JP3302645B2 - 液晶配向膜およびこれを用いた液晶表示素子 - Google Patents

液晶配向膜およびこれを用いた液晶表示素子

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JP3302645B2 JP22062098A JP22062098A JP3302645B2 JP 3302645 B2 JP3302645 B2 JP 3302645B2 JP 22062098 A JP22062098 A JP 22062098A JP 22062098 A JP22062098 A JP 22062098A JP 3302645 B2 JP3302645 B2 JP 3302645B2
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  • Liquid Crystal (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶を用いた平面
表示パネルに用いる液晶配向膜とその製造方法、及び上
記液晶配向膜を用いた液晶表示素子に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】一般にカラー液晶表示素子は、マトリッ
クス状に配置された透明電極とこの透明電極の上に形成
された液晶配向膜とを有する一対の基板を、液晶配向膜
面を内側にして一定の間隙を持たせて対向させ、この間
隙内に液晶が封入された構造をしている。より具体的に
は、例えば画素電極と薄膜トランジスタ(TFT)アレ
イとが形成された第1のガラス基板と、複数個の赤青緑
のカラーフィルターが形成され、さらにその上に共通透
明電極が形成された第2のガラス基板のそれぞれの表面
に高分子被膜を形成し、この被膜面にラビングを施して
液晶配向性を付与する。次いで、被膜面(液晶配向膜
面)を内側にしてスペーサを介在させた状態で対向さ
せ、基板の周縁を接着して空セル(パネル構造体)とな
す。
【0003】この空セル内にツイストネマチック(T
N)などの液晶を注入し密閉して液晶表示素子を構成
し、更にこの素子の両外面に偏向板を配置するととも
に、第1電極の外側にバックライトを配置し、光学表示
装置としての液晶表示装置が構成されている。
【0004】このような構造の液晶表示装置は、電極間
電圧をTFTでON/OFFし液晶の配向状態を変化さ
せることにより光透過を制御して、任意の映像を表示し
ようとするものである。よって、光透過経路にあって液
晶の配向状態を規制する配向膜は、表示性能を左右する
極めて重要な役割を担っている。
【0005】このような液晶配向膜の被膜材料として
は、液晶との親和性や耐熱性、基板密着性等に優れるこ
とから、従来よりポリイミド膜が広く使用されててお
り、その作製方法としては、ポリイミドの前駆体ポリマ
ーであるポリアミック酸をキシレン等の有機溶剤に溶解
した溶液を基板上に回転塗布した後、これを焼成してポ
リアミック酸をイミド化してポリイミド膜となす方法
と、ポリイミド自身をDMF(N,N−ジメチルホルム
アミド)、DMAc(ジメチルアセトアミド)、ブチル
セロソルブアセテート、N−メチル−2−ピロリドン等
の有機溶剤に溶解した溶液を基板上に回転塗布した後、
溶剤を蒸発させて被膜となす方法が用いられている。
【0006】ところが、ポリイミド膜は、次のような課
題を有しており、液晶配向膜として十分満足できるもの
ではない。すなわち、 (1)前駆体物質であるポリアミック酸を用いる製法
は、イミド化を十分に行うために250゜C以上の高温
で焼成する必要がある。またポリイミド自体を用いる製
法においても、ポリイミドを溶解させる適当な低沸点溶
剤が存在しないため、溶剤除去に際してかなりの温度を
必要とする。例えば、ポリイミドを溶解させる溶剤とし
て上記したDMF、DMAc、ブチルセロソルブアセテ
ート、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤が使用
できる。しかし、いずれの溶剤も沸点が高く(それぞれ
153℃、165℃、192℃、202℃)、また可燃
性であるので、製膜時に防爆に配慮しつつ溶剤を高温で
蒸発乾燥させる必要がある。このようなことから、ポリ
イミド膜の作製には、加熱のために特別の装置を必要と
し、その分、製造コストが高くなる。また、加熱により
TFTなどの回路が損傷される恐れもある。
【0007】(2)また、ポリイミドは製膜性が十分で
ないので、薄くて均一な膜厚の被膜を作製しにくい。こ
のため、膜厚の不均一に原因する表示ムラが発生し、ま
た厚い被膜が絶縁膜として作用するので、低電圧駆動の
液晶表示素子を実現しにくという問題もある。
【0008】(3)さらに上記に加えて、配向性を付与
するためのラビング操作において次のような問題が生じ
る。
【0009】被膜に凹凸があると凹部が擦れず、特に
大面積のパネルであると均一に擦れないため、配向欠陥
の発生、表示ムラの発生、表示焼き付き等の問題が生じ
る。
【0010】また配向膜上に静電気が発生し、この静
電気がTFTの機能を低下させる原因になる。
【0011】更にラビング材(綿布等)からゴミが発
生し、このゴミが表示ムラや基板間隙を変化させたりす
る原因となる。
【0012】このため、ラビング方式における上述のよ
うな問題点を解消することを目的として、非接触式の配
向方式が種々提案されている。
【0013】例えば特開平5−53118号公報では、
基板上に感光性組成物の層を形成し、露光および熱処理
により組成物層に所定パターンの溝を形成し、この溝に
よって配向性を付与する技術が提案されている。しか
し、この技術は、溝の形成のために大きな光エネルギー
を必要とする。また、均一な溝を形成し難いために、表
示ムラの発生等の問題が生じる。また配向規制力も十分
でない。
【0014】また、特開平7−72483号公報では、
ポリイミドもしくはポリイミド前駆体を含む配向膜形成
用化合物層に直線偏光光を照射してポリイミド等を重合
することにより、配向性を付与する技術が提案されてい
る。しかし、この技術は、有機高分子であるポリイミド
を用いるものであるので、厚い膜厚が液晶駆動電圧の上
昇を招くという課題を解消できない。また、配向膜の基
板に対する固定力が十分でないという問題もある。
【0015】また、特開平7−318942号公報で
は、高分子構造を有する配向膜に斜めから光照射し、配
向膜の分子鎖に新たな結合または分解反応を起こさせて
配向性を有する分子構造となす技術が提案されている。
しかし、この技術もポリイミドやポリビニルアルコー
ル、ポリスチレンなどの有機高分子からなる配向膜を対
象としている。したがって、この技術では膜厚が厚い、
基板固定力が小さい等の上述した課題を解消できない。
またこの技術は、プレチルト角を付与するために配向膜
に対し斜めから光照射することを必須とするが、斜めか
ら正確に光照射するためには精度の高い光照射装置を必
要とするので、その分、生産コストが上昇する。
【0016】上記の問題の他、ツイストネマチックモー
ドなどの液晶表示素子においては、従来より視野角が狭
いという課題がある。この課題を解決するための方法と
して、例えば特開平5−173135号公報では、配向
膜をある方向にラビングし、さらに当該部分をレジスト
で被覆した後、逆方向にラビングする方法を繰り返すこ
とにより、液晶の配向方向を異ならせた複数の領域を形
成する方法が提案されている。
【0017】しかし、ラビング法(接触式)方法におい
て液晶配向方向の異なる複数の区画を形成するには、分
割した区画毎にマスキングを施してラビングするという
煩雑な作業を繰り返さなければならない。このため、こ
