JPH0620706Y2 - 自動変速機付車両の盗難防止装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本考案は駐車時自動変速機の変速レバーを駐車位置とし
なければ始動スイッチ機構をＯＦＦにできず、始動スイ
ッチ機構をＯＦＦにすると変速レバーが駐車位置にロッ
クされる、自動変速機付車両の盗難防止装置に関するも
のである。

＜従来の技術＞ 公知のように、自動変速機は変速レバーを前後に段階的
に傾動操作するだけで、駐車・後退・中立・運転（ドラ
イブ）・２速段・１速段の各位置へ切り替えられ、運転
位置では停車から高速走行まで、速度に応じて変速比が
自動的に加減される。しかし、変速レバーの操作は極め
て単純で軽いので、坂道に駐車した場合に、運転できな
い者が故意に変速レバーを駐車位置から他の位置へ切り
替えると、車両が動きだす恐れがある。

特開昭４８−９３０４４号公報に開示される車両の盗難
防止装置は、始動キーを抜き取るとハンドルと一緒に変
速レバーがロックされるよう、変速レバーの動作が遠隔
操作ケーブルを介してハンドルロック機構へ伝達され
る。しかし、これは組立に際し遠隔操作ケーブルの配索
に手数が掛る。

実開昭５９−１７６２５３号公報に開示される車両の盗
難防止装置では、始動キーをＯＮにすると、電磁アクチ
ュエータのロツドが、駐車位置にある変速レバーの制御
ピンの下側から引退する。したがつて、ボタンにより制
御ピンを押し下げれば、任意の変速位置へ変速レバーを
傾動操作することが可能になる。

しかし、上述の車両の盗難防止装置は、変速レバーが変
速位置にある時、始動キーの抜取りを阻止するために、
変速レバーを遠隔操作ケーブルにより円錐カムを有する
摺動ロツドに連結する必要があり、遠隔操作ケーブルの
配索に手数が掛る。また、変速レバーが変速位置にある
時、始動キーを抜き取ることはできないが、始動キーを
ＯＦＦ位置へ操作できるので、ハンドルロツク機構を備
えた車両に適用すると問題が生じる。

＜考案が解決しようとする課題＞ 本考案の目的は上述の問題に鑑み、変速レバーを駐車位
置にしない限り、始動スイッチ機構をＯＦＦに操作でき
ず、始動スイッチ機構をＯＦＦにすると、変速レバーが
駐車位置にロツクされ、運転者が車両を離れた場合に、
第三者の操作により車両が動き出す恐れがなく、また、
走行中に始動スイッチ機構がＯＦＦになることが防止さ
れ、走行中にハンドルがロツクされて操縦不能に陥ると
いう事故を解消でき、さらに、始動スイッチ機構に変速
レバーロツク機構を機械的に連結する遠隔操作ケーブル
をなくし、ケーブルの配設に制限を受けることがなく、
設計、組立が容易となり、かつ操作時のケーブルの摺動
抵抗もなくなり、ストローク効率、荷重効率の低さによ
る操作力の増大が改善される自動変速機付車両の盗難防
止操作を提供することにある。

＜問題点を解決するための手段＞ 上記目的を達成するために、本考案の構成は自動変速機
の変速レバーのボタンに連動するロッド下端の制御ピン
が制御板に形成された制御開口縁の駐車位置にあると
き、前記ピン下方にロックピンを突出する変速レバーロ
ック機構の電磁アクチュエータを、始動スイッチ機構が
ＯＮ位置にあるときに閉じるスイッチを介して電源に接
続し、且つ前記始動スイッチ機構がＯＮのときこれと連
動して操舵軸のロックを解除するハンドルロック機構の
電磁アクチュエータを、前記制御ピンが駐車位置にある
ときにのみ開くスイッチを介して前記電源に接続すると
ともに、前記ハンドルロック機構が開放されたときＯＮ
状態にロックする始動スイッチロック機構を設け、前記
始動スイッチ機構がＯＮのとき前記変速レバーのピンを
ロック状態から開放し、同時に前記ピンが前記駐車位置
から外れれば、前記ハンドルロック機構を解除し、更に
前記ハンドルロック機構の解除により前記始動スイッチ
ロック機構をＯＮ状態にロックすることを特徴とするも
のである。

