JPH06217668A - 高強度ポリプロピレンフィラメント製釣糸 - Google Patents

高強度ポリプロピレンフィラメント製釣糸

Info

Publication number
JPH06217668A
JPH06217668A JP1431293A JP1431293A JPH06217668A JP H06217668 A JPH06217668 A JP H06217668A JP 1431293 A JP1431293 A JP 1431293A JP 1431293 A JP1431293 A JP 1431293A JP H06217668 A JPH06217668 A JP H06217668A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
molecular weight
polypropylene
fishing line
strength
intrinsic viscosity
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP1431293A
Other languages
English (en)
Inventor
Masao Kameyama
正雄 亀山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Original Assignee
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Petrochemical Industries Ltd filed Critical Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Priority to JP1431293A priority Critical patent/JPH06217668A/ja
Publication of JPH06217668A publication Critical patent/JPH06217668A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Artificial Filaments (AREA)
  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 破断強度が0.7GPa以上、破断伸度が2
0%以上で、且つ弾性率が4.0GPa以上の極限粘度
[η]が3.5dl/g以上の超高分子量ポリプロピレ
ンのモノフィラメントまたはマルチフィラメントからな
ることを特徴とする高強度ポリプロピレンフィラメント
製釣糸。 【効果】 本発明によれば、特定の物性を有する超高分
子量ポリプロピレンの延伸物を素材とする釣糸は、従来
の釣糸に比較して、特に衝撃吸収性に優れるために、例
えば、岩場での大物を狙った投げ釣りのように、過酷な
条件下での使用においても切断することが少なく、安心
して快適な釣りを楽しむことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、高強度で高伸度のポリプ
ロピレンフィラメントからなる釣糸に関する。
【0002】
【発明の技術的背景およびその問題点】従来、釣糸とし
ては、主としてナイロン製モノフィラメントが用いられ
ていたが、このナイロン製釣糸は、4号糸で4Kg、8
号糸で8Kg程度までの荷重には耐えることができる
が、いわゆる、大物釣りや投げ釣りを楽しみたい立場か
らは、さらに大きな荷重に耐える釣糸が望まれていた。
そこで、大きな荷重に耐える釣糸として、ケブラーとし
て知られる芳香族ポリアミド繊維あるいは超高分子量ポ
リエチレン繊維からなる釣糸が用いられ始めている。
【0003】このような技術的背景にあって、本出願人
も、極限粘度[η]が少なくとも5dl/gであり、炭
素数が3以上のα−オレフィンの含有量が炭素数100
0個当たり平均0.1ないし20個である超高分子量エ
チレン−α−オレフィン共重合体の分子配向成形体から
なる釣糸を提案している(特開平1−256335号公
報)。本発明者らは、前記発明を追試し、更なる研究を
続ける過程において、大物をねらった投げ釣りなどのよ