の技術によると、配向膜の生産効率が大幅に低下すると
ともに、ゴミの発生等の問題が一層深刻な問題となる。
【0018】他方、特開平5−53118号公報等の上
記各技術を応用して、液晶の配向方向を異ならせた複数
の領域を形成することも可能である。しかし、上記各技
術は上述のごとく膜厚が厚い、基板固定力が十分でない
等の課題を有しているので、これらの技術を用いてもや
はり十分に満足し得る液晶配向膜を提供できない。
【0019】ところで、本発明者らは、特開平3−79
13号公報において、ナノメータレベルの膜厚の配向膜
を生産性よく製造できる技術を提案した。この技術は、
シラン系化学吸着物質(界面活性剤ともいう)を基板面
に化学吸着させてなる単分子膜を配向膜として利用する
ものである。この技術によると、基板上に結合固定した
状態の極めて薄い透明な被膜を容易かつ効率的に形成で
き、しかもラビングを施さなくとも液晶分子に対し或る
程度の配向規制力を有する配向膜を提供できる。しかし
ながら、この技術は、配向の熱的安定性や配向規制力の
強さ等に関し未だ改善の余地を残している。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記した問
題点を一挙に解消しようとするものであり、本発明の目
的は、ナノメータレベルの極めて薄い薄膜で、基板に均
一かつ強力に固定でき、配向の熱安定性や配向規制力に
優れるとともに広い視野角を持ち、しかも生産性よく製
造できる新規な液晶配向膜とそのような液晶配向膜を用
いた液晶表示素子を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の液晶配向膜は、電極を有する基板の表面に直
接または他の物質層を介して、−Si−O−結合により
結合固定された液晶配向膜であって、(化式1)に示す
特性基を有する化合結合単位を含むことを特徴とする。
【化14】
【0022】上記構成の液晶配向膜は、単分子層状の薄
膜とし、液晶分子を特定方向に配向させることができる
液晶配向規制力を有するものとすることができる。また
膜厚を0.5nm以上、10nm未満のものとすること
ができる。
【0023】単分子層状の薄膜であると、膜厚が極めて
薄いので光透過経路に配置しても光透過を阻害しないと
ともに、液晶駆動のための電界を阻害する程度が極めて
小さい。よって、輝度に優れかつ低電圧で駆動できる液
晶表示素子が実現できる。
【0024】ここで、理想的な単分子層は、個々の構成
分子が基板面と沿って並び、分子の重なりがない層を意
味するが、完全な単分子層を形成することは現実的に容
易ではない。そして完全な単分子層でなくとも、本発明
の目的を十分に達成することができる。よって、本発明
にいう「単分子層状の薄膜」とは、概ね単分子層と認識
できる程度の薄膜であればよい。例えば基板に吸着した
吸着分子の上に未吸着の分子が乗っかり複数分子層とな
った部分があってもよく、また自らは直接基板に結合固
定されていないが直接固定された分子に結合し、更には
直接固定されていない前記分子に更に他の分子が結合す
る形で複数の分子が連なり、複数分子からなる層を形成
することがあるが、本発明にいう単分子層状の薄膜に
は、このような複数分子から層が部分に含まれていても
よい。なお、本発明にいう単分子層状の薄膜とは、概ね
5nm以下の層を意味している。
【0025】上記構成における液晶配向膜は、下記(化
式2)に示す特性基を有する化学吸着物質が、電極を有
する基板の表面に直接または他の物質層を介して、−S
i−O−結合により化学吸着されたものとすることがで
きる。
【化15】
【0026】また、上記構成における液晶配向膜は、上
記(化式2)に示す特性基を有する化学吸着物質が、電
極を有する基板の表面に直接または他の物質層を介し
て、−Si−O−結合により化学吸着し、かつ化学吸着
した分子相互を、前記(化式2)の炭素・炭素二重結合
部分の結合手を介して架橋結合されたものとすることが
できる。
【0027】また、上記構成における前記(化式2)に
示す特性基を有する化学吸着物質は、下記(化式3)で
表される化合物とすることができる。
【化16】
【0028】上記において、前記(化式2)のA1 は、
カルコン骨格を構成するベンゼン環の4位に結合したも
のが好ましい。
【0029】更に、前記(化式3)のA1 は、カルコン
骨格を構成するベンゼン環の4位に結合し、A2 が、カ
ルコン骨格を構成するベンゼン環の4’位に結合したも
のが好ましい。
【0030】更に、上記各構成の液晶配向膜は、上記
(化式2)で表される特性基を有する1種類の化学吸着
物質のみで組成することもでき、また上記(化式2)で
表される特性基を有する2種類の化学吸着物質で組成す
ることもできる。また上記(化式2)で表される特性基
を有する1種類以上の化学吸着物質と他の化学物質とで
組成することもできる。そして、何れの態様において
も、液晶配向膜(薄膜)を組成する物質の何れかが、直
鎖状アルキル骨格、直鎖状シロキサン骨格若しくは直鎖
状フルオロアルキル骨格を有するものとするのが、均一
な膜を形成できるので好ましい。均一な膜であると高配
向性が実現できるからである。
【0031】また、上記各構成の液晶配向膜は、液晶分
子を一定方向に配向させる液晶配向規制力を有するもの
とでき、複数の異なる方向に配向させる液晶配向規制力
を有するものとすることもできる。複数の異なる方向に
配向させるものである場合、1画素単位が分割された小
区画ごとに液晶配向方向が異なるものが好ましく、より
好ましくは上記小区画がパターン状に形成されているの
がよい。このような配向特性を有する配向膜であると、
視野角の広い液晶表示素子が実現できるからである。
【0032】他方、本発明にかかる液晶配向膜は、少な
くとも電極を有する基板面に、前記(化式3)で表され
る化学吸着物質を含む溶液を接触させ前記化学吸着物質
を化学吸着させることにより、前記基板上に単分子層状
の薄膜を形成する薄膜形成工程と、前記薄膜に配向処理
を施す配向処理工程と、を備える液晶配向膜の製造方法
により製造することができる。
【0033】ここで、上記化学吸着物質としては、前記
A1 がベンゼン環の4位に結合した化合物が好ましく、
更にA1 としては下記(化式4)または(化式5)表さ
れる特性基が結合したものが好ましい。
【化17】
【化18】
【0034】また、上記(化2)のA2 としては、−
(CH2 )n −O−、−O−(CH2)n −O−、−C
O−(CH2 )n −O−(但し、それぞれのnは2以上
14以下の整数)が好ましい。
【0035】上記製造方法においては、上記した官能基
を有する1種類以上の化学吸着物質で組成した薄膜材料
を用いることもでき、また上記した官能基を有する1種
類以上の化学吸着物質と他の化合物とを組み合わせて薄
膜材料となし、これを用いることもできる。化学的物理
的な性質の異なる複数種類の化合物で薄膜材料を組成す
ると、薄膜の耐熱性や薄膜の密度、配向規制力、溶剤に
対する溶解性、偏光光に対する感受性、基板に対する吸
着力等を変化させることができ、所望の特性を有する配
向膜を得ることができる。
【0036】また、上記製造方法においては、好ましく
は前記薄膜形成工程と前記配向処理工程との間に、薄膜
の形成された基板面を非水系溶剤を用いて洗浄し、余剰
の薄膜材料を除去する洗浄工程を付加するのがよい。洗
浄用の非水系溶剤としては、洗浄性の点で非プロトン系
有機溶剤が好ましいが、非プロトン系有機溶剤とプロト
ン系有機溶剤の混合溶液を使用するのもよい。混合溶剤
であると、薄膜材料に対する溶解能を適当に調整でき、
また溶剤の蒸発速度を制御することができるからであ
る。
