JPH06218881A - 剥離用シート及びその製造方法 - Google Patents

剥離用シート及びその製造方法

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JPH06218881A
JPH06218881A JP1279993A JP1279993A JPH06218881A JP H06218881 A JPH06218881 A JP H06218881A JP 1279993 A JP1279993 A JP 1279993A JP 1279993 A JP1279993 A JP 1279993A JP H06218881 A JPH06218881 A JP H06218881A
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silicone resin
resin
peeling
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Junji Harada
純二 原田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 基体と接着性が良好で、且つ剥離性に優れた
剥離用シート及びその製造方法を提供する。 【構成】 基体に、電子線硬化性樹脂及び紫外線硬化性
シリコーン樹脂からなる剥離層を有し、該剥離層が、該
基体に近いところでは電子線硬化性樹脂成分が多く、表
面になるにつれ徐々に該シリコーン樹脂成分が多くなる
ように構成された層であることを特徴とする剥離用シー
ト。 【効果】 剥離性が良好で、且つ基体との接着性が良
く、ラブオフが起らない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、紙、ラミネート紙、合
成紙、プラスッチクフィルム等のシート状基体の上に、
シリコーン樹脂成分の非移行性に優れた剥離層を設けた
剥離用シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】紙、ラミネート紙、合成紙、プラスッチ
クフィルム等のシート状基体の上に、有機ポリシロキサ
ンからなる剥離層を設けたシリコーン剥離用シートは、
近年多くの用途に使用されている。剥離層の形成方法と
しては、有機すず化合物やその他の重金属塩、及び白金
系の触媒を含む縮合型もしくは付加型シリコーン系樹脂
の溶液、又はエマルジョンを塗布した後、熱風オーブン
中で120℃から180℃で加熱し硬化被膜を形成する
方法が一般的である。基体には、シリコーン樹脂成分の
使用量を現象させる目的で、グラシン紙、水性塗工紙或
はポリエチレンラミネート紙が用いられる。
【0003】剥離用シートに用いられるグラシン紙或は
水性塗工紙は、パルプ繊維或は顔料の空隙が大きく、シ
リコーン樹脂成分の浸透性が大きかった。このため、表
面に残るシリコーン樹脂成分の割合が少なく、一定の剥
離性に対し、必要以上のシリコーン樹脂を塗布する必要
があった。上質紙等にポリエチレン等のポリオレフィン
樹脂をラミネートした基体も多く用いられるが、製造工
程が増えること、及びラミネートしたポリオレフィン樹
脂の軟化点或は融点により熱的な制限が存在し、シリコ
ーン樹脂の硬化条件或は剥離用シートとしての使用条件
が限られていた。このため、従来から基体の表面空隙が
少なく、製造工程の簡単な剥離用シートが求められてい
た。
【0004】紙を基体に用いた剥離用シートにおいて、
このような高温加熱処理を行なうと紙基体に耐熱性が必
要なことは勿論の上、紙基体内部の水分蒸発によりしわ
やカールが発生しやすく、また剥離層に水分蒸発に伴う
ピンホールが生じ易いという欠点を有していた。このよ
うな欠点を克服する目的と、剥離層を形成するシリコー
ン樹脂の紙への吸収を低減させる目的で、紙表面をポリ
