下、4-Methoxy-4'-(6-hydoxyhexyloxy)chalcone 90g(0.245mol)、四塩化ケイ素360g(2.12mol)を1L反応コルベンに仕込み、室温にて2時間攪拌させた。
【0049】
過剰の四塩化ケイ素を留去し、残さに脱水ヘキサンを加えて結晶を分散後、濾取し、乾燥させて70gの下記化式5で示される精製品を得た(収率56.5)。反応式を図1(c)に示す。
【化9】
Figure 0003540167
【0050】
各工程での反応生成物及び最終生成物については、 1HNMRで目的とする生成物が得られていることを確認した。なお、最終生成物の 1HNMRスペクトルを図2に示した。
【0051】
また、この物質をクロロホルムに溶解し紫外・可視吸収スペクトルを測定したので、その結果を図3に示す。図3で明らかなように、可視光域では吸収がなかった。他方、340nmをピークとする紫外領域に吸収が確認された。このことから、この物質は遠紫外・紫外線領域で強い吸収を有するものであることが実証できた。
【0052】
更にこの物質のガスクロマトグラフィーの測定を行ったので、そのチャートを図4に示す。図4のリテンションタイム15.257分のシグナルが本実施例で得られた4-Methoxy-4'-(trichlorosiloxyhexyloxy)chalconeである。リテンションタイム約1分のピークを除く全ピーク面積に対するリテンションタイム15.257分のピーク面積比からすると、この化合物の純度は94.4%以上であった。なお、リテンションタイム約1分のシグナルは、キャリアーの低沸点溶媒を示している。
【0053】
〔被膜の形成と分析〕
上記化式5で示される物質を用いて下記のようにして薄膜を形成し、この薄膜の性質を分析した。
【0054】
炭化水素系若しくはシリコン系の溶媒に上記化式5の物質を溶解させた溶液に石英基板(ガラス基板でもよい)を2時間浸漬した後、基板面をクロロホルムで洗浄して未吸着物質を除去し、単分子層状の薄膜を形成した。
【0055】
石英基板上に形成した薄膜について、紫外・可視吸収スペクトル分析を行った。その結果を図5に示す。図5より、カルコン骨格に由来する325nmの吸収ピークが確認できた。
【0056】
また、ガラス基板上に形成した薄膜の水に対する接触角を測定したところ、64°であった。更にエリプソメーター(屈折率を1.45とする)を用いて厚み測定を行ったところ、約2.6nmであった。
【0057】
以上から、上記化式5の化学吸着物質を溶解した溶液を基板に接触させることにより、紫外線領域で光反応性する基を有する単分子層状の薄膜を形成させることができることが確認できた。
【0058】
更に、上記で作製した薄膜付き基板の薄膜面に偏光光(365nm、光強度2.1mW/cm2 )を480mJ/cm2 照射した後、薄膜面を内側にして20μmの間隙を持たせて重ね合わせ、周囲を密閉した後、基板の間隙にネマチック液晶(メルク社製;ZL14792)を注入して、偏光板と透過光を用いて液晶分子配向性の有無を調べたところ、液晶分子が偏光方向に配向していることが確認された。
【0059】
(実施例2)
実施例1において反応工程1で4-Methoxybenzaldehyde の代わりに4-Butylbenzaldehyde を用いた以外は全て同様の反応を行った。その結果、最終収率が65.5%で、下記化式6で示される物質が得られた。
【化10】
Figure 0003540167
【0060】
(実施例3)
実施例1において反応工程1で4-Methoxybenzaldehyde の代わりに4-Fuluorobenzaldehyde を用いた以外は全て同様の反応を行った。その結果、最終収率が69.3%で、下記化式7で示される物質が得られた。
【化11】
Figure 0003540167
【0061】
(実施例4)
実施例1において反応工程1で4-Methoxybenzaldehyde の代わりに4-Perfuluorobutylbenzaldehyde を用いた以外は全て同様の反応を行った。その結果、最終収率が54.2%で、下記化式8で示される物質が得られた。
【化12】
Figure 0003540167
【0062】
ここで、以上の実施例では、四塩化ケイ素を用い、吸着部位として−SiCl3 基を導入したが、四塩化ケイ素の代わりにCl−Si−Xn A’3-n (但し、Xはハロゲン若しくはアルコキシル基若しくはイソシアネート基、A’はアルキル基若しくはアルコキシル基)を用いることにより、下記化式1で示される化学吸着物質が合成できる。
【化13】
Figure 0003540167
【0063】
【発明の効果】
以上で説明した通り、本発明によれば、可視光領域で透明かつ安定であり、紫外線領域の光により反応する感光性基を有し、更に化学吸着法を用いる場合に吸着部位として機能する−SiX基(Xはハロゲン若しくはアルコキシル基若しくはイソシアネート基)を有する化学吸着物質を提供できる。そして、この化学吸着物質を用いることにより、配向特性に優れしかも光透過や電界を阻害しない好適な液晶配向膜を生産性良く提供できるという顕著な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における合成反応式(a)〜(c)である。
【図2】本発明の実施例1で合成した化合物の 1HNMRスペクトルチャートである。
【図3】本発明の実施例1で合成した化合物の紫外・可視吸収スペクトルチャートである。
【図4】本発明の実施例1で合成した化合物のガスクロマトグラフィーチャートである。
【図5】本発明の実施例1で合成した化合物を用いて作製した薄膜の紫外・可視吸収スペクトルチャートである。

Claims (4)

