JPH06211094A - 車両用エアバッグ及びその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 助手席用を中心とした車両用エアバッグの縫
製を全て自動化すると共に、工数を削減してエアバッグ
製造の効率化を図る。 【構成】 中心０を一部切欠く扇形の胴体用基布２を、
概略截頭円錐状に巻回して、その半径部３同士を縫合す
ると共に、該円錐状基布２の底部円周部４に円形の正面
部用基布５の外周縁部６を縫合せしめたことを特徴とし
ている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は車両に装備し、車両の衝
突事故の際に自動的に膨張し、乗員を保護するエアバッ
グ装置に係り、詳しくは縫製を容易ならしめたエアバッ
グとその製造方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】エアバッグ装置は、車両が衝突した時、
衝撃が所定以上である場合に、シートベルトの補助とし
て瞬時にバッグが膨張し、乗員を保護する安全装置であ
り、通常、ガス発生器であるインフレータと、インフレ
ータのガスにより膨張するバッグと、前記インフレータ
を該バッグと共に略気密に囲繞収納するエアバッグケー
スとで構成されている。そして、このエアバッグ装置
は、インフレータから噴出された噴出ガスがエアバッグ
ケースとエアバッグ内に充満して内圧を発し、この内圧
によりバッグが膨張する。

【０００３】ところで、上記エアバッグ装置としては、
近年運転席用の外に助手席用のものも多く採用されつつ
あるが、助手席の場合は、ハンドルがないことから、運
転席に比べエアバッグ装置と乗員との距離が長く、この
距離を適格に埋めるために種々の形状のエアバッグが提
案されている。そして、かかる多数の助手席用エアバッ
グの中でも、特に縫製の簡易化を図った例としては、特
開平３−１８６４４８号公報に記載のものが挙げられ
る。このエアバッグは、図６に示すように、截頭円錘形
を呈する胴体部（７）に円盤状の乗員受止部（８）を連
通状態で結合せしめた構成を有し、その縫製は、扇形の
胴体用基布（９）を上記円錘形にすべくその半径部同士
を縫合せしめたβ部と、上記乗員受止部（８）の一半を
構成するリング状基布（１０）と上記胴体用基布（９）
の円周部とを縫合せしめたγ部と、前記乗員受止部
（８）の他半を構成する円形状基布（１１）と上記リン
グ状基布（１０）の外周同士を縫合せしめたα部とに夫
々施されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のエアバッグにあっては、前記公報中において上記γ
部ならびにα部が自動縫製しうるとの記載があるにして
も、同公報中には具体的な方法は明示されず、また、一
般的に見ても、上記γ部とα部の縫製は、立体布との縫
合であるので縫製の自動化は困難であると思料される。

【０００５】本発明は、叙上の如き実状に対処し、エア
バッグとその製造方法の夫々に新規な構成を見出すこと
により、助手席用を中心したエアバッグの縫製を全て自
動化し、かつ低工数にて該エアバッグ製造の効率化を図
ることを目的とするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】しかして、上記目的に適
合する本発明エアバッグの特徴は、中心を一部切欠く扇
形の胴体用基布を概略截頭円錐状に巻回して、その半径
部同士を縫合すると共に、該円錐状基布の底部円周部に
円形の正面部用基布の外周縁部を縫合せしめたことにあ
る。そして、上記エアバッグを好適に製造しうる本発明
製造方法は、エアバッグを構成する上記円錐状の胴体用
基布を上下逆にして内挿させる挿入部と、内挿した基布
の底部円周部を外方に折り返して乗せるフランジ部とを
有する受け台を用い、上記円錐状基布を該受け台に挿入
すると共に、受け台のフランジ部に乗せた基布の上記円
周部に前記正面部用基布の外周縁部を重ね、後、上記フ
ランジ部に沿い、これら基布同士を縫合せしめることを
特徴とする。また、上記本発明の製造方法において、受
け台のフランジ部上での縫合に代え、該フランジ部に乗
せた基布の円周部を、上下１対のリング状治具にて挟持
することにより円形に保形し、次いで、この基布を受け
台から取り外して、上記治具にて保形した胴体用基布円
周部と正面部用基布外周縁部とを縫合せしめることも好
適である。そして、上記リング状治具にて胴体用基布円
周部を挟持する際には、正面部用基布も同時に挟持させ
ることも可能である。

【０００７】

【作用】上記本発明の製造方法によって本発明のエアバ
ッグを製造する場合は、エアバッグの縫製が２工程で終
わり製造工数が減少すると共に、各縫合ラインが直線と
円形になって全ての縫製を機械によって自動化すること
が可能となる。

