JPH0622617A - 移植機の昇降装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 傾斜作業地での植付性能の安定維持を図る。 【構成】 前後輪６，４による機体の走行中苗移植作業
を行うようにした移植機において、前輪６と後輪４とを
一体昇降させる昇降シリンダ４３を設けると共に、前輪
６及び後輪４の何れか一方を単独昇降させるピッチング
シリンダ６１を設け、機体の前後傾斜時前記ピッチング
シリンダ６１の作動制御を行って、機体の前後水平維持
を図る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は前後４輪による機体の走
行中、苗載台の苗トレイから苗取出爪によって取出した
苗を、苗植付爪に受継いで圃場に植付けるようにした主
に野菜用移植機の昇降装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】通常４輪形移植機においては、前輪と後
輪とを連動連結させて機体を昇降制御する手段や、左右
前後輪を逆方向に昇降させてローリング制御を行うよう
にした手段はあるが、機体を前後水平に制御するように
した手段はなかった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】このため、山間部など
の傾斜地で多く使用されているこの種野菜用移植機の傾
斜地での移植作業では、地面に対し略垂直に苗を植付け
るため、水平ラインに対し苗の植付け姿勢が斜めとなる
不都合があるばかりでなく、機体が不安定となって安全
性に欠け、特に乗用形の場合作業者に極度の不快感を与
える欠点があった。

【０００４】

【課題を解決するための手段】したがって本発明は、前
後輪による機体の走行中苗移植作業を行うようにした移
植機において、前輪と後輪とを一体昇降させる昇降シリ
ンダを設けると共に、前輪及び後輪の何れか一方を単独
昇降させるピッチングシリンダを設け、機体の前後傾斜
時前記ピッチングシリンダの作動制御を行って、機体の
前後水平維持を図ることによって、傾斜地においても常
に機体を前後水平に維持させて、水平面同様常に苗を略
垂直姿勢に植付け可能とさせてこの生育を向上させると
共に、傾斜地での機体の安定走行を図って作業の安全性
を向上させるものである。

【０００５】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳
述する。図１は昇降部の説明図、図２は移植機の全体側
面図、図３は同全体平面図であり、図中（１）はエンジ
ン（２）を搭載する前フレーム、（３）は前記フレーム
（１）後端に連設するミッションケース、（４）は前記
ミッションケース（３）に左右伝動ケース（５）を介し
上下揺動可能に支持する左右の走行駆動輪である後輪、
（６）は前記前フレーム（１）の前端側にアクスルフレ
ーム（７）を介し上下揺動可能に支持する左右の前輪、
（８）は前記ミッションケース（３）の後方にシャーシ
フレーム（９）を介し装設する苗供給装置、（１０）は
左右の後輪（４）間で前記ミッションケース（３）に植
付伝動ケース（１１）を介して装設する苗植付装置、
（１２）は畝面（Ａ）を鎮圧する鎮圧ローラ、（１３）
は前記苗植付装置（１０）を上下揺動可能に支持するゲ
ージ輪であり、前記苗供給装置（８）における左右往復
移動する苗載台（１４）上の苗トレイ（１５）より１株
分のポット苗を苗取出爪（１６）でもって取出すと共
に、この取出されたポット苗を前記苗植付装置（１０）
のマルチカッタ（１７）と連動して上下動するホッパ形
植付爪（１８）に放出供給して、操向ハンドル（１９）
操作による機体の走行中畝面（Ａ）に一定間隔毎のポッ
ト苗の植付けつまり移植を行うように構成している。

【０００６】なお、（２０）は昇降レバー、（２１）は
植付クラッチレバー、（２２）は主変速レバー、（２
３）は株間変速レバー、（２４）は植付深さ調節レバ
ー、（２５）は左右サイドクラッチレバー、（２６）は
走行クラッチレバーである。