うに過酷な条件下での使用に際しては、衝撃吸収力を高
め、釣糸の切断を防止するために、より伸度の大きい釣
糸素材が求められることを知見し、研究を重ねて本発明
を完成するに至った。
【0004】
【発明の目的】そこで本発明の目的は、ナイロン釣糸よ
りも強度が強く、しかも芳香族ポリアミド製釣糸、超高
分子量ポリエチレン繊維製釣糸よりも伸度が大きく、か
つ衝撃吸収特性を改良した釣糸を提供することにある。
【0005】
【問題点を解決するための手段】本発明は、前記問題点
を解決するために提案されたものであり、特定の物性を
有する素材からなることを特徴とするものである。すな
わち、本発明によれば、破断強度が0.7GPa以上、
破断伸度が20%以上で、且つ弾性率が4.0GPa以
上の極限粘度[η]が3.5dl/g以上の超高分子量
ポリプロピレンのモノフィラメントまたはマルチフィラ
メントからなることを特徴とする高強度ポリプロピレン
フィラメント製釣糸が提供される。
【0006】
【発明の具体的説明】上記特性からなる高強度ポリプロ
ピレンフィラメント製釣糸の最も重要な特徴は、従来の
釣糸に比べて伸度が大きく、かつ、衝撃吸収特性に優れ
ている点にある。
【0007】本発明の釣糸は、前述したように、破断強
度が0.7GPa以上、破断伸度が20%以上で、且つ
弾性率が4.0GPa以上の極限粘度[η]が3.5d
l/g以上の超高分子量ポリプロピレンのモノフィラメ
ントまたはマルチフィラメントからなることを特徴とす
る。
【0008】本発明の釣糸を構成する超高分子量ポリプ
ロピレンのモノフィラメントまたはマルチフィラメント
(以下、単に、「ポリプロピレン延伸物」ということが
ある)は、デカリン溶媒中135℃で測定した極限粘度
[η]が少なくとも3.5dl/g以上、好ましくは
4.0dl/g以上、さらに好ましくは5.5dl/g
以上のポリプロピレンを溶融紡糸し、これを延伸するこ
とにより得られる分子配向成形体である。
【0009】ポリプロピレン延伸物は、分子量が大きく
なるほど、その引張破断強度は高くなる傾向にある。一
方、溶融紡糸法による成形性の面から見ると、紡糸でき
るポリプロピレンの極限粘度[η]は7dl/g程度が
限界であり、それ以上の[η]では、重合体溶融物の曳
糸性がなくなり、ドラフトをかけて紡糸することが不可
能になる。
【0010】ただし、極限粘度[η]が7dl/g以上
の高分子量物であっても、溶媒やワックス類などの流動
化助剤を添加することによって、紡糸後延伸を行ってフ
ィラメントを製造することができる。もちろん、流動化
助剤は、極限粘度[η]が7dl/g以下の超高分子量
ポリプロピレンに配合して紡糸後延伸を行ってもよいこ
とはいうまでもない。本発明において流動化助剤として
使用できる溶媒としては、例えば、n−ノナン、n−デ
カン、n−ウンデカン、n−ドデカン、n−テトラデカ
ン、n−オクタデカン、あるいは流動パラフィン、灯油
等の脂肪族炭化水素系溶媒、キシレン、ナフタリン、テ
トラリン、ブチルベンゼン、p−シメン、シクロヘキシ
ルベンゼン、ジエチルベンゼン、ベンチルベンゼン、ド
デシルベンゼン、ビシクロヘキシル、デカリン、メチル
ナフタリン、エチルナフタリン等の芳香族炭化水素系溶
媒あるいはその水素化誘導体、1,1,2,2,−テト
ラクロロエタン、ペンタクロロエタン、ヘキサクロロエ
タン、1,2,3−トリクロロプロパン、ジクロロベン
ゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、ブロモベンゼ
ン等のハロゲン化炭化水素溶媒、パラフィン系プロセス
オイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセス
オイル等の鉱油が挙げられる。
【0011】また、ワックス類としては、脂肪族炭化水
素化合物あるいはその誘導体が使用される。脂肪族炭化
水素化合物は、飽和脂肪族炭化水素化合物を主体とする
もので、通常、分子量が2000以下、好ましくは10
00以下、さらに好ましくは800以下のパラフィン系
ワックスと呼ばれるものである。これらの脂肪族炭化水
素化合物として、具体的には、ドコサン、トリコサン、
テトラコサン、トリアコンタン等の炭素数22以上のn
−アルカンあるいはこれらを主成分とした低級n−アル
