JPH06227355A - エアバッグ用収納パッド及びその製造方法 - Google Patents

エアバッグ用収納パッド及びその製造方法

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JPH06227355A
JPH06227355A JP5018770A JP1877093A JPH06227355A JP H06227355 A JPH06227355 A JP H06227355A JP 5018770 A JP5018770 A JP 5018770A JP 1877093 A JP1877093 A JP 1877093A JP H06227355 A JPH06227355 A JP H06227355A
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JP
Japan
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sheet
airbag
storage pad
skin material
manufacturing
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JP5018770A
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Inventor
Takahiro Iino
恭弘 飯野
Shozo Sugiki
正三 杉木
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Bridgestone Corp
Original Assignee
Bridgestone Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 良好な外観性能及び質感を有し、しかも、製
造時の良好な生産性又は生産効率を確保できるエアバッ
グ用収納パッド及び該収納パッドの製造方法を提供す
る。 【構成】 エアバッグ用収納パッド1は、車室に面する
側に配置されたシート状表皮材11と、エアバッグ収納
領域7の側に配置され、エアバッグ展開時に天面部2の
開裂を促進する脆弱構造6を備えたインナー材とを有
し、インナー材はシート状表皮材に一体的に積層され
る。シート状表皮材は、型キャビティ内に位置決めさ
れ、インナー材は、型キャビティ内に射出される成形材
料により成形される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エアバッグ用収納パッ
ドおよび該収納パッドの製造方法に関するものであり、
より詳細には、車室に面する天面部を有するエアバッグ
用収納パッド、および該エアバッグ用収納パッドを型キ
ャビティによって製造する製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】乗員保護のために自動車等の車両のステ
アリングホイール又はインストルメントパネル等に配置
されるエアバッグ装置が広く実用に供されている。エア
バッグ装置は一般に、車両に不意な衝撃又は急激な減速
が生じた際、或いは、所定のしきい値を超える減速度が
検出された際に、袋体からなるエアバッグを膨張させ、
衝撃を緩和するエアクッションを運転者とステアリング
ホイール等との間に形成する。エアバッグ装置は一般
に、エアバッグモジュール又はエアバッグユニットなど
と称される車載可能なユニットとして構成され、比較的
高圧なガスを発生させるインフレータ(ガス発生器)
と、折り畳まれた状態で装置内に収納されたエアバッグ
と、車室に面する収納パッドとを備えている(例えば、
特公昭61−44708号公報、特開平3−16704
5号公報、実開平2−91051号公報等参照)。
【0003】インフレータは、ガスを発生させる化学物
質と、衝撃検出センサからの信号に基づき化学物質に着
火するイグナイタとを備え、化学物質より発生したガス
をエアバッグ内に導入する。装置内に収納されたエアバ
ッグは、発生したガスを密封すべく袋体に形成されてお
り、ガスの導入により、ほぼ瞬時に膨張し、収納パッド
を破断し、ステアリングホイール等と運転者との間に展
開する。
【0004】収納パッドは一般に、パッド、モジュール
カバー又はリッドなどと呼ばれており、常時は、エアバ
ッグを収納するケース又はハウジングとして機能し、エ
アバッグ展開時には、エアバッグの膨張により比較的容
易に破断され、エアバッグの円滑な膨張を保証する。確