【０００７】図４にも示す如く、前記エンジン（２）の
出力軸（２ａ）に油圧ポンプ（２７）の入力軸（２７
ａ）と、前記ミッションケース（３）の入力軸（３ａ）
とを各伝達ベルト（２８）（２９）を介して連動連結さ
せ、前記ミッションケース（３）には後輪（４）を駆動
する走行出力軸（３０）を備えると共に、前記植付爪
（１８）の駆動を行う植付爪駆動系（３１）に出力する
植付出力軸（３２）を備え、前記エンジン（２）からの
出力をミッションケース（３）の入力軸（３ａ）に伝達
して左右後輪（４）と植付爪（１８）の駆動をそれぞれ
行うように構成している。

【０００８】また、前記苗取出爪（１６）のロータリケ
ース（３３）を駆動する苗取出爪駆動軸（３４）と、前
記苗載台（１４）の横送り軸（３５）の変速切替えを行
う横送り切替ギヤケース（３６）と、前記苗載台（１
４）の左右横送り終端時に苗トレイ縦送り用の搬送チェ
ンスプロケット（３７）の縦送り駆動を行う縦送りクラ
ッチ軸（３８）と、前記クラッチ軸（３８）を間欠回転
する縦送りカム（３９）の駆動カム軸（４０）などを有
する苗取出駆動系（４１）を備え、前記ミッションケー
ス（３）の上方に配設する植付クラッチケース（４２）
を介してミッションケース（３）の入力軸（３ａ）に苗
取出駆動系（４１）を連動連結させて、前記苗取出爪
（１６）や苗載台（１４）など苗取出駆動系（４１）の
それぞれの駆動を行うように構成している。

【０００９】さらに図５にも示す如く、後輪（４）及び
前輪（６）をそれぞれ昇降させて機体の昇降制御を行う
油圧昇降シリンダ（４３）と、機体の左右方向傾斜角度
を修正する後輪水平制御用油圧ローリングシリンダ（４
４）を備えるもので、前記ミッションケース（３）の走
行出力軸（３０）の左右両端に遊転支持する左右スイン
グケース（５）（５）の基端ボス（４５ａ）（４５ｂ）
に左右の固定枢着板（４６ａ）（４６ｂ）を設け、各枢
着板（４６ａ）（４６ｂ）にターンバックル（４７ａ）
付き連結リンク（４７）を介してローリング支点軸（４
８）両端の下及び上方向の揺動アーム（４９ａ）（４９
ｂ）を連結させ、前記支点軸（４８）中間を回転自在に
貫挿させるスイング軸（５０）を前記昇降シリンダ（４
３）のピストンロッド（４３ａ）先端に連結させると共
に、前記支点軸（４８）にローリングアーム（５１）を
介してローリングシリンダ（４４）のピストンロッド
（４４ａ）を連結させるもので、前記スイング軸（５
０）にブラケット（５２）を介して前記ローリングシリ
ンダ（４４）を取付けると共に、前記ミッションケース
（３）上側にガイドフレーム（５３）を固設させ、ガイ
ドフレーム（５３）に前記昇降シリンダ（４３）を取付
け、ガイドフレーム（５３）の長溝（５４）によってス
イング軸（５０）を往復摺動案内するように設け、前記
昇降シリンダ（４３）のピストンロッド（４３ａ）を進
退時、スイング軸（５０）を摺動させ、左右のスイング
ケース（５）（５）を一体的に同一方向に上下動させ
て、機体の昇降制御を行う一方、前記ローリングシリン
ダ（４４）のピストンロッド（４４ａ）を進退時、前記
支点軸（４８）を回転させ、左右のスイングケース
（５）（５）を上下逆方向に上下動させて機体の左右傾
斜角度を修正する水平制御を行うように構成している。

【００１０】またさらに、ベースフレーム（１）前面に
前バンパ（５５）付きの前フレーム（５６）をボルト止
め固定し、前フレーム（５６）に固定軸（５７）を設
け、該軸（５７）両端に左右スイング支点軸（５８）
（５８）を回転自在に取付け、各軸（５８）（５８）に
一端を固定する左右スイングアーム（７）（７）他端に
前車軸（５９）（５９）を介して左右前輪（６）（６）
を遊転軸支させると共に、左右スイング支点軸（５８）
（５８）にリンク（６０）（６０）を介して左右前輪単
独昇降用のピッチングシリンダ（６１）（６１）のピス
トンロッド（６１ａ）（６１ａ）を連結させ、シリンダ
（６１）（６１）後端をロッド（６２）（６２）を介し
前記各枢着板（４６ａ）（４６ｂ）に連結させて、前記
昇降シリンダ（４３）によって前後輪（６）（６）・
（４）（４）を一体上下動させての機体の昇降制御を、
また前記ローリングシリンダ（４４）によって左右前後
輪（６）（６）・（４）（４）を相互逆方向に上下動さ
せての機体の左右水平制御を、さらに前記油圧シリンダ
（６０）（６０）によって前輪（６）（６）のみを上下
動させての機体のピッチングつまり前後水平制御を可能
に構成している。

