JPH0620744B2 - 金属粉入り合成樹脂の製造方法 - Google Patents

金属粉入り合成樹脂の製造方法

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JPH0620744B2
JPH0620744B2 JP62100698A JP10069887A JPH0620744B2 JP H0620744 B2 JPH0620744 B2 JP H0620744B2 JP 62100698 A JP62100698 A JP 62100698A JP 10069887 A JP10069887 A JP 10069887A JP H0620744 B2 JPH0620744 B2 JP H0620744B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、表面にメタリック感を与えた成形品を成形す
る金属粉入り合成樹脂の製造方法に関するものである。
〔従来の技術〕
周知の如く、金属材料によって成形されていた製品が、
軽量化,経済性等の理由から合成樹脂材料に置き換えら
れて来た。
その一例を魚釣用リールについて説明する。魚釣用リー
ルは、アルミニウムダイキャスト製品によってリール本
体及び各構成部材が形成されていたが、軽量化の市場要
求に伴い、合成樹脂成形品が急激に普及し、魚釣用リー
ルの大半が合成樹脂で成形されている。
然し、合成樹脂成形品は、アルミニウムダイキャスト製
品に比して軽量である反面、色,光沢,艶等の装飾的な
外観に於て見劣りすると共に、表面硬度が低い上に、耐
候性が悪いため、外表面に傷が付き易く、又、変色,劣
化して、見劣りしたり、強度的に弱くなったり、更には
外観的に質感がなく、高級的イメージに欠けていた。
そこで、上記のような合成樹脂成形品の問題点を解決す
る手段として、質感及び装飾的な外観の向上と合成樹脂
材料の保護のため、メタリック塗装を行なった魚釣用リ
ールが出回っている。
〔発明が解決しようとする問題点〕
然し乍ら、上述のようなメタリック塗装を施した魚釣用
リールでは、次の如き問題点があった。
成形後、表面研磨→脱脂→塗装→乾燥という多くの工
程を必要とする。而も、乾燥工程で熱を掛けるため、変
形歪みが発生し、寸法精度が悪くなり、高精度維持が不
可能である。
成形後に塗装するため、塗膜の密着不良,硬度不良が
発生し易く、又、複雑な形状の場合等には均等に塗装す
ることが困難で、塗装不良も発生し易く、且つ、色ムラ
も多い。
工程が多くなることにより、製品コストがアップし、
又、合成樹脂成形により軽量化されたものの、塗膜の
分、重量増となる。
このように成形後に塗装を施すことは、種々の問題点が
あり、合成樹脂成形品に全てを置き換えることが困難で
あった。
そこで、本発明者は、合成樹脂にメタリック感を発現さ
せることが出来るようにすべく種々研究の結果、合成樹
脂と金属粉とを成形機で混練することによって金属粉を
合成樹脂層中に分散出来ることを見出した。
然し、合成樹脂と金属粉とを直接成形機によって混練し
て成形すると、成形機を傷める等の不具合を招来するた
め、合成樹脂と金属粉とを予め混練して粒状体を成形し
た後、この粒状体を成形機にて成形する必要があること
を見出した。
そこで、本発明者は、第4図に示すような方法によって
成形した。即ち、合成樹脂と金属粉と補強繊維と顔料
(顔料は後で成形機に添加しても良い)とを、先ず、所
望の混練機で混練して粒状体とし、次に、この粒状体を
成形機で混練して所望の成形品に成形するという方法を
採用した。
然し乍ら、この方法では、金属粉と補強繊維とが2回に
亘って混練されるため、金属粉がスクリュウとシリンダ
(混練機)との剪断力及び補強繊維によって破壊され
る。そのため、成形しても金属の粒径が小さくなり、メ
タリック感が発現されなくなる。
又、例えば魚釣用リールのように所望の機械的強度を有