実且つ迅速な収納パッドの破断を確保すべく、収納パッ
ドの開裂を促進する脆弱部が収納パッドの所定の部位に
設けられる。脆弱部は一般に、ティアラインと呼ばれる
開裂用スリット又は溝を収納パッドの裏面に形成し、収
納パッドを局部的に薄肉化することにより形成される。
【0005】かかるエアバッグ用収納パッドとして、ネ
ットや基布などの補強材をインサート材として埋設した
3層構造の発泡ウレタン製パッドや、軟質樹脂の表皮層
と硬質樹脂のコア層とを一体的に成形してなる2層構造
の射出成形パッドが知られている。かような収納パッド
として、例えば特開平1−202550号公報には、2
色成形法により軟質樹脂の表層と硬質樹脂の内層とが一
体的に射出成形されるとともに、内層にティアラインが
形成された収納パッドが開示されている。また、特開平
5─4233号公報には、アンダーカット部を有する成
形パッドの射出成形方法において、脱型時に変位可能な
雄型を用いて射出成形パッドの脱型を容易にするように
構成された2色成形法が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、補強用
インサート材が介挿された発泡成形体よりなる上記エア
バッグ用収納パッドにあっては、多数の煩雑な製造工程
により収納パッドを製造せざるを得ないことから、製造
工程における生産性又は生産効率が極めて悪化してい
る。また、発泡成形体の収納パッドは、製品の品質及び
寸法上の精度を所望の如く確保し難く、このため、製品
の歩留り率が低下する難点を有する。しかも、かかる発
泡成形パッドは、所要の視覚上の外観、所望の手触り又
は感触などを確保し、或いは、視覚的に見栄えを向上さ
せるべく、塗装仕上を更に施す必要があり、塗装仕上の
必要性は、上記生産効率及び歩留り率の低下と相まっ
て、収納パッドの製品単価を上昇させる要因となってい
る。
【0007】他方、2色成形法により成形される上記収
納パッドにおいては、2色射出成形機により収納パッド
の成形を行うことから、比較的良好な生産性を確保し得
るものの、上記発泡成形パッドと同様に、成形された収
納パッドに対して塗装仕上を更に施す必要があり、製品
単価の上昇を招いている。また、単一の材料により成形
されるエアバック用収納パッドが提案されているが、材
料自体の強度又は硬度を低下させ難い結果、質感に劣
り、しかも、上記発泡成形パッド及び射出成形パッドと
同様、外観性能を向上させるための塗装仕上を要し、製
品単価を低減させるに至っていない。
【0008】本発明は、かかる点に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、良好な外観性能及び
質感を有し、しかも、製造時の良好な生産性又は生産効
率を確保できるエアバッグ用収納パッド及び該収納パッ
ドの製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、車室に面す
るシート状表皮材の裏面にインナー材を一体的に積層す
ることより、上記課題を解決し得るとの知見に基づき、
鋭意研究を重ねた結果、以下の構成を有するエアバッグ
用収納パッド及び該収納パッドの製造方法を開発した。
【0010】即ち、本発明は、エアバッグ装置のエアバ
ッグ収納領域を形成するエアバッグ用収納パッドにおい
て、車室に面する側に配置されたシート状表皮材と、前
記エアバッグ収納領域の側に配置され、エアバッグ展開
時に天面部の開裂を促進する脆弱構造を備えたインナー
材とを有し、前記表皮材に前記インナー材を一体的に積
層したことを特徴とするエアバッグ用収納パッドを提供
する。
【0011】本発明の好ましい実施態様によれば、前記
シート状表皮材は、熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラスト
マーのシートからなり、或いは、車室側に配置される熱
可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマーの表皮層(第1
層)と、エアバッグ収納領域側に配置される緩衝材(第
2層)とを積層した積層シートからなる。更に好ましく
は、前記緩衝材は、不織布又はオレフィン系発泡材であ
り、前記シート状表皮材は、車室に面する表面にシボ模
様を備えている。
【0012】本発明に使用し得るシート状表皮材は、本
発明の要旨に適合する材質のものであれば良く、特定の
材質に限定されるものではないが、成形性及び質感の観
点より、塩化ビニル(PVC)製のシート又は熱可塑性
エラストマー製のシートが好ましく用いられる。熱可塑