【００１１】さらに、図６乃至図７にも示す如く、機体
略中央部となる前記ミッションケース（３）の後部に振
子型のピッチングセンサ（６３）を吊下げ、ミッション
ケース（３）後部にボルト止め固定させる軸受（６４）
に支軸（６５）を介して前後方向にだけ揺動自在にピッ
チングセンサ（６３）上部を支持させると共に、該セン
サ（６３）に前記支軸（６５）を介してセンサアーム
（６６）基端を一体固定させ、前記ピッチングシリンダ
（６１）と油圧ポンプ（２７）間に介設するピッチング
制御用油圧バルブ（６７）のスプール（６８）先端の調
節ボルト（６９）に前記センサアーム（６６）先端を係
合連結させて、ローリングセンサ（６３）の前後揺動に
よってバルブ（６７）のスプール（６８）をダイレクト
に切換え、ピッチングシリンダ（６１）を作動させて左
右の前輪（６）（６）のみを上下動させて本機の前後傾
斜を修正する水平制御を自動的に行わせるように構成し
ている。

【００１２】つまり前記ピッチングセンサ（６３）は、
機体が前低後高の前傾姿勢となるとき支軸（６５）を中
心として時計方向に回転してスプール（６８）を退入さ
せ前記シリンダ（６１）のピストンロッド（６１ａ）を
退入させるように操作が行われて、左右の前輪（６）を
機体下方に突出させる機体前部の上昇制御が行われる一
方、機体が前高後低の後傾姿勢となるとき支軸（６５）
を中心として反時計方向に回転してスプール（６８）を
伸出させ前記シリンダ（６１）のピストンロッド（６１
ａ）を伸出させるように操作が行われて、左右の前輪
（６）を機体側に収納させる機体前部の下降制御が行わ
れるものである。

【００１３】図８乃至図１２は苗トレイ（１５）からの
苗（Ｎ）の取出しを容易とさせる構成例を示すもので、
図８のものは苗トレイ（１５）の平面四角形状の各セル
底面（１５ａ）及び側壁（１５ｂ）下部の四角隅部にス
リット（７０）を形成させて、前記苗取出爪（１６）に
よる苗トレイ（１５）からの苗取出し時に底面（１５
ａ）に開設するピン挿通孔（７１）より突入させる苗押
出ピン（７２）に、たとえ苗トレイ（１５）が接触する
状態のときにもトレイ（１５）を破損させることなく容
易にその取出しを可能とさせるように構成したものであ
る。またこの場合苗（Ｎ）の根鉢を下方に押すと、各セ
ル底面（１５ａ）及び側壁（１５ｂ）下部がスリット
（７０）によって容易に開いて落下するものであるか
ら、苗トレイ（１５）上方に苗（Ｎ）を引抜く以外にこ
のような苗（Ｎ）を下方に押出して取出す手段を用いる
ことによって、より苗取り機構を簡単なものとさせるこ
とができる。

【００１４】また図９乃至図１２のものは、苗トレイ
（１５）の蛇腹構造としたもので、苗トレイ（１５）の
上面（１５ｃ）及び底面（１５ａ）に硬質材を用いると
共に、側壁（１５ｂ）を樹脂を用いた蛇腹（７３）に形
成し、播種時にあっては図９に示す如く蛇腹（７２）を
広げて、図１０に示す如く土（７４）を入れて播種
（ｎ）を行い、図１１に示す如き苗（Ｎ）の生育最適移
植時にあっては、図１２に示す如く、前記底面（１５
ａ）を押圧することによって蛇腹（７２）が縮んで苗
（Ｎ）がトレイ（１５）から押出されるように構成する
もので、苗（Ｎ）の根張りに関係のない押出しによる良
好な苗（Ｎ）の取出しが行われると共に、苗押出ピン
（７２）など苗押出装置によるトレイ（１５）の損傷が
なく、苗トレイ（１５）の再利用回数の増大も図れ、ま
たこのため苗押出装置の精度も必要とせず、さらには苗
トレイ（１５）未使用時の収納スペースの縮小化も図れ
るものである。