するものの場合には、補強繊維を充填しなければならな
いが、合成樹脂と補強繊維とを直接成形機によって混練
して成形することは、成形機を傷める等の不具合を招来
するため実施出来ない。
そこで、第4図のように合成樹脂と金属粉と共に混練さ
れて粒状体を予め成形する方法が採られる。
然し、この方法では、金属粉と補強繊維とが2回に亘っ
て混練されるため、当初3±1mm程度の補強繊維が、1
回混練されると、1.2±0.5mm程度に破断され、2
回混練されると、0.7±0.5mm程度に破断されてし
まい、補強繊維は補強効果としては機能しなくなり、単
なる充填物としてしか働かなくなる。そして、特性とし
ては、2回混練すると1回に比べて約10±5%の強度
・弾性の低下になる。
〔発明の目的〕
本発明は斯かる従来の問題点を解決するために為された
もので、その目的は、メタリック感発現のために金属粉
を混入し、且つ、強度向上の為に補強繊維を混入して
も、金属粉によるメタリック感発現力と補強繊維による
補強力とを低下させることのない金属粉入り合成樹脂成
形品を製造することが出来る方法を提供することにあ
る。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明に係る金属粉入り合成樹脂の製造方法は、合成樹
脂と金属粉とを混練して粒状体を造り、この粒状体と補
強繊維とを成形機に供給し、この成形機によって、表面
にメタリック感を与えた合成樹脂成形品を成形するもの
である。
〔発明の実施例〕
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
第1図は本発明の一実施例を示すフローチャートで、本
実施例によれば、先ず、合成樹脂と金属粉とが混練機に
よって混練されて粒状体を成形し、次に、この粒状体が
補強繊維と顔料と共に成形機に供給され、この成形機に
よって混練されて所望の型に押し出され、目的とする成
形品を製造するように構成されている。
斯くして得られたメタリック感を発現する合成樹脂成形
品Aは、例えば第2図に示すように、合成樹脂層1全体
に亘って金属粉2が均一に分散し、通常の合成樹脂成形
品では得られない外観を呈する。
此処で、この合成樹脂成形品を構成する材料及びその配
合割合について説明する。
合成樹脂としては、出来る限り透明感のある例えばナイ
ロン樹脂等の熱可塑性樹脂が好適である。尚、透明度,
環境条件による物性の確保等を考慮した場合には、ナイ
ロン樹脂が最も好ましい材料であるが、用途,環境及び
成形条件,品質,その他色々な条件変化に伴い、他の合
成樹脂を用いても良い。
又、補強繊維としては、例えばガラス繊維,炭素繊維及
び又はウイスカ等の単結晶繊維等が使用出来る。この補
強繊維の配合割合としては、40±5重量%である。補
強繊維の量を多くすると、物性は向上するが、金属粉に
よるメタリック感が出なくなる。逆に、補強繊維が少な
過ぎると、所定の強度が要求される部材等に於ては亀
裂,破損の虞があり、適用品本来の機械的強度を確保出
来なくなる虞がある。然し、上述の配合割合は、用途及
び外観程度により、適宜変更することが出来る。
又、金属粉としては、アルミニウム粉,ニッケル粉,銅
粉,マグネシウム粉,真鍮粉等が使用出来るが、光沢,
耐蝕性,重量,危険性等を考慮するとアルミニウム粉が
最適である。勿論、物性,外観等を考慮して他の金属粉
を採用出来ることは言うまでもない。そして、金属粉の
大きさ及び形状としては、80±20μm程度の球状体
が望ましい。〜20μmの場合には、粒子が細かく輝度
感に欠ける。20〜60μmでは、メタリック感が乏し
い。100μm〜の場合には、粒子が粗過ぎて成形性に
難がある。尚、フレーク状のアルミニウム粉でも成形出
来るが、成形品Aの外観を比較すると、フレーク状のも
のよりも球状のものが優れていることが確認出来た。
又、合成樹脂に対する配合割合としては、5±2重量%
