JPH06220414A - タイル用接着剤組成物 - Google Patents

タイル用接着剤組成物

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JPH06220414A
JPH06220414A JP876193A JP876193A JPH06220414A JP H06220414 A JPH06220414 A JP H06220414A JP 876193 A JP876193 A JP 876193A JP 876193 A JP876193 A JP 876193A JP H06220414 A JPH06220414 A JP H06220414A
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JP
Japan
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polymerization
emulsion
vinyl
adhesive
cement
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JP876193A
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English (en)
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Masato Nakamae
昌人 仲前
Toshiaki Sato
寿昭 佐藤
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 混和安定性に優れるとともに、表面部に皮膜
を形成しないため作業性に優れ、さらに接着強度および
接着耐久性に優れたタイル用接着剤組成物を開発するこ
と。 【構成】 分散質として(メタ)アクリル酸エステル系
単量体単位,スチレン系単量体単位およびジエン系単量
体単位の中から選ばれた少なくとも一種の単量体単位か
らなる単独重合体または共重合体を含有し、かつ分散剤
として末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコー
ル系重合体を含有する水性エマルジョンとセメントを含
有するタイル用接着剤組成物である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、陶磁器質タイルなどの
接着施工に好適なタイル用接着剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】陶磁器質タイル(以下、単に「タイル」
と言う)は、美観や耐久性の点で優れた仕上げ材として
多用されているが、施工後の浮き,剥落などの事故に対
する不安が常に問題視されている。タイルの接着施工用
接着剤としては、セメントモルタルあるいはセメントペ
ーストが用いられるが、これらには下地の吸水によるド
ライアウト防止と共にセメント混合物に優れた保水性,
可塑性および接着性増強を付与する目的で水溶性セルロ
ース化合物,合成樹脂エマルジョン又はラテックスの混
入が広く行われている。しかしながら、このような水溶
性セルロースや合成樹脂エマルジョンを混入してなるセ
メント組成物は、接着剤として塗布した表面部から硬化
し、表面部のみに皮膜が形成される現象、いわゆる皮膜
化現象を呈し、この現象は、低湿度で高温の状態ほど著
しく、さらに時間の経過とともに急速に進行する。ま
た、水溶性高分子や合成樹脂エマルジョンを配合したセ
メント組成物は、乾燥に伴い水分が移行する方向に水溶
性高分子や合成樹脂エマルジョンを同伴して移行する現
象、つまりマイグレーションを惹起しやすく、この現象
も表面部の皮膜化現象を促進する。一度、皮膜化現象を
起こした接着層は、可塑性を失い、張り付けるタイルと
接着剤のモルタルの密着が不充分となり、硬化後におい
て弱い接着強度となり、施工タイルの剥落事故の大きな
原因の一つとなっていた。
【0003】施工タイルの剥落事故の防止については、
施工時、一度に張り付けるタイルの表面をできるだけ小
