JPH06220194A - ポリイミド溶液組成物及びその製造方法 - Google Patents

ポリイミド溶液組成物及びその製造方法

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JPH06220194A
JPH06220194A JP2995693A JP2995693A JPH06220194A JP H06220194 A JPH06220194 A JP H06220194A JP 2995693 A JP2995693 A JP 2995693A JP 2995693 A JP2995693 A JP 2995693A JP H06220194 A JPH06220194 A JP H06220194A
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Japan
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polyimide
phenolic compound
solvent
acid dianhydride
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JP2995693A
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English (en)
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Yoshihiro Oie
義弘 尾家
Hiroshi Itaya
博 板谷
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P I ZAIRYO KENKYUSHO KK
Original Assignee
P I ZAIRYO KENKYUSHO KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】有機極性溶媒に可溶なポリイミドを有機極性溶
媒中で、加熱縮合して、直接イミド化して保存安定性の
よい高分子量のポリイミド組成物を製造しうる方法を開
発すること。 【構成】酸ジ無水物と芳香族ジアミンとを有機極性溶媒
中で、直接イミド化する方法において、フェノール性化
合物の存在下に重縮合すること。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐熱絶縁性にすぐれたポ
リイミド樹脂の溶液組成物及びその製造方法に関する。
特に有機極性溶媒中でフェノール性化合物の存在下で直
接イミド化する方法及びそれによって得られた高分子
量、保存安定性のよいポリイミド溶液組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリイミド樹脂は高度の耐熱性、耐薬品
性の他に、機械的特性、電気絶縁性等に非常にすぐれた
特性を有し、特に高温時に使用する、フィルム、電線被
覆、接着剤、塗料、積層品等の用途に非常に有用であ
る。
【0003】ポリイミド特に芳香族ポリイミド樹脂の製
造方法は、(イ)テトラカルボン酸ジ無水物と芳香族ジア
ミンとを等量加えて、無水の条件下で極性溶媒、例えば
N−メチル−2−ピロリドン(NMPと略す)やジメチ
ルホルムアミド(DMFと略す)中で、低温で反応して
高分子量のポリアミド酸とし、ついでポリアミド酸をキ
ャスト又は成形した後、加熱処理によってフィルム又は
成形品とする方法、(ロ)ポリアミド酸に無水酢酸とトリ
エチルアミンを添加し、化学的方法によってイミド化合
物として析出させる方法が一般に広く採用されている。
これはポリイミド樹脂の不融、不溶性に起因するもので
あり、成形時にポリアミド酸のイミド化反応による水の
脱離、蒸発という過程をへるために、成形時の条件設定
が難しかったり、フィルム成形時における成形収縮やポ
リアミド酸の弱いフィルム強度等に起因したフィルム破
断といった現象が起こり易かった。
【0004】これに対して近年、成形時に化学反応を伴
わない有機溶媒可溶のポリイミドが開発されている。溶
