JPH06208877A - 極細同軸線の端子付け固定方法及び端子付け固定用部材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】極細同軸線の半田付け接続部の作業性を改善
し、同半田付け部の信頼性を向上させた極細同軸線の端
子付け固定方法および固定部材を提供する。 【構成】ハウジング１のスロットにアース用の端子４と
内部導体用の端子５とを収納固定し、ハウジング外に延
長されるアース用リード線４１及び内部導体用リード線
５１を射出成形基板２のスルホールに挿入して、少なく
とも内部導体用リード線をかかるスルホールに固有のラ
ンドに跨がるように半田付け６し、さらに射出成形基板
から延長されたアース用リード線の延長端と同軸線８の
剥き出しにされた各内部導体８１をホルダー３に挿入
し、ホルダーの周縁に導電性テープ９を巻き付け固定し
てこれにアース用リード線と同軸線の剥き出し分離され
たシールド線８２とを半田付け一体化し、さらに同軸線
の剥き出し内部導体の延長端を射出成形基板のランドの
側面に半田付けする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えば４０ＡＷＧ以下
にも及ぶような導体サイズの小さい極細同軸線をコネク
ターの外殻となるハウジングに端子付け状態で固定する
方法とそのための端子付け固定用部材の提供に関する。

【０００２】

【従来の技術】ＯＡ機器やＭＥ機器等は、近年ますます
高性能化且つ小型化される傾向にあり、これに配線され
る電線も例外無しに細線化、高密度実装化される傾向に
ある。

【０００３】上記のような精密機器類に配線する電線
は、外部雑音に起因する誤動作やクロストーク等を回避
する目的で、外部にシールドを有する同軸構造となって
いるのが一般的である。そして、前述したような高密度
実装においては、複数本のシールド付電線を一括してシ
ースにより保護被覆するとともに、端部においてそれぞ
れの同軸シールド線付電線のシールドを一括してアース
線に接続し、一括して接地するのが通常のやり方であっ
た。

【０００４】しかし、機器類の構造の制約から取付けス
ペースに限界があったりすると、上記のアース線への一
括接続方式が適用できない場合があり、また、シールド
線が極細同軸線であったりすると、内部コアに外力が加
わったりしたときに断線してしまう恐れがあった。

【０００５】そのため、シールド線を簡易な手段により
一括接地し、而もコアの整列並びに張力を均分して、外
観上からも整然とした固定を可能とするシールド線付電
線の固定方法とそれに直接使用される固定部材を本出願
人においてすでに提案した。（特願昭６１−１２３９９
７号） かかる提案例では、固定台となる多数のスロットを持っ
たハウジングと、そのハウジングの各スロットに相対応
して多数の切り込みを有した固定支承体となるホルダー
とを用い、ホルダーに対して選択された一部のスロット
にアース部片の端子を収納固定して該アース部片のアー
ス線の延長端をホルダーの一部の切り欠きに挿入してホ
ルダーをハウジングに離間相対向配置させるとともに、
ハウジングに対して残されたスロットに複数のシールド
線付電線における各コアの端子を収納固定して剥き出し
にされた各コアを弛みをもたせながらホルダーの残りの
切り欠きに挿入し、ホルダーに導電性のテープを巻き付
け固定し、導電性のテープにアース線の延長端とシール
ド線付電線の剥き出し分離されたシールド線とを半田付
け一体化するようにしたものである。