カンとの混合物、石油から分離精製された所謂パラフィ
ンワックス、エチレンあるいはエチレンと他のα−オレ
フィンとを共重合して得られる低分子量重合体である中
・低圧法ポリエチレンワックス、高圧法ポリエチレンワ
ックス、エチレン共重合ワックス、あるいは中・低圧法
ポリエチレン、高圧法ポリエチレン等のポリエチレンを
熱減成等により分子量を低下させたワックス、およびそ
れらのワックスの酸化物あるいはマレイン酸変性等の酸
化ワックス、マレイン酸変性ワックス等が挙げられる。
【0012】また脂肪族炭化水素化合物の誘導体として
は、例えば、脂肪族炭化水素基(アルキル基、アルケニ
ル基)の末端もしくは内部に1個またはそれ以上、好ま
しくは1ないし2個、特に好ましくは1個のカルボキシ
ル基、水酸基、カルバモイル基、エステル基、メルカプ
ト基、カルボニル基等の官能基を有する化合物であり、
しかも、炭素数8以上、好ましくは12ないし50、ま
たは分子量130ないし2000、好ましくは200な
いし800である脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪酸ア
ミド、脂肪酸エステル、脂肪族メルカプタン、脂肪族ア
ルデヒド、脂肪族ケトン等が用いられる。具体的には、
脂肪酸としてカプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、
パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、脂肪族アル
コールとしてラウリルアルコール、ミリスチルアルコー
ル、セチルアルコール、ステアリルアルコール、脂肪酸
アミドとしてカプリンアミド、ラウリンアミド、パルミ
チンアミド、ステアリルアミド、脂肪酸エステルとして
ステアリル酢酸エステル等が用いられる。
【0013】これらの流動化助剤は、使用する化合物の
種類によっても相違するが、通常、超高分子量ポリプロ
ピレン:流動化助剤の配合比率(重量)が、15:85
ないし80:20、好ましくは、30:70ないし7
0:30の割合で使用されることが望ましい。また、超
高分子量ポリプロピレンと流動化助剤との溶融混練は、
一般に170ないし300℃、好ましくは190ないし
270℃で範囲で行われることが望ましい。超高分子量
ポリプロピレンと流動化助剤との混練は、ヘンシェルミ
キサー、V型ブレンダー等による乾式ブレンド、あるい
は単軸あるいは多軸押出機を用いた溶融混練で行うこと
ができる。
【0014】<ポリプロピレン>本発明において釣糸の
素材として使用するポリプロピレンとしては、配位アニ
オン重合により得られるプロピレン単独重合体、あるい
はプロピレンと少量の他のα−オレフィン、たとえばエ
チレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−
ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等
を共重合体としたプロピレン系重合体が例示される。
【0015】また、本発明に用いられるポリプロピレン
は、それ単独、あるいは少量(たとえば30重量%以
下)の他の樹脂、たとえば、ポリエチレンやα−オレフ
ィン系重合体をブレンしてもよい。ここで言うポリエチ
レンとは、高圧法、中圧法、あるいは低圧法のいずれの
方法で得られたポリエチレンでもよい。また、α−オレ
フィン系重合体は、エチレン性二重結合を一つ以上有す
る炭素数が4以上、好ましくは炭素数が4ないし18ま
でのα−オレフィンを重合あるいは共重合させることに
より得られる重合体あるいは共重合体である。このよう
な炭素数4以上のα−オレフィン系重合体として、具体
的には、ポリブテン−1、ポリ−1−ペンテン、ポリ−
1−ヘキセン、ポリ−3−メチル−1−ブテン、ポリ−
4−メチル−1−ペンテン、ポリ−4−メチル−1,3
−ペンタジエン、ポリ−5−メチル−1−ヘキセン、ポ
リ−4−メチル−1−ヘキセン、ポリ−4−フェニル−
1−ブテン、ポリ−1−ヘプテン、ポリ−1−オクテ
ン、ポリ−1−ノネン、ポリ−1−デセンなどが上げら
れる。
【0016】このような重合体やポリエチレンは、デカ
リン溶媒中135℃で測定した極限粘度[η]が、2.