  1. 下記化式1で表されるカルコン誘導体からなる化学吸着物質。
    Figure 0003540167
    上記化式1において、A1は下記化式2若しくは下記化式3で表される特性基であり、A2は−(CH2 )n −O−または−O−(CH2 )n −O−または−CO−(CH2 )n −O−(但し、nは2以上14以下の整数)で表される特性基であり、A1はカルコン骨格のベンゼン環の4位に結合し、A2はカルコン骨格のベンゼン環の4’位に結合している。また、Xはハロゲン若しくはアルコキシル基若しくはイソシアネート基であり、A’はアルキル基若しくはアルコキシル基、n=0〜3である。
    Figure 0003540167
    Figure 0003540167
    (但し、kは1以上18以下の整数、m、nは0以上37以下の整数、
    pは0若しくは1,qは0若しくは1)
  2. 請求項1に記載の化学吸着物質を製造する製造方法であって、
    少なくともベンゼン環の4位に官能基を有するカルコン骨格基及びSiを有する分子のSiに、不活性ガス雰囲気中でハロゲンまたはアルコキシ基を結合する工程を含む化学吸着物質の製造方法。
  3. 請求項1に記載の化学吸着物質を製造する製造方法であって、
    不活性ガス雰囲気中において、少なくともベンゼン環の4位に官能基を有するカルコン骨格基を含むアルコール類と、SiX4 (但しXはハロゲン)とを縮合反応させることにより、−O−SiX3 結合を有するカルコン誘導体を合成する工程を少なくとも含む化学吸着物質の製造方法。
  4. 請求項1に記載の化学吸着物質を製造する製造方法であって、
    少なくとも4位に官能基を有するベンズアルデヒドと、ベンゾイル基を有する化合物とをアルドール縮合反応させる工程を少なくとも含む化学吸着物質の製造方法。
JP22140998A 1998-08-05 1998-08-05 化学吸着物質およびその製造方法 Expired - Lifetime JP3540167B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22140998A JP3540167B2 (ja) 1998-08-05 1998-08-05 化学吸着物質およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22140998A JP3540167B2 (ja) 1998-08-05 1998-08-05 化学吸着物質およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000053684A JP2000053684A (ja) 2000-02-22
JP3540167B2 true JP3540167B2 (ja) 2004-07-07

Family

ID=16766295

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP22140998A Expired - Lifetime JP3540167B2 (ja) 1998-08-05 1998-08-05 化学吸着物質およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3540167B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1179015C (zh) * 1999-07-05 2004-12-08 松下电器产业株式会社 薄膜形成用化学吸附物质和其制造方法及其用途
CN102146216B (zh) * 2010-02-05 2013-11-13 郑州大学 有利于健康的单偶氮和多偶氮染料及其合成方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2000053684A (ja) 2000-02-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6844597B2 (ja) 重合性化合物を製造する製造方法
JP6744962B2 (ja) 化合物、光学フィルム及び光学フィルムの製造方法
TWI283265B (en) Polymerizable compound, polymerizable liquid crystal composition containing the same, and optically anisotropic medium made from the composition
JP4205195B2 (ja) 光架橋性シラン誘導体
JPH07207261A (ja) 液晶相をもつジアセチレン
JP5522047B2 (ja) 重合性キラル化合物、重合性液晶組成物、液晶性高分子及び光学異方体
JPH07278060A (ja) 光架橋性液晶
TWI363794B (en) Silicon derivative, liquid crystal composition comprising the same and compensation film using the same liquid crystal composition
WO2010061579A1 (ja) 架橋型ヘキサアリールビスイミダゾール新規化合物およびその誘導体、該化合物の製造方法、ならびに該製造方法に用いられる前駆体化合物
US6495221B1 (en) Chemisorptive substance, aligned liquid-crystal film and liquid-crystal display element both made by using the same, and processes for producing these
KR20220028055A (ko) 카바졸 코어를 갖는 신규한 중합가능 액정
JP3540167B2 (ja) 化学吸着物質およびその製造方法
JP2003270638A (ja) 光配向膜用組成物及びこれを用いた光配向膜の製造方法
JP7103709B2 (ja) 重合性液晶化合物、光学素子用液晶組成物、重合体、光学異方体およびディスプレイ装置用光学素子
US6451392B1 (en) Chemical adsorbate compound, organic film, liquid crystal alignment film, and liquid crystal display device utilizing the chemical adsorbate compound
JP4355406B2 (ja) 光学補償シートの製造方法
US6524715B1 (en) Thin-film forming chemical adsorption material, producing method thereof and applications thereof
JP3440035B2 (ja) 薄膜形成用化学吸着物質及びその製造方法
JP3440030B2 (ja) 薄膜形成用化学吸着物質及びその製造方法
JP2001021897A (ja) 薄膜形成用化学吸着物質及びその製造方法
CN113511987B (zh) 一种手性光敏掺杂剂及其制备方法与应用
JP3538633B2 (ja) アゾベンゼン誘導体化合物及びそれからなる自己組織化膜
JPH11125822A (ja) 液晶配向膜用化学吸着物質とその製造方法
KR102129764B1 (ko) 염료를 포함하는 양친성 도펀트와 네마틱 반응성 메조겐 조성물 및 이를 이용하여 제조된 코팅형 편광필름
JP2004123580A (ja) チエニルアリールアセチレン化合物

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040113

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040304

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040323

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040324

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080402

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090402

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100402

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110402

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120402

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130402

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130402

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140402

Year of fee payment: 10

EXPY Cancellation because of completion of term