【0037】上記製造方法における配向処理としては、
下記する液切り乾燥法や偏光照射法を例示できる。
【0038】上記液切り乾燥法とは、被膜の形成された
基板面に非水系溶剤を接触させ、しかる後、当該非水系
溶剤を一定方向に液切り乾燥する方法である。この方法
によると、薄膜を構成する分子を仮配向させることがで
きる。液切り乾燥法で用いる溶剤としては、上記した洗
浄用の有機溶剤が好適に使用できる。よって、洗浄後の
基板を一定の方向に立てて基板面上に残った有機溶剤を
液切り乾燥する一連の操作により、基板面の洗浄と薄膜
構成分子に対する仮配向を行うことができることにな
る。
【0039】なお、仮配向によっても液晶分子に対する
配向規制力を或る程度付与できるが、仮配向のみでは熱
やその他の外部刺激(例えば擦り)に対する安定性が不
十分である。よって、好ましくは下記するが仮配向の
後、偏光照射法を実施するのがよい。
【0040】上記偏光照射法とは、薄膜の形成された基
板面に偏光光を照射する方法である。この方法による
と、光エネルギーにより薄膜を構成する分子相互を特定
方向に化学結合(架橋)させることができ、薄膜に液晶
分子を配向させることのできる配向規制力を付与でき
る。この配向規制力は分子相互が化学結合により連結さ
れて生じるものであるので、熱的安定性や化学的安定性
等に優れる。
【0041】偏光照射法の適用に当たっては、光強度及
び/又は波長を変えて複数回の照射を行うのが好まし
い。例えば、弱い光強度で複数回照射する方法である
と、照射面の温度の上昇を招くことなく構成分子相互を
化学結合されることができる。例えば、1回目の照射を
より吸収ピークに近い短波長側の偏光光で行い、或る程
度架橋反応を進めた後に、1回目の照射よりも長波長の
偏光光を用いて行うと、光照射に起因する分子構造の損
傷を抑制しつつ、感光基部分で構成分子相互をより均一
に化学反応させることができる。
【0042】また、偏光照射法においては、基板に対す
る入射角を変えて複数回行うこともできる。この方法に
よるとプレチルト角を変化させることができる。
【0043】また、偏光照射法においては、偏光光の照
射を、照射ごとに偏光方向の異なる偏光光を用い、かつ
照射ごとに照射区画が変わるようして照射することがで
きる。薄膜に偏光光を照射すると、偏光光が主に偏光方
向と平行な光感応性の原子−原子結合部分に作用し当該
結合部分に架橋反応を起こさせる。よって、照射ごとに
偏光方向の異なる偏光光を用い、かつ照射ごとに照射区
画が変わるようして照射すると、分子間の結合方向が異
なる複数の区画を形成できる。この方法においては、好
ましくは上記区画を1画素単位よりも小さくする。この
ようにすると、複数の異なる配向方向を有する画素単位
が形成できる。このようなマルチドメインの液晶配向膜
を用いることにより、視野角の広い液晶表示素子が実現
できる。
【0044】また、上記偏光照射法においては、光強
度、波長、照射回数、基板に対する光の入射角、照射パ
ターンの各要素を総合的に制御するのがよい。これらの
要素を好適に制御すると、所望の配向特性を有する配向
膜を作製することができる。
【0045】更に、上記製造方法における配向処理とし
て、液切り乾燥法によって仮配向させた後、偏光光を照
射して再配向させる方法を採用することができる。この
方法によると、確実かつ安定的に所望の配向特性(配向
方向、配向規制力、プレチルト角など)を付与できる。
【0046】ここで、仮配向後に偏光光を照射する上記
方法を採用する場合、偏光光の偏光方向と仮配向方向
(液切り乾燥方向)とを完全に90゜で交差するのでは
なく、多少、好ましくは数度以上ずらすのがよい。仮配
向方向と偏光方向を直交させた状態で偏光光を照射した
場合、構成分子個々がランダムに2方向を向いてしまう
恐れがあるからである。
【0047】なお、仮配向した後に偏光光を照射する
と、配向規制力の強い配向膜が得られる理由や、偏光方
向と架橋結合方向の関係、仮配向方向と偏光方向と架橋
結合方向の三者の関係等は、十分に明らかになっていな
いが、液切り乾燥法と偏光照射法を組み合わせると、良
好な配向特性の液晶配向膜が形成できることは実験的に
確認されている。
【0048】本発明にかかる液晶配向膜の製造方法とし
て、下記(化式3)で表される化学吸着物質を含む溶液
を少なくとも電極を有する基板面に接触させ、前記基板
面に前記化学吸着物質を化学吸着させて、基板上に単分
子層状の薄膜を形成する被膜形成工程と、薄膜の形成さ
れた基板面に非水系溶剤を接触させ後、当該非水系溶剤
を一定方向に液切り乾燥することにより、吸着分子を仮
配向させる仮配向工程と、仮配向後の基板面に偏光光を
照射し、吸着分子相互を架橋反応させることにより、吸
着分子を特定方向に再配向させる再配向工程と、を備え
る液晶配向膜の製造方法であって、上記仮配向工程と再
配向工程とを2回以上繰り返して行うにより、1画素単
位を複数かつパターン状に分割した小区画ごとに液晶配
向規制方向の異なるマルチドメインの液晶配向膜を作製
する製造方法を採用することができる。
【化19】
【0049】この製造方法では、仮配向工程と再配向工
程を繰り返して行うが、上記したように、仮配向後に偏
光光を照射する方法であると、効率的に架橋反応を進行
させ、吸着分子を再配向させることができる。そして、
架橋反応によって再配向させた吸着分子の配向方向は、
再度液切り乾燥しても損なわれることがない。よって、
液切り乾燥(仮配向)→1画素を分割する区画単位で偏
光光照射→液切り乾燥(仮配向)→1画素を分割する他
の区画単位に偏光光照射・・・を繰り返すと、確実かつ
効率よく1画素内に配向方向の異なる複数の小区画の形
成された液晶配向膜を作製することができる。
【0050】以上で説明した液晶配向膜を用いてなる本
発明にかかる液晶表示素子は、次の構成とすることがで
きる。
【0051】すなわち、少なくとも電極を有する2枚の
基板を電極側を内側にして対向させ、両基板の間に液晶
を封入した構造の液晶表示素子において、前記基板の少
なくとも一方の基板の表面に、前記(化式1)に示す特
性基を有する化合結合単位を含む液晶配向膜が−Si−
O−結合により結合固定された液晶表示素子とすること
ができる。
【0052】また、電極と対向電極とが同一基板上に形
成されたインプレーンスイッチング型の液晶表示素子に
おいて、前記基板の電極及び対向電極が形成された面
に、前記(化式1)に示す特性基を有する化学結合単位
を含む液晶配向膜が−Si−O−結合により結合固定さ
れた液晶表示素子とすることができる。なお、上記(化
式1)に示す特性基を有する化学結合単位を含む液晶配
向膜の作製方法および好ましい態様については、前記液
晶配向膜の説明で記述したと同様である。よって、ここ
での詳細な説明を省略するが、上記液晶表示素子の構成
においては、光透過や電界を阻害しないことから、単分
子層状の薄膜からなる液晶配向膜を用いるのが好まし
く、また広い視野角が得られることから、液晶配向方向
やチルト角が1画素を分割した小区画ごと異なるマルチ
ドメインタイプの液晶配向膜を用いるのが好ましい。
【0053】以上で説明した本発明にかかる液晶配向膜
は、薄膜材料を電極を有する基板とSi−O−結合によ
り直接的に結合固定してもよいが、電極面上に他の物質
層を形成し、この物質層にSi−O−結合させることに
より結合固定することもできる。ここで、他の物質層と
しては、表面にOH基、COOH基、NH2 基、NH
基、SH基等の親水性基を有する層が好ましく、このよ
うな物質層としてはSiO2 層、TiO2 層などが例示
できる。
【0054】
【発明の実施の形態】本発明液晶配向膜の更に詳細な形
態を以下に説明する。本発明の液晶配向膜の代表的な形