0dl/g以上であり、好ましくは3.0dl/g以上
である。一方、極限粘度[η]の上限は、溶融紡糸した
原糸の性能を失わない限り特に限定されないが、一般に
は極限粘度[η]=30dl/g以下であり、好ましく
は極限粘度[η]=15dl/g以下である。また、こ
れら他の樹脂のブレンド量は、その延伸成形体がポリプ
ロピレンの特質を失わない程度である必要がある。した
がって、ブレンド量は30重量%以下、好ましくは10
重量%以下である。
【0017】<紡 糸>本発明の釣糸の素材となる超高
分子量ポリプロピレン延伸物の製造法について説明する
と、未延伸成形体、すなわち、原糸の製造は、極限粘度
[η]が3.5dl/g以上のポリプロピレンを溶融紡
糸する事により得られる。ここで、ポリプロピレンを、
たとえば、スクリュー式押出機のダイの紡糸口金から押
し出すことにより原糸が得られる。この時ダイの紡糸口
金数は、単穴または2個以上の多穴であってもよい。こ
の際のダイ温度は、通常170℃ないし360℃、好ま
しくは190℃ないし320℃特に好ましくは210℃
ないし280℃であり、この温度にすることにより、安
定したフィラメントを紡糸することができる。この場
合、紡糸口金から押し出された溶融物に、張力をかけな
がら紡糸することができる。この際のドラフト比は、5
ないし1000であるが、さらに言い換えれば、好まし
くはラメラ(延伸前の結晶)が繊維軸方向に対して直角
に配列するような結晶構造を持つ。
【0018】すなわち、X線回折法で測定した結晶配向
比(C軸結晶配向強度/a’軸結晶配向強度)が1.2
以上、さらに好ましくは1.6以上になるような、ほと
んどC軸結晶配向だけを持つような結晶構造の原糸にな
るように、高ドラフトをかけて紡糸することである。こ
こでX線回折法によるポリプロピレン延伸物の結晶配向
比(C軸結晶配向強度/a’軸結晶配向)は、X線発生
装置(理学電機株式会社製RU300)最大出力50kV
−300mA、Cuターゲット、繊維試料台(理学電機株式
会社製)ギヤ比=4:1、コリメーターφ1mm、計数管
(理学電機株式会社製)を用いて測定した。
【0019】繊維試料台に、試料の繊維軸方向を子午線
方向に平行に固定して乗せる。この試料を回転させなが
ら、X線回折の反射のうち、赤道線上の最強のパラトロ
ープ面(一般的にポリプロピレンの場合は(110)面
反射である)のデバイ環に沿って強度分布曲線を測定す
る。具体的には(100)面の反射位置(2θ=21.
4°) に計数管を合わせて固定し、レコーダーのペンが
適当な位置になるように感度を調整する。
【0020】繊維試料台の回転ギヤ比を4:1にし、チ
ャートスピードを2cm/minにして、試料を0°な
いし180°までのβ回転を行なってX線強度を測定
し、図1のようなX線干渉図を得る。図1よりC軸結晶
配向強度のピーク面積Bとa’軸結晶配向強度のピーク
面積Aとの比で表わし、下式で定義される。
【0021】このようにして口金から押し出された溶融
体は、ドラフトをかけながら風冷や水、メタノール、ア
セトンのような強制冷却手段を用いて冷却することによ
り、その結晶化速度をコントロールすることもできる
が、口金から巻き取りロールまでのエアーギャツプをで
きるだけ長くして、徐冷することが好ましい。すなわ
ち、ドラフト張力下でゆっくり冷却することにより、ラ
メラが繊維軸方向に対して直角に配列したような結晶の
高次構造を充分に形成させる時間を与えてやることが好
ましい。
【0022】また、溶融紡糸温度は成形に支障のない限
り、170ないし360℃の範囲でできる限り低温で紡
糸することが、樹脂の熱劣化を防止する意味と、ドラフ
ト張力を高くするという意味で望ましい。なお、ここ
で、ドラフト比は、紡糸口金の内径D0 と溶融物を冷却
固化して巻取った原糸径D1 との比を表わし、下式で定
義される。 ドラフト比=D0 /D1
【0023】<延 伸>このようにして得られた、ポリ
プロピレンの原糸を、更に延伸することにより、高強度
で、しかも破断伸度が大きな延伸物を得ることができ
る。ポリプロピレンの原糸の延伸は、一般には延伸温度
60ないし210℃、好ましくは120ないし170
℃、とくに好ましくは140ないし160℃の温度範囲
内で行なわれる。このとき使用される熱媒体としては、
空気、水蒸気、液体媒体のいずれをも用いることができ
る。また、延伸倍率は2ないし50倍であるが、好まし