性エラストマーシートとして、耐候性の面からオレフィ
ン系の熱可塑性エラストマーを好ましく使用できる。ま
た、車室側の乗員が受ける触感を向上させるために、ク
ラリーノ(クラレ社製)等の人工皮革、塩化ビニルシー
ト又は熱可塑性エラストマーシートで形成された表皮層
(第1層)と、不織布又は発泡オレフィン系樹脂の緩衝
材(第2層)とからなる2層構造のシートを望ましく用
い得る。シート状表皮材の好適な厚さは、5mm以下、更
に好適には、1乃至3mmである。
【0013】また、本発明におけるインナー材として、
熱可塑性エラストマー及び熱可塑性樹脂を好ましく用い
ることができる。熱可塑性エラストマーとしては、ポリ
エチレン、ポリプロピレン等を含むポリオレフィン系エ
ラストマー;ポリスチレン、ポリメチルスチレン、水素
添加ポリスチレン等を含むポリスチレン系エラストマ
ー;ポリウレタン系エラストマー;塩化ビニル系エラス
トマー;ポリエステル系エラストマー;ポリアミド系エ
ラストマー等が挙げられ、これらのエラストマーは、単
独で使用しても2以上のエラストマーを組み合わせて使
用してもよい。
【0014】熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン系樹
脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレート等のポリエステル系樹脂;ナイロン6、ナイロ
ン6,6、ナイロン6,10、ナイロン4,6等のポリアミド系
樹脂のほか、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリカーボ
ネート樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、ポリスルホン樹
脂、ポリエーテルスルホン樹脂、エチレン−ビニルアル
コール樹脂、ABS樹脂、アクリル−アクリロニトリル
−スチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、エチ
レン−アクリル酸エチル樹脂、エチレン−メタクリル酸
エチル樹脂、メタクリル−スチレン樹脂、液晶性ポリマ
ー等が挙げられる。これら樹脂は、単独で使用しても2
以上を組み合わせて使用してもよい。
【0015】これら熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラスト
マーには、必要に応じて、増量、難燃性、成形性、寸法
安定性、外観、耐候性、開裂性、軽量性等の向上を目的
として、充填剤、難燃剤、可塑剤、酸化防止剤、帯電防
止剤、着色剤、紫外線吸収剤、発泡剤等を添加してもよ
い。充填剤としては、酸化鉄、アルミナ、マグネシア、
酸化亜鉛等の金属酸化物;ニッケル、亜鉛、銅、タング
ステン等の金属粉;タルク、マイカ、ワラストナイト等
のケイ酸塩;硫化カルシウム、硫酸バリウム等の硫酸
塩;チタン酸カリウム、チタン酸バリウム等のチタン酸
塩のほか、フェライト、グラファイト、カーボンブラッ
ク、炭酸カルシウム、ガラスビーズ、グラスバブルス等
が挙げられ、難燃剤としては、酸化アンチモン、酸化ジ
ルコニウム等無機系難燃剤;リン酸エステル等の有機系
難燃剤が挙げられる。酸化防止剤としてはフェノール系
化合物が挙げられ、帯電防止剤としては各種界面活性剤
が挙げられ、着色剤としてはカドミウムイエロー、難燃
性アゾ染料、赤色着色剤等が挙げられ、紫外線吸収剤と
してはアクリロニトリル系、トリアゾール系、サリチル
酸系化合物等が挙げられる。また、発泡剤としては、ア
ゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、ジ
ニトロソペンタメチレンテトラミン、4,4'−オキシビス
ベンゼンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニ
ルヒドラジド等の有機系化合物が挙げられる。
【0016】また、上記インナー材は、好ましくは、5
00kg/cm2 以上の曲げ弾性率を備える。本発明に係る
収納パッドの天面部には、脆弱部を設けるのが望まし
い。脆弱部は、特定の構造又は形状に限定されるもので
はなく、エアバッグ展開時に収納パッドの開裂を促進し
得る構造又は形状のものであれば良い。例えば、天面部
の中央領域を通る開裂用スリット又は溝を収納パッドに
形成することによって脆弱部を設けることができる。ま
た、天面部の周辺部から徐々に厚みを低減し、中央領域
の肉厚を最も薄肉化することにより、中央部分に脆弱部
を形成することができる。開裂用スリット又は溝、或い