【０００６】かかるシールド線付電線の固定方法ならび
に固定用部材によれば、複数のシールド線付電線の剥き
出し分離された各シールド線を固定支承体に巻付けられ
た導電性のテープに半田付けするので、半田時の熱容量
を小さくでき、短時間で半田付けが完了し、内部のコア
に対する熱影響も少ないので、耐電圧不良や短絡などの
問題を解消できる。シールド線付電線の剥き出しコアの
先端に設けた端子をハウジングのスロットに収納固定す
るとともに、ハウジングに対してそれのスロットに収納
固定された端子から延長するアース部片のアース線を介
して一定の間隔に配置されたホルダーの切り欠きに所定
の弛みを持たせて延長する剥き出しコアを挿入し、さら
に剥き出し分離されたシールド線をホルダーに巻付けら
れた導電性のテープに半田付け一体化して当該剥き出し
コア（立ち上がり部）の固定が図られるので、シールド
線は曲げられても剥き出しコアがハウジングとホルダー
との間で一定の弛みを保ちながら略直線に近い状態で延
長でき、従って、剥き出しコアには極端な曲げや張力が
加わらないので、コア単体に受けるストレスは極小とな
って断線の防止を図れ、また複数の剥き出しコアが極端
に弛むことなく等間隔に整列配置され、シールド線に要
求されるクロストーク特性の悪化の抑制が確実に行われ
る。剥き出しコアがホルダーとハウジングとの間で整然
と配列されるので、外観上の向上にもつながる。という
効果が奏せられるというものである。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】前述した先行技術によ
れば、３８ＡＷＧまでの同軸線をコネクターに接続する
方法としては有効であるが、導体接続サイズが４０ＡＷ
Ｇ以下の極細同軸線をコネクターに接続しようとする場
合には、極細同軸線の取扱い上さらなる改善が要望され
た。そのため、プリント基板を仲介として極細同軸線の
コアと端子に有するリード線とを直接突き合わせ半田付
けする方法が提案されていた。ところが、極細同軸線の
コアとリード線を直接突き合わせ半田付けする場合に
は、半田付け面積が小さくなって半田付け作業が難しく
なり、且つシールド処理を行うスペーサとプリント基板
の中間点までの距離が非常に短くなるため半田付け部の
信頼性が不十分となる問題があった。

【０００８】本発明は、前述した従来技術の問題点を解
消するためになされ、その目的とするところは、極細同
軸線の半田付け接続部の作業性を改善し、同半田付け部
の信頼性を向上させた極細同軸線の端子付け固定方法お
よびそのための端子付け固定用部材を提供することにあ
る。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに提供する本発明の極細同軸線の端子付け固定方法
は、多数のスロットを有したハウジングと、このハウジ
ングの各スロットに相対応して多数のスルホール及びラ
ンドを有した射出成形基板と、さらにそれらハウジング
の各スロットおよび射出成形基板のスルホールに相対応
して多数の切り欠きを有したホルダーとを用い、先ず、
ハウジングのスロットに対してアース用リード線を有す
るアース端子と内部導体用リード線を有する端子とを収
納固定し、それによりハウジング外に延長されるアース
用リード線及び内部導体用リード線を射出成形基板のス
ルホールに挿入して、少なくとも内部導体用リード線を
かかるスルホールに固有のランドに跨がるように半田付
けをし、さらに射出成形基板から延長されたアース用リ
ード線の延長端と同軸線の剥き出しにされた各内部導体
をホルダーの切り欠きに挿入し、ホルダーの切り欠き面
となる周縁に導電性テープを巻き付け固定してこれにア
ース用リード線と同軸線の剥き出し分離されたシールド
線とを半田付け一体化し、さらに同軸線の剥き出し内部
導体の延長端を射出成形基板のランドの側面に半田付け
することを特徴とする。

【００１０】また、かかる方法を実施するために用いら
れる端子付け固定用部材は、アース用リード線を有する
端子を内部導体用リード線を有する端子とを収納固定す
るだけの多数のスロットを有したハウジングと、それら
端子のアース用リード線と内部導体用リード線とを挿入
するだけの多数のスルホールを有し且つランドを有した
射出成形基板と、かかるアース用リード線の延長端と極
細同軸線の剥き出しコアとを挿入するだけの多数の切り
欠きを有したホルダーと、このホルダーの切り欠き面と
なる周縁に巻き付け固定されてアース線の延長端とシー
ルド線付電線の剥き出し分離されたシールド線とを一括
半田付けさせるための導電性のテープを備えたことを特
徴とする。

【００１１】

【実施例】図１（イ）（ロ）（ハ）（ニ）（ホ）（ヘ）
は、本発明にかかる極細同軸線の端子付け固定方法の好
ましい一実施例を各工程毎に示したものである。図２は
同実施例において用いられる射出成形基板の例を示し、
また、図３は同実施例において用いられるホルダーの例
を示し、さらに、図４は同実施例における半田付け処理
状況を示したものである。