くは3ないし15倍であり、とくに好ましくは4ないし
8倍である。
【0024】この延伸操作は、一段あるいは二段以上の
多段の、いずれによっても行なうことができるが、でき
るだけ高い延伸温度、高延伸倍率で、しかも一段延伸で
行なうことが有利である。また、ポリプロピレンの延伸
物は、延伸するにつれてその結晶融解温度が高くなる傾
向にあるため、多段延伸で行なう場合には、一段目以降
の各延伸段は、前段より15ないし20℃高目の温度に
設定することが大切である。なお、ここで、延伸倍率
は、原糸の繰り出し速度R0 と、延伸物の巻取り速度R
1 との比で表わし、下式で定義される。 延伸倍率=R1 /R0
【0025】<ポリプロピレン延伸物>このようにして
得られた、ポリプロピレン延伸物は、極限粘度[η]が
3.5dl/g以上であるポリプロピレンを主成分とす
るものである。さらに、得られた延伸物の引張破断強度
は、通常は0.7GPa以上、好ましくは1.0GPa
以上、さらに好ましくは1.1GPa以上であり、破断
伸度は、通常20%以上、好ましくは30%以上、さら
に好ましくは40%以上である。また、このポリプロピ
レン延伸物の弾性率は、4.0GPa以上、好ましくは
6GPa以上、さらに好ましくは8GPa以上である。
【0026】上記のようにして得られたポリプロピレン
延伸物は、破断強度、破断伸度および耐クリープ性のい
ずれにも優れ、特に高強度、高伸度であることにより、
衝撃吸収性に優れ、投げ釣りなどの過酷な条件下で使用
される釣糸として好適に使用することができるものであ
る。本発明では、このような超高分子量ポリポリプロピ
レンのフィラメント状分子配向成形体から釣糸を形成す
る。フィラメント状の分子配向成形体から釣糸を製造す
るには、従来公知の方法が採用される。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、特定の物性を有する超
高分子量ポリプロピレンの延伸物を素材とする釣糸が提
供され、この釣糸は、従来の釣糸に比較して、特に衝撃
吸収性に優れるために、例えば、岩場での大物を狙った
投げ釣りのように、過酷な条件下での使用においても切
断することが少なく、安心して快適な釣りを楽しむこと
ができる。
【0028】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本
発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0029】<実施例1>極限粘度[η]が6.0dl
/gである、比較的高分子量のポリプロピレンを、0.
8mmφの紡糸ノズルを装着したプランジャー型押出機
により245℃の樹脂温度で押出した。この押出された
溶融物を80cmのエアーギャップ下で、25℃の空気
中でドラフト比64でボビンに巻き取り原糸とした。な
お、プロセス安定剤として、3,5−ジ−tert−ブ
チル−4−ハイドロキシトルエンおよびテトラキス[メ
チレン−3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ハイ
ドロキシフェニレン)プロピオネート]メタンを高分子
量ポリプロピレンに対して0.1重量%添加して使用し
た。
【0030】この原糸を、2台のゴデットロールとフル
ゾールP(サーマル化学産業株式会社製熱媒)を入れた
延伸槽(有効槽長50cm) により一段延伸した。延伸
条件は150℃で5.5倍に延伸した。なお、第一ゴデ
ットロールの回転速度を25cm/分とし、第二ゴデツ
トロールの回転速度は137.5cm/minで延伸し
た。ここで、延伸倍率は第2ゴデツトロールと第1ゴデ
ットロールとの回転速度比により求めてある。
【0031】表−1に、この繊維の破断強度、引張弾性
率、破断伸度を示した。上記のようにして得られたポリ
プロピレン延伸物は、破断強度が高く、破断伸度も大き
いものである。こうして得られた超高分子量ポリプロピ
レンからなる延伸フィラメントを用いて、以下のように
して釣糸を作成した。単糸12デニールのフィラメント
を3本束ねにしたものを8組で組紐として釣糸を作成し
た。表−2に、その破断強度、破断伸度および衝撃吸収
性の尺度としてのタフネス(破断強度×破断伸度)を示
した。
【0032】<実施例2>極限粘度[η]が6.0dl
/gである、比較的高分子量のポリプロピレンを、1.