は、薄肉化された中央部分の形状・寸法は、使用される
熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマーの種類、天面部
の平均肉厚等に応じて適宜決定し得る。脆弱部を配置す
べき面は天面部の外表面(車室側)であっても、内表面
(収納領域側)であっても良いが、視覚的印象等を考慮
し、内表面に設けるのが好ましい。
【0017】本発明に係る収納パッドを製造するための
方法は、上記収納パッドを製造できる方法であれば、特
定の製造方法に限定されるものではないが、良好な生産
性又は精度を得るために、射出成形法が好ましく用いら
れる。本発明は更に、上記目的を達成するために、エア
バッグ装置のエアバッグ収納領域を形成するための収納
パッドを型キャビティによって成形するエアバッグ用収
納パッドの製造方法において、車室側に配置されるシー
ト状表皮材を型キャビティ内に位置決めし、エアバック
収納領域側に配置されるインナー材を前記シート状表皮
材に対して一体成形により積層するとともに、型キャビ
ティの輪郭によって前記インナー材に脆弱構造を形成す
ることを特徴とするエアバッグ用収納パッドの製造方法
を提供する。
【0018】本発明の好ましい実施態様によれば、前記
シート状表皮材が型キャビティ内に位置決めされた後、
前記インナー材を形成する成形材料が残余の型キャビテ
ィ空間に充填され、前記シート状表皮材に対して前記イ
ンナー材が一体的に積層される。更に好ましくは、単層
構造又は表皮層/緩衝材の積層構造を有する前記シート
状表皮材は、成形工程の前に予め所定の形状に裁断さ
れ、真空成形又は圧縮成形等により所定の3次元形状に
賦形される。賦形の際の加熱方式として、急速加熱が可
能な高周波誘導加熱を好ましく適用できる。シート状表
皮材は、所定の形状に賦形された後、前記型キャビティ
内に位置決めされる。他の好適な実施態様として、生産
性を向上させるべく、射出成形機の金型を高周波誘導加
熱により加熱し、金型の型締めによってシート状表皮材
を賦形できる。所望により、金型の型締めを利用して、
前記シート状表皮材の表面にシボ模様を賦形することが
できる。賦形されたシート状表皮材が配置された型キャ
ビティには、射出成形機の押出機等により上記熱可塑性
エラストマー又は熱可塑性樹脂が充填される。収納パッ
ドの軽量化を企図して、インナー材を発泡構造又は中空
構造に成形しても良い。
【0019】
【作用】以上の説明した如く、本発明に係るエアバッグ
用収納パッド及び該収納パッドの製造方法により、シー
ト状表皮材とインナー材とを一体的に積層してなるエア
バッグ用収納パッド、又は該収納パッドを製造するため
の製造方法が提供される。かかる構成によれば、シート
状表皮材として、塗装を要さず、ソフトな感触を奏する
材質のものを用いることができ、表面塗装に伴う工程の
省略により製造工程を簡素化し、生産性及び歩留りを向
上させることができる。また、天面部の開裂を促進する
脆弱構造を備えたインナー材を、適当な成形材料でシー
ト状表皮材上に一体化することにより、低温雰囲気から
高温雰囲気に至る広い温度範囲に亘って、収納パッドの
良好な開裂性を確保できる。
【0020】
【実施例】以下、添付図面を参照して、本発明の好まし
い実施例について詳細に説明する。図1乃至図3は、本
発明の実施例に係るエアバッグ用収納パッドを例示する
縦断面図である。各図に示された収納パッドの実施例
は、互いに異なる積層構造を備えているが、いずれの収
納パッドも、本発明に従う構造を有し、本発明の製造方
法にて製造されている。なお、各図において実質的に相
応する部位又は部材については、同じ参照符号が付され
ている。
【0021】図1に示すエアバッグ用収納パッド1は、
車室に面する天面部2、天面部2から下方に延びる周壁
部3、アンダーカット部4を介して周壁部3の下端部か
ら下方に延びる基部5とから略構成されている。天面部
2及び周壁部3は、エアバッグ装置(図示せず)に取付
けられたときにエアバッグを収納するための収納領域7
を形成すべく、エアバッグ装置の内方に向かって全体的
に湾曲している。天面部2の背面には、ティアラインと
呼ばれるV形の溝6が形成されており、溝6は、天面部
2を局部的に薄肉化しており、エアバッグ展開時に天面
部2の開裂を誘発する。また、基部5は、インフレータ
の周囲に配設されるリテーナ部分に対して取付けられる
ように構成されており、基部5の所要の部位には、リベ
ット又はボルトを挿通するための通し穴(図示せず)な
どが形成される。
【0022】天面部2、周壁部3及び基部5は、一体的