【００１５】本実施例は上記の如く構成するものにし
て、傾斜作業地などにあって機体が前後に傾く状態のと
き、前記ピッチングシリンダ（６１）のピストンロッド
（６１ａ）を進退させての機体のピッチングつまり前後
水平制御が行われるもので、機体が前低後高の前傾姿勢
となるとき支軸（６５）を中心として前記センサ（６
３）が時計方向に回転してスプール（６８）を退入させ
前記シリンダ（６１）のピストンロッド（６１ａ）を退
入させて、左右の前輪（６）を機体下方に突出させるよ
うに制御が行われて、機体の前後水平維持が図られる。
一方、機体が前高後低の後傾姿勢となるとき支軸（６
５）を中心として反時計方向に回転してスプール（６
８）を伸出させ前記シリンダ（６１）のピストンロッド
（６１ａ）を伸出させるように制御が行われて、機体の
前後水平維持が図られる。

【００１６】なお前述実施例にあっては前輪（６）のみ
の昇降動作にあってピッチング制御を行う構成を示した
が、後輪（４）で行う構成でも良い。

【００１７】

【発明の効果】以上実施例からも明らかなように本発明
は、前後輪（６）（４）による機体の走行中苗移植作業
を行うようにした移植機において、前輪（６）と後輪
（４）とを一体昇降させる昇降シリンダ（４３）を設け
ると共に、前輪（６）及び後輪（４）の何れか一方を単
独昇降させるピッチングシリンダ（６１）を設け、機体
の前後傾斜時前記ピッチングシリンダ（６１）の作動制
御を行って、機体の前後水平維持を図るものであるか
ら、傾斜地においても常に機体を前後水平に維持させる
ことができて、水平面同様常に苗（Ｎ）を略垂直姿勢に
植付け可能とさせることができて、この植付後における
苗（Ｎ）の良好な生育が行えると共に、傾斜地での機体
の安定走行が行えて作業の安全性向上が図れるなど顕著
な効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】昇降部の側面説明図である。

【図２】移植機の全体側面図である。

【図３】移植機の全体平面図である。

【図４】移植機の平面説明図である。

【図５】昇降部の平面説明図である。

【図６】ピッチングセンサ部の側面説明図である。

【図７】ピッチング制御系の説明図である。

【図８】苗トレイの説明図である。

【図９】苗トレイの説明図である。

【図１０】苗トレイの説明図である。

【図１１】苗トレイの説明図である。

【図１２】苗トレイの説明図である。

【符号の説明】

（４） 後輪 （６） 前輪 （４３） 昇降シリンダ （６１） ピッチングシリンダ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 和 田 俊 郎 大阪市北区茶屋町１番32号 ヤンマー農機 株式会社内 (72)発明者 中 島 英 夫 大阪市北区茶屋町１番32号 ヤンマー農機 株式会社内 (72)発明者 日 朝 正 俊 大阪市北区茶屋町１番32号 ヤンマー農機 株式会社内 (72)発明者 兼 崎 雅 弘 大阪市北区茶屋町１番32号 ヤンマー農機 株式会社内 (72)発明者 蔵 屋 芳 明 大阪市北区茶屋町１番32号 ヤンマー農機 株式会社内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 前後輪による機体の走行中苗移植作業を
   行うようにした移植機において、前輪と後輪とを一体昇
   降させる昇降シリンダを設けると共に、前輪及び後輪の
   何れか一方を単独昇降させるピッチングシリンダを設
   け、機体の前後傾斜時前記ピッチングシリンダの作動制
   御を行って、機体の前後水平維持を図るように構成した
   ことを特徴とする移植機の昇降装置。