態は、前記(化式1)に示す特性基を有する化合結合単
位を含む単分子層状の薄膜であり、液晶分子を特定方向
に配向させることができる液晶配向規制力を有する液晶
配向膜であることを特徴とする。そして、このような液
晶薄膜は、前記(化式2)に示す特性基を有する化学吸
着物質を、電極を有する基板の表面に直接または他の物
質層を介して、−Si−O−結合により化学吸着させ、
かつ化学吸着させた分子相互を、前記(化式2)の炭素
・炭素二重結合部分の結合手を介して架橋結合して形成
したものであることを特徴とし、その製造方法として
は、化式2で表される特性基を有する化学吸着物質を含
む薄膜材料を非水系溶剤に溶解し、これを基板面に接触
させた後、紫外線又は遠紫外線を照射する方法が挙げら
れる。
【0055】ところで、一般にカルコン骨格を有する化
合物は、高い光反応性を有しており、特に2つのベンゼ
ン環に特定の置換基を結合させた上記(化式2)に示す
カルコン誘導体は、極めて高い光反応性と化学吸着性を
有する。したがって、前記(化式2)の化学吸着物質を
用いる上記構成によると、基板表面に化学吸着してなる
単分子層状の薄膜を容易に形成できる。またこの薄膜に
光照射することにより容易に分子間架橋反応を起こさせ
ることができる。そして、(化式2)の化学吸着物質を
基板面に化学吸着してなる薄膜(配向膜)は、基板に化
学吸着により強力に結合固定されているので、密着性に
優れる。また、個々の吸着分子が基板面に沿って配列さ
れた極めて薄い被膜であり、しかもこの膜は有機高分子
物質からなるものではないので、光透過を障害しないと
ともに電気抵抗膜としても作用しない。更に、液晶分子
に対し強力な配向規制力を及ぼすことができ、熱的安定
性にも優れている。よって、本発明の所期の目的を十分
に達成できることになる。
【0056】上記構成における置換基A1 は、ベンゼン
環の4位に結合しているのがよいが、2位、3位、に結
合していてもよい。またもう一方のベンセン環の2’
位、3’位4’位のいずれかには、基板に化学吸着する
官能基を有するものが好ましく、このような官能基とし
は下記(化式3)に示すがごとく−SiX基を含む特性
基が例示できる。
【化20】
【0057】上記置換基A1 としては、以下に列挙する
置換基が好ましい。但し、これらに限定されるものでは
ない。
【0058】(1) メチル基、エチル基、n-プロピル
基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプ
チル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-デ
シル基、n-ウンデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデ
シル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプ
タデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、n-エ
イコシル基、フェニル基等の炭化水素基。
【0059】(2)上記(1) の炭化水素基の一部に炭素炭
素二重結合若しくは炭素炭素三重結合を含む炭化水素
基。
【0060】(3) 上記(1) 及び(2) の炭化水素基の水
素が他の官能基(例えばメチル基、ハロゲン化メチル
基、水酸基、シアノ基等)及び/若しくは原子(例え
ば、Cl、Br、I等)に置換された官能基。
【0061】(4) 上記(1) 及び(2) の炭化水素基のパ
ーフルオロ型官能基。
【0062】(5) 上記(1) 及び(2) の炭化水素基の末
端から8以内の炭素に結合する水素がフッ素置換された
官能基。
【0063】(6) 上記(1) 及び(2) の炭化水素基のC
−C結合の一部がC−O−C(エーテル)結合若しくは
C−CO−C−(カルボニル)結合置換された官能基。
【0064】(7) 上記(1) 及び(2) の炭化水素基を含
むアルコキシル基。
【0065】(8) 上記(1) 及び(2) の炭化水素基のC
−C結合の一部がC−O−C(エーテル)結合若しくは
C−CO−C−(カルボニル)結合置換されたパーフル
オロ型官能基。
【0066】(9) 上記(1) 及び(2) の炭化水素基のC
−C結合の一部がC−O−C(エーテル)結合若しくは
C−CO−C−(カルボニル)結合置換され、末端から
8以内の炭素に結合する水素がフッ素置換された官能
基。
【0067】(10)上記(1) 及び(2) の炭化水素基のパ
ーフルオロ置換基を含むアルコキシル基。
【0068】(11) 上記(1) 及び(2) の炭化水素基の末
端から8以内の炭素に結合する水素がフッ素置換された
官能基を含むアルコキシル基。
【0069】(12) 上記(1) 及び(2) の炭化水素基のパ
ーフルオロ置換基が結合したカルボニル基。
【0070】(13) 上記(1) 及び(2) の炭化水素基の末
端から8以内の炭素に結合する水素がフッ素置換された
官能基の結合したカルボニル基。
【0071】上記置換基のうち、カルコン骨格に結合す
ると共役構造が広がる官能基、及び電子供与的な官能基
を有するものが実用上特に好ましい。この理由は、この
ような官能基が結合したカルコン誘導体は、超高圧水銀
灯のi線である365nm付近に光吸収ピーク波長を有
するので、光照射により架橋反応させるのに都合がよい
からである。
【0072】他方、上記化合物を基板に化学吸着させる
のに不可欠な−SiX基(但し、Xはハロゲン若しくは
アルコキシル基)とカルコン骨格とを結ぶ2価の官能基
としては、上記(1) 〜 (13) に記載した置換基であっ
て、末端の原子を一つ失って2価となる官能基が適当で
ある。但し、これらに限定されない。
【0073】上記化合物は、カルコン骨格から合成から
始めてもよいが、カルコン誘導体を出発物質にして合成
してもよい。カルコン骨格から合成する場合、カルコン
骨格の4位に導入すべき所望の官能基を4位に有するベ
ンズアルデヒドと、ベンゾイル基を有する物質とをアル
ドール縮合反応(これに続く脱水反応を含む)させれば
よい。他方、カルコン誘導体を利用して目的の化合物を
得るには、カルコン骨格の4位に導入すべき所望の官能
基を4位に有するカルコン誘導体を使用するのが好まし
い。但し、これらの合成方法に限定されないこと勿論で
ある。
【0074】本発明にかかる薄膜(配向膜前駆体)は、
上記化学吸着物質を非水系溶剤に溶解した溶液を、少な
くとも電極を有する基板に接触させることにより作製で
き、好ましくは上記溶液に電極を有する基板を浸漬する
のがよい。上記非水系溶剤としては、例えばアルキル
基、フッ化炭素基または塩化炭素基またはシロキサン基
を含む非水系の有機溶剤が使用できる。なお、上記化学
吸着物質とともに他の化合物を含ませた溶液を用いて、
2種類以上の複合成分からなる薄膜を作製することもで
きる。
【0075】上記化学吸着物質を用いて作成した膜は、
未吸着の化合物を除去するために洗浄するのがよく、洗
浄剤としては、非プロトン系有機溶剤が好ましいが、プ
ロトン系有機溶剤でもよく、また両者を混合した混合溶
剤でもよい。非プロトン系有機溶剤とプロトン系有機溶
剤とを混合する方法によると、化合物に対する溶解能を
適当に調整できる利点がある。
【0076】非プロトン系有機溶剤としては、クロロホ
ルム等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系
溶剤、γ−ブチルラクトン等のラクトン系溶剤、酢酸エ
チル等のエステル系溶剤が適当であり、またプロトン系
有機溶剤としては、メタノール、エタノール等のアルコ
ール系溶剤が適当である。但し、これらの溶剤に限定さ