に形成されており、天面部2及び周壁部3は、インナー
材10及びシート状表皮材11からなる2層構造を有す
る。インナー材10は、熱可塑性エラストマー又は熱可
塑性樹脂からなり、収納パッド1のコア層を構成する。
他方、シート状表皮材11は、2層の積層シートからな
り、収納パッド1の形状に相応する所定の形状に賦形さ
れており、全体として収納パッド1の表層部材を構成す
る。シート状表皮材11は、表面仕上が既に施された表
皮層12と、表皮層12の裏面に一体的に積層された緩
衝材又は基布13とを有し、このような積層シートの既
製品として、例えば、人工皮革の表皮層12と、不織布
の緩衝材13とから構成されるクラリーノ(クラレ社製
セミハードタイプ、厚さ2mm)を例示することができ
る。
【0023】図2示すエアバッグ用収納パッド1は、図
1に示す収納パッド1と実質的に同じ全体構造を備えて
おり、エアバッグ装置の内方に向かって全体的に湾曲し
た天面部2及び周壁部3と、アンダーカット部4を介し
て周壁部3に連接された基部5とから略構成されてい
る。しかしながら、天面部2は、上記ティアラインを構
成するV形溝を備えておらず、天面部2は中央部分に向
かって次第に薄肉化しており、エアバッグ展開時に収納
パッド1の開裂を促進する脆弱構造を天面部2の略中央
部分に形成している。
【0024】図2に示すインナー材10は、図1に示す
上記実施例と同様に、熱可塑性エラストマー又は熱可塑
性樹脂からなり、収納パッド1のコア層を構成する。シ
ート状表皮材11も又、図1に示す実施例と同様に、表
皮層12と緩衝材又は基布13とからなる一体的な積層
シートにより形成されている。シート状表皮材11を構
成する積層シートは、例えば、オレフィン系エラストマ
ーシートと発泡PPシート(発泡倍率15倍)との積層
シート(厚さ2mm)からなり、収納パッド1の形状に相
応する所定の形状に賦形されている。
【0025】また、図3に示すエアバッグ用収納パッド
1は、図1に示す実施例と同様に、全体的に湾曲した天
面部2及び周壁部3と、アンダーカット部4を介して周
壁部3に連接された基部5とから略構成されており、天
面部2の背面には、ティアラインを構成するV形溝6が
形成されている。図3に示すインナー材10は、図1に
示す上記実施例と同様に、熱可塑性エラストマー又は熱
可塑性樹脂からなり、収納パッド1のコア層を構成す
る。しかしながら、シート状表皮材11は、単一層から
なる一体的な単層シートにより形成され、単層シート
は、例えば、厚さ約2mmの塩化ビニール(PVC)成形
シートからなる。
【0026】図4は、上記収納パッド1を成形するため
の成形装置を部分的に示す概略縦断面図である。図4に
示す射出成形装置20は、雄型21及び雌型22を備え
ており、雄型21及び雌型22は、型締された状態で示
されている。雄型21は、相対変位可能な型部材21
a、21bを含む。好ましくは、型部材21aは、成形
品の脱型を容易にすべく、相対変位可能な複数の型部分
から構成される。雄型21及び雌型22によって形成さ
れる成形キャビティ23には、金型ゲート(図示せず)
が開口しており、金型ゲートは、ランナー及びスプルー
(図示せず)を介してスクリュー型押出機24(図示せ
ず)に連結されている。キャビティ24内には、雌型2
1の内面に沿ってシート状表皮材11が既に配置されて
おり、押出機24から押出された溶融樹脂又は溶融エラ
ストマーは、雄型21とシート状表皮材11との間に形
成された残余のキャビティ空間23a内に射出される。
キャビティ空間23a内に射出された樹脂が冷却・固化
した後、雄型21及び雌型22は型開きされ、上記収納
パッド1が取出される。なお、雄型21は、図1又は図
3に示す収納パッド1を成形するための金型輪郭を有
し、V形溝6に対する相補形突出部24が雄型21の表
面に突設されている。
【0027】上記射出成形装置20を用いて、以下の如
く収納パッド1を成形した。実施例1 表皮層/緩衝材を一体化したシート状表皮材として、ク
ラリーノ(クラレ社製セミハードタイプ、厚さ2mm)を
所定の寸法に裁断したものを用意し、クラリーノの裁断
片を賦形用金型に設置後、高周波誘導加熱にて賦形し、
しかる後、射出成形機の金型の雌型に設置した。この
際、人工皮革側が雌型の内面に対向するようにクラリー
ノ片を位置決めした。かくして金型に設置されたクラリ
ーノ片を高周波誘導加熱により加熱し、金型の形締めを
利用して、所定の形状に賦形した。
【0028】引き続き、曲げ弾性率1000kg/cm2 の部分
架橋されたゴムを含むオレフィン系熱可塑性エラストマ