＜作用＞ 始動スイッチ機構をＯＮにすると、変速レバーロツク機
構が解除され、変速レバーが操作可能になる。変速レバ
ーを駐車位置から所要の変速位置へ操作すると、始動ス
イッチロツク機構が駆動され、始動スイッチ機構のＯＦ
Ｆ操作が不能になる。

つまり、変速レバーを駐車位置へ戻さなければ、始動ス
イッチ機構をＯＦＦにすることはできず、始動スイッチ
機構をＯＦＦにすると、変速レバーロツク機構により変
速レバーがロツクされる。

変速レバーが変速位置にある時、始動スイッチ機構はＯ
ＦＦ位置へ回転できないから、運転中にハンドルがロツ
クされ、操作不能に陥ることもない。

＜実施例＞ 第１図に示すように、操舵筒２の上端部に横方向に延び
る円筒状のハウジング９が一体に設けられ、ハウジング
９の内部に始動スイッチ機構１５のＯＮにより解除され
るロツク８が備えられる。ロツク８に係合片７を介して
カム１０，１４が回転結合され、始動スイッチ機構１５
を運転位置へ回動すると、カム１４によるハンドルロツ
ク機構Ａのロツク部材３が開放され、ロツク部材３が操
舵軸１１のキー溝から抜け出す。同時に、始動スイツチ
１５がＯＮになる。

始動スイッチロツク機構Ｂは次のように構成される。操
舵筒２のハウジング９に隣接する部分に、操舵筒２の長
手方向に延びる角穴６が設けられ、角穴６にピン穴５ａ
を有するロツク板５が支持される。ピン穴５ａに係脱可
能にピン４が、操舵筒２の壁部に支持され、かつばね１
９の力により前述のカム１０に付勢係合される。

第２図に示すように、ロツク板５は角穴６から抜けでな
いようにストツパ１８により抑えられ、かつロツク板５
の端部はピン５６によりレバー５４の一端に設けた長穴
５４ａに連結される。レバー５４は中間部を操舵筒２に
支軸５５により回動自在に支持され、他端部の長穴５４
ｂをピン５３により電磁アクチュエータ５１のロツド５
２に連結される。電磁アクチュエータ５１も操舵筒２の
内部に配設される。

電磁アクチュエータ５１は電磁コイルと電磁コイルの内
部へ挿通された磁性体からなるロツド５２とを備えてお
り、電磁コイルを励磁するとロツド５２が上方へ吸引さ
れ、電気コイルを消磁するとばね力により下方へ突出さ
れるようになつている。上記電磁アクチュエータ５１自
体は一般的なものであるからこれ以上詳述しない。

また、電磁アクチュエータ５１は変速レバー２６が駐車
位置にあるとき、即ち変速レバー２６と一体の制御ピン
１が制御板３５の開口３８における開口縁部Ｐにあると
きにのみ開くスイッチ５１ａを介して電源４８に接続さ
れている。

なお、上記制御ピン１および制御板３５についての詳細
構成は後述する。

第３図に示すように、自動変速機の変速レバー２６は下
端部に結合した回動部材３１と一緒に、支軸３３により
基枠３９へ回動可能に支持される。変速レバー２６のノ
ブ２２の側端部に設けたボタン２３を押すと、内蔵され
たカム機構を介して変速レバー２６の内部に支持された
ロツド２５がばね力に抗して押し下げられ、ロツド２５
の下端部に固定支持され、かつ変速レバー２６から側方
へ突出する制御ピン１が押し下げられるようになつてい
る。制御ピン１の一端は基枠３９に固定した制御板３５
の開口３８へ突出し、階段状の開口縁部に係合して変速
レバー２６を所定の変速位置に保持するようになつてい
る。変速レバー２６の下端部と制御板３５とはカバー２
７により覆われる。