程度あれば良い。少な過ぎると、メタリック感が乏しく
なり、多過ぎると、メタリック感は出るが、強度が弱く
なるとい傾向がある。然し、用途及び外観程度により、
適宜変更することが出来る。
次に、55重量%のナイロン66と、40重量%のガラ
ス繊維と、5重量%のアルミニウム粉(80μm)とを
用意し、第1図に示す本実施例に係る方法によって合成
樹脂成形品Aを製造し、且つ、第4図に示す比較例に係
る方法とによって合成樹脂成形品Bを製造した。
そして、第1図に示す本実施例に係る方法によって得ら
れた合成樹脂成形品Aと、第4図に示す比較例に係る方
法によって得られた合成樹脂成形品Bの物性値を測定し
たところ、次の第1表に示す結果を得た。
尚、第1表に於て、引張り強度の単位は、kg/cm2で、
試験方法はASTM D638による。曲げ強度の単位は、kg/c
m2で、試験方法はASTM D790による。曲げ弾性の単位
は、10kg/cm2で、試験方法はASTM D790による。ア
イゾット衝撃は、ノッチ付きの場合を示し、その単位は
kg・cm/cmで、試験方法はASTM D256による。
この第1表から明らかなように、本実施例によれば、合
成樹脂が金属粉と予め混練されて粒状体を形成した後、
この粒状体と補強繊維と成形機に供給するようにしたの
で、補強繊維の破断が11回で済む、補強繊維による特
性が維持された。これに対し、比較例の場合には、2回
に亘って補強繊維が破断されるため、本実施例に比較し
て物性が低下し、補強繊維を充填したことによる補強効
果が少ない。
次に、斯くして構成された本実施例に斯かるメタリック
感を呈する合成樹脂成形品Aを、スピニングリール10
に適用した一実施例を第3図に基づいて説明する。
脚11と、ギア収納部のカバー部12と、スプール14
の取付部13とが、合成樹脂に金属粉を混練して成形さ
れた合成樹脂成形品Aによって構成されている。尚、第
3図に示す他の構成部品は、通常の合成樹脂成形品(例
えばナイロン樹脂にガラス繊維等の補強材が混入されて
成形されたもの等)が使用されている。
脚11、ギア収納部のカバー部12及びスプール14の
取付部13を構成する金属粉入り合成樹脂成形品Aは、
例えば第2図に示すように、合成樹脂成形品Aの内外に
亘って合成樹脂層1内に金属粉2が万遍なく分散してい
る。そして、この合成樹脂成形品Aには、通常の合成樹
脂成形品と同様にガラス繊維,炭素繊維及び又はウイス
カ等の単結晶繊維等の補強材3が混入されている。
以上のように、本実施例によれば、脚11、ギア収納部
のカバー部12及ビスプール14の取付部13を構成す
る金属粉入り合成樹脂成形品Aによって構成したので、
これらの各部材がそのまま通常の部材と同様に組み付け
ることが出来るから、メタリック感を出すために成形後
に塗装を施す必要が無くなる。そのため、各部材が熱変
形を起こすことが無くなり、高い寸法精度を維持出来
る。金属粉は合成樹脂成形品の内外に均一に分散してい
るため、塗装のように色ムラ等を起こす虞がない。而
も、金属粉が合成樹脂に混入されているため、これによ
って呈されるメタリック感は、塗装に比して質感,装飾
的外観を維持出来ると共に、塗膜が不要となるから軽量
化が可能となる。更に、合成樹脂成形品自体がメタリッ
ク感を呈するから、形状が複雑になっても、塗装のよう
にメタリック材である金属粉が行き渡らなくなるという
不具合がなくなる等の利点がある。
即ち、本実施例によれば、少なくとも外装部材を合成樹
脂成形品で構成した魚釣用リールに於て、上記合成樹脂
成形品を、合成樹脂材に金属粉を混練して成形して形成
すると共に、この合成樹脂成形品表面にメタリック感を
与えるようにしたので、次の如き効果が奏される。
塗装熱の影響を成形後に受けないので、変形が生じな
くなり、寸法を高精度に維持出来る。
塗装による製造工程上の不具合である、密着不良,硬
度不良,色ムラが全く解消されるので、品質が安定する