ーを金型キャビティに射出し、インナー材を成形し、図
1に示す如き収納パッドを得た。成形時間は約2分であ
った。かくして成形された収納パッドを使用して、イン
フレーターによるエアバッグの展開試験を実施した。収
納パッドは、−40〜90℃の広範な温度範囲にて、安
定且つ円滑に開裂した。
【0029】また、収納パッドの表面硬度は、ショアー
硬度58Aであり、良好な感触及び外観を備えていた。実施例2 実施例1と同様に、表皮層/緩衝材を一体化したシート
状表皮材として、オレフィン系熱可塑性エラストマーシ
ートと発泡PPシート(発泡倍率15倍)との積層シー
ト(厚さ2mm)を賦形し、曲げ弾性率1000kg/cm2 のウ
レタン系熱可塑性エラストマーを、シート状表皮材の裏
面にインナー材として射出成形し、図1に示すような収
納パッドを得た。成形時間は実施例1と同様に2分であ
った。
【0030】成形された収納パッドを用いて、インフレ
ーターによるエアバッグの展開試験を実施したところ、
−40〜90℃の広範な温度範囲で安定且つ円滑に収納
パッドが開裂した。また、収納パッドの表面硬度はショ
アー硬度58Aであり、表面の感触及び外観は良好であ
った。比較例1 曲げ弾性率1900kg/cm2 のゴムを含むオレフィン系熱可
塑性エラストマーをコア層として射出成形した後、表皮
層としてショアー硬度40Aの水素添加されたスチレン
系熱可塑性エラストマーを引続き射出成形し、2色成形
法により、収納パッドを成形した。更に、成形した収納
パッドをプライマー処理した後、ウレタン系塗料で塗装
した。成形及び塗装に要した時間は、成形工程にて2
分、塗装工程にて12分であり、合計14分であった。
【0031】なお、収納パッドの表面硬度はショアー硬
度45Aであった。
【0032】
【発明の効果】本発明の上記構成によれば、表面塗装の
工程を必要とせず、簡素な製造工程で比較的短時間に良
好な外観及び質感の収納パッドを製造し得る。かくて、
本発明によれば、良好な外観性能及び質感を有し、製造
時の良好な生産性又は生産効率を確保できるエアバッグ
用収納パッド及び該収納パッドの製造方法を提供するこ
とが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係るエアバッグ用収納パッド
を示す縦断面図である。
【図2】本発明の他の実施例に係るエアバッグ用収納パ
ッドを示す縦断面図である。
【図3】本発明の更に他の実施例に係るエアバッグ用収
納パッドを例示する縦断面図である。
【図4】エアバッグ用収納パッドを成形するための射出
成形装置を部分的に示す概略縦断面図である。
【符号の説明】
1 エアバッグ用収納パッド 2 天面部 3 周壁部 4 アンダーカット部 5 基部 6 V形溝 7 収納領域 10 インナー材 11 シート状表皮材 12 表皮層 13 緩衝材又は基布
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年2月8日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正内容】
【0029】また、収納パッドの表面硬度は、ショアー
硬度58Aであり、良好な感触及び外観を備えていた。実施例2 皮層/緩衝材を一体化したシート状表皮材として、オ
レフィン系熱可塑性エラストマーシートと発泡PPシー
ト(発泡倍率15倍)との積層シート(厚さ2mm)を
真空成形により賦形し、曲げ弾性率1000kg/cm
のウレタン系熱可塑性エラストマーを、シート状表皮
材の裏面にインナー材として射出成形し、図1に示すよ
うな収納パッドを得た。成形時間は実施例1と同様に2
分であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // B29K 101:00 B29L 22:00 4F

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エアバッグ装置のエアバッグ収納領域を
    形成するエアバッグ用収納パッドにおいて、車室に面す
    る側に配置されたシート状表皮材と、前記エアバッグ収
    納領域の側に配置され、エアバッグ展開時に天面部の開
    裂を促進する脆弱構造を備えたインナー材とを有し、前
    記表皮材に前記インナー材を一体的に積層したことを特
    徴とするエアバッグ用収納パッド。
  2. 【請求項2】 前記シート状表皮材は、熱可塑性樹脂又
    は熱可塑性エラストマーのシートからなり、或いは、車