エチレンや塩化ビニリデン等でラミネートした基体を用
いることがよく使われる方法であるが、やはりシリコー
ン樹脂の硬化時において、ラミネート層の軟化、溶融、
収縮等が起こり結果として、ラミネート基体表面の不均
一化により剥離性能を阻害することや、紙中の水分蒸発
による気泡発生のためにピンホールが生じ易いという欠
点を有していた。
【0005】このような欠点を克服するひとつの手段と
して、無溶剤型シリコーン樹脂、その中でも、特に紫外
線(UV)及び電子線(EB)照射により硬化可能な官
能基を有するシリコーン樹脂を用いて、UV又はEB硬
化を行なう低温キュアリング型の剥離用シート製造技術
が開発された。これらの方法によれば、剥離用シート製
造工程中における高温処理に由来するカール、しわ、ピ
ンホール等の発生は比較的防げるものの、紙基体を用い
る剥離用シート製造においては、紙基体へのシリコーン
樹脂のしみこみを防止し、塗布量のバラツキを少なくす
るために高粘度の樹脂を使用しなければならないといっ
た問題や、フィルム基体の剥離用シート製造において
は、UV又はEB硬化を行なう低温キュアリング型方法
で作成したシリコーン膜は、フィルム基体との接着性に
劣るという問題点を有する。
【0006】シリコーン膜とフィルム基体との密着性を
改良する目的で、フィルム基体上に電子線硬化性組成物
でプライマー処理するという方法も考案されているが、
この方法においても、電子線硬化性組成物が水溶液又は
エマルジョンの場合には、加熱乾燥が必要であり、ま
た、無溶媒性の電子線硬化性組成物を用いた場合におい
ても、電子線硬化性組成物の粘度が低い場合には、その
上に塗布した電子線硬化性のシリコーン樹脂と混ざりあ
い、結果として重剥離の剥離用シートとなったり、残留
接着率が低下したりするという問題点があった。このよ
うな問題点を解決する手段として、先に紙又はフィルム
基体の少なくとも片面に該基体と接着性の良い電子線硬
化性組成物層を塗布し、電子線照射により電子線硬化性
組成物層の一部を硬化させた後、さらにその上に電子線
硬化性であり、かつ硬化後に剥離性を有する組成物層を
塗布し、電子線照射により両層を同時に硬化させた層を
設けることにより、上記問題を解決した剥離用シートが
得られることを見いだし出願を行った(特開平1−12
1388号公報)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】この方法で得られる剥
離用シートは、それまでの問題を十分に解決したもので
あったが、基体と接着性の良い電子線硬化性組成物層
と、電子線硬化性剥離層を別々に塗布しなければならな
いといった問題点があった。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記のよう
な問題点を解決する手段を鋭意研究した結果、以下のよ
うな方法を見いだすに至った。即ち、紙又はフィルム基
体の少なくとも片面に、電子線硬化性樹脂及び紫外線硬
化性シリコーン樹脂からなる剥離層を有し、該剥離層
が、該基体に近いところでは電子線硬化性樹脂成分が多
く、表面になるにつれ徐々に該シリコーン樹脂成分が多
くなるように構成された層であることを特徴とする剥離
用シートの発明である。また、このような剥離用シート
を製造するために、紙又はフィルム基体の少なくとも片
面に、電子線硬化性樹脂及び紫外線硬化性シリコーン樹
脂の混合物よりなる樹脂組成物を塗布し、電子線照射に
より電子線硬化性樹脂を硬化させ、表面に滲出した該シ
リコーン樹脂成分を紫外線照射硬化させて剥離層を形成
することを特徴とする剥離用シートの製造方法の発明で
ある。
【0009】以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】本発明において用いられる電子線硬化性樹
脂としては、エチレン性不飽和結合を有する化合物が主
に挙げられるが、より具体的には、以下の樹脂が挙げら