【００１２】図１（イ）〜（ヘ）から理解できるよう
に、この端子付け固定方法は、固定台となるハウジング
１と、中継接続部材となる射出成形基板２と、固定支承
体となるホルダー３とを用いている。

【００１３】しかして、ハウジング１は、図１（イ）か
ら明らかなように、多数の区画されたスロット１１，１
１，１１・・・を有しており、これらに端子が具合よく
収納固定できるようになっている。好ましくは、四隅の
スロットにおいて収納固定される端子４をアース用とし
て用い、該端子４に予め付帯したアース用リード線４１
がハウジング１の外側に延長させる。

【００１４】射出成形基板２は、図２に分かり易く示し
たように、絶縁基板２１の両側縁にハウジング１のスロ
ット１１に等しい数のスルホール２２，２２，２２・・
・を有しており、各スルホール２２毎に取り囲むランド
２３が絶縁基板２１の側面に臨むように設けられてい
る。

【００１５】ホルダー３は、図３に分かり易く示したよ
うに、絶縁性基板３１の両側縁にハウジング１のスロッ
ト１１ひいては射出成形基板２のスルホール２２に等し
い数の切り欠き３２を有したものである。

【００１６】さて、以上のような各部品を用いて同軸線
の端子付け固定方法を説明すると、先ず、図１（イ）に
示すように、アース用リード線４１を有する端子４をハ
ウジングの四隅のスロット１１に収納固定して、４本の
アース用リード線４１をハウジングから延長させ、引き
続き、図１（ロ）に示すように、内部導体用リード線５
１を有する端子５をハウジングの残りのスロット１１の
全部又は一部に収納固定して、内部導体用リード線５１
をハウジングから延長させる。

【００１７】上記のようにして一通りの端子収納固定が
完了したら、図１（ハ）に示すように、射出成形基板２
をハウジング１上においてスルホール２２にアース用リ
ード線４１及び内部導体用リード線５１を通しつつ載置
する。そして、内部導体用リード線５１は、スルホール
２２から突き出た部分で終端するようにし、一方のアー
ス用リード線４１は、スルホール２２から突き出させて
さらに延長するようにする。

【００１８】上記のようにして射出成形基板２のセット
が済んだ時点で、図１（ニ）に示すように、リード線が
通された全てのスルホール２２においてそれに固有のラ
ンド２３に跨がるように半田付け処理６を行う。なお、
アース用リード線４１における半田付け処理は、ランド
への電気的接続を目的とせず、射出成形基板をハウジン
グにセットして動かないように固定するために行われる
ものであるから、内部導体用リード線における半田付け
処理程厳密な半田付け処理を必要としない。場合によっ
ては半田付け処理を施さなくても良い。

【００１９】次に、図１（ホ）に示すように、アース用
リード線４１に適宜スペーサ７を嵌合した上に、ホルダ
ー３をおいて四隅の切り欠き３２にアース用リード線４
１を通しつつホルダー３を配置する。また、残りの切り
欠き３２には極細同軸線８の端末で剥き出しにされた内
部導体８１を通してホルダーの下側に延長するようにす
る。そして、ホルダー３の切り欠きに面する周縁に銅等
の導電性のテープ９を巻き付け固定し、さらに、ホルダ
ー３上に突き出たアース用リード線４１を折り返してそ
の端末を導電性テープ９の外側縁に半田付け一体化する
とともに、極細同軸線８の剥き出し分離されたシールド
線８２も導電性テープ９の外側縁に半田付け一体化し、
もって一連のシールド処理を終了する。

【００２０】最後に、図１（ヘ）及び図４に示すよう
に、ホルダー３のから延長する極細同軸線における内部
導体８１の端末を射出成形基板のランド２３（図２参
照）の側面に半田付け処理１０して内部導体の接続を終
了する。