0mmφの紡糸ノズルを装着したプランジャー型押出機
により230℃の樹脂温度で押出した。この押出された
溶融物を80cmのエアーギャップ下で、25℃の空気
中でドラフト比93でボビンに巻き取り原糸とした。な
お、プロセス安定剤として、3,5−ジ−tert−ブ
チル−4−ハイドロキシトルエンおよびテトラキス[メ
チレン−3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ハイ
ドロキシフェニレン)プロピオネート]メタンを高分子
量ポリプロピレンに対して0.1重量%添加して使用し
た。
【0033】この原糸を、2台のコデットロールとフル
ゾールP(サーマル化学産業株式会社製熱媒)を入れた
延伸槽(有効槽長50cm) により一段延伸した。延伸
条件は150℃で4.5倍に延伸した。なお、第一ゴデ
ットロールの回転速度を25cm/分とし、第二ゴデツ
トロールの回転速度を112.5cm/minで延伸し
た。ここで、延伸倍率は第2ゴデツトロールと第1ゴデ
ットロールとの回転速度比により求めてある。
【0034】表−1に、この繊維の破断強度、引張弾性
率、破断伸度を示した。上記のようにして得られたポリ
プロピレン延伸物は、実施例1で得られたものと同様に
破断強度が高く、破断伸度も大きいものであった。次
に、得られた超高分子量ポリプロピレンからなる延伸フ
ィラメントを用いて以下のようにして釣糸を作成した。
単糸18デニールのフィラメントを2本束ねにしたもの
を8組で組紐として釣糸を作成した。表−2に、その破
断強度、破断伸度およびタフネスを示した。ナイロン6
6からなる素材を用いた釣糸は、実施例1および2に開
示した超高分子量ポリプロピレンを素材とする釣糸に比
べて、破断強度、破断伸度およびタフネスがいずれも小
さく、衝撃吸収特性が劣ることがわかる。
【0035】<比較例1>表−1に、従来のナイロン6
6の破断強度、引張弾性率、および破断伸度を示した。
次いで、このナイロン66からなる単糸6デニールのフ
ィラメントを6本束ねにしたものを8組で組紐として釣
糸を作成した。表−2に、その破断強度および破断伸度
を示した。
【0036】<比較例2>超高分子量ポリエチレン(ホ
モポリマー)粉末(極限粘度[η]=7.42dl/
g、デカリン135℃)20重量部と、パラフィンワッ
クス(融点=69℃、分子量=490)80重量部との
混合物を、実施例1の方法で溶融紡糸、延伸し、延伸配
向繊維を得た。表−1に、この繊維の破断強度、引張弾
性率、破断伸度を示した。この超高分子量ポリエチレン
からなる単糸6デニールの延伸フィラメントを6本束ね
にしたものを8組で組紐として釣糸を作成した。表−2
に、その破断強度、破断伸度およびタフネスを示した。
超高分子量ポリエチレンからなる素材を用いた釣糸は、
実施例1および2に開示した超高分子量ポリプロピレン
を素材とする釣糸に比べて、破断強度は大きいが、破断
伸度が小さく、タフネスも小さく衝撃吸収特性が劣るこ
とがわかる。
【0037】
【0038】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の釣糸を構成する超高分子量ポリプロピ
レンの原糸のX線干渉図の一例を示すものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D02G 3/44

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 破断強度が0.7GPa以上、破断伸度
    が20%以上で、且つ弾性率が4.0GPa以上の極限
    粘度[η]が3.5dl/g以上の超高分子量ポリプロ
    ピレンのモノフィラメントまたはマルチフィラメントか
    らなることを特徴とする高強度ポリプロピレンフィラメ
    ント製釣糸。
JP1431293A 1993-01-29 1993-01-29 高強度ポリプロピレンフィラメント製釣糸 Withdrawn JPH06217668A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1431293A JPH06217668A (ja) 1993-01-29 1993-01-29 高強度ポリプロピレンフィラメント製釣糸