れる。
【0011】(1)脂肪族、脂環族、芳香族、芳香脂肪
族の1価或は多価アルコール及び(ポリ)アルキレング
リコールの(メタ)アクリレート (2)脂肪族、脂環族、芳香族、芳香脂肪族の1価或は
多価アルコールにアルキレンオキサイドを付加させた1
価或は多価アルコールの(メタ)アクリレート (3)ポリエステル(メタ)アクリレート (4)ポリウレタン(メタ)アクリレート (5)エポキシ(メタ)アクリレート (6)ポリアミド(メタ)アクリレート (7)(メタ)アクリロイルオキシアルキルリン酸エス
テル (8)(メタ)アクリロイルオキシ基を側鎖、又は末端
に有するビニル系又はジエン系化合物 (9)単官能(メタ)アクリレート、ビニルピロリド
ン、(メタ)アクリロイル化合物 (10)エチレン性不飽和結合を有するシアノ化合物 (11)エチレン性不飽和結合を有するモノ或はポリカ
ルボン酸、及びそれらのアルカリ金属塩、アンモニウム
塩、アミン塩等 (12)エチレン性不飽和(メタ)アクリルアミド又は
アルキル置換(メタ)アクリルアミド及びその多量体 (13)ビニルラクタム及びポリビニルラクタム化合物 (14)エチレン性不飽和結合を有するエーテル、ポリ
エーテル及びそのエステル (15)エチレン性不飽和結合を有するアルコール、ポ
リアルコールのエステル (16)スチレン、ジビニルベンゼン等1個以上のエチ
レン性不飽和結合を有する芳香族化合物 (17)上記(1)〜(16)記載の化合物において、
分子中に2個以上の同種或は異種の官能基を有する化合
物、或はその多量体或はオリゴエステル(メタ)アクリ
レート変性物
【0012】これらの樹脂は、単独で使用できるし、他
の樹脂と混合して使うことができる。また、無溶剤で塗
布することもできるし、有機溶剤に溶解して塗布する
か、水或は不溶解性の有機溶剤に乳化させて塗布、乾
燥、硬化して用いることもできる。また、電子線照射に
より硬化する前に予備硬化として加熱、風乾等の方法を
とることができる。
【0013】本発明に用いる剥離層を構成する剥離樹脂
は、紫外線照射硬化性のシリコーン樹脂で、分子末端、
又は側鎖にアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル
基、エポキシ基、ビニルアミド基、ジアゾ基の中から選
択される官能基を有するシリコーン樹脂(主にポリジア
ルキルシロキサン)を主成分とする樹脂であり、光開始
剤と共に使用する。これらの官能基の中で、特にアクリ
ロイル基及びメタクリロイル基は高い電子線硬化性を有
するため、電子線硬化性樹脂と混合して用いると電子線
照射時に電子線硬化性樹脂と共重合し、塗工層表面に滲
出しにくくなるため、その含有量を少なくするべきであ
る。本発明における紫外線照射硬化性シリコーン樹脂と
して最も好ましいのは、電子線硬化性をほとんど有さな
い、分子末端又は側鎖にエポキシ基を有するシリコーン
樹脂である。剥離樹脂の塗布形態としては、本発明の電
子線硬化性樹脂と混合し、さらにエマルジョン系、溶剤
系、無溶剤系等による塗布が可能で、硬化機構として光
開始剤の存在下での重合型反応が可能である。
【0014】本発明に用いられる光開始剤としては、ジ
又はトリクロロアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−
2−フェニルアセトフェノンのようなアセトフェノン
類、ベンゾフェノン類、ミヒラ−ケトン、ベンジル、2
エチルアントラキノン、メチルベンゾイルフォルメ−
ト、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2
−ヒドロキシ−4’−イソプロピル−2−メチルプロピ
オフェノン等プロピオフェノン類、2−メチル−〔4−
(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−1−プ
ロパノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケト
ン、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル類、ベン
ジルジメチルケタール、テトラメチルチウラムモノサル
ファイド、アリルジアゾニウム塩、ジアリルヨードニウ
ム塩、ジアリルクロロニウム塩、ジアリルブロモニウム
塩、トリアリルスルホニウム塩、トリアリルセレニウム
塩、2、4、6−トリアリルチオピリリウム塩、2−メ
チル−4,6−ジフェニルチオピリリウム塩等のチオピ
リリウム塩、トリフェニルスルフォニウムヘキサフロロ
フォスフェート、キサントン類、チオキサントン類、ア
ゾ化合物等があり、電子線硬化性樹脂の重合反応のタイ
プ、安定性、及び紫外線照射装置との適性等の観点から
選ばれる。ジアゾニウム塩型の開始剤は、ピンホールの
原因になることがある。光開始剤の使用量は、電子線硬
化性樹脂に対して、通常0.1〜5%の範囲である。ま
た、光開始剤にハイドロキノンのような貯蔵安定剤が併
用される場合もある。
【0015】これらの電子線硬化性樹脂層を形成する樹
脂に、有機或は無機顔料、有機色素、染量を含有させる
ことが可能で、例えば、カオリン、焼成カオリン、タル
ク、ろう石、ケイソウ土、炭酸カルシウム、水酸化アル
ミニウム、水酸化マグナシウム、炭酸マグネシウム、酸
化チタン、炭酸バリウム、尿素−ホルマリン樹脂、スチ
レン等のプラスティックビーズ、群青、クリスタルバイ
オレット、ロイコ染料発色体等が挙げられる。
【0016】基体上に塗布する電子線硬化性樹脂及び紫
外線硬化性シリコーン樹脂からなる樹脂組成物量は、基
体の種類により異なるが、0.1〜10g/m2、より好
ましくは0.2〜5g/m2である。塗布量が0.1g/m2
よりも少ないと、基体上に均一に塗布する事が困難であ
り、また剥離性を悪くする。また塗布量を多くしても特
性上変わらず、コストのみ向上するし、さらに、極端に
多くなると硬化後、カールしやすくなる。
【0017】基体上に、電子線硬化性樹脂及び紫外線硬
化性シリコーン樹脂からなる樹脂組成物を塗布する方法
としては、グラビアロール及びトランスファロールコー
ター、バーコーター、ロールコーター、エアナイフコー
ター、Uコンマコーター、AKKUコーター、スムージ
ングコーター、マイクログラビアコーター、エアナイフ
コーター、リバースロールコーター、マルチロールコー
ター、ブレードコーター、ディップコーター、バーコー
ター、ロッドコーター、キスコーター、ゲートロールコ
ーター、スクイズコーター、落下カーテンコーター、ス
ライドコーター、ダイコーター等、如何なるコーターを
用いてもよい。
【0018】本発明に用いられる基体としては、グラシ
ン紙、上質紙、コーテッド紙、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド等の
合成樹脂フィルム、又はこれらの合成樹脂を紙に片面又
は両面にラミネートしたラミネート紙、金属箔、又は金
属箔と紙、合成樹脂フィルムとの貼り合わせ品がある。
なお、紙基体の坪量は、20〜250g/m2、より好
ましくは30〜200g/m2であり、その表面は平滑
であることが好ましいが、剥離性能のコントロール上粗
面であってもかまわない。基体上に剥離層を形成する樹
脂を塗布する前に、基体表面にコロナ放電、フレーム処
理。オゾン処理等の表面処理を行なっても良い。
【0019】本発明の剥離用シートの製造方法において
は、バインダーである電子線硬化性樹脂及び剥離成分で
ある紫外線照射硬化性シリコーン樹脂が熱の関与なく硬
化するため、熱拡散等シリコーン樹脂の基体中へのしみ
こみが起こりにくい。従って、高価なシリコーン樹脂量
の低減が図れる。
【0020】本発明のように、電子線照射により硬化可
能な官能基を有する電子線硬化性樹脂と、電子線硬化性