さくし、モルタルの皮膜化現象が発生する前に作業する
必要がある。したがって、それらの施工管理の面倒なこ
とおよびできるだけ小さい面積での作業という接着作業
性の不良について改良が求められていた。このため、で
きるだけ長い間塗布した接着剤のモルタルの皮膜化現象
を抑制する方法について、種々検討され、例えば、特公
昭58−52946号公報では、特定の水溶性セルロー
ス化合物の組み合わせで、また特公昭59−2472号
公報では、特定の水溶性セルロース化合物とグルコン酸
カルシウムの組み合わせで改良する方法が提案されてい
る。しかしながら、これらの水溶性セルロース化合物に
おいても皮膜化防止が出来ず、さらに長期の接着耐久性
も不充分である。さらに、特公平4−33752号公報
には、脂肪族アルコール又は脂肪族アルコール及びポリ
カルボン酸塩を含有するエチレン−酢酸ビニル共重合体
エマルジョンをセメント組成物に混入する方法が提案さ
れており、確かに皮膜化防止という観点からは効果があ
るものの、接着強度および接着耐久性(常態強度,湿潤
強度,熱冷繰り返し強度,耐アルカリ強度)の点からは
必ずしも満足できるものではない。
【0004】セメントモルタルまたはセメントペースト
に混入される合成樹脂エマルジョンは、セメントとの馴
染みやすさからポリビニルアルコールを分散剤とするエ
チレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョンが賞用されて
いるが、これに上記の皮膜化防止を目的として添加され
る水溶性セルロース,脂肪族アルコール又はポリカルボ
ン酸塩を添加しても本質的に接着強度および接着耐久性
を向上させることは困難である。そこで、特に、接着強
度および接着耐久性を向上させる目的で、(メタ)アク
リル酸エステル系(共)重合体エマルジョン〔(メタ)
アクリル酸は、アクリル酸またはメタクリル酸を意味
し、(共)重合体は単独重合体または共重合体を意味す
る。以下、同様。〕,スチレン−(メタ)アクリル酸エ
ステル系共重合体エマルジョン,SBRラテックス等を
セメントモルタルまたはセメントペーストに混入する方
法が種々検討されている。この方法によれば接着強度お
よび接着耐久性は向上する傾向にあるが、これらのエマ
ルジョンやラテックスは、通常、界面活性剤の存在下で
の乳化重合により製造されるため、一般的に(共)重合
体の粒子径が小さく、セメント組成物の硬化,乾燥過程
でマイグレーションを起こしやすく、表面の皮膜化現象
の問題があり、接着作業性に劣るという欠点がある。ま
た、界面活性剤系のエマルジョンおよびラテックスは、
ポリビニルアルコール系のものに比べてセメントとの馴
染み,混和安定性等が不足しがちであるのが現状であ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情のもとで、セメントとの混和性と皮膜化防止による
作業性を向上するとともに、接着強度および接着耐久性
を改質したタイル用接着剤組成物を提供することを目的
としてなされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の好
ましい性質を有するタイル用接着剤組成物を開発すべく
鋭意研究を重ねた結果、セメント組成物に特定の分散剤
を用いて(メタ)アクリル酸エステル系,スチレン系お
よびジエン系の単量体から選ばれる1種以上の(共)重
合体を分散した水性エマルジョンを配合したタイル用接
着剤組成物が、その目的に適合しうることを見出した。
本発明は、このような知見に基づいて完成したものであ
る。すなわち、本発明は、分散質としてアクリル酸エス
テル系単量体単位,メタクリル酸エステル系単量体単
位,スチレン系単量体単位およびジエン系単量体単位の
中から選ばれた少なくとも一種の単量体単位からなる単
独重合体または共重合体を含有し、かつ分散剤として末
端にメルカプト基を有するポリビニルアルコール系重合
体を含有する水性エマルジョンとセメントを含有するタ
イル用接着剤組成物を提供するものである。
【0007】本発明のタイル用接着剤組成物に用いられ
る水性エマルジョンは、分散質として、アクリル酸エス
テル系単量体単位,メタクリル酸エステル系単量体単