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1431293A JPH06217668A (ja) 1993-01-29 1993-01-29 高強度ポリプロピレンフィラメント製釣糸

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06217668A true JPH06217668A (ja) 1994-08-09

Family

ID=11857588

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP1431293A Withdrawn JPH06217668A (ja) 1993-01-29 1993-01-29 高強度ポリプロピレンフィラメント製釣糸

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06217668A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07207542A (ja) * 1994-01-10 1995-08-08 Yotsuami:Kk 釣 糸
US6725596B2 (en) * 2001-02-08 2004-04-27 Ferrari Importing Co. Fishing line with enhanced properties
WO2023074268A1 (ja) * 2021-10-28 2023-05-04 東洋紡株式会社 高強度高伸度ポリプロピレン繊維及びその製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07207542A (ja) * 1994-01-10 1995-08-08 Yotsuami:Kk 釣 糸
US6725596B2 (en) * 2001-02-08 2004-04-27 Ferrari Importing Co. Fishing line with enhanced properties
WO2023074268A1 (ja) * 2021-10-28 2023-05-04 東洋紡株式会社 高強度高伸度ポリプロピレン繊維及びその製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI489024B (zh) Stranded wire
JPH06102846B2 (ja) 超高分子量ポリエチレン延伸物の製造方法
JP2013525623A (ja) 高強度uhmw−pe繊維の方法及び生成物
JP2557459B2 (ja) 牽引用ロープ
KR930000734B1 (ko) 고분자량 폴리에틸렌 분자배향 성형체 및 그의 제조방법
JPS59100710A (ja) 高タフネス繊維の製造法
JPH06217668A (ja) 高強度ポリプロピレンフィラメント製釣糸
JP2599751B2 (ja) 窓ブラインド用紐
CN115029810B (zh) 一种抗风浪渔业绳网用高性能聚乙烯粗旦单丝及其制备方法
JPH0379173B2 (ja)
JPH04245964A (ja) 凧糸
JP2601868B2 (ja) 釣 糸
JP2599750B2 (ja) ロープ
JP2548292B2 (ja) 漁網および漁網牽引用ロープ
JP2992323B2 (ja) 高分子量ポリエチレン分子配向成形体
JP2557461B2 (ja) 係留用ロープ
JP2710408B2 (ja) ポリビニルアルコールモノフイラメント及びその製造法
JPH04108108A (ja) プロピレン重合体延伸物及びその製造方法
JP2557460B2 (ja) ヨット用ロープ
JPH01260077A (ja) 登山用ロープ
JP6089786B2 (ja) ポリ乳酸とポリグリコール酸からなる海島型複合繊維
JPH0823084B2 (ja) 高破断エネルギーを有する超高分子量エチレン・α―オレフィン共重合体延伸成形体
JP3122479B2 (ja) ラケット用ガット
JPH03279413A (ja) 高分子量ポリエチレン分子配向成形体
JPH04250206A (ja) 落石防止用ネット

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20000404