をほとんど有さない紫外線硬化性シリコーン樹脂を混合
して、塗布、さらに電子線照射により硬化せしめると、
電子線硬化性樹脂のみが硬化し、この時点で硬化しない
紫外線硬化性シリコーン樹脂は表面に滲出(ブリードア
ウト)し、効果的にシリコーン樹脂を剥離層表面に局在
化できる。表面に局在化したシリコーン樹脂は加熱によ
り硬化、固定することができる。そのため作成された剥
離用シートは軽剥離であり、残留接着率も大きい。
【0021】本発明の剥離層の硬化方法において、さら
に驚くべきことに、シリコーン樹脂は表面に局在化して
いるものの、電子線硬化性樹脂の中にも存在し、シリコ
ーン樹脂層と電子線硬化性樹脂層が明確な境界で区切ら
れている訳ではないことによるものか、本発明により得
られる剥離層は強固に基体に接着し、シリコーン樹脂層
のみが脱落(ラブオフ)するということがないという意
外な結果が得られた。このような剥離層の特性は、粘着
加工等の剥離用シートのみならず合成皮革やマーキング
フィルム等の作成時の工程紙、セラミックの離型用のグ
リーンシートにも応用が可能で、十分その使用に耐える
ものであった。
【0022】当然のことながら、紙基体等と電子線硬化
性樹脂との接着は、一般に非常に強いものである。ま
た、本発明においては、紙基体等との接着性の良い電子
線硬化性樹脂と混合して用いることができるため、紫外
線硬化性シリコーン樹脂の粘度範囲を低粘度から高粘度
まで自由に設定することができる。また、製造工程にお
いて、溶融押し出しラミネート、溶剤の乾燥等の高温処
理を行なわないため、高温処理に由来するカール、し
わ、ピンホール等の発生を抑制する事ができる。
【0023】本発明による剥離用シートにおいては、基
体の表裏上に文字印刷や地紋印刷して用いることができ
る。また、本発明において、接着性と濡れ性を良くする
ために、基体上にコロナ処理、オゾン処理、火炎処理等
による表面処理を行なうことは何等差し支えない。
【0024】本発明に用いる電子線照射は、透過力、硬
化力の面から加速電圧が100〜1000KVであり、よ
り好ましくは100〜300KVの電子線加速器を用い、
ワンパスの吸収線量が0.5〜20Mradになるようにす
ることが好ましい。加速電圧、或は電子線照射量がこの
範囲より低いと、電子線の透過力が低すぎて十分な硬化
が行なわれず、またこの範囲より大きすぎると、エネル
ギー効率が悪化するばかりでなく、樹脂、添加剤の分
解、原紙の強度低下等品質上好ましくない影響が現われ
る。電子線照射は数回に分けて行うことも可能である。
【0025】電子線加速器としては、例えば、エレクト
ロカーテンシステム、スキャンニングタイプ、ダブルス
キャンニングタイプ等の何れでも良い。
【0026】なお、電子線照射に際しては、酸素濃度が
高いと電子線硬化樹脂の硬化が妨げられるため、窒素、
ヘリウム、二酸化炭素等の不活性ガスによる置換を行
い、酸素濃度を600ppm 以下、好ましくは400ppm
以下に抑制した雰囲気中で照射することが好ましい。
【0027】電子線照射として、γ線を用いても電子線
照射と同様な処理を行うことができるが、一般に線量密
度が低く、製造方法としては好ましくない。また、紫外
線照射を使用する場合の光源としては、例えば、低圧水
銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ、タン
グステンランプ等が好適に使用される。
【0028】
【作用】本発明の剥離用シートの製造方法においては、
バリヤー層である電子線硬化性樹脂と剥離成分であるシ
リコーン樹脂を基体上に1回の塗工で設けることができ
る。電子線硬化性樹脂と、電子線硬化性を有さない紫外
線硬化性シリコーン樹脂を混合して、塗布、電子線照射
により硬化せしめると、電子線硬化性樹脂のみが硬化
し、紫外線硬化性シリコーン樹脂は表面に滲出(ブリー
ドアウト)し、効果的にシリコーン樹脂を剥離層表面に