位,スチレン系単量体単位およびジエン系単量体単位の
中から選ばれた少なくとも一種の単量体単位からなる単
独重合体または共重合体を含有するものである。(メ
タ)アクリル酸エステル系単量体としては、例えば(メ
タ)アクリル酸メチル,(メタ)アクリル酸エチル,
(メタ)アクリル酸ブチル,(メタ)アクリル酸2−エ
チルヘキシル,(メタ)アクリル酸ドデシル,(メタ)
アクリル酸2−ヒドロキシエチル,(メタ)アクリル酸
ジメチルアミノエチルおよびその四級化物、メタクリル
酸グリシジルなどが挙げられ、一方、スチレン系単量体
としては、例えばスチレン,α−メチルスチレン,p−
メチルスチレンスルホン酸およびそのナトリウム,カリ
ウム塩などが挙げられる。また、ジエン系単量体として
は、ブタジエン,イソプレン,クロロプレンが挙げられ
る。これらの単量体は一種用いてもよく、二種以上を組
み合わせて用いてもよい。
【0008】また、本発明に用いる水性エマルジョン
は、性能を損わない範囲で(メタ)アクリル酸エステル
系,スチレン系,ジエン系単量体以外の単量体も共重合
することができる。共重合可能な単量体としては、エチ
レン,プロピレン,イソブチレン等のオレフィン、ギ酸
ビニル,酢酸ビニル,プロピオン酸ビニル,バーサチッ
ク酸ビニル等のビニルエステル、塩化ビニル,フッ化ビ
ニル,ビニリデンクロライド,ビニリデンフルオライド
等のハロゲン化オレフィン、アクリル酸,メタクリル
酸,イタコン酸,クロトン酸,フマル酸,マレイン酸,
シトラコン酸等のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸
およびその塩、(メタ)アクリルアミド,N−メチロー
ル(メタ)アクリルアミド,N,N’−ジメチルアクリ
ルアミド,アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン
酸およびそのナトリウム塩等の(メタ)アクリルアミド
系単量体、その他ビニルピリジン,N−ビニルピロリド
ン等の単量体が挙げられる。
【0009】本発明に用いられる水性エマルジョンは、
分散剤が、末端にメルカプト基を有するポリビニルアル
コール(PVA)系重合体であり、好ましくは、該PV
A系重合体の存在下、上記(メタ)アクリル酸エステル
系単量体,スチレン系単量体およびジエン系単量体から
選ばれた一種以上の単量体を乳化(共)重合して得られ
る水性エマルジョンである。上記のPVA系重合体は、
PVA分子の主鎖中にメルカプト基を有する重合体でも
よいが、PVA自体の酸化によりジスルフィド結合を形
成することにより、不溶化する恐れがある。そのため本
発明においては、分子の片末端にのみメルカプト基を有
するPVA系重合体が不溶化の心配がなくて取扱いやす
く、好適に用いられる。このような分子の片末端にのみ
メルカプト基を有するPVA系重合体は、チオール酸の
存在下にビニルエステル類を主体とするビニル系モノマ
ーを重合して得たポリビニルエステル系重合体を常法に
よりけん化して得られるが、この製造方法については以
下に詳述する。
【0010】まずここで使用するチオール酸は−COS
H基を有する有機チオール酸を包含する。例えば、チオ
ール酢酸,チオールプロピオン酸,チオール酪酸,チオ
ール吉草酸などが挙げられるが、中でもチオール酢酸が
分解性もよく最も好ましい。またビニルエステル類はラ
ジカル重合可能なビニルエステルであれば使用できる。
例えばギ酸ビニル,酢酸ビニル,プロピオン酸ビニル,
バーサティック酸ビニル,ラウリル酸ビニル,ステアリ
ン酸ビニルなどが挙げられるが、中でも酢酸ビニルが最
も重合性がよく、好ましい。またこれらビニルエステル
類と共重合可能な単量体を共存させ共重合することもで
きる。共重合可能な単量体としては、例えばエチレン,
プロピレン,イソブチレン,アクリル酸,メタクリル
酸,無水マレイン酸,マレイン酸,フマル酸,イタコン
酸またはその塩あるいはこれらのアルキルエステル、ア
クリロニトリル,メタクリロニトリル,アクリルアミ
ド,メタクリルアミド,トリメチル−(3−アクリルア
ミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロリ
ド,エチルビニルエーテル,ブチルビニルエーテル,N
−ビニルピロリドン,塩化ビニル,臭化ビニル,フッ化
ビニル,塩化ビニリデン,フッ化ビニリデン,テトラフ
ルオロエチレン,ビニルスルホン酸ナトリウム,アリル
スルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0011】チオール酸の存在下での酢酸ビニルなどの
ビニルエステル類を主体とするビニル系単量体の重合
は、ラジカル重合開始剤の存在下、塊状重合法,溶液重
合法,パール重合法,乳化重合法などいずれの方法でも
行うことができるが、メタノールを溶媒とする溶液重合
法が工業的には最も有利である。重合中に存在させるチ
オール酸の重合系への添加量,添加方法については特に
制限はなく、目的とするPVA系重合体の物性値によっ
て適宜決定されるべきものである。重合方式としては回
分式,半連続式,連続式など公知の方式を採用しうる。
【0012】ラジカル重合開始剤としては、例えば2,
2’−アゾビスイソブチロニトリル,過酸化ベイゾイ
ル,過酸化カーボネートなど公知のラジカル重合開始剤
が使用できるが、2,2’−アゾビスイソブチロニトリ
ルなどのアゾ系開始剤が取扱い易く好ましい。また放射
線,電子線等も使用することができる。重合温度は、使
用する開始剤の種類により適当な温度を採用することが
望ましいが、通常30〜90℃の範囲から選ばれる。所
定時間重合したのち、未重合のビニルエステル類を通常
の方法で除去することにより末端にチオール酸エステル
基を有するポリビニルエステル系重合体が得られる。
【0013】このようにして得られたポリビニルエステ
ル系重合体は、常法によりけん化されるが、通常重合体
をアルコール溶液とりわけメタノール溶液として実施す
るのが有利である。アルコールは無水物のみならず少量
の含水系のものも目的に応じて用いられ、また酢酸メチ
ル,酢酸エチルなどの有機溶媒を任意に含有させてもよ
い。けん化温度は通常10〜70℃の範囲から選ばれ
る。けん化触媒としては、例えば水酸化ナトリウム,水
酸化カリウム,ナトリウムメチラート,カリウムメチラ
ートなどのアルカリ性触媒が好ましい。該触媒の使用量
はけん化度の大小および水分量などにより適宜決められ
るが、ビニルエステル単位に対してモル比で0.001以
上、好ましくは0.002以上用いることが望ましい。一
方、アルカリ量が多くなりすぎると残存アルカリをポリ
マー中より除去することが困難となり、ポリマーが着色
するなど好ましくなく、モル比で0.2以下にするのが望
ましい。なお、ポリビニルエステル系重合体中にカルボ
キシル基やそのエステル基などのアルカリ触媒と反応
し、アルカリを消費する成分が含有されている場合、そ
の消費量分を加えた量のアルカリ触媒を使用することが
望ましい。
【0014】このけん化反応により末端にチオール酸エ
ステル基を有するポリビニルエステル系重合体の該末端
チオール酸エステルと主鎖のビニルエステル結合がけん
化され、ポリマー末端はメルカプト基に、主鎖はビニル
アルコールになるが、主鎖のビニルエステル単位のけん
化度は使用目的に応じて変えられる。けん化反応後析出
した重合体は、例えばメタノールで洗浄するなど公知の
方法で精製し、残存アルカリ,酢酸のアルカリ金属塩な
どの不純物を除去して乾燥することにより通常白色粉末
として得ることができる。
【0015】以上本発明で使用される末端にメルカプト
基を有するPVA系重合体の製造方法について述べた
が、このPVA系重合体の重合度は3500以下が好ま
しい。またけん化度は、一義的には言えないが、水溶性
の点からは70モル%以上が好ましい。このようにして
得られた該PVA系重合体の使用量は、上記(メタ)ア
クリル酸エステル系単量体,スチレン系単量体やジエン
系単量体等のモノマー量に対して1〜20重量%、特に
2〜10重量%が好ましい。該PVA系重合体の使用量
がモノマー量に対して1重量%より少ない場合、乳化重
合安定性が低下し、安定な水性エマルジョンが得にく
く、好ましくない。一方、該PVA系重合体の使用量が
20重量%を超える場合、止水性能および仕上げ処理材