れないことは勿論である。
【0077】配向処理方法としては、例えば膜面に溶剤
を付着させた後、一定方向に液切りし乾燥させるという
方法が考えられる。より具体的には、成膜された基板を
上記に記載した溶剤を入れた溶剤槽に、液面と基板がほ
ぼ垂直になるように一定時間浸漬し、しかる後、溶剤層
よりほぼ垂直に基板を引き上げ、この状態で乾燥させる
方法や、ほぼ垂直に立てた基板の上方から溶剤を流した
後、溶剤を乾燥させる方法がある。これらの方法による
と、溶剤が濡れ面の上端から徐々に下方に下がり、乾燥
が上方から下方に向かって進む。これにより、吸着分子
が乾燥の進行方向に沿って配向するとともに、基板に結
合していない過剰の分子(化学吸着物質)を洗い流すこ
とができる。
【0078】なお、本明細書では液切り乾燥による配向
を仮配向と称する。仮配向は分子間結合によるものでは
ないので、下記する偏光光照射による方法に比べて配向
力が弱い。
【0079】もう一つの配向処理方法として、薄膜の形
成された基板面に偏光光を照射する方法が例示できる。
この方法は、偏光光を照射することにより、偏光方向と
平行な薄膜構成分子(吸着分子)の光感応性の原子−原
子結合部分に光エネルギーを作用させ、当該部分の化学
反応を惹起させて、薄膜構成分子相互を架橋反応させ、
一定方向の液晶配向規制力を付与するものである。この
方法によると、熱的安定性等に優れた配向特性を付与で
きる。
【0080】なお、本明細書ではこの配向方法を再配向
と称する。
【0081】上記再配向で使用する偏光光としては、一
定方向に分子間結合させるため、直線偏光光が好まし
い。直線偏光光を得る方法としては、通常用いられる吸
収型の偏光板を介して得る方法、偏光ビームスプリッタ
ー等の非吸収型の偏光分離素子を介して得る方法等を用
いることができる。また偏光光波長としては、膜材料物
質が光反応を起こす波長であればよく、通常では紫外領
域の光が使用される。露光時の温度としては、通常、室
温付近から100℃前後の温度を用いるが、この範囲以
外の温度であってもよい。なお、本発明に適用できる配
向処理方法は、上記に限定されるものではない。
【0082】本発明にかかる液晶配向膜のプレチルト角
や配向方向などの特性は、本発明に規定する範囲で被膜
を構成する化合物の種類を変えることにより変化させる
ことができる他、液切り乾燥法を用いる場合には溶剤の
種類や乾燥条件を変えることにより変化させることがで
き、また偏光照射法において、偏光光の照射条件を変化
させることにより変化させることができる。そして、プ
レチルト角を大きく変えるには偏光光の照射条件、例え
ば偏光光の照射エネルギー量、照射角度、照射回数等を
変えることが特に有効である。
【0083】本発明の液晶表示素子では、ネマチック液
晶、スメクチック液晶、ディスコチック液晶、強誘電性
液晶等が使用できるが、分子形状の面から特にネマチッ
ク液晶が好適に使用できる。ネマチック液晶としては、
例えばビフェニル系、ターフェニル系、アゾキシ系、シ
ッフベース系、フェニルシクロヘキサン系、ビフェニル
シクロヘキサン系、エステル系、ピリミジン系、ジオキ
サン系、ビシクロオクタン系、キュバン系等が挙げられ
る。
【0084】
【実施例】以下実施例を用いて本発明の具体的内容を説
明する。
【0085】(実施例1)先ず、炭素鎖を含み炭素鎖の
末端あるいは一部にカルコン骨格とSiを含む下記(化
式7)で表されるクロロシラン系化学吸着物質(界面活
性剤ともいう)を、下記反応工程1〜3に従って合成し
た。
【化21】
【0086】反応工程1:4-Methoxybenzaldehyde 14
7g(1.08mol)、4-Hydoxyacetophenone147
g(1.08mol)、エタノール1.3Lを5L反応
コルベンに仕込み、5゜C以下で10%水酸化ナトリウ
ム水溶液2.16Lを3時間かけて滴下した。滴下後、
室温に戻し3日間攪拌した。反応液を氷水1.8Lに注
入し、2N塩酸2.5Lを加え、析出した結晶を濾取し
た。得られた粗結晶をイソプロピルアルコール(IP
A)およびトルエンで洗浄し、乾燥させて、207gの
精製品(4-Methoxy-4'-hydroxychalcone)を得た(収率
75%)。反応式を図8(a)に示す。
【0087】反応工程2:アルゴン気流下、4-Methoxy-
4'-hydroxychalcone180g(0.709mol)、dr
y DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)1260m
lを3L反応コルベンに仕込み、氷冷下、水素化ナトリ
ウム(60%)28.4g(0.709mol)を40
分かけて加えた。その後、室温まで加温し、20時間攪
拌した。次に、同温にて6-Chlorohexanol 97g(0.
709mol)を20分間で滴下し、しかる後80゜C
に加熱して20時間反応させた。
【0088】反応液を氷水中に注入し、反応生成物を酢
酸エチルで抽出し水洗し、酢酸エチル側の液を硫酸マグ
ネシウムで乾燥した後、酢酸エチルを蒸発させた。
【0089】得られた粗結晶をシリカゲルカラム精製
(移動相:ヘキサン/酢酸エチル=1:1)し、さらに
酢酸エチルで再結晶して、134.4gの精製品(4-Me
thoxy-4'-(6-hydoxyhexyloxy)chalcone )を得た(収率
53.5%)。反応式を図8(b)に示す。
【0090】反応工程3:アルゴン気流下、4-Methoxy-
4'-(6-hydoxyhexyloxy)chalcone 90g(0.245m
ol)、四塩化ケイ素360g(2.12mol)を1
L反応コルベンに仕込み、室温にて2時間攪拌させた。
【0091】過剰の四塩化ケイ素を留去し、残さに脱水
ヘキサンを加えて結晶を分散後、濾取し、乾燥させて7
0gの目的物(精製品)を得た(収率56.5)。反応
式を図8(c)に示す。
【0092】なお、上記目的物(化学吸着物質)につい
ては、 1HNMR等により前記(化式7)に示す化合物
であることを確認した。また、この目的物をクロロホル
ムに溶解し紫外・可視吸収スペクトルを測定したとこ
ろ、可視光域に吸収がなく、340nmをピークとする
紫外領域に吸収が確認された。
【0093】次に上記で合成した化学吸着物質を用いて
液晶配向膜を作製した。以下、順次作製方法を説明す
る。
【0094】表面にインジウム錫酸化物よりなる透明電
極とその上にSiO2 層が形成されたガラス基板をあら
かじめよく洗浄し脱脂し基板1となした。他方、上記化
学吸着物質を、十分に脱水したシロキサン系溶剤(信越
化学社製、KF96L)とクロロホルムの混合溶剤に溶
解し、化学吸着物質が1重量%濃度の化学吸着液2を用
意した。なお、この混合溶剤は非プロトン系溶剤であ
る。
【0095】次いで図1に示すようにして、相対湿度3
0%以下の乾燥雰囲気中で上記化学吸着液2に上記基板
1を1時間程度浸漬(塗布しても良い)した。その後、
十分に脱水した非プロトン系の溶剤であるクロロホルム
3(洗浄液)に漬けて、上記化学吸着液2を洗い流し、
しかる後、重力と平行な方向(上方)に基板1を引き上
げ液切りし(図2)、基板を立てた状態で水分を含む空
気中に暴露した。
【0096】これにより、前記化学吸着物質(クロロシ
ラン系界面活性剤)のSiCl基と基板表面の水酸基と
の間で脱HCl反応が生じ、さらに空気中の水分と反応
して下記(化式8)に示す化合物が生成される。
【化22】
【0097】以上の一連の処理により、クロロシラン系
化学吸着物質の分子(以下、構成分子という)が基板表
面の水酸基部分にシロキサン結合を介して固定(化学吸
着)されてなる単分子層上の薄膜が形成された。この薄