    室側に配置される熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマ
    ーの第1層と、エアバッグ収納領域側に配置される第2
    層とを積層した積層シートからなることを特徴とする請
    求項1に記載のエアバッグ用収納パッド。
  3. 【請求項3】 前記第2層が、不織布又はオレフィン系
    発泡材からなることを特徴とする請求項2に記載のエア
    バッグ用収納パッド。
  4. 【請求項4】 エアバッグ装置のエアバッグ収納領域を
    形成するための収納パッドを型キャビティによって成形
    するエアバッグ用収納パッドの製造方法において、車室
    側に配置されるシート状表皮材を型キャビティ内に位置
    決めし、エアバック収納領域側に配置されるインナー材
    を前記シート状表皮材に対して一体成形により積層する
    とともに、型キャビティの輪郭によって前記インナー材
    に脆弱構造を形成することを特徴とするエアバッグ用収
    納パッドの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記シート状表皮材は、熱可塑性樹脂又
    は熱可塑性エラストマーのシートからなり、或いは、車
    室側に配置される熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマ
    ーの第1層と、エアバッグ収納領域側に配置される第2
    層とを積層した積層シートからなることを特徴とする請
    求項4に記載のエアバッグ用収納パッドの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記第2層が、不織布又はオレフィン系
    発泡材からなることを特徴とする請求項5に記載のエア
    バッグ用収納パッドの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記シート状表皮材を型キャビティ内に
    位置決めした後、前記インナー材を形成する成形材料を
    残余の型キャビティ空間に充填し、前記シート状表皮材
    に前記インナー材を一体的に積層することを特徴とする
    請求項4乃至6のいずれか1項に記載のエアバッグ用収
    納パッドの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記シート状表皮材を加熱圧縮により賦
    形した後、前記型キャビティ内に位置決めすることを特
    徴とする請求項4乃至7のいずれか1項に記載のエアバ
    ッグ用収納パッドの製造方法。
  9. 【請求項9】 前記加熱圧縮の方法が、真空成形法又は
    高周波誘導加熱法であることを特徴とする請求項8に記
    載のエアバック用収納パッドの製造方法。
  10. 【請求項10】 前記シート状表皮材を高周波誘導加熱
    によって加熱し、前記型キャビティを形成する型部材の
    型締めによって賦形することを特徴とする請求項4乃至
    7のいずれか1項に記載のエアバッグ用収納パッドの製
    造方法。
  11. 【請求項11】 前記シート状表皮材は、車室に面する
    表面にシボ模様を備えていることを特徴とする請求項1
    乃至3のいずれか1項に記載のエアバッグ装置。
  12. 【請求項12】 前記型キャビティを形成する型部材に
    よって、前記シート状表皮材にシボ模様を賦形すること
    を特徴とする請求項7乃至10のいずれか1項に記載の
    エアバッグ用収納パッドの製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008030260A (ja) * 2006-07-27 2008-02-14 Moriroku Co Ltd 合成樹脂積層品の製造方法及び製造装置並びに合成樹脂積層品
JP2015137013A (ja) * 2014-01-22 2015-07-30 株式会社ジェイテクト ラックハウジングの製造方法、およびラックハウジング
JP2017061051A (ja) * 2015-09-24 2017-03-30 株式会社クラレ 可撓性加飾積層体、及び可撓性加飾積層体の製造方法
JP2017172730A (ja) * 2016-03-24 2017-09-28 株式会社ショーワ 接続部材、及び操舵装置

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