他、低コストで魚釣用リールを提供出来る。
質感,装飾的外観を確保して、合成樹脂成形による軽
量化が最大限維持出来る。
尚、上記実施例では、本発明をスピニングリール10の
脚11、ギア収納部のカバー部12及びスプール14の
取付部13に適用した場合について説明したが、ハンド
ル,スプール等にも適用出来ることは勿論のこと、他の
リール、例えば両軸受型リール、覆面型リール、片持型
リール等に適用出来ることは言うまでもない。
又、本発明は、上述の如く魚釣用リールの各種部材に限
らず、各種化粧板、カラーボックス、容器、デイスプレ
ー等にも適用出来ることは言うまでもない。
〔発明の効果〕
以上のように本発明によれば、メタリック感を発現させ
る金属粉が予め合成樹脂と混練されて粒状体を形成した
後、補強繊維と顔料と共に成形機に供給されるから、補
強繊維による金属粉の破断が防止され、所望のメタリッ
ク感を成形品の内外に亘って均一に付与することが出来
る。又、補強繊維は成形機による混練だけで処理される
ため、工程中に破断を受ける回数が少なくなり、補強材
としての機能が向上する。
即ち、本発明によれば、金属粉と補強繊維とを共存させ
ることによる不具合を引き起こすことなく、両者の機能
を充分に発揮させることが可能となり、塗装等では得ら
れないメタリック感を呈する成形品を容易に提供するこ
とが出来る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る金属粉入り合成樹脂の製造方法の
一実施例例を示すフローチャート、第2図はこのフロー
チャートに従って成形された金属粉入り合成樹脂成形品
の断面図、第3図は本発明の一実施例により製造された
金属粉入り合成樹脂成形品をスピニングリールに適用し
た一例を示す側面図、第4図は本発明者によって提案さ
れた金属粉入り合成樹脂の成形方法(比較例)を示すフ
ローチャートである。 A……本実施例に係る金属粉入り合成樹脂成形品、B…
…比較例に係る金属粉入り合成樹脂成形品、1……合成
樹脂層、2……金属粉、3……補強繊維、10……スピ
ニングリール、11……脚、12……ギア収納部のカバ
ー部、13……スプール14の取付部。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】合成樹脂と金属粉とを混練して粒状体を造
    り、この粒状体と補強繊維とを成形機に供給し、この成
    形機によって、表面にメタリック感を与えた合成樹脂成
    形品を成形することを特徴とする金属粉入り合成樹脂の
    製造方法。
  2. 【請求項2】合成樹脂が、ナイロン樹脂等の熱可塑性合
    成樹脂であることを特徴とする特許請求の範囲第1項記
    載の金属粉入り合成樹脂の製造方法。
  3. 【請求項3】補強繊維が、ガラス繊維,炭素繊維及び又
    はウイスカ等の単結晶繊維等の補強材とによって構成さ
    れていることを特徴とする特許請求の範囲第2項記載の
    金属粉入り合成樹脂の製造方法。
  4. 【請求項4】ガラス繊維,炭素繊維及び又はウイスカ等
    の単結晶繊維等の補強材が、40±5重量%含有されて
    いることを特徴とする特許請求の範囲第3項記載の金属
    粉入り合成樹脂の製造方法。
  5. 【請求項5】金属粉が、アルミニウム粉であることを特
    徴とする特許請求の範囲第1項記載の金属粉入り合成樹
    脂の製造方法。
  6. 【請求項6】アルミニウム粉の金属粉が、5±2重量%
    含有されていることを特徴とする特許請求の範囲第5項
    記載の金属粉入り合成樹脂の製造方法。
  7. 【請求項7】アルミニウム粉が、80±20μmの球状
    体を呈していることを特徴とする特許請求の範囲第5項
    記載の金属粉入り合成樹脂の製造方法。
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