膜の膜厚は、エリプソメーターを用いた厚み測定で、屈
折率を1.45とした場合において約25nmであっ
た。なお、対向電極の形成された基板に対しても同様な
操作を行い薄膜の形成された対向基板を用意した。
【0098】ここで、上記で作製した薄膜は、構成分子
の一端が基板表面に化学吸着され、他端が液切り方向に
沿ってある程度配向したものとなっている。上記方法に
より、構成分子が或る程度配向するのは、一定の方向に
基板を立てて液切り乾燥を行ったからである。なお、こ
の方法による配向を仮配向と称する。
【0099】次に、仮配向させた薄膜に対して、液切り
方向5とほぼ平行方向に偏光方向6が向くように偏光板
7(HNP´B;ポラロイド社製)を重ね、500Wの
高圧水銀灯を用い365nmの紫外光8(偏光板透過後
の光強度2.1mW/cm2)を480mJ/cm2 照
射した(図3)。
【0100】紫外光照射後の薄膜について、FT−IR
(Fourier transform infrared spectroscopy)を用い構
成分子の異方性を調べた。その結果、分子相互の結合方
向は明らかにできなかったが、偏光方向とこれに直交す
る方向とではIR吸収に差が認められ、偏光方向におけ
るIR吸収がこれに直交する方向よりも顕著に減少して
いた。このことは、カルコン骨格の感光基が偏光方向の
光エネルギーを受けて架橋結合したことを意味する。構
成分子相互が架橋結合すると、立体構造的に構成分子の
配向方向が固定されるので、仮配向よりも安定性の高い
配向性が付与される。図4に構成分子相互が架橋結合さ
れた状態を概念的に示した。図4の符号34が架橋部分
である。
【0101】次に、上記で作製した基板1と対向基板と
を配向膜面を対向させ、スペーサを介在させて20μm
の間隙で重ね合わせ、間隙内にネマチック液晶9(ZL
I4792;メルク社製)を注入して液晶セルを構成し
た。なお、2枚の基板は、各々の基板の液切り方向が反
対向き(アンチパラレルな状態)になるようにして配置
した。
【0102】この液晶セルにおける液晶分子の配向方向
を2枚の偏光板を用いて調べたところ、液晶分子が液切
り方向に沿って配向していることが確認された。また、
光学的なクリスタルローテーション法を用いてプレチル
ト角を測定したところ、基板面に対して偏光方向に沿っ
てプレチルト角が約3゜で配向していることが確認され
た。なお、この液晶セルにおける液晶分子の配向状態を
図5に模式的に示した。図5の符号10は透明電極、1
1は化学吸着膜層を表わす。
【0103】(実施例2)実施例2では、パターン状の
マスクを介して紫外光の照射を行い、各領域ごとに配向
方向が異なる液晶配向膜を作製した。なお、実施例2と
上記実施例1とは、紫外光の照射条件が異なるのみであ
るので、ここでは紫外光の照射条件を中心にして説明す
る。
【0104】先ず、実施例1と同様にして、基板上に薄
膜を形成し、構成分子を仮配向させた。次に、パターン
状のマスクを用意しこれを偏光板に重ねた後、上記薄膜
に対し365nmの波長の紫外光を400〜800mJ
/cm2 照射し、実施例1と同様にして液晶セルを作製
した。
【0105】この液晶セルについて、上記と同様な手法
を用いて液晶の配向特性を調べた。その結果、マスクさ
れなかった部分の配向方向が変化しており、配向方向の
異なる部分がパターン状に形成されていることが確認さ
れた。このことは、偏光光が照射された領域のみの配向
方向が変化した結果、仮配向方向に沿った配向領域と、
偏光方向に沿った配向領域が形成されたことを意味す
る。
【0106】(実施例3)実施例3では、1画素単位を
複数に分割した小区画に偏光光が照射されるように調製
したマスクを介し、かつ1回ごとに薄膜面と偏光方向と
の位置関係を変えて、4回の紫外光照射を行い、これ以
外は上記実施例1、2と同様にして液晶セルを作製し
た。
【0107】この実施例3にかかる液晶セルについて
も、上記と同様な手法を用いて液晶の配向特性を調べた
ところ、1画素内でマルチドメイン配向された液晶セル
が形成されたことが確認できた。
【0108】(実施例4)カルコン骨格とSi基を有す
る化学吸着物質(クロロシラン系界面活性剤)として、
下記(化式10)で表される化合物を用いたこと以外
は、上記実施例1と同様にして液晶セルを作製した。
【化23】
【0109】この液晶セルについて、上記実施例1と同
様な手法で配向状態を調べたところ、液晶分子は偏光方
向に沿って基板面に対しプレチルト角が約3度で配向し
ていることが確認された。
【0110】(実施例5)実施例5では、ガラス板(表
面に水酸基を有するもの)上にインジウム錫酸化物より
なる透明電極12を形成し、更にその上に厚み50nm
のSiO2 層13を形成した基板2を作製し、この基板
2の表面に上記(化式10)に示した化学吸着物質を用
いて薄膜14を形成した。そして、その他の事項につい
ては上記実施例4と同様にして、実施例5の液晶セルを
作製した。この液晶セルの概念図を図6に示した。
【0111】上記液晶セルについて、上記実施例1と同
様な手法で配向状態を調べたところ、液晶分子は偏光方
向に沿って基板面に対し約4度のプレチルト角で配向し
ていることが確認された。
【0112】(実施例6)実施例6では、上記の如き液
晶配向膜を用いて液晶表示装置を作製した。以下、この
液晶表示装置の製造プロセスについて図7を用いて説明
する。
【0113】先ず、図7に示すように、マトリックス状
に載置された第1の電極群21とこの電極を駆動するT
FT(Thin Film Transistor) 群22を有する第1の基
板20上、および第1の電極群と対向するように載置し
たカラーフィルター群25と第2の電極26(対向電
極)を有する第2の基板24上に、実施例1と同様の手
順にしたがって調製した化学吸着液を塗布し同様の化学
吸着単分子膜を作製した。これにより、実施例1と同様
に電極パターンに沿って再配向した液晶配向膜23、2
7が作製できた。
【0114】次に、前記第1と第2の基板20、24を
電極が対向するように位置合わせしてスペーサ29と接
着剤30で4.5ミクロンのギャップで90度ツイスト
配向したセルを作成した。その後、前記第1と第2の基
板に前記TN液晶(ZLI4792;メルク社製)28
を注入して液晶表示素子となし、更にこの素子の両外側
に偏光板31・32を配置し、第1の基板側にバックラ
イト33を配置して液晶表示装置を完成した。
【0115】上記液晶表示素子について、実施例1の場
合と同様な手法で液晶分子のチルト角を測定したとこ
ろ、約5度であった。また、この装置の第1の基板側か
らバックライト33を照射しながら、ビデオ信号を用い
て各々のトランジスタを駆動させたところ、矢印Aの方
向に輝度に優れた鮮明な映像が表示できた。
【0116】(実施例7)実施例5と同様な薄膜を作製
した後、実施例3と同様の方法で前記偏光板に各々の画
素を4分割する市松模様のマスクを重ねて露光する工程
を4回行った。これ以外については、上記実施例6と同
様にして実施例7にかかる液晶表示装置を作製した。
【0117】上記液晶表示装置の液晶セルについて、前
記と同様な手法で液晶分子の配向を調べたところ、同一
画素内に配向方向の異なる4つの小区画がパターン状に
形成されていることが確認された。更にこの装置を用い
て、視野角を肉眼的に観察したところ、配向方向が一定
の実施例6の装置に比べて視野角が大幅に改善されてい
た。
【0118】〔その他の事項〕上記実施例では、それぞ
れ電極の形成された一対の基板の上にそれぞれ配向性を
有する化学吸着単分子膜を形成したが、一方の基板のみ
に配向性を有する化学吸着単分子膜を形成してもよい。
但し、配向安定性を高めるためには、双方の基板に配向