【０００８】

【実施例】以下、さらに添付図面を参照して、本発明の
実施例を説明する。図１は本発明実施例の助手席用エア
バッグを示す斜視図、図２は同エアバッグを構成する基
布を示す斜視図であり、このエアバッグは、図２に示す
如く中心（０）を開口部（１）として一部切欠く扇形の
胴体用基布（２）を、概略裁頭円錐状に巻回して、その
半径部（３），（３）同士を縫合すると共に、この円錐
状基布の底部円周部（４）に、真円形の正面部用基布
（５）の外周縁部（６）を縫合することにより形成され
ている。なお、図１において（Ｔ）はエアバッグケース
への取付穴、（Ｈ）はベントホールを夫々示している。

【０００９】一方、上記エアバッグを製造する本発明の
方法としては、先ずは図３に示す如き受け台（Ｕ）を使
用する。即ち、受け台（Ｕ）は、前記円錐状に縫合した
胴体用基布（２）を上下逆に内挿させる挿入部（Ｕ₁ ）
と、この内挿した基布（２）の底部円周部（４）を外方
に折り返して乗せるフランジ部（Ｕ₂ ）とを有してい
る。そして、前記エアバッグを製造するに際しては、図
３（Ａ）に示す如く、上記円錐状基布（２）をこの受け
台（Ｕ）に挿入すると共に、受け台（Ｕ）のフランジ部
（Ｕ₂ ）に乗せた基布（２）の上記円周部（４）に、前
記正面部用基布（５）の外周縁部（６）を重ね、後、上
記フランジ部（Ｕ₂ ）に沿い、これら基布（２），
（５）同士をミシン（Ｍ）によって縫合する。

【００１０】この方法の具体例をさらに説明すると、同
図（Ｂ）に示すように、先ず受け台（Ｕ）に挿入した胴
体用基布（２）の円周部（４）を、受け台（Ｕ）の外周
に間隙（Ｌ）を設けて配したドーナツ状のセット治具
（Ｓ）にセットする。このセット治具（Ｓ）は、上記受
け台（Ｕ）と同期して回転しうるものであり、その上面
にピン（Ｓ₁ ）に、上記胴体用基布円周部（４）の穴付
フラップ（Ｆ）を貫挿させるようになっている。そし
て、吸引板（Ｋ）にて平な状態を保持せしめて、正面部
用基布（５）を重合し、この後、該吸引板（Ｋ）、受け
台（Ｕ）、ならびにセット治具（Ｓ）を同期して回転さ
せながら、各基布（２），（５）を前記間隙（Ｌ）の位
置で縫合する。

【００１１】他方、上記エアバッグを製造する、もう１
つの本発明方法は、上述した第１の製造方法において、
受け台（Ｕ）のフランジ部上での縫合に代え、このフラ
ンジ部（Ｕ₂ ）に乗せた基布（２）の円周部（４）を、
図４（Ａ）に示す如く上下１対の磁石からなるリング状
治具（Ｇ）にて挟持することにより円形に保形し、次い
で、同図（Ｂ）に示すように、この基布（２）を受け台
（Ｕ）から取り外して、上記治具（Ｇ）にて保形した胴
体用基布円周部（４）と正面部用基布外周縁部（６）と
をミシン（Ｍ）によって縫合する。なお、この方法にお
いて、図４（Ｂ）に示すように、胴体用基布（２）の円
周部（４）を除く部分は、固定する必要はない。

【００１２】また、上記方法において、胴体用基布
（２）をリング状治具（Ｇ）にて挟持するに際し、図４
（Ｃ）に示すように、正面部用基布（５）と共に挟持す
るようにしてもよい。、即ち、この方法では、先ず、受
け台（Ｕ）のフランジ部（Ｕ₂ ）上に配設したリング状
治具（Ｇ）のピン（Ｇ₁ ）に胴体用基布円周部（４）の
穴付フラップ（Ｆ）をセットし、次いで、吸引板（Ｋ）
に吸着させた正面部用基布（５）を重合して、胴体用基
布円周部（４）とこの正面部用基布外周縁部（６）とを
上記リング状治具（Ｇ）にて挟持する。そして、図４
（Ｄ）に示すように、上記各基布（２），（５）をリン
グ状治具（Ｇ）と共に上下逆にして、ターンテーブル
（Ｎ₁ ）と該テーブル（Ｎ₁ ）と同期して回転する外周
ターンテーブル（Ｎ₂ ）上に載置し、後、これら基布
（２），（５）を、上記各テーブル（Ｎ₁ ），（Ｎ₂ ）
間に設けた間隙（Ｌ）の位置で縫合する。

【００１３】このように、本発明の製造方法によって前
記本発明の助手席用エアバッグを製造したときには、エ
アバッグの縫製が２工程で終わることによって、その製
造工数が減少すると共に、上記各縫製ラインが直線と真
円となることによって全ての縫製を上記の如くミシンに
よって自動化することが可能となる。また、上記エアバ
ッグは、前記胴体用基布の扇形の形状を適宜変えること
により、図５（Ａ），（Ｂ）に示すようにエアバッグの
膨張時の形状を種々変更して形成することも可能であ
る。