(構造体)との密着性が充分に発現せず問題となること
がある。
【0016】該PVA系重合体を分散剤として用いて、
(メタ)アクリル酸エステル系単量体,スチレン系系単
量体およびジエン系単量体から選ばれた一種以上の単量
体の乳化(共)重合を実施するにあたっては、水,分散
剤および重合開始剤の存在下に上記不飽和単量体を一時
または連続的に添加して、加熱,攪拌するような通常の
乳化重合法がいずれも実施しうるし、また、不飽和単量
体を予めPVA系重合体水溶液と混合乳化したものを連
続的に添加する方法も実施しうる。重合開始剤として
は、PVA末端のメルカプト基と臭素酸カリウム,過硫
酸カリウム,過酸化水素等の水溶性酸化剤によるレドッ
クス系も可能であり、この中でも臭素酸カリウムは、通
常の重合条件下では単独ではラジカルを発生せず、PV
A末端のメルカプト基とのレドックス反応によってのみ
分解し、ラジカルを発生することから、PVAとブロッ
ク共重合体を有効に生成し、もって安定化効果を大なら
しめるので、特に好ましい開始剤である。また、重合開
始時に臭素酸カリウムを用いたのち、他の酸化剤を追加
添加するというように酸化剤の併用も可能である。なお
上記メルカプト基を有するPVA系重合体を用いて、乳
化重合を行うに際しては、重合系が酸性であることが望
ましい。これは、メルカプト基が酸性下では、モノマー
の二重結合へイオン的に付加し、消失する速度が大き
く、重合効率が著しく低下するためであり、すべての重
合操作をpH6以下、好ましくはpH5以下で実施する
のが望ましい。
【0017】本発明における水性エマルジョンには、乳
化分散安定剤として、上記のメルカプト基を有するPV
A系重合体以外に従来公知のノニオン性界面活性剤,ア
ニオン性界面活性剤,カチオン性界面活性剤,従来公知
の未変性PVAや種々の変性PVA,ヒドロキシエチル
セルロースなどのセルロース類をはじめとする水溶性高
分子を、接着剤としての性能を阻害しない範囲で併用す
ることができる。本発明に用いられる水性エマルジョン
には、上述の方法で得られる水性エマルジョンをそのま
ま用いてもよいが、必要があれば各種の水性エマルジョ
ンを添加することができる。かかる水性エマルジョンと
しては、ポリ酢酸ビニルエマルジョン,エチレン−酢酸
ビニル共重合体エマルジョン,ポリクロロプレンエマル
ジョン,ポリブタジエンエマルジョン,スチレン−ブタ
ジエン共重合体エマルジョン,ブタジエン−アクリロニ
トリル共重合体エマルジョン,ブチルゴムエマルジョ
ン,ポリアクリル酸エステルエマルジョン,ポリ塩化ビ
ニルエマルジョン,ポリ塩化ビニリデンエマルジョンな
どが挙げられる。
【0018】本発明の接着剤組成物は、前述した水性エ
マルジョンをセメントに配合して成るものである。ここ
でセメントとは、通常のポルトランドセメント,白色セ
メント,アルミナセメント,混合セメントなどの水硬性
セメントの総称であって、これらのセメントを好適に使
用することができる。前述した水性エマルジョンは、必
要に応じて水を用いて適切な固形分濃度に調整してから
セメント組成物に混入するのが好ましい。この水性エマ
ルジョンの固形分濃度は、通常10〜60重量%である
のが好ましい。本発明の接着剤組成物において、前記水
性エマルジョン(A)とセメント組成物(B)との配合
割合は、特に制限はないが、固形分換算で(A)/
(B)=1/99〜40/60が好ましく、(A)/
(B)=5/95〜20/80がより好ましい。本発明
の接着剤組成物は、前記の水性エマルジョンとセメント
組成物を主成分として含有するものであるが、さらに必
要に応じて、セメント組成物に通常使用される各種骨材
およびAE剤,防水剤,水溶性高分子などの添加剤を含
有することができる。
【0019】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、これらの実施例は本発明を何ら制限するものでは
ない。また、特に断らない限り、部あるいは%はすべて
重量基準である。なお、実施例における試験法は次の通
りである。 (1)試験に用いるタイル用接着剤組成物 水性エマルジョン(固形分50%)の樹脂固形分が粉体
(ポルトランドセメント/5号硅砂/6号硅砂=100