性を有する化学吸着単分子膜を形成するのが好ましい。
【0119】また、上記実施例では、クロロシラン基を
有する化学吸着物質を用いたが、クロロシラン基の代わ
りにアルコキシシラン基やイソシアネートシラン基を導
入した化学吸着物質を使用でき、これの物質においても
配向規制力や基板に対する化学吸着力に優れた液晶配向
膜が得られる。
【0120】更に、上記実施例では、水を含まない洗浄
用溶剤として、クロロホルムを用いたが、これに限られ
るものではなく、化学吸着物質(界面活性剤)を溶かす
ことができる非水系溶剤ならどのような溶剤でも使用可
能である。このような溶剤として例えば、フッ化炭素
基、塩化炭素基またはシロキサン基を含む溶剤、より具
体的にはフレオン113、クロロホルム、ヘキサメチル
ジシロキサン等が例示できる。
【0121】また、上記実施例では、露光用として超高
圧水銀灯の365nmの光を用いたが、これに限られる
ものではなく、化学吸着単分子膜の光の吸収度合いに応
じて例えば436nm、405nm、25nmや、Kr
Fエキシマレーザーで得られる248nmの光を用いる
ことができる。これらの波長の光のうち、248nmや
254nmの光が、本発明にかかる化学吸着薄膜に吸収
され易いので、エネルギー配向効率の点で優れている。
【0122】本発明にかかる液晶配向膜は、下記(化式
9)で表される化学結合単位を含んでいるが、(化式
9)で表される化学結合単位を含む配向膜は、ツイスト
ネマチック(TN)型液晶に対する配向規制力が強い。
したがって、本発明はこのタイプの液晶表示素子に特に
好適に適用できる。なお、(化式9)で表される化学結
合単位を含む化学吸着物質は、一般にアルキル基、フッ
化炭素基または塩化炭素基またはシロキサン基を含む非
水系の有機溶剤に溶解する。よって、化学吸着液の作成
に際して、これらの有機溶剤が好適に使用できる。
【化24】
【0123】また、上記実施例では電極を有する一対の
基板を重ね合わせてなる液晶表示素子について記述した
が、本発明によると、ラビングを施すことなく多様な配
向特性を有する配向膜が作成できるので、本発明液晶配
向膜は、一対の電極が片方の基板のみに形成されている
インプレーン(IPS)方式の液晶表示素子に好適に適
用できる。
【0124】更に、上記実施例において使用した化学吸
着物質とともに、別の化学吸着物質、例えばオクタデシ
ルトリクロロシランを混合した複合化学吸着物質を用い
て薄膜を形成することもでき、別の化学吸着物質を配合
することにより、プレチルト角等を変化させることがで
きる。
【0125】
【発明の効果】以上に説明した通り、本発明によると、
従来のものに比べて格段に薄くて均一な配向膜が作製で
き、この配向膜は構成分子(吸着分子)相互が架橋結合
しているので熱安定性や配向性に優れ、しかも基板面に
共有結合を介して強固に結合されている。したがって、
本発明によると、表示性能に優れた信頼性の高い液晶配
向膜が提供できる。
【0126】また、本発明製造方法によると、簡易な液
切り乾燥法や遠紫外線や紫外線を用いた偏光照射法によ
り、所望の配向方向やプレチルト角を付与できる。よっ
て、信頼性の高い液晶配向膜を生産性よく製造できる。
【0127】更に、本発明製造方法において、薄膜の作
製後、偏光板にパターン状のマスクを介して複数回露光
する方法を用いると、パターン状に分割された小区画ご
とに配向方向が異なる液晶配向膜を極めて効率よく製造
できる。よって、本発明製造方法によると、視野角の広
いマルチドメインタイプの液晶表示装置をより安価に提
供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる単分子層状の薄膜を作製する化
学吸着工程を説明するための概念図である。
【図2】本発明にかかる単分子層状の薄膜の洗浄工程を
説明するための概念図である。
【図3】光照射により薄膜の構成分子を再配向させる配
向処理工程の概念図である。
【図4】光照射後における薄膜構成分子の配向状態を説
明するための概念図である。
【図5】実施例1の液晶セルを説明するためのセル断面
図である。
【図6】実施例5の液晶セルを説明するためのセル断面
図である。
【図7】実施例6における液晶表示装置の断面を模式的
に示した図である。
【図8】実施例1で使用した化学吸着物質を合成するた
めの手順を示す図である。
【符号の説明】
1 基板 2 化学吸着液 3 洗浄用非水系溶剤 4 洗浄液からの引き上げ方向 5 仮配向した薄膜 6 偏光方向 7 偏光板 8 照射光 9 再配向された薄膜 10 透明電極 11 液晶配向膜 12 透明電極 13 SiO2 層 14 液晶配向膜 20 第1の基板 21 第1の電極群 22 TFT群 23 第1の液晶配向膜 24 第2の基板 25 カラーフィルター群 26 第2の電極群 27 第2の液晶配向膜 28 液晶 29 スペーサ 30 接着剤 31,32 偏光板 33 バックライト 34 架橋結合
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平10−168195(JP,A) 特開 平10−153783(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/1337

Claims (32)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電極を有する基板の表面に直接または他
    の物質層を介して、 −Si−O−結合により結合固定された液晶配向膜であ
    って、下記(化式1)に示す特性基を有する化合結合単
    位を含むことを特徴とする液晶配向膜。 【化1】 A1はベンゼン環についた官能基
  2. 【請求項2】 前記液晶配向膜は、単分子層状の薄膜で
    あり、液晶分子を特定方向に配向させることができる液
    晶配向規制力を有する、 請求項1に記載の液晶配向膜。
  3. 【請求項3】 前記液晶配向膜の膜厚は、0.5nm以
    上、10nm未満である、 請求項2に記載の液晶配向膜。
  4. 【請求項4】 前記液晶配向膜は、下記(化式2)に示
    す特性基を有する化学吸着物質が、電極を有する基板の
    表面に直接または他の物質層を介して、−Si−O−結
    合により化学吸着してなるものである、 請求項1ないし3に記載の液晶配向膜。 【化2】
  5. 【請求項5】 前記液晶配向膜は、前記(化式2)に示
    す特性基を有する化学吸着物質が、電極を有する基板の
    表面に直接または他の物質層を介して、−Si−O−結
    合により化学吸着し、かつ化学吸着した分子相互が、前
    記(化式2)の炭素・炭素二重結合部分の結合手を介し
    て架橋結合されてなるものである、 請求項1ないし3に記載の液晶配向膜。
  6. 【請求項6】 前記(化式2)に示す特性基を有する化
    学吸着物質は、下記(化式3)で表される化合物であ
    る、請求項4または5に記載の液晶配向膜。 【化3】
  7. 【請求項7】 前記(化式2)又は(化式3)のA1
    は、カルコン骨格を構成するベンゼン環の4位に結合し
    ている、請求項4ないし6に記載の液晶配向膜。
  8. 【請求項8】 前記(化式2)又は(化式3)のA1
    は、カルコン骨格を構成するベンゼン環の4位に結合
    し、A2 は、カルコン骨格を構成するベンゼン環の4’
    位に結合している、 請求項4ないし6に記載の液晶配向膜。
  9. 【請求項9】 前記(化式2)又は(化式3)のA1
    は、下記(化式4)若しくは(化式5)で表される特性
    基である、 請求項4ないし8に記載の液晶配向膜。 【化4】 【化5】