【００２１】かかる実施例によれば、１線心当たり約３
秒程度で接続処理が可能となり、従来の方法に比し１／
５の時間短縮が可能であることが判明した。

【００２２】

【発明の作用・効果】以上のような本発明の極細同軸線
の端子付け固定方法および端子付け固定用部材によれ
ば、耐電圧不良や短絡などの問題を解消でき、コア単体
に受けるストレスは極小となって断線の防止を図れ、ま
たクロストーク特性の悪化の抑制が確実に行われ、さら
には外観上の向上にもつながる等、初期の目的は達成さ
れるのは勿論、端子に付帯させたアース用リード線と内
部導体用リード線とを一旦射出成形基板のスルホールに
挿入してそれに固有のランドに跨がるように半田付け処
理しておき、ホルダーの切り欠きを通して延長された極
細同軸線の内部導体をかかるランドの側面に半田付け処
理して一連の内部導体接続を成就させるようにしたの
で、取り扱い上厄介な極細同軸線であっても確実な半田
付け処理がスピーディに行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明にかかる極細同軸線の端子付け固定方法
の一実施例を示し、（イ）はアース線用リード線を有す
る端子の収納工程を示し、（ロ）は内部導体用リード線
を有する端子の収納工程を示し、（ハ）は射出成形基板
の組み付け工程を示し、（ニ）はリード線にかかる半田
付け工程を示し、（ホ）はホルダー組み付け及び極細同
軸線挿入・シールド処理工程を示し、（ヘ）は内部導体
の半田付け工程を経た完成状態をそれぞれ示す。

【図２】同上実施例における射出成形基板の例を示す斜
視図。

【図３】同上実施例におけるホルダーの例を示す斜視
図。

【図４】同上実施例における内部導体の半田付け状況を
示す要部説明図。

【符号の説明】

１ ハウジング １１ スロット ２ 射出成形基板 ２１ 絶縁基板 ２２ スルホール ２３ ランド ３ ホルダー ３１ 絶縁性基板 ３２ 切り欠き ４ 端子（アース用） ４１ アース用リード線 ５ 端子（内部導体用） ５１ 内部導体用リード線 ６ 半田付け処理 ７ スペーサ ８ 極細同軸線 ８１ 内部導体 ８２ シールド線 ９ 導電性テープ １０ 半田付け処理

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小室 浩 茨城県日立市日高町５丁目１番１号 日立 電線株式会社日高工場内 (72)発明者 斉藤 秀樹 茨城県日立市川尻町４丁目10番１号 日立 ケーブルアセンブリ株式会社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】多数のスロットを有したハウジングと、こ
   のハウジングの各スロットに相対応して多数のスルホー
   ル及びランドを有した射出成形基板と、さらにそれらハ
   ウジングの各スロットおよび射出成形基板のスルホール
   に相対応して多数の切り欠きを有したホルダーとを用
   い、先ず、ハウジングのスロットに対してアース用リー
   ド線を有するアース端子と内部導体用リード線を有する
   端子とを収納固定し、それによりハウジング外に延長さ
   れるアース用リード線及び内部導体用リード線を射出成
   形基板のスルホールに挿入して、少なくとも内部導体用
   リード線をかかるスルホールに固有のランドに跨がるよ
   うに半田付けをし、さらに射出成形基板から延長された
   アース用リード線の延長端と同軸線の剥き出しにされた
   各内部導体をホルダーの切り欠きに挿入し、ホルダーの
   切り欠き面となる周縁に導電性テープを巻き付け固定し
   てこれにアース用リード線と同軸線の剥き出し分離され
   たシールド線とを半田付け一体化し、さらに同軸線の剥
   き出し内部導体の延長端を射出成形基板のランドの側面
   に半田付けすることを特徴とする極細同軸線の端子付け
   固定方法。
2. 【請求項２】アース用リード線を有する端子を内部導体
   用リード線を有する端子とを収納固定するだけの多数の
   スロットを有したハウジングと、それら端子のアース用
   リード線と内部導体用リード線とを挿入するだけの多数
   のスルホールを有し且つランドを有した射出成形基板
   と、かかるアース用リード線の延長端と極細同軸線の剥
   き出しコアとを挿入するだけの多数の切り欠きを有した
   ホルダーと、このホルダーの切り欠き面となる周縁に巻
   き付け固定されてアース線の延長端とシールド線付電線
   の剥き出し分離されたシールド線とを一括半田付けさせ
   るための導電性のテープを備えたことを特徴とする極細
   同軸線の端子付け固定用部材。