/65/65)に対して5%になるように添加し、混練
し、接着剤組成物を調製した。 (2)セメント混和安定性試験 (1)においてモルタルの混練直後と60分間経過後の
フロー値(JIS R5021)を測定した。
【0020】(3)接着性能 常態接着強度(接着作業性) (1)で調製した接着剤組成物を温度23℃,湿度65
%の室内で予め用意したコンクリート板に厚さ6mmに
なるように塗り付け、一定時間(オープンタイム)ごと
にタイル(小口平,外装用)を張り付けて4週間後に接
着力を測定した。接着力の測定は、タイル表面に鉄製ア
タッチメントをエポキシ接着剤で接着して建研式引張試
験機を用いて行った。 湿潤接着強度 の方法でオープンタイムをとらないで、タイルを張り
付けたものについて4週間後に23℃の水中に48時間
浸漬した後、上記と同様に接着力を測定した。
【0021】熱冷繰り返し強度 の方法でオープンタイムをとらないで、タイルを張り
付けたものについて4週間後に試験体の表面温度が70
℃になるように、105分間赤外線ランプを照射し、そ
の後15分間散水することを1サイクルとして300サ
イクル継続した。ただし、水温は15±5℃とし、試験
体1体当たりの散水量は毎分6リットルとした。300
サイクル終了後、試験体を標準状態に24時間放置し、
上記と同様に接着力を測定した。
【0022】凍結融解強度 の方法でオープンタイムをとらないで、タイルを張り
付けたものについて4週間後に、23℃の水中に18時
間浸漬し、−20℃の恒温槽中に3時間浸漬後、50℃
の恒温槽中に3時間浸漬することを1サイクルとして2
0サイクル継続した。20サイクル終了後、試験体を標
準状態に24時間放置し、上記と同様に接着力を測定
した。
【0023】耐アルカリ強度 の方法でオープンタイムをとらないで、タイルを張り
付けたものについて4週間後に、水酸化カルシウム飽和
溶液に浸漬して80℃の恒温槽中に1か月間放置した。
その後、試験体を標準状態に24時間放置し、上記と
同様に接着力を測定した。
【0024】実施例1 還流冷却器,滴下ロート,温度計,窒素吹込口を備えた
1リットルガラス製容器に、末端にメルカプト基を有す
るPVA(PVA−1;重合度500,けん化度88.0
モル%)15gをイオン交換水280gで加熱溶解し、
希硫酸でpH=3.5に調整した。次いで、140rpm
で攪拌しながらメタクリル酸メチル50gとアクリル酸
ブチル50gを仕込み、60℃に昇温したのち、5%過
硫酸カリウム水溶液10gを添加し、重合を開始した。
重合を開始して15分後に、メタクリル酸メチル100
gとアクリル酸ブチル100gを2時間にわたって連続
的に添加した。5時間後、重合率99.9%となり冷却し
た。生成したエマルジョンをアンモニア水でpH=6.8
に調整し、イオン交換水で固形分濃度50.0%に調整
し、粘度700cpの水性エマルジョンを得た。次い
で、この水性エマルジョンを上記(1)の方法でモルタ
ルと混練して接着剤組成物を調製し、上記(2)および
(3)の方法で試験を行い、その結果を第1表に示す。
【0025】実施例2 末端にメルカプト基を有するPVA(PVA−2;重合
度300,けん化度97.5モル%)12gをイオン交換
水280gに加熱溶解したものを、窒素吹込口および温
度計を備えた耐圧オートクレーブ中に仕込んだ。希硫酸
でpH=4.0にした後、スチレン165gと次いで耐圧
計量器よりブタジエン135gを仕込み、70℃に昇温
した後、2%過硫酸カリウム水溶液10gを圧入して重
合を開始させた。内圧は、4.8kg/cm2 から重合の
進行と共に低下し、15時間後に0.4kg/cm2 とな
り、重合率を求めたところ99.4%であった。得られた
エマルジョンをアンモニア水でpH=6.5とし、イオン
交換水で固形分濃度50.0%とし,粘度950cpの水
性エマルジョンを得た。次いで、この水性エマルジョン
を用いて実施例1と同様にして接着剤組成物を調製し、
試験を行い、その結果を第1表に示す。
【0026】比較例1 実施例1で用いた末端にメルカプト基を有するPVA
(PVA−1)に代えて、ノニオン性界面活性剤(三洋
化成(株)製,ノニポール200)を15g用いた以外