局在化できる。シリコーン樹脂は表面に局在化している
ものの、電子線硬化性樹脂の中にも存在し、シリコーン
樹脂層と電子線硬化性樹脂層が明確な境界で区切られて
いる訳ではないことによるものか、剥離層は強固に基体
に接着し、シリコーン樹脂層のみが脱落(ラブオフ)す
るということがない。
【0029】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳しく説明する
が、本発明の内容は、実施例に限られるものではない。
以下に示す部及び%のいずれも重量基準である。また、
塗抹量を示す値は断わりのない限り乾燥後の塗抹量であ
る。
【0030】実施例1 基体として、坪量100g/m2の塗工紙の片面にコロ
ナ処理を施し、グラビアコーターを用いて、以下の組成
の樹脂組成物1を2g/m2となるように塗布した。 樹脂組成物1 電子線硬化性樹脂トリメチロールフ゜ロハ゜ントリアクリレート(東亜合成化学工業(株)、アロニックスM-309 ) 90部 紫外線硬化性シリコーン樹脂(東レ・タ゛ウコーニンク゛・シリコーン(株)、BY24-551A/B) 10部 塗布した後、電子線照射室内の酸素濃度を窒素ガス置換
により200ppm以下にした電子線照射装置(ESI社
製、商品名エレクトロカーテン、TYPE:CB200
/45/300)内に導き、加速電圧175Kv、吸収線
量0.5Mradになるように塗布面側から電子線照射し
た。電子線硬化性樹脂が硬化したシートを次に紫外線照
射装置(ウシオ電機社製、120w/cm3本)に導
き、紫外線照射を行い、紫外線硬化性シリコーン樹脂を
硬化し、目的の剥離用シートを得た。
【0031】実施例2 基体として、坪量100g/m2のポリエチレンテレフ
タレートフィルムの片面にコロナ処理を施し、グラビア
コーターを用いて以下の組成の樹脂組成物2を2g/m
2となるように塗布した。 樹脂組成物2 電子線硬化性樹脂ウレタンアクリレート(アロニックスM1210)と単官能アクリレート(アロニックスM113)の重量 比7:3混合物(両方とも東亜合成化学工業(株)製) 90部 紫外線硬化性シリコーン樹脂(東レ・タ゛ウコーニンク゛・シリコーン(株)、BY24-551A/B) 10部 塗布した後、電子線照射室内の酸素濃度を窒素ガス置換
により200ppm 以下にした電子線照射装置(ESI社
製、商品名エレクトロカーテン、TYPE:CB200
/45/300)内に導き、加速電圧175Kv、吸収線
量1Mradになるように塗布面側から電子線照射した。電
子線硬化性樹脂が硬化したシートを次に紫外線照射装置
(ウシオ電機社製、120w/cm3本)に導き、紫外
線照射を行い、紫外線硬化性シリコーン樹脂を硬化し、
目的の剥離用シートを得た。
【0032】比較例1 実施例1と同様な塗工紙にコロナ処理を施し、電子線硬
化性樹脂を混合することなく、直接実施例1に用いた紫
外線硬化性シリコーン樹脂をシリコーン樹脂成分として
同量塗布し、実施例1と同様な紫外線照射硬化を行なっ
た。得られた剥離用シートは、シリコーン樹脂のほとん
どが紙にしみこんだものであった。
【0033】比較例2 実施例2と同様なポリエチレンテレフタレートフィルム
を用い、片面にコロナ処理を施した後、電子線硬化性組
成物を塗布せずにグラビアコーターを用いて実施例2と
同様な紫外線照射硬化性シリコーン組成物を塗布し、実
施例2と同様な紫外線照射硬化を行ない剥離用シートを
得た。
【0034】以上より、実施例1、2及び比較例1、2
で得られた剥離用シートについて、粘着剤に対する剥離
強度、残留接着率、ラブオフの有無の結果を表1に示
す。なお、試験方法は以下の通りである。
【0035】[剥離強度]上質紙上に粘着剤(東洋イン
キ(株)製、製品名BPS)を塗布し、標準粘着シート
として使用した。得られた剥離用シート(幅25mm)を
20℃、湿度65%の恒温恒湿器内で24時間放置した