  10. 【請求項10】 前記液晶配向膜は、前記(化式2)又
    は(化式3)に示す特性基を有する2種類以上の化学吸
    着物質で構成されている、請求項4ないし9に記載の液
    晶配向膜。
  11. 【請求項11】 前記液晶配向膜は、前記(化式2)又
    は(化式3)に示す特性基を有する化学吸着物質と、こ
    れ以外の化学物質を含み構成されている、 請求項4ないし9に記載の液晶配向膜。
  12. 【請求項12】 前記液晶配向膜は、複数種類の化学物
    質で構成され、その内の少なくとも1種類が前記(化式
    2)で表される特性基を有する化学吸着物質であり、 前記複数種類の化学物質のいずれかが、直鎖状アルキル
    骨格若しくは直鎖状シロキサン骨格若しくは直鎖状フル
    オロアルキル骨格を有するものである、 請求項4ないし9に記載の液晶配向膜。
  13. 【請求項13】 前記液晶配向膜は、配向膜の1画素単
    位を複数かつパターン状に分割した小区画ごとに液晶分
    子に対する配向規制方向が異なる、 請求項1ないし12に記載の液晶配向膜。
  14. 【請求項14】 前記他の物質層が、親水性基を有する
    有機層または無機層である、 請求項1ないし13に記載の液晶配向膜。
  15. 【請求項15】 少なくとも電極を有する基板面に、下
    記(化式3)で表される化学吸着物質を含む溶液を接触
    させ前記化学吸着物質を化学吸着させることにより、前
    記基板上に単分子層状の薄膜を形成する薄膜形成工程
    と、 前記薄膜に配向処理を施す配向処理工程と、 を備える液晶配向膜の製造方法。 【化6】
  16. 【請求項16】 前記(化式3)のA1 は、下記(化式
    6)に示すカルコン基本骨格を構成するベンゼン環の4
    位に結合している、 請求項15に記載の液晶配向膜の製造方法。 【化7】
  17. 【請求項17】 前記(化式3)のA1 が、下記(化式
    4)または(化式5)で表されるものである、 請求項15または16に記載の液晶配向膜の製造方法。 【化8】 【化9】
  18. 【請求項18】 前記(化式3)のA2 が、−(CH2
    )n −O−または−O−(CH2 )n −O−または−
    CO−(CH2 )n −O−(但し、nは2以上14以下
    の整数)で表されるものである、 請求項15ないし17に記載の液晶配向膜の製造方法。
  19. 【請求項19】 前記薄膜形成工程と前記配向処理工程
    との間に、薄膜の形成された基板面を非水系溶剤を用い
    て洗浄し、未吸着の化学吸着物質を洗浄する洗浄工程を
    備える、 請求項15ないし18記載の液晶配向膜の製造方法。
  20. 【請求項20】 前記洗浄工程における非水系溶剤が、
    非プロトン系の有機溶剤である、 請求項19に記載の液晶配向膜の製造方法。
  21. 【請求項21】 前記洗浄工程における非水系溶剤が、
    非プロトン系の有機溶剤とプロトン系の有機溶剤とを混
    合した混合溶剤である、 請求項19に記載の液晶配向膜の製造方法。
  22. 【請求項22】 前記配向処理工程は、洗浄後の基板を
    一定の方向に立てて基板面上に残った非水系溶剤を液切
    り乾燥することにより、吸着分子を仮配向させる工程で
    ある、 請求項15ないし21に記載の液晶配向膜の製造方法。
  23. 【請求項23】 前記配向処理工程は、前記薄膜の形成
    された基板面に偏光光を照射し、吸着分子相互を架橋反
    応させることにより、液晶分子を特定方向に配向させる
    ことができる配向規制力を付与する工程である、 請求項15ないし21に記載の液晶配向膜の製造方法。
  24. 【請求項24】 前記配向処理工程は、洗浄後の基板を
    一定の方向に立てて基板面上に残った非水系溶剤を液切
    り乾燥し、吸着分子を仮配向させた後、基板面に偏光光
    を照射し、吸着分子相互を架橋反応させることにより、
    液晶分子を特定方向に配向させることができる配向規制
    力を付与する工程である、 請求項15ないし21に記載の液晶配向膜の製造方法。
  25. 【請求項25】 前記偏光光の照射が、光強度および/
    または波長を変えて複数回の照射を行うものである、 請求項23または24に記載の液晶配向膜の製造方法。
  26. 【請求項26】 前記偏光光の照射が、基板に対する入
    射角を変えて複数回の照射を行うものである、 請求項23または24に記載の液晶配向膜の製造方法。
  27. 【請求項27】 前記偏光光の照射が、照射ごとに偏光
    方向の異なる偏光光を用い、かつ照射ごとに照射区画が
    変わるようして照射するものである、 請求項23または24に記載の液晶配向膜の製造方法。
  28. 【請求項28】 前記偏光光の照射が、光強度、波長、
    照射回数、基板に対する光の入射角、照射パターンの各
    要素を制御し、薄膜を構成する分子相互を所定方向に架
    橋結合させるものである、 請求項23または24に記載の液晶配向膜の製造方法。
  29. 【請求項29】 下記(化式3)で表される化学吸着物
    質を含む溶液を少なくとも電極を有する基板面に接触さ
    せ、前記基板面に前記化学吸着物質を化学吸着させるこ
    とにより、基板上に単分子層状の薄膜を形成する被膜形
    成工程と、 薄膜の形成された基板面に非水系溶剤を接触させ後、当
    該非水系溶剤を一定方向に液切り乾燥することにより、
    吸着分子を仮配向させる仮配向工程と、 仮配向後の基板面に偏光光を照射し、吸着分子相互を架
    橋反応させることにより、吸着分子を特定方向に再配向
    させる再配向工程と、 を備える液晶配向膜の製造方法であって、 上記仮配向工程と再配向工程とを2回以上繰り返して行
    うにより、1画素単位を複数かつパターン状に分割した
    小区画ごとに液晶配向規制方向が異なるマルチドメイン
    の液晶配向膜を作製する液晶配向膜の製造方法。 【化10】
  30. 【請求項30】 少なくとも電極を有する2枚の基板を
    電極側を内側にして対向させ、両基板の間に液晶を封入
    した構造の液晶表示素子において、 前記基板の少なくとも一方の基板の表面には、下記(化
    式1)に示す特性基を有する化合結合単位を含む液晶配
    向膜が−Si−O−結合により結合固定されていること
    を特徴とする液晶表示素子。 【化11】
  31. 【請求項31】 電極と対向電極とが同一基板上に形成
    されたインプレーンスイッチング型の液晶表示素子にお
    いて、 前記基板の電極及び対向電極が形成された面には、下記
    (化式1)に示す特性基を有する化学結合単位を含む液
    晶配向膜が−Si−O−結合により結合固定されている
    ことを特徴とする液晶表示素子。 【化12】
  32. 【請求項32】 前記液晶配向膜は、液晶分子を特定方
    向に配向させることができる単分子層状の薄膜であり、 前記単分子層状の薄膜は、下記(化式2)に示す特性基
    を有する化学吸着物質が、電極を有する基板の表面に直
    接または他の物質層を介して、−Si−O−結合により
    化学吸着し、かつ化学吸着した分子相互が、前記(化式
    2)の炭素・炭素二重結合部分の結合手を介して架橋結
    合されてなるものである、 請求項30または31に記載の液晶表示素子。 【化13】
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