は、実施例1と同様にして水性エマルジョンを得た。水
性エマルジョンの固形分濃度を50.0%に調製したと
ころ、粘度は20cpであった。次いで、この水性エマ
ルジョンを用いて実施例1と同様にして接着剤組成物を
調製し、試験を行い、その結果を第1表に示す。
【0027】比較例2 実施例2で用いた末端にメルカプト基を有するPVA
(PVA−2)に代えて、アニオン性界面活性剤(三洋
化成(株)製,サンデットBL)を12g用いた以外
は、実施例2と同様にして、固形分濃度50.0%,粘度
90cpの水性エマルジョンを得た。次いで、この水性
エマルジョンを用いて実施例1と同様にして接着剤組成
物を調製し、試験を行い、その結果を第1表に示す。
【0028】比較例3 実施例1で用いた水性エマルジョンに代えて、分散質1
00部に対して無変性PVA(重合度1000,けん化
度88モル%)4部を分散剤とするエチレン−酢酸ビニ
ル共重合体エマルジョン(エチレン含量10%,固形分
濃度55.3%)にイオン交換水を添加して固形分濃度5
0.0%に調整したものを用いた以外は、実施例1と同様
にして接着剤組成物を調製し、試験を行い、その結果を
第1表に示す。
【0029】比較例4 還流冷却器,滴下ロート,温度計,窒素吹込口を備えた
1リットルガラス製容器に無変性PVA(重合度50
0,けん化度88.3モル%)15gをイオン交換水28
0gで加熱溶解した。次いで、140rpmで攪拌しな
がら酢酸ビニル100gを仕込み、60℃に昇温した
後、5%過硫酸カリウム水溶液10gを添加し、重合を
開始した。重合を開始して15分後に、酢酸ビニル20
0gを2時間にわたって連続的に添加した。4時間後、
重合率99.3%となり冷却した。生成したエマルジョン
をアンモニア水でpH=5.9に調整し、イオン交換水で
固形分濃度50.0%に調整し、粘度900cpの水性エ
マルジョンを得た。次いで、この水性エマルジョンを用
いて実施例1と同様にして接着剤組成物を調製し、試験
を行い、その結果を第1表に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】上記第1表から、本発明のタイル用接着剤
組成物は、混和安定性に優れるとともに、接着作業性,
接着強度および接着耐久性に極めて優れるものであるこ
とは明らかである。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のタイル用
接着剤組成物は、含有される水性エマルジョンとセメン
トとの混和安定性が優れ、また、塗布後に時間が経過し
た後も表面部で皮膜が形成しないため、作業性において
著しく優れ、かつ高い接着強度および接着耐久性を有す
るものである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分散質としてアクリル酸エステル系単量
    体単位,メタクリル酸エステル系単量体単位,スチレン
    系単量体単位およびジエン系単量体単位の中から選ばれ
    た少なくとも一種の単量体単位からなる単独重合体また
    は共重合体を含有し、かつ分散剤として末端にメルカプ
    ト基を有するポリビニルアルコール系重合体を含有する
    水性エマルジョンとセメントを含有するタイル用接着剤
    組成物。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20030015565A (ko) * 2001-08-16 2003-02-25 주식회사 리콘스 수용성 타일접착제
KR100455761B1 (ko) * 2001-10-15 2004-11-15 한국신발피혁연구소 아크릴계 에멀젼형 접착성 고분자
CN100378187C (zh) * 2004-03-09 2008-04-02 王永法 聚合物速效防水胶
JP2011246510A (ja) * 2010-05-24 2011-12-08 Yayoi Chemical Industry Co Ltd 床材施工用接着剤

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