第４図に示すように、制御板３５の開口３８の後半部
に、運転位置で制御ピン１が係合する開口縁部Ｎ，Ｄ
と、２速段で制御ピン１が係合する開口縁部IIと、１速
段で制御ピン１が係合する開口縁部Ｉとが階段状に配設
され、また開口３８の前半部に、後進位置で制御ピン１
が係合する開口縁部Ｒと、駐車位置で制御ピン１が係合
する開口縁部Ｐとが階段状に設けられる。

開口縁部Ｐに制御ピン１が係合した時、制御ピン１を押
し下げることができないようにロツクする変速レバーロ
ツク機構Ｃは次のように構成される。基枠３９の側壁に
固定した案内部材６６に、開口縁部Ｐへ突出可能のロツ
クピン６７が支持される。ロツクピン６７の基本部はピ
ン６５によりレバー７０の上端部の長穴７０ａに連結さ
れる。レバー７０は中間部を支軸６４により基枠３９に
回動自在に支持される。レバー７０の下端部の長穴７０
ｂに、ピン６３により電磁アクチュエータ６１のロツド
６２が連結される。電磁アクチュエータ６１自体は前述
した電磁アクチュエータ５１と同様に一般的なものであ
る。

また、電磁アクチュエータ６１は、始動スイッチ機構１
５がＯＦＦ位置にあるとき開き、始動スイッチ機構１５
がＯＮ位置にあるとき閉じるスイッチ１６ａを介して電
源４８に接続される。

なお、第５図において６１ｂは電磁アクチュエータ６１
の通電回路、５１ｂは電磁アクチュエータ５１の通電回
路、４９はヒユーズを夫々示している。

次に、本考案装置の作動について説明する。

第３図に示すように、変速レバー２６が駐車位置にあ
り、かつ始動スイッチ機構１５がＯＦＦ位置にある時、
スイツチ６１ａが開かれ、電磁アクチュエータ６１が消
磁され、ばね力によりロツド６２が突出されている。レ
バー７０が支軸６４を中心として時計方向に回転付勢さ
れ、ロツクピン６７が開口縁部Ｐへ突出され、制御ピン
１の移動を阻止する。即ち、変速レバーロツク機構Ｃが
変速レバー２６をロツクしている。

変速レバー２６がパーキング位置にある時は、スイツチ
５１ａが開かれ、電磁アクチュエータ５１が消磁されて
いる。これによって、第２図に示すように、ばね力によ
りロツド５２が押し下げられ、レバー５４によりロツク
板５が押し上げられ、カム１０によりピン４がロツク板
５のピン穴５ａへ突出され、始動スイッチロツク機構Ｂ
をロツクしている。

したがつて、運転できない者が故意に変速レバー２６を
操作しようとしても操作できない。変速レバー２６は駐
車位置にあつてロックされた状態にあるので、坂道に駐
車しても、車両が動き出すことはない。また、ハンドル
がロツクされているので、盗難の恐れがない。

車両を運転する場合は、始動スイッチ機構１５をＯＮ位
置に回転すると、カム１０の突部が後退し、同時にスイ
ツチ６１ａが閉じられ、電磁アクチュエータ６１が励磁
され、ロツド６２がばね力に抗して引っ込められる。し
たがつて、レバー７０が支軸６４を中心として第４図に
おいて反時計方向に回動され、ロツクピン６７が開口縁
部Ｐから引つ込められ、即ち変速レバーロツク機構Ｃが
解除され、制御ピン１の下方への移動が可能となる。こ
こで、変速レバー２６のボタン２３を押すと、制御ピン
１が下方へ移動しつつ開口縁部Ｐから抜け出し、変速レ
バー２６を任意の変速位置へ傾動操作可能になる。

この時、変速レバー２６の制御ピン１の開口縁部Ｐから
の脱出により、開口縁部Ｐに配設されたスイツチ５１ａ
が閉じ、電磁アクチュエータ５１が励磁され、ロツド５
２がばね力に抗して引き上げられる。レバー５４が支軸
５５を中心として第２図において時計方向へ回動され、
ロツク板５が引き下げられる。したがつて、始動スイッ
チロツク機構Ｂがロツクされ、始動スイッチ機構１５を
ＯＦＦ位置へ回転しようとしても、カム１０に係合する
ピン４がロツク板５に当り、始動スイッチ機構１５の回
転を阻止する。