剤可溶のポリイミド組成物は、ポリイミドの形態のまま
成形できるため成形時は単に溶媒の除去のみであるた
め、成形性が非常にすぐれ、更には脱水によるピンホー
ルの生成もなくなり、平滑性のよいポリイミドフィルム
がえられる利点がある。
【0005】3、3′4、4′−ビフェニルテトラカル
ボン酸ジ無水物(BPDAと略す)と4、4′−ジアミ
ノジフェニルエーテルよりなるポリイミド樹脂は4−ク
ロルフェノールに溶解するため、4−クロル−フェノー
ル中で180℃附近で加熱脱水して、直接イミド化した
保存安定性のよい高分子量のポリイミド溶液となる。こ
れをキャスト、加熱して溶媒を飛散させて、高性能のポ
リイミドフィルムがえられる(特公昭61−45652
号)。
【0006】4−クロロフェノールは悪臭も強く、毒性
も非常に強くて、人体にふれると、カブレ等の障害を生
ずるので、完全に逸散の防止された閉鎖系の設備の中で
製造されている。従って、4−クロルフェノールより毒
性の少ない更には高分子量ポリイミドを生成する溶媒が
求められていた。
【0007】m−クレゾール、レゾルシノール、1−ナ
フトールが極性のポリイミドに有効であることが判明し
た(特開昭50−113597号)。
【0008】フェノール性溶媒として、安価なフェノー
ルとの混合溶媒であって、室温で液状を示し、更に高分
子量ポリイミドを生成する事実が見出された(特開平3
−199233号)。フェノールと4−メトキシフェノ
ール及びフェノールと2、6−ジメチルフェノールは、
ポリイミド製造上非常に有効な溶媒であり、多くのポリ
イミドに対して溶解性が大である。
【0009】可溶性ポリイミドに対する溶媒として、多
価アルコールにフェノール性化合物を混合した溶媒も開
示されている(特開平2−199125号)。この溶媒
は多価アルコールにフェノールやm−クレゾールを混合
した溶媒である。然しフェノールに対してエチレングリ
コールの比率は0.03(重量比)と少なく、実質的に
はフェノール溶媒に少量のグリコールを添加したにすぎ
ない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】近年、溶媒可溶のポリ
イミドの研究開発が活発である。特に含フッ素ポリイミ
ドは各種の有機溶媒に容易に溶解することが知られてい
る。トルエン可溶のポリイミド(特開平1−26311
7号)やアセトン可溶のポリイミド(特開平2−160
832号)も知られている。これらはアセトンの他に、
DMF、NMP、塩化メチレン、メチルエチルケトン、
エチレングリコール、ジメチルエーテル等に10%以上
溶解する。
【0011】これらの可溶性溶媒は、溶媒中で直接イミ
ド化するための適当な方法が知られていないため、NM
P中で重縮合してポリアミド酸とした後、無水酢酸とト
リエチルアミンを添加して、ポリイミド粉末として析
出、回収する。この粉末を再びNMPや他の溶媒に再溶
解して、フィルムや成形品に加工している。
【0012】NMPやDMF等の有機極性溶媒に溶解す
るポリイミドも知られている(特開平4−11631
号、特開平4−20252号、特開平4−23832
号)。これらのポリイミドもNMP中で反応して、ポリ
アミド酸とし、ついでキャスト加熱してフィルム又は成
形品にする方法、ポリアミド酸溶液に無水酢酸とトリエ
チルアミンと添加してポリイミド粉末にして析出、回収
する方法が採用されている。
【0013】芳香族ジアミンの代わりに、そのイソシア
ネートを使用してNMP等の極性溶媒中で直接イミド化
する方法も知られている(特公昭64−10021
号)、然しイソシアネートとしては種類も限定され、高
価で保存安定性が悪いという不利な点がある。
【0014】有機極性溶媒中で、高温に加熱して直接イ
ミド化した報告もある(特開平2−8221号、特開平
2−4832号)。NMP中酸ジ無水物と芳香族ジアミ
ンとを混合し、特に190〜200℃の高温で長時間加
熱して、ポリイミドを生成させている。但しこの方法は
イミド化反応以外の副反応を併発するという理由により
一般的に採用されていない。
【0015】本発明者らは4、4′[2、2、2−トリ
フルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチリデン]ビ
ス−(1、2−ベンゼンジカルボン酸ジ無水物(6FD
Aと略す)と0−トリジンスルホンからなるポリイミド
を製造するために、NMP中で190〜200℃で長時
間加熱して、高分子量のポリイミドを得た。このポリイ
ミドは異常な挙動を示し、GPCによる高分子量分布の
測定の結果、分子量分布が通常のポリイミドと違って二
つのピークが現れた。特に高分子量側に生成した異常に
大きい分子量ポリイミドはNMPとの間の反応が関与し
た異常ポリマーと推定された。
【0016】これらの結果が示すように、有機極性溶媒
に可溶なポリイミドを有機極性溶媒中で、加熱縮合し
て、直接イミド化して保存安定性のよい高分子量のポリ
イミド組成物の製造方法は従来知られていなかった。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このよう
な課題を解決するため鋭意研究した結果、溶剤可溶性の
ポリイミド樹脂組成物の製造において、有機極性溶媒
に、少量のフェノール性化合物を添加することにより、
容易にイミド化して高分子量のポリイミドを生成するこ
とを見出した。
【0018】
【発明の作用】フェノール性化合物の存在が、ポリイミ
ド生成に関与するプロセスは正確には判明していない
が、結果としてポリイミドの縮合を促進するよりも高分
子量ポリイミドの生成を促進している。フェノール性の
酸性基が主要な作用を果たす。そのためフェノールの水
素をアルキルやフェニル基で置換するとその効果が失わ
れる。
【0019】フェノール性化合物とグリコールとの混合
溶媒も報告されている(特開平2−19912号)。し
かしグリコールの混合割合はフェノール化合物に対して
非常に少なく実質上、フェノール性溶媒の効果であると
いうことができる。
【0020】有機極性溶媒中での可溶性ポリイミドの生
成は、ポリアミック酸を生成した後、無水酢酸とトリエ
チルアミンを添加し化学処理によってイミド化して、析
出回収する。得られたポリイミドを有機極性溶媒に溶解
して、保存安定性のよい高分子量ポリイミド溶液組成物
を得るのが一般的方法である(特開平2−160832
号)。
【0021】本発明に於いては有機極性溶媒に少量のフ
ェノール性化合物を添加し、加熱することによってイミ
ド化が容易に進行して、保存安定性のよい高分子量ポリ
イミド溶液組成物がえられる。NMPやDMF等と混合
して使用し、ポリイミド溶液をそのままキャストしてイ
ミドの成形品とするために、沸点が低く、且つ毒性の少
ない、また工業的製品で安価に入手出来るフェノール性
化合物として、フェノール、4−メチルフェノール、4
−メトキシフェノールが本発明で使用される。4−クロ
ルフェノールやレゾルシノールも有効であるが、毒性の
問題や沸点の関係から、これらの化合物は本発明から除
外される。
【0022】有機極性溶媒に混合して高分子量ポリイミ
ドを与えるフェノール性化合物は長鎖性で双極子の大き
いフェノール性化合物が有効であって、2、6−ジメチ
ルフェノールや2、4−ジメチルフェノールは効果が小
さい。
【0023】不溶性ポリイミドの製造に用いられる有機
極性溶媒としては、フェノール性化合物以外ではN−メ
チル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、スルホ
ラン、テトラメチル尿素が溶解性の大きさから一般に用
いられいる。ポリイミド溶液組成物を形成する溶媒とし
ては、溶媒を蒸発して成形するため、沸点の比較的低い
N−メチル−2ピロリドンやジメチルホルムアミドが特
に好ましい。
【0024】フェノール性化合物と共に混合して使用さ
れる有機極性溶媒として、その他フェノールのアルキル
エーテル誘導体や安息香酸エステルの誘導体も相溶性が
よく、高分子量のポリイミドを生成する。沸点が低く、
溶解性のよい溶媒としてアニソール、メチルアニソー
ル、ジメトキシベンゼン、安息香酸メチル等が好まし
い。
【0025】これら有機極性溶媒と混合して用いられる
フェノール性化合物の量は、有機極性溶媒に対して0.
1〜0.5(重量比)の割合が好ましい。
【0026】本発明に用いられる酸ジ無水物は特に限定
されないが ビフェニルテトラカルボン酸ジ無水物 ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジ無水物 ビス(−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物 4、4′−[2、2、2−トリフルオロ−1−(トリフ
ルオロメチル)エチリデン]ビス(1、2−ベンゼンジ
カルボン酸無水物)(6FDA)
【0027】 ビス(ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物 ビス(ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物 チオフェンテトラカルボン酸二無水物 ピロメリフト酸二無水物 ナフタレンテトラカルボン酸二無水物 等の芳香族酸ジ無水物
【0028】 1、2、3、4−ブタンテトラカルボン酸ジ無水物 シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物 ビシクロ(2、2、2)−オクト−7−エンー2、3、
5、6−テトラカルボン酸ジ無水物
【0029】5(2、5−ジオキソテトラヒドロフリ
ル)3−メチル−3−シクロヘキセン−1、2−ジカル
ボン酸無水物 等の脂肪族酸ジ無水物
【0030】をあげることができる。これらは単独でも
二種以上混合してポリイミド組成物とすることができ
る。
【0031】芳香族ジアミンとしては特に限定されない
が、 1、4ベンゼンジアミン 1、3ベンゼンジアミン 6−メチル1、3−ベンゼンジアミン 4、4′−ジアミノ−3、3′−ジメチル−1、1′−
ビフェニル 4、4′−アミノ−3、3′−ジメトキシ−1、1′−
ビフェニル
【0032】 4、4′−メチレンビス(ベンゼンアミン) 4、4′−オキシビス(ベンゼンアミン) 3、4′−オキシビス(ベンゼンアミン) 3、3′−カルボキニル(ベンゼンアミン) 4、4′−チオビス(ベンゼンアミン)
【0033】4、4′−スルホニル(ベンゼンアミン) 3、3′−スルホニル(ベンゼンアミン) 1−メチルエチリジン4、4′−ビス(ベンゼンアミ
ン) 1−トリフルオロメチル2、2、2−トリフルオロエチ
リジン4、4′−ビス(ベンゼンアミン)
【0034】4、4′−ジアミノベンズアニリド 3、5−ジアミノ安息香酸 2、6−ジアミノピリジン 4、4′−ジアミノ−3、3′5、5′−テトラメチル
ビフェニル 2、2ビス(4(4−アミノフェノキシ)フェニル)プ
ロパン
【0035】 ビス(4−(4アミノフェノキシ)フェニル)スルホン ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)エチル 1、4−ビス(4−アミノフェノキン)ベンゼン 1、3ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン 9、9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン 等をあげることができる。これらは単独でも二種以上混
合したポリイミド組成物とすることができる。
【0036】この発明の方法においては酸ジ無水物と芳
香族ジアミンとは、ほぼ等しいモル数で使用し、前記の
極性溶媒にフェノール性化合物を加えて、加熱反応させ
る。原料と有機溶媒の割合は原料の溶解性に基づき決定
され、通常原料5%〜60%、溶媒95%〜40%、好
ましくは原料10%〜40%、溶媒90%〜60%であ
る。有機極性溶媒とフェノール性化合物の割合は特に限
定されないが、有機溶媒100に対して2〜50重量%
のフェノール性化合物が使用される。イミド化のための
反応温度は100〜200℃、好ましくは140〜18
0℃である。酸化を防ぐために不活性ガス(窒素、アル
ゴン、ネオン等)中で反応させる方が好ましい。
【0037】イミド化によって生成する水は、キシレ
ン、トルエン等と共沸混合物にして反応系から除去しな
がら、直接イミド化を促進させる。
【0038】さらに反応系にピリジン、トリエチルアミ
ン、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリン、キ
ノリン等のような塩基性重縮合促進剤を加えて、反応を
速やかに完結させることができる。
【0039】この発明方法でえられるポリイミド溶液組
成物は、イミド化率が高く、対数固有粘度で示される値
の大きい高分子量のポリイミドを高濃度で含有する。常
温〜100℃の温度範囲では、ポリイミドが架橋した
り、解重合したりすることがほとんどないので、前記温
度範囲内では長時間保存することができ、特に50℃以
下では数カ月にわたって安定に保存することができる。
【0040】実施例に示すように、フェノール性化合物
を添加しない極性溶媒の反応で得られたポリイミドの対
数固有粘度は0.3以下であるが、フェノール性化合物
の添加によってえられたポリイミドの対数固有粘度は
0.5以上であり、高粘度を有する場合には0.88にも
達する。
【0041】この発明で得られるポリイミド溶液組成物
は、酸ジ無水物と芳香族ジアミンより生成した高分子量
ポリイミド、フェノール性化合物及び揮発性の極性溶媒
の組成を有し、キャストした後、加熱してフィルムを成
形するのに好適であるばかりでなく、ガラスクロス、炭
素繊維、その他のクロスに含浸させて、複合材料にした
り、電線被覆用ワニス、塗料、接着剤等に使用すること
ができる。
【0042】
【実施例】以下実施例及び比較例を示して本発明の特徴
を具体的に説明する。但し、対数固有粘度は以下の測定
方法及び計算式で示されるものである。
【0043】
【0044】但しポリマー溶液(試料0.5gをNMP1
00ml中にとかす)の落下速度をt、溶液のみの落下速
度をtoとする。反応したポリイミド溶液組成物を、過
剰のメタノール中に注ぎ、激しく撹拌してポリイミド粉
末を析出する。吸引、瀘過し、ついで150℃で2時間
減圧乾燥した後、ポリイミド粉末0.5gをNMP100
mlにとかして、30℃±0.1℃の恒温槽中で、オスワ
ルド粘度計を用いて、液の落下速度を測定した。
【0045】
【実施例1】 [可溶性ポリイミドの製法]500ml容量のセパラブル
三つ口フラスコに、撹拌器(イカリ型ステンレス製)、
チッ素導入管及びストップコックのついたトラップの上
に玉付冷却管をとりつけ、窒素気流中で反応した。3、
4、3′、4′−ビフェニルテトラカルボン酸ジ無水物
666(以後BPDAと略す)(宇部産業製品)、
7.35g(25ミリモル)、ビシクロ(2、2、2)オ
クト−7−エン−2、3、5、6−テトラカルボン酸ジ
無水物C1286(以後BCDと呼ぶ)(アルドリンケ
ミカル製品)6.21g(25ミリモル)、1、3−ビス
(3−アミノフェノキシ)ベンゼンG81622(以
後APBと呼ぶ)(三井東圧製品)14.62g(50ミ
リモル)、ピリジン4g(50ミリモル)、トルエン1
5mlを三つ口フラスコに入れ、更にN−メチル−2−ピ
ロリドン(以後NMPと呼ぶ)(東京化成品)100
g、フェノール(東京化成品)50gを加えた。窒素を通
じながらシリコン浴中、浴温で、室温30分、140℃
1時間更に180℃3時間撹拌(350r.p,m)加熱し
た。180℃になるとトルエンと水が共沸し始める。1
80℃1時間後にトルエンと水を全部トラップから除い
た。かくして粘稠なポリイミド溶液を得た。
【0046】この液は1ケ月間室温に放置しても、変化
は認められなかった。この液を直接ガラス板上に塗布し
85℃10時間、減圧150℃2時間加熱して透明なフ
ィルムがえられた。反応液を1リットルのメタノール中
に抽出、カッターのついた撹拌機で激しく撹拌すると、
無色の粉末がえられた。吸引瀘過し、メタノールで十分
に洗浄して風乾後、減圧下150℃で乾燥した。白色の
ポリイミド粉28.1gを得た。
【0047】ポリイミド粉末のNMP中30℃の固有粘
度は0.88である。IRによると、図1に示す通り1
777、1716、1374、711cmにイミドの特性
吸収、1479、776cmにAPBによる特性吸収が現
れる。ガラス転移温度は図2に示す通り211〜22℃
であり、また熱分解開始温度は、図3に示す通り451
℃である。
【0048】
【比較例1】実施例1と同じ装置で反応した。BPDA
7.35g、BCD6.21g、APB14.62g、ピリジ
ン8g、トルエン15リットル、NMP150gを加えて
反応した。室温で30分、140℃1時間、180℃3
時間反応した。反応液は粘度の低い液状である。反応液
を1リットルのメタノール中に注ぎ、実施例1と同様に
処理してポリイミド粉26.8gを得た。NMP30℃に
おける固有粘度は0.21である。
【0049】
【実施例2】実施例1と同様に反応した。フェノール5
0gの代わりに4−メトキシフェノール(東京化成品)
50gを用いた。粘稠なポリイミド溶液を得た。同様に
処理してポリイミド粉末のNMP中30℃の固有粘度は
0.49であった。
【0050】
【比較例2】実施例1と同様であるが、フェノール50
gの代わりにアニソール50gを用いて反応した。生成し
たポリイミド液は粘性が低く、ポリイミドのNMP中3
0℃での固有粘度は0.27であった。
【0051】
【比較例3】実施例1と同様であるが、フェノール50
gの代わりに4、4′−ジメトキシベンゼン50gを加え
て反応した。生成したポリイミドのNMP中30℃での
固有粘度は0.25であった。
【0052】
【実施例3】実施例1と同様に反応した。BPDA7.
35gBCD6.21g、APB14.62g、ピリジン4
g、トルエン15リットルに更にアニソール100g、フ
ェノール5gを加えて反応した。室温30分、140℃
1時間、180℃3時間、室温で反応し、メタノールで
沈殿せしめ、回収して27.2gのポリイミド粉末を得
た。NMP中30℃での対数固有粘度は0.55であっ
た。
【0053】
【比較例4】実施例3と同様であるが、アニソール10
0g、フェノール50gの代わりにアニソール50g、
N、N′−ジメチルスルホキシド100gを加えて反応
した。
【0054】26.9gのポリイミド粉を得た。NMP中
30℃での対数固有粘度は0.22であった。
【0055】
【実施例4】実施例3と同様であるが、フェノールの代
わりに4−メトキシフェノール50gを用いて反応し
た。得られたポリイミドのNMP中30℃での対数固有
粘度は0.57であった。
【0056】
【比較例5】実施例4と同様であるが、4−メトキシフ
ェノール50gの代わりに1、4−ジメトキシベンゼン
50gを用いて反応した。得られたポリイミドのNMP
中30℃での対数固有粘度は0.35であった。
【0057】
【比較例6】実施例3と同様に、フェノール50gの代
わりに2、6−ジメチルフェノール50gを用いて、反
応した。得られたポリイミドNMP中30℃での対数固
有粘度は0.35であった。
【0058】
【実施例5】実施例1と同じ装置を用いた。3、4、
3′4′−ベンゾフェノンテトラカルギン酸ジ無水物
(東京化成品)16.11g(50ミリモル)、2、4、
ジアミノトルエン(東京化成品)3.05g(25ミリモ
ル)、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]
スルホン(和歌山精化製品)10.81g(25ミリモ
ル)、ピリジン4g(50ミリモル)、トルエン15リ
ットル、NMP200g、フェノール50gを加えて反応
した。室温1時間、140℃1時間、180℃2時間半
反応した。反応液はゲル状となった。撹拌速度を350
r.p,mから100r.p,mにおとした。反応液をメタノール
中に注ぎ、沈殿したメタノールを瀘過、洗浄、乾燥して
29.5gの黄色のポリイミド粉末を得た。このポリイミ
ドの熱分解開始温度は576℃である。NMP中の30
℃における対数固有粘度は0.87であった。
【0059】
【発明の効果】保存安定性のよい高分子量ポリイミド溶
液組成物の新規な製造方法を提供することが出来る。有
機極性溶媒中にフェノール化合物を混合して加熱するこ
とにより、直接イミド化して高分子量ポリイミドを生成
せしめることが出来る。このようにポリイミド製造プロ
セスの短縮、コストの低減がはかられる。
【0060】
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】
【0062】本発明実施例で得られるポリイミドのIR
測定結果を示すグラフである。
【0063】
【図2】
【0064】本発明実施例で得られるポリイミドのガラ
ス転移温度を示すグラフである。
【0065】
【図3】
【0066】本発明実施例で得られるポリイミドの熱分
解開始温度を測定したグラフである。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸ジ無水物と芳香族ジアミンとを有機極性
    溶媒中で、直接イミド化する方法において、フェノール
    性化合物の存在下に重縮合することを特徴とするポリイ
    ミドの製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1において使用されるフェノール性
    化合物が、フェノール、4−メチルフェノール及び(又
    は)4−メトキシフェノールである請求項1の製造方
    法。
  3. 【請求項3】有機極性溶媒がN−メチル−2−ピロリド
    ン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド及び
    テトラメチル尿素の少なくとも1種である請求項1の製
    造方法。
  4. 【請求項4】ポリイミド、フェノール性化合物及び有機
    極性溶媒を主成分として成るポリイミド溶液組成物。
  5. 【請求項5】請求項1記載の方法で製造されたポリイミ
    ド溶液組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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