【００１４】以上、本発明の実施例を説明したが、上記
ミシンによる円形の自動縫製は、例えば特開平３−１７
０１９３号公報に開示されるようなエアバッグ外周縫い
装置を使用することもできる。また、上記実施例では助
手席用エアバッグを例にとって説明したが、本発明の円
錐状のエアバッグは、円錐形の高さを低く設けることに
よって運転席用にも適用することが可能であり、同様
に、上記本発明の製造方法も上記運転席用エアバッグに
実施しても有効であることは云うまでもない。

【００１５】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の車両用エ
アバッグは、中心を一部切欠く扇形の胴体用基布を概略
裁頭円錐状に巻回して、その半径部同士を縫合すると共
に、該円錐状基布の底部円周部に円形の正面部用基布の
外周縁部を縫合せしめるものであり、かかるエアバッグ
を、前述の通りの、上端にフランジ部を有する受け台や
リング状挟持治具等を用いて製造した場合は、エアバッ
グの縫製が２工程で終わることによって、その製造工数
が減少すると共に、上記各縫製ラインが直線と円形とな
ることによって全ての縫製を機械によって自動化するこ
とが可能となり、エアバッグを低廉かつ迅速に量産しう
るとの顕著な効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明実施例のエアバッグを示す斜視図であ
る。

【図２】同エアバッグを構成する基布の平面図である。

【図３】（Ａ）本発明第１実施例の製造方法の説明図で
ある。 （Ｂ）本発明第１実施例の製造方法の説明図である。

【図４】（Ａ）本発明第２実施例の製造方法の説明図で
ある。 （Ｂ）本発明第２実施例の製造方法の説明図である。 （Ｃ）本発明第２実施例の製造方法の説明図である。 （Ｄ）本発明第２実施例の製造方法の説明図である。

【図５】（Ａ）本発明実施例エアバッグの形状の例を示
す斜視図である。 （Ｂ）本発明実施例エアバッグの形状の他の例を示す斜
視図である。

【図６】従来の助手席用エアバッグを示す斜視図であ
る。

【符号の説明】

（０） 中心 （１） 開口部 （２） 胴体用基布 （３） 半径部 （４） 底部円周部 （５） 正面部用基布 （６） 外周縁部 （Ｕ） 受け台 （Ｕ₁ ）挿入部 （Ｕ₂ ) フランジ部 （Ｇ） リング状治具

─────────────────────────────────────────────────────

【手続補正書】

【提出日】平成５年１０月２２日

【手続補正１】

【補正対象書類名】図面

【補正対象項目名】全図

【補正方法】変更

【補正内容】

【図１】

【図２】

【図３】

【図４】

【図５】

【図６】

フロントページの続き (72)発明者 曽木 秀仁 愛知県西加茂郡三好町大字打越字生賀山３ 番地 東洋ゴム工業株式会社自動車部品技 術センター内

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 中心を一部切欠く扇形の胴体用基布を概
   略截頭円錐状に巻回して、その半径部同士を縫合すると
   共に、該円錐状基布の底部円周部に円形の正面部用基布
   の外周縁部を縫合せしめたことを特徴とする車両用エア
   バッグ。
2. 【請求項２】 請求項１記載のエアバッグを製造するに
   際し、上記円錐状に縫合した胴体用基布を上下逆にして
   内挿させる挿入部と、内挿した基布の底部円周部を外方
   に折り返して乗せるフランジ部とを有する受け台を用
   い、上記円錐状基布を該受け台に挿入すると共に、受け
   台のフランジ部に乗せた基布の上記円周部に前記正面部
   用基布の外周縁部を重ね、後、上記フランジ部に沿い、
   これら基布同士を縫合せしめることを特徴とする車両用
   エアバッグの製造方法。
3. 【請求項３】 請求項１記載のエアバッグを製造するに
   際し、上記円錐状に縫合した胴体用基布を上下逆にして
   内挿させる挿入部と、内挿した基布の底部円周部を外方
   に折り返して乗せるフランジ部とを有する受け台を用
   い、上記円錐状基布を該受け台に挿入すると共に、受け
   台のフランジ部に乗せた基布の円周部を、上下１対のリ
   ング状治具にて挟持することにより円形に保形し、次い
   で、この基布を受け台から取り外して、上記治具にて保
   形した胴体用基布円周部と正面部用基布外周縁部とを縫
   合せしめることを特徴とする車両用エアバッグの製造方
   法。
4. 【請求項４】 請求項３記載のエアバッグの製造方法に
   おいて、上記リング状治具にて胴体用基布円周部を挟持
   するに際し、該基布円周部に正面部用基布外周縁部を重
   合し、この重合した正面部用基布と共に上記胴体用基布
   を挟持せしめることを特徴とする車両用エアバッグの製
   造方法。