＜考案の効果＞ 本考案の自動変速機付車両の盗難防止装置は上述のよう
に、自動変速機の変速レバーのボタンに連動するロッド
下端の制御ピンが制御板に形成された制御開口縁の駐車
位置にあるとき、前記ピン下方にロックピンを突出する
変速レバーロック機構の電磁アクチュエータを、始動ス
イッチ機構がＯＮ位置にあるときに閉じるスイッチを介
して電源に接続し、且つ前記始動スイッチ機構がＯＮの
ときこれと連動して操舵軸のロックを解除するハンドル
ロック機構の電磁アクチュエータを、前記制御ピンが駐
車位置にあるときにのみ開くスイッチを介して前記電源
に接続するとともに、前記ハンドルロック機構が開放さ
れたときＯＮ状態にロックする始動スイッチロック機構
を設け、前記始動スイッチ機構がＯＮのとき前記変速レ
バーのピンをロック状態から開放し、同時に前記ピンが
前記駐車位置から外れれば、前記ハンドルロック機構を
解除し、更に前記ハンドルロック機構の解除により前記
始動スイッチロック機構をＯＮ状態にロックするもので
あり、変速レバーを駐車位置にしない限り、始動スイッ
チ機構をＯＦＦに操作できず、始動スイッチ機構をＯＦ
Ｆにすると、変速レバーが駐車位置にロツクされるの
で、運転者が車両を離れた場合に、第三者の操作により
車両が動き出す恐れがなく、また、走行中に始動スイッ
チ機構がＯＦＦになることはあり得ず、走行中にハンド
ルがロツクされて操縦不能に陥るという事故を解消で
き、さらに、始動スイッチ機構に変速レバーロツク機構
を機械的に連結する遠隔操作ケーブルをなくし、ケーブ
ルの配設に制限を受けることがなく、設計、組立が容易
となり、かつ操作時のケーブルの摺動抵抗もなくなり、
ストローク効率、荷重効率の低さによる操作力の増大が
改善される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案自動変速機付車両の盗難防止装置を備え
たステアリングコラムの要部の平面断面図、第２図は同
正面断面図、第３図は変速レバーの取付構造を示す側面
図、第４図は同要部を示す側面図、第５図は電気回路図
である。 Ａ……ハンドルロック機構 Ｂ……始動スイッチロツク機構 Ｃ……変速レバーロツク機構 １……制御ピン ２……操舵筒 ３……ロック部材 ４……ピン ５……ロツク板 ８……ロック ９……ハウジング １０，１４……カム １１……操舵軸 １５……始動スイッチ機構 １９……ばね ２２……ノブ ２５……ロッド ２６……変速レバー ３５……制御板 ３８……制御開口 ５１，６１……電磁アクチュエータ ５１ａ，６１ａ……スイツチ ５２，６２……ロッド ５４，７０……レバー ６７……ロツクピン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】自動変速機の変速レバーのボタンに連動す
   るロッド下端の制御ピンが制御板に形成された制御開口
   縁の駐車位置にあるとき、前記ピン下方にロックピンを
   突出する変速レバーロック機構の電磁アクチュエータ
   を、始動スイッチ機構がＯＮ位置にあるときに閉じるス
   イッチを介して電源に接続し、且つ前記始動スイッチ機
   構がＯＮのときこれと連動して操舵軸のロックを解除す
   るハンドルロック機構の電磁アクチュエータを、前記制
   御ピンが駐車位置にあるときにのみ開くスイッチを介し
   て前記電源に接続するとともに、前記ハンドルロック機
   構が開放されたときＯＮ状態にロックする始動スイッチ
   ロック機構を設け、前記始動スイッチ機構がＯＮのとき
   前記変速レバーのピンをロック状態から開放し、同時に
   前記ピンが前記駐車位置から外れれば、前記ハンドルロ
   ック機構を解除し、更に前記ハンドルロック機構の解除
   により前記始動スイッチロック機構をＯＮ状態にロック
   することを特徴とする自動変速機付車両の盗難防止装
   置。