後、重量2000gの圧着ローラーで標準粘着シートに
圧着し、20℃、湿度65%の恒温恒湿器内で2時間放
置後、テンシロン(東洋ボールドウィン(株)社製)で剥
離角180°、剥離速度30cm/分の条件で連続して引
き剥したときの荷重を剥離強度とする。
【0036】[残留接着率]得られた剥離用シート(幅
25mm)を20℃、湿度65%の恒温恒湿器内で24時
間放置した後、重量2000g の圧着ローラーで標準粘
着シートに圧着し、20℃、湿度65%、圧力0.1k
g/cm2の条件下で24時間加圧した。標準粘着シー
トを剥離用シートより剥した後、表面を良く磨いた厚さ
5mmのステンレス鋼板にはりつけ、重量2000gの圧
着ローラーで圧着し、20℃、湿度65%の恒温恒湿器
内で1時間放置後、テンシロンで剥離角180°、剥離
速度30cm/分の条件で連続して引き剥したときの荷重
を剥離強度として求める。次に、表面を良く磨いた厚さ
5mmのステンレス鋼板に標準粘着シートをはりつけ、2
0℃、湿度65%、圧力0.1kg/cm2の条件下で
24時間加圧した。常圧に戻してから、重量2000g
の圧着ローラーで圧着し、20℃、湿度65%の恒温恒
湿器内で1時間放置後、テンシロンで、剥離角180
°、剥離速度30cm/分の条件で連続して引き剥したと
きの荷重を剥離強度として求める。残留接着率R(%)
は、次の式により求められる。剥離用シートへ接触後の
粘着シートの剥離強度をAとし、剥離用シート紙へ未接
触の粘着シートの剥離強度をBとすると、R=(A/
B)×100
【0037】[ラブオフ]剥離用シートのシリコーン面
を1mm角に100マス分クロスカットを行い、指で強
く擦り、シリコーン面の剥離を目視により判定した。全
くマス目のシリコーンの脱落がなかった場合を優、脱落
が10マス目より少なかった場合を並、脱落が10マス
目以上の場合を劣と評価した。
【0038】
【表1】
【0039】
【発明の効果】実施例及び比較例で作成した剥離用シー
トについて、粘着剤に対する剥離抵強度、残留接着率、
ラブオフの有無の結果を表1に示す。表1より、明らか
なように、実施例1、2により得られた剥離用シート
は、剥離強度が小さく、残留接着率が大きい。更に、ラ
ブオフが起こらず剥離適性が優れている。これに対し
て、同じシリコーン樹脂を用いても、比較例1のごとく
電子線硬化性樹脂の共存がないものは、シリコーン樹脂
が紙基体にしみこみ、結果として剥離強度が大きくな
り、シリコーン樹脂の成膜性が悪いためにピンホールも
極めて多い。比較例2により得られた剥離用シートに関
しては、シリコーン樹脂とポリエチレンテレフタレート
フィルムとの接着性が悪く、シリコーン樹脂が摩擦によ
り剥離する、所謂ラブオフの現象を起こすという欠点を
有していた。以上、記載したごとく本発明による方法に
より、各種基体との接着性に優れ、ラブオフの現象の起
きない剥離用シートを少ない工程で作成できる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 紙又はフィルム基体の少なくとも片面
    に、電子線硬化性樹脂及び紫外線硬化性シリコーン樹脂
    からなる剥離層を有し、該剥離層が、該基体に近いとこ
    ろでは電子線硬化性樹脂成分が多く、表面になるにつれ
    徐々に該シリコーン樹脂成分が多くなるように構成され
    た層であることを特徴とする剥離用シート。
  2. 【請求項2】 紙又はフィルム基体の少なくとも片面
    に、電子線硬化性樹脂及び紫外線硬化性シリコーン樹脂
    の混合物よりなる樹脂組成物を塗布し、電子線照射によ
    り電子線硬化性樹脂を硬化させ、表面に滲出した該シリ
    コーン樹脂成分を紫外線照射硬化させて剥離層を形成す
    ることを特徴とする剥離